(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240528BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B65G1/00 511B
B65G1/04 501
B65G1/04 555A
(21)【出願番号】P 2020138103
(22)【出願日】2020-08-18
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】中村 彰利
(72)【発明者】
【氏名】中出 瑛太
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-177384(JP,A)
【文献】特開平10-087013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタッカクレーンと、
前記スタッカクレーンの走行方向に交差する奥行方向に複数の荷物を並べて保管する保管領域を複数段有し、前記走行方向に並べて複数列配置されるラックと、
前記保管領域の下方において前記奥行方向に延在するレールに沿って走行し、前記ラック内で荷物を搬送する複数台のシャトルと、
前記スタッカクレーンに取り付けられ、前記ラックに対して荷物を移載し、前記レールに対して前記シャトルを移載する移載装置と、
前記シャトル、および前記スタッカクレーンが動作する動作領域への作業者の進入を阻止する安全柵と、
前記動作領域への作業者の進入を可能とする安全扉と、
前記安全扉に取り付けられ、錠前機構と、錠前制御装置と、を有する錠前装置と、を備える自動倉庫システムであって、
前記自動倉庫システムは、
作業者、または上位コントローラから解錠情報を取得する開閉情報取得部と、
全ての前記シャトルが停止したことを示すシャトル全停止情報、およびスタッカクレーンが停止したことを示すクレーン停止情報を取得する停止情報取得部と、
前記開閉情報取得部が解錠情報を取得した後であってシャトル全停止情報を取得しない場合であっても、クレーン停止情報の取得、および前記解錠情報の取得から所定の猶予時間が経過する第一解錠条件を満たした場合に前記錠前装置を解錠する開閉制御部と、を備え、
解錠情報が発生した場合、前記シャトルへの搬送情報の割付を中断する、または前記シャトルは、取得した搬送情報を次の施錠情報を受信するまで実行しない
自動倉庫システム。
【請求項2】
スタッカクレーンと、
前記スタッカクレーンの走行方向に交差する奥行方向に複数の荷物を並べて保管する保管領域を複数段有し、前記走行方向に並べて複数列配置されるラックと、
前記保管領域の下方において前記奥行方向に延在するレールに沿って走行し、前記ラック内で荷物を搬送する複数台のシャトルと、
前記スタッカクレーンに取り付けられ、前記ラックに対して荷物を移載し、前記レールに対して前記シャトルを移載する移載装置と、
前記シャトル、および前記スタッカクレーンが動作する動作領域への作業者の進入を阻止する安全柵と、
前記動作領域への作業者の進入を可能とする安全扉と、
前記安全扉に取り付けられる、錠前機構と、錠前制御装置と、を有する錠前装置と、を備える自動倉庫システムであって、
前記自動倉庫システムは、
作業者、または上位コントローラから解錠情報を取得する開閉情報取得部と、
全ての前記シャトルが停止したことを示すシャトル全停止情報、およびスタッカクレーンが停止したことを示すクレーン停止情報を取得する停止情報取得部と、
前記開閉情報取得部が解錠情報を取得した後であってシャトル全停止情報を取得しない場合であっても、クレーン停止情報の取得、および前記解錠情報の取得から所定の猶予時間が経過する第一解錠条件を満たした場合に前記錠前装置を解錠する開閉制御部と、を備え、
前記シャトルは、
搬送情報が割り付けられていない場合、待機位置で停止し、解錠情報の発生に基づき前記待機位置よりも前記スタッカクレーンの通路寄りの原点位置に移動して停止し、シャトル全停止情報を出力する
自動倉庫システム。
【請求項3】
前記開閉制御部は、
前記解錠情報の取得後において、クレーン停止情報、およびシャトル全停止情報を取得する第二解錠条件を満たした場合、前記猶予時間の経過前でも前記錠前装置を解錠する
請求項1
または2に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記猶予時間は、
複数の前記保管領域における前記奥行方向の最大長さに基づき定められる
請求項1から
3のいずれか一項に記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記猶予時間は、
前記待機位置から最大長さの前記保管領域の奥側端部までの前記シャトルの往復時間以上である
請求項
2を引用する請求項
3または
