(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 41/33 20180101AFI20240528BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20240528BHJP
F21S 41/43 20180101ALI20240528BHJP
F21S 41/255 20180101ALI20240528BHJP
F21S 41/365 20180101ALI20240528BHJP
F21S 41/47 20180101ALI20240528BHJP
F21S 45/10 20180101ALI20240528BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20240528BHJP
F21W 102/18 20180101ALN20240528BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240528BHJP
【FI】
F21S41/33
F21S41/148
F21S41/43
F21S41/255
F21S41/365
F21S41/47
F21S45/10
F21W102:13
F21W102:18
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020108698
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】武藤 孝志
(72)【発明者】
【氏名】杉江 良裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英治
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-149284(JP,A)
【文献】特開2010-080075(JP,A)
【文献】特開2001-202808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/33
F21S 41/148
F21S 41/43
F21S 41/255
F21S 41/365
F21S 41/47
F21S 45/10
F21W 102/13
F21W 102/18
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、
前記発光部から出射された光を投影するレンズと、
前記発光部から出射された光を前記レンズへ反射する第1の反射面が形成されたリフレクタと、
前記レンズを保持するフレームと、
前記リフレクタの前端部と前記フレームとの間に設けられた開口と、
前記リフレクタの前端部と前記フレームとの間に設けられて前記発光部から出射された光を反射する第1のオーバーヘッドサイン用の反射面が形成され、前記リフレクタの前端部と一体で形成された反射板と、
前記発光部から出射されて前記第1のオーバーヘッドサイン用の反射面で反射された光を前記レンズへ反射する第2のオーバーヘッドサイン用の反射面と、
前記リフレクタの前端部と前記フレームとの間に設けられ
て前記レンズを通して灯具内に入射する外光を反射する第2の反射面
が形成され、前記反射板の前端部と一体で形成された遮光部と、
前記遮光部の非反射面である外面と一体的に形成されたリブと
を備え
、
前記遮光部は、
前記リブと一体的に形成された第1の遮光部と、
前記第1の遮光部と一体的に形成され前記リブから離間した第2の遮光部とを備え、
前記第1の遮光部の後端部から前端部までの長さは、前記第2の遮光部の後端部から前端部までの長さに比して長い車両用灯具。
【請求項2】
発光部と、
前記発光部から出射された光を投影するレンズと、
前記発光部から出射された光を前記レンズへ反射する第1の反射面が形成されたリフレクタと、
前記レンズを保持するフレームと、
前記リフレクタの前端部と前記フレームとの間に設けられた開口と、
前記リフレクタの前端部と前記フレームとの間に設けられて前記発光部から出射された光を反射する第1のオーバーヘッドサイン用の反射面が形成され、前記リフレクタの前端部と一体で形成された反射板と、
前記発光部から出射されて前記第1のオーバーヘッドサイン用の反射面で反射された光を前記レンズへ反射する第2のオーバーヘッドサイン用の反射面と、
前記リフレクタの前端部と前記フレームとの間に設けられ
て前記レンズを通して灯具内に入射する外光を反射する第2の反射面
が形成され、前記反射板の前端部と一体で形成されて前記第1のオーバーヘッドサイン用の反射面より前方に位置する遮光部と
を備え
、
前記遮光部は、反射面が形成された一対の斜め下向きの傾斜面を備えるようにV字状に屈曲され、
