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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】放熱構造および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
H05K7/20 F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020141071
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036718
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】若林 大介
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-087609(JP,A)
【文献】実開昭59-125176(JP,U)
【文献】特開2006-156465(JP,A)
【文献】特開2020-102574(JP,A)
【文献】特開平11-251497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の突起に接続された第1の部材と、
前記第1の突起と係合可能な凹部が設けられた第2の部材と、
伝熱部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材との取り外しを防止する第1の取り外し防止機構であって、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材に設けられた第1のガイド溝と、他方の部材に接続された第1のフック部材と、を備える、第1の取り外し防止機構と、
を備え、
前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材の表面または内部に発熱部が存在しており、他方の部材に前記伝熱部材が接続されており、
前記第2の部材の前記第1の部材と対向する面に前記第1の突起が接触している状態において、前記発熱部と前記伝熱部材との間に隙間が生じ、
前記一方の部材に対して前記他方の部材が相対的にスライドされることにより、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態を維持しながら前記第1のガイド溝に沿って移動し、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態において前記一方の部材に係合するとともに、前記第1の突起が前記凹部に対向する位置に達し、前記第1の突起が前記凹部に係合した状態において、前記発熱部と前記伝熱部材とが接触する、
放熱構造。
【請求項2】
第1の突起に接続された第1の部材と、
前記第1の突起と係合可能な凹部が設けられた第2の部材と、
伝熱部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材との取り外しを防止する第1の取り外し防止機構であって、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材に設けられた第1のガイド溝と、他方の部材に接続された第1のフック部材と、を備える、第1の取り外し防止機構と、
前記第1の部材と前記第2の部材との取り外しを防止する第2の取り外し防止機構であって、第2のフック部材と、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材に設けられた第2のガイド溝および被固定部材と、他方の部材に接続された第2の突起と、を備える、第2の取り外し防止機構と、
を備え、
前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材の表面または内部に発熱部が存在しており、他方の部材に前記伝熱部材が接続されており、
前記第2の部材の前記第1の部材と対向する面に前記第1の突起が接触している状態において、前記発熱部と前記伝熱部材との間に隙間が生じ、
前記一方の部材に対して前記他方の部材が相対的にスライドされることにより、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態を維持しながら前記第1のガイド溝に沿って移動し、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態において前記一方の部材に係合するとともに、前記第1の突起が前記凹部に対向する位置に達し、前記第1の突起が前記凹部に係合した状態において、前記発熱部と前記伝熱部材とが接触し、
前記第2のフック部材は、前記第2のガイド溝に挿入された前記第2の突起と係合した状態において、前記被固定部材に固定される、
放熱構造。
【請求項3】
前記第2のフック部材の延在方向は、前記第1のフック部材の延在方向と異なる、
請求項に記載の放熱構造。
【請求項4】
前記隙間の間隔は、前記第1の突起が前記凹部に係合するときに前記凹部に挿入される前記第1の突起の長さ以下である、
請求項1~のいずれか一項に記載の放熱構造。
【請求項5】
前記発熱部は、電子部品を含み、
前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材は、前記電子部品が配置された基板である、
請求項1~のいずれか一項に記載の放熱構造。
【請求項6】
前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、他方の部材は、前記基板を覆う筐体である、
請求項に記載の放熱構造。
【請求項7】
前記発熱部は、前記第1の部材の表面または内部に存在し、
前記伝熱部材は、前記第2の部材に接続されている、
請求項1~のいずれか一項に記載の放熱構造。
【請求項8】
前記発熱部は、前記第2の部材の表面または内部に存在し、
前記伝熱部材は、前記第1の部材に接続されている、
請求項1~のいずれか一項に記載の放熱構造。
【請求項9】
第1の突起に接続された第1の部材と、
前記第1の突起と係合可能な凹部が設けられた第2の部材と、
伝熱部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材との取り外しを防止する第1の取り外し防止機構であって、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材に設けられた第1のガイド溝と、他方の部材に接続された第1のフック部材と、を備える、第1の取り外し防止機構と、
を備え、
前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材の表面または内部に発熱部が存在しており、他方の部材に前記伝熱部材が接続されており、
前記第2の部材の前記第1の部材と対向する面に前記第1の突起が接触している状態において、前記発熱部と前記伝熱部材との間に隙間が生じ、
前記一方の部材に対して前記他方の部材が相対的にスライドされることにより、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態を維持しながら前記第1のガイド溝に沿って移動し、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態において前記一方の部材に係合するとともに、前記第1の突起が前記凹部に対向する位置に達し、前記第1の突起が前記凹部に係合した状態において、前記発熱部と前記伝熱部材とが接触する、
電子機器。
【請求項10】
第1の突起に接続された第1の部材と、
前記第1の突起と係合可能な凹部が設けられた第2の部材と、
伝熱部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材との取り外しを防止する第1の取り外し防止機構であって、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材に設けられた第1のガイド溝と、他方の部材に接続された第1のフック部材と、を備える、第1の取り外し防止機構と、
前記第1の部材と前記第2の部材との取り外しを防止する第2の取り外し防止機構であって、第2のフック部材と、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材に設けられた第2のガイド溝および被固定部材と、他方の部材に接続された第2の突起と、を備える、第2の取り外し防止機構と、
を備え、
前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材の表面または内部に発熱部が存在しており、他方の部材に前記伝熱部材が接続されており、
