(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240528BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
G03G21/16 133
G03G15/08 342
(21)【出願番号】P 2020103532
(22)【出願日】2020-06-16
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】森田 崇史
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-191578(JP,A)
【文献】特開2001-183947(JP,A)
【文献】特開2012-185466(JP,A)
【文献】特開2018-155977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動部および前記被駆動部を駆動する外力を受ける駆動入力部を有する1つ以上のユニットが装着される被装着部を内部に有し、前記被装着部に通じる主開口が形成された装置本体と、
前記装置本体に支持され、前記主開口を開閉可能なカバー部と、
前記装置本体内に前記ユニットの前記駆動入力部に対応して設けられ、予め定められた第1出力位置と第2出力位置との間で変位可能に支持された1つ以上の駆動出力部と、
前記装置本体内に設けられ、予め定められた第1中継位置と第2中継位置との間で変位可能に支持された第1変位部材を含み、前記カバー部の開動作に連動して前記第1変位部材を前記第2中継位置へ変位させ、前記カバー部の閉動作に連動して前記第1変位部材を前記第1中継位置へ変位させる第1連動機構と、
前記第1変位部材の前記第2中継位置への変位に連動して前記駆動出力部を前記第1出力位置へ変位させ、前記第1変位部材の前記第1中継位置への変位に連動して前記
駆動出力部を前記第2出力位置へ変位させる第2連動機構と、
前記装置本体に配置され、予め定められた検出位置に存在する物体を検出する物体センサーと、
前記カバー部が閉じられるときに前記カバー部に形成された当接部に当接される第1接触部と前記第2中継位置へ変位する前記第1変位部材に当接される第2接触部と前記検出位置に進入可能な被検出部とを有し、前記装置本体内において基準位置、作動位置および退避位置の間で変位可能に支持された第2変位部材と、
前記第2変位部材に弾性力を付与することにより、前記第2変位部材を前記基準位置に保持する復帰弾性部材と、
前記物体センサーが前記物体を検出していることを条件にプリント処理の実行を許容し、前記物体センサーが前記物体を検出していないときに前記プリント処理の実行を禁止する制御装置と、を備え、
前記第1連動機構は、前記カバー部の閉動作に対する前記第1変位部材の連動を、予め定められた解除操作に応じて解除し、予め定められた有効化操作に応じて有効にする切替機構を含み、
前記第2変位部材が前記基準位置に存在する状態は、前記第1接触部が前記カバー部の前記当接部と接触可能な位置に存在し、かつ、前記被検出部が前記検出位置から外れた位置に存在する状態であり、
前記第2変位部材が前記作動位置に存在する状態は、前記被検出部が前記検出位置に存在する状態であり、
前記第2変位部材が前記退避位置に存在する状態は、前記第1接触部が前記カバー部の前記当接部と接触できない位置に存在し、かつ、前記被検出部が前記検出位置から外れた位置に存在する状態であり、
前記カバー部の前記当接部は、前記第2変位部材が前記基準位置に存在する状況下で前記カバー部が閉じられるときに、前記第1接触部に当接することにより前記第2変位部材を前記基準位置から前記作動位置へ変位させ、
前記第1変位部材は、前記第2変位部材が前記基準位置に存在する状況下で前記第2中継位置へ変位するときに、前記第2接触部に当接することにより前記第2変位部材を前記基準位置から前記退避位置へ変位させる、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1連動機構は、
回動可能に支持された前記カバー部の回動軸に連動する第1ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤと噛み合い、前記第1ピニオンギヤに連動して直線方向に変位する第1ラックギヤと、
前記第1ラックギヤの変位方向に沿って配置された第2ラックギヤと、を備え、
前記第2連動機構は、
前記第2ラックギヤと噛み合い、前記第2ラックギヤに連動することにより前記駆動出力部を変位させる1つ以上の第2ピニオンギヤを備え、
前記第2ラックギヤが前記第1変位部材であり、
前記切替機構は、
前記被装着部に着脱可能な仮留め部材と、
前記仮留め部材が装着されていないときに、前記カバー部の閉動作に連動する前記第1ラックギヤの変位に前記第2ラックギヤを連動させ、前記仮留め部材が装着されているときに、前記カバー部の閉動作に連動する前記第1ラックギヤの変位に対する前記第2ラックギヤの連動を解除する補助連動機構と、を備え、
前記解除操作は、前記被装着部に前記仮留め部材を取り付ける操作であり、
前記有効化操作は、前記被装着部から前記仮留め部材を取り外す操作である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記被装着部が複数の前記第2ピニオンギヤを備える場合に、1つの前記第2ラックギヤが複数の前記第2ピニオンギヤと噛み合う、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補助連動機構は、前記第2ラックギヤとともにユニット化された係合部材および前記係合部材に弾性力を付与する係合弾性部材を備え、
前記係合部材は、前記カバー部の閉動作に連動する前記第1ラックギヤと係合する係合姿勢と前記第1ラックギヤと係合しない解除姿勢との間で揺動可能に支持され、
前記係合弾性部材は、弾性力によって前記係合部材を前記係合姿勢に保持し、
前記仮留め部材は、装着されることにより前記係合弾性部材の弾性力に抗して前記係合部材を前記解除姿勢に係止し、
