IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タダノの特許一覧

特許7494566作業機、情報読取装置、及び搬送先の位置情報取得方法
<>
  • 特許-作業機、情報読取装置、及び搬送先の位置情報取得方法 図1
  • 特許-作業機、情報読取装置、及び搬送先の位置情報取得方法 図2
  • 特許-作業機、情報読取装置、及び搬送先の位置情報取得方法 図3
  • 特許-作業機、情報読取装置、及び搬送先の位置情報取得方法 図4
  • 特許-作業機、情報読取装置、及び搬送先の位置情報取得方法 図5
  • 特許-作業機、情報読取装置、及び搬送先の位置情報取得方法 図6
  • 特許-作業機、情報読取装置、及び搬送先の位置情報取得方法 図7
  • 特許-作業機、情報読取装置、及び搬送先の位置情報取得方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】作業機、情報読取装置、及び搬送先の位置情報取得方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/46 20060101AFI20240528BHJP
   B66C 13/48 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B66C13/46 Z
B66C13/48 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020089016
(22)【出願日】2020-05-21
(65)【公開番号】P2021183526
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 真輔
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-071088(JP,A)
【文献】特開2005-001804(JP,A)
【文献】特開平10-036073(JP,A)
【文献】特開2014-237506(JP,A)
【文献】特開2011-006843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06;
23/00
E04G 21/14-21/22
B66F 9/24
B65G 1/00-1/133;
1/14-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を搬送可能な作業機であって、
搬送モードの設定入力を受け付ける入力受付部と、
前記荷物の複数の搬送先の位置情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記複数の搬送先の位置情報から、設定された前記搬送モードに対応する搬送先の位置情報である第一位置情報を取得する制御部と、を備え
前記複数の搬送先の位置情報は、前記荷物に設けられた情報記憶部に記憶された情報であり、
前記制御部は、前記複数の搬送先の位置に関する情報を、前記作業機に通信接続され、前記情報記憶部から情報を読み取り可能な情報読取装置から取得する、
作業機。
【請求項2】
前記搬送モードは、前記荷物を仮置き位置に搬送する場合に選択される仮置きモード及び前記荷物を取り付け位置に搬送する場合に選択される取り付けモードのうちの何れか一方のモードを含み、
設定された前記搬送モードが仮置きモードの場合、前記第一位置情報は、仮置き位置の位置情報であり、
設定された前記搬送モードが取り付けモードの場合、前記第一位置情報は、取り付け位置の位置情報である、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記制御部は、設定された前記搬送モードに対応する前記荷物の搬送元の位置情報である第二位置情報を取得する、請求項1又は2に記載の作業機。
【請求項4】
前記制御部は、第一位置情報が示す位置に前記荷物を搬送した後、前記第一位置情報をサーバに送信する、請求項に記載の作業機。
【請求項5】
前記制御部は、前記サーバに記憶され且つ搬送が完了した前記搬送モードに対応する前記搬送先の位置情報である前記第一位置情報設定された前記搬送モードに対応する搬送元の位置情報である前記第二位置情報として取得する、請求項に記載の作業機。
【請求項6】
前記制御部から受け取った前記第一位置情報を表示する表示部を、更に備える、請求項1~の何れか一項に記載の作業機。
【請求項7】
前記荷物の搬送時に動作する被操作機能部を、更に備え、
前記制御部は、前記第一位置情報に基づいて、前記荷物を前記第一位置情報が示す位置に搬送するための制御信号を生成し、生成した制御信号に基づいて前記被操作機能部を制御する、請求項1~の何れか一項に記載の作業機。
【請求項8】
荷物を搬送可能な作業機に通信接続される情報読取装置であって、
前記作業機に関する搬送モードの設定入力を受け付ける入力受付部と、
前記荷物に設けられた情報記憶部から、前記荷物の複数の搬送先の位置情報を取得し、取得した前記複数の搬送先の位置情報から、設定された前記搬送モードに対応する搬送先の位置情報を取得して作業機に送る制御部と、を備える
情報読取装置。
【請求項9】
荷物の搬送先の位置情報取得方法であって、
作業機に関する搬送モードの設定入力を受け付けるステップと、
前記作業機に通信接続された情報読取装置により前記荷物に設けられた情報記憶部から読み取られた前記荷物の複数の搬送先の位置情報を取得するステップと、
取得した前記複数の搬送先の位置情報から、設定された前記搬送モードに対応する搬送先の位置情報を取得するステップと、を含む、
搬送先の位置情報取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機、情報読取装置、及び搬送先の位置情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機の一例として、旋回可能に設けられたブーム、及び、ブームの先端部からワイヤロープを介して吊られたフックを有するクレーンが開示されている。
【0003】
上記クレーンにより搬送される荷物は、例えば、トラックにより作業現場に搬入される。そして、トラックの荷台に乗せられた荷物は、作業現場における仮置き位置まで、クレーンにより搬送される。
【0004】
仮置き位置に置かれた荷物を搬送する際、クレーンの作業者は、ブームを操作することによりフックを、仮置き位置まで移動させる。
【0005】
仮置き位置に置かれた荷物の周囲には、玉掛け作業を行う作業者(以下、「玉掛け作業者」と称する。)が待機している。玉掛け作業者は、玉掛け具(例えば、玉掛け用のワイヤロープ)を荷物に取り付ける玉掛け作業を行う。その後、クレーンの作業者は、荷物を目標位置(例えば、取り付け位置)まで搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-60496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようなクレーンを用いた搬送作業において、搬送作業の効率を向上させる観点から、荷物の搬送先の位置情報を効率よく入手することが重要である。
【0008】
本発明の目的は、荷物の搬送先の位置情報を効率よく取得できる作業機、情報読取装置、及び搬送先の位置情報取得方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る作業機の一態様は、
荷物を搬送可能な作業機であって、
搬送モードの設定入力を受け付ける入力受付部と、
荷物の複数の搬送先の位置情報を取得する取得部と、
取得部により取得された複数の搬送先の位置情報から、設定された搬送モードに対応する搬送先の位置情報である第一位置情報を取得する制御部と、を備える。
上述の作業機を実施する場合に、好ましくは、複数の搬送先の位置情報は、荷物に設けられた情報記憶部に記憶された情報であってよい。
又、制御部は、複数の搬送先の位置に関する情報を、作業機に通信接続され、情報記憶部から情報を読み取り可能な情報読取装置から取得してよい。
【0010】
本発明に係る情報読取装置の一態様は、
荷物を搬送可能な作業機に通信接続される情報読取装置であって、
作業機に関する搬送モードの設定入力を受け付ける入力受付部と、
荷物に設けられた情報記憶部から、荷物の複数の搬送先の位置情報を取得し、取得した複数の搬送先の位置情報から、設定された搬送モードに対応する搬送先の位置情報を取得して作業機に送る制御部と、を備える。
【0011】
本発明に係る搬送先の位置情報取得方法の一態様は、
