(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】冠水検知装置及び冠水検知システム
(51)【国際特許分類】
G08B 21/10 20060101AFI20240528BHJP
G08B 25/08 20060101ALI20240528BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
G08B21/10
G08B25/08 A
H04Q9/00 311H
(21)【出願番号】P 2020086586
(22)【出願日】2020-05-18
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】723014807
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160967
【氏名又は名称】▲濱▼口 岳久
(72)【発明者】
【氏名】杉尾 匠史郎
(72)【発明者】
【氏名】豊福 悟
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕之
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-077602(JP,A)
【文献】特開2007-218740(JP,A)
【文献】特開2019-002773(JP,A)
【文献】特開2010-281586(JP,A)
【文献】特開2019-149743(JP,A)
【文献】米国特許第7825793(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 11/00-11/10
H03J 9/00- 9/06
H04Q 9/00- 9/16
G08B 19/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のポールに取り付けられる冠水検知装置であって、
前記ポールの外側面の一部を開閉する蓋に対応して取り付けられ、水面との接触状態に応じて検知信号を生成する水面センサと、
前記ポールの外側面に取り付けられ、前記検知信号から冠水発生の有無を示す検知データを生成する処理回路及び前記検知データを発信する通信モジュールを含む処理・通信ユニットと
を備える冠水検知装置。
【請求項2】
中空のポールに取り付けられる冠水検知装置であって、
水面との接触状態に応じて検知信号を生成する水面センサが取り付けられ、前記ポールの外側面の一部を開閉する蓋と、
前記ポールの外側面に取り付けられ、前記検知信号から冠水発生の有無を示す検知データを生成する処理回路及び前記検知データを発信する通信モジュールを含む処理・通信ユニットと
を備える冠水検知装置。
【請求項3】
前記水面センサが前記蓋の内面に取り付けられる、請求項1又は2に記載の冠水検知装置。
【請求項4】
前記水面センサが前記蓋の外面に取り付けられる、請求項1又は2に記載の冠水検知装置。
【請求項5】
前記ポールが自動点滅器を有する照明灯用ポールであり、前記自動点滅器が前記ポールの外側面において前記蓋の位置よりも高い位置に取り付けられ、
前記処理・通信ユニットが前記自動点滅器の近傍に配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載の冠水検知装置。
【請求項6】
前記処理・通信ユニットが前記蓋の外面に取り付けられた、請求項1から4のいずれか一項に記載の冠水検知装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の冠水検知装置と、
通信ネットワークを介して前記検知データを受信する通信部、前記検知データから前記冠水検知装置の地理位置を特定する位置特定部及び前記地理位置に基づいて冠水マップを作成するマップ作成部を含むサーバと
を備える冠水検知システム。
【請求項8】
前記冠水検知装置が商用電源の給電を受けるように構成され、
前記通信部が前記検知データを受信しない場合に、前
記マップ作成部は前記検知データに対応する地理位置で冠水が発生したものと判定するように構成された、請求項7に記載の冠水検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冠水検知装置及びそれを用いた冠水検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の冠水を検知する装置は、一般にアンダーパスに設置されていた。そのため、冠水発生を所望の地点で検知し、冠水の状況を地域全体にわたって網羅的に把握することが困難であった。特許文献1は、道路の任意の場所で水位を検知し得る端末装置を開示する。
【0003】
特許文献1の端末装置は、水位を検出するセンサと、設置位置を検出する位置測位部と、位置測位部で検出した位置の位置情報を送信するとともにセンサで検出した検出データを所定のタイミングで送信する通信部と、各部の動作を統括制御する制御部とを備える。そして、位置情報とリアルタイムの検出データが、通信部からハザードマップを作成するハザードマップ作成手段に送信される。ここで、端末装置は、道路又は地面に設置された道路付属物に装着される(同文献、第5実施形態参照)。道路付属物は棒状の柱状体からなる支持柱であり、端末装置は柱状体の外周面に合わせた形状の内周面を有する。端末装置は、内部が収納空間となる本体部と、本体部に嵌め込まれるカバー部とを備える。カバー部の外周面に電源供給用の二次電池を充電する太陽光発電手段が設けられ、収納空間に、通信部及びそのアンテナ部と、位置測位部及びその測位用アンテナと、センサと、制御部とが内蔵される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記構成の端末装置によると、既存の道路付属物の支柱(ポール)の外側形状と端末装置の内側形状とが合致する必要がある。したがって、同型の端末装置を多種の既設のポールに装着するのが難しく、種々のポールに対する装置の適合性及び敷設性に欠けるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、既設のポールに対する適合性及び敷設性の高い冠水検知装置及びそれを用いた冠水検知システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の、中空のポールに取り付けられる冠水検知装置は、ポールの外側面の一部を開閉する蓋に対応して取り付けられて水面との接触状態に応じて検知信号を生成する水面センサと、ポールの外側面に取り付けられ、検知信号から冠水発生の有無を示す検知データを生成する処理回路及び検知データを発信する通信モジュールを含む処理・通信ユニットとを備える。
【0008】
上記構成によると、水面センサが既設のポールの蓋又はその近傍に取り付けられ、水面センサによって検出される冠水発生の有無が処理・通信ユニットによって発信される。このように、既設のポールの蓋を利用して冠水検知装置が取り付けられるので、既設のポールに対して適合性及び敷設性の高い冠水検知装置が実現される。
【0009】
本発明の、中空のポールに取り付けられる冠水検知装置は、水面との接触状態に応じて検知信号を生成する水面センサが取り付けられてポールの外側面の一部を開閉する蓋と、ポールの外側面に取り付けられ、検知信号から冠水発生の有無を示す検知データを生成する処理回路及び検知データを発信する通信モジュールを含む処理・通信ユニットとを備える。
【0010】
上記構成によると、水面センサが取り付けられた蓋が既設のポールに取り付けられ、水面センサによって検出される冠水発生の有無が処理・通信ユニットによって発信される。このように、既設のポールの蓋を本構成による蓋と交換することによって冠水検知装置が取り付けられるので、既設のポールに対して適合性及び敷設性の高い冠水検知装置が実現される。
【0011】
一態様では、水面センサは、上記蓋の内面に取り付けられる。これにより、ポールの蓋以外の箇所に新たな加工をすることなく水面センサが設置可能となり、冠水検知装置の施工容易性が担保される。また、水面センサがポールの内部に配置されるので、水面センサにおいて外乱が最小化され、耐候性が担保され、防護性が向上する。
【0012】
一態様では、水面センサは、上記蓋の外面に取り付けられる。これにより、ポールの蓋以外の箇所に新たな加工をすることなく水面センサが設置可能となり、冠水検知装置の施工容易性が担保される。また、ポールが設置された道路の冠水をより直接的に検出することができ、冠水検知のリアルタイム性が向上する。
【0013】
一態様では、ポールは自動点滅器を有する照明灯用ポールであり、自動点滅器はポールの外側面において上記蓋の位置よりも高い位置に取り付けられ、処理・通信ユニットは自動点滅器の近傍に配置される。これにより、自動点滅器の電源配線及び冠水検知装置の信号線の引き回しが共通化され、ポールの蓋以外の箇所に新たな加工をすることなく処理・通信ユニットが設置可能となり、冠水検知装置の施工容易性が担保される。
【0014】
一態様では、処理・通信ユニットは、上記蓋の外面に取り付けられる。これにより、ポールの蓋以外の箇所に新たな加工をすることなく処理・通信ユニットが設置可能となり、冠水検知装置の施工容易性が担保される。
【0015】
本発明の冠水検知システムは、上記いずれかの冠水検知装置と、通信ネットワークを介して検知データを受信する通信部、検知データから冠水検知装置の地理位置を特定する位置特定部及び地理位置に基づいて冠水マップを作成するマップ作成部を含むサーバとを備える。このように、既設のポールに対して適合性及び敷設性の高い冠水検知装置からの検知データに基づいて冠水マップが作成されるので、展開容易な冠水検知システムが実現される。
【0016】
一態様では、冠水検知装置は商用電源の給電を受けるように構成され、通信部が検知データを受信しない場合に、冠水マップ作成部は検知データに対応する地理位置で冠水が発生したものと判定するように構成される。これにより、台風、豪雨などにより当該地域の停電及び冠水が発生した場合であっても、冠水マップの情報性が保持される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による冠水検知システムの概略ブロック図である。
【
図2】第1実施例の冠水検知装置を説明する図である。
【
図3】第2実施例の冠水検知装置を説明する図である。
【
図4】第3実施例の冠水検知装置を説明する図である。
【
図5】第4実施例の冠水検知装置を説明する図である。
【
図6】第5実施例の冠水検知装置を説明する図である。
【
図7】第6実施例の冠水検知装置を説明する図である。
【
図8】第7実施例の冠水検知装置を説明する図である。
【
図9】第8実施例の冠水検知装置を説明する図である。
【
図10】第9実施例の冠水検知装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