前記仮留め部材が取り外されることにより前記係合部材の係止が解除される、請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ユニットは、粉状の現像剤を収容する収容部と前記現像剤の送出口を塞ぐシャッターを開閉させる外力を受ける前記駆動入力部とを有し、
前記駆動出力部は、前記駆動出力部と係合し、前記第1出力位置へ変位することにより前記駆動入力部を介して前記シャッターを開き、前記第2出力位置へ変位することにより前記駆動入力部を介して前記シャッターを閉じる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットが装着される被装着部に通じる開口を開閉可能なカバー部を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、ドラムユニット、現像ユニット、中間転写ユニットまたは現像剤コンテナーなどの1つ以上のユニットを備える。前記ユニットは、装置本体内における予め定められた被装着部に装着される。
【0003】
前記ドラムユニットは、表面に静電潜像が形成される感光体を含む。前記現像ユニットは、前記静電潜像に現像剤を供給する現像ローラーを含む。前記中間転写ユニットは、前記感光体から画像が転写される中間転写体を含む。
【0004】
前記現像剤コンテナーは、前記現像ユニットに供給される現像剤を収容する収容部と、前記収容部における現像剤の送出口を開閉可能なシャッターと、前記収容部内で前記現像剤を撹拌する撹拌部材とを含む。
【0005】
前記被装着部に通じる開口が前記装置本体に形成されており、前記開口を開閉するカバー部が開かれた状態で、前記ユニットが前記被装着部に対して着脱される。
【0006】
前記ユニットは、被駆動部と、前記被駆動部を駆動する外力を受ける駆動入力部とを備える。前記被装着部は、前記駆動入力部に係合されることによって前記駆動入力部を介して前記被駆動部に駆動力を付与する駆動出力部を備える。
【0007】
前記ドラムユニットの前記感光体と、前記現像ユニットの前記現像ローラーと、前記中間転写ユニットの前記中間転写体と、前記現像剤コンテナーの前記シャッターおよび前記撹拌部材とは、それぞれ前記被駆動部の一例である。
【0008】
また、前記画像形成装置が、前記カバー部の動作に連動して前記駆動出力部を変位させる機構を備えることが知られている。
【0009】
例えば、前記画像形成装置が、前記カバー部の開動作に前記駆動出力部を連動させることによって前記現像剤コンテナーの前記シャッターを閉じ、前記カバー部の閉動作に前記駆動出力部を連動させることによって前記シャッターを開く機構を備えることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、前記画像形成装置が運搬される場合のように、前記カバー部の動作に対する前記駆動出力部の連動を解除できることが望ましい特定の場合がある。
【0012】
例えば、前記シャッターを駆動するための前記駆動出力部の動作を前記カバー部の動作に連動させる機構が、所定の操作に応じて前記カバー部と前記駆動出力部との連動の解除と有効化とを切り替える機構を備えることが考えられる。これにより、前記シャッターおよび前記カバー部の両方が閉じた状態で、前記画像形成装置を運搬することが可能になる。
【0013】
一方、前記画像形成装置は、前記カバー部の閉状態を検出するセンサーを備え、前記閉状態が検出されていない場合にプリント処理を禁止するインターロック制御を行う場合がある。前記インターロック制御により、前記装置本体内の駆動部が、露出したまま動作する危険が回避される。
【0014】
しかしなら、前記カバー部と前記駆動出力部との連動が解除された状況下で前記カバー部が閉じられた場合、通常の前記インターロック制御は機能しない。この場合、前記ユニットが正常に動作できない状態で、前記プリント処理が開始されるおそれがある。
【0015】
また、前記カバー部と前記駆動出力部との連動が解除された状態を検出するための専用のセンサーを追加することは、コスト面において好ましくない。
【0016】
本発明の目的は、画像形成装置において、センサーの追加を要することなく、ユニットの駆動入力部に外力を付与する駆動出力部とカバー部との連動が解除されたままでプリント処理が開始されることを回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、装置本体と、カバー部と、1つ以上の駆動出力部と、第1連動機構と、第2連動機構と、物体センサーと、第2変位部材と、復帰弾性部材と、制御装置と、を備える。前記装置本体は、被駆動部および前記被駆動部を駆動する外力を受ける駆動入力部を有する1つ以上のユニットが装着される被装着部を内部に有し、前記被装着部に通じる主開口が形成されている。前記カバー部は、前記装置本体に支持され、前記主開口を開閉可能である。前記駆動出力部は、前記装置本体内に前記ユニットの前記駆動入力部に対応して設けられ、予め定められた第1出力位置と第2出力位置との間で変位可能に支持されている。前記第1連動機構は、前記装置本体内に設けられ、予め定められた第1中継位置と第2中継位置との間で変位可能に支持された第1変位部材を含む。さらに、前記第1連動機構は、前記カバー部の開動作に連動して前記第1変位部材を前記第2中継位置へ変位させ、前記カバー部の閉動作に連動して前記第1変位部材を前記第1中継位置へ変位させる。前記第2連動機構は、前記第1変位部材の前記第2中継位置への変位に連動して前記駆動出力部を前記第1出力位置へ変位させ、前記第1変位部材の前記第1中継位置への変位に連動して前記駆動出力部を前記第2出力位置へ変位させる。前記物体センサーは、前記装置本体に配置され、予め定められた検出位置に存在する物体を検出する。前記第2変位部材は、前記カバー部が閉じられるときに前記カバー部に形成された当接部に当接される第1接触部と前記第2中継位置へ変位する前記第1変位部材に当接される第2接触部と前記検出位置に進入可能な被検出部とを有し、前記装置本体内において基準位置、作動位置および退避位置の間で変位可能に支持されている。