IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-回路装置及びリアルタイムクロック装置 図1
  • 特許-回路装置及びリアルタイムクロック装置 図2
  • 特許-回路装置及びリアルタイムクロック装置 図3
  • 特許-回路装置及びリアルタイムクロック装置 図4
  • 特許-回路装置及びリアルタイムクロック装置 図5
  • 特許-回路装置及びリアルタイムクロック装置 図6
  • 特許-回路装置及びリアルタイムクロック装置 図7
  • 特許-回路装置及びリアルタイムクロック装置 図8
  • 特許-回路装置及びリアルタイムクロック装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】回路装置及びリアルタイムクロック装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/22 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
H03K17/22 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020118983
(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公開番号】P2022015859
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(74)【代理人】
【識別番号】100187539
【弁理士】
【氏名又は名称】藍原 由和
(72)【発明者】
【氏名】松崎 賞
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-277122(JP,A)
【文献】特開2013-219454(JP,A)
【文献】特開2014-068226(JP,A)
【文献】特開2009-037456(JP,A)
【文献】特開2018-117235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00-17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧から生成される監視対象電圧と基準電圧とを比較することでパワーオンリセット信号を出力するコンパレーターと、
前記基準電圧を生成し、前記基準電圧を基準電圧ノードに出力する基準電圧生成回路と、
前記電源電圧が供給される電源電圧ノードと前記基準電圧ノードとの間に接続される接続制御回路と、
バイアス電圧を生成するバイアス回路と、
を含み、
前記接続制御回路は、前記電源電圧が投入された後の所定期間において、前記基準電圧ノードと前記電源電圧ノードを接続し、
前記接続制御回路は、
前記電源電圧ノードと前記基準電圧ノードの間に設けられるスイッチと、
前記電源電圧が投入された後に前記所定期間が経過したときに前記スイッチをオンからオフに制御する制御信号を前記スイッチに出力するCR回路と、
を含み、
前記CR回路は、
キャパシターと、
前記電源電圧ノードと前記キャパシターの一端との間に設けられ、前記バイアス電圧がゲートに入力される第1P型トランジスターと、
前記キャパシターの前記一端にドレインが接続され、ソース及びゲートがグランドノードに接続されるN型トランジスターと、
を含み、
前記CR回路は、前記キャパシターの容量値で決まる前記所定期間が経過したときにアクティブから非アクティブに遷移する前記制御信号を前記スイッチに出力し、
前記スイッチは、前記制御信号が前記アクティブから前記非アクティブになったとき、オンからオフになることを特徴とする回路装置。
【請求項2】
電源電圧から生成される監視対象電圧と基準電圧とを比較することでパワーオンリセット信号を出力するコンパレーターと、
前記基準電圧を生成し、前記基準電圧を基準電圧ノードに出力する基準電圧生成回路と、
前記電源電圧が供給される電源電圧ノードと前記基準電圧ノードとの間に接続される接続制御回路と、
バイアス電圧を生成するバイアス回路と、
を含み、
前記接続制御回路は、前記電源電圧が投入された後の所定期間において、前記基準電圧ノードと前記電源電圧ノードを接続し、
前記接続制御回路は、
前記電源電圧ノードと前記基準電圧ノードの間に設けられるスイッチと、
前記電源電圧が投入された後に前記所定期間が経過したときに前記スイッチをオンからオフに制御する制御信号を前記スイッチに出力するCR回路と、
を含み、
前記CR回路は、
キャパシターと、
前記電源電圧ノードと前記キャパシターの一端との間に設けられ、前記バイアス電圧がゲートに入力される第1P型トランジスターと、
前記キャパシターの前記一端の電圧が入力される第1インバーターと、
前記第1インバーターの出力信号が入力され、前記制御信号を出力する第2インバーターと、
前記電源電圧ノードと前記キャパシターの前記一端との間に設けられ、ゲートに前記第1インバーターの前記出力信号が入力される第2P型トランジスターと、
を含み、
前記CR回路は、前記キャパシターの容量値で決まる前記所定期間が経過したときにアクティブから非アクティブに遷移する前記制御信号を前記スイッチに出力し、
前記スイッチは、前記制御信号が前記アクティブから前記非アクティブになったとき、オンからオフになることを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回路装置において、
前記基準電圧生成回路は、前記電源電圧に基づいて前記基準電圧を生成することを特徴とする回路装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回路装置において
前記基準電圧生成回路は、
前記電源電圧ノードと前記基準電圧ノードとの間に設けられ、前記バイアス電圧がゲートに入力されるデプレッション型のN型トランジスターと、
前記基準電圧ノードとグランドノードとの間に設けられ、前記バイアス電圧がゲートに入力されるエンハンスメント型のN型トランジスターと、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項5】
電源電圧から生成される監視対象電圧と基準電圧とを比較することでパワーオンリセット信号を出力するコンパレーターと、
前記基準電圧を生成し、前記基準電圧を基準電圧ノードに出力する基準電圧生成回路と、
前記電源電圧が供給される電源電圧ノードと前記基準電圧ノードとの間に接続される接続制御回路と、
バイアス電圧を生成するバイアス回路と、
を含み、
前記接続制御回路は、前記電源電圧が投入された後の所定期間において、前記基準電圧ノードと前記電源電圧ノードを接続し、
前記基準電圧生成回路は、
前記電源電圧ノードと前記基準電圧ノードとの間に設けられ、前記バイアス電圧がゲートに入力されるデプレッション型のN型トランジスターと、
前記基準電圧ノードとグランドノードとの間に設けられ、前記バイアス電圧がゲートに入力されるエンハンスメント型のN型トランジスターと、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項6】
請求項に記載の回路装置において、
前記接続制御回路は、
前記電源電圧ノードと前記基準電圧ノードの間に設けられるスイッチと、
前記電源電圧が投入された後に前記所定期間が経過したときに前記スイッチをオンからオフに制御する制御信号を前記スイッチに出力するCR回路と、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項7】
請求項に記載の回路装置において、
前記CR回路は、キャパシターを有し、前記キャパシターの容量値で決まる前記所定期間が経過したときにアクティブから非アクティブに遷移する前記制御信号を前記スイッチに出力し、
前記スイッチは、前記制御信号が前記アクティブから前記非アクティブになったとき、オンからオフになることを特徴とする回路装置。
【請求項8】
