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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】増幅回路及び濁度計
(51)【国際特許分類】
   H03G 3/30 20060101AFI20240528BHJP
   H03F 3/08 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
H03G3/30 B
H03F3/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020107257
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022002384
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】客野 智彦
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-78417(JP,U)
【文献】特開平5-110370(JP,A)
【文献】特公昭63-13572(JP,B2)
【文献】特開2012-147219(JP,A)
【文献】実開昭56-169614(JP,U)
【文献】米国特許第5955919(US,A)
【文献】米国特許第6710731(US,B1)
【文献】国際公開第2009/125508(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/00-3/72
H03G3/00-3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力端子及び第2入力端子と1つの出力端子とを有する演算増幅器と、
前記出力端子に電気的に接続され、前記出力端子と接地との間の電位差を分圧した電位を出力する複数の分圧端子を有する分圧抵抗器と、
前記複数の分圧端子のいずれか1つと前記第1入力端子とに電気的に接続可能な帰還抵抗器と
を備えた増幅回路であって、
前記分圧抵抗器は、互いに直列に接続された複数の第1抵抗器と、複数の第1スイッチを備え、
前記帰還抵抗器は、一端が前記第1入力端子に電気的に接続する複数の第2抵抗器であって、各々が互いに並列に接続された複数の第2抵抗器と、第2スイッチとを備え、
前記複数の第1スイッチの各々は、第1端子と2つの第2端子とを備え、当該第1スイッチにおいて、前記第1端子と電気的に接続する端子を、前記2つの第2端子のいずれかの端子の中から切り替え可能に構成され、
前記複数の第1スイッチは、各ノードが持つ下位階層に属するノードである子ノードの個数が2以下である二分木の、前記子ノードを持たない末端のノードである葉ノードを除いた各ノードを構成するように互いに電気的に接続し、
前記複数の第1抵抗器の各端子は、前記二分木の前記葉ノードを構成し、
前記二分木において、前記複数の第1スイッチのうち、最上位階層に属するノードである根ノードに当たる前記第1スイッチは、前記帰還抵抗器の前記第2スイッチと前記第1端子により接続するとともに、前記子ノードに当たる前記第1スイッチ又は前記第1抵抗器の端子と前記第2端子により接続し、
前記二分木において、前記複数の第1スイッチのうち、前記根ノード以外のノードに当たる前記第1スイッチは、当該第1スイッチに当たるノードを下位階層に持つノードである親ノードに当たる前記第1スイッチと前記第1端子により接続するとともに、前記子ノードに当たる前記第1スイッチ又は前記第1抵抗器の端子と前記2つの第2端子により接続し、
前記第2スイッチは、第3端子と複数の第4端子とを備え、当該第2スイッチにおいて、前記第3端子と電気的に接続する端子として、前記複数の第4端子のいずれかの端子を切り替え可能に構成され、
前記第3端子は、前記二分木の前記根ノードに当たる前記第1スイッチの前記第1端子と電気的に接続し、
前記複数の第4端子は、前記複数の第2抵抗器の端子に接続する
増幅回路。
【請求項2】
第1入力端子及び第2入力端子と1つの出力端子とを有する演算増幅器と、
前記出力端子に電気的に接続され、前記出力端子と接地との間の電位差を分圧した電位を出力する複数の分圧端子を有する分圧抵抗器と、
前記複数の分圧端子のいずれか1つと前記第1入力端子とに電気的に接続可能な帰還抵抗器と
を備えた増幅回路であって、
前記分圧抵抗器は、互いに並列に接続された複数の第1抵抗器と、複数の第1スイッチと、第2スイッチとを備え、