図1に、本発明の実施形態による冠水検知システム1の概略図を示す。冠水検知システム1は、冠水検知装置2-1~2-n、サーバ6及び表示端末7を含む。なお、本開示において、冠水検知装置2-1~2-nの各々は同じ構成を有し、冠水検知装置2-1~2-nを総称して又はいずれか1つを代表して冠水検知装置2というものとする。各冠水検知装置2は、既設のポール3に取り付けられる。本実施形態では、ポール3は、道路灯、街路灯などの照明灯用のポールである。概略として、冠水検知システム1では、冠水検知装置2-1~2-nがそれぞれ地点での冠水発生の有無を検出する検知データをサーバ6に送信し、サーバ6は収集された検知データに基づいて冠水マップを作成して表示端末7に表示する。各冠水検知装置2とサーバ6及びサーバ6と表示端末7は、通信ネットワークNWを介して無線接続される。サーバ6は、例えば、クラウドサーバであり、表示端末7は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどである。なお、サーバ6は物理的なサーバであってもよく、表示端末7はサーバ6に直接に有線接続された適宜の表示装置であってもよい。
【0019】
各冠水検知装置2は、水面センサ4及び処理・通信ユニット5を備える。詳細を後述するように、水面センサ4は、処理・通信ユニット5との信号の入出力を介して動作する。処理・通信ユニット5は、ポール3の内部の照明器具用の電源に供給される商用電源と同じ商用電源の給電を受ける。ただし、後述の実施例によっては、処理・通信ユニット5は、バッテリによって給電され得る。
【0020】
水面センサ4は、水面との接触状態に応じた信号(電圧又は電流)を生成する。例えば、水面センサ4は、電極式センサ又はフロート式センサである。電極式センサは、2つの電極間の抵抗値に応じて水面の存在を検出する。同一水面に対する両電極の非接触/接触に応じて両電極間が高抵抗/低抵抗となる。この両電極間の抵抗の増/減が処理・通信ユニット5によって検出され、それぞれ冠水が発生していないこと/冠水が発生していることが検出される。また、フロート式センサは、その浮きの位置に応じて水面の存在を検出する。具体的には、水面の上昇によって(すなわち、浮力によって)浮きの位置が上昇すると、浮き側の接点と本体側の接点とが接触し、内部回路が短絡される。この接点の開/閉が処理・通信ユニット5によって検出され、それぞれ冠水が発生していないこと/冠水が発生していることが検出される。本開示において、水面センサ4から処理・通信ユニット5に供給される信号(電圧又は電流)を検知信号というものとする。
【0021】
通信ユニット5は、処理回路51、通信モジュール52、送信アンテナ53、測位モジュール54、受信アンテナ55及びバッテリ56を備える。処理・通信ユニット5は、設置状況に応じて商用電源から給電され、又はバッテリ56から給電されて動作する。
【0022】
処理回路51は、水面センサ4に定電流又は定電圧を供給し、水面センサ4で発生する電圧又は電流(すなわち、検知信号)を取得する。これにより、処理回路51は、上記のように、水面センサ4の抵抗値又は接点の開閉に応じて水面が存在するか否か、すなわち、冠水が発生しているか否かを判定する。また、処理回路51は、検知信号を所定の通信に適した形式の検知データに符号化する。検知データには、例えば、当該冠水検知装置2の装置ID及び地理位置情報の少なくとも一方並びに冠水発生の有無を示す検知結果を含む。地理位置情報は、例えば、当該冠水検知装置2の緯度経度情報である。
【0023】
通信モジュール52は、検知データを送信アンテナ53から通信ネットワークNWを介してサーバ6に送信するように動作する。通信モジュール52は、検知データを周期的に発信する。また、処理回路51は、消費電力低減の観点から、検知データを発信する周期に同期して上記の定電流又は定電圧を水面センサ4に供給してもよい。通信モジュール52は、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)用の通信モジュールである。したがって、通信ネットワークNWの基地局を中心として半径50km程度の範囲が、1つのカバレッジとなり得る。
【0024】
測位モジュール54は、受信アンテナ55から受信されるGNSS(Global Navigation Satellite System)信号から現在位置を特定し、現在位置情報を処理回路51に出力する。GNSSは、GPS、GLONASS、Galileoなどである。検知データに含まれる地理位置情報は、上記現在位置情報に基づく。なお、処理・通信ユニット5において、送信アンテナ53及び受信アンテナ55は、同一のアンテナによって構成されてもよい。また地理位置情報は、冠水検知装置2の設置時に測位されて処理回路51に予め記憶された位置情報であってもよい。この場合、測位モジュール54及び受信アンテナ55は、省略され得る。
【0025】
バッテリ56は、処理・通信ユニット5が商用電源を常用電源とする場合には、商用電源が遮断された場合に、処理回路51、通信モジュール52及び測位モジュール54に給電する。これにより、台風、豪雨、落雷などによりポール3の地帯の停電及び冠水が発生しても、冠水発生を示す検知データが確実にサーバ6に送信され、サーバ6において正確な情報が収集される。また、商用電源がポール3に引き込まれない場合には、バッテリ56は、処理・通信ユニット5の常用電源として用いられる。
【0026】
また、商用電源がポール3に引き込まれる場合には、バッテリ56は設けられなくてもよい。この場合で、かつ、商用電源の停電により処理・通信ユニット5が動作せずに検知データを送信しなくなった場合、サーバ6は、検知データを送信しない冠水検知装置2に対応する地点で冠水が発生しているものとみなしてもよい。これは、冠水検知装置2の送信不能状態が、台風、豪雨などによって発生した冠水及び停電に起因する蓋然性が高いことに基づくものである。
【0027】