請求項に記載の回路装置において
前記CR回路は、前記電源電圧ノードと前記キャパシターの一端との間に設けられ、前記バイアス電圧がゲートに入力される第1P型トランジスターを、含むことを特徴とする回路装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記電源電圧を第1電源電圧としたとき、前記監視対象電圧である第2電源電圧を前記第1電源電圧から生成するレギュレーターと、
前記第2電源電圧に基づいて動作し、前記パワーオンリセット信号によりリセット及びリセット解除される処理回路と、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項10】
第1電源電圧から生成される監視対象電圧である第2電源電圧と基準電圧とを比較することでパワーオンリセット信号を出力するコンパレーターと、
前記基準電圧を生成し、前記基準電圧を基準電圧ノードに出力する基準電圧生成回路と、
前記第1電源電圧が供給される電源電圧ノードと前記基準電圧ノードとの間に接続される接続制御回路と、
前記第2電源電圧を前記第1電源電圧から生成するレギュレーターと、
前記第2電源電圧に基づいて動作し、前記パワーオンリセット信号によりリセット及びリセット解除される処理回路と、
を含み、
前記接続制御回路は、前記第1電源電圧が投入された後の所定期間において、前記基準電圧ノードと前記電源電圧ノードを接続し、
前記接続制御回路は、
前記電源電圧ノードと前記基準電圧ノードの間に設けられるスイッチと、
前記第1電源電圧により動作し、前記第1電源電圧が投入された後に前記所定期間が経過したときに前記スイッチをオンからオフに制御する制御信号を前記スイッチに出力するCR回路と、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項11】
請求項10に記載の回路装置において、
前記CR回路は、キャパシターを有し、前記キャパシターの容量値で決まる前記所定期間が経過したときにアクティブから非アクティブに遷移する前記制御信号を前記スイッチに出力し、
前記スイッチは、前記制御信号が前記アクティブから前記非アクティブになったとき、オンからオフになることを特徴とする回路装置。
【請求項12】
請求項11に記載の回路装置において、
バイアス電圧を生成するバイアス回路を含み、
前記CR回路は、前記電源電圧ノードと前記キャパシターの一端との間に設けられ、前記バイアス電圧がゲートに入力される第1P型トランジスターを、含むことを特徴とする回路装置。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記基準電圧生成回路は、前記第1電源電圧に基づいて前記基準電圧を生成することを特徴とする回路装置。
【請求項14】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の回路装置と、
振動子と、
を含み、
前記回路装置は、
前記電源電圧を第1電源電圧としたとき、前記監視対象電圧である第2電源電圧を前記第1電源電圧から生成するレギュレーターと、
前記第2電源電圧に基づいて動作し、前記パワーオンリセット信号によりリセット及びリセット解除される処理回路と、
前記振動子を発振させることで、クロック信号を生成する発振回路と、
を含み、
前記処理回路は、前記クロック信号に基づいて計時処理を行う計時回路を含むことを特徴とするリアルタイムクロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置及びリアルタイムクロック装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
回路に電源が投入された時又は電源電圧が低下したときに、回路の内部リセット信号を発生させるパワーオンリセット回路が知られている。特許文献1には、非接触インターフェースと接触インターフェースを備えたコンビ型ICカードにおいて、外部から供給される外部リセット信号に応じて内部リセット信号の閾値を変化させるパワーオンリセット回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-123168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたパワーオンリセット回路は、電源電圧を分圧した電圧と、レギュレーターにより生成された基準電圧と比較することで、内部リセット信号を生成する。初期電源投入時においては、例えば基準電圧の立ち上がりが電源電圧に追従しない等、基準電圧を生成するレギュレーターの挙動が不安定な場合がある。このようなレギュレーターの不安定な挙動に起因して、意図しない電圧でパワーオンリセット回路がリセットを解除してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、電源電圧から生成される監視対象電圧と基準電圧とを比較することでパワーオンリセット信号を出力するコンパレーターと、前記基準電圧を生成し、前記基準電圧を基準電圧ノードに出力する基準電圧生成回路と、前記電源電圧が供給される電源電圧ノードと前記基準電圧ノードとの間に接続される接続制御回路と、を含み、前記接続制御回路は、前記電源電圧が投入された後の所定期間において、前記基準電圧ノードと前記電源電圧ノードを接続する回路装置に関係する。
【0006】
また本開示の他の態様は、上記に記載の回路装置と、振動子と、を含み、前記回路装置は、前記電源電圧を第1電源電圧としたとき、前記監視対象電圧である第2電源電圧を前記第1電源電圧から生成するレギュレーターと、前記第2電源電圧に基づいて動作し、前記パワーオンリセット信号によりリセット及びリセット解除される処理回路と、前記振動子を発振させることで、クロック信号を生成する発振回路と、を含み、前記処理回路は、前記クロック信号に基づいて計時処理を行う計時回路を含むリアルタイムクロック装置に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】パワーオンリセット回路と回路装置の基本構成例。
図2】基本構成例におけるパワーオンリセット回路の第1動作を説明する波形図。
図3】基本構成例におけるパワーオンリセット回路の第2動作を説明する波形図。
図4】パワーオンリセット回路と回路装置の構成例。
図5】CR回路の詳細構成例。
図6】CR回路とスイッチの動作を説明する波形図。
図7】パワーオンリセット回路の動作を説明する波形図。
図8】リアルタイムクロック装置の構成例、及びリアルタイムクロック装置に含まれる回路装置の構成例。
図9】電源回路の詳細構成例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.基本構成例
まず、パワーオンリセット回路130の基本構成例とその課題について説明し、その後、図4以降において本実施形態におけるパワーオンリセット回路130の構成例を説明する。但し、基本構成例は、図4の構成例と共通する構成要素を有し、その構成要素については図4の構成例と同様な作用効果を奏する。この点については、図4以降で説明する。
【0010】
図1は、パワーオンリセット回路130と回路装置100の基本構成例である。回路装置100は、パワーオンリセット回路130とレギュレーター153とを含む。パワーオンリセット回路130は、バイアス回路131と基準電圧生成回路132とコンパレーター133とを含む。
【0011】
バイアス回路131には電源電圧VDDが供給される。バイアス回路131は、電源電圧VDDに基づいてバイアス電圧VNAを生成し、そのバイアス電圧VNAを基準電圧生成回路132とコンパレーター133に出力する。電源電圧VDDは、回路装置100の外部から供給される。
【0012】
基準電圧生成回路132には電源電圧VLOGが供給される。基準電圧生成回路132は、電源電圧VLOGに基づいて基準電圧VREFを生成し、その基準電圧VREFをコンパレーター133に出力する。電源電圧VLOGは、回路装置100の内部電源電圧であり、レギュレーター153が電源電圧VDDから電源電圧VLOGを生成する。