荷物の搬送先の位置情報取得方法であって、
作業機に関する搬送モードの設定入力を受け付けるステップと、
荷物に設けられた情報記憶部から、荷物の複数の搬送先の位置情報を取得するステップと、
取得した複数の搬送先の位置情報から、設定された搬送モードに対応する搬送先の位置情報を取得するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、荷物の搬送先の位置情報を効率よく取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、クレーンが配置された作業現場を模式的に示す図である。
図2図2は、クレーンが配置された作業現場を模式的に示す図である。
図3図3は、実施形態1に係る搬送先の位置情報取得システムの構成を示すブロック図である。
図4図4は、仮置き搬送作業における搬送先の位置情報取得方法のフローチャートである。
図5図5は、クレーンが作業者の操作に基づいて動作する場合の、搬送作業のフローチャートである。
図6図6は、クレーンが自動制御により動作する場合の、搬送作業のフローチャートである。
図7図7は、取り付け搬送作業における搬送先の位置情報取得方法のフローチャートである。
図8図8は、実施形態2に係る搬送先の位置情報取得システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るいくつかの実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。尚、後述の実施形態に係る作業機、情報読取装置、及び搬送先の位置情報取得方法は、本発明に係る作業機、情報読取装置、及び搬送先の位置情報取得方法の一例であり、本発明は後述の各実施形態により限定されない。
【0015】
[実施形態1]
図1図7を参照して、本発明に係る実施形態1について説明する。図1及び図2には、作業状態における移動式クレーンC(図示の場合、ラフテレーンクレーン)が示されている。移動式クレーンCは、作業機の一例に該当する。
【0016】
移動式クレーンとして、例えば、オールテレーンクレーン、トラッククレーン、又は、積載形トラッククレーン(カーゴクレーンともいう。)が挙げられる。但し、本発明に係るクレーンは、移動式クレーンに限定されず、例えば、タワークレーン等であってもよい。尚、作業機は、移動式クレーンに限定されず、荷物を搬送可能な種々の作業機であってよい。
【0017】
移動式クレーンCが実施する搬送作業の一例(以下、「第一搬送作業」と称する。)として、移動式クレーンCは、搬送元である位置T0(図1参照)から、搬送先(荷物の仮置き位置)である位置T1(図1参照)まで、荷物Wを搬送する。第一搬送作業は、仮置き搬送作業でもある。
【0018】
移動式クレーンCが実施する搬送作業の一例(以下、「第二搬送作業」と称する。)として、移動式クレーンCは、搬送元(仮置き位置)である位置T1(図2参照)から、搬送先(取り付け位置)である位置T2(図2参照)まで、荷物Wを搬送する。第二搬送作業は、取り付け搬送作業でもある。
【0019】
第一搬送作業は、例えば、第一クレーンにより実施される。又、第二搬送作業は、第二クレーンにより実施される。第一クレーンと第二クレーンとは、同じ機種のクレーンであってもよいし、異なる機種のクレーンであってもよい。又、第一クレーンと第二クレーンとは、同一のクレーンであってもよい。以下、説明の便宜のため、第一クレーン及び第二クレーンはいずれも、移動式クレーンCとする。
【0020】
<クレーンの構成の概要>
本実施形態に係る移動式クレーンCは、荷物を搬送可能な作業機であって、複数の搬送モードのうちの一つの搬送モードの設定入力を受け付ける入力受付部323を備える。又、移動式クレーンCは、荷物の複数の搬送先の位置情報を取得する取得部325を備える。更に、取得部325により取得された複数の搬送先の位置情報から、設定された搬送モードに対応する搬送先の位置情報である第一位置情報を取得する制御部324を備える。以下、移動式クレーンCの具体的な構成について説明する。
【0021】
<移動式クレーン>
図1に示すように、移動式クレーンCは、走行体1と、アウトリガ2と、旋回体3と、を有する。
【0022】
(走行体)
走行体1は、複数個の車輪11を有する。
【0023】
(アウトリガ)
アウトリガ2は、走行体1の四隅に設けられている。
【0024】
(旋回体)
旋回体3は、走行体1の上部に旋回可能に設けられている。旋回体3は、旋回台301と、伸縮式ブーム302と、伸縮装置306と、起伏装置308と、を有する。又、旋回体3は、ジブ310と、ワイヤロープ311と、フック装置312と、を有する。
【0025】
又、旋回体3は、運転室313と、位置検出部317と、表示部318と、操作入力部319と、を有する。又、旋回体3は、第一通信部320と、第二通信部321と、検出部322と、入力受付部323と、取得部325と、制御部324と、を有する。
【0026】
(旋回台)
旋回台301は、走行体1に旋回可能に支持されており、旋回体3を旋回させるためのものである。
【0027】
(伸縮式ブーム)
伸縮式ブーム302は、被操作機能部350(図3参照)の一例に該当し、基端部が旋回台301に固定されている。伸縮式ブーム302は、複数のブーム要素からなる。複数のブーム要素はそれぞれ、筒状である。複数のブーム要素は、互いに、テレスコピック状に組み合わされている。
【0028】
具体的には、収縮状態において、複数のブーム要素は、内側から順に先端ブーム要素303、中間ブーム要素304、及び基端ブーム要素305である。本実施形態の場合、中間ブーム要素304は、2本の中間ブーム要素からなる。尚、中間ブーム要素304は、1本でもよいし、3本以上でもよい。又、ブームは、伸縮可能なブームに限らず、伸縮不可能なブームであってもよい。
【0029】
(伸縮装置)
伸縮装置306は、アクチュエータ340(図3参照)の一例に該当し、油圧源(不図示)、油圧ポンプ(不図示)、制御弁(不図示)、及び伸縮シリンダ装置307等を有する。伸縮装置306を構成する各エレメント同士は、配管により接続されている。このような伸縮装置306は、伸縮シリンダ装置307の伸縮に基づいて、伸縮式ブーム302を伸縮させる。
【0030】
(起伏装置)
起伏装置308は、アクチュエータ340(図3参照)の一例に該当し、油圧源(不図示)、油圧ポンプ(不図示)、制御弁(不図示)、及び伸縮シリンダ装置309等を有する。このような起伏装置308は、伸縮シリンダ装置309の伸縮に基づいて、伸縮式ブーム302を起伏させる。
【0031】
(ジブ)
ジブ310は、被操作機能部350(図3参照)の一例に該当し、伸縮式ブーム302の先端部に接続されている。ワイヤロープ311は、ジブ310の先端部から垂れ下がっている。尚、ジブ310は、作業状態に応じて、使用されない場合もある。この場合、ワイヤロープ311は、伸縮式ブーム302の先端から垂れ下がる。
【0032】
(フック装置)
フック装置312は、被操作機能部350(図3参照)の一例に該当し、ジブ310の先端部からワイヤロープ311により吊られている。
【0033】
具体的には、フック装置312は、フックブロック314と、フック315と、を有する。フックブロック314は、シーブ(不図示)を有する。シーブには、ワイヤロープ311が掛け回されている。本実施形態の場合、ワイヤロープ311の掛け数は2本である。但し、ワイヤロープ311のかけ数は、本実施形態の場合に限定されない。ワイヤロープのかけ数は、1本又は3本以上であってもよい。
【0034】
(位置検出部)
位置検出部317は、自身の位置に関する情報を取得する。位置検出部317は、検出した位置に関する情報を、制御部324に送る。
【0035】
本実施形態の場合、位置検出部317は、被操作機能部350(本実施形態の場合、ジブ310)の先端部に設けられている。よって、本実施形態の場合、位置検出部317が取得する位置に関する情報(以下、「位置情報」と称する。)は、被操作機能部350(本実施形態の場合、ジブ310)の先端部の位置に関する情報でもある。尚、作業機が自身の位置を検出する方法は、本実施形態の方法に限定されない。
【0036】
(表示部)
表示部318は、情報等を表示する。表示部318は、運転室313に設けられている。表示部318は、例えば、ディスプレイ又はモニタである。ディスプレイは、タッチパネル式のディスプレイであってもよい。
【0037】
(操作入力部)
操作入力部319は、操作部の一例に該当し、運転室313に設けられている。操作入力部319は、例えば、移動式クレーンCの走行を操作するための操作具、及び、移動式クレーンCを操作するための操作具を含む。