前記復帰弾性部材は、前記第2変位部材に弾性力を付与することにより、前記第2変位部材を前記基準位置に保持する。前記制御装置は、前記物体センサーが前記物体を検出していることを条件にプリント処理の実行を許容し、前記物体センサーが前記物体を検出していないときに前記プリント処理の実行を禁止する。前記第1連動機構は、前記カバー部の閉動作に対する前記第1変位部材の連動を、予め定められた解除操作に応じて解除し、予め定められた有効化操作に応じて有効にする切替機構をむ。前記第2変位部材が前記基準位置に存在する状態は、前記第1接触部が前記カバー部の前記当接部と接触可能な位置に存在し、かつ、前記被検出部が前記検出位置から外れた位置に存在する状態である。前記第2変位部材が前記作動位置に存在する状態は、前記被検出部が前記検出位置に存在する状態である。前記第2変位部材が前記退避位置に存在する状態は、前記第1接触部が前記カバー部の前記当接部と接触できない位置に存在し、かつ、前記被検出部が前記検出位置から外れた位置に存在する状態である。前記カバー部の前記当接部は、前記第2変位部材が前記基準位置に存在する状況下で前記カバー部が閉じられるときに、前記第1接触部に当接することにより前記第2変位部材を前記基準位置から前記作動位置へ変位させる。前記第1変位部材は、前記第2変位部材が前記基準位置に存在する状況下で前記第2中継位置へ変位するときに、前記第2接触部に当接することにより前記第2変位部材を前記基準位置から前記退避位置へ変位させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、画像形成装置において、ユニットの駆動入力部に外力を付与する駆動出力部とカバー部との連動が解除されたままでプリント処理が実行されることを回避することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る画像形成装置における閉状態のカバー部および被装着部の斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像形成装置における開状態のカバー部および被装着部の斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部が閉じられているときの主連動機構の主要部およびカバー状態検出機構の断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部が開かれているときの主連動機構の主要部およびカバー状態検出機構の断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部が閉状態であるときの主連動機構の斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部が開状態であるときの主連動機構の斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る画像形成装置における仮留め部材の斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部が閉じられており、かつ、仮留め部材が装着されているときの主連動機構の主要部およびカバー状態検出機構の断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部が開かれており、かつ、仮留め部材が装着されているときの主連動機構の主要部およびカバー状態検出機構の断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る画像形成装置におけるカバー部が半開きのときの主連動機構の主要部およびカバー状態検出機構の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0021】
[画像形成装置10の構成]
実施形態に係る画像形成装置10は、電子写真方式でプリント処理を実行するプリント装置4を備える。前記プリント処理は、シート9に画像を形成する処理である。シート9は、用紙またはシート状の樹脂部材などの画像形成媒体である。
【0022】
図1に示されるように、画像形成装置10は、シート収容部2と、装置本体1内に設けられたシート搬送装置3およびプリント装置4とを備える。装置本体1は、プリント装置4を収容する主筐体である。
【0023】
シート搬送装置3は、不図示のモーターによって駆動されるシート送出装置30および複数組の搬送ローラー対31を備える。シート送出装置30は、シート収容部2に収容されたシート9を装置本体1内の搬送路300へ送り出す。
【0024】
複数組の搬送ローラー対31は、シート9を搬送路300に沿って搬送し、さらにシート9を搬送路300の出口から排出トレイ100aへ排出する。
【0025】
プリント装置4は、搬送路300に沿って搬送されるシート9に画像を形成する。プリント装置4は、作像装置4x、露光装置46、転写装置47および定着装置48を備える。作像装置4xは、ドラム状の感光体41、帯電装置42、現像装置43およびドラムクリーニング装置45などを含む。
【0026】
図1に示される画像形成装置10は、タンデム式のカラー画像形成装置である。そのため、プリント装置4は、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの4色のトナー90に対応した4つの作像装置4xを備える。
【0027】
さらに、転写装置47は、中間転写ベルト471と、4つの作像装置4xに対応する4つの第1転写部472と、第2転写部473と、ベルトクリーニング部474とを備える。
【0028】
作像装置4xにおいて、感光体41が回転し、帯電装置42が感光体41の表面を帯電させる。さらに、露光装置46が、感光体41の表面に静電潜像を書き込む。感光体41は、像担持体の一例である。
【0029】
さらに、現像装置43が、感光体41の表面にトナー90を供給することにより、前記静電潜像をトナー像として現像する。現像装置43は、感光体41へトナー90を供給する現像ローラー430を備える。なお、トナー90は粒状の現像剤の一例である。
【0030】