前記第2の部材の前記第1の部材と対向する面に前記第1の突起が接触している状態において、前記発熱部と前記伝熱部材との間に隙間が生じ、
前記一方の部材に対して前記他方の部材が相対的にスライドされることにより、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態を維持しながら前記第1のガイド溝に沿って移動し、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態において前記一方の部材に係合するとともに、前記第1の突起が前記凹部に対向する位置に達し、前記第1の突起が前記凹部に係合した状態において、前記発熱部と前記伝熱部材とが接触し、
前記第2のフック部材は、前記第2のガイド溝に挿入された前記第2の突起と係合した状態において、前記被固定部材に固定される、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱構造および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発熱部品によって発された熱を移動させる放熱構造に関する技術が知られている。一例として、発熱部品と伝熱板との双方に対して伝熱部材の例としての熱伝導シートを接触させ、発熱部品によって発せられた熱を、熱伝導シートを介して伝熱板に移動させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。かかる技術では、熱伝導シートを発熱部品と伝熱板との双方に対して接触させなくてはならないために、これらの組み立てを行う手法には各種の制限が掛けられる。
【0003】
例えば、発熱部品が配置された基板に対して伝熱板をスライドさせることによって組み立てを行う手法が想定される。かかる場合に、熱伝導シートを発熱部品と伝熱板との双方に対して接触させるために、伝熱板に貼り付けられた熱伝導シートを発熱部品に接触させながら、伝熱板をスライドさせることが想定される。このとき、熱伝導シートが発熱部品から受ける干渉(例えば、摩擦など)によって熱伝導シートが剥がれてしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-251634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、発熱部が形成される部材に対して、伝熱部材に接続された部材を相対的にスライドさせて組み立てが行われる構造において、スライドの段階において伝熱部材が発熱部から干渉を受けてしまう可能性を低減することが可能な技術が提供されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1の突起に接続された第1の部材と、前記第1の突起と係合可能な凹部が設けられた第2の部材と、伝熱部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との取り外しを防止する第1の取り外し防止機構であって、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材に設けられた第1のガイド溝と、他方の部材に接続された第1のフック部材と、を備える、第1の取り外し防止機構と、を備え、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材の表面または内部に発熱部が存在しており、他方の部材に前記伝熱部材が接続されており、前記第2の部材の前記第1の部材と対向する面に前記第1の突起が接触している状態において、前記発熱部と前記伝熱部材との間に隙間が生じ、前記一方の部材に対して前記他方の部材が相対的にスライドされることにより、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態を維持しながら前記第1のガイド溝に沿って移動し、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態において前記一方の部材に係合するとともに、前記第1の突起が前記凹部に対向する位置に達し、前記第1の突起が前記凹部に係合した状態において、前記発熱部と前記伝熱部材とが接触する、放熱構造が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1の突起に接続された第1の部材と、前記第1の突起と係合可能な凹部が設けられた第2の部材と、伝熱部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との取り外しを防止する第1の取り外し防止機構であって、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材に設けられた第1のガイド溝と、他方の部材に接続された第1のフック部材と、を備える、第1の取り外し防止機構と、前記第1の部材と前記第2の部材との取り外しを防止する第2の取り外し防止機構であって、第2のフック部材と、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材に設けられた第2のガイド溝および被固定部材と、他方の部材に接続された第2の突起と、を備える、第2の取り外し防止機構と、を備え、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材の表面または内部に発熱部が存在しており、他方の部材に前記伝熱部材が接続されており、前記第2の部材の前記第1の部材と対向する面に前記第1の突起が接触している状態において、前記発熱部と前記伝熱部材との間に隙間が生じ、前記一方の部材に対して前記他方の部材が相対的にスライドされることにより、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態を維持しながら前記第1のガイド溝に沿って移動し、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態において前記一方の部材に係合するとともに、前記第1の突起が前記凹部に対向する位置に達し、前記第1の突起が前記凹部に係合した状態において、前記発熱部と前記伝熱部材とが接触し、前記第2のフック部材は、前記第2のガイド溝に挿入された前記第2の突起と係合した状態において、前記被固定部材に固定される、放熱構造が提供される。
【0012】
前記第2のフック部材の延在方向は、前記第1のフック部材の延在方向と異なってもよい。
【0013】
前記隙間の間隔は、前記第1の突起が前記凹部に係合するときに前記凹部に挿入される前記第1の突起の長さ以下であってもよい。
【0014】
前記発熱部は、電子部品を含み、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材は、前記電子部品が配置された基板であってもよい。
【0015】
前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、他方の部材は、前記基板を覆う筐体であってもよい。
【0016】
前記発熱部は、前記第1の部材の表面または内部に存在し、前記伝熱部材は、前記第2の部材に接続されていてもよい。
【0017】
前記発熱部は、前記第2の部材の表面または内部に存在し、前記伝熱部材は、前記第1の部材に接続されていてもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1の突起に接続された第1の部材と、前記第1の突起と係合可能な凹部が設けられた第2の部材と、伝熱部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との取り外しを防止する第1の取り外し防止機構であって、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材に設けられた第1のガイド溝と、他方の部材に接続された第1のフック部材と、を備える、第1の取り外し防止機構と、を備え、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材の表面または内部に発熱部が存在しており、他方の部材に前記伝熱部材が接続されており、前記第2の部材の前記第1の部材と対向する面に前記第1の突起が接触している状態において、前記発熱部と前記伝熱部材との間に隙間が生じ、前記一方の部材に対して前記他方の部材が相対的にスライドされることにより、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態を維持しながら前記第1のガイド溝に沿って移動し、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態において前記一方の部材に係合するとともに、前記第1の突起が前記凹部に対向する位置に達し、前記第1の突起が前記凹部に係合した状態において、前記発熱部と前記伝熱部材とが接触する、電子機器が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1の突起に接続された第1の部材と、前記第1の突起と係合可能な凹部が設けられた第2の部材と、伝熱部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との取り外しを防止する第1の取り外し防止機構であって、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材に設けられた第1のガイド溝と、他方の部材に接続された第1のフック部材と、を備える、第1の取り外し防止機構と、前記第1の部材と前記第2の部材との取り外しを防止する第2の取り外し防止機構であって、第2のフック部材と、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材に設けられた第2のガイド溝および被固定部材と、他方の部材に接続された第2の突起と、を備える、第2の取り外し防止機構と、を備え、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち、一方の部材の表面または内部に発熱部が存在しており、他方の部材に前記伝熱部材が接続されており、前記第2の部材の前記第1の部材と対向する面に前記第1の突起が接触している状態において、前記発熱部と前記伝熱部材との間に隙間が生じ、前記一方の部材に対して前記他方の部材が相対的にスライドされることにより、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態を維持しながら前記第1のガイド溝に沿って移動し、前記第1のフック部材が前記第1のガイド溝に挿入された状態において前記一方の部材に係合するとともに、前記第1の突起が前記凹部に対向する位置に達し、前記第1の突起が前記凹部に係合した状態において、前記発熱部と前記伝熱部材とが接触し、前記第2のフック部材は、前記第2のガイド溝に挿入された前記第2の突起と係合した状態において、前記被固定部材に固定される、電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、発熱部が形成される部材に対して、伝熱部材に接続された部材を相対的にスライドさせて組み立てが行われる構造において、スライドの段階において伝熱部材が発熱部から干渉を受けてしまう可能性を低減することが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に係る放熱構造が有する基板の外観を示す斜視図である。
図2】同実施形態に係る放熱構造が有する筐体の外観を示す斜視図である。
図3】フック部材がガイド溝に挿入された時点における基板側の構造と筐体側の構造とをフック部材の厚さ方向に見た拡大側面図である。
図4】フック部材がガイド溝に沿って移動した後における基板側の構造と筐体側の構造とをフック部材の厚さ方向に見た拡大側面図である。
図5】突起が凹部に係合した状態における基板側の構造と筐体側の構造とをフック部材の厚さ方向に見た拡大側面図である。
図6】同実施形態による伝熱部材の潰し量の調整について説明するための図である。
図7】同実施形態に係る手法によって組み立てられた後の基板側の構造と筐体側の構造との外観を示す斜視図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る放熱構造が有する基板の外観を示す斜視図である。
図9】同実施形態に係る放熱構造が有する筐体の外観を示す斜視図である。
図10】同実施形態に係る手法によって組み立てられた後の基板側の構造と筐体側の構造との外観を基板が上側に位置する角度で示した斜視図である。
図11図10の第2の取り外し防止機構の周辺を拡大して示した斜視図である。
図12図10の第1の取り外し防止機構の周辺を拡大して示した斜視図である。
図13】同実施形態に係る手法によって組み立てられた後の基板側の構造と筐体側の構造との外観を筐体が上側に位置する角度で示した斜視図である。
図14】本発明の第3の実施形態に係る放熱構造が有する基板の外観を示す斜視図である。
図15】同実施形態に係る放熱構造が有する筐体の外観を示す斜視図である。
図16】基板が筐体に挿入され始めた時点における基板側の構造と筐体側の構造とを筐体の挿入方向に見た側面図である。
図17】筐体の奥側への基板の挿入が終わった時点における基板側の構造と筐体側の構造とを筐体の挿入方向に見た側面図である。
図18】同実施形態に係る手法によって組み立てられた後の基板側の構造と筐体側の構造との外観を示した斜視図である。
図19図18に示された組み立て後の構造の外観を上下逆にして示した斜視図である。
図20】変形例1を説明するための図である。
図21】変形例2を説明するための図である。
図22】変形例3を説明するための図である。
図23】一般的な放熱構造に関する技術について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字またはアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、異なる実施形態の類似する構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0023】
<<0.概要>>
まず、本発明の実施形態の概要について説明する。近年、発熱部品によって発された熱を移動させる放熱構造に関する技術が知られている。一例として、発熱部品と伝熱板との双方に対して伝熱部材の例としての熱伝導シートを接触させ、発熱部品によって発せられた熱を、熱伝導シートを介して伝熱板に移動させる技術が開示されている。かかる技術では、熱伝導シートを発熱部品と伝熱板との双方に対して接触させなくてはならないために、これらの組み立てを行う手法には制限が掛けられる。かかる技術の一例について、図23を参照しながら説明する。
【0024】
図23は、一般的な放熱構造に関する技術について説明するための図である。図23を参照すると、発熱部品301および発熱部品302と伝熱板410との双方に対して、伝熱部材の例としての熱伝導シート420を接触させ、発熱部品301および発熱部品302によって発せられた熱を、熱伝導シート420を介して伝熱板410に移動させる技術が示されている。基板300と伝熱板410とは、ばね付きのピンによって固定され、伝熱板410と筐体(上側カバー210および下側カバー231)とは、ねじによって固定されている。
【0025】
例えば、基板300に対して伝熱板410をスライドさせることによって組み立てを行う手法が想定される。かかる場合に、熱伝導シート420を発熱部品301および発熱部品302と伝熱板410との双方に対して接触させるために、伝熱板410に貼り付けられた熱伝導シート420を発熱部品301および発熱部品302に接触させながら+X方向にスライドさせることが想定される。このとき、熱伝導シート420と発熱部品301および発熱部品302との間に生じる摩擦によって熱伝導シート420が剥がれてしまう可能性がある。
【0026】
一方、近年では、液体状の熱伝導材料が開発されている。かかる液体状の熱伝導材料は、熱伝導シート420のように摩擦によって剥がれてしまう可能性が低い。しかしながら、かかる液体状の熱伝導材料を用いた場合には、専用のディスペンサーの導入コストが掛かってしまうといった事情が生じる。
【0027】
そこで、本発明の実施形態に係る放熱構造は、第1の突起に接続された第1の部材と、第1の突起と係合可能な凹部が設けられた第2の部材と、伝熱部材と、を備える。さらに、第1の部材と第2の部材とのうち、一方の部材の表面または内部に発熱部が存在しており、他方の部材に伝熱部材が接続されている。そして、第2の部材の第1の部材と対向する面に第1の突起が接触している状態において、発熱部と伝熱部材との間に隙間が生じ、第1の突起が凹部に係合した状態において、発熱部と伝熱部材とが接触する。
【0028】
かかる構成によれば、発熱部が形成される部材に対して、伝熱部材に接続された部材を相対的にスライドさせて組み立てが行われる構造において、専用のディスペンサーの導入コストを掛けずに、スライドの段階において伝熱部材が発熱部から干渉(例えば、摩擦など)を受けてしまう可能性を低減することが可能となる。これによって、一例として、伝熱部材が剥がれてしまう可能性が低減される。