サーバ6は、通信部61、位置特定部62、マップ作成部63及び記憶装置64を備える。通信部61は、通信ネットワークNWと無線通信可能であり、各冠水検知装置2から検知データを受信する。位置特定部62は、各検知データから各冠水検知装置2(ポール3)の地理位置を特定する。位置特定部62は、検知データに含まれる現在位置情報に基づいて地理位置を特定することができる。あるいは、記憶装置64に装置IDと地理位置との対応関係が予め記憶され、位置特定部62が検知データに含まれる装置ID及びその対応関係に基づいて地理位置を特定してもよい。マップ作成部63は、位置特定部62によって特定された地理位置に基づいて冠水マップを作成する。冠水マップは、各地理的位置における冠水発生の有無又は状況を示すものであり、例えば、ハザードマップに類する形態のものである。通信部61は、マップ作成部63によって作成された冠水マップを通信ネットワークNWを介して又は直接に表示端末7に送信する。表示端末7は、その画面上に冠水マップを表示する。
【0028】
<第1実施例>
図2は、第1実施例による冠水検知装置2を説明する概略断面図である。なお、本開示の各図は、説明のための模式図であり、縮尺通りではない。ポール3は、既設の中空ポールであり、ポール本体31、蓋32、照明器具電源33及び自動点滅器34を有する。言い換えると、ポール本体31、蓋32、照明器具電源33及び自動点滅器34は、既設のポール3に予め設置されているものである。ポール本体31は、地面Gに立設され、その上方端部に照明器具(不図示)が取り付けられる。ポール本体31は、内壁31a及び外側面31bを有する略円筒形の鋼管で構成され、内部空間を有する。また、ポール本体31は、その側面に、自動点滅器34の設置用の貫通孔31c、及び蓋32に対応する開口31dを有する。
【0029】
照明器具電源33は、ポール本体31の内壁31aに取り付けられ、AC配線L1、自動点滅器34及びAC配線L2を介して商用電源の給電を受ける。AC配線L1は、例えば、ポール本体31の地面G側端部から引き込まれる。照明器具電源33は、商用電源の交流電圧を照明器具に適合する所定の出力電流(例えば、照明器具がLEDの場合には直流電流)に変換し、出力配線L3を介して出力電流を照明器具(不図示)に供給する。自動点滅器34は、ポール本体31の外側面31bに取り付けられる。自動点滅器34は、AC配線L1を介して商用電源の給電を受け、照度センサによって検出される環境照度に応じてAC配線L1とAC配線L2との間の接点を開閉する。すなわち、自動点滅器34は、環境照度が低い場合(夜間)にはAC配線L1とAC配線L2を短絡し、環境照度が高い場合(昼間)にはAC配線L1とAC配線L2を開放する。なお、AC配線L1及びL2は、貫通孔31cを介して自動点滅器34に接続される。
【0030】
蓋32は、ポール本体31の開口31dに対応して取外し可能に取り付けられたカバーなどであり、内面32a及び外面32bを有する。一般的に、ポールの目的及び作業性を考慮して、蓋32は地面Gから50cm~150cm程度の所定位置に取り付けられ、照明器具電源33は蓋32付近に取り付けられる。また、自動点滅器34は、環境照度の適切な測定の観点から、例えば、地面Gから2m以上高い位置に取り付けられる。したがって、蓋32は、自動点滅器34よりも低い位置に配置される。
【0031】
水面センサ4は、蓋32の内面32aに取り付けられる。すなわち、水面センサ4は、ポール本体31の内部空間が浸水した場合の水面を検出する。水面センサ4は、蓋32の内面32aに対してネジ、マグネットなどによって取り付けられてもよいし、蓋32の内面32aに取り付けられたホルダなどを介して取り付けられてもよい。水面センサ4のセンサ素子(電極式センサの場合の電極又はフロート式センサの場合の浮き)は、例えば、水面センサ4の下端部4aに配置される。下端部4aの位置は、検出したい水位に応じて、水面センサ4の取付け位置及び筐体形状によって設定可能である。
【0032】
このように、水面センサ4がポール本体31の内部に設置されることにより、水面センサ4に対する外乱(水撥ねによる誤検出など)を最小化することができる。また、このような内部設置構成により、水面センサ4の耐候性を担保することができる。また、このような内部設置構成により、洪水時の水流又は浮遊物による水面センサ4の破損、劣化又は流失を防止することができ、水面センサ4の防護性が向上する。設置作業において、作業者は、蓋32をポール本体31から取り外し、蓋32に水面センサ4を取り付け(さらに後述の配線接続を行い)、その蓋32をポール本体31に取り付ける。このように、水面センサ4は、容易に施工され得る。
【0033】
処理・通信ユニット5は、通信機能の確保のため、ポール本体31の外側面31bに取り付けられる。また、処理・通信ユニット5の冠水の可能性を最大限低減するために、又は外部環境との干渉(通行人の接触など)を回避するために、処理・通信ユニット5は比較的上方に配置されることが好ましい。一方、処理・通信ユニット5は、自動点滅器34による照度検出を阻害しないために、又は施工を容易とするために、自動点滅器34の下方に取り付けられることが好ましい。したがって、処理・通信ユニット5は、ポール本体31の外側面31bにおいて自動点滅器34の直下付近に取り付けられる。処理・通信ユニット5は、ポール本体31の外側面31bに対してネジ、マグネットなどによって取り付けられてもよいし、ポール本体31の外側面31bに取り付けられたホルダなどを介して取り付けられてもよいし、緊結具(ベルトなど)によってポール本体31に束ねられてもよい。
【0034】