前記第2の反射面は、一対の前記傾斜面のうちの前方側の前記傾斜面に形成され、前記遮光部の非反射面である素地の部分に進行する前記外光を反射する車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具として、太陽光が投影レンズにより灯具内で集光されて灯具内の集光部が高温になることへの対策(以下、太陽光対策という)が施されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の車両用灯具は、内面に反射面が形成された主リフレクタと、金属製の付加リフレクタと、樹脂製の配光制御部と、これらを支持する樹脂製のベース部とを備え、主リフレクタからの反射光が付加リフレクタと配光制御部とに入射するように構成されている。この車両用灯具では、配光制御部は、投影レンズから灯具内に入射する太陽光の集光部を避けて配されていると共に、金属製の付加リフレクタの前端部は、投影レンズの後方焦点またはその近傍に配されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オーバーヘッドサイン(頭上標識、以下、OHSという)用の反射面を有する部位が、主リフレクタ(以下、単にリフレクタという)の前端部に付加される場合がある。この場合、当該部位の内面にOHS用の反射面がアルミ蒸着や高反射塗装等により形成されるのに対して、当該部位の外面や端面においては樹脂が露出していることが一般的である。ここで、熱対策として、リフレクタの前端部とレンズを保持するフレームとの間に開口を形成する場合、この開口を通して当該部位の外面や端面に太陽光が集光し、当該部位が高温になることが考えられる。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、レンズを通して灯具内に入射した太陽光が、リフレクタの前端部とレンズを保持するフレームとの間に設けられた部位に対して、当該部位の前方に存する開口を通して集光することを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、発光部と、前記発光部から出射された光を投影するレンズと、前記発光部から出射された光を前記レンズへ反射する第1の反射面が形成されたリフレクタと、前記レンズを保持するフレームと、前記リフレクタの前端部と前記フレームとの間に設けられた開口と、前記リフレクタの前端部と前記フレームとの間に設けられて前記発光部から出射された光を反射する第1のオーバーヘッドサイン用の反射面が形成され、前記リフレクタの前端部と一体で形成された反射板と、前記発光部から出射されて前記第1のオーバーヘッドサイン用の反射面で反射された光を前記レンズへ反射する第2のオーバーヘッドサイン用の反射面と、前記リフレクタの前端部と前記フレームとの間に設けられて前記レンズを通して灯具内に入射する外光を反射する第2の反射面が形成され、前記反射板の前端部と一体で形成された遮光部と、前記遮光部の非反射面である外面と一体的に形成されたリブとを備え、前記遮光部は、前記リブと一体的に形成された第1の遮光部と、前記第1の遮光部と一体的に形成され前記リブから離間した第2の遮光部とを備え、前記第1の遮光部の後端部から前端部までの長さは、前記第2の遮光部の後端部から前端部までの長さに比して長い。
本発明は、発光部と、前記発光部から出射された光を投影するレンズと、前記発光部から出射された光を前記レンズへ反射する第1の反射面が形成されたリフレクタと、前記レンズを保持するフレームと、前記リフレクタの前端部と前記フレームとの間に設けられた開口と、前記リフレクタの前端部と前記フレームとの間に設けられて前記発光部から出射された光を反射する第1のオーバーヘッドサイン用の反射面が形成され、前記リフレクタの前端部と一体で形成された反射板と、前記発光部から出射されて前記第1のオーバーヘッドサイン用の反射面で反射された光を前記レンズへ反射する第2のオーバーヘッドサイン用の反射面と、前記リフレクタの前端部と前記フレームとの間に設けられて前記レンズを通して灯具内に入射する外光を反射する第2の反射面が形成され、前記反射板の前端部と一体で形成されて前記第1のオーバーヘッドサイン用の反射面より前方に位置する遮光部とを備え、前記遮光部は、反射面が形成された一対の斜め下向きの傾斜面を備えるようにV字状に屈曲され、前記第2の反射面は、一対の前記傾斜面のうちの前方側の前記傾斜面に形成され、前記遮光部の非反射面である素地の部分に進行する前記外光を反射する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リフレクタの前端部とレンズを保持するフレームとの間において、レンズを通して灯具内に入射した外光が、第2の反射面により反射される。このため、レンズを通して灯具内に入射した太陽光が、リフレクタの前端部とレンズを保持するフレームとの間に設けられた部位に対して、当該部位の前方に存する開口を通して集光することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る車両用灯具を示す正面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る車両用灯具を示す平面図である。