前記帰還抵抗器は、一端が前記第1入力端子に電気的に接続する複数の第2抵抗器であって、各々が互いに並列に接続された複数の第2抵抗器と、第3スイッチとを備え、
前記複数の第1スイッチの各々は、第1端子と2つの第2端子とを備え、当該第1スイッチにおいて、前記第1端子と電気的に接続する端子を、前記2つの第2端子のいずれかの端子の中から切り替え可能に構成され、
前記複数の第1スイッチは、各ノードが持つ下位階層に属するノードである子ノードの個数が2以下である二分木の、前記子ノードを持たない末端のノードである葉ノードを除いた各ノードを構成するように互いに電気的に接続し、
前記複数の第1抵抗器の一方の端子は、前記二分木の前記葉ノードを構成し、
前記二分木において、前記複数の第1スイッチのうち、最上位階層に属するノードである根ノードに当たる前記第1スイッチは、前記演算増幅器の前記出力端子と前記第1端子により接続するとともに、前記子ノードに当たる前記第1スイッチ又は前記第1抵抗器の端子と前記2つの第2端子のいずれかにより接続し、
前記二分木において、前記複数の第1スイッチのうち、前記根ノード以外のノードに当たる前記第1スイッチは、当該第1スイッチに当たるノードを下位階層に持つノードである親ノードに当たる前記第1スイッチと前記第1端子により接続するとともに、前記子ノードに当たる前記第1スイッチ又は前記第1抵抗器の端子と前記2つの第2端子により接続し、
前記第2スイッチは、第3端子と2つの第4端子とを備え、当該第2スイッチにおいて、前記第3端子と電気的に接続する端子を、前記2つの第4端子のいずれかの端子の中から切り替え可能に構成され、
前記第2スイッチは、前記帰還抵抗器の前記第3スイッチと前記第3端子により接続するとともに、前記複数の第1抵抗器のいずれか1つの両端子と前記第4端子により接続し、
前記第3スイッチは、第5端子と複数の第6端子とを備え、当該第3スイッチにおいて、前記第5端子と電気的に接続する端子として、前記複数の第6端子のいずれかの端子を切り替え可能に構成され、
前記第5端子は、前記分圧抵抗器の前記第2スイッチの前記第3端子と電気的に接続し、
前記複数の第6端子は、前記複数の第2抵抗器の端子に接続する
増幅回路。
【請求項3】
光を放射する発光源と、前記発光源から放射され、被測定物を通過した前記光を光電変換して、光量に応じた電気信号を出力するフォトダイオードと、を備えた濁度計であって、前記フォトダイオードから出力された前記電気信号に基づき前記被測定物の濁度を測定する濁度計において、前記フォトダイオードから出力された前記電気信号を増幅するために用いられる、請求項1又は2に記載の増幅回路。
【請求項4】
光を放射する発光源と、
前記発光源から放射され、被測定物を通過した前記光を光電変換して、光量に応じた電気信号を出力するフォトダイオードと、
前記フォトダイオードから出力された前記電気信号を増幅する、請求項1又は2に記載の増幅回路と
を備える濁度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は増幅回路及び濁度計に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトダイオードが光電変換して出力した電気信号を増幅器により増幅することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-196877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
濁度計のような装置においては、発光源から放射された光が被測定物である液体を通過し、フォトダイオードがその光を光電変換して光量に応じた電気信号を出力する。フォトダイオードから出力される電流は、例えば、10pA(ピコアンペア、1pA=10-12A)程度から1mA(ミリアンペア、1mA=10-3A)程度までのような、極めて大きなダイナミックレンジを有することが一般的である。
【0005】
このような幅広いダイナミックレンジに適応するために、フォトダイオードから出力された電気信号を増幅する従来の構成においては、回路構造が複雑で大規模なものになり、高価な部品を多数用いる必要があった。
【0006】