転写装置47は、搬送路300において前記トナー像をシート9に転写する。第1転写部472は、感光体41の表面の前記トナー像を中間転写ベルト471の表面へ転写する。これにより、中間転写ベルト471の表面にカラーの前記トナー像が形成される。
【0031】
第2転写部473は、搬送路300において、中間転写ベルト471に形成された前記トナー像をシート9に転写する。
【0032】
なお、画像形成装置10が、モノクロ画像形成装置である場合、第2転写部473が、搬送路300において感光体41上の前記トナー像をシート9へ転写する。
【0033】
ドラムクリーニング装置45は、感光体41の表面に残存する廃トナーを除去する。ベルトクリーニング部474は、中間転写ベルト471に残存する廃トナーを除去する。
【0034】
定着装置48は、シート9に転写された前記トナー像を、加熱および加圧することによってシート9に定着させる。
【0035】
画像形成装置10は、シート搬送装置3およびプリント装置4を制御する制御装置11をさらに備える(
図1参照)。制御装置11は、コンピュータープログラムを実行するプロセッサー11xと、前記コンピュータープログラムを記憶する記憶装置11yとを備える。プロセッサー11xが前記コンピュータープログラムを実行することにより、制御装置11は、各種のデータ処理および制御を実行する。
【0036】
トナー90は、トナーコンテナー5から現像装置43へ供給される。トナーコンテナー5は、トナー90を収容し、装置本体1に着脱可能な消耗品である。
【0037】
画像形成装置10は、トナーコンテナー5が装着される被装着部6をさらに備える。被装着部6は、装置本体1内に設けられた被装着部6に対し、取り外し可能に装着される。装置本体1には、被装着部6に通じる主開口1aが形成されている。
【0038】
本実施形態において、主開口1aは装置本体1の上部に形成されている。画像形成装置10は、主開口1aを塞ぐカバー部100をさらに備える。カバー部100は、主開口1aを開閉可能である。カバー部100が開かれた状態で、トナーコンテナー5が交換される。
【0039】
カバー部100は、装置本体1によって上下に回動可能に支持されている。カバー部100の回動軸101が、装置本体1によって回転可能に支持されている。本実施形態において、カバー部100が排出トレイ100aを形成している。
【0040】
図8に示されるように、トナーコンテナー5は、収容部50、シャッター51およびシャッター入力部52を備える。収容部50は、トナー90を収容する容器である。シャッター51は、トナー90の送出口50aを塞ぐ部材である。
【0041】
送出口50aは、収容部50内に連通する開口である。送出口50aは、トナーコンテナー5における長手方向の端部の下部に形成されている。シャッター51は、送出口50aを開閉可能な状態で収容部50に取り付けられている。
【0042】
シャッター入力部52は、シャッター51を開閉させる外力を受ける部分である。即ち、シャッター入力部52が外力を受けて予め定められた開方向へ変位することにより、シャッター51が開く。一方、シャッター入力部52が外力を受けて予め定められた閉方向へ変位することにより、シャッター51が閉じる。
【0043】
シャッター51は、トナーコンテナー5が交換される際にトナー90が送出口50aから漏れ出すことを防ぐために設けられている。
【0044】
さらに、トナーコンテナー5は、収容部50内に配置された内部回転体53と、内部回転体53を回転させる外力を受ける回転入力部54とを備える。内部回転体53は、収容部50内のトナー90を撹拌および搬送する搬送スクリューなどである。内部回転体53は、回転入力部54が回転駆動されることにより、回転入力部54に連動して回転する。
【0045】
後述するように、画像形成装置10の被装着部6は、4つのシャッター出力部6xおよび主連動機構6yを備える(
図4~7参照)。さらに、被装着部6は、4つの回転出力部6zも備える(
図2,3,6,7参照)。4つのシャッター出力部6xおよび4つの回転出力部6zは、それぞれ4つのトナーコンテナー5に対応している。
【0046】
シャッター出力部6xは、トナーコンテナー5のシャッター入力部52と係合する。回転出力部6zは、トナーコンテナー5の回転入力部54と係合する。
【0047】
シャッター出力部6xは、支持板60によって閉位置と開位置との間で変位可能に支持されている。主連動機構6yは、カバー部100の開閉動作に連動して、シャッター出力部6xを前記閉位置および前記開位置との間で変位させる。
【0048】
図4,6は、シャッター出力部6xが前記開位置に存在する状態を示し、
図5,7は、シャッター出力部6xが前記閉位置に存在する状態を示す。シャッター出力部6xは、前記開位置へ変位することによりシャッター入力部52を介してシャッター51を開かせる。また、シャッター出力部6xは、前記閉位置へ変位することによりシャッター入力部52を介してシャッター51を閉じさせる。
【0049】
具体的には、主連動機構6yは、カバー部100の開動作に連動してシャッター出力部6xを前記閉位置へ変位させる。これにより、トナーコンテナー5のシャッター51が閉じる。
【0050】
さらに、主連動機構6yは、カバー部100の閉動作に連動してシャッター出力部6xを前記開位置へ変位させる。これにより、トナーコンテナー5のシャッター51が開く。シャッター出力部6xおよび主連動機構6yの詳細については後述する。
【0051】
シャッター出力部6xおよび主連動機構6yの作用により、特別な操作を要することなく、カバー部100が開かれたときにトナー90が飛散することが防止される。
【0052】
また、被装着部6は、4つのホルダー66を備える。4つのホルダー66は、支持板60に形成された4つの円形の支持孔60aに挿入された状態で、支持板60によって回転可能に支持されている。回転出力部6z各々は、ホルダー66各々によって回転可能に支持されている。
【0053】