【
図5】
図5は、他の実施形態に係る車両用灯具を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す車両用灯具の一部を拡大して示す断面図である。
【
図7】
図7は、他の実施形態に係る車両用灯具を示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す車両用灯具の一部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0010】
図1は、一実施形態に係る車両用灯具を示す正面図である。
図2は、一実施形態に係る車両用灯具を示す平面図である。
図3は、
図1のA-A断面図である。
図4は、
図1のB-B断面図である。これらの図に示す車両用灯具10は、車両の前照灯であり、車両の前方を照射する。なお、方向や位置の説明において用いられる「前」や「後」は、車両用灯具10が搭載される車両の前後方向を基準とし、方向や位置の説明において用いられる「上」や「下」や「縦」は、車両用灯具10が搭載される車両の上下方向を基準とし、方向や位置の説明において用いられる「左」や「右」や「横」は、車両用灯具10が搭載される車両の幅方向(左右方向)を基準としている。
【0011】
車両用灯具10は、ベース部12と、ヒートシンク14(
図1参照)と、発光部16(
図3及び
図4参照)と、レンズ18と、フレーム20と、リフレクタ30(
図2~
図4参照)と、シェードユニット40(
図3及び
図4参照)とを備える。車両用灯具10では、フレーム20とリフレクタ30とが一体で形成され、リフレクタ30とベース部12とが、ネジで締結されて一体化されている。
【0012】
ヒートシンク14は、複数の放熱フィン14A(
図1参照)を備える。この複数の放熱フィン14は、ベース部12の下面に一体で形成されている。
【0013】
発光部16は、発光ダイオード、基板、及び給電ホルダ等を備え、ベース部12の上面12A(
図3及び
図4参照)に取り付けられている。このベース部12の上面12Aの裏面にフィン14Aが設けられており、発光部16で発生した熱がヒートシンク14により外部に放出される。
【0014】
レンズ18は、車両用灯具10の前端に配され、発光部16から出射された光を車両前方に投影する。このレンズ18は、フレーム20により保持されている。フレーム20は、車両用灯具10の前側に配され、レンズ18が取り付けられる円環状のレンズホルダ20Aを備える。
【0015】
リフレクタ30は、楕円を基本とする3次元自由曲面形状に形成されており、発光部16とベース部12の上面12Aとを覆うように設けられている。このリフレクタ30の内面には、アルミ蒸着や高反射塗装等により第1の反射面30A(
図3及び
図4参照)が形成されている。なお、リフレクタ30は、楕円と放物とを組み合わせた3次元自由曲面形状に形成してもよい。
【0016】
ここで、車両用灯具10は、フレーム20とリフレクタ30とが一体となった樹脂成型品11を備え、この樹脂成型品11の内面の所定範囲に、アルミ蒸着や高反射塗装などにより反射面が形成されている。
【0017】
図3及び
図4に示すように、シェードユニット40は、レンズ18によって車両前方へ投影される配光パターンをロービーム配光パターンとハイビーム配光パターンとに切り替える。このシェードユニット40は、シェード42と、ソレノイド44と、リンク機構46とを備える。シェード42は、発光部16とレンズ18との間に配された遮光板である。このシェード42は、一方の面が前方斜め上を向いた起立姿勢と、当該一方の面が真上を向いた格納姿勢とを取る。ソレノイド44は、リンク機構46を駆動する。リンク機構46は、ソレノイド44により駆動されてシェード42を起立姿勢と傾倒姿勢とに変化させる。
【0018】
シェード42が起立姿勢を取っている状態では、発光部16から出射されてリフレクタ30の第1の反射面30Aにより前方へ反射された光の一部が、シェード42により遮られることにより、カットオフラインを含むロービーム配光パターンが、車両前方に投影される。それに対して、シェード42が格納姿勢を取っている状態では、発光部16から出射されてリフレクタ30の第1の反射面30Aにより前方へ反射された光が、シェード42により遮られないことにより、ハイビーム配光パターンが、車両前方に投影される。
【0019】
ここで、本実施形態に係る車両用灯具10は、第1のOHS用反射面31Aと、第2のOHS用反射面42Aとを備え、ロービーム配光パターンの投影時に、ロービーム配光パターンの上側にOHS配光パターンを投影する。
【0020】