4に記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッカクレーン、およびシャトルの2種類の走行装置を備える自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、多数の物品載置棚を上下左右に有するラック内を走行するシャトルとスタッカクレーンとを備える自動倉庫システムが開示されている。この様な自動倉庫システム内は、スタッカクレーン、複数のシャトルなどの移動体が移動しているため、作業者などの不用意な進入を防止するために安全柵が設けられている。一方、自動倉庫システムの点検やメンテナンスをする場合、作業者は安全柵に設けられた安全扉を開けて自動倉庫システム内に進入する。このような作業者の安全性を向上させるため安全扉は、自動倉庫内の全ての移動体が停止した停止情報を取得した後、自動的に解錠する錠前が設けられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、通信異常などにより複数のシャトルのうち1台の停止が確認できない場合、自動的に錠前が解除されないため、全ての停止情報を取得できない状態であっても作業者が手動で錠前を解錠し、自動倉庫システム内に不用意に進入する場合があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、一部のシャトルの停止情報が取得できない場合でも自動的に安全扉の錠前を自動的に解錠できる自動倉庫システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の1つである自動倉庫システムは、スタッカクレーンと、前記スタッカクレーンの走行方向に交差する奥行方向に複数の荷物を並べて保管する保管領域を複数段有し、前記走行方向に並べて複数列配置されるラックと、前記保管領域の下方において前記奥行方向に延在するレールに沿って走行し、前記ラック内で荷物を搬送する複数台のシャトルと、前記スタッカクレーンに取り付けられ、前記ラックに対して荷物を移載し、前記レールに対して前記シャトルを移載する移載装置と、前記シャトル、および前記スタッカクレーンが動作する動作領域への作業者の進入を阻止する安全柵と、前記動作領域への作業者の進入を可能とする安全扉と、前記安全扉に取り付けられる錠前装置と、を備える自動倉庫システムであって、前記自動倉庫システムは、解錠情報を取得する開閉情報取得部と、全ての前記シャトルが停止したことを示すシャトル全停止情報、およびスタッカクレーンが停止したことを示すクレーン停止情報を取得する停止情報取得部と、前記開閉情報取得部が解錠情報を取得した後であってシャトル全停止情報を取得しない場合であっても、クレーン停止情報の取得、および前記解錠情報の取得から所定の猶予時間が経過する第一解錠条件を満たした場合に前記錠前装置を解錠する開閉制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自動倉庫システム内への作業者の不用意な進入を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る自動倉庫システムを示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るスタッカクレーンを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係るラックの各間口をスタッカクレーンの通路側から示す側面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る荷物、載置棚、シャトル、およびレールを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る錠前装置の機構部、および機能部を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る自動倉庫システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る自動倉庫システムの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するために一例を挙示するものであり、本発明を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0010】
また、図面は、本発明を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。
【0011】
また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本発明に関する任意の構成要素として説明している。
【0012】
実施の形態に係る自動倉庫システム100を説明する。
図1は、実施の形態に係る自動倉庫システム100を示す平面図である。
【0013】
同図に示すように自動倉庫システム100は、荷物200を水平面(図中XY平面)において複数の荷物200が自動的に配置される水平領域を上下方向に複数段備えたシステムであって、スタッカクレーン110と、ラック120と、シャトル130と、移載装置140と、安全柵171と、安全扉172と、錠前装置180と、を備えている。本実施の形態の場合、自動倉庫システム100は、上位コントローラ300を備えている。