また、回転出力部6z各々は、不図示の駆動装置によって回転駆動される。ホルダー66各々は、連結部材67によって主連動機構6yと連結されており、カバー100の閉動作に連動してトナーコンテナー5に近づく方向へ変位する。このとき、回転出力部6z各々は、ホルダー66各々とともにトナーコンテナー5に近づく方向へ変位し、トナーコンテナー5各々の回転入力部54と係合する。
【0054】
即ち、回転出力部6z各々は、カバー100の閉動作に連動して、トナーコンテナー5各々の回転入力部54と係合する位置へ変位する。これにより、回転出力部6zから回転入力部54を介して内部回転体53へ回転力が伝達される。前記駆動装置は、不図示のモーターおよびギヤ機構を含む。
【0055】
本実施形態において、トナーコンテナー5は、装置本体1内に装着されるユニットの一例である。シャッター51は、前記ユニットが備える被駆動部の一例である。シャッター入力部6xは、前記被駆動部を駆動する外力を受ける駆動入力部の一例である。
【0056】
また、シャッター出力部6xは、装置本体1内に前記ユニットの前記駆動入力部に対応して設けられた駆動出力部の一例である。シャッター出力部6xの前記開位置は予め定められた第1出力位置の一例であり、シャッター出力部6xの前記閉位置は予め定められた第2出力位置の一例である。
【0057】
ところで、画像形成装置10が運搬される場合のように、カバー部100の動作に対する前記駆動出力部の連動を解除できることが望ましい特定の場合がある。
【0058】
例えば、シャッター51を駆動するためのシャッター出力部6xの動作をカバー部100の動作に連動させる機構が、所定の操作に応じてカバー部100とシャッター出力部6xとの連動の解除と有効化とを切り替える機構を備えることが考えられる。これにより、シャッター51およびカバー部100の両方が閉じた状態で、前記画像形成装置を運搬することが可能になる。
【0059】
一方、後述するように、画像形成装置10は、カバー部100の閉状態を検出する物体センサー70を備える(
図10参照)。そして、制御装置11は、物体センサー70によって前記閉状態が検出されていない場合に前記プリント処理を禁止するインターロック制御を行う。前記インターロック制御により、装置本体1内の駆動部が、主開口1aを通じて露出したまま動作する危険が回避される。さらに、カバー部100が開かれたままプリント装置4が動作することに起因してトナー90が主開口1aから飛散することが防止される。
【0060】
しかしなら、カバー部100とシャッター出力部6xとの連動が解除された状況下でカバー部100が閉じられた場合、通常の前記インターロック制御は機能しない。この場合、トナーコンテナー5が正常に動作できない状態で、前記プリント処理が開始されるおそれがある。
【0061】
また、カバー部100とシャッター出力部6xとの連動が解除された状態を検出するための専用のセンサーを追加することは、コスト面において好ましくない。
【0062】
画像形成装置10の被装着部6は、センサーの追加を要することなく、トナーコンテナー5のシャッター入力部52に外力を付与するシャッター出力部6xとカバー部100との連動が解除されたままで前記プリント処理が開始されることを回避する構造を備える。以下、その構造について説明する。
【0063】
図2~7に示されるように、被装着部6は、支持板60と、4つのトナーコンテナー5に対応する4つのシャッター出力部6xと、主連動機構6yとを備える。さらに、被装着部6は、仮留め部材65も備える(
図9参照)。
【0064】
支持板60は、装置本体1内における4つのトナーコンテナー5が配置される空間の横に起立して配置され、主連動機構6yを構成する機器を支持する。
【0065】
前述したように、シャッター出力部6xは、トナーコンテナー5に対応して設けられ、トナーコンテナー5のシャッター入力部52と係合する。シャッター出力部6xは、前記開位置と前記閉位置との間で変位可能に支持されている。
【0066】
本実施形態において、主連動機構6yは、第1ピニオンギヤ61と、ラックギヤセット62と、4つのトナーコンテナー5に対応する4つの第2ピニオンギヤ63と、補助連動機構64とを備える。
【0067】
ラックギヤセット62は、第1ラックギヤ621および第2ラックギヤ622を含む。補助連動機構64は、第2ラックギヤ622とともにユニット化された係合部材641および係合バネ642を備える。係合バネ642は、係合部材641に弾性力を付与する。係合バネ642は、係合弾性部材の一例である。
【0068】
第1ピニオンギヤ61は、円弧状のギヤ歯を有する。第1ピニオンギヤ61は、回動可能に支持されたカバー部100の回動軸101と一体に構成されている。従って、第1ピニオンギヤ61は、回動軸101に連動し、回動軸101を中心とする円弧に沿って揺動する。
【0069】
第1ラックギヤ621は、支持板60によって変位可能に支持されている。第1ラックギヤ621は、第1ピニオンギヤ61と噛み合い、第1ピニオンギヤ61に連動して直線方向に変位する。
【0070】
第2ラックギヤ622は、第1ラックギヤ621の変位方向に沿って配置されている。換言すれば、第2ラックギヤ622は、第1ラックギヤ621の長手方向の延長線上に、または、第1ラックギヤ621に対して平行に配置されている。
【0071】
第2ラックギヤ622は、支持板60によって予め定められた第1中継位置と第2中継位置との間で変位可能に支持されている。
図2,4,6は、第2ラックギヤ622が前記第1中継位置に存在する状態を示し、
図3,5,7,10,11は、第2ラックギヤ622が前記第2中継位置に存在する状態を示す。第2ラックギヤ622は、第1変位部材の一例である。
【0072】
4つの第2ピニオンギヤ63は、円弧状のギヤ歯を有し、それぞれ支持板60によって回転可能に支持されたギヤ軸630と一体に形成されている(
図2参照)。これにより、第2ピニオンギヤ63各々は、ギヤ軸630を中心とする円弧に沿って揺動可能である。
【0073】
4つの第2ピニオンギヤ63は、1つの第2ラックギヤ622と噛み合う。従って、4つの第2ピニオンギヤ63は、第2ラックギヤ622に連動して揺動する。
【0074】
第2ピニオンギヤ63各々は、シャッター出力部6x各々と一体に構成されている(