【0013】
コンパレーター133には電源電圧VLOGが供給される。コンパレーター133は、監視対象電圧である電源電圧VLOGと基準電圧VREFとを比較し、その結果をパワーオンリセット信号PORQとして出力する。監視対象電圧とは、パワーオンリセット回路130がリセットとリセット解除の切り替えを判断するために監視対象としている電圧のことである。コンパレーター133は、電源電圧VLOGが判定電圧VREF+Vofより低いとき、リセットを示すパワーオンリセット信号PORQを出力し、監視対象電圧が判定電圧VREF+Vofより高いとき、リセット解除を示すパワーオンリセット信号PORQを出力する。Vofは、コンパレーター133の入力オフセットである。即ち、Vofは、監視対象電圧と基準電圧VREFが入力される差動対のオフセット電圧である。なお以下では、リセットを示すパワーオンリセット信号PORQはローレベルであり、リセット解除を示すパワーオンリセット信号PORQはハイレベルであるとする。
【0014】
図2は、図1のパワーオンリセット回路130の第1動作を説明する波形図である。図2では、電源電圧VDDが比較的緩やかな時間変化で立ち上がる場合を、想定している。
【0015】
Vtlgは、パワーオンリセット信号PORQが入力されるロジック回路の論理しきい値電圧である。即ち、コンパレーター133の電源電圧VLOGが論理しきい値電圧Vtlgより低いとき、ロジック回路にとってパワーオンリセット信号PORQの論理レベルは不定である。電源電圧VLOGが論理しきい値電圧Vtlg以上であるとき、ロジック回路にとってパワーオンリセット信号PORQの論理レベルはローレベル又はハイレベルに確定する。
【0016】
基準電圧VREF及びオフセット電圧Vofは、基準電圧VREFが所定電圧に収束した後の判定電圧VREF+Vofがしきい値電圧Vtlgより高くなるように、設定されている。
【0017】
回路装置100に電源電圧VDDが投入された後、レギュレーター153が生成する電源電圧VLOGは電源電圧VDDに追従して上昇する。電源電圧VDDが比較的緩やかな時間変化で上昇する場合には、基準電圧VREFは電源電圧VLOGに追従して上昇する。このため電源電圧VLOGと基準電圧VREFがおおよそ同じ電圧となって上昇し、電源電圧VLOGが判定電圧VREF+Vofより低い状態で論理しきい値電圧Vtlgを超える。このタイミングをT1とすると、タイミングT1より前ではパワーオンリセット信号PORQの論理レベルは不定であり、タイミングT1においてパワーオンリセット信号PORQの論理レベルはローレベルに確定する。なお図2では不定を「X」で示す。
【0018】
基準電圧VREFが所定電圧に収束し、その後に電源電圧VLOGが判定電圧VREF+Vofを超える。このタイミングをT2とすると、タイミングT2においてパワーオンリセット信号PORQの電圧はグランド電圧VSSから電源電圧VLOGに変化し、その論理レベルはローレベルからハイレベルに変化する。即ち、タイミングT2において、パワーオンリセット回路130は、リセット解除を示すパワーオンリセット信号PORQを出力する。
【0019】
以上のような第1動作においては、タイミングT1からT2までの期間において、リセットを示すパワーオンリセット信号PORQが出力された後に、タイミングT2においてリセット解除を示すパワーオンリセット信号PORQが出力される。これにより、パワーオンリセット信号PORQが入力される回路が正常にリセット及びリセット解除される。
【0020】
図3は、図1のパワーオンリセット回路130の第2動作を説明する波形図である。図3では、電源電圧VDDが比較的急峻な時間変化で立ち上がる場合を、想定している。
【0021】
回路装置100に電源電圧VDDが投入された後、レギュレーター153が生成する電源電圧VLOGは電源電圧VDDに追従して上昇する。電源電圧VDDが比較的急峻な時間変化で上昇する場合には、基準電圧VREFは電源電圧VLOGに追従しない。基準電圧VREFが上昇する速さは、基準電圧生成回路132に流れる電流等によって決まっている。その基準電圧VREFが上昇する速さよりも電源電圧VDDが上昇する速さの方が早い場合には、基準電圧VREFが電源電圧VLOGに追従しなくなる。例えば、低消費電力化のために基準電圧生成回路132に流れる電流を絞ったとき、基準電圧VREFが電源電圧VLOGに追従しない状態が、発生しやすくなる。
【0022】
電源電圧VLOGが電源電圧VDDに追従する一方、基準電圧VREFが電源電圧VDDに追従しないので、電源電圧VLOGが論理しきい値電圧Vtlgを超える前に電源電圧VLOGが判定電圧VREF+Vofを超えてしまう。電源電圧VLOGが論理しきい電圧Vtlgを超えたタイミングT1においてパワーオンリセット信号PORQの論理レベルが確定するが、その前のタイミングT2において電源電圧VLOGが判定電圧VREF+Vofを超えているので、タイミングT1においてパワーオンリセット信号PORQの論理レベルはハイレベルに確定する。
【0023】
第2動作においては、タイミングT2においてパワーオンリセット回路130の内部ではリセット解除と判定されているが、そのときの基準電圧VREFは所定電圧に収束しておらず、判定電圧VREF+Vofは本来の意図した電圧になっていない。このため、リセットを示すパワーオンリセット信号PORQが出力されることなく、タイミングT1においてリセット解除を示すパワーオンリセット信号PORQが出力されてしまい、パワーオンリセット信号PORQが入力される回路が正常にリセットされない。
【0024】
以上のように、電源電圧が投入されたときの電源電圧VDD、電源電圧VLOG及び基準電圧VREFの立ち上がり波形、時間変化の特性又は電圧条件によっては、監視対象電圧が意図した判定電圧を超えていないにも関わらずパワーオンリセット回路130がリセットを解除してしまうおそれがある。上述したように、特許文献1等の従来技術においても、同様な課題が生じる。
【0025】
2.構成例
図4は、本実施形態におけるパワーオンリセット回路130と回路装置100の構成例である。図4のパワーオンリセット回路130は、バイアス回路131と基準電圧生成回路132とコンパレーター133と接続制御回路135とを含む。なお、図1で説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その構成要素について既に説明した内容については、その説明を適宜に省略する。
【0026】
コンパレーター133は、電源電圧VDDから生成される監視対象電圧と基準電圧VREFとを比較することで、パワーオンリセット信号PORQを出力する。基準電圧生成回路132は、基準電圧VREFを生成し、その基準電圧VREFを基準電圧ノードNVREFに出力する。接続制御回路135は、電源電圧VDDが入力される電源電圧ノードNVDDと、基準電圧ノードNVREFとの間に接続される。接続制御回路135は、電源電圧VDDが投入された後の所定期間において、基準電圧ノードNVREFと電源電圧ノードNVDDを接続する。
【0027】
図4において、監視対象電圧は、レギュレーター153が電源電圧VDDから生成した電源電圧VLOGである。但し、監視対象電圧は電源電圧VLOGに限定されず、何らかの電圧生成回路によって電源電圧VDDから生成される電圧であればよい。また、所定期間の長さは任意であってよいが、例えば電源電圧VDDが投入された後に基準電圧VREFが所定電圧に収束する時間よりも、所定期間が長ければよい。或いは、電源電圧VDDが投入された後に監視対象電圧が論理しきい値電圧Vtlgを超える時間よりも、所定期間が長ければよい。電源電圧VDDが投入された後に基準電圧VREFが所定電圧に収束する時間、及び監視対象電圧が論理しきい値電圧Vtlgを超える時間は、電源電圧VDDの立ち上がり波形等によって変動するので、例えば、その変動に対してマージンを持った長さの所定期間が設定されればよい。