【0014】
図2は、実施の形態に係るスタッカクレーンを示す斜視図である。スタッカクレーン110は、荷物200、およびシャトル130を垂直面内(図中XZ平面)内において搬送することができる装置である。スタッカクレーン110は、荷物200、およびシャトル130を個別に搬送する。なお荷物200、およびシャトル130を同時に搬送しても構わない。
【0015】
本実施の形態に係るスタッカクレーン110は、通路111に設置された軌道112に沿って走行する台車115、台車115に取り付けられ上下方向(図中Z軸方向)に延在するマスト113、およびマスト113に沿って昇降する昇降台114を備えている。
【0016】
昇降台114は、例えば図示しない複数のワイヤによって上部の台車115から吊り下げられた状態で配置されており、これらワイヤの巻き上げ、および送り出しによって、昇降台114が、一対のマスト113に沿って昇降する。
【0017】
スタッカクレーン110は、通信手段を備えており、昇降台114を含むスタッカクレーン110全体が停止した場合、クレーン停止情報を出力する。
【0018】
図3は、実施の形態に係るラックの各間口をスタッカクレーンの通路側から示す側面図である。
図4は、荷物、載置棚、シャトル、およびレールを示す斜視図である。ラック120は、スタッカクレーン110の走行方向(図中X軸方向)に交差する奥行方向(図中Y軸方向)に複数の荷物200を並べて保管する保管領域201(
図3において二点鎖線囲まれる領域)を複数段有し、スタッカクレーン110の走行方向(図中X軸方向)に並べて複数列配置される設備である。本実施の形態の場合、ラック120は、スタッカクレーン110の通路111を挟んだ両側に間口を対向させた状態でそれぞれ配置されている。なお
図1中のY+側を第一側、Y-側を第二側としてラック120を区別して説明する場合がある。
【0019】
本実施の形態の場合、ラック120は、走行方向、および奥行方向のそれぞれにおいて所定の間隔で矩形格子状に設置された柱121と、柱121に取り付けられ、奥行方向に複数の荷物200を載置状態で保管可能な載置棚122を有している。載置棚122は、走行方向において隣り合う柱121に対して一対設けられており、それぞれが内側に向かって突出するキャンチ状となっている。一対の載置棚122は、荷物200の両端部を下方から支承することにより荷物200を保管する。
【0020】
スタッカクレーン110の走行方向において隣り合うラック120は、柱121を共有している。つまり、隣り合うラック120は密着しており、複数のラック120により荷物200を水平領域内において高密度に保管することができるものとなっている。
【0021】
なお、間口とは、垂直平面(図中XZ平面)内に存在する領域であって、ラック120に対して荷物200、およびシャトル130を搬出入する領域の一つである。間口には保管領域201の端部、および保管領域201に対応する載置棚122の端部、およびレール123の端部が含まれる。
【0022】
ラック120が備える載置棚122によって形成される荷物200の保管領域201の下方には、奥行方向に延在するレール123が配置されている。本実施の形態の場合、レール123は、走行方向において隣り合う柱121に対して一対設けられており、それぞれが載置棚122の下部から内側に向かって突出するキャンチ状となっている。本実施の形態の場合、レール123は、載置棚122と一体に形成されており、奥行方向と直交する断面において一体となっている載置棚122、およびレール123の断面はL字形状となっている。一対のレール123、および載置棚122のそれぞれは、固定部材124を介して柱121に固定されている。
【0023】
目印125は、レール123を走行するシャトル130に対し位置を提示する印しであり、奥行方向に所定間隔で並ぶように保管領域に対応する位置にそれぞれ備えられる。目印125が設けられる場所は、ラック120内であれば特に限定されるものではなく、例えば載置棚122、レール123などに設けることができる。目印125は、目印センサ135(後述)により有無が検出できるものであれば、特に限定されるものではない。目印125としては、例えば、塗布された塗料、貼り付けられたシール、取り付けられた磁石などを例示できる。また目印125は、載置棚122、レール123などを加工することにより設けられても構わない。例えばレール123、載置棚122などの表面に設けられたけがき線、周期的な凹凸などを例示できる。本実施の形態の場合、目印125は、
図4に示すように、レール123に設けられた孔である。
【0024】
移載装置140は、スタッカクレーン110の昇降台114に取り付けられ、ラック120の各間口に対して荷物200を移載し、レール123に対してシャトル130を移載する。スタッカクレーン110によって水平面内を任意の位置に移動する移載装置140によって、ラック120の所望の間口における載置棚122に対して荷物200の受け渡しを行うことができ、所望のレール123に対してシャトル130の受け渡しを行うことができる。