【0029】
以下では、発熱部が、一方の部材の表面に存在する場合を主に想定する。しかし、後にも説明するように、発熱部は、一方の部材の内部に存在してもよい。さらに、以下では、発熱部が、凹部が設けられた第2の部材の表面に存在し、伝熱部材が、第1の突起に接続された第1の部材に接続されている場合を主に想定する。しかし、発熱部が、第1の突起に接続された第1の部材の表面に存在し、伝熱部材が、凹部が設けられた第2の部材に接続されていてもよい。
【0030】
さらに、以下では、第1の突起に接続された第1の部材が、筐体であり、凹部が設けられた第2の部材が、筐体によって覆われる基板である場合を主に想定する。これは、筐体よりも基板に凹部を設けやすいなどといった理由による。しかし、第1の突起に接続された第1の部材が、筐体によって覆われる基板であってもよく、凹部が設けられた第2の部材が、筐体であってもよい。なお、基板は、電子部品が配置される板であり、かかる電子部品が発熱部に含まれ得る。
【0031】
以上、本発明の実施形態の概要について説明した。以下では、本発明の各実施形態について順次に説明する。
【0032】
<<1.第1の実施形態>>
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態に係る放熱構造は、一例として電子機器に備えられる。ここで、本発明の第1の実施形態に係る放熱構造は、基板側の構造と筐体側の構造とに主に分けられる。
【0033】
(1.1.基板側の構造)
最初に、本発明の第1の実施形態に係る放熱構造が有する基板側の構造について説明する。
【0034】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放熱構造が有する基板の外観を示す斜視図である。図1を参照すると、放熱構造が有する基板10が示されている。基板10は、電子部品が配置される板であり、基板10の材質は限定されない。基板10の表面には、発熱部11が存在している。発熱部11には、基板10に配置される電子部品の一部または全部が含まれている。ここで、発熱部11に含まれる電子部品の種類は限定されない。例えば、演算装置などといった発熱量の比較的高い電子部品が発熱部11に含まれていれば、本発明の第1の実施形態に係る放熱構造が好適に実施され得る。
【0035】
さらに、図1を参照すると、基板10には、凹部12a~12fが設けられている。図1に示された例では、基板10に設けられる凹部12の数が6つであるが、凹部12の数は6つに限定されない。例えば、凹部12の数は、1つであってもよいし、6つ以外の複数であってもよい。ここでは、凹部12a~12fが基板10の厚さ方向に貫通した孔である場合を主に想定する。しかし、凹部12a~12fは、基板10の厚さ方向に貫通していない孔(すなわち、窪み)であってもよい。
【0036】
図1に示された例では、凹部12a~12fそれぞれの口の形状が円形であるが、凹部12a~12fそれぞれの口の形状は、限定されない。例えば、凹部12a~12fそれぞれの口の形状は、矩形であってもよい。また、凹部12a~12fそれぞれの口のサイズも限定されない。さらに、凹部12a~12fが設けられる基板10における位置も限定されない。しかし、図1に示されたように、凹部12a~12fが基板10の端部に設けられれば、電子部品が効率よく配置されることが想定され得る。
【0037】
また、図1を参照すると、基板10には、ガイド溝13a、13b(第1のガイド溝)が設けられている。図1に示された例では、基板10に設けられるガイド溝13の数が2つであるが、ガイド溝13の数は2つに限定されない。例えば、ガイド溝13の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。ガイド溝13a、13bは、基板10の厚さ方向に貫通した溝である。後にも説明するように、ガイド溝13a、13bは、基板10と筐体20(図2)との取り外しを防止する取り外し防止機構(第1の取り外し防止機構)を構成し得る。
【0038】
図1に示された例では、ガイド溝13a、13bそれぞれの口の形状が矩形であるが、ガイド溝13a、13bそれぞれの口の形状は、限定されない。ガイド溝13a、13bそれぞれの口のサイズも限定されない。さらに、ガイド溝13a、13bが設けられる基板10における位置も限定されない。しかし、図1に示されたように、ガイド溝13a、13bが基板10の端部に設けられれば、電子部品が効率よく配置されることが想定され得る。
【0039】
なお、図1に示された例では、ガイド溝13a、13bのガイド方向(すなわち、ガイド溝13a、13bの口の長手方向)にX軸が設定されている。また、基板10の面方向のうちX軸に垂直な方向(すなわち、ガイド溝13a、13bの口の短手方向)にY軸が設定されている。さらに、基板10の厚さ方向にZ軸が設定されている。以下の説明においては、説明の理解のしやすさを考慮し、これらのX軸、Y軸およびZ軸を適宜に利用する。
【0040】
(1.2.筐体側の構造)
続いて、本発明の第1の実施形態に係る放熱構造が有する筐体側の構造について説明する。
【0041】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る放熱構造が有する筐体の外観を示す斜視図である。図2を参照すると、放熱構造が有する筐体20が示されている。筐体20は、放熱構造において基板10に対向する部材である。例えば、筐体20が板金によって構成されていれば筐体20の外部への放熱が効率よく行われ得るが、筐体20の材質は限定されない。筐体20の表面には、伝熱部材21が接続されている。伝熱部材21は、筐体20に直接的に接続されているのが望ましいが、何らかの部材を介して筐体20に間接的に接続されていてもよい。本発明の第1の実施形態においては、伝熱部材21が熱伝導シートである場合を主に想定する。しかし、後にも説明するように、伝熱部材21の種類は限定されない。
【0042】
さらに、図2を参照すると、筐体20には、突起22a~22f(第1の突起)が接続されている。突起22aは、凹部12aに係合可能である。同様に、突起22bは、凹部12bに係合可能であり、突起22cは、凹部12cに係合可能であり、突起22dは、凹部12dに係合可能であり、突起22eは、凹部12eに係合可能であり、突起22fは、凹部12fに係合可能である。図2に示された例では、筐体20に接続されている突起22の数が6つであるが、突起22の数は6つに限定されない。例えば、突起22の数は、基板10に設けられる凹部12の数に応じて適宜に決められてよい。
【0043】
突起22a~22fそれぞれの形状は、限定されない。例えば、突起22a~22fの形状は、凹部12a~12fの形状に応じて適宜に決められてよい。突起22a~22fそれぞれのサイズも限定されない。例えば、突起22a~22fのサイズは、凹部12a~12fのサイズに応じて適宜に決められてよい。例えば、凹部12a~12fの径は、突起22a~22fの径よりも大きければよい。さらに、突起22a~22fそれぞれが設けられる筐体20における位置も限定されない。例えば、突起22a~22fの位置は、凹部12a~12fの位置に応じて適宜に決められてよい。
【0044】
また、図2を参照すると、筐体20には、フック部材23a、23b(第1のフック部材)が接続されている。例えば、フック部材23a、23bは、図示しない固定具(例えば、ねじなど)によって筐体20に固定されている。フック部材23aは、ガイド溝13aに挿入され得る。また、フック部材23bは、ガイド溝13bに挿入され得る。図2に示された例では、筐体20に設けられるフック部材23の数が2つであるが、フック部材23の数は2つに限定されない。例えば、フック部材23の数は、ガイド溝13の数に応じて適宜に決められてよい。後にも説明するように、フック部材23a、23bは、基板10と筐体20との取り外しを防止する取り外し防止機構(第1の取り外し防止機構)を構成し得る。
【0045】
フック部材23a、23b、ガイド溝13a、13bのそれぞれのサイズはフック部材がガイド溝に入るサイズであれば限定されない。例えば、フック部材23a、23bのサイズは、ガイド溝13a、13bのサイズに応じて適宜に決められてよい。例えば、ガイド溝13a、13bのガイド方向(X方向)の長さは、フック部材23a、23bの幅(X方向の長さ)よりも大きい。また、ガイド溝13a、13bの幅(Y方向の長さ)は、フック部材23a、23bの厚さ(Y方向の長さ)と同等または僅かに大きいのが望ましい。さらに、フック部材23a、23bが設けられる筐体20における位置も限定されない。例えば、フック部材23a、23bの位置は、ガイド溝13a、13bの位置に応じて適宜に決められてよい。