【0028】
本実施形態によれば、回路装置100に電源電圧VDDが投入された後の所定期間において、接続制御回路135が基準電圧ノードNVREFと電源電圧ノードNVDDを接続するので、その所定期間において監視対象電圧が判定電圧VREF+Vofを超えることがない。そして、所定期間が経過した後に接続制御回路135が基準電圧ノードNVREFと電源電圧ノードNVDDを非接続にすることで、基準電圧VREFが意図した所定電圧に収束する。これにより、基準電圧VREFが意図した所定電圧に収束した後に、コンパレーター133が監視対象電圧と基準電圧VREFとを比較することが可能になる。即ち、本実施形態によれば、監視対象電圧が意図した判定電圧VREF+Vofを超える前にパワーオンリセット回路130がリセット解除と判定しない。
【0029】
また所定期間においてリセット解除と判定されないことで、電源電圧VLOG及び基準電圧VREFが安定した後にリセット解除することが可能となる。これにより、上述した図3のように基準電圧VREFが電源電圧VDDに追従しない場合であっても、本実施形態では監視対象電圧が意図した判定電圧を超えた後にリセット解除と判定される。また電源電圧VDDの立ち上がり時において、回路装置100の内部電源電圧である電源電圧VLOGがオーバーシュートする等の不安定な挙動になるおそれがある。本実施形態では所定期間においてリセット解除と判定されないので、電源電圧VLOGが安定した後に、電源電圧VLOGが供給される回路のリセットが解除される。
【0030】
以下、図4の構成例を詳細に説明する。
【0031】
バイアス回路131は、P型トランジスターTA1、TA2と、デプレッション型のN型トランジスターTA3と、N型トランジスターTA4と、を含む。なお、デプレッション型と言及されていないトランジスターはエンハンスメント型である。
【0032】
P型トランジスターTA1、TA2のソースは、電源電圧VDDが供給される電源電圧ノードNVDDに接続される。P型トランジスターTA1のドレインは、P型トランジスターTA1、TA2のゲートとN型トランジスターTA3のドレインとバイアスノードNVRPとに接続される。N型トランジスターTA3のソース及びゲートは、グランド電圧VSSが供給されるグランドノードNVSSに接続される。P型トランジスターTA2のドレインは、N型トランジスターTA4のドレイン及びゲートとバイアスノードNVNAとに接続される。N型トランジスターTA4のソースは、グランドノードNVSSに接続される。なお、グランド電圧VSSは、電源電圧VDD、及び監視対象電圧である電源電圧VLOGより低い電源電圧であればよい。
【0033】
N型トランジスターTA3のドレイン電流がP型トランジスターTA1に流れることで、バイアス電圧VRPが発生する。バイアス回路131は、バイアス電圧VRPをバイアスノードNVRPから接続制御回路135とコンパレーター133に出力する。N型トランジスターTA3のドレイン電流がP型トランジスターTA2にミラーされ、そのP型トランジスターTA2のドレイン電流がN型トランジスターTA4に流れることで、バイアス電圧VNAが発生する。バイアス回路131は、バイアス電圧VNAをバイアスノードNVNAから基準電圧生成回路132とコンパレーター133に出力する。
【0034】
基準電圧生成回路132は、デプレッション型のN型トランジスターTB1と、N型トランジスターTB2とを含む。
【0035】
N型トランジスターTB1のドレインは電源電圧ノードNVDDに接続され、ソースはN型トランジスターTB2のドレインと基準電圧ノードNVREFとに接続される。N型トランジスターTB2のソースはグランドノードNVSSに接続される。N型トランジスターTB1、TB2のゲートはバイアスノードNVNAに接続される。
【0036】
バイアス電圧VNAがN型トランジスターTB1、TB2のゲートに入力されることで、N型トランジスターTB1、TB2に電流が流れる。その電流と、N型トランジスターTB1、TB2のサイズに応じて、基準電圧VREFが決まる。ここでの基準電圧VREFは、所定電圧に収束した後の基準電圧のことである。例えば、N型トランジスターTA4、TB2のミラー比を変えることで、N型トランジスターTB1に流れる電流が変わるので、基準電圧VREFを調整できる。或いは、N型トランジスターTB1のサイズを変えることで、N型トランジスターTB1のソース-ドレイン間電圧が変わるので、基準電圧VREFを調整できる。トランジスターのサイズとは、例えばゲート長、ゲート幅又はそれら両方である。
【0037】
コンパレーター133は、N型トランジスターTC1~TC6と、P型トランジスターTC7~TC9とを含む。
【0038】
P型トランジスターTC7、TC8のソースは、監視対象電圧が供給される監視対象ノードNVLOGに接続される。P型トランジスターTC7のゲート及びソースは、P型トランジスターTC8のゲートとN型トランジスターTC1のドレインとに接続される。P型トランジスターTC8のドレインは、N型トランジスターTC2のドレインとP型トランジスターTC9のゲートとに接続される。N型トランジスターTC1、TC2のソースはN型トランジスターTC3のドレインに接続される。N型トランジスターTC1のゲートは基準電圧ノードNVREFに接続され、N型トランジスターTC2のゲートは監視対象ノードNVLOGに接続される。N型トランジスターTC3のソースはN型トランジスターTC4のドレインに接続され、ゲートはバイアスノードNVNAに接続される。N型トランジスターTC4のソースはグランドノードNVSSに接続され、ゲートはバイアスノードNVNBに接続される。バイアスノードNVNBには、不図示のバイアス回路からバイアス電圧VNBが出力される。
【0039】
P型トランジスターTC9のソースは監視対象ノードNVLOGに接続され、ソースはN型トランジスターTC5のドレインとパワーオンリセット回路130の出力ノードNPORQとに接続される。N型トランジスターTC5のソースはN型トランジスターTC6のドレインに接続され、ゲートはバイアスノードNVNAに接続される。N型トランジスターTC6のソースはグランドノードNVSSに接続され、ゲートはバイアスノードNVNBに接続される。
【0040】
N型トランジスターTC1、TC2は差動対を構成し、N型トランジスターTC1のゲートがコンパレーター133の負極入力ノードに対応し、N型トランジスターTC2のゲートがコンパレーター133の正極入力ノードに対応する。負極入力ノードには基準電圧VREFが入力され、正極入力ノードには電源電圧VLOGが入力される。コンパレーター133は、VLOG>VREFであるとき、電源電圧VLOGのパワーオンリセット信号PORQを出力ノードNPORQに出力し、VLOG<VREFであるとき、グランド電圧VSSのパワーオンリセット信号PORQを出力ノードNPORQに出力する。
【0041】
接続制御回路135は、CR回路136とスイッチSWPUとを含む。スイッチSWPUはトランジスターにより構成され、ここではP型トランジスターであるとする。
【0042】
スイッチSWPUを構成するP型トランジスターのソースは電源電圧ノードNVDDに接続され、ドレインは基準電圧ノードNVREFに接続され、ゲートは制御信号ノードNCRQに接続される。
【0043】
CR回路136は、電源電圧VDDに基づいて、スイッチSWPUをオン又はオフに制御する制御信号CRQを制御信号ノードNCRQに出力する。CR回路136は、電源電圧VDDが投入された後の所定期間において、制御信号CRQをローレベルに維持することで、スイッチSWPUをオンに維持する。CR回路136は、所定期間が経過したときに制御信号CRQをローレベルからハイレベルにすることで、スイッチSWPUをオンからオフにする。
【0044】