本開示は、上述の点に鑑みてなされたものであり、単純な構造でダイナミックレンジを大きくできる増幅回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施形態に係る増幅回路は、2つの入力端子と1つの出力端子とを有する演算増幅器と、前記出力端子に電気的に接続され、前記出力端子の電位を分圧した電位を出力する分圧端子を有する分圧抵抗器と、前記分圧端子と前記入力端子の一方とに電気的に接続した帰還抵抗器とを備え、前記分圧抵抗器は、複数の抵抗器及びスイッチを備え、前記スイッチは、前記複数の抵抗器の複数の端子の中から、前記分圧端子にあたる端子を切り替え可能に構成される。このように、スイッチにより分圧抵抗器の抵抗を可変とすることで、ダイナミックレンジが大きく安価で単純な構造の増幅回路が提供される。
【0008】
一実施形態に係る増幅回路において、前記分圧抵抗器は複数の前記スイッチを備え、前記複数のスイッチの少なくとも一つは、前記複数のスイッチのうちの他のスイッチと他の回路要素とを切り替え可能である。このようにすることで、より少ない個数のスイッチにより、分圧抵抗器の抵抗を多数種類の値に切り替えることができる。
【0009】
一実施形態に係る増幅回路において、前記分圧抵抗器が備える前記複数の抵抗器のうちの少なくとも2つの抵抗器は直列に接続し、前記複数のスイッチは、前記少なくとも2つの抵抗器の接続端子の中から、前記分圧端子にあたる端子を切り替え可能である。例えば、前記分圧抵抗器が備える全ての前記複数の抵抗器は直列に接続する。このようにすることで、直列に接続する少なくとも2つの抵抗器の抵抗に応じて、分圧抵抗器の抵抗を切り替え可能である。
【0010】
一実施形態に係る増幅回路において、前記帰還抵抗器は、複数の抵抗器と、前記帰還抵抗器の抵抗を切り替え可能なスイッチとを備える。例えば、前記帰還抵抗器が備える複数の抵抗器は並列に接続する。このようにすることで、増幅回路の利得のダイナミックレンジを大きくするために必要となる高抵抗の抵抗器の個数を抑えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、単純な構造でダイナミックレンジを大きくできる増幅回路が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態に係る増幅回路の構成例を示す図である。
図2図1の増幅回路におけるスイッチの切替内容に応じた利得の例を示す図である。
図3】他の実施形態に係る増幅回路の構成例を示す図である。
図4図3の増幅回路におけるスイッチの切替内容に応じた利得の例を示す図である。
図5】さらに他の実施形態に係る増幅回路の構成例を示す図である。
図6図5の増幅回路におけるスイッチの切替内容に応じた利得の例を示す図である。
図7】比較例に係るトランスインピーダンスアンプの回路構成を示す図である。
図8図7のトランスインピーダンスアンプにおいて、帰還抵抗を切り替えることにより利得を切り替えるための回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図7は、比較例に係るトランスインピーダンスアンプ(TIA)回路900の回路構成を示す図である。図7の例では、演算増幅器(オペアンプ:Operational Amplifier)U1の非反転入力端子(+入力端子)が接地し、演算増幅器U1の反転入力端子(-入力端子)がフォトダイオードPDのカソード側に接続している。図7では、フォトダイオードPDは、電流I1を出力する電流源として表されている。PDは、Photo Diodeの略称である。
【0014】
演算増幅器U1の出力端子は、抵抗器Rbの一端に接続する。抵抗器Rbの他端は、抵抗器Raの一端に接続するとともに、抵抗器Rcの一端に接続する。抵抗器Rcの他端は演算増幅器U1の反転入力端子に接続し、演算増幅器U1の負帰還回路を構成する。抵抗器Raの他端は接地する。以下、抵抗器Rb及び抵抗器Raは、まとめて「分圧抵抗」とも称される。抵抗器Rcは、「帰還抵抗」とも称される。
【0015】
図7に示すように、演算増幅器U1の出力端子の電位はVoutである。演算増幅器U1の反転入力端子の電位はViである。図7のような負帰還回路においては、帰還信号が入力信号に追従し、定常状態では入力信号と帰還信号があたかもショート(短絡)したかのような、いわゆるイマジナリーショートの状態となる。イマジナリーショートの状態では、演算増幅器U1の反転入力端子の電位Viと非反転入力端子の電位(接地により0)との電位差は0となるため、Vi=0となる。
【0016】
イマジナリーショートの状態では、演算増幅器U1の反転入力端子における電流の入出力は0である。そのため、演算増幅器U1の出力端子側から反転入力端子側へ向けて帰還抵抗器Rcを流れる電流I3は、フォトダイオードPDで生成される電流Iinと等しい(Iin=I3)。したがって、抵抗器Rbと抵抗器Raとの間の接続端子における電位V1はRc×I3=Rc×Iinである。