【0046】
なお、図1に示された例では、フック部材23a、23bが、筐体20に接続されているが、フック部材23a、23bは、基板10に接続されていてもよい。かかる場合には、フック部材23a、23bが挿入されるガイド溝13a、13bは、基板10の代わりに、筐体20に設けられればよい。同様に、図1に示された例では、突起22a~22fが、筐体20に接続されているが、突起22a~22fは、基板10に設けられてもよい。かかる場合には、突起22a~22fが係合する凹部12a~12fは、基板10の代わりに、筐体20に設けられればよい。
【0047】
(1.3.組み立て手法)
続いて、図1を参照しながら説明した基板側の構造と、図2を参照しながら説明した筐体側の構造とを組み立てる手法について説明する。まず、作業者または機械によって、筐体20に接続されているフック部材23aが、基板10に設けられたガイド溝13aに挿入され、筐体20に接続されているフック部材23bが、基板10に設けられたガイド溝13bに挿入される。
【0048】
図3は、フック部材23aがガイド溝13aに挿入された時点における基板側の構造と筐体側の構造とをフック部材23の厚さ方向(+Y方向)に見た拡大側面図である。図3を参照すると、筐体20に接続されているフック部材23aが基板10に設けられたガイド溝13aに挿入されている。なお、図示されていないが、フック部材23bもガイド溝13bに挿入されている。このとき、筐体20に設けられた突起22bは、基板10の筐体20に対向する面に接触している。図示されていないが、突起22a、22c~22fも基板10の筐体20に対向する面に接触している。
【0049】
また、図3に示されるように、基板10の筐体20に対向する面に発熱部11が存在しており、筐体20の基板10に対向する面に伝熱部材21が接続されている。しかし、突起22a~22fが基板10の筐体20に対向する面に接触している状態において、発熱部11と伝熱部材21との間には隙間が生じている。
【0050】
なお、図3に示された例では、突起22bと伝熱部材21とが共に筐体20の表面に存在し、発熱部11が基板10の表面に存在している。したがって、図3に示された例では、伝熱部材21と発熱部11との厚さの合計よりも突起22bの高さが大きければ、突起22bが基板10の筐体20に対向する面に接触している状態において、発熱部11と伝熱部材21との間に隙間が生じることになる。
【0051】
図3に示されたように、フック部材23aがガイド溝13aに挿入された時点においては、基板10と筐体20との間には、基板10および筐体20の面方向にずれが生じている(すなわち、筐体20に対して基板10が+X方向にずれている)。したがって、フック部材23aがガイド溝13aに挿入された状態を維持しながら、ガイド溝13aに沿って移動するように(基板10に対して相対的に+X方向に移動するように)、作用者または機械が筐体20をスライドさせる。
【0052】
図4は、フック部材23aがガイド溝13aに沿って移動した後における基板側の構造と筐体側の構造とをフック部材23の厚さ方向(+Y方向)に見た拡大側面図である。図4を参照すると、フック部材23aがガイド溝13aに挿入された状態を維持しながら、ガイド溝13aに沿って移動し、基板10に係合している。なお、図示されていないが、フック部材23bもガイド溝13bに挿入された状態を維持しながら、ガイド溝13bに沿って移動し、基板10に係合している。
【0053】
フック部材23aが基板10に係合するまでガイド溝13aに沿って移動すると、突起22bが(基板10の筐体20と対向する面に接触しながら)凹部12bに対向する位置に達する。図示されていないが、フック部材23aが基板10に係合するまでガイド溝13aに沿って移動すると、突起22a、22c~22fも(基板10の筐体20と対向する面に接触しながら)凹部12a、12c~12fに対向する位置に達する。その後、筐体20が重力に従って基板10に近づくとともに、突起22a~22fが、凹部12a~12fに係合する。なお、フック部材23とガイド溝13によって第1の取り外し防止機構が構成される。
【0054】
図5は、突起22bが、凹部12bに係合した状態における基板側の構造と筐体側の構造とをフック部材23の厚さ方向(+Y方向)に見た拡大側面図である。図5を参照すると、突起22bが凹部12bに係合している。なお、図示していないが、突起22a、22c~22fも、凹部12a、12c~12fに係合している。そして、突起22a~22fが凹部12a~12fに係合した状態において、発熱部11と伝熱部材21とが接触する。
【0055】
(1.4.効果)
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、発熱部11が形成される基板10に対して、伝熱部材21に接続された筐体20がスライドされている間は、伝熱部材21が発熱部11との間に隙間が生じる。そのため、伝熱部材21が発熱部11から干渉(例えば、摩擦など)を受けてしまう可能性を低減することが可能となる。これによって、一例として、伝熱部材21が剥がれてしまう可能性が低減される。さらに、かかる構成によれば、伝熱部材21として液体状の状熱伝導材料を用いる必要がないため、専用のディスペンサーの導入コストが掛からずに済む。
【0056】
さらに、図23を参照しながら説明したように、一般的な放熱構造に関する技術においては、伝熱部材21が押し潰される量(以下、「潰し量」とも言う。)は、ばね付きのピン(または、ねじのトルク)によって調整される必要がある。それに対して、本発明の第1の実施形態によれば、伝熱部材21の潰し量は、突起22a~22fの高さによって調整され得る。
【0057】
図6は、本発明の第1の実施形態による伝熱部材21の潰し量の調整について説明するための図である。図6を参照すると、図4に示された例と同様に、フック部材23aがガイド溝13aに沿って移動した後における基板側の構造と筐体側の構造とが示されている。この時点においては、突起22bは、凹部12bに係合していないため、発熱部11と伝熱部材21との間に隙間が生じている。図6を参照すると、発熱部11と伝熱部材21との間の隙間の間隔がD1として示されている。
【0058】
図6に示された例では、凹部12bは、窪みであり、凹部12bの深さがD3として示されている。さらに、図6を参照すると、突起22bの高さがD21として示されている。発熱部11が潰れないと仮定すると、伝熱部材21の潰し量は、(凹部12bの深さD3)-(隙間の間隔D1)として算出され、隙間の間隔D1は、突起22bの高さD21によって調整され得るため、この突起の高さD21の調整によって、伝熱部材21の潰し量が調整され得る。発熱部11が潰れる場合においても、この突起の高さD21の調整によって、伝熱部材21の潰し量が調整され得る。なお、隙間の間隔D1が凹部12bの深さD3以下となるように突起の高さD21が調整されれば、突起22bが凹部12bに係合したときに、発熱部11と伝熱部材21とが接触する。
【0059】
上記では、伝熱部材21の例として熱伝導シートが用いられる場合を主に想定した。しかし、伝熱部材21は、熱伝導性両面テープであってもよい。熱伝導性両面テープは、熱伝導シートよりも厚さが小さいため(例えば、熱伝導シートの厚さは、最低でも0.5mmであるのに対して、熱伝導性両面テープの厚さは、0.2mm程度であるため)、省スペース化が実現され得る。
【0060】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る手法によって組み立てられた後の基板側の構造と筐体側の構造との外観を示す斜視図である。図7を参照すると、基板10に設けられた凹部12a~12fに、筐体20に接続された突起22a~22fが係合しており、基板10の表面に存在する発熱部11と筐体20に接続された伝熱部材21とが接触している。さらに、フック部材23aおよびフック部材23bが基板10に係合しているため、基板10と筐体20との取り外しが防止され得る。
【0061】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0062】
<<2.第2の実施形態>>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。以下では、本発明の第2の実施形態に係る構成のうち、本発明の第1の実施形態に係る構成と共通する構成については、詳細な説明を省略し、本発明の第1の実施形態に係る構成と異なる構成について主に説明する。
【0063】
(2.1.基板側の構造)