以上の本実施形態では、接続制御回路135はスイッチSWPUとCR回路136とを含む。スイッチSWPUは、電源電圧ノードNVDDと基準電圧ノードNVREFの間に設けられる。CR回路136は、電源電圧VDDが投入された後に所定期間が経過したときにスイッチSWPUをオンからオフに制御する制御信号CRQをスイッチSWPUに出力する。
【0045】
本実施形態によれば、電源電圧VDDが投入された後の所定期間においてスイッチSWPUがオンなので、基準電圧ノードNVREFが電源電圧ノードNVDDに接続される。これにより、電源電圧VDDが投入された後の所定期間において、コンパレーター133に入力される基準電圧VREFが電源電圧VDDとなる。そして、所定期間が経過したときにスイッチSWPUがオンからオフになるので、コンパレーター133が基準電圧VREFと監視対象電圧とを比較できるようになる。
【0046】
また本実施形態では、基準電圧生成回路132は、電源電圧VDDに基づいて基準電圧VREFを生成する。
【0047】
スイッチSWPUが基準電圧ノードNVREFと電源電圧ノードNVDDを接続したとき、スイッチSWPUとN型トランジスターTB1を介して電源電圧ノードNVDDとN型トランジスターTB2のソースが接続される。電源電圧VDDとVLOG等の異なる電源電圧が接続されることは望ましくないが、本実施形態によれば、N型トランジスターTB2のソースは電源電圧ノードNVDDに接続される。
【0048】
また本実施形態では、基準電圧生成回路132は、デプレッション型のN型トランジスターTB1とエンハンスメント型のN型トランジスターTB2とを含む。デプレッション型のN型トランジスターTB1は、電源電圧ノードNVDDと基準電圧ノードNVREFとの間に設けられ、バイアス電圧VNAがゲートに入力される。エンハンスメント型のN型トランジスターTB2は、基準電圧ノードNVREFとグランドノードNVSSとの間に設けられ、バイアス電圧VNAがゲートに入力される。
【0049】
本実施形態によれば、コンパレーター133が正常動作する電源電圧VDDのミニマム値を下げることができる。コンパレーター133の正常動作とは、コンパレーター133に含まれるトランジスターが飽和領域で動作することを意味する。
【0050】
例えば、本実施形態の基準電圧生成回路132を設けずに、コンパレーター133のN型トランジスターTC1をデプレッション型とし、そのゲートをグランドノードNVSSに接続する構成が考えられる。この構成における差動対のオフセット電圧をVof’とすると、リセット解除の判定電圧はVof’である。プロセス変動によって、例えばP型トランジスターのしきい電圧が上がり、N型トランジスターのしきい電圧が下がった場合を考える。この場合、電源電圧VLOGが判定電圧Vof’まで下がる前にP型トランジスターTC8が飽和領域を維持できなくなり、P型トランジスターTC9がオンになり、パワーオンリセット信号PORQがハイレベルとなり、リセットが解除されるおそれがある。このため、本来であれば判定電圧Vof’付近にできるはずの電源電圧VLOGのミニマム値を、判定電圧Vof’より高くする必要がある。電源電圧VDDは少なくとも電源電圧VLOGのミニマム値より高い必要があるので、電源電圧VDDのミニマム値も上げる必要がある。
【0051】
この点、本実施形態によれば、上記構成の基準電圧生成回路132を設けたことで、差動対のN型トランジスターTC1をエンハンスメント型にできると共に、差動対のオフセット電圧を小さくできる。上述したように、基準電圧生成回路132を構成するN型トランジスターTB1、TB2のサイズを調整することで基準電圧VREFを調整できる。差動対のオフセット電圧が小さくなること、及び基準電圧VREFが調整可能であることで、コンパレーター133が正常動作する電源電圧VDDのミニマム値を下げることが可能となる。
【0052】
図8で後述するように、例えばリアルタイムクロック装置200の回路装置100にパワーオンリセット回路130を用いることが考えられる。リアルタイムクロック装置200と、CPU又はマイクロコンピューター等のプロセッサとを含むシステムにおいて、電源電圧VDDは、プロセッサ及びリアルタイムクロック装置200に供給されるシステム電源電圧である。このようなシステムでは、プロセッサが動作しないときでもリアルタイムクロック装置200が計時を行うため、プロセッサが動作しないような低い電源電圧VDDにおいてリアルタイムクロック装置200が動作することが求められる。このため、電源電圧VDDのミニマム値は低い方が望ましいが、本実施形態によれば電源電圧VDDのミニマム値を出来るだけ低くできる。
【0053】
なお、図1において、基準電圧生成回路132には電源電圧VLOGが供給されるが、トランジスターTB1、TB2の構成については図4と同じである。従って、コンパレーター133が正常動作する電源電圧VDDのミニマム値を下げることが可能となる、という作用効果は、図1の基本構成例においても同様に成り立つ。
【0054】
図5は、CR回路136の詳細構成例である。CR回路136は、第1P型トランジスターTE1と、第2P型トランジスターTA2と、N型トランジスターTE3と、キャパシターCEと、第1インバーターIE1と、第2インバーターIE2とを含む。
【0055】
CR回路は、キャパシターCEの容量値で決まる所定期間が経過したときにアクティブから非アクティブに遷移する制御信号CRQをスイッチSWPUに出力する。スイッチSWPUは、制御信号CRQがアクティブから非アクティブになったとき、オンからオフになる。なお、アクティブは、スイッチSWPUをオンする論理レベルであり、ここではローレベルである。非アクティブは、スイッチSWPUをオフする論理レベルであり、ここではハイレベルである。
【0056】
本実施形態によれば、キャパシターCEの容量値により所定期間が設定され、その所定期間が経過したときにアクティブから非アクティブになる制御信号CRQが出力される。具体的には、キャパシターCEの一端の電圧をCROUTとしたとき、電圧CROUTの時間変化の速さに応じて所定期間の長さが決まる。この電圧CROUTの時間変化の速さは、キャパシターCEの容量値と、キャパシターCEの一端に流れる電流とによって決まっている。
【0057】
第1P型トランジスターTE1は、電源電圧ノードNVDDとキャパシターCEの一端との間に設けられる。第1P型トランジスターTE1のゲートには、バイアス電圧VRPが入力される。具体的には、第1P型トランジスターTE1のソースは電源電圧ノードNVDDに接続され、ドレインはキャパシターCEの一端に接続され、ゲートはバイアスノードNVRPに接続される。キャパシターCEの他端はグランドノードNVSSに接続される。
【0058】
本実施形態によれば、第1P型トランジスターTE1が定電流源となり、キャパシターCEの一端に定電流を入力することでキャパシターCEを充電する。この定電流の電流値と、キャパシターCEの容量値とによって、所定期間の長さが決まる。
【0059】
N型トランジスターTE3のドレインはキャパシターCEの一端に接続され、ソース及びゲートはグランドノードに接続される。
【0060】
第1P型トランジスターTE1は、キャパシターCEの一端から電源電圧ノードNVDDへの方向を順方向とする寄生ダイオードを有し、N型トランジスターTE3は、キャパシターCEの一端からグランドノードNVSSへの方向を順方向とする寄生ダイオードを有する。これらの寄生ダイオードの順方向電圧をVdiodeとする。電源電圧VDDが投入される前にグランド電圧付近であるとき、上記の寄生ダイオードによってキャパシターCEの一端の電圧CROUTが、-Vdiode~+Vdiodeの範囲となる。これにより、電源電圧VDDが投入されたとき、おおよそ決められた電圧からキャパシターCEの一端の電圧CROUTが上昇し、所定期間をほぼ一定にできる。
【0061】