【0017】
演算増幅器U1の出力端子の電位Voutは、出力端子から抵抗器Rbへ流れる電流I2、抵抗器Rb、及び前述のV1により、Vout=V1+Rb×I2という式で表される。前述のように、V1=Rc×Iinという式と、I2=I1+I3=I1+Iinという式とが成立するから、Vout=Rc×Iin+Rb×(I1+Iin)という式が成立する。さらに、I1=V1/Raという式が成立する。前述のようにV1=Rc×Iinという式が成立するから、以下の式が成立する。
Vout=Rc×Iin+Rb×(V1/Ra+Iin)
=Rc×Iin+Rb×(Rc/Ra×Iin+Iin)
=Iin×(Rc×(1+Rb/Ra)+Rb)
したがって、TIA回路900の利得(Gain)は、以下の式(1)で表される。
Gain=Rc×(1+Rb/Ra)+Rb (1)
例えば、Ra=100Ω、Rb=900Ω、Rc=1MΩ(メガオーム、1MΩ=106Ω)の場合、TIA回路900の利得は、以下の数式で示されるように算出される。
Gain=1×106×(1+900/100)+900
=107+900
=10,000,900
【0018】
図8は、フォトダイオードPDの出力のダイナミックレンジが広いことに鑑み、図7のTIA回路において帰還抵抗器Rcをスイッチにより切り替え可能とした比較例に係る増幅回路920の構成を示す図である。図8において、抵抗器R1~R8はそれぞれ対応するスイッチS1~S8に直列に接続し、それぞれ直列に接続した抵抗及びスイッチの8つの組が並列に接続して、図7のTIA回路900の帰還抵抗器Rcに相当する役割を担う。増幅回路920には分圧抵抗器Ra及びRbに相当する構成は存在しない。増幅回路920では、R1は10GΩ(ギガオーム、1GΩ=109Ω)である。R2は1GΩである。R3は100MΩである。R4は10MΩである。R5は1MΩである。R6は100kΩ(キロオーム、1kΩ=103Ω)である。R7は10kΩである。R8は1kΩである。フォトダイオードPDから入力する電流の大きさに応じて、R1~R8のいずれか一つに対応するスイッチのみがオンに設定され、その抵抗は帰還抵抗器Rcとして機能する。増幅回路920の利得は、オンに設定されたスイッチに直列に接続された抵抗の値となる。
【0019】
ここで、例えば、出力電流の大きさに関わらず、演算増幅器U1の出力端子の電位Voutを1V程度にするための動作が説明される。そのためには、入力電流が100pA程度のときは、スイッチS1のみをONにし、それ以外のスイッチはOFFにすればよい。入力電流が1nA(ナノアンペア、1nA=10-9A)程度のときは、スイッチS2のみをONにし、それ以外のスイッチはOFFにすればよい。入力電流が10nA程度のときは、スイッチS3のみをONにし、それ以外のスイッチはOFFにすればよい。入力電流が100nA程度のときは、スイッチS4のみをONにし、それ以外のスイッチはOFFにすればよい。入力電流が1μA(マイクロアンペア、1μA=10-6A)程度のときは、スイッチS5のみをONにし、それ以外のスイッチはOFFにすればよい。入力電流が10μA程度のときは、スイッチS6のみをONにし、それ以外のスイッチはOFFにすればよい。入力電流が100μA程度のときは、スイッチS7のみをONにし、それ以外のスイッチはOFFにすればよい。入力電流が1mA程度のときは、スイッチS8のみをONにし、それ以外のスイッチはOFFにすればよい。このように、入力電流の大きさに応じて適宜スイッチS1~S8のON/OFFを切り替えることで、入力電流の広範囲なダイナミックレンジに対応することができる。
【0020】
しかし、抵抗値が10MΩを超える大きさの抵抗器は市場流通性が乏しく、一般に非常に高価である。特に高精度測定が要求される機器では、高精度抵抗器が必要となり更に高価な部品が要求される。また、アナログスイッチはリーク電流を流出することが一般的であるところ、図7のように複数のスイッチS1~S8を並列に接続すると、スイッチS1~S8において発生したリーク電流が積み重なって大きな誤差電流となってしまう。100pAのような微小な電流を高精度で測定するには、アナログスイッチからのリーク電流をpAクラスの極めて小さなレベルに制限する必要がある。このようなアナログスイッチも一般に高価である。さらに、アナログスイッチの各々について制御信号線を1本設けることが必要になるため、アナログスイッチの増大に応じて回路構成が複雑になる。