最初に、本発明の第2の実施形態に係る放熱構造が有する基板側の構造について説明する。
【0064】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る放熱構造が有する基板の外観を示す斜視図である。図8を参照すると、放熱構造が有する基板30が示されている。本発明の第1の実施形態に係る基板10と同様に、本発明の第2の実施形態に係る基板30にも、凹部12a~12fとガイド溝13a、13bとが設けられている。さらに、本発明の第1の実施形態に係る基板10と同様に、本発明の第2の実施形態に係る基板30の表面にも、発熱部11が存在している。
【0065】
ただし、本発明の第2の実施形態に係る基板側の構造の特徴をより把握しやすくするため、図8に示された斜視図は、基板30の面のうち、図1に示された斜視図において視認される面と反対側の面が視認される角度によって示されている。
【0066】
それに合わせて、図1に示された例では、発熱部11が直接視認できる位置に配置されていたが、図8に示された例では、発熱部11が直接は視認できない位置に配置されている(破線によって示されている)。それに加えて、図8においては、基板30の厚さ方向に設定されるZ軸の向きが、図1において設定されていたZ軸の向きと反対向きとなっている。
【0067】
この他、図8を参照すると、基板30には、ガイド溝33(第2のガイド溝)が設けられている。図8に示された例では、基板30に設けられるガイド溝33の数が1つであるが、ガイド溝33の数は1つに限定されない。例えば、ガイド溝33の数は、2つ以上であってもよい。ガイド溝33は、基板30の厚さ方向に貫通した溝である。後にも説明するように、ガイド溝33は、基板30と筐体40(図9)との取り外しを防止する取り外し防止機構(第2の取り外し防止機構)を構成し得る。
【0068】
図8に示された例では、ガイド溝33のガイド方向(X方向)は、ガイド溝13a、13bのガイド方向と一致しているが、ガイド方向は限定されない。また、図8に示された例では、ガイド溝33の口の形状が矩形であるが、ガイド溝33の口の形状は、限定されない。ガイド溝33の口のサイズも限定されない。さらに、ガイド溝33が設けられる基板30における位置も限定されない。しかし、図8に示されたように、ガイド溝33が基板30の端部に設けられれば、電子部品が効率よく配置されることが想定され得る。
【0069】
さらに、図8を参照すると、基板30には、被固定部材31と、固定具34(例えば、ねじ)とが設けられている。固定具34は、被固定部材31を基板30の筐体40と対向する面とは反対側の面(すなわち、発熱部11が存在する面とは異なる面)に固定する。
【0070】
被固定部材31には、後に説明する固定具53(図10)が貫通する孔部32が設けられている。被固定部材31のうち孔部32が設けられている面の方向は、ガイド溝33のガイド方向と異なる。例えば、図8に示すように、被固定部材31のうち孔部32が設けられている面の方向(YZ面)は、ガイド溝33のガイド方向(X方向)と垂直であってよい。後にも説明するように、被固定部材31は、基板30と筐体40(図9)との取り外しを防止する取り外し防止機構(第2の取り外し防止機構)を構成し得る。
【0071】
(2.2.筐体側の構造)
続いて、本発明の第2の実施形態に係る放熱構造が有する筐体側の構造について説明する。
【0072】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る放熱構造が有する筐体の外観を示す斜視図である。図9を参照すると、放熱構造が有する筐体40が示されている。本発明の第1の実施形態に係る筐体20と同様に、本発明の第2の実施形態に係る筐体40の表面にも、伝熱部材21が接続されている。
【0073】
ただし、本発明の第2の実施形態に係る筐体側の構造の特徴をより把握しやすくするため、図9に示された斜視図は、筐体40の面のうち、図2に示された斜視図において視認される面と反対側の面が視認される角度によって示されている。
【0074】
それに合わせて、図2に示された例では、伝熱部材21が直接は視認できない位置に配置されていたが(破線によって示されていたが)、図9に示された例では、伝熱部材21が直接視認できる位置に配置されている。それに加えて、図9においては、筐体40の厚さ方向に設定されるZ軸の向きが、図1において設定されていたZ軸の向きと反対向きとなっている。
【0075】
この他、図9を参照すると、筐体40には、突起41(第2の突起)が接続されている。例えば、突起41は、図示しない固定具(例えば、ねじなど)によって筐体40に固定されている。突起41の形状は、限定されない。突起41のサイズも限定されない。突起41の幅方向(X方向)および厚さ方向(Y方向)は、フック部材23a、23bの幅方向および厚さ方向と同じであってよい。突起41には、係合溝42が設けられている。
【0076】
係合溝42は、後に説明するフック部材51(図10)が係合する溝である。係合溝42が設けられる位置は、被固定部材31(図8)のうち孔部32が設けられている面の位置に応じて適宜に決められてよい。係合溝42の口の長手方向は、筐体40の厚さ方向(Z方向)であってよい。係合溝42の口の長手方向(Z方向)の長さは、フック部材51(図10)のZ方向の長さ(幅)よりも大きいのが望ましいが、フック部材51(図10)が入る大きさであればよい。係合溝42の口の短手方向(X方向)の長さは、フック部材51(図10)のX方向の長さ(厚さ)と同等または僅かに大きいのが望ましいが、フック部材51(図10)が入る大きさであればよい。後にも説明するように、突起41は、基板30と筐体40との取り外しを防止する取り外し防止機構(第2の取り外し防止機構)を構成し得る。
【0077】
(2.3.組み立て手法)
続いて、図8を参照しながら説明した基板側の構造と、図9を参照しながら説明した筐体側の構造とを組み立てる手法について説明する。本発明の第2の実施形態においても、本発明の第1の実施形態と同様に、筐体40に接続されているフック部材23aが、基板30に設けられたガイド溝13aに挿入され、筐体40に接続されているフック部材23bが、基板30に設けられたガイド溝13bに挿入される。このとき、筐体40に設けられた突起41も基板30に設けられたガイド溝33に挿入される。
【0078】
そして、筐体40に設けられた突起22a~22fは、基板30の筐体40に対向する面に接触する。突起22a~22fが基板30の筐体40に対向する面に接触している状態において、発熱部11と伝熱部材21との間には隙間が生じる。そして、フック部材23a、23bがガイド溝13a、13bに挿入された状態を維持しながらガイド溝13a、13bに沿って移動するように、筐体40がスライドされる。このとき、筐体40に設けられた突起41も基板30に設けられたガイド溝33に沿って移動する。
【0079】
フック部材23a、23bは、ガイド溝13a、13bに挿入された状態を維持しながら、ガイド溝13a、13bに沿って移動し、基板30に係合する。フック部材23a、23bが基板30に係合するまでガイド溝13a、13bに沿って移動すると、突起22a~22fが(基板30の筐体40と対向する面に接触しながら)凹部12a~12fに対向する位置に達する。その後、筐体40が重力に従って基板30に近づくとともに、突起22a~22fが、凹部12a~12fに係合する。
【0080】
そして、突起22a~22fが凹部12a~12fに係合した状態において、発熱部11と伝熱部材21とが接触する。以下では、このようにして、発熱部11と伝熱部材21とが接触した後における組み立て手法について、図10図13を参照しながら詳細に説明する。
【0081】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る手法によって組み立てられた後の基板側の構造と筐体側の構造との外観を基板30が上側に位置する角度で示した斜視図である。図11は、図10の第2の取り外し防止機構の周辺を拡大して示した斜視図である。図12は、図10の第1の取り外し防止機構の周辺を拡大して示した斜視図である。図13は、本発明の第2の実施形態に係る手法によって組み立てられた後の基板側の構造と筐体側の構造との外観を筐体40が上側に位置する角度で示した斜視図である。
【0082】
図10および図13を参照すると、本発明の第1の実施形態と同様に、基板30に設けられた凹部12a~12fに、筐体40に接続された突起22a~22fが係合しており、基板30の表面に存在する発熱部11と筐体40に接続された伝熱部材21とが接触している。さらに、本発明の第1の実施形態と同様に、フック部材23aおよびフック部材23bが基板30に係合しているため(図12には、フック部材23aが基板30に係合している状態が例として示されている)、基板30と筐体40との取り外しが防止され得る。