第1インバーターIE1には、キャパシターCEの一端の電圧CROUTが入力される。第2インバーターIE2には、第1インバーターIE1の出力信号IE1Qが入力され、第2インバーターIE2は、制御信号CRQを出力する。第2P型トランジスターTE2は、電源電圧ノードNVDDとキャパシターCEの一端との間に設けられ、ゲートに第1インバーターIE1の出力信号IE1Qが入力される。具体的には、第2P型トランジスターTE2のソースは電源電圧ノードNVDDに接続され、ドレインはキャパシターCEの一端に接続され、ゲートは第1インバーターIE1の出力ノードに接続される。
【0062】
本実施形態によれば、第1インバーターIE1は、キャパシターCEの一端の電圧CROUTが論理しきい値電圧を超えたときに、出力信号IE1Qをハイレベルからローレベルにする。第2インバーターIE2は、出力信号IE1Qの論理反転信号を制御信号CRQとして出力するので、出力信号IE1Qがハイレベルからローレベルになったとき、制御信号CRQをローレベルからハイレベルにする。このように、電源電圧VDDが投入されてからキャパシターCEの一端の電圧CROUTが論理しきい値電圧を超えるまでの期間が、所定期間となる。
【0063】
また本実施形態によれば、第1インバーターIE1の出力信号IE1Qがハイレベルからローレベルになったとき、第2P型トランジスターTE2がオフからオンになり、キャパシターCEの一端と電源電圧ノードNVDDを接続する。これにより、キャパシターCEの一端の電圧CROUTが電源電圧VDDに固定されるので、制御信号CRQがハイレベルに固定される。即ち、第2P型トランジスターTE2は、リセットが解除された後にリセット解除状態を維持するためのラッチ機構として機能する。
【0064】
図6は、CR回路136とスイッチSWPUの動作を説明する波形図である。電源電圧VDDが投入されるとキャパシターCEの充電が開始され、キャパシターCEの一端の電圧CROUTが徐々に上昇する。電圧CROUTが第1インバーターIE1の論理しきい値電圧に達したタイミングTcrにおいて、第1インバーターIE1の出力信号IE1Qが電源電圧VDDからグランド電圧VSSになる。即ち出力信号IE1Qがハイレベルからローレベルになる。これにより、第2P型トランジスターTE2がオフからオンになり、キャパシターCEの一端の電圧CROUTが電源電圧VDDとなる。
【0065】
タイミングTcrの前では、第2インバーターIE2の出力信号である制御信号CRQは、ローレベルである。これにより、タイミングTcrの前ではスイッチSWPUがオンであり、基準電圧VREFが電源電圧VDDとなる。タイミングTcrにおいて、第2インバーターIE2の出力信号である制御信号CRQは、ローレベルからハイレベルになる。これにより、スイッチSWPUがオンからオフになり、基準電圧ノードNVREFと電源電圧ノードNVDDが非接続となり、基準電圧生成回路132が生成する基準電圧VREFがコンパレーター133に入力される。電源電圧VDDが投入されてからタイミングTcrまでの期間が、所定期間に対応している。即ち、キャパシターCEの一端の電圧CROUTが第1インバーターIE1の論理しきい値電圧に達するまでの時間によって、所定期間の長さが決まる。
【0066】
図7は、図4のパワーオンリセット回路130の動作を説明する波形図である。電源電圧VDDが投入されると、レギュレーター153が生成する電源電圧VLOGが電源電圧VDDに追従して上昇した後、安定した電圧に収束していく。図7には、電源電圧VLOGがオーバーシュートした後に安定する例を示す。
【0067】
電源電圧VDDが投入されてからタイミングTcrまでは、スイッチSWPUがオンであるため、基準電圧VREFは電源電圧VDDと同じ電圧になっている。このため、コンパレーター133の判定電圧VREF+Vofは電源電圧VLOGより高い状態に保たれ、リセット解除と判定されることはない。
【0068】
電源電圧VLOGが論理しきい値電圧Vtlgを超えたタイミングTlgにおいて、パワーオンリセット信号PORQの論理レベルが不定Xからハイレベル又はローレベルに確定する。タイミングTcrがタイミングTlgより後になるように、キャパシターCEの容量値等を設定しておくことで、タイミングTlgにおいてパワーオンリセット信号PORQをローレベルに確定できる。即ち、パワーオンリセット信号PORQが入力される回路を、確実にリセットすることができる。
【0069】
タイミングTcrにおいて、スイッチSWPUがオンからオフになるので、基準電圧VREFが電源電圧VDDから所定電圧まで下がっていく。VREF+Vof<VLOGとなる基準電圧VREFになったタイミングTporにおいて、パワーオンリセット信号PORQがローレベルからハイレベルになる。これにより、パワーオンリセット信号PORQが入力される回路が、リセット解除される。
【0070】
以上のように、基準電圧VREFが一旦、電源電圧VDDとなり、所定期間が経過した後に基準電圧VREFが所定電圧まで下がっていく。これにより、意図しない電圧でリセット解除と判定されることがない。
【0071】
また、電源電圧VLOGが安定した後にタイミングTcrとなるように、キャパシターCEの容量値等を設定しておくことで、電源電圧VLOGが安定した後に、電源電圧VLOGで動作する回路をリセット解除できる。電源電圧VLOGが不安定なまま回路をリセット解除すると、回路が誤動作する等の不具合が発生する可能性があるが、本実施形態によれば、そのような不具合の可能性を低減できる。
【0072】
3.リアルタイムクロック装置
パワーオンリセット回路130を含む回路装置100の一例として、リアルタイムクロック装置200の回路装置100を説明する。但し、上述したパワーオンリセット回路130は、様々な用途の回路装置に内蔵することが可能である。
【0073】
図8は、リアルタイムクロック装置200の構成例、及び回路装置100の第3構成例である。リアルタイムクロック装置200は、振動子10と回路装置100とを含む。回路装置100は、電源回路110と、処理回路120と、パワーオンリセット回路130と、発振回路150と、温度検出回路160と、インターフェース回路170と、端子TVDD、TVBAT、TVOUT、TIF、XI、XQと、を含む。図8のパワーオンリセット回路130は、図1又は図4のパワーオンリセット回路130に対応する。
【0074】
端子TVDDには、リアルタイムクロック装置200を含むシステムの電源電圧VDDが供給される。システムは、リアルタイムクロック装置200のホスト装置であるプロセッサを含み、プロセッサは、電源電圧VDDにより動作する。端子TVBATには電池が接続され、その電池からバッテリー電圧VBATが供給される。電池は2次電池又は一次電池であり、リアルタイムクロック装置200のバックアップ電源である。即ち、電源電圧VDDが供給されずプロセッサが動作しないときに、リアルタイムクロック装置200はバッテリー電圧VBATによって動作する。
【0075】
電源回路110は、電源電圧VDDとバッテリー電圧VBATをモニターし、そのモニター結果に基づいて電源電圧VDDとバッテリー電圧VBATを切り替え、その選択した電圧を電圧VOUTとして出力する。端子TVOUTには、電圧VOUTを安定化するための安定化キャパシターが接続される。電源回路110は、回路装置100の内部電源電圧である電源電圧VOSC、VDDA、VLOGを電圧VOUTから生成する。
【0076】
処理回路120は、電源電圧VLOGにより動作するロジック回路であり、計時処理を含む様々な処理、及び回路装置100の各部の制御を行う。また処理回路120は、インターフェース回路170を介してプロセッサとの通信を行う。インターフェース回路170は、端子TIFを介してプロセッサに接続される。図8では端子TIFを1つに省略しているが、実際にはインターフェース用に複数の端子が設けられる。処理回路120にはパワーオンリセット信号PORQが入力され、処理回路120はパワーオンリセット信号PORQによりリセット及びリセット解除される。処理回路120は、計時回路121と温度補償回路122とを含む。
【0077】