【0025】
移載装置140の種類は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、移載装置140は、スタッカクレーン110の走行方向に直交する奥行方向に出退するフォークを備え、荷物200の下方に進出させたフォークを持ち上げ、後退させることにより荷物200をラック120の載置棚122から昇降台114側に移載する。また、昇降台114の上方において移載装置140のフォークに載置されている荷物200を、フォークを進出させることによりラック120側に移動させフォークを下降させることにより荷物200を載置棚122に移載する。シャトル130の移載も上記と同様である。
【0026】
移載装置140は、第一側のラック120、および第二側のラック120のいずれにも荷物200、およびシャトル130を移載できる。なお、第一側のラック120から第二側のラック120へ、またはその逆方向にシャトル130を移載する場合、シャトル130の姿勢は一定である。つまり、スタッカクレーン110、および移載装置140は、水平面内においてシャトル130の姿勢を変更することなくシャトル130を移載する。
【0027】
シャトル130は、ラック120に取り付けられたレール123に沿ってレール123上を走行し、載置棚122に載置されている荷物200の下方を通過し、また下方で停止することができる装置である。シャトル130は、ラック120内において荷物200を保持し、奥行方向に荷物200を自律的に搬送する。シャトル130は、平板状の本体131と、本体131の中央部に設けられた保持装置132と、レール123上で転動する複数のローラ133と、シャトル130の動作を制御する制御装置134と、を備えている。本実施の形態の場合、シャトル130は、情報取得装置137が取り付けられ、レール123に設けられた目印125を検出する目印センサ135を備えている。
【0028】
本体131は、シャトル130の構造的基礎となる部材である。本実施の形態の場合、スタッカクレーン110の移載装置140により本体131が保持されることでシャトル130全体が保持される。具体的には、移載装置140のフォークにより本体131が掬い上げられることでシャトル130全体が移載装置140に載置され、スタッカクレーン110とレール123との間でシャトル130が移載される。
【0029】
保持装置132は、ラック120に保管されている荷物200を保持し、保管領域201内において奥行方向に荷物200を移送することができる装置である。本実施の形態の場合、保持装置132は、本体131から昇降可能な昇降テーブル136を備え、
図3中右側に示すように、載置棚122に載置されている荷物200の真下で昇降テーブル136を上昇させることで荷物200を載置棚122から持ち上げて保持することができる。シャトル130は、保持装置132が荷物200を保持した状態で走行することができる。また、保持装置132によって持ち上げられた荷物200は、昇降テーブル136を降下させることで、載置棚122に載置することができる。つまり、シャトル130は、奥行方向にレール状に延在する一つの載置棚122内において、保持装置132により、載置棚122の所定の位置から荷物200を受けるとこと、および、載置棚122の別の位置に荷物200を渡すことができる。
【0030】
ローラ133は、本体131に設けられた走行用モータによって回転駆動する。ローラ133の回転駆動によりシャトル130は、一対のレール123に沿って走行する。なお、走行用モータ、およびローラ133の少なくとも一方にはローラ133の回転量を取得するための回転角センサが備えられてもよい。
【0031】
情報取得装置137は、シャトル130に備えられ、第一情報体151が担持する識別情報を取得するセンサである。情報取得装置137の種類は、第一情報体151の情報の担持態様に対応して選定される。例えば、第一情報体151が二次元コードで識別情報を担持する場合、情報取得装置137は、二次元コード読み取り装置であり、バーコードで識別情報を担持する場合、情報取得装置137は、レーザースキャナである。
【0032】
シャトル130が備える情報取得装置137の数は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、シャトル130は1台の情報取得装置137を備えている。また、情報取得装置137の取付位置は、第一情報体151の識別情報を取得できる位置であれば特に限定されるものではない。本実施の形態の場合、情報取得装置137は、シャトル130の走行方向(つまり奥行方向)において、本体131の中央位置よりも一方側に偏って配置されている。
【0033】
情報取得装置137が情報を取得するタイミングは特に限定されるものではないが、シャトル130の走行や保持装置132の動作が行われず、通信可能状態が維持されているようなスリープ状態から復帰したタイミングで情報取得装置137は情報の取得を開始する。例えば、シャトル130は、スタッカクレーン110により搬送されている間はスリープ状態であり、ラック120のレール123、充電設備160のレール123に載置されるとスリープ状態から復帰する。また、情報取得装置137は、少なくともシャトル130の走行中において所定の間隔、例えば制御装置134の制御周期毎に情報の取得が行われてもよい。