【0038】
移動式クレーンCを操作するための操作具は、例えば、ブームの旋回動作を操作するための旋回操作具(不図示)、ブームの起伏動作を操作するための起伏操作具(不図示)、ブームの伸縮動作を操作するための伸縮操作具(不図示)、及びウインチを操作するためのドラム操作具(不図示)のうちの少なくとも一つの操作具を含んでよい。
【0039】
ウインチは、例えば、油圧モータにより駆動される。この油圧モータは、アクチュエータ340(図3参照)の一例に該当する。尚、アクチュエータ340は、被操作機能部350を駆動できる駆動源であれば、油圧式のアクチュエータに限らず、電気式のアクチュエータ(例えば、電動モータ)であってもよい。
【0040】
移動式クレーンCを操作するための操作具は、例えば、移動式クレーンCの動作に対応する複数のレバーにより構成されている。レバーの操作方向は、移動式クレーンCの動作の方向に対応し、レバーの操作量は、移動式クレーンCの動作の速度に対応する。移動式クレーンCが、自動運転可能なクレーンの場合には、操作入力部は省略されてもよい。
【0041】
尚、ウインチは、ワイヤロープの繰り入れ(巻き上げ)及び繰り出し(巻き下げ)を行うための装置である。本明細書において、ウインチは、メインフックを吊るワイヤロープの繰り入れ及び繰り出しを行うためのメインウインチ、及び、サブフックを吊るワイヤロープの繰り入れ及び繰り出しを行うためのサブウインチのうちの何れか一方のウインチであってもよいし、両方のウインチであってもよい。本実施形態の場合、ウインチは、被操作機能部350の一例に該当する。
【0042】
(第一通信部)
第一通信部320は、後述の情報読取装置7の通信部72と無線通信を確立して、情報読取装置7から情報を受け取る。
【0043】
第一通信部320と通信部72との間の無線通信の方式は、例えば、WiFi(登録商標)等の無線LAN、Bluetooth(登録商標)、又はNFC(Near Field Communication)等であってよい。
【0044】
(第二通信部)
第二通信部321は、例えば、運転室313に設けられている。第二通信部321は、後述のサーバ8のサーバ側通信部81に、インターネット等のネットワークを介して通信接続される。第二通信部321は、サーバ側通信部81と通信を確立して、情報を送る又は受け取る。第二通信部321は、サーバ8から取得した情報を、制御部324に送る。
【0045】
(検出部)
検出部322は、移動式クレーンCに関する情報を検出する。移動式クレーンCに関する情報は、移動式クレーンCの姿勢に関する情報を含む。検出部322は、移動式クレーンCに設けられた複数のセンサにより構成されている。検出部322は、検出した姿勢に関する情報を、制御部324に送る。
【0046】
姿勢に関する情報は、例えば、ブームの起伏角、ブームの長さ、ブームの旋回角、ジブの起伏角、ジブの長さ、アウトリガの張出幅、及びワイヤの吊り下げ長さを含んでよい。
【0047】
尚、姿勢に関する情報は、センサにより検出される情報だけでなく、センサにより検出される情報に基づいて算出される情報であってもよい。姿勢に関する情報は、制御部324において実施される、フック装置312及び/又は荷物の位置情報の算出に必要な情報を含んでよい。フック装置312の位置情報は、姿勢に関する情報に含まれてもよい。
【0048】
検出部322が検出する情報は、制御部324において実施される、地切りの検出に必要な情報を含んでよい。地切りの検出に必要な情報は、例えば、ワイヤロープ311に作用する荷重に関する情報である。
【0049】
又、検出部322は、制御部324において実施される、荷物の据え付けが完了したことの検出に必要な情報を含んでよい。荷物の据え付けが完了したことの検出に必要な情報は、例えば、ワイヤロープ311に作用する荷重に関する情報である。
【0050】
(入力受付部)
入力受付部323は、作業機(移動式クレーンC)が有する複数の搬送モードのうちの一つの搬送モードの設定入力を受け付ける。入力受付部323は、受け付けた搬送モードに関する情報を、後述の制御部324に送る。
【0051】
入力受付部323は、例えば、作業者により操作されるスイッチであってよい。但し、入力受付部323は、スイッチに限定されない。例えば、入力受付部323は、タッチパネル等の表示部(本実施形態の場合、表示部318)に表示されたアイコンにより構成されてもよい。入力受付部323は、例えば、作業機を遠隔操作するための遠隔操作装置から送られてきたモード設定入力を受け付けてもよい。但し、入力受付部323の構成は、本実施形態の場合に限定されない。
【0052】
ここで搬送モードについて説明する。搬送モードは、移動式クレーンCにより実施される搬送の種類に対応する。搬送モードは、後述の搬送先の位置情報取得方法により取得する搬送先の位置情報の種類(例えば、仮置き位置の位置情報又は取り付け位置の位置情報)を特定するためのモードと捉えてよい。例えば、搬送モードは、仮置きモード及び取り付けモードを有する。搬送モードは、仮置きモード及び取り付けモード以外のモードを含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0053】
仮置きモードは、移動式クレーンCにより荷物を仮置き位置に搬送する場合に選択されるモードである。換言すれば、仮置きモードは、後述の搬送先の位置情報取得方法により仮置き位置の位置情報を取得するためのモードと捉えてよい。仮置きモードにおいて、移動式クレーンCは、荷物の搬送のために、仮置き位置の位置情報(例えば、仮置き位置の座標)を取得する。仮置き位置は、荷物を取り付け位置に搬送する前に、荷物を一時的に置く場所である。
【0054】
又、取り付けモードは、移動式クレーンCにより荷物を取り付け位置に搬送する場合に選択されるモードである。換言すれば、取り付けモードは、後述の搬送先の位置情報取得方法により取り付け位置の位置情報を取得するためのモードと捉えてよい。移動式クレーンCは、取り付けモードにおいて、荷物の搬送のために、取り付け位置の位置情報(例えば、取り付け位置の座標)を取得する。取り付け位置は、例えば、建築物において荷物が組み付けられる位置である。
【0055】
(取得部)
取得部325は、荷物の複数の搬送先の位置情報を取得する。取得部325は、例えば、第一通信部320を介して後述の情報読取装置7から荷物の複数の搬送先の位置情報を取得する。搬送先の位置情報は、例えば、仮置き位置の位置情報及び取り付け位置の位置情報を含む。取得部325は、取得した複数の搬送先の位置情報を後述の制御部324に送る。
【0056】
尚、荷物の搬入位置から荷物の取り付け位置までが遠い場合には、複数の仮置き場所が必要になることがある。この場合には、搬送先の位置情報は、複数の仮置き位置の位置情報を含んでよい。
【0057】
(制御部)
制御部324は、既述の移動式クレーンCが備える各エレメントの動作を制御する。制御部324は、演算能力を備えた回路又はデバイスであってよい。
【0058】
制御部324には、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、及び、GPU(graphics processing unit)の少なくとも1つが用いられてよい。例えば、制御部324は、搬送先の位置情報取得システム専用の制御部であってよい。
【0059】
又、制御部324は、移動式クレーンCに設けられた安全装置(例えば、過負荷防止装置)等の制御装置であってもよい。以下に説明する制御部324の機能は、一つの制御部により実現されてもよいし、複数の制御部の協働により実現されてもよい。
【0060】
制御部324は、入力受付部323から搬送モードに関する情報を取得した場合、移動式クレーンCの搬送モードを、取得した搬送モードに設定する。例えば、仮置き搬送作業を実施する移動式クレーンCは、仮置きモードに設定される。一方、取り付け搬送作業を実施する移動式クレーンCは、取り付けモードに設定される。
【0061】
又、制御部324は、取得部325から複数の搬送先の位置情報を取得する。制御部324は、取得した複数の搬送先の位置情報から、入力受付部323から取得した搬送モードに関する情報(以下、「設定された搬送モード」と称する。)に対応する搬送先の位置情報(第一位置情報)を取得する。
【0062】
具体的には、設定された搬送モードが仮置きモードの場合、制御部324は、取得した複数の搬送先の位置情報から、仮置き位置の位置情報を取得する。この場合、第一位置情報は、仮置き位置の位置情報である。