図4~7参照)。4つの第2ピニオンギヤ63は、第2ラックギヤ622に連動することにより、4つのシャッター出力部6xをそれぞれ前記開位置および前記閉位置の間で変位させる。
【0075】
係合部材641は、支持板60に支持された揺動軸6410によって揺動可能に支持されている。係合部材641は、カバー部100の閉動作に連動する第1ラックギヤ621の被係合部621bと係合する突起部641aを有する。
【0076】
係合部材641は、係合姿勢と解除姿勢との間で揺動可能に支持されている。係合部材641が前記係合姿勢である場合、第1ラックギヤ621がカバー部100の閉動作に連動するときに係合部材641の突起部641aが被係合部621bと係合する。係合部材641が前記解除姿勢である場合、突起部641aは被係合部621bと係合しない位置に保持される。
【0077】
即ち、係合部材641が前記係合姿勢であるときに、突起部641aは、第1ラックギヤ621がカバー部100の閉動作によって変位するときの被係合部621bの移動経路内に位置する。一方、係合部材641が前記解除姿勢であるときに、突起部641aは、第1ラックギヤ621がカバー部100の閉動作によって変位するときの被係合部621bの移動経路外に位置する。
【0078】
係合バネ642は、弾性力によって係合部材641を前記係合姿勢に保持する。即ち、係合バネ642は、係合部材641に対し前記解除姿勢から前記係合姿勢へ向かう方向へ弾性付勢する。
【0079】
図2~5は、係合部材641が前記係合姿勢である状態を示し、
図10,11は、係合部材641が前記解除姿勢である状態を示す。
【0080】
カバー部100の開動作に連動する第1ラックギヤ621は、その一端621aが第2ラックギヤ622の一端622aに当接することによって第2ラックギヤ622を前記第2中継位置へ変位させる。さらに、第2ラックギヤ622の前記第2中継位置への変位に連動して、シャッター出力部6xが前記開位置から前記閉位置へ変位する(
図3,5,7参照)。これにより、4つのトナーコンテナー5のシャッター51が閉じる。
【0081】
また、係合部材641が前記係合姿勢である場合に、カバー部100の閉動作に連動する第1ラックギヤ621は、突起部641aが被係合部621bと係合することにより第2ラックギヤ622を前記第1中継位置へ変位させる。さらに、第2ラックギヤ622の前記第1中継位置への変位に連動して、シャッター出力部6xが前記閉位置から前記開位置へ変位する(
図2,4,6参照)。これにより、4つのトナーコンテナー5のシャッター51が開く。
【0082】
仮留め部材65は、支持板60に着脱可能な部材である。仮留め部材65は、画像形成装置10が運搬されるなどの特定の場合にのみ支持板60に取り付けられ、画像形成装置10が利用される前に支持板60から取り外される。例えば、仮留め部材65は、画像形成装置10が出荷される前に支持板60に取り付けられる。
【0083】
図9に示されるように、仮留め部材65は、第1突起65a、第2突起65bおよび取手部65cを有する。第1突起65aおよび第2突起65bは支持板60の一部を把持する部分である。
【0084】
第1突起65aおよび第2突起65bは、支持板60における予め定められた位置に押し付けられることにより、支持板60の特定の部位を把持する。これにより、仮留め部材65が支持板60に装着される。また、取手部65cが引っ張られることにより、仮留め部材65が支持板60から取り外される。
【0085】
図10,11に示されるように、仮留め部材65が支持板60に装着された状態において、第1突起65aが、係合バネ642の弾性力に抗して係合部材641を前記解除姿勢に係止する。
【0086】
具体的には、係合部材641の被係止部641bが、支持板60に装着された仮留め部材65の第1突起65aによって係止される。これにより、係合部材641が前記解除姿勢に保持される。
【0087】
一方、仮留め部材65が支持板60から取り外されることにより、第1突起65aによる係合部材641の係止が解除される。この場合、係合部材641は、係合バネ642の弾性力によって前記係合姿勢に保持される。
【0088】
図10に示されるように、係合部材641が前記解除姿勢に保持された状態でカバー部100が閉じられた場合、第1ラックギヤ621がカバー部100の閉動作に連動するが、第2ラックギヤ622および4つの第2ピニオンギヤ63は連動しない。これにより、4つシャッター出力部6xが前記閉位置に保持され、4つのトナーコンテナー5のシャッター51が閉じた状態に保持される。
【0089】
図5,11に示されるように、カバー部100が開かれた場合、係合部材641の姿勢に関わらず、カバー部100の閉動作に連動する第1ラックギヤ621の一端621aが第2ラックギヤ622の一端622aに当接する。これにより、4つシャッター出力部6xが前記閉位置に保持され、4つのトナーコンテナー5のシャッター51が閉じた状態に保持される。
【0090】
以上に示されるように、補助連動機構64は、仮留め部材65が装着されていないときに、カバー部100の閉動作に連動する第1ラックギヤ621の変位に第2ラックギヤ622を連動させる。
【0091】
また、補助連動機構64は、仮留め部材65が装着されているときに、カバー部100の閉動作に連動する第1ラックギヤ621の変位に対する第2ラックギヤ622の連動を解除する。
【0092】
主連動機構6yにおいて、第1ピニオンギヤ61、ラックギヤセット62、補助連動機構64および仮留め部材65は、第1連動機構を構成する。前記第1連動機構は、カバー部100の開動作に連動して第2ラックギヤ622を前記第2中継位置へ変位させ、カバー部100の閉動作に連動して第2ラックギヤ622を前記第1中継位置へ変位させる。
【0093】
また、主連動機構6yにおいて、第2ピニオンギヤ63は第2連動機構を構成する。前記第2連動機構は、第2ラックギヤ622の前記第2中継位置への変位に連動してシャッター出力部6xを前記閉位置へ変位させ、第2ラックギヤ622の前記第1中継位置への変位に連動してシャッター出力部6xを前記開位置へ変位させる。
【0094】