第2のOHS用反射面42Aは、シェード42の一方の面に形成されている。当該一方の面は、シェード42が起立姿勢を取っている時に前方斜め上向きになる面である。なお、第2のOHS用反射面42Aとしては、金属の素地や、金属等の母材の素地に蒸着したアルミ、金属等の母材の素地に塗装した高反射塗装面等を例示できる。
【0021】
樹脂製のOHS用反射板31が、リフレクタ30の前端部に一体で形成されている。このOHS用反射板31は、リフレクタ30の前端部から前方斜め下方へ延びており、後方斜め下方を向いた内面を備える。このOHS用反射板31の内面には、第1のOHS用反射面31Aが、アルミ蒸着や高反射塗装等により形成されている。OHS用反射板31の前端部は、リフレクタ30の前端部に対して前方側且つ下側に位置する。
【0022】
図3及び
図4に破線矢印Lで示すように、ロービーム配光パターンの投影時に、発光部16から出射された光の一部が、第1のOHS用反射面31Aにより第2のOHS用反射面42Aに向けて反射され、第2のOHS用反射面42Aによりレンズ18に向けて反射され、レンズ18からOHS配光パターンとして投影される。
【0023】
図2に示すように、樹脂成型品11には、開口11B,11C,11Dが形成されている。これらの開口11B,11C,11Dは、遮光部50とレンズホルダ20Aとの間に、横方向に並べて配されている。発光部16は発熱するところ、発光部16からの熱流が、開口11B,11C,11Dを通して灯具外へ放出される。
【0024】
ところで、太陽光が、レンズ18を通して車両用灯具10内で集光する。特に、
図3及び
図4に太線矢印SLで示すように、レンズ18を通して車両用灯具10内に入射した太陽光の一部は、開口11Cを通して、OHS用反射板31Aの非反射面である外面や端面に向かって進行する。ここで、OHS用反射板31Aの外面や端面は樹脂が露出している。それに対して、遮光部50が、OHS用反射板31の前端部に一体で形成されている。この遮光部50は、横方向から見た場合にV字状に屈曲した屈曲部であり、一対の斜め下向きの斜面を備える。この遮光部50のV字状の屈曲部を構成する一対の斜面に第2の反射面50Aがアルミ蒸着や高反射塗装等により形成されている。遮光部50は、OHS用反射板31の前端部より前方側且つ下側に位置する。
【0025】
レンズ18を通して車両用灯具10内に入射した太陽光の一部は、開口11Cを通してOHS用反射板31Aに向かって進行し、OHS用反射板31Aの手前で第2の反射面50Aにより反射される。これにより、太陽光が、OHS用反射板31Aの外面や端面に集光することが防止される。また、レンズ18を通して車両用灯具10内に入射した太陽光は、遮光部50の第2の反射面50Aにのみ当たり、遮光部50の素地の部分には当たらない。
【0026】
図2に示すように、樹脂成型品11の上面には一対のリブ11Eが相互に平行に左右に並べて形成されている。一方のリブ11Eは、開口11Bと開口11Cとの間に配され、他方のリブ11Eは、開口11Cと開口11Dとの間に配されている。
【0027】
ここで、遮光部50は、遮光部50の左右方向両端に形成された一対の第1の遮光部50B(
図2及び
図4参照)と、遮光部50の左右方向の中央に形成された第2の遮光部50C(
図2及び
図3参照)とを備える。第1の遮光部50Bは、リブ11Eと一体的に形成され、第2の遮光部50Cは、第1の遮光部50Bと一体的に形成されている。第2の遮光部50Cは、一対の第1の遮光部50Bの間において左右方向に延在している。
【0028】
図3及び
図4に示すように、第1の遮光部50Bの幅(後端から前端までの長さ)W1と、第2の遮光部50Cの幅(後端から前端までの長さ)W2とは相違する。ここで、車両用灯具10内へ入射した太陽光の一部が、開口11Cを通してリブ11Eに向かって進行する場合、第1の遮光部50Bの幅W1の大きさによっては、リブ11Eに対して太陽光が集光することも考えられる。しかしながら、本実施形態では、第1の遮光部50Bの幅W1は、第2の遮光部50Cの幅W2に比して広くなっており、開口11Cを通してリブ11Eに向かう太陽光が、第1の遮光部50Bの第2の反射面50Aにより反射される。
【0029】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用灯具10では、フレーム20とリフレクタ30との間に開口11B,11C,11Dが設けられていることにより、発熱する発光部16からの熱流が開口11B,11C,11Dを通して車両用灯具10外へ放出される。他方で、レンズ18を通して車両用灯具10内に入射した太陽光の一部が、開口11Cを通してOHS用反射板31の外面に向かって進行する。そこで、本実施形態に係る車両用灯具10では、第2の反射面50Aが、OHS用反射板31の前端部とレンズホルダ20Aとの間に設けられており、この第2の反射面50Aが、レンズ18及び開口11Cを通してOHS用反射板31の外面に向かって進行する太陽光を反射する。これによって、レンズ18を通して車両用灯具10内に入射した太陽光が、OHS用反射板31の樹脂が露出した外面に対して、当該部位の前方に存する開口11Cを通して集光することを防止できる。