【0021】
そこで、本開示においては、抵抗が10MΩを超える大きさの抵抗器、又は、リーク電流を流出し信号線の設置が必要となるアナログスイッチの個数を削減することが可能なダイナミックレンジが大きな増幅回路の構成を説明する。
【0022】
(本開示の実施形態)
図1は、本開示の一実施形態に係る増幅回路100の構成例を示す図である。増幅回路100は、分圧抵抗器、帰還抵抗器、演算増幅器U1、及びフォトダイオードPDを備える。演算増幅器U1は、2つの入力端子と1つの出力端子とを有する。分圧抵抗器は、演算増幅器U1の出力端子と接地端子との間に電気的に接続され、出力端子の電位を分圧した電位を出力する分圧端子を有する。図1の増幅回路100において、分圧抵抗器は、抵抗器R4、抵抗器R5、抵抗器R6、抵抗器R7、スイッチS2、スイッチS3、及びスイッチS4を備える。帰還抵抗器は、分圧端子と演算増幅器U1の入力端子の一方とに電気的に接続する。図1の増幅回路100において、帰還抵抗器は、抵抗器R1、抵抗器R2、及びスイッチS1を備える。
【0023】
抵抗器R1は10MΩである。抵抗器R2は1kΩである。抵抗器R4は900Ωである。抵抗器R5は90Ωである。抵抗器R6は9Ωである。抵抗器R7は1Ωである。抵抗器R1及びR2は並列に設けられ、いずれも一端が演算増幅器U1の反転入力端子に接続し、他端がスイッチS1に接続している。スイッチS1は一端がスイッチS2にしており、スイッチS1の切替え動作により、抵抗器R1又は抵抗器R2をスイッチS2に接続する。スイッチS1の切替えにより、抵抗器R1又はR2は、前述の帰還抵抗器として動作する。以下、スイッチS1の切替えにより選択される帰還抵抗器は「Rc」により示される。なお、ここに述べた抵抗器R1、R2、及びR4~R7の抵抗値は一例であり、他の値でも構わない。
【0024】
抵抗器R4、抵抗器R5、抵抗器R6、及び抵抗器R7はこの順に直列に接続する。抵抗器R4の抵抗器R5に接続していない一端は演算増幅器U1の出力端子に接続する。抵抗器R7の抵抗器R6に接続していない一端は接地する。
【0025】
前述のスイッチS2は一端がスイッチS1に接続しており、スイッチS2の切替え動作により、スイッチS4又はS3がスイッチS1に接続する。スイッチS4は一端がスイッチS2に接続しており、スイッチS4の切替え動作により、抵抗器R4のいずれか一方の端子がスイッチS2に接続する。スイッチS3は一端がスイッチS2に接続しており、スイッチS3の切替え動作により、抵抗器R6のいずれか一方の端子がスイッチS2に接続する。このように、スイッチS2、S3、及びS4の切替えにより、演算増幅器U1と抵抗器R4の間の接続端子、抵抗器R4とR5の間の接続端子、抵抗器R5とR6の間の接続端子、及び抵抗器R6とR7の間の接続端子のいずれかと、スイッチS1とが電気的に直接接続する。すなわち、一連の抵抗器R4~R7は、スイッチS2~S4の切替え動作に応じて、スイッチS1が演算増幅器U1の出力端子に直接接続する場合を除き、スイッチS1と直接接続する抵抗間の接点により二分され、前述の分圧抵抗器として動作する。以下、スイッチS2、S3、及びS4の切替えにより選択される分圧端子と接地端子との間の抵抗は「Ra」により示される。分圧端子と演算増幅器U1の出力端子との間の抵抗は「Rb」により示される。
【0026】
図2は、図1の増幅回路100における、スイッチS1、S2、S3、及びS4の切り替え内容と、帰還抵抗器Rc、分圧抵抗器Ra及びRb、並びに利得との対応関係を示す図である。例えば、レンジ(Range)が「1」においては、スイッチS1は「B」に設定されているため、スイッチS1を介してスイッチS2と抵抗器R2(=1kΩ)とが接続し、Rc=1,000Ωとなる。スイッチS2は「A」に設定されている。スイッチS4は「A」に設定されている。そのため、スイッチS3の設定内容にかかわらず、分圧抵抗器のうちRaは1,000Ω(=R4+R5+R6+R7)となり、Rbは0Ωとなる。よって、利得は1,000である。
【0027】
また、例えば、レンジ(Range)が「7」においては、スイッチS1は「A」に設定されているため、スイッチS1を介してスイッチS2と抵抗器R1(=10MΩ)とが接続され、Rc=10,000,000Ωとなる。スイッチS2は「B」に設定されている。スイッチS3は「A」に設定されている。そのため、スイッチS4の設定内容にかかわらず、分圧抵抗のうちRaは10Ω(=R6+R7)となり、Rbは990Ω(=R4+R5)となる。よって、利得は1,000,000,990である。