また、主連動機構6yにおいて、補助連動機構64および仮留め部材65は、主連動機構6yの連動の状態を切り替える切替機構の一例である。前記切替機構は、カバー部100の閉動作に対するシャッター出力部6xの連動を、予め定められた解除操作に応じて解除し、予め定められた有効化操作に応じて有効にする機構である。
【0095】
主連動機構6yにおいて、前記解除操作は、被装着部6の支持板60に仮留め部材65を取り付ける操作である。また、前記有効化操作は、支持板60から仮留め部材65を取り外す操作である。
【0096】
従って、主連動機構6yは、仮留め部材65が装着されてない場合に、カバー部100の開閉動作に対してシャッター出力部6xを連動させることにより、カバー部100が閉じたときにシャッター出力部6xを前記開位置へ変位させ、カバー部100が開いたときにシャッター出力部6xを前記閉位置へ変位させる。
【0097】
一方、主連動機構6yは、仮留め部材65が装着されている場合に、カバー部100の開閉動作に対するシャッター出力部6xの連動を解除することにより、シャッター出力部6xを前記閉位置に保持する。
【0098】
従って、画像形成装置10が運搬されるなどの特定の場合に、仮留め部材65が支持板60に装着されるだけで、カバー部100が閉じられたままでトナー90の漏れを防止することが可能である。仮留め部材65の装着はごく簡易な作業である。
【0099】
また、カバー部100が開かれた場合、特別な操作を要することなくトナーコンテナー5のシャッター51が閉じられ、トナー90の漏れが防止される。
【0100】
なお、トナーコンテナー5の送出口50aが、粘着シールなどの閉塞部材で塞がれる場合、前記閉塞部材の取り付けおよび取り外しの作業は、トナーコンテナー5を装置本体1から取り外す操作を伴う煩雑な作業である。
【0101】
また、前記閉塞部材が取り外された後に前記特定の場合が生じた場合、前記閉塞部材が再び取り付けられる際にトナー漏れの問題が生じる。
【0102】
また、本実施形態のように画像形成装置10がカラープリント可能な装置である場合、複数のトナーコンテナー5に対する前記閉塞部材の取り付けおよび取り外しの作業はより煩雑である。
【0103】
一方、画像形成装置10は、以上に示されるように、前記特定の場合に、煩雑な作業を要することなくトナーコンテナー5からのトナー90の漏れを防止できる構造を備える。
【0104】
また、画像形成装置10は、カバー状態検出機構7をさらに備える(
図4,5,10,11参照)。カバー状態検出機構7は、カバー部100が開状態であるか閉状態であるかを検出する。
【0105】
カバー状態検出機構7は、物体センサー70、検出対象部材71および復帰バネ72を備える。復帰バネ72は、復帰弾性部材の一例である。
【0106】
物体センサー70は、装置本体1内に配置され、予め定められた検出位置に存在する物体を検出する。例えば、リミットスイッチなどの接触式センサーが、物体センサー70として採用されることが考えられる。また、フォトセンサーなどの非接触式センサーが、物体センサー70として採用されてもよい。
【0107】
検出対象部材71は、装置本体1内で変位可能に支持されている。具体的には、検出対象部材71は、支持板60に固定された支持軸710によって上下に変位可能、かつ、支持軸710を中心に揺動可能に支持されている。
【0108】
検出対象部材71は、第1接触部71a、第2接触部71bおよび被検出部71cを有する。本実施形態において、縦長に形成された検出対象部材71の上端部が第1接触部71aであり、検出対象部材71の下端部が第2接触部71bである。
【0109】
第1接触部71aは、カバー部100が閉じられるときにカバー部100に形成された当接部100bに当接される部分である(
図4,10参照)。当接部100bは、カバー部100の内側面から突出して形成されている。
【0110】
第2接触部71bは、カバー部100が開かれるときにカバー部100に連動する第2ラックギヤ622に当接される部分である(
図5,11参照)。
【0111】
被検出部71cは、前記検出位置に進入可能な部分である。物体センサー70は、前記検出位置に進入した被検出部71cを検出する。
【0112】
検出対象部材71は、予め定められた基準位置と作動位置と退避位置との間で変位可能である。
図12は、検出対象部材71が前記基準位置に存在する状態を示し、
図4は、検出対象部材71が前記作動位置に存在する状態を示し、
図5,10,11は、検出対象部材71が前記退避位置に存在する状態を示す。検出対象部材71は、第2変位部材の一例である。
【0113】
検出対象部材71が前記基準位置に存在する状態は、第1接触部71aがカバー部100の当接部100bと接触可能な位置に存在し、かつ、被検出部71cが前記検出位置から外れた位置に存在する状態である(
図12参照)。
【0114】
検出対象部材71が前記作動位置に存在する状態は、被検出部71cが前記検出位置に存在する状態である(
図4参照)。
【0115】
検出対象部材71が前記退避位置に存在する状態は、第1接触部71aがカバー部100の当接部100bと接触できない位置に存在し、かつ、被検出部71cが前記検出位置から外れた位置に存在する状態である(
図5,10,11参照)。
【0116】
復帰バネ72は、検出対象部材71に弾性力を付与することにより、検出対象部材71を前記基準位置に保持する。これにより、検出対象部材71は、当接部100bおよび第2ラックギヤ622のいずれとも接触していないときに、復帰バネ72の弾性力によって前記基準位置に保持される(
図12参照)。
【0117】
カバー部100の当接部100bは、検出対象部材71が前記基準位置に存在する状況下でカバー部100が閉じられるときに、第1接触部71aに当接することにより検出対象部材71を前記基準位置から前記作動位置へ変位させる(
図4参照)。
【0118】
検出対象部材71が前記作動位置へ変位することにより、被検出部71cが前記検出位置に進入し、物体センサー70が被検出部71cを検出する。物体センサー70は、被検出部71cを検出することにより、カバー部100が閉じられていることを検出する。