【0063】
又、設定された搬送モードが取り付けモードの場合、制御部324は、取得した複数の搬送先の位置情報から、取り付け位置の位置情報を取得する。この場合、第一位置情報は、取り付け位置の位置情報である。尚、制御部324は、総ての搬送モードに対応する搬送先の位置情報(第一位置情報)を、予め取得してもよい。そして、制御部324は、総ての搬送モードに対応する搬送先の位置情報(第一位置情報)を、記憶部326(図3参照)に記憶させる。
【0064】
又、制御部324は、搬送先の位置情報とともに、情報読取装置7から荷物に関する情報を取得してもよい。荷物に関する情報は、荷物の識別情報、荷物の搬送元の位置情報、及び荷物の諸元情報のうちの少なくとも一つの情報を含んでよい。尚、搬送先の位置情報も、荷物に関する情報に含まれると捉えてもよい。
【0065】
又、制御部324は、取得した搬送先の位置情報が示す位置に荷物Wを搬送した後、この搬送先の位置情報を後述のサーバ8に送信する。
【0066】
具体的には、制御部324は、設定された搬送モードが仮置きモードの場合、仮置き位置に荷物Wを搬送した後、仮置き位置の位置情報をサーバ8に送る。又、制御部324は、仮置き位置の位置情報とともに、荷物に関する情報(具体的には、荷物の識別情報)を、サーバ8に送ってもよい。
【0067】
又、制御部324は、設定された搬送モードが取り付けモードの場合、取り付け位置に荷物Wを搬送した後、取り付け位置の位置情報をサーバ8に送る。又、制御部324は、取り付け位置の位置情報とともに、荷物に関する情報(具体的には、荷物の識別情報)を、サーバ8に送ってもよい。
【0068】
又、制御部324は、設定された搬送モードに対応する荷物の搬送元の位置情報(第二位置情報)を取得する。制御部324は、例えば、後述の情報読取装置7から荷物の搬送元の位置情報を取得する。
【0069】
制御部324が情報読取装置7から荷物の搬送元の位置情報を取得する場合、搬送元の位置情報は、例えば、情報読取装置7の位置検出部74により検出された情報読取装置7の位置である。
【0070】
又、制御部324は、例えば、後述のサーバ8から荷物の搬送元の位置情報を取得する。この場合、搬送元の位置情報は、制御部324がサーバ8に送った仮置き位置の位置情報であって、既に搬送が完了した仮置き位置の位置情報である。つまり、制御部324は、搬送が完了した仮置き位置の位置情報を、次の搬送における搬送元の位置情報としてサーバ8から取得する。
【0071】
又、制御部324は、取得した搬送先の位置情報(仮置き位置の位置情報又は取り付け位置の位置情報)に基づいて、荷物Wを搬送先に搬送するための制御信号を生成する。制御信号は、被操作機能部350(図3参照)を駆動するアクチュエータ340を制御するための信号である。制御部324は、生成した制御信号に基づいて被操作機能部350を自動制御する機能を有する。
【0072】
又、制御部324は、搬送作業の可否の判定(以下、「搬送作業判定」と称する。)を行う。具体的には、制御部324は、取得した搬送先(つまり、仮置き位置又は取り付け位置)に、荷物Wを搬送可能か否かを判定する。以下、制御部324により実施される搬送作業判定について説明する。
【0073】
制御部324は、取得した搬送先におけるクレーンの姿勢情報に対応する性能情報を取得する。この性能情報は、移動式クレーンCが、搬送先で取る姿勢において吊り上げることができる荷物の最大荷重を意味する。このような性能情報は、演算により算出されてもよいし、記憶部に予め記憶されていてもよい。
【0074】
又、制御部324は、後述の情報読取装置7から荷物の重量情報を取得する。そして、制御部324は、取得した性能情報と、取得した荷物の重量情報とに基づいて、移動式クレーンCが荷物を搬送先に搬送可能か否かを判定する。
【0075】
具体的には、取得した性能情報が、搬送する荷物の重量よりも大きい場合、制御部324は、移動式クレーンCが荷物を搬送先に搬送可能であると判定する。一方、取得した性能情報が、搬送する荷物の重量よりも小さい場合、制御部324は、移動式クレーンCが荷物を搬送先に搬送不可能であると判定する。制御部324は、判定結果を、表示部318に表示してもよい。
【0076】
制御部324は、クレーンの位置に関する情報(以下、「クレーンの位置情報」と称する。)を取得する。制御部324は、位置検出部317から取得した位置情報に基づいて、クレーンの位置情報(座標)を取得する。
【0077】
尚、クレーンの位置情報は、位置検出部317の位置に関する情報であってもよいし、クレーンにおける他の部分(例えば、旋回体3の旋回中心)の位置に関する情報であってもよい。
【0078】
クレーンの位置情報が、旋回体3の旋回中心の位置に関する情報の場合には、制御部324は、位置検出部317から取得した位置情報、検出部322から取得したクレーンの姿勢に関する情報、及び記憶部(不図示)から取得したクレーンの諸元データ(例えば、ブームの起伏始点と旋回体の旋回中心との位置関係に関する情報)に基づいて、ブームの旋回中心の位置に関する情報を取得する。
【0079】
又、クレーンの位置情報は、作業現場内の所定位置を基準としたローカル座標であってもよいし、グローバル座標であってもよい。クレーンの位置情報がローカル座標の場合には、制御部324は、位置検出部317から取得した位置情報を、適宜ローカル座標に変換する。尚、クレーンの位置情報を取得する方法は、本実施形態の場合に限定されない。クレーンの位置情報は、作業現場においてクレーンの位置を特定できる情報であればよい。
【0080】
又、制御部324は、位置検出部317の検出値に基づいて、フック装置312の位置に関する情報(例えば、フック装置312の座標)を取得する。又、制御部324は、位置検出部317の検出値に基づいて、フック装置312に掛けられた荷物Wの位置情報を取得する。
【0081】
制御部324は、搬送先に対応するクレーンの姿勢に関する情報(以下、「搬送先におけるクレーンの姿勢情報」と称する。)を取得する。制御部324は、クレーンの位置情報及び荷物の搬送先位置情報に基づいて、搬送先におけるクレーンの姿勢情報を算出する。
【0082】
搬送先におけるクレーンの姿勢情報は、クレーンが荷物を搬送先に搬送した状態における、クレーンの姿勢を意味する。このように制御部324は、クレーンの位置情報、クレーンの向き情報、及び荷物の搬送先位置情報に基づいて、搬送先に対応するクレーンの姿勢情報を取得する機能を有する。
【0083】
制御部324は、地切りが完了したことを検出する。又、制御部324は、地切りが完了したか否かを判定する。
【0084】
制御部324は、検出部322から取得した情報(例えば、ワイヤロープ311に作用する荷重)に基づいて、地切りが完了したか否かを判定する。具体的には、制御部324は、ワイヤロープ311に作用する荷重が増加し、その後、一定になった場合に、地切りが完了したと判定する。
【0085】
制御部324は、荷物の据え付けが完了したことを検出する。又、制御部324は、荷物の据え付けが完了したか否かを判定する。
【0086】
制御部324は、検出部322から取得した情報(例えば、ワイヤロープ311に作用する荷重)に基づいて、荷物の据え付けが完了したか否かを判定する。具体的には、制御部324は、クレーンが荷物を吊っている状態においてワイヤロープ311に作用する荷重から、荷物の荷重が除かれた場合に、荷物の据え付けが完了したと判定する。
【0087】
(情報読取装置)
情報読取装置7は、例えば、移動式クレーンCの外部(例えば、荷物の搬送元の位置)にいる作業者90、92(図1及び図2参照)により操作される。情報読取装置7は、荷物に設けられた情報記憶部5から情報を読み取ることにより、荷物に関する情報を取得する。
【0088】
情報記憶部5には、情報記憶部5が取り付けられる荷物Wに対応する荷物に関する情報が記憶されている。情報記憶部5は、例えば、ICタグ、バーコード、又はQRコード(登録商標)であってよい。本実施形態の場合、仮置き位置の位置情報及び取り付け位置の位置情報を含む荷物に関する情報を記憶するため、情報記憶部5は、比較的多くの情報を記憶できるQRコードであると好ましい。
【0089】
情報記憶部5がICタグの場合、情報記憶部5は、例えば、情報読取装置320からの電波等を動力源としバッテリーが搭載されていないパッシブ型のICタグ、又、バッテリーが搭載されたアクティブ型のICタグであってよい。
【0090】
情報読取装置7は、自身の位置情報を取得する。そして、情報読取装置7は、取得した自身の位置情報を、移動式クレーンCに送信する。