処理・通信ユニット5は、AC配線L1から分岐されたAC配線L4から商用電源の給電を受けて動作する。また、処理・通信ユニット5(処理回路51)は、信号線L5を介して水面センサ4からの検知信号を取得する。AC配線L4及び信号線L5は、ポール本体31に既に設けられている貫通孔31cを通して、ポール本体31の内部空間から処理・通信ユニット5に接続される。このように、既設のポール3に対して水面センサ4及び処理・通信ユニット5を設置する場合であっても、AC配線L4及び信号線L5のための貫通孔をポール本体31に対して新たに設ける必要がなく、冠水検知装置2の容易な施工が実現される。
【0035】
<第2実施例>
上記第1実施例では、水面センサ4が蓋32の内面32aに取り付けられる構成を示したが、本実施例では、水面センサ4が蓋32の外面32bに取り付けられる構成を示す。処理・通信ユニット5及びその周辺の構成は、第1実施例のものと同様である。
【0036】
図3は、第2実施例による冠水検知装置2を説明する概略断面図である。第1実施例と同様の構成には同じ符号を付し、重複する説明を省略又は短縮する。
【0037】
本実施例の水面センサ4は、蓋32の外面32bに取り付けられる。水面センサ4は、ポール本体31が設置された道路が冠水した場合の水面を検出する。水面センサ4は、蓋32の外面32bに対してネジ、マグネットなどによって取り付けられてもよいし、蓋32の外面32bに取り付けられたホルダなどを介して取り付けられてもよいし、緊結具(ベルトなど)によってポール本体31に束ねられてもよい。水面センサ4のセンサ素子は、例えば、水面センサ4の下端部4aに配置される。下端部4aの位置は、検出したい水位に応じて、水面センサ4の取付け位置及び筐体形状によって設定可能である。
【0038】
水面センサ4の検知信号は、処理・通信ユニット5(処理回路51)に信号線L5を介して供給される。信号線L5は、ポール本体31に既に設けられている貫通孔31cを通して、ポール本体31の内部空間から処理・通信ユニット5に接続される。また、信号線L5は、蓋32に加工された貫通孔32cを介して水面センサ4に接続される。このように、新たに加工が必要な貫通孔は、蓋32に対する信号線L5のための貫通孔32cだけである。
【0039】
このように、水面センサ4がポール本体31の外部に設置されることにより、ポール本体31の防水構造によらずに(すなわち、浸水の程度又は速度によらずに)道路の冠水が検出される。したがって、本実施例では、実施例1と比較して、当該ポール3が設置された道路の冠水をより直接的に検出することができ、冠水検知のリアルタイム性が向上する。設置作業時に、作業者は、蓋32に貫通孔32cを加工し、信号線L5を貫通孔32cに通して水面センサ4に接続し、水面センサ4を蓋32の外面32bに取り付ける。このように、本実施例においても、水面センサ4は、容易に施工され得る。また、既設のポール3に対して水面センサ4及び処理・通信ユニット5を設置する場合であっても、AC配線L4及び信号線L5のための貫通孔をポール本体31に対して新たに設ける必要がなく、冠水検知装置2の容易な施工が実現される。
【0040】
<第3実施例>
上記第1及び第2実施例では、既設の蓋32に対して水面センサ4が取り付けられる構成を示したが、本実施例では、予め水面センサ4と一体化された蓋35が採用される構成を示す。すなわち、冠水検知装置2の設置時に、本実施例の蓋35が、既設の蓋32と交換される。
【0041】
図4(a)は第3実施例による冠水検知装置2を説明する概略断面図であり、
図4(b)は冠水検知装置2の蓋35の概略正面図である。第1又は第2実施例と同様の構成には同じ符号を付し、重複する説明を省略又は短縮する。
【0042】
本実施例の水面センサ4は、蓋35の一部を構成する。
図4(a)及び(b)に示すように、水面センサ4(センサ素子)は、蓋35の下端部に配置され得る。
図4(a)に示すように、信号線L5は、蓋35の内面35a側の適宜の接続端子を介して水面センサ4に接続される。なお、
図4(b)においては、水面センサ4は蓋35の左右方向中央に配置されているが、左端付近又は右端付近に配置されてもよい。
【0043】
代替例として、水面センサ4は、蓋35の内面35a側(ただし、ポール本体31の開口31dの範囲内)に配置されてもよい。この場合、第1実施例と同様に、水面センサ4における外乱の最小化、耐候性の担保及び防護性の向上の効果が得られる。また、水面センサ4は、蓋35の外面35b側に配置されてもよい。この場合、第2実施例と同様に、冠水検知のリアルタイム性向上の効果が得られる。あるいは、蓋35の内部と外部とが流通可能となるように蓋35に貫通孔(不図示)が設けられ、その貫通孔に水面センサ4のセンサ素子が配置されてもよい。
【0044】
このように、水面センサ4が予め一体化された蓋35が既設の蓋32と交換される構成により、ポール3の現場での冠水検知装置2の施工が容易となる。また、蓋35に対して水面センサ4がポール本体31の内部又は外部に突出しないように、これらが実質的に面一に形成されてもよい。この場合、水面センサ4が他の要素(内部の照明器具電源33又は外部の設備など)と干渉することがないため、設置環境に関して、より敷設性の高い冠水検知装置2が実現される。
【0045】
<第4実施例>
上記第1乃至第3実施例では、既設のポール3に自動点滅器34が設けられている場合の構成を示したが、本実施例では、既設のポール3に自動点滅器34が設けられていない場合の第1の構成を示す。
【0046】
図5は、第4実施例による冠水検知装置2を説明する概略断面図である。第1実施例と同様の構成には同じ符号を付し、重複する説明を省略又は短縮する。
図5に示すように、既設のポール3において、AC配線L1を介して商用電源の給電を受ける上記の照明器具電源33は内壁31aに設置されるが、自動点滅器34は設置されない。
【0047】