【0028】
図2に示すように、増幅回路100の利得は、スイッチS1、S2、S3、及びS4の切り替えにより、1k、10k、100k、1M、10M、100M、1G、及び10Gの幅広いダイナミックレンジを8段階で切り替えることができる。図2に示す利得には「900」、「990」、又は「999」の端数を含むものがあるが、これらの端数はキャリブレーションにより補正することができ、利得誤差とはならないようにすることができる。増幅回路100の例では、10MΩの大きさの抵抗器は抵抗器R1の1つのみである。スイッチはS1、S2、S3、及びS4の4つのみである。したがって、増幅回路100は、最小利得から最大利得まで107もの幅広いダイナミックレンジを、少数の高抵抗器及びスイッチにより実現することができる。また、増幅回路100では、同時に通電しうる並列に接続されたスイッチが存在しないため、スイッチにおいて発生したリーク電流が積み重なって大きな誤差電流となることはない。例えば、スイッチS3及びS4はスイッチS2により切り替えられるる。そのため、スイッチS3及びS4が同時に通電してリーク電流が積み重なることはない。したがって、増幅回路100によれば、ダイナミックレンジが大きく安価で単純な構造の増幅回路が提供される。
【0029】
上記のように、増幅回路100は、2つの入力端子と1つの出力端子とを有する演算増幅器U1と、演算増幅器U1の出力端子に電気的に接続され、出力端子の電位を分圧した電位を出力する分圧端子を有する分圧抵抗器と、分圧端子と演算増幅器U1の入力端子の一方とに電気的に接続した帰還抵抗器とを備える。ここで、分圧抵抗器は、複数の抵抗器及びスイッチS2~S4を備える。スイッチS2~S4は、分圧抵抗器の分圧比を変更できるように、複数の抵抗器の複数の端子の中から、分圧端子にあたる端子(抵抗器R4~R7の端子のいずれか)を切り替え可能に構成される。増幅回路100の利得はスイッチS2~S4により切り替え可能である。したがって、増幅回路100によれば、高価な部品の使用を少なくし、回路とその動作制御をシンプルにして、プリント基板の実装面積を小型化することができる。
【0030】
また、増幅回路100において、分圧抵抗器は複数のスイッチS2~S4を備える。ここで、複数のスイッチの少なくとも一つ(例えばスイッチS2)は、複数のスイッチのうちの他のスイッチ(例えばスイッチS3)と他の回路要素(例えばスイッチS4)とを切り替え可能である。なお、図1の増幅回路100では、スイッチS2は、スイッチS1に接続するものとして、2つのスイッチS3及びS4を切り替え可能である。しかし、他のスイッチとの間で切替可能な回路要素はスイッチに限られず、抵抗器又は複数の回路素子を接続する端子等でもよい。例えば、後に参照する図3では、スイッチS4は、スイッチS3と抵抗器R5の抵抗器R6に接続しない端子とを切り替えて、演算増幅器U1の出力端子に接続させる。後に参照する図5では、スイッチS2は、スイッチS3と、演算増幅器U1の出力端子を切り替えて、スイッチS1に接続させる。このようにスイッチが他のスイッチを含む構成を切り替えるように構成したことにより、少数のスイッチにより、分圧抵抗器の抵抗を多数種類の値に切り替えることができる。
【0031】
また、分圧抵抗器が備える複数の抵抗器のうちの少なくとも2つの抵抗器は直列に接続する。複数のスイッチは、少なくとも2つの抵抗器の接続端子の中から、分圧端子にあたる端子を切り替え可能である。増幅回路100では、分圧抵抗器が備える全ての複数の抵抗器R3~R7は直列に接続する。したがって、直列に接続する少なくとも2つの抵抗器の抵抗に応じて、分圧抵抗器の抵抗を切り替え可能である。
【0032】
帰還抵抗器は、複数の抵抗器R1及びR2と、帰還抵抗器の抵抗を切り替え可能なスイッチS1とを備える。例えば、増幅回路100のように、帰還抵抗器が備える複数の抵抗器R1、R2は並列に接続してもよい。このため、増幅回路の利得のダイナミックレンジを大きくするために必要となる例えば10MΩの抵抗器の個数を抑えることができる。
【0033】
増幅回路100においては、分圧抵抗器が備える全ての複数の抵抗器は直列に接続するが、このような構成に限られない。図3は、本開示の他の実施形態に係る増幅回路120の構成例を示す図である。増幅回路120は、分圧抵抗器、帰還抵抗器、演算増幅器U1、及びフォトダイオードPDを備える。帰還抵抗器は、抵抗器R1、抵抗器R2、及びスイッチS1を備える。分圧抵抗器は、抵抗器R3、抵抗器R4、抵抗器R5、抵抗器R6、スイッチS2、スイッチS3、及びスイッチS4を備える。図3の抵抗器R1は10MΩである。抵抗器R2は1kΩである。抵抗器R3は900Ωである。抵抗器R4は9.9kΩである。抵抗器R5は99.9kΩである。抵抗器R6は100Ωである。スイッチS1の切替えにより、抵抗器R1又はR2が、前述の帰還抵抗器Rcとして動作する点は増幅回路100と同様である。なお、ここに述べた抵抗器R1~R6の抵抗値は一例であり、他の値でも構わない。