【0091】
具体的には、情報読取装置7は、読取部71と、通信部72と、制御部73と、位置検出部74と、を有する。
【0092】
(読取部)
読取部71は、荷物Wに設けられた情報記憶部5から情報を取得する。読取部71は、取得した情報を、制御部73に送る。
【0093】
読取部71は、例えば、QRコードから情報を読み取るQRコードリーダーである。読取部71は、情報記憶部5の構成に応じて、情報記憶部5から情報を読み取る機能を有する種々の読取装置であってよい。尚、情報記憶部5がICタグの場合、読取部71は、例えば、RFIDリーダである。この場合、情報読取装置7は、ICタグに情報を書き込むための書込部を備えてもよい。
【0094】
読取部71は、作業者90の操作に基づいて、情報記憶部5と無線通信を確立して、情報記憶部5に記憶された情報を読み取る。
【0095】
読取部71が読み取る情報は、例えば、荷物に関する情報である。荷物に関する情報は、荷物の搬送先の位置情報を含む。又、荷物に関する情報は、例えば、荷物の識別情報、荷物の搬送元の位置情報、荷物の諸元情報、及び荷物の施工情報のうちの少なくとも一つの情報を含んでよい。
【0096】
荷物の搬送先の位置情報は、既述のように、仮置き位置の位置情報及び取り付け位置の位置情報を含む。つまり、情報記憶部5は、荷物の搬送先の位置情報として、荷物の仮置き位置の位置情報及び取り付け位置の位置情報を記憶する。仮置き位置が複数存在する場合には、情報記憶部5は、複数の仮置き位置の位置情報を記憶してよい。
【0097】
このような荷物の仮置き位置の位置情報及び取り付け位置の位置情報は、例えば、BIM(Building Information Modeling)等のアプリケーション(以下、「施工計画アプリケーション」と称する。)を使用して行われる施工計画により、予め決定される情報である。
【0098】
荷物の搬送先の位置情報は、例えば、荷物の搬送先の座標(以下、単に「搬送先座標」と称する。)である。搬送先座標は、作業現場内の所定位置を基準としたローカル座標であってもよいし、グローバル座標であってもよい。
【0099】
荷物の諸元情報は、荷物の寸法に関する情報(以下、「荷物の寸法情報」と称する。)、荷物の重量に関する情報(以下、「荷物の重量情報」と称する。)、及び荷物の形状に関する情報(以下、「荷物の形状情報」と称する。)のうちの少なくとも一つの情報を含んでよい。
【0100】
荷物の施工情報は、荷物の施工方向及び/又は荷物の施工順序に関する情報を含んでよい。
【0101】
(位置検出部)
位置検出部74は、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムから情報を受信するためのGNSSアンテナである。位置検出部74は、衛星測位システムから、自身の位置に関する情報(座標)を取得する。
【0102】
本実施形態の場合、位置検出部74は、情報読取装置7に組み込まれている。よって、本実施形態の場合、位置検出部74が取得する位置に関する情報は、位置検出部74の位置に関する情報でもある。
【0103】
本実施形態の場合、位置検出部74は、読取部71の動作に応じて、自身の位置に関する情報を取得する。具体的には、位置検出部74は、読取部71が情報記憶部5から情報を読み取ったタイミングで、自身の位置に関する情報を取得する。
【0104】
作業者90は、情報読取装置7により情報記憶部5から情報を読み取る際、情報読取装置7を情報記憶部5に近づける。よって、読取部71が情報記憶部5から情報を読み取ったタイミングにおける位置検出部74の位置に関する情報は、情報記憶部5(つまり、荷物)の位置情報でもある。位置検出部74は、取得した位置に関する情報を、制御部73に送る。尚、位置検出部74は、省略されてもよい。
【0105】
(通信部)
通信部72は、移動式クレーンCの第一通信部320と通信を確立して、取得した情報を、第一通信部320に送る。
【0106】
通信部72と第一通信部320とは、例えば、インターネット等のネットワークを介して通信接続される。通信部72と第一通信部320との接続方式は、特に限定されない。通信部72と第一通信部320との接続方式は、例えば、WiFi(登録商標)等の無線LAN、又は、Bluetooth(登録商標)等であってもよい。
【0107】
(制御部)
制御部73は、読取部71から取得した情報を、通信部72を介して移動式クレーンCに送る。具体的には、制御部73は、読取部71から取得した荷物に関する情報(搬送先の位置情報)を、通信部72を介して移動式クレーンCに送る。本実施形態の場合、制御部73は、読取部71から取得した搬送先の位置情報の総てを、移動式クレーンCに送る。
【0108】
制御部73は、位置検出部74から取得した荷物の位置に関する情報(つまり、荷物の搬送元の位置情報)を、移動式クレーンCに送る。
【0109】
(サーバ)
サーバ8は、端末の一例に該当し、移動式クレーンCと、例えば、インターネット等のネットワークを介して通信接続されている。尚、サーバとクレーンとは、有線接続されてもよいし、無線接続されてもよい。又、システムの構成を簡易化する観点から、サーバは、例えば、クレーンの機体の中に設けられてもよい。
【0110】
サーバ8は、移動式クレーンCから情報を受け取る。そして、サーバ8は、取得した情報を記憶する。又、サーバ8は、移動式クレーンCからのリクエストに応じて、記憶した情報を移動式クレーンCに送る。以下、サーバ8の具体的な構成について説明する。
【0111】
サーバ8は、サーバ側通信部81と、制御部82と、記憶部83と、を備える。
【0112】
(サーバ側通信部)
サーバ側通信部81は、移動式クレーンCの第二通信部321と通信を確立して、移動式クレーンCから情報を受け取る。サーバ側通信部81は、移動式クレーンCに情報を送ってもよい。
【0113】
サーバ側通信部81と、移動式クレーンCの第二通信部321とは、ネットワークを介して通信接続されている。尚、サーバ側通信部81と第二通信部321とは、ローカルエリアネットワークにより接続されてもよい。
【0114】
(制御部)
制御部82は、サーバ側通信部81を介して、移動式クレーンCの第二通信部321から第一位置情報を取得する。
【0115】
既述のように、移動式クレーンC(具体的には、移動式クレーンCの制御部324)は、設定された搬送モードが仮置きモードの場合、仮置き位置に荷物Wを搬送した後、仮置き位置の位置情報をサーバ8に送る。この仮置き位置の位置情報は、制御部82が取得する第一位置情報の一例に該当する。
【0116】
又、移動式クレーンC(具体的には、移動式クレーンCの制御部324)は、設定された搬送モードが取り付けモードの場合、取り付け位置に荷物Wを搬送した後、取り付け位置の位置情報をサーバ8に送る。この取り付け位置の位置情報は、制御部82が取得する第一位置情報の一例に該当する。
【0117】
制御部82は、仮置き位置の位置情報又は取り付け位置の位置情報とともに、荷物に関する情報(具体的には、荷物の識別情報)を、移動式クレーンCから取得してもよい。
【0118】
制御部82は、移動式クレーンCから取得した仮置き位置の位置情報及び取り付け位置の位置情報を、記憶部83に記憶させる。又、制御部82は、移動式クレーンCから荷物に関する情報を取得した場合、移動式クレーンCから取得した仮置き位置の位置情報及び取り付け位置の位置情報を、荷物に関する情報と対応付けて記憶部83に記憶させる。
【0119】
制御部82は、移動式クレーンCからのリクエストに応じて、記憶部83に記憶した仮置き位置の位置情報を、荷物の搬送元の位置情報として、移動式クレーンCに送る。このリクエストには、荷物に関する情報(具体的には、荷物の識別情報)が含まれてよい。
【0120】
制御部82は、荷物に関する情報(具体的には、荷物の識別情報)に対応する仮置き位置の位置情報を、荷物の搬送元の位置情報として、移動式クレーンCに送る。逆に言えば、移動式クレーンCは、既に搬送が完了した仮置き位置の位置情報を、次の搬送(例えば、取り付け搬送作業)における搬送元の位置情報として、サーバ8から取得する。
【0121】
(記憶部)
記憶部83は、情報を記憶する。具体的には、記憶部83は、制御部82から取得した仮置き位置の位置情報及び取り付け位置の位置情報を記憶する。記憶部83は、荷物に関する情報(具体的には、荷物の識別情報)と対応付けて、仮置き位置の位置情報及び取り付け位置の位置情報を記憶してもよい。記憶部83は、取り付け位置の位置情報を、据え付けに関するログとして記憶してもよい。
【0122】
<搬送先の位置情報取得処理>