本実施例の水面センサ4は、蓋32の内面32aに取り付けられ、ポール本体31の内部空間が浸水した場合の水面を検出する。水面センサ4は、第1実施例と同様に蓋32の内面32aに取り付けられる。水面センサ4のセンサ素子は、例えば、水面センサ4の下端部4aに配置される。下端部4aの位置は、検出したい水位に応じて、水面センサ4の取付け位置及び筐体形状によって設定可能である。
【0048】
処理・通信ユニット5は、蓋32の外面32bに取り付けられる。処理・通信ユニット5は、蓋32の外面32bに対してネジ、マグネットなどによって取り付けられてもよいし、蓋32の外面32bに取り付けられたホルダなどを介して取り付けられてもよい。処理・通信ユニット5は、AC配線L6から商用電源の給電を受けて動作する。AC配線L6は、例えば、ポール本体31の地面G側端部から引き込まれてもよいし、AC配線L1から分岐されてもよい。
【0049】
AC配線L6は、蓋32の貫通孔32cを介して処理・通信ユニット5に接続される。信号線L5は、水面センサ4から蓋32の貫通孔32cを介して処理・通信ユニット5に接続される。このように、蓋32に適宜の加工をするだけで既設のポール3に対して水面センサ4及び処理・通信ユニット5を設置可能であり(ポール本体31に新たな加工をする必要がなく)、冠水検知装置2の容易な施工が実現される。また、水面センサ4の内部設置構成により、第1実施例と同様に、水面センサ4における外乱の最小化、耐候性の担保及び防護性の向上の効果が得られる。
【0050】
<第5実施例>
上記第1乃至第3実施例では、既設のポール3に自動点滅器34が設けられている場合の構成を示したが、本実施例では、既設のポール3に自動点滅器34が設けられていない場合の第2の構成を示す。また、上記第4実施例では、水面センサ4が蓋32の内面32aに取り付けられるが、本実施例では、水面センサ4が蓋32の外面32bに取り付けられる。
【0051】
図6は、第5実施例による冠水検知装置2を説明する概略断面図である。第2又は第4実施例と同様の構成には同じ符号を付し、重複する説明を省略又は短縮する。
【0052】
水面センサ4は、蓋32の外面32bに取り付けられ、ポール本体31が設置された道路が冠水した場合の水面を検出する。水面センサ4は、第2実施例と同様に蓋32の外面32bに取り付けられる。すなわち、水面センサ4のセンサ素子は、例えば、水面センサ4の下端部4aに配置される。下端部4aの位置は、検出したい水位に応じて、水面センサ4の取付け位置及び筐体形状によって設定可能である。処理・通信ユニット5は、第4実施例と同様に蓋32の外面32bに取り付けられ、AC配線L6から商用電源の給電を受けて動作する。
【0053】
AC配線L6は、蓋32の貫通孔32cを介して処理・通信ユニット5に接続される。信号線L5は、蓋32の外部において、水面センサ4と処理・通信ユニット5の間に接続される。このように、蓋32に適宜の加工をするだけで既設のポール3に対して水面センサ4及び処理・通信ユニット5を設置可能であり(ポール本体31に新たな加工をする必要がなく)、冠水検知装置2の容易な施工が実現される。また、水面センサ4の外部設置構成により、第2実施例と同様に、冠水検知のリアルタイム性向上の効果が得られる。
【0054】
<第6実施例>
上記第1乃至第3実施例では、既設のポール3に自動点滅器34が設けられている場合の構成を示したが、本実施例では、既設のポール3に自動点滅器34が設けられていない場合の第3の構成を示す。また、上記第4及び第5実施例では、既設の蓋32に対して水面センサ4及び処理・通信ユニット5が取り付けられるが、本実施例では、予め水面センサ4及び処理・通信ユニット5と一体化された蓋35が採用される。すなわち、冠水検知装置2の設置時に、本実施例の蓋35が、既設の蓋32と交換される。
【0055】
図7(a)は第6実施例による冠水検知装置2を説明する概略断面図であり、
図7(b)は冠水検知装置2の蓋35の概略正面図である。第3乃至第5実施例と同様の構成には同じ符号を付し、重複する説明を省略又は短縮する。
【0056】
本実施例の水面センサ4及び処理・通信ユニット5は、蓋35の一部を構成する。
図7(a)及び(b)に示すように、水面センサ4(センサ素子)は蓋35の下端部に配置され、処理・通信ユニット5は蓋35の上部外面側に配置される。AC配線L6は、蓋35に設けられた貫通孔35cを介して処理・通信ユニット5に接続される。信号線L5(不図示)は、蓋35の内部又は蓋35の外面35b上で水面センサ4と処理・通信ユニット5の間に結線される。
【0057】
第3実施例の代替例と同様に、水面センサ4は、蓋35の内面35a側(ただし、ポール本体31の開口31dの範囲内)に配置されてもよいし、蓋35の外面35b側に配置されてもよい。あるいは、蓋35の内部と外部とが流通可能となるように蓋35に貫通孔(不図示)が設けられ、その貫通孔に水面センサ4のセンサ素子が配置されてもよい。
【0058】
このように、水面センサ4及び処理・通信ユニット5が予め一体化された蓋35が既設の蓋32と交換される構成により、ポール3の現場での冠水検知装置2の施工が容易となる。また、蓋35に対して水面センサ4及び処理・通信ユニット5がポール本体31の内部又は外部に突出しないように、これらが実質的に面一に形成されてもよい。この場合、水面センサ4及び処理・通信ユニット5が他の要素(内部の照明器具電源33又は外部の設備など)と干渉することがないため、設置環境に関して、より敷設性の高い冠水検知装置2が実現される。
【0059】
<第7実施例>
上記第1乃至第6実施例では、ポール3に商用電源が引き込まれる場合の構成を示したが、本実施例では、ポール3に商用電源が引き込まれない場合の第1の構成を示す。商用電源が引き込まれない場合の例として、ポール3がバッテリ、ソーラーパネル(太陽光発電)、プロペラ(風力発電)などから電力変換器を介して給電される照明灯である場合、ポール3が照明灯でない他の用途の蓋付きポールである場合などが挙げられる。