【0034】
目印センサ135は、レール123に設けられた目印125検出するセンサである。目印センサ135の種類は、目印125の種類に対応して選定される。例えば、目印センサ135が磁石である場合、目印センサ135は、磁気センサであり、目印センサ135が凹凸である場合、目印センサ135は、距離センサである。本実施の形態の場合、目印125は、レール123に設けられた孔であるため目印センサ135は光電センサが採用されており、レール123の表面からの反射光の有無に基づき目印125の有無をセンシングしている。
【0035】
制御装置134は、本体131に取り付けられ、シャトル130の走行、および保持装置132の動作を制御し、保管領域201内において荷物200の移載を制御するいわゆるコンピュータである。制御装置134は、上位コントローラ300、およびスタッカクレーン110の少なくとも一方と通信可能であり、受信した搬送情報に基づき荷物200を搬送する。また、制御装置134は、搬送情報が割り付けられていない場合、スタッカクレーン110の通路111寄りの待機位置で停止する。本実施の形態の場合、待機位置は、第一情報体151の識別情報を情報取得装置137が取得可能な位置である原点位置より荷物200一個分程度奥側の位置であって、移載装置140により荷物200を移載する際にシャトル130が邪魔にならない位置である。原点位置とは、シャトル130が移載装置によってレール123上に載置される位置であり、レール123上のシャトル130が移載装置に保持される位置である。制御装置134は、待機位置においてシャトル130が停止した状態、および原点位置においてシャトル130が停止した状態の少なくとも一方の状態が発生した場合、シャトル停止情報を出力する。
【0036】
なお、制御装置134は、解錠情報(詳細は後述)が発生した場合、待機位置で停止しているシャトル130を原点位置にまで移動させ、最も通路に近い原点位置で停止するように制御する。また、制御装置134は、解錠情報に基づき原点位置で停止しているシャトル130に対しては、新しく割り付けられた搬送情報を取得しても次の施錠情報が発生するまで取得した搬送情報を実行しないように制御する。これにより、解錠情報により原点位置に停止しているシャトル130は、施錠情報を取得するまで停止状態が維持される。
【0037】
また、シャトル130に、通信装置の異常、保持装置132の異常、バッテリーの容量低下など、走行可能な何らかの異常が発生した場合、シャトル130は、その場で異常停止するのではなく、スタッカクレーン110によってシャトル130が搬送されるポイントである原点位置にまで移動して停止するように制御装置134はシャトル130を制御しても構わない。
【0038】
これにより、解錠情報が発生していない状態においては、異常が発生したシャトル130をスタッカクレーン110により充電設備160に移送することができる。また、解錠情報が発生している場合には、スタッカクレーン110の通路111側から作業者がシャトル130に対し電源の再投入などの処理を容易に行うことができる。
【0039】
第一情報体151は、ラック120の段、および列を区別可能な識別情報を担持し、対応するラック120の各段、各列、および充電設備160に取り付けられる部材である。本実施の形態の場合、第一情報体151は、シャトル130が走行する際の原点位置を示す機能も備えている。第一情報体151は、シャトル130に対し情報を提示できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、第一情報体151は、バーコード二次元コード、RFID(radio frequency identifier)などを例示することができる。本実施の形態の場合、第一情報体151として二次元コードが採用されている。
【0040】
第一情報体151が担持する識別情報としては、例えば、スタッカクレーン110の通路111の一方側か他方側かを区別し、ラック120の並び順を区別し、ラック120における保管領域201の段を区別し、充電設備160であるかが判断できる情報が含まれる。具体的には第一情報体151は、相互に一致しないユニークな二次元コードが付与されている。なお、第一情報体151が提示する識別情報と第一情報体151が実際に取り付けられている間口の番地、および充電設備160とは、シャトル130、および上位コントローラ300の少なくとも一方が関連付けて保持している。
【0041】