計時回路121は、発振回路150が生成したクロック信号に基づいて計時処理を行い、計時情報を生成する。計時回路121は、クロック信号によりカウント動作を行うカウンターを有し、そのカウンターのカウント値を計時情報として出力する。このカウント動作により計時情報を生成する処理が、計時処理に相当する。計時情報は、システムの現在時間を示す情報であり、例えばリアルタイムクロック装置200が起動して初期化された後の経過時間を示す。計時情報は、インターフェース回路170を介してプロセッサから読み出し可能である。
【0078】
温度補償回路122は、温度検出回路160が出力する温度検出データに基づいて、発振回路150の発振周波数を温度によらず一定にするための温度補償データを出力する。温度補償回路122は、発振周波数の温度特性をテーブル化したルックアップテーブルから温度に対応した温度補償データを抽出することで、又は発振周波数の温度特性を近似した多項式関数に温度を代入することで、温度補償データを出力する。
【0079】
温度検出回路160は、温度センサーとA/D変換回路とを含み、電源電圧VDDAで動作する。温度センサーは、ダイオードにおける順方向電圧の温度依存性を利用して、温度に依存する温度検出電圧を出力する。A/D変換回路は、温度検出電圧をA/D変換し、温度検出データを出力する。
【0080】
発振回路150の入力ノードと出力ノードは端子XI、XQに接続され、発振回路150は、端子XI、XQに接続された振動子を駆動することで発振し、その発振によりクロック信号を生成する。振動子10は、電気的な信号により機械的な振動を発生する素子である。振動子10は、水晶振動片、圧電振動片、SAW共振子又はMEMS振動子等の種々の振動子であってよい。SAWはSurface Acoustic Waveの略であり、MEMSはMicro Electro Mechanical Systemsの略である。発振回路150は温度補償データに対応した発振周波数で発振する。例えば、発振回路150は、温度補償データをD/A変換するD/A変換回路と、そのD/A変換出力により容量値が可変に制御される可変容量キャパシターと、を含む。可変容量キャパシターの一端は、発振回路150の入力ノード又は出力ノードに接続される。
【0081】
図9は、電源回路110の詳細構成例である。電源回路110は、P型トランジスター111~113と、スイッチ制御回路114と、第1検出回路115と、第2検出回路116と、レギュレーター151~153と、を含む。
【0082】
第1検出回路115は、電源電圧ノードNVDDの電源電圧VDDが第1検出電圧より低いか否かを検出し、その結果を第1検出信号DET1としてスイッチ制御回路114に出力する。第1検出回路115は、電源電圧VDDを分圧する抵抗分圧回路と、その分圧電圧と第1検出電圧を比較するコンパレーターと、を含む。第2検出回路116は、バッテリー電圧ノードNVBATのバッテリー電圧VBATが第2検出電圧より低いか否かを検出し、その結果を第2検出信号DET2としてスイッチ制御回路114に出力する。第2検出回路116は、バッテリー電圧VBATを分圧する抵抗分圧回路と、その分圧電圧と第2検出電圧を比較するコンパレーターと、を含む。第1検出電圧及び第2検出電圧は、例えば不図示の電圧生成回路により生成される。
【0083】
P型トランジスター111のソース又はドレインの一方は電源電圧ノードNVDDに接続され、ソース又はドレインの他方及びバックゲートはノードNVOUTに接続される。P型トランジスター112のソース又はドレインの一方はノードNAに接続され、ソース又はドレインの他方及びバックゲートはノードNVOUTに接続される。P型トランジスター113のソース又はドレインの一方はノードNAに接続され、ソース又はドレインの他方及びバックゲートはバッテリー電圧ノードNVBATに接続される。図9において点線で示したダイオードは、ソース又はドレインの一方とバックゲートの間に生じる寄生ダイオードである。
【0084】
スイッチ制御回路114は、第1検出信号DET1及び第2検出信号DET2に基づいてP型トランジスター111~113をオン又はオフに制御する。具体的には、電源電圧VDDが第1検出電圧より高いと検出されたとき、スイッチ制御回路114はP型トランジスター111をオンにし、P型トランジスター112、113をオフにする。これによりノードNVOUTに電圧VOUT=VDDが出力される。電源電圧VDDが第1検出電圧より低いと検出され、且つバッテリー電圧VBATが第2検出電圧より高いと検出されたとき、スイッチ制御回路114はP型トランジスター111をオフにし、P型トランジスター112、113をオンにする。これによりノードNVOUTに電圧VOUT=VBATが出力される。
【0085】
レギュレーター151は、電圧VOUTをレギュレートすることで電源電圧VOSCを生成し、その電源電圧VOSCを発振回路150に出力する。レギュレーター152は、電圧VOUTをレギュレートすることで電源電圧VDDAを生成し、その電源電圧VDDAを温度検出回路160に出力する。レギュレーター153は、電圧VOUTをレギュレートすることで電源電圧VLOGを生成し、その電源電圧VLOGを処理回路120に出力する。レギュレーター151~153は、例えば、演算増幅器と抵抗等により構成されたリニアレギュレーターである。
【0086】
以上の本実施形態では、回路装置100はレギュレーター153と処理回路120とを含む。レギュレーター153は、監視対象電圧である第2電源電圧を第1電源電圧から生成する。図8及び図9において、電源電圧VDDが第1電源電圧であり、電源電圧VLOGが第2電源電圧である。処理回路120は、第2電源電圧に基づいて動作し、パワーオンリセット信号PORQによりリセット及びリセット解除される。
【0087】
例えば、回路装置100に対して最初に電源電圧VDD又はバッテリー電圧VBATが投入されたとき、或いは電源電圧VDD等の低下によって電圧VOUTが一時的に低下したとき等に、処理回路120のリセット及びリセット解除が行われる。パワーオンリセットが正常に行われなかった場合、インターフェース回路170を介してソフトリセットを行う等の代替手段が必要になってしまう。図8図4のパワーオンリセット回路130を適用することで、意図しない電圧でリセット解除されることがないので、確実なリセット及びリセット解除が可能となる。また、電源電圧VDDが低下すると電源回路110がバッテリー電圧VBATに切り替えるが、パワーオンリセットが行われる電圧まで下がるより前に切り替える必要がある。このパワーオンリセットが行われる電源電圧VDDをミニマム値とすると、このミニマム値はプロセッサの動作可能電圧より低いことが望ましい。即ち、プロセッサが動作できない電源電圧においてバックアップ電源に切り替わることが望ましい。図8図1及び図4のパワーオンリセット回路130を適用し、上述した基準電圧生成回路132及びコンパレーター133の構成としたことで、電源電圧VDDの低下時にリセットが行われないミニマム値を、出来るだけ下げることが可能となる。
【0088】
以上に説明した本実施形態の回路装置は、コンパレーターと基準電圧生成回路と接続制御回路とを含む。コンパレーターは、電源電圧から生成される監視対象電圧と基準電圧とを比較することでパワーオンリセット信号を出力する。基準電圧生成回路は、基準電圧を生成し、基準電圧を基準電圧ノードに出力する。接続制御回路は、電源電圧が供給される電源電圧ノードと基準電圧ノードとの間に接続される。接続制御回路は、電源電圧が投入された後の所定期間において、基準電圧ノードと電源電圧ノードを接続する。
【0089】
本実施形態によれば、回路装置に電源電圧が投入された後の所定期間において、接続制御回路が基準電圧ノードと電源電圧ノードを接続するので、その所定期間において監視対象電圧がコンパレーターの判定電圧を超えることがない。判定電圧は、所定電圧に収束した後の基準電圧とコンパレーターのオフセット電圧との和である。そして、所定期間が経過した後に接続制御回路が基準電圧ノードと電源電圧ノードを非接続にすることで、基準電圧が意図した所定電圧に収束する。これにより、基準電圧が意図した所定電圧に収束した後に、コンパレーターが監視対象電圧と基準電圧とを比較することが可能になる。