【0034】
図3の抵抗器R3、抵抗器R4、及び抵抗器R5は、いずれも一端が抵抗器R6に接続する。抵抗器R6の抵抗器R3~R5に接続していない一端は接地している。
【0035】
図3のスイッチS2は一端がスイッチS1に接続しており、スイッチS2の切替え動作により、抵抗器R3のいずれか一方の端子がスイッチS1に接続する。スイッチS3は一端がスイッチS4に接続しており、スイッチS3の切替え動作により、抵抗器R3又は抵抗器R4のいずれか一方の抵抗器R6に接続しない端子がスイッチS4に接続する。スイッチS4は一端が演算増幅器U1の出力端子に接続しており、スイッチS4の切替え動作により、スイッチS3又は抵抗器R5の抵抗器R6に接続しない端子が演算増幅器U1の出力端子に接続する。このように、スイッチS2、S3、及びS4の切替えにより、演算増幅器U1の出力端子、抵抗器R3とR6の間の接続端子、抵抗器R4とR6の間の接続端子、抵抗器R5とR6の間の接続端子のいずれかと、スイッチS1とが電気的に直接接続する。すなわち、一連の抵抗器R3~R6は、前述の分圧抵抗器Rb及びRaとして動作する。
【0036】
図4は、図3の増幅回路120における、スイッチS1、S2、S3、及びS4の切り替え内容と、帰還抵抗器Rc、分圧抵抗器Ra及びRb、並びに利得との対応関係を示す図である。例えば、レンジ(Range)が「1」においては、スイッチS1は「B」に設定されているため、スイッチS1を介してスイッチS2と抵抗器R2(=1kΩ)とが接続し、Rc=1,000Ωとなる。スイッチS2は「A」に設定されている。スイッチS3は「B」に設定されている。スイッチS4は「B」に設定されている。そのため、分圧抵抗器のうちRaは1,000Ω(=R3+R6)となり、Rbは0Ωとなる。よって、利得は1,000である。
【0037】
また、例えば、レンジ(Range)が「8」においては、スイッチS1は「A」に設定されているため、スイッチS1を介してスイッチS2と抵抗器R1(=10MΩ)とが接続され、Rc=10,000,000Ωとなる。スイッチS2は「B」に設定されている。スイッチS4は「A」に設定されている。そのため、スイッチS3の設定内容にかかわらず、分圧抵抗のうちRaは100Ω(=R6)となり、Rbは99,900Ω(=R5)となる。よって、利得は10,000,099,900である。
【0038】
図4に示すように、増幅回路120の利得は、スイッチS1、S2、S3、及びS4の切り替えにより、1k、10k、100k、1M、10M、100M、1G、及び10Gの幅広いダイナミックレンジを8段階で切り替えることができる。図4に示す利得には「900」、「9,900」、又は「99,900」等の端数を含むものがあるが、これらの端数はキャリブレーションにより補正することができる。増幅回路120の例でも、10MΩの大きさの抵抗器は抵抗器R1の1つのみである。スイッチはS1、S2、S3、及びS4の4つのみである。したがって、増幅回路120は、最小利得から最大利得まで107もの幅広いダイナミックレンジを、少数の高抵抗器及びスイッチにより実現することができる。また、増幅回路120では、同時に通電しうる並列に接続されたスイッチが存在しないため、スイッチにおいて発生したリーク電流が積み重なって大きな誤差電流となることはない。したがって、増幅回路120によれば、ダイナミックレンジが大きく安価で単純な構造の増幅回路が提供される。
【0039】
図5は、本開示のさらに他の実施形態に係る増幅回路140の構成例を示す図である。増幅回路140は、分圧抵抗器、帰還抵抗器、演算増幅器U1、及びフォトダイオードPDを備える。帰還抵抗器は、抵抗器R1、抵抗器R2、及びスイッチS1を備える。分圧抵抗器は、抵抗器R3、抵抗器R4、抵抗器R5、抵抗器R6、抵抗器R7、スイッチS2、スイッチS3、及びスイッチS4を備える。図5の抵抗器R1は10MΩである。抵抗器R2は1kΩである。抵抗器R3は990Ωである。抵抗器R4は999Ωである。抵抗器R5は110Ωである。抵抗器R6は10Ωである。抵抗器R7は1Ωである。スイッチS1の切替えにより、抵抗器R1又はR2が、前述の帰還抵抗器Rcとして動作する点は増幅回路100及び増幅回路120と同様である。なお、ここに述べた抵抗器R1~R7の抵抗値は一例であり、他の値でも構わない。