【0030】
また、本実施形態に係る車両用灯具10では、第2の反射面50Aが、第1のOHS用反射面31Aとレンズホルダ20Aとの間に位置する遮光部50に設けられている。ここで、第2の反射面50Aは、上側のハウジング11Aの内面に形成されていると共に、さらに、上側のハウジング11Aの内面において、リフレクタ30の第1の反射面30AとOHS用反射板31の第1のOHS用反射面31Aと第2の反射面50Aとが連続している。このため、第2の反射面50Aを、第1の反射面30Aと第1のOHS用反射面31Aと共に同時に形成できる。従って、例えば、OHS用反射板31の外面や端面に反射面を形成するような追加の反射面形成工程を不要にでき、工数やコストを低減できる。
【0031】
また、本実施形態に係る車両用灯具10では、第2の反射面50Aが形成された遮光部50が、OHS用反射板31の前端部と一体で形成され、この遮光部50がV字状に屈曲している。そして、第2の反射面50Aが、V字状の遮光部50の一対の下向きの傾斜面に形成されている。遮光部50が一対の下向きの傾斜面を備えることにより、第2の反射面50Aが形成される面が、樹脂成型品11の内面となる。このため、上述したように、第2の反射面50Aを、リフレクタ30の第1の反射面30AとOHS用反射板31の第1のOHS用反射面31Aと共に一斉に形成できる。また、OHS用反射板31の前方に位置する遮光部50がV字状であることにより、遮光部50は、OHS用の出射光を遮ることなく、太陽光対策に効果を発揮する。
【0032】
また、本実施形態に係る車両用灯具10では、遮光部50の非反射面である外面には、リブ11Eが一体的に形成されている。このリブ11Eの近傍に位置する遮光部50は、リブ11Eと一体的に形成された第1の遮光部50Bと、この第1の遮光部50Bと一体的に形成されリブ11Eから離間した第2の遮光部50Cとを備える。ここで、第1の遮光部50Bの後端から前端までの長さW1は、第2の遮光部50Cの後端から前端までの長さW2に比して長い。これによって、レンズ18と開口11Cとを通してリブ11Eに向かう太陽光が、第1の遮光部50Bの第2の反射面50Aにより反射される。従って、樹脂が露出したリブ11Eに太陽光が集光することを防止できる。
【0033】
さらに、本実施形態に係る車両用灯具10では、レンズ18を通して車両用灯具10内に入射した太陽光の一部は、遮光部50の第2の反射面50Aにのみ当たり、遮光部50の素地の部分には当たらない。従って、遮光部50の樹脂が露出した部分に太陽光が集光することを防止できる。
【0034】
図5は、他の実施形態に係る車両用灯具100を示す断面図である。なお、上述の実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、上述の実施形態における説明を援用する。
図5に示すように、本実施形態に係る車両用灯具100は、レンズホルダ20Aと一体で形成された遮光部150と、この遮光部150と一体で形成されたOHS用反射板131とを備える。
【0035】
開口11Cと不図示の開口11B,11D(
図2参照)とは、リフレクタ30の前端部とOHS用反射板131の後端部との間に形成されている。発光部16は発熱するところ、発光部16からの熱流が、開口11B,11C,11Dから車両用灯具100外へ放出される。
【0036】
遮光部150は、レンズホルダ20Aの後端部から後方斜め下方へ延びており、前方斜め下方を向いた内面を備える。この遮光部150の内面には、第2の反射面150Aがアルミ蒸着や高反射塗装等により形成されている。遮光部150の後端部は、リフレクタ30の前端部より前方且つ下側に配されている。
【0037】
OHS用反射板131は、遮光部150の後端部から後方斜め上方へ延びており、後方斜め下方を向いた内面を備える。このOHS用反射板131の内面には、第1のOHS用反射面131Aがアルミ蒸着や高反射塗装等により形成されている。
【0038】
図6は、
図5に示す車両用灯具100の一部を拡大して示した断面図である。この図に示すように、OHS用反射板131の後端部Eは、リフレクタ30の前端部Fより前方且つ上側に配されている。第1のOHS用反射面131Aと車両前後方向に対して平行な水平線HLとの角度αは、下記(1)式を満足する。
0<α<90° …(1)
【0039】
図5に破線矢印Lで示すように、ロービーム配光パターンの投影時に、発光部16から出射された光の一部が、第1のOHS用反射面131Aにより第2のOHS用反射面42Aに向けて反射され、第2のOHS用反射面42Aによりレンズ18に向けて反射され、レンズ18からOHS配光パターンとして投影される。
【0040】