【0090】
また本実施形態では、接続制御回路は、電源電圧ノードと基準電圧ノードの間に設けられるスイッチと、電源電圧が投入された後に所定期間が経過したときにスイッチをオンからオフに制御する制御信号をスイッチに出力するCR回路と、を含んでもよい。
【0091】
本実施形態によれば、電源電圧が投入された後の所定期間においてスイッチがオンなので、基準電圧ノードが電源電圧ノードに接続される。これにより、電源電圧が投入された後の所定期間において、コンパレーターに入力される基準電圧が電源電圧となる。そして、所定期間が経過したときにスイッチがオンからオフになるので、コンパレーターが基準電圧と監視対象電圧とを比較できるようになる。
【0092】
また本実施形態では、CR回路は、キャパシターを有し、キャパシターの容量値で決まる所定期間が経過したときにアクティブから非アクティブに遷移する制御信号をスイッチに出力してもよい。スイッチは、制御信号がアクティブから非アクティブになったとき、オンからオフになってもよい。
【0093】
本実施形態によれば、キャパシターの容量値により所定期間が設定される。そして、CR回路は、その所定期間が経過したときにアクティブから非アクティブになる制御信号を、出力できる。
【0094】
また本実施形態では、回路装置は、バイアス電圧を生成するバイアス回路を含んでもよい。CR回路は、電源電圧ノードとキャパシターの一端との間に設けられ、バイアス電圧がゲートに入力される第1P型トランジスターを、含んでもよい。
【0095】
本実施形態によれば、第1P型トランジスターが定電流源となり、キャパシターの一端に定電流を入力することでキャパシターを充電する。この定電流の電流値と、キャパシターの容量値とによって、所定期間の長さが決まる。
【0096】
また本実施形態では、CR回路は、キャパシターの一端にドレインが接続され、ソース及びゲートがグランドノードに接続されるN型トランジスターを含んでもよい。
【0097】
第1P型トランジスターは、キャパシターの一端から電源電圧ノードへの方向を順方向とする寄生ダイオードを有し、N型トランジスターは、キャパシターの一端からグランドノードへの方向を順方向とする寄生ダイオードを有する。これにより、電源電圧が投入されたとき、おおよそ決められた電圧からキャパシターの一端の電圧が上昇し、所定期間をほぼ一定にできる。
【0098】
また本実施形態では、CR回路は、キャパシターの一端の電圧が入力される第1インバーターと、第1インバーターの出力信号が入力され、制御信号を出力する第2インバーターと、電源電圧ノードとキャパシターの一端との間に設けられ、ゲートに第1インバーターの出力信号が入力される第2P型トランジスターと、を含んでもよい。
【0099】
本実施形態によれば、第1インバーターは、キャパシターの一端の電圧が論理しきい値電圧を超えたときに、出力信号をハイレベルからローレベルにする。これにより、電源電圧が投入されてからキャパシターの一端の電圧が論理しきい値電圧を超えるまでの期間が、所定期間となる。また本実施形態によれば、第1インバーターの出力信号がハイレベルからローレベルになったとき、第2P型トランジスターがオフからオンになり、キャパシターの一端と電源電圧ノードを接続する。これにより、第2P型トランジスターは、リセットが解除された後にリセット解除状態を維持するためのラッチ機構として機能する。
【0100】
また本実施形態では、基準電圧生成回路は、電源電圧に基づいて基準電圧を生成してもよい。
【0101】
スイッチが基準電圧ノードと電源電圧ノードを接続したとき、スイッチと基準電圧生成回路内のトランジスターを介して電源電圧ノードと基準電圧生成回路内のトランジスターのソースとが接続される。電源電圧と内部電源電圧等の異なる電源電圧が接続されることは望ましくないが、本実施形態によれば、基準電圧生成回路内のトランジスターのソースは電源電圧ノードに接続される。
【0102】
また本実施形態では、回路装置は、バイアス電圧を生成するバイアス回路を含んでもよい。基準電圧生成回路は、デプレッション型のN型トランジスターとエンハンスメント型のN型トランジスターとを含んでもよい。デプレッション型のN型トランジスターは、電源電圧ノードと基準電圧ノードとの間に設けられ、バイアス電圧がゲートに入力される。エンハンスメント型のN型トランジスターは、基準電圧ノードとグランドノードとの間に設けられ、バイアス電圧がゲートに入力されてもよい。
【0103】
本実施形態によれば、コンパレーターのオフセット電圧を小さくできること、及び基準電圧を調整できることにより、コンパレーターが正常動作する電源電圧のミニマム値を下げることができる。
【0104】
また本実施形態では、回路装置は、レギュレーターと処理回路とを含んでもよい。レギュレーターは、電源電圧を第1電源電圧としたとき、監視対象電圧である第2電源電圧を第1電源電圧から生成してもよい。処理回路は、第2電源電圧に基づいて動作し、パワーオンリセット信号によりリセット及びリセット解除されてもよい。
【0105】
本実施形態のパワーオンリセット回路を用いて処理回路をリセット及びリセット解除することで、意図しない電圧でリセット解除されることがないので、処理回路を確実にリセット及びリセット解除できる。
【0106】
また本実施形態のリアルタイムクロック装置は、上記のいずれかに記載の回路装置と、振動子と、を含む。回路装置は、レギュレーターと処理回路と発振回路とを含む。レギュレーターは、電源電圧を第1電源電圧としたとき、監視対象電圧である第2電源電圧を第1電源電圧から生成する。処理回路は、第2電源電圧に基づいて動作し、パワーオンリセット信号によりリセット及びリセット解除される。発振回路は、振動子を発振させることで、クロック信号を生成する。処理回路は、クロック信号に基づいて計時処理を行う計時回路を含む。
【0107】
このようにすれば、本実施形態の回路装置をリアルタイムクロック装置に適用できる。そして、本実施形態のパワーオンリセット回路を用いて処理回路をリセット及びリセット解除することで、意図しない電圧でリセット解除されることがないので、リアルタイムクロック装置の処理回路を確実にリセット及びリセット解除できる。
【0108】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。またパワーオンリセット回路、回路装置及びリアルタイムクロック装置の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0109】
10…振動子、100…回路装置、110…電源回路、114…スイッチ制御回路、115…第1検出回路、116…第2検出回路、120…処理回路、121…計時回路、122…温度補償回路、130…パワーオンリセット回路、131…バイアス回路、132…基準電圧生成回路、133…コンパレーター、135…接続制御回路、136…CR回路、150…発振回路、151~153…レギュレーター、160…温度検出回路、170…インターフェース回路、200…リアルタイムクロック装置、CE…キャパシター、CRQ…制御信号、IE1…第1インバーター、IE2…第2インバーター、NVDD…電源電圧ノード、NVREF…基準電圧ノード、NVSS…グランドノード、PORQ…パワーオンリセット信号、SWPU…スイッチ、TB1…デプレッション型のN型トランジスター、TB2…エンハンスメント型のN型トランジスター、TE1…第1P型トランジスター、TE2…第2P型トランジスター、TE3…N型トランジスター、VBAT…バッテリー電圧、VDD…電源電圧、VLOG…電源電圧、VREF…基準電圧、VSS…グランド電圧、Vof…オフセット電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9