【0060】
図8は、第7実施例による冠水検知装置2を説明する概略断面図である。第4実施例と同様の構成には同じ符号を付し、重複する説明を省略又は短縮する。本実施例の冠水検知装置2は、AC配線L6が接続されない点を除いて第4実施例のものと同様である。ただし、本実施例では、バッテリ56(
図1参照)は、バックアップ電源ではなく、常用電源として動作する。
【0061】
水面センサ4及び処理・通信ユニット5は、第4実施例と同様に、それぞれ蓋32の内面32a及び外面32bに取り付けられる。信号線L5は、蓋32の貫通孔32cを介して水面センサ4と処理・通信ユニット5の間に結線される。このように、蓋32に適宜の加工をするだけ既設のポール3に対して水面センサ4及び処理・通信ユニット5を設置可能であり(ポール本体31に新たな加工をする必要がなく、さらには配線処理の必要がなく)、冠水検知装置2の一層容易な施工が実現される。また、上記第4実施形態で得られる効果と同様の効果も得られる。
【0062】
<第8実施例>
上記第1乃至第6実施例では、ポール3に商用電源が引き込まれる場合の構成を示したが、本実施例では、ポール3に商用電源が引き込まれない場合の第2の構成を示す。また、上記第7実施例では、水面センサ4が蓋32の内面32aに取り付けられるが、本実施例では、水面センサ4が蓋32の外面32bに取り付けられる。
【0063】
図9は、第8実施例による冠水検知装置2を説明する概略断面図である。第5実施例と同様の構成には同じ符号を付し、重複する説明を省略又は短縮する。本実施例の冠水検知装置2は、AC配線L6が接続されない点を除いて第5実施例のものと同様である。ただし、本実施例でも、バッテリ56(
図1参照)は、バックアップ電源ではなく、常用電源として動作する。
【0064】
水面センサ4及び処理・通信ユニット5は、第5実施例と同様に、それぞれ蓋32の内面32a及び外面32bに取り付けられる。信号線L5は、蓋32の外面32b上で水面センサ4と処理・通信ユニット5の間に結線される。このように、蓋32に適宜の加工をするだけ既設のポール3に対して水面センサ4及び処理・通信ユニット5を設置可能であり(ポール本体31に新たな加工をする必要がなく、さらには配線処理の必要がなく)、冠水検知装置2の容易な施工が実現される。また、上記第5実施形態で得られる効果と同様の効果も得られる。
【0065】
<第9実施例>
上記第1乃至第6実施例では、ポール3に商用電源が引き込まれる場合の構成を示したが、本実施例では、ポール3に商用電源が引き込まれない場合の第3の構成を示す。また、上記第7及び第8実施例では、既設の蓋32に対して水面センサ4及び処理・通信ユニット5が取り付けられるが、本実施例では、予め水面センサ4及び処理・通信ユニット5と一体化された蓋35が採用される。すなわち、冠水検知装置2の設置時に、本実施例の蓋35が、既設の蓋32と交換される。
【0066】
図10は、第9実施例による冠水検知装置2を説明する概略断面図である。なお、冠水検知装置2の蓋35の概略正面図は、第6実施例の
図7(b)と同様である。第6実施例と同様の構成には同じ符号を付し、重複する説明を省略又は短縮する。本実施例の冠水検知装置2は、AC配線L6が接続されない点を除いて第6実施例のものと同様である。ただし、本実施例でも、バッテリ56(
図1参照)は、バックアップ電源ではなく、常用電源として動作する。
【0067】
水面センサ4及び処理・通信ユニット5は、第6実施例と同様に蓋35の一部を構成する。信号線L5(不図示)は蓋35の内部又は外面35b上で水面センサ4と処理・通信ユニット5の間に結線される。このように、水面センサ4及び処理・通信ユニット5が予め一体化された蓋35が配線処理なく既設の蓋32と交換される構成により、ポール3の現場での施工が一層容易となる。また、上記第6実施形態で得られる効果と同様の効果も得られる。
【0068】
<実施形態の総括>
上述の実施形態(第1、第2、第4、第5、第7及び第8実施例)による冠水検知装置2は、中空のポール3の外側面の一部(開口31d)を開閉する蓋32に対応して取り付けられて水面との接触状態に応じて検知信号を生成する水面センサ4と、ポール3(ポール本体31又は蓋32)の外側面に取り付けられ、検知信号から冠水発生の有無を示す検知データを生成する処理回路51及び検知データを発信する通信モジュール52を含む処理・通信ユニット5とを備える。
【0069】
すなわち、水面センサ4が既設のポール3の蓋32に取り付けられ、水面センサ4によって検出される冠水発生の有無が処理・通信ユニット5によって発信される。このように、既設のポール3の蓋32を利用して冠水検知装置2が取り付けられるので、既設のポール3に対して適合性及び敷設性の高い冠水検知装置2が実現される。
【0070】
あるいは、上述の実施形態(第3、第6及び第9実施例)による冠水検知装置2は、水面との接触状態に応じて検知信号を生成する水面センサ4が取り付けられて中空のポール3の外側面の一部(開口31d)を開閉する蓋35と、ポール3(ポール本体31又は蓋35)の外側面に取り付けられ、検知信号から冠水発生の有無を示す検知データを生成する処理回路51及び検知データを発信する通信モジュール52を含む処理・通信ユニット5とを備える。
【0071】
すなわち、水面センサ4が取り付けられた蓋35が既設のポール3に取り付けられ、水面センサ4によって検出される冠水発生の有無が処理・通信ユニット5によって発信される。このように、既設のポール3の蓋32を本発明の蓋35に交換することによって冠水検知装置2が取り付けられるので、既設のポール3に対して適合性及び敷設性の高い冠水検知装置2が実現される。