【0119】
制御装置11は、物体センサー70が前記物体を検出していることを条件に前記プリント処理の実行を許容する。ここで、物体センサー70が検出する前記物体は被検出部71cである。
【0120】
即ち、制御装置11は、カバー部100が閉じられていることを条件にプリント装置4による前記プリント処理の実行を許容する。仮留め部材65が支持板60に装着されていない場合、カバー部100が閉じられていることは、トナーコンテナー5のシャッター51が開いていることを意味する。
【0121】
一方、制御装置11は、物体センサー70が前記物体を検出していないときに前記プリント処理の実行を禁止する。即ち、制御装置11は、カバー部100が開かれている場合に、前記プリント処理の実行要求を受けたときに、プリント装置4に前記プリント処理を実行させない。なお、制御装置11による前記プリント処理に関する制御は、プロセッサー11xにより実行される。
【0122】
仮留め部材65が支持板60に装着されていない場合、カバー部100が開かれていることは、トナーコンテナー5のシャッター51が閉じていることを意味する。即ち、制御装置11は、トナーコンテナー5のシャッター51が閉じているときに、プリント装置4に前記プリント処理を実行させない。
【0123】
第2ラックギヤ622は、検出対象部材71が前記基準位置に存在する状況下でカバー部100の開動作に連動するときに、第2接触部71bに当接することにより検出対象部材71を前記基準位置から前記退避位置へ変位させる(
図5参照)。
【0124】
また、仮留め部材65が支持板60に装着されている場合、第2ラックギヤ622は、カバー部100の開閉動作に連動しない。そのため、第2ラックギヤ622は、カバー部100の状態に関わらず、第2接触部71bに当接する位置に保持される(
図10,11参照)。
【0125】
即ち、仮留め部材65が支持板60に装着されている場合、第2ラックギヤ622が第2接触部71bに当接する状態が維持され、検出対象部材71が前記退避位置に保持される(
図10,11参照)。
【0126】
従って、仮留め部材65が支持板60に装着されている場合、カバー部100が閉じられても当接部100bは第1接触部71aに当接せず、物体センサー70は、被検出部71cを検出しない。
【0127】
即ち、仮留め部材65が支持板60に装着されている場合、カバー部100の開閉に関わらず、制御装置11が前記プリント処理の実行を禁止する状態が維持される。これにより、カバー部100とシャッター出力部6xとの連動が解除された状態のまま前記プリント処理が開始されることが回避される。本実施形態では、トナーコンテナー5のシャッター51が閉じたまま前記プリント処理が開始されることが回避される。
【0128】
なお、画像形成装置10がモノクロ画像形成装置である場合、被装着部6は、1つのトナーコンテナー5のみが装着される構成を備える。この場合、被装着部6は、シャッター出力部6x、第2ピニオンギヤ63、回転出力部6zおよびホルダー66をそれぞれ1つずつ備える。
【0129】
[第1応用例]
次に、画像形成装置10の第1応用例について説明する。
【0130】
本応用例に係る画像形成装置10は、主連動機構6yの仮留め部材65が、支持板60に取り付けられた切替スイッチに置き換えられた構成を備える。例えば、前記切替スイッチが、スライドスイッチであることが考えられる。この場合、前記切替スイッチは、係合部材641の被係止部641bを係止する位置と係合部材641から離隔した位置との間でスライド変位可能である。
【0131】
前記切替スイッチは、当該切替スイッチに対するON操作に応じて、係合バネ642の弾性力に抗して係合部材641を前記解除姿勢に係止する状態になる。また、前記切替スイッチは、当該切替スイッチに対するOFF操作に応じて、係合部材641から離隔した状態になる。
【0132】
本応用例において、補助連動機構64および前記切替スイッチが前記切替機構の一例である。また、前記切替スイッチに対する前記ON操作が前記解除操作の一例であり、前記切替スイッチに対する前記OFF操作が前記有効化操作の一例である。
【0133】
[第2応用例]
次に、画像形成装置10の第2応用例について説明する。
【0134】
本応用例において、主連動機構6yは、カバー部100とシャッター出力部6x以外の駆動出力部とを連動させる機構である。本応用例において、前記駆動出力部が、トナーコンテナー5の回転入力部54に外力を付与する回転出力部6zであることが考えられる。この場合、回転入力部54が前記駆動入力部の一例である。
【0135】
また、本応用例において、主連動機構6yが、プロセスユニットの駆動入力部に対応する前記駆動出力部をカバー部100に連動させる機構であってもよい。前記プロセスユニットは、感光体41および現像ローラー430の一方または両方を含む。前記プロセスユニットの前記駆動入力部は、感光体41および現像ローラー430の一方または両方を駆動する外力を受ける部分である。
【符号の説明】
【0136】
1 :装置本体
1a :主開口
4 :プリント装置
4x :作像装置
5 :トナーコンテナー
6 :被装着部
6x :シャッター出力部
6y :主連動機構
6z :回転出力部
7 :カバー状態検出機構
10 :画像形成装置
11 :制御装置
50 :収容部
50a :送出口
51 :シャッター
52 :シャッター入力部
53 :内部回転体
54 :回転入力部
60 :支持板
61 :第1ピニオンギヤ
62 :ラックギヤセット
63 :第2ピニオンギヤ
64 :補助連動機構
65 :仮留め部材
65a :第1突起
65b :第2突起
65c :取手部
66 :ホルダー
70 :物体センサー
71 :検出対象部材
71a :第1接触部
71b :第2接触部
71c :被検出部
72 :復帰バネ
100 :カバー部
100b :当接部
101 :回動軸
621 :第1ラックギヤ
621b :被係合部
622 :第2ラックギヤ
630 :ギヤ軸
641 :係合部材
641a :突起部
641b :被係止部
642 :係合バネ
710 :支持軸
6410 :揺動軸