図5に太線矢印SLで示すように、レンズ18を通して車両用灯具10内に入射した太陽光の一部は、OHS用反射板131Aの非反射面である外面に向かって進行し、この外面の手前で第2の反射面150Aにより反射される。これにより、太陽光が、OHS用反射板131Aの外面に集光することが防止される。また、太陽光は、遮光部150の第2の反射面150Aにのみ当たり、遮光部150の素地の部分には当たらない。
【0041】
図7は、他の実施形態に係る車両用灯具200を示す断面図である。なお、上述の実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、上述の実施形態における説明を援用する。
図7に示すように、本実施形態に係る車両用灯具200は、リフレクタ30の前端部と一体で形成されたOHS用反射板231と、レンズホルダ20Aの後端部と一体で形成された遮光部250とを備える。
【0042】
開口11Cと不図示の開口11B,11D(
図2参照)とは、OHS用反射板231の前端部と遮光部250の後端部との間に形成されている。発光部16は発熱するところ、発光部16からの熱流が、開口11B,11C,11Dから灯具外へ放出される。
【0043】
遮光部250は、レンズホルダ20Aの後端部から後方斜め下方へ延びており、前方斜め下方を向いた内面を備える。この遮光部250の内面には、第2の反射面250Aがアルミ蒸着や高反射塗装等により形成されている。遮光部250の後端部は、リフレクタ30の前端部より前方且つ下側に配されている。
【0044】
OHS用反射板231は、リフレクタ30の前端部から上方へ延びる縦板部231Bと、この縦板部231Bの上端から前方斜め下方へ延びる傾斜板部231Cとを備える。OHS用反射板231は、横方向から見て逆V字状に形成されている。傾斜板部231Cは、後方斜め下方を向いた内面を備える。この傾斜板部231Cの内面には、第1のOHS用反射面231Aがアルミ蒸着や高反射塗装等により形成されている。
【0045】
図8は、
図7に示す車両用灯具200の一部を拡大して示した断面図である。この図に示すように、傾斜板部231Cの前端部Fは、リフレクタ30の内面の前方への延長線ELより上側に配されている。遮光部250の後端部Eは、傾斜板部231Cの前端部Fより前方且つ下側に配されている。
【0046】
図7に破線矢印Lで示すように、ロービーム配光パターンの投影時に、発光部16から出射された光の一部が、第1のOHS用反射面231Aにより第2のOHS用反射面42Aに向けて反射され、第2のOHS用反射面42Aによりレンズ18に向けて反射され、レンズ18からOHS配光パターンとして投影される。
【0047】
図7に太線矢印SLで示すように、レンズ18を通して車両用灯具10内に入射した太陽光の一部は、OHS用反射板231の非反射面である外面に向かって進行し、この外面の手前で第2の反射面250Aにより反射される。これにより、太陽光が、OHS用反射板231Aの外面に集光することが防止される。また、太陽光は、遮光部250の第2の反射面250Aにのみ当たり、遮光部250の素地の部分には当たらない。
【0048】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、実施形態同士の技術や公知・周知技術を組み合わせてもよい。
【0049】
例えば、上述の実施形態では、リフレクタ30の前端部とレンズホルダ20Aとの間に設けられた部位を、OHS用反射板31,131,231としたが、当該部位を、樹脂成型品11を構成する別部位としてもよい。また、上述の実施形態では、リフレクタ30とレンズホルダ20Aとを一体成形したが、リフレクタ30とレンズホルダ20Aとを別々に成形した後に一体化してもよい。
【0050】
また、上述の実施形態では、Hi/Lo切替式の車両用灯具10,100,200を例に挙げて説明したが、ロービーム専用の車両用灯具にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0051】
10 :車両用灯具
11B :開口
11C :開口
11D :開口
11E :リブ
16 :発光部
18 :レンズ
20 :フレーム
20A :レンズホルダ
30 :リフレクタ
30A :第1の反射面
31 :OHS用反射板(反射板)
31A :第1のOHS用反射面(第1のオーバーヘッドサイン用の反射面)
42A :第2のOHS用反射面(第2のオーバーヘッドサイン用の反射面)
50 :遮光部
50A :第2の反射面
50B :第1の遮光部
50C :第2の遮光部
100 :車両用灯具
131A:第1のOHS用反射面(第1のオーバーヘッドサイン用の反射面)
150A:第2の反射面
200 :車両用灯具
231A:第1のOHS用反射面(第1のオーバーヘッドサイン用の反射面)
250A:第2の反射面
W1 :幅(第1の遮光部の後端部から前端部までの長さ)
W1 :幅(第2の遮光部の後端部から前端部までの長さ)