【0040】
図5の抵抗器R3及び抵抗器R4は、いずれも一端が演算増幅器U1の出力端子に接続する。演算増幅器U1の出力端子に接続しない抵抗器R3の一端は、スイッチS4に接続する。演算増幅器U1の出力端子に接続しない抵抗器R4の一端は、抵抗器R7に接続する。抵抗器R5及び抵抗器R6はいずれも、一端が演算増幅器U1のスイッチS4に接続し、他端が接地する。抵抗器R7の抵抗器R4に接続していない一端は接地している。
【0041】
図5のスイッチS2は一端がスイッチS1に接続しており、スイッチS2の切替え動作により、演算増幅器U1の出力端子又はスイッチS3がスイッチS1に接続する。スイッチS3は一端がスイッチS2に接続しており、スイッチS3の切替え動作により、抵抗器R3及びスイッチS4の間の接続端子、又は、抵抗器R4及び抵抗器R7の間の接続端子がスイッチS2に接続する。スイッチS4は一端が演算増幅器U1の出力端子に接続しない抵抗器R3の一端に接続しており、スイッチS4の切替え動作により、抵抗器R5又は抵抗器R6が抵抗器R3の一端に接続する。このように、スイッチS2、S3、及びS4の切替えにより、演算増幅器U1の出力端子、抵抗器R3とR5の間の接続端子、抵抗器R3とR6の間の接続端子、抵抗器R4とR7の間の接続端子のいずれかと、スイッチS1とが電気的に直接接続する。すなわち、一連の抵抗器R3~R6は、前述の分圧抵抗器Rb、Raとして動作する。
【0042】
図6は、図5の増幅回路140における、スイッチS1、S2、S3、及びS4の切り替え内容と、増幅回路140の帰還抵抗器Rc、分圧抵抗器Ra及びRb、並びに利得との対応関係を示す図である。例えば、レンジ(Range)が「1」においては、スイッチS1は「B」に設定されているため、スイッチS1を介してスイッチS2と抵抗器R2(=1kΩ)とが接続し、Rc=1,000Ωとなる。スイッチS2は「A」に設定されている。そのため、スイッチS3及びS4の設定内容に応じて、分圧抵抗器のうちRaは変化するものの、Rbは0Ωである。よって、利得は1,000となる。
【0043】
また、例えば、レンジ(Range)が「8」においては、スイッチS1は「A」に設定されているため、スイッチS1を介してスイッチS2と抵抗器R1(=10MΩ)とが接続され、Rc=10,000,000Ωとなる。スイッチS2は「B」に設定されている。スイッチS3は「B」に設定されている。そのため、スイッチS4の設定内容にかかわらず、分圧抵抗のうちRaは1Ω(=R7)となり、Rbは999Ω(=R4)となる。よって、利得は10,000,000,999となる。
【0044】
このように、増幅回路140によっても、ダイナミックレンジが大きく安価で単純な構造の増幅回路が提供される。
【0045】
以上の各構成によれば、スイッチの切り替えにより、最小利得と最大利得との間で107以上のダイナミックレンジを実現することができる。スイッチの切り替えは、例えば、増幅回路の出力電圧をADCによりデジタル信号としてPC等の情報処理装置又は専用器に入力し、電圧値が予め定められた値を超えるか下回った場合に実行されてもよい。具体的には、CPUが増幅回路の出力電圧を常に監視し、仮に上限値を超えた場合は一段利得の低いレンジへの切り替え、下限値を下回った場合は一段利得の高いレンジへと切り替えてもよい。これにより、例えば、本開示の実施形態に係る増幅回路を濁度計のような光量のレンジが大きな装置において適用した場合、サチュレーションなどを起こすことなく最適電圧の範囲内で光量を測定することが可能となる。また、前述の増幅回路によれば、幅広いダイナミックレンジに対応可能であるため、設計が同一の増幅回路をレンジの要求が異なる様々な製品に適用することができる。ADCは、Analog-Digital Converterの略称である。PCは、Personal Computerの略称である。
【0046】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施形態例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
100 増幅回路
120 増幅回路
140 増幅回路
900 トランスインピーダンスアンプ回路
920 増幅回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8