第一情報体151の取付位置は、シャトル130から読み取り可能な位置であれば特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、レール123に取り付けられている。また、一対のレール123の内、目印125が設けられていないレール123に第一情報体151が取り付けられている。本実施の形態の場合、第一情報体151は、移載装置140によってシャトル130がレール123状に移載された位置において、シャトル130が備える情報取得装置137が読み取り可能な位置に取り付けられている。第一側のラック120の各間口に取り付けられる第一情報体151の位置からスタッカクレーン110の通路111までの距離は、第二側のラック120の各間口に取り付けられる第一情報体151の位置から通路111までの距離よりも長くなるように第一情報体151は取り付けられている。これらの距離の差は、シャトル130における情報取得装置137の取付位置に依存する。
【0042】
第二情報体152は、強制停止情報を担持し、スタッカクレーン110の通路111からみてラック120の第一情報体151よりも奥側に取り付けられる部材である。本実施の形態の場合、第二情報体152は、情報取得装置137が取得可能な二次元コードを備える部材であり、いずれの第一情報体151が有する二次元コードのパターンとも異なるパターンの二次元コードを強制停止情報として備えている。
【0043】
本実施の形態の場合、第二情報体152の取付位置はレール123の奥側端から所定の距離に取り付けられる。所定の距離とは、所定の速度で走行するシャトル130が、第二情報体152を検出することにより強制停止動作を開始し停止するまでの距離に所定のマージンを加えた距離である。各保管領域201に対応して取り付けられる第二情報体152は、相互に同じ強制停止情報として同じパターンの二次元コードを備えている。
【0044】
充電設備160は、移載装置140によって移載されるシャトル130が備えるバッテリーを充電する設備である。本実施の形態の場合、充電設備160は、スタッカクレーン110の移載装置140から移載されるシャトル130を保持することができるレール123と、シャトル130が備える端子と電気的に接続可能な設備側端子を備えている。なお、充電設備160には荷物200が載置されないため、充電設備160が備えるレール123は載置棚122と一体でなくてもよい。本実施の形態の場合、充電設備160は、ラック120の外側に配置されているが、充電設備160は、ラック120内に設けられていても構わない。
【0045】
充電設備160のレール123には、移載装置140により載置されたシャトル130の情報取得装置137が読み取れる位置に第一情報体151が取り付けられている。
【0046】
安全柵171は、シャトル130、およびスタッカクレーン110が動作する動作領域への作業者の進入を阻止する柵である。安全柵171の形状や種類は、特に限定されるものではなく、また安全柵171の配置態様も限定されない。本実施の形態の場合、安全柵171は、シャトル130、スタッカクレーン110、ラック120、および充電設備160を囲った状態で配置される。なお、建屋の壁、他の装置などの存在により作業者が自動倉庫システム100内に進入できない領域がある場合、当該領域については安全柵171を設けなくても構わない。
【0047】
安全扉172は、シャトル130、およびスタッカクレーン110が動作する動作領域への作業者の進入を可能とする扉である。安全扉172の形状や種類は、特に限定されるものではなく、また安全扉172の配置位置も限定されない。本実施の形態の場合、安全扉172は、安全柵171の途中において安全柵171にヒンジを介して連結されている。安全扉172は、シャトル130の通路111の近傍に配置されている。なお、安全扉172には、シャッターなど上下に移動することにより開閉される装置も含まれる。
【0048】
図5は、錠前装置の機構部、および機能部を示すブロック図である。錠前装置180は、安全扉172に取り付けられ、安全扉172が開かないように施錠し、また作業者が安全扉172を開けて動作領域に進入できるように解錠できる装置であり、錠前機構181と、錠前制御装置182とを備えている。本実施の形態の場合、錠前装置180は、開閉入力装置185、通信装置186と、を備えている。
【0049】
錠前機構181は、入力される情報に基づき安全扉172を物理的に施錠し、また解錠できる機構であれば、特に限定されるものではない。本実施の形態の場合、錠前機構181は、閂、フックと係合体などの錠部材と、ソレノイド、モータなどの錠部材を動作させる駆動源と、駆動源を制御するドライバと、を備えている。錠前機構181は、ドライバが解錠情報を取得すると錠部材が開状態となるように駆動源を制御する。また、ドライバが施錠情報を取得すると錠部材が閉状態となるように駆動源を制御する。
【0050】
開閉入力装置185は、錠前機構181による安全扉172の解錠、施錠の指示を作業者から受け付ける装置である。開閉入力装置185の種類は、特に限定されるものではなく、押しボタン、トグルスイッチ、ピアノスイッチなどでも構わない。また、開閉入力装置185は、鍵孔を備え、当該鍵孔に合致する鍵を挿入し、鍵を作業者が回転させる事により開閉の入力を受け付けるものでも構わない。
【0051】