【0083】
ここで、フック部材23a、23bが基板30に係合することによって、フック部材23a、23bの延在方向(Z方向)への移動は、基板30との干渉により制限される。また、フック部材23a、23bが基板30に係合することによって、フック部材23a、23bの厚み方向(Y方向)への移動も基板30との干渉により制限される。一方、フック部材23a、23bが基板30に係合したとしても、フック部材23a、23bの幅方向(+X方向)への移動は制限されない。
【0084】
そこで、本発明の第2の実施形態においては、図10に示されるように、作業者または機械によってフック部材51(第2のフック部材)が突起41に係合され、フック部材51が突起41に係合した状態において、作業者または機械によってフック部材51が被固定部材31に固定される。これによって、フック部材23a、23bの幅方向(+X方向)への移動も制限されるようになるため、基板30と筐体40との取り外しがより強く防止され得る。
【0085】
図11を参照すると、突起41に設けられた係合溝42にフック部材51の係合部52が係合した状態において、フック部材51が被固定部材31の孔部32に固定具53によって固定されている。図11に示された例では、固定具53がねじであるが、固定具53は、フック部材51を被固定部材31に固定可能な他の固定具であってもよい。これによって、フック部材51の厚さ方向(+X方向)への移動が制限されるようになり、これはフック部材23a、23bの幅方向(+X方向)への移動が制限されることに繋がるため、基板30と筐体40との取り外しがより強く防止され得る。本発明の第2の実施形態に係る第2の取り外し防止機構は、被固定部材31、ガイド溝33、固定具34、突起41、フック部材51、固定具53で構成されている。
【0086】
図10図13に示した例では、フック部材23a、23bの延在方向(Z方向)とフック部材51との延在方向(Y方向)との成す角度が90度である。この例によれば、基板30と筐体40との取り外しが特に効果的に防止され得る。しかし、フック部材23a、23bの延在方向(Z方向)とフック部材51との延在方向(Y方向)との成す角度は、90度以外であってもよい。
【0087】
例えば、フック部材23a、23bの延在方向(Z方向)とフック部材51との延在方向(Y方向)とが異なっていれば、フック部材23a、23bの幅方向(+X方向)への移動が制限されるようになるため、基板30と筐体40との取り外しが強く防止されることが期待される。
【0088】
なお、フック部材51だけが用いられる場合には、フック部材51の厚み方向(+X方向)への移動が制限されるとともに、フック部材51の延在方向(Y方向)への移動が制限されるようになる。しかし、被固定部材31が破損してしまう可能性、固定具53が緩んでしまう可能性などがあるため、フック部材51の幅方向(Z方向)への移動に対する制限は弱い。しかし、フック部材51だけではなくフック部材23a、23bも用いられる場合には、フック部材23a、23bの延在方向(Z方向)への移動が制限されるようになり、これはフック部材51の幅方向(Z方向)への移動が制限されることに繋がるため、基板30と筐体40との取り外しがより強く防止され得る。
【0089】
なお、基板30と筐体40との取り外しが行われる場合には、作業者または機械によって、固定具53が緩められ、フック部材51が突起41から外されることによって、突起41とフック部材23a、23bとの移動の制限(+X方向への移動の制限)が解除されればよい。
【0090】
また、図10図13に示された例では、突起41が筐体40に設けられている。しかし、突起41は、筐体40の代わりに基板30に設けられていてもよい。かかる場合には、突起41が挿入されるガイド溝33と、突起41に係合するフック部材51と、フック部材51が固定される被固定部材31とは、基板30の代わりに、筐体40に設けられればよい。
【0091】
(2.4.効果)
以上に説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、本発明の第1の実施形態が奏する効果と同様の効果を奏し得る。さらに、本発明の第2の実施形態によれば、フック部材51が突起41に係合され、フック部材51が突起41に係合した状態において、フック部材51が被固定部材31に固定される。これによって、フック部材23a、23bの幅方向(+X方向)への移動も制限されるようになるため、基板30と筐体40との取り外しがより強く防止され得る。
【0092】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
【0093】
<<3.第3の実施形態>>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。以下では、本発明の第3の実施形態に係る構成のうち、本発明の第1の実施形態に係る構成と共通する構成については、詳細な説明を省略し、本発明の第1の実施形態に係る構成と異なる構成について主に説明する。
【0094】
(3.1.基板側の構造)
最初に、本発明の第3の実施形態に係る放熱構造が有する基板側の構造について説明する。
【0095】
図14は、本発明の第3の実施形態に係る放熱構造が有する基板の外観を示す斜視図である。図14を参照すると、放熱構造が有する基板60が示されている。基板60には、凹部12a~12dが設けられている。図14に示された例では、本発明の第1の実施形態に係る基板10と異なり、基板60に設けられる凹部12の数が4つである。しかし、凹部12の数は4つに限定されない。例えば、凹部12の数は、1つであってもよいし、4つ以外の複数であってもよい。
【0096】
本発明の第3の実施形態に係る基板60には、切り欠き部61a、61bが設けられている。図14に示された例では、基板60に設けられる切り欠き部61の数が2つであるが、切り欠き部61の数は2つに限定されない。例えば、切り欠き部61の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。さらに、本発明の第1の実施形態に係る基板10と同様に、本発明の第3の実施形態に係る基板60の表面にも、発熱部11が存在している。図14に示された例では、発熱部11が直接は視認できない位置に配置されている(破線によって示されている)。
【0097】
(3.2.筐体側の構造)
続いて、本発明の第3の実施形態に係る放熱構造が有する筐体側の構造について説明する。
【0098】
図15は、本発明の第3の実施形態に係る放熱構造が有する筐体の外観を示す斜視図である。図15を参照すると、放熱構造が有する筐体70が示されている。また、基板60の「挿入方向」が矢印にて示されており、基板60が「挿入方向」に向けて、筐体70の内部に収納される。例えば、筐体70が板金によって構成されていれば、筐体70の外周にヒートシンクを設けなくても、筐体70内の狭い空間にて発生した熱を効率よく外部に放出し得る。
【0099】
また、本発明の第3の実施形態では、筐体70の内部にガイドレール71、72が敷かれており、ガイドレール71の上に突起22a、22bが設けられ、ガイドレール72の上に突起22c、22dが設けられている。突起22aは、凹部12aに係合可能であり、突起22bは、凹部12bに係合可能であり、突起22cは、凹部12cに係合可能であり、突起22dは、凹部12dに係合可能である。例えば、突起22a~22dは、ハーフパンチによって形成され得る。
【0100】
ガイドレール71の奥側には、切り欠き部61aに係合する係合部73が設けられている。同様に、ガイドレール72の奥側には、切り欠き部61bに係合する係合部74が設けられている。本発明の第1の実施形態に係る筐体20と同様に、本発明の第3の実施形態に係る筐体70の表面にも、伝熱部材21が接続されている。
【0101】
このように、筐体70の内部の奥側に設けられている係合部73と、基板60に設けられている切り欠き部61aとが係合し、筐体70の内部の奥側に設けられている係合部74と、基板60に設けられている切り欠き部61bとが係合する。かかる構成により、本発明の第3の実施形態では、筐体70に対して基板60をスライドさせるだけで、筐体70と基板60との組み立てが行われ得る。
【0102】
(3.3.組み立て手法)
続いて、図14を参照しながら説明した基板側の構造と、図15を参照しながら説明した筐体側の構造とを組み立てる手法について説明する。本発明の第3の実施形態においては、筐体70の内部に基板60が挿入される。このとき、基板60が筐体70の内部に設けられているガイドレール71、72の上に置かれてから、基板60が筐体70の奥側に向けて挿入される。