以下、図1図7を参照して、移動式クレーンCの搬送作業について説明する。図4は、移動式クレーンCが実施する仮置き搬送作業における搬送先の位置情報取得処理(搬送先の位置情報取得方法)のフローチャートである。
【0123】
図4図6は、作業現場において実施される仮置き搬送作業のフローチャートでもある。図4図6に示すフローチャートは、移動式クレーンCが荷物Wを搬送元から搬送先まで搬送する際、作業者が実施する作業、及び、移動式クレーンCにおいて実施される処理を示している。
【0124】
図7は、移動式クレーンCが実施する取り付け搬送作業における搬送先の位置情報取得処理(搬送先の位置情報取得方法)のフローチャートである。
【0125】
尚、図4図7に示すフローチャートにおける処理は、技術的に矛盾しない範囲で、処理の順番を適宜入れ替えてもよい。又、図4図7に示すフローチャートにおける処理は、適宜省略されてよい。
【0126】
(動作例1)
先ず、移動式クレーンCが図1に示す搬送元である位置T0から搬送先である位置T1に荷物Wを搬送する場合の、搬送先の位置情報取得処理について説明する。位置T0から位置T1に荷物Wを搬送する作業は、仮置き作業(第一搬送作業)に該当する。位置T0は、荷物Wの搬入位置でもある。
【0127】
図1には、作業現場に配置された移動式クレーンCが示されている。又、移動式クレーンCの周囲には、トラック91が示されている。トラック91により作業現場に搬入された荷物Wが、トラックの荷台に置かれている。又、荷物Wの周囲には、情報読取装置7を持った作業者90が存在している。
【0128】
又、移動式クレーンCの周囲には、搬送先である位置T1が存在している。位置T1は、荷物Wを一時的に置く仮置き位置の一例に該当する。
【0129】
先ず、図4のステップS101において、移動式クレーンCの作業者は、入力受付部323を介して、搬送モードの設定を入力する。本例の場合、作業者は、入力受付部323を介して、仮置きモードを入力する。
【0130】
尚、搬送モードの設定は、搬送作業が変わらなければ、変える必要はない。つまり、仮置き搬送作業を繰り返し実施する場合には、作業者は、一回目の仮置き搬送作業前に、搬送モードを仮置きモードに設定すればよい。作業者は、移動式クレーンCに通信接続された遠隔操作端末を操作することにより、搬送モードの設定を入力受付部323に入力してもよい。
【0131】
図4のステップS102において、入力受付部323は、作業者からの搬送モードの設定入力を受け付ける。そして、入力受付部323は、受け付けた搬送モードに関する情報を制御部324に送る。
【0132】
図4のステップS103において、制御部324は、取得した搬送モードを、移動式クレーンCの搬送モードとして設定する。本例の場合、制御部324は、移動式クレーンCの搬送モードとして、仮置きモードを設定する。
【0133】
図4のステップS104において、搬送元である位置T0に置かれた荷物Wの周囲にいる作業者90は、情報読取装置7を操作して、荷物Wに設けられた情報記憶部5から荷物に関する情報を取得する。
【0134】
ステップS104において情報読取装置7が取得する荷物に関する情報は、荷物Wの搬送先の位置情報を含む。又、ステップS104において情報読取装置7が取得する荷物に関する情報は、荷物の識別情報及び/又は荷物の諸元情報を含んでよい。
【0135】
荷物の搬送先の位置情報は、仮置き位置の位置情報及び取り付け位置の位置情報を含む。本例の場合、仮置き位置の位置情報は、搬送先である位置T1の座標である。又、位置T1の座標は、グローバル座標である。但し、位置T1の座標は、作業現場内の所定位置を基準としたローカル座標であってもよい。
【0136】
又、取り付け位置の位置情報は、位置T2(図2参照)の座標である。本例の場合、位置T2の座標は、グローバル座標である。但し、位置T2の座標は、作業現場内の所定位置を基準としたローカル座標であってもよい。
【0137】
ステップS105において、情報読取装置7(具体的には、位置検出部74)は、自身の位置に関する情報(座標)を取得する。
【0138】
位置検出部74は、読取部71が情報記憶部5から情報を読み取ったタイミングで、自身の位置に関する情報を取得する。
【0139】
作業者90は、情報読取装置7により情報記憶部5から情報を読み取る際、情報読取装置7を情報記憶部5に近づける。よって、読取部71が情報記憶部5から情報を読み取ったタイミングにおける位置検出部74の位置に関する情報は、情報記憶部5(つまり、荷物W)の位置情報でもある。つまり、ステップS105において位置検出部74が取得する位置情報は、荷物Wの搬送元の位置情報(つまり、位置T0の位置情報)である。
【0140】
尚、移動式クレーンCは、別の手段により搬送元の位置情報を取得することも可能である。例えば、施工計画アプリケーションを使用して行われる施工計画において、搬送元の位置情報(本例の場合、荷物Wの搬入位置)が予め決まっている場合には、移動式クレーンCは、搬送元の位置情報を、施工計画アプリケーション又はサーバから取得してもよい。この場合、ステップS105は省略されてよい。
【0141】
ステップS106において、情報読取装置7は、取得した荷物に関する情報を、移動式クレーンCに送る。情報読取装置7は、荷物に関する情報とともに、搬送元の位置情報を、移動式クレーンCに送ってもよい。
【0142】
本例の場合、ステップS106において情報読取装置7が移動式クレーンCに送る荷物に関する情報は、搬送先の位置情報である位置T1(図1参照)の座標及び位置T2(図2参照)の座標を含む。又、ステップS106において情報読取装置7が移動式クレーンCに送る荷物に関する情報は、荷物Wの識別情報及び/又は荷物の諸元情報を含む。
【0143】
尚、ステップS106において、情報読取装置7は、ステップS104(ステップS105を実施する場合には、ステップS105)の処理が終わったタイミングで、自動的に荷物に関する情報を移動式クレーンCに送ってよい。
【0144】
或いは、ステップS106において、情報読取装置7は、移動式クレーンCからのリクエストに応じて、ステップS104(ステップS105を実施する場合には、ステップS105)の処理が終わった後、荷物に関する情報を移動式クレーンCに送ってもよい。
【0145】
以下の処理は、移動式クレーンC(具体的には、制御部324)において実施される。ステップS107において、移動式クレーンCの制御部324は、第一通信部320及び取得部325を介して、情報読取装置7から荷物に関する情報を取得する。
【0146】
次に、ステップS108において、制御部324は、取得した荷物に関する情報に含まれる複数の搬送先の位置に関する情報(具体的には、仮置き位置の位置情報及び取り付け位置の位置情報)から、設定された搬送モード(本例の場合、仮置きモード)に対応する搬送先の位置情報を取得する。本例の場合、ステップS108において、制御部324は、搬送先(仮置き位置)である位置T1の位置情報(例えば、座標)を取得する。
【0147】
ステップS108において、制御部324は、総ての搬送モードに対応する搬送先の位置情報(第一位置情報)を取得してもよい。この場合、制御部324は、総ての搬送モードに対応する搬送先の位置情報(第一位置情報)を、記憶部326(図3参照)に記憶させてもよい。
【0148】
以上のステップS101~S108の処理が、仮置き搬送作業における搬送先の位置情報取得処理である。以下、搬送先の位置情報を取得した後の移動式クレーンCの動作について説明する。
【0149】
先ず、図5を参照して、移動式クレーンCが作業者の操作に基づいて動作する場合の処理について説明する。
【0150】
図5のステップS201において、移動式クレーンCの制御部324は、取得した搬送元の位置情報(本例の場合、位置T0の座標)及び搬送先の位置情報(本例の場合、位置T1の座標)を、表示部318に表示する。
【0151】
例えば、制御部324は、搬送元の位置情報(本例の場合、位置T0)及び搬送先の位置情報(本例の場合、位置T1)を、表示部318に表示する。搬送元の位置情報及び搬送先の位置情報の表示態様は、作業者が搬送元の位置及び搬送先の位置を直感的に認識できる態様であると好ましい。
【0152】
又、ステップS201において、制御部324は、取得した搬送元の位置情報(本例の場合、位置T0の座標)に基づいて、フック装置312を位置T0に移動させるための操作に関する情報(以下、「クレーンの操作情報」と称する。)を、表示部318に表示してもよい。
【0153】