【0072】
一態様(第1及び第4実施例(並びに場合によっては第3、第6及び第9実施例))では、水面センサ4は、蓋32(35)の内面32a(35a)に取り付けられる。これにより、ポール3の蓋32(35)以外の箇所(ポール本体31)に新たな加工をすることなく水面センサ4が設置可能となり、冠水検知装置2の施工容易性が担保される。また、水面センサ4がポール3の内部に配置され、水面センサ4において外乱が最小化され、耐候性が担保され、防護性が向上する。
【0073】
一態様(第2及び第5実施例(並びに場合によっては第3、第6及び第9実施例))では、水面センサ4は、蓋32(35)の外面32b(35b)に取り付けられる。これにより、ポール3の蓋32(35)以外の箇所(ポール本体31)に新たな加工をすることなく水面センサ4が設置可能となり、冠水検知装置2の施工容易性が担保される。また、ポール3が設置された道路の冠水をより直接的に検出することができ、冠水検知のリアルタイム性が向上する。
【0074】
一態様(第1、第2及び第3実施例)では、ポール3が自動点滅器34を有する照明灯用ポールであり、自動点滅器34がポール3の外側面において蓋32又は35の位置よりも高い位置に取り付けられ、処理・通信ユニット5が自動点滅器34の近傍に配置される。これにより、自動点滅器34のAC配線L1及びL2並びに冠水検知装置2の信号線L5の引き回しが共通化され、ポール3の蓋32又は35以外の箇所(ポール本体31)に新たな加工をすることなく処理・通信ユニット5が設置可能となり、冠水検知装置2の施工容易性が担保される。
【0075】
一態様(第4乃至第9実施例)では、処理・通信ユニット5が、蓋32又は35の外面32b又は35bに取り付けられる。これにより、ポール3の蓋32又は35以外の箇所(ポール本体31)に新たな加工をすることなく処理・通信ユニット5が設置可能となり、冠水検知装置2の施工容易性が担保される。
【0076】
また、実施形態による冠水検知システム1は、上記いずれかの冠水検知装置2と、通信ネットワークNWを介して検知データを受信する通信部61、検知データから冠水検知装置2の地理位置を特定する位置特定部62及び地理位置に基づいて冠水マップを作成するマップ作成部63を含むサーバ6とを備える。このように、既設のポール3に対して適合性及び敷設性の高い冠水検知装置2からの検知データに基づいて冠水マップが作成されるので、展開容易な冠水検知システム1が実現される。
【0077】
また、冠水検知装置2が商用電源の給電を受けるように構成され、通信部61が検知データを受信しない場合に、冠水マップ作成部は検知データに対応する地理位置で冠水が発生したものと判定するように構成される。これにより、台風、豪雨などにより当該地域の停電及び冠水が発生した場合であっても、冠水マップの情報性が保持される。
【0078】
<変形例>
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、本発明は、例えば以下に示すように種々の態様に変形可能である。
【0079】
上記実施形態では、ポール3が照明灯用のポールである場合を示したが、ポール3は適宜の位置に蓋32を有する中空のポールであれば照明灯用のポールに限られない。例えば、ポール3は、表示灯用のポール、通信設備のポールなどであってもよい。
【0080】
上記実施形態の第1、第4及び第7実施例では、水面センサ4が蓋32の内面32aに取り付けられる構成を示した。一方、水面センサ4は、開口31dを介して作業可能な箇所であれば、ポール本体31の内壁31a、照明器具電源33のケースなどの蓋32近傍の箇所に取り付けられてもよい。すなわち、水面センサ4は、蓋32に対応して取り付けられればよい。
【0081】
上記実施形態では、蓋32は、ポール本体31の開口31dに対応して取外し可能に取り付けられたカバーなどであるものとした。一方、第2、第5又は第8実施形態においては、蓋32は、蝶番などによりポール本体31に対して開閉可能に構成された扉であってもよい。この場合、水面センサ4の取付け作業又は水面センサ4及び処理・通信ユニット5の取付け作業時に、蓋32はポール本体31に対して開閉されるだけで取り外されなくてもよい。
【0082】
上記実施形態では、ポール3に対して1つの蓋32が設けられる構成を示したが、ポール3に対して複数の蓋32が設けられ得る。これにより、複数の水位の水面を検出することが可能となり、冠水の程度が冠水検知装置2によって検知され、結果として、サーバ6で作成される冠水マップの情報性が高まる。この場合、各蓋32に対して上記各実施例の構成が適用可能である。例えば、各蓋32に対して、1つの水面センサ4(第1、第4及び第7実施例)が設けられてもよい。この場合、複数の水面センサ4に対して1つの処理・通信ユニット5が設置される。また、各蓋32に対して、一組の水面センサ4及び処理・通信ユニット5(第2、第5及び第8実施例)が設けられてもよい。あるいは、各蓋32が蓋35(第3、第6及び第9実施例)と交換されてもよい。あるいは、蓋32ごとに異なる実施例が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 冠水検知システム
2、2-1~2-n 冠水検知装置
3 ポール
4 水面センサ
5 処理・通信ユニット
6 サーバ
7 表示端末
31 ポール本体
32、35 蓋
33 照明器具電源
34 自動点滅器
51 処理回路
52 通信モジュール
53 送信アンテナ
54 測位モジュール
55 受信アンテナ
56 バッテリ
61 通信部
62 位置特定部
63 マップ作成部
64 記憶部