錠前制御装置182は、ソフトウエアにより動作するいわゆるコンピュータであって、錠前制御プログラムをプロセッサに実行させることにより実現する処理部として、停止情報取得部183と、開閉制御部184と、開閉情報取得部187と、を備えている。本実施の形態の場合、錠前制御装置182は、施錠情報出力部188を備えている。
【0052】
停止情報取得部183は、シャトル130が停止したことを示すシャトル停止情報、およびスタッカクレーン110が停止したことを示すクレーン停止情報を、通信装置186を介して取得する。停止情報取得部183は、自動倉庫システム100が備えるシャトル130の台数を把握しており、シャトル130から取得したシャトル停止情報の数と把握しているシャトル130の台数が一致した場合、シャトル全停止情報を出力する。
【0053】
開閉情報取得部187は、解錠情報を取得する。解錠情報は、作業者が開閉入力装置185を操作することに基づいて取得してもよく、上位コントローラ300から通信装置186を介して取得しても構わない。
【0054】
開閉制御部184は、シャトル全停止情報を取得しない場合、解錠情報の取得、クレーン停止情報の取得、および解錠情報の取得時点から所定の猶予時間が経過する第一解錠条件を満たした場合に錠前機構181を制御して錠前機構181を解錠状態にする。また開閉制御部184は、解錠情報、クレーン停止情報、およびシャトル全停止情報を取得する第二解錠条件を満たした場合、猶予時間の経過前であっても錠前装置180の錠前機構181を制御して錠前機構181を解錠状態にする。
【0055】
猶予時間は、複数の保管領域201における奥行方向の最大長さに基づき予め定められている。猶予時間は、例えば、保管領域201の最大長さの倍(往復分)を、荷物200を保持したシャトル130が通常走行する速度として設定された速度で割ることにより得られる値に基づき定められる。
【0056】
施錠情報出力部188は、錠前機構181が解錠状態から施錠状態になった際に施錠情報を出力する。また、錠前機構181が施錠状態を維持している場合、施錠情報出力部188は、所定の時間毎に施錠情報を出力しても構わない。
【0057】
次に、自動倉庫システム100内に作業者が進入する必要が発生した場合における自動倉庫システム100の処理の流れを説明する。
図6は、自動倉庫システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【0058】
自動倉庫システム100内に進入する必要が生じた場合、作業者は開閉入力装置185に対して解錠操作を行う(S101)。開閉情報取得部187は、作業者の開閉入力装置185の操作に基づき、解錠情報を取得し、解錠情報を開閉制御部184に出力し、錠前装置180の外部にも通信装置186を介して解錠情報を出力する(S102)。
【0059】
解錠情報を取得したスタッカクレーン110は、動作を停止し、クレーン停止情報を出力する(S103)。なお、移載装置140が荷物200、またはシャトル130を移載中は、移載作業が終了した後にスタッカクレーン110は動作を停止する。つまり、クレーン停止情報には移載装置停止情報が含まれている。また本実施の形態の場合、スタッカ―クレーン110が解錠情報を取得した場合、スタッカクレーン110がシャトル130に対して、現作業完了後に原点位置への移動を指示している。
【0060】
解錠情報に基づきシャトル130は、それぞれの状態に応じた動作を開始する。待機位置で停止しているシャトル130は(S104:停止)、原点位置にまで移動して停止し、シャトル停止情報を出力する(S105)。搬送情報が割り付けられ搬送作業中のシャトル130は(S104:作業中)、割り付けられた搬送作業を終了後にスタッカクレーン110から原点位置への移動の指示を取得して原点位置にまで移動して停止、シャトル停止情報を出力する(S106)。なお、シャトル停止情報は、スタッカクレーン110が取得する。また、シャトル130が停止していることを示すシャトル全停止情報をスタッカクレーン110が出力しても良い。
【0061】
開閉制御部184は、解錠情報、クレーン停止情報、および全てのシャトル130が停止していることを示すシャトル全停止情報を取得する第二解錠条件を満たした場合(S107:Yes)、錠前装置180の錠前機構181を制御して錠前機構181を解錠状態にする(S109)。一方、第二解錠条件が満たされていない場合(S107:No)、開閉制御部184は、解錠情報の取得、クレーン停止情報の取得、および解錠情報の取得時点から所定の猶予時間が経過している第一解錠条件を満たしている場合(S108:Yes)、錠前機構181を解錠状態にする(S109)。第一解錠条件を満たしていない場合(S108:No)、第二解錠条件の判断ステップ(S107)に戻る。
【0062】