クレーンの操作情報は、例えば、操作入力部319の操作方向及び操作量であってよい。又、クレーンの操作情報は、例えば、フック装置312を位置T0に移動させる際にクレーンが取り得る姿勢に関する情報(以下、「クレーンの姿勢情報」と称する。)を含む。
【0154】
尚、ステップS108において、制御部324が、総ての搬送モードに対応する搬送先の位置情報(第一位置情報)を取得している場合、制御部324は、設定された搬送モード(本例の場合、仮置きモード)に対応する搬送先の位置情報を、記憶部326から取得してもよい。その後、制御部324は、取得した搬送先の位置情報(本例の場合、位置T1の座標)とともに、搬送元の位置情報(本例の場合、位置T0の座標)を、表示部318に表示する。
【0155】
ステップS202において、移動式クレーンCの作業者は、操作入力部319を操作することにより、フック装置312を位置T0に移動させる。
【0156】
ステップS203において、作業者90(玉掛け作業者)は、適宜のタイミングで、荷物Wに玉掛け用ワイヤロープ316を掛ける。
【0157】
ステップS204において、作業者は、操作入力部319を操作することにより、荷物Wを位置T1まで搬送する。その後、位置T1の周囲にいる作業者92は、フック装置312から荷物を外す。
【0158】
ステップS205において、制御部324は、荷物Wの搬送が完了したか否かを判定する。荷物Wの搬送が完了した状態は、荷物Wが搬送先(本例の場合、位置T1)に搬送され、且つ、荷物Wがフック装置312から外された状態と捉えてよい。
【0159】
制御部324は、フック装置312に掛けられた荷物Wの位置を算出し、算出した荷物Wの位置が、搬送先の位置情報が示す位置(本例の場合、位置T1)と一致した場合に、荷物Wが搬送先に搬送されたと判定する。
【0160】
又、制御部324は、検出部322から取得した情報(例えば、ワイヤロープ311に作用する荷重)に基づいて、荷物Wが搬送先の所定位置に置かれたことを判定する。
【0161】
荷物Wの搬送が完了した(本例の場合、荷物Wの仮置きが完了した)と判定した場合(ステップS205において“YES”)、制御部324は、制御処理をステップS206に移行する。
【0162】
荷物Wの搬送が完了していないと判定した場合(ステップS205において“NO”)、制御部324は、ステップS205の制御処理を繰り返す。
【0163】
ステップS206において、制御部324は、荷物の識別情報とともに、荷物の搬送先の位置情報(本例の場合、位置T1の座標)を、サーバ8に送る。制御部324は、荷物の搬送先の位置情報(本例の場合、位置T1の座標)とともに、搬送が完了した時刻をサーバ8に送ってもよい。サーバ8は、取得した情報を、記憶部83にログとして記憶する。
【0164】
以上が、作業者の操作に基づいて移動式クレーンCが動作する場合の処理に関する説明である。次に、図6を参照して、移動式クレーンCが自動制御により荷物Wを搬送する場合の処理について説明する。尚、移動式クレーンCが自動制御により動作する場合でも、移動式クレーンCの運転室313に作業者が搭乗している場合もある。
【0165】
先ず、図6のステップS301において、制御部324は、取得した搬送元の位置情報(本例の場合、位置T0の座標)及び荷物Wの搬送先の位置情報(本例の場合、位置T1の座標)に基づいて、フック装置312を搬送元である位置T0から搬送先である位置T1に移動させるための制御信号(第一制御信号とも称する。)を生成する。
【0166】
又、ステップS301において、移動式クレーンCの制御部324は、フック装置312の現在位置の位置情報と、取得した搬送元の位置情報(本例の場合、位置T0の座標)とに基づいて、フック装置312を現在位置から位置T0に移動させるための制御信号(第二制御信号とも称する。)を生成する。
【0167】
制御信号は、移動式クレーンCの被操作機能部350を駆動するアクチュエータ340を自動制御するための制御信号(第一制御信号とも称する。)である。例えば、制御信号は、ブームを旋回させるための制御信号、ブームを起伏させるための制御信号、ブームを伸縮させるための制御信号、及び/又はフック装置312を昇降させるための制御信号を含む。
【0168】
ステップS302において、制御部324は、第二制御信号に基づいて、フック装置312を搬送元である位置T0(荷物の搬入位置)に移動させる。尚、二回目以降の仮置き搬送作業の場合、搬送元の位置(以下、「二回目以降の搬送元の位置」と称する。)が位置T0と異なる場合もある。その場合、第二制御信号は、フック装置312を現在位置から二回目以降の搬送元の位置に移動させるための制御信号である。
【0169】
ステップS303において、作業者90(玉掛け作業者)は、適宜のタイミングで、荷物Wに玉掛け用ワイヤロープ316を掛ける。
【0170】
ステップS304において、制御部324は、生成した第一制御信号に基づいて、荷物Wを位置T0から位置T1まで搬送する。その後、位置T1の周囲にいる作業者92は、フック装置312から荷物を外す。
【0171】
ステップS305において、制御部324は、荷物Wの搬送が完了したか否かを判定する。荷物Wの搬送が完了したことを判定する方法は、既述の通りである。
【0172】
荷物Wの搬送が完了した(本例の場合、荷物Wの仮置きが完了した)と判定した場合(ステップS305において“YES”)、制御部324は、制御処理をステップS306に移行する。
【0173】
荷物Wの搬送が完了していないと判定した場合(ステップS305において“NO”)、制御部324は、ステップS305の制御処理を繰り返す。
【0174】
ステップS306において、制御部324は、荷物の識別情報とともに、荷物の搬送先の位置情報(本例の場合、位置T1の座標)を、サーバ8に送る。制御部324は、荷物の搬送先の位置情報(本例の場合、位置T1の座標)とともに、搬送が完了した時刻をサーバ8に送ってもよい。サーバ8は、取得した情報を、記憶部83に据え付けに関するログとして記憶する。このような据え付けに関するログは、出来高管理に利用可能である。
【0175】
その後、仮置き搬送作業を繰り返し実施する場合には、ステップS301に戻り、ステップS301~ステップS306の制御処理を繰り返す。
【0176】
以上が、移動式クレーンCが自動制御により荷物Wを搬送する場合の処理に関する説明である。
【0177】
(動作例2)
次に、移動式クレーンCが図2に示す搬送元である位置T1から搬送先である位置T2まで荷物Wを搬送する場合の、搬送先の位置情報取得処理について説明する。位置T1から位置T2まで荷物Wを搬送する作業は、取り付け搬送作業(第二搬送作業)に該当する。位置T1は、既述の動作例1における仮置き位置でもある。
【0178】
図2には、作業現場に配置された移動式クレーンCが示されている。図2に示される移動式クレーンCは、図1に示される移動式クレーンCと同じ機種でもよいし、異なる機種でもよい。又、図2に示される移動式クレーンCは、図1に示される移動式クレーンCと同一のクレーンであってもよい。
【0179】
又、移動式クレーンCの周囲には、搬送元である位置T1及び搬送先である位置T2が存在している。位置T1は、仮置き作業において荷物Wを一時的に置く位置である。
【0180】
又、位置T1の周囲には、情報読取装置7を持った作業者92が存在している。尚、図示は省略するが、搬送先である位置T2の周囲にも、作業者が存在している。
【0181】
先ず、図7のステップS401において、移動式クレーンCの作業者は、入力受付部323を介して、搬送モードの設定を入力する。本例の場合、作業者は、入力受付部323を介して、取り付けモードを入力する。
【0182】
尚、搬送モードの設定は、搬送作業が変わらなければ、変える必要はない。つまり、取り付け搬送作業を繰り返し実施する場合には、作業者は、一回目の取り付け搬送作業前に、搬送モードを取り付けモードに設定すればよい。
【0183】
図7のステップS402において、入力受付部323は、作業者からの搬送モードの設定入力を受け付ける。そして、入力受付部323は、受け付けた搬送モードに関する情報を制御部324に送る。
【0184】
図7のステップS403において、制御部324は、取得した搬送モードを、移動式クレーンCの搬送モードとして設定する。本例の場合、制御部324は、移動式クレーンCの搬送モードとして、取り付けモードを設定する。
【0185】
図7のステップS404において、搬送元である位置T1に置かれた荷物Wの周囲にいる作業者92は、情報読取装置7を操作して、荷物Wに設けられた情報記憶部5から荷物に関する情報を取得する。
【0186】