以上の動作を、本実施の形態に係る自動倉庫システム100が実行することにより、解錠情報の発生後に、第一解錠条件、または第二解錠条件を満たさない限り、錠前装置180は、施錠状態を維持する。一方、全てのシャトル130の停止が確認できない場合においても、第一解錠条件を満たせば錠前装置180は解錠状態となり、安全扉172を開けて作業者が自動倉庫システム100内に進入できる。これは、搬送情報が割り付けられたシャトル130は、搬送情報に基づく作業の終了後に停止することが担保されているためである。つまり、搬送情報に基づく作業時間が、奥行方向における保管領域201の長さをシャトル130が往復する時間程度であることに基づき猶予時間が設定され、シャトル130が停止していることを担保する時間として猶予時間が採用される。一方、すべてのシャトル130の停止が確認できる第二解錠条件を満たす場合、猶予時間とは無関係に解錠される。
【0063】
以上により、作業者は、通信異常などにより全てのシャトル130の停止が確認できない場合でも、目視で全てのシャトル130の停止を確認したり、無駄な待ち時間を待つことなく、適切な猶予時間を待つだけで、安全に自動倉庫システム100内に進入することができる。
【0064】
また、解錠情報が出力されると、スタッカクレーン110の通路111寄りの位置である原点位置でシャトル130を停止させるため、通路111内に進入した作業者がシャトル130のメンテナンス等を実行しやすくなる。
【0065】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0066】
例えば、第一解錠条件、第二解錠条件の判断を錠前装置180が行う場合を説明したが、これらの判断などは上位コントローラ300が実行しても構わない。錠前装置180は、上位コントローラ300からの命令に基づき安全扉172の施錠と解錠とをするものでも構わない。例えば、上位コントローラ300が、自動倉庫システム100が備えるシャトル130の台数を把握しており、シャトル130から取得したシャトル停止情報の数と把握しているシャトル130の台数が一致した場合、シャトル全停止情報を出力し、停止情報取得部183は、上位コントローラ300からシャトル全停止情報を取得しても構わない。
【0067】
また、第一解錠条件、および第二解錠条件に充電設備160の停止を示す充電設備停止情報を加えても構わない。これにより、作業者の安全をより一層高めることができる。
【0068】
また、解錠情報の取得後に停止しているシャトル130は、新たに搬送情報が割り付けられても動作を開始しない場合を説明したが、解錠情報を取得した上位コントローラ300は、新規の搬送情報の割り付けを中断しても構わない。
【0069】
また、解錠情報をスタッカクレーン110が取得し、スタッカクレーン110がシャトル130に対して原点位置への移動を指示する場合を説明したが、シャトル130が解錠情報を取得することにより原点位置へ移動しても構わない。
【0070】
また、解錠情報は、作業者が開閉入力装置185を操作することにより出力される場合を説明したが、自動倉庫システム100の何らかの異常を上位コントローラ300が把握した場合に、上位コントローラ300が解錠情報を出力してもかまわない。
【0071】
また、原点位置にシャトル130が停止したことを示すシャトル停止情報をシャトル130が出力する場合を説明したが、ラック120に取り付けられたセンサにより原点位置に停止しているシャトル130を検出し、上位コントローラ300がシャトル停止情報を出力しても構わない。
【0072】
また、猶予時間を保管領域201の奥行方向の最大長さに基づき設定したが、シャトル130が存在している保管領域201を把握しておき、シャトル130が配置されている保管領域201の奥行方向の長さごとに猶予時間を計算し、シャトル停止情報が取得できなかったシャトル130に対して個別に計算された猶予時間の内の最大の猶予時間の経過を判断しても構わない。
【0073】
また、搬送情報が割り付けられているシャトル130に関しては、解錠情報が出力された直前のシャトル130の作業の進捗を把握し、推測された作業の残り時間の最も長い時間から猶予時間を設定しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、複数のシャトルとシャトルを移送することができるスタッカクレーンとを備えた自動倉庫システムなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0075】
100 自動倉庫システム
110 スタッカクレーン
111 通路
112 軌道
113 マスト
114 昇降台
115 台車
120 ラック
121 柱
122 載置棚
123 レール
124 固定部材
125 目印
130 シャトル
131 本体
132 保持装置
133 ローラ
134 制御装置
135 目印センサ
136 昇降テーブル
137 情報取得装置
140 移載装置
151 第一情報体
152 第二情報体
160 充電設備
171 安全柵
172 安全扉
180 錠前装置
181 錠前機構
182 錠前制御装置
183 停止情報取得部
184 開閉制御部
185 開閉入力装置
186 通信装置
187 開閉情報取得部
188 施錠情報出力部
200 荷物
201 保管領域
300 上位コントローラ