ステップS404において情報読取装置7が取得する荷物に関する情報は、少なくとも荷物Wの搬送先の位置情報を含む。又、ステップS404において情報読取装置7が取得する荷物に関する情報は、荷物に関する情報は、荷物の識別情報及び/又は荷物の諸元情報を含んでよい。
【0187】
荷物の搬送先の位置情報は、仮置き位置の位置情報及び取り付け位置の位置情報を含む。本例の場合、仮置き位置の位置情報は、位置T1の座標である。又、取り付け位置の位置情報は、位置T2(図2参照)の座標である。
【0188】
尚、本例の取り付け搬送作業において、位置T1は搬送元であるが、動作例1の仮置き搬送作業において搬送先である。つまり、荷物の搬送先の位置情報は、仮置き搬送作業又は取り付け搬送作業において搬送先となる位置の位置情報を意味する。
【0189】
又、ステップS404において、情報読取装置7(具体的には、位置検出部74)は、自身の位置に関する情報(座標)を取得してもよい。
【0190】
作業者92は、情報読取装置7により情報記憶部5から情報を読み取る際、情報読取装置7を情報記憶部5に近づける。よって、読取部71が情報記憶部5から情報を読み取ったタイミングにおける位置検出部74の位置に関する情報は、情報記憶部5(つまり、荷物W)の位置情報でもある。この荷物Wの位置情報は、荷物Wの搬送元の位置情報でもある。
【0191】
ステップS405において、情報読取装置7は、取得した荷物に関する情報を、移動式クレーンCに送る。尚、ステップS404において、情報読取装置7が、荷物の位置情報を取得している場合には、荷物に関する情報とともに、荷物の位置情報(本例の場合、搬送元である位置T1の座標)を、移動式クレーンCに送ってもよい。
【0192】
本例の場合、ステップS405において情報読取装置7が移動式クレーンCに送る荷物に関する情報は、搬送先の位置情報である仮置き位置である位置T1(図1参照)の座標及び取り付け位置である位置T2(図2参照)の座標を含む。又、ステップS405において情報読取装置7が移動式クレーンCに送る荷物に関する情報は、荷物Wの識別情報及び荷物の諸元情報を含む。
【0193】
以下の処理は、移動式クレーンC(具体的には、制御部324)において実施される。ステップS406において、移動式クレーンCの制御部324は、第一通信部320を介して、情報読取装置7から荷物に関する情報を取得する。
【0194】
次に、ステップS407において、制御部324は、取得した荷物に関する情報に含まれる複数の搬送先の位置に関する情報(具体的には、仮置き位置の位置情報及び取り付け位置の位置情報)から、設定された搬送モード(本例の場合、取り付けモード)に対応する搬送先の位置情報(つまり、取り付け位置の位置情報)を取得する。本例の場合、ステップS407において、制御部324は、搬送先(取り付け位置)である位置T2の位置情報(例えば、座標)を取得する。
【0195】
ステップS408において、制御部324は、搬送元の位置情報を、サーバ8から取得する。本例の場合、搬送元の位置情報は、仮置き位置である位置T1の位置情報(例えば、座標)である。
【0196】
既述のように、移動式クレーンC(具体的には、移動式クレーンCの制御部324)は、設定された搬送モードが仮置きモードの場合、仮置き位置に荷物Wを搬送した後、仮置き位置の位置情報をサーバ8に送る。この仮置き位置の位置情報は、取り付け搬送作業において、搬送元の位置情報となる。
【0197】
移動式クレーンC(具体的には、制御部324)は、搬送元の位置情報を取得するためのリクエストを、サーバ8に送る。このリクエストは、荷物の識別情報を含む。サーバ8は、移動式クレーンCから受け取ったリクエストに含まれる荷物の識別情報に対応する、搬送元の位置情報を記憶部83から取得する。そして、サーバ8は、搬送元の位置情報を移動式クレーンCに送る。
【0198】
尚、ステップS408の処理は、上述のタイミングに限らず、適宜のタイミングで実施されてよい。又、ステップS404において、情報読取装置7(具体的には、位置検出部74)が、自身の位置に関する情報(つまり、荷物Wの搬送元の位置情報)を取得している場合、制御部324は、搬送元の位置情報を、情報読取装置7から取得してもよい。この場合、ステップS408の処理は、省略されてよい。
【0199】
以上のステップS401~S408の処理が、取り付け搬送作業における搬送先の位置情報取得処理である。搬送先の位置情報を取得した後の移動式クレーンCの動作は、図4及び図5に示す処理と同様である。
【0200】
<本実施形態の作用・効果>
以上のような構成を有する本実施形態の場合、移動式クレーンCは、情報読取装置7から荷物に関する情報を取得する。そして、移動式クレーンCは、取得した荷物に関する情報に含まれる複数の搬送先の位置情報から、設定された搬送モード(例えば、仮置きモード)に対応する搬送先の位置情報(つまり、仮置き位置の位置情報)を取得する。このように、本実施形態に係る移動式クレーンCによれば、荷物の搬送先の位置情報を効率よく取得できる。
【0201】
[実施形態2]
次に、図8を参照して、本発明に係る実施形態2について説明する。本実施形態に係る移動式クレーンC2は、既述の実施形態1に係る移動式クレーンCが備える入力受付部323を備えていない。その他の移動式クレーンC2の構成は、実施形態1の移動式クレーンCの構成と同様である。
【0202】
一方、本実施形態に係る情報読取装置7Bは、既述の実施形態1に係る情報読取装置7が備える構成に加えて、入力受付部75を備える。その他の情報読取装置7Bの構成は、実施形態1に係る情報読取装置7の構成と同様である。
【0203】
このような本実施形態の場合、先ず、作業者は、情報読取装置7Bの入力受付部75を介して、搬送モードの設定を入力する。情報読取装置7Bに対応する移動式クレーンCが実施する作業が仮置き搬送作業の場合には、作業者は、入力受付部75を介して、仮置きモードを入力する。又、情報読取装置7Bに対応する移動式クレーンCが実施する作業が取り付け搬送作業の場合には、作業者は、入力受付部75を介して、取り付けモードを入力する。
【0204】
すると、入力受付部75は、作業者からの搬送モードの設定入力を受け付ける。そして、入力受付部75は、受け付けた搬送モードに関する情報を制御部73に送る。制御部73は、取得した搬送モードを、移動式クレーンCの搬送モードとして情報読取装置7に設定する。
【0205】
次に、図4のステップS104及び図7のステップS404と同様に、搬送元である位置T0(図4の場合)又は位置T1(図7の場合)に置かれた荷物Wの周囲にいる作業者は、情報読取装置7Bを操作して、荷物Wに設けられた情報記憶部5から荷物に関する情報を取得する。
【0206】
次に、制御部73は、取得した荷物に関する情報に含まれる複数の搬送先の位置に関する情報(具体的には、仮置き位置の位置情報及び取り付け位置の位置情報)から、設定された搬送モード(仮置きモード又は取り付けモード)に対応する搬送先の位置情報を取得する。
【0207】
そして、情報読取装置7Bは、設定された搬送モードに対応する搬送先の位置情報を、移動式クレーンCに送る。その他の情報読取装置7Bの動作は、既述の実施形態1の情報読取装置7と同様である。搬送先の位置情報を取得した後の移動式クレーンCの動作は、図4及び図5に示す処理と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0208】
本発明は、クレーンに限らず、種々の作業機を対象とすることができる。
【符号の説明】
【0209】
C、C2 移動式クレーン
W 荷物
1 走行体
11 車輪
2 アウトリガ
3 旋回体
301 旋回台
302 伸縮式ブーム
303 先端ブーム要素
304 中間ブーム要素
305 基端ブーム要素
306 伸縮装置
307 伸縮シリンダ装置
308 起伏装置
309 伸縮シリンダ装置
310 ジブ
311 ワイヤロープ
312 フック装置
313 運転室
314 フックブロック
315 フック
316 玉掛け用ワイヤロープ
317 位置検出部
318 表示部
319 操作入力部
320 第一通信部
321 第二通信部
322 検出部
323 入力受付部
324 制御部
325 取得部
326 記憶部
340 アクチュエータ
350 被操作機能部
5 情報記憶部
7、7B 情報読取装置
71 読取部
72 通信部
73 制御部
74 位置検出部
75 入力受付部
8 サーバ
81 サーバ側通信部
82 制御部
83 記憶部
90、92 作業者
91 トラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8