【0103】
図16は、基板60が筐体70に挿入され始めた時点における基板側の構造と筐体側の構造とを筐体70の挿入方向(-X方向)に見た側面図である。図16を参照すると、ガイドレール71に設けられた突起22bは、基板60の筐体70に対向する面に接触している。図示されていないが、突起22bの奥側にある突起22aも、基板60の筐体70に対向する面に接触している。ガイドレール72に設けられた突起22dは、基板60の筐体70に対向する面に接触している。図示されていないが、突起22dの奥側にある突起22cも、基板60の筐体70に対向する面に接触している。
【0104】
また、図16に示されるように、基板60の筐体70に対向する面に発熱部11が存在しており、筐体70の基板60に対向する面に伝熱部材21が接続されている。しかし、突起22a~22dが基板60の筐体70に対向する面に接触している状態において、発熱部11と伝熱部材21との間には隙間が生じている。
【0105】
なお、図16に示された例では、突起22bがガイドレール71に設けられ、伝熱部材21が筐体70の表面に存在し、発熱部11が基板60の表面に存在している。したがって、図16に示された例では、伝熱部材21と発熱部11との厚さの合計よりも、突起22bとガイドレール71との高さの合計が大きければ、突起22bが基板60の筐体70に対向する面に接触している状態において、発熱部11と伝熱部材21との間に隙間が生じることになる。作用者または機械は、基板60を筐体70の奥側に挿入する。
【0106】
図17は、筐体70の奥側への基板60の挿入が終わった時点における基板側の構造と筐体側の構造とを筐体70の挿入方向(-X方向)に見た側面図である。図17を参照すると、突起22bが(基板60の筐体70と対向する面に接触しながら)凹部12bに対向する位置に達し、基板60が重力に従って筐体70に近づくとともに、突起22bが、凹部12bに係合する。図示されていないが、突起22aも(基板60の筐体70と対向する面に接触しながら)凹部12aに対向する位置に達し、基板60が重力に従って筐体70に近づくとともに、突起22aが、凹部12aに係合する。
【0107】
突起22dも(基板60の筐体70と対向する面に接触しながら)凹部12dに対向する位置に達し、基板60が重力に従って筐体70に近づくとともに、突起22dが、凹部12dに係合する。図示されていないが、突起22cも(基板60の筐体70と対向する面に接触しながら)凹部12cに対向する位置に達し、基板60が重力に従って筐体70に近づくとともに、突起22cが、凹部12cに係合する。
【0108】
そして、突起22a~22dが凹部12a~12dに係合した状態において、発熱部11と伝熱部材21とが接触する。
【0109】
図18は、本発明の第3の実施形態に係る手法によって組み立てられた後の基板側の構造と筐体側の構造との外観を示した斜視図である。一方、図19は、図18に示された組み立て後の構造の外観を上下逆にして示した斜視図である。図18および図19を参照すると、基板60に設けられた凹部12a~12dに、筐体70に接続された突起22a~22d係合しており、基板60の表面に存在する発熱部11と筐体70に接続された伝熱部材21とが接触している。さらに、切り欠き部61aに係合部73が係合し、切り欠き部61bに係合部74が係合している。
【0110】
(3.4.効果)
以上に説明したように、本発明の第3の実施形態によれば、本発明の第1の実施形態が奏する効果と同様の効果を奏し得る。さらに、本発明の第3の実施形態によれば、筐体70の内部の奥側に設けられている係合部73に、基板60に設けられている切り欠き部61aが挟み込まれ、筐体70の内部の奥側に設けられている係合部74に、基板60に設けられている切り欠き部61bが挟み込まれる。かかる構成により、z方向への基板60の移動が制限されるため、筐体70と基板60との取り外しが防止され得る。また、基板60に切り欠き部61a、61bを設けて、係合部73、74が切り欠き部61a、61bに係合する形態にしたことで、組み立て時にフックをガイド溝に差し込む必要がなくなり、筐体70に対して基板60をスライドさせるだけで、筐体70と基板60との組み立てが容易に行われ得る。
【0111】
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
【0112】
<4.変形例>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0113】
(4.1.変形例1)
本発明の第1の実施形態では、筐体20または筐体40に突起22a~22fが直接的に接続される場合を主に想定した。本発明の第2の実施形態でも同様な場合を想定した。しかし、突起22a~22fは、筐体20に対して何らかの部材を介して間接的に接続されていてもよい。図20は、変形例1を説明するための図である。図20を参照すると、一例として、突起22bが、筐体20に対して他の部材24を介して間接的に接続されている例が示されている。
【0114】
図20に示されたように、部材24の径が凹部12bの径よりも大きければ、部材24の高さの調整によって、伝熱部材21の潰し量が調整され得る。
【0115】
(4.2.変形例2)
本発明の第1の実施形態では、筐体20の基板10に対向する面が平らである場合を主に想定した。本発明の第2の実施形態および本発明の第3の実施形態でも同様な場合を想定した。しかし、筐体20の基板10に対向する面の一部は、内側に突出していてもよい(すなわち、段差が生じていてもよい)。そして、内側に突出した部分に伝熱部材21が接続されてもよい。
【0116】
図21は、変形例2を説明するための図である。図21に示した例は、図4に示した例における筐体20を筐体80に置き換え、突起22と筐体20との間に高さ合わせ部材82(図21には、例として、突起22c、22f、高さ合わせ部材82c、82fが示されている)を介在させ、ガイド方向(-X方向)に見た側面図である。図21に示された例では、筐体80の基板10に対向する面に突出部81が生じており、突出部81に伝熱部材21が接続されている。
【0117】
図21に示された例では、突起22c、22fの高さの代わりに、突出部81の高さの調整によって、伝熱部材21の潰し量を調整することができる。
【0118】
発熱部11と伝熱部材21との間の隙間の間隔は、D1として示され、突起22c、22fの高さがD23として示されている。発熱部11が潰れないと仮定すると、伝熱部材21の潰し量は、(突起の高さD23)-(隙間の間隔D1)として算出され得るため、突出部81の高さの調整によって隙間の間隔D1を調整すれば、伝熱部材21の潰し量が調整され得る。発熱部11が潰れる場合においても、この突出部81の高さの調整によって、伝熱部材21の潰し量が調整され得る。なお、隙間の間隔D1が突起の高さD23以下となるように突出部81の高さが調整されれば、突起22c、22fが凹部12c、12fに係合したときに、発熱部11と伝熱部材21とが接触する。
【0119】
(4.3.変形例3)
本発明の第1の実施形態では、筐体20の外周面が平らである場合を主に想定した。本発明の第2の実施形態および本発明の第3の実施形態でも同様な場合を想定した。しかし、筐体20の外周面には、ヒートシンクが設けられてもよい。これによって、発熱部11によって発せられた熱が効率よく外部に放出され得る。
【0120】
図22は、変形例3を説明するための図である。図22を参照すると、図2に示された筐体20と比較して、外周面にヒートシンク(図22に示された例では、棒状の部材であるフィン91が等間隔に並べられて形成されたヒートシンク)が設けられた筐体90が示されている。なお、筐体90には、フック部材23aを受ける受け部92aが形成されている。また、他のフック部材(図2に示されたフック部材23bに該当するフック部材)を受ける受け部92bも形成されている。
【0121】
なお、上記の各変形例では第1の取り外し防止機構だけでなく第2の取り外し防止機構も備えてもよい。
【0122】
(4.4.その他の変形例)
上記した各実施形態では、発熱部11が、部材の表面に存在する場合(特に、発熱部11が基板10の上に配置される場合)を主に想定した。しかし、発熱部11は、部材の表面に存在しなくてもよい。例えば、発熱部11は、部材の内部に存在していてもよい。かかる場合であっても、本発明の実施形態に係る放熱構造が適用されることによって、部材の内部に存在する発熱部11の熱が伝熱部材21を伝わって外部に放出され得る。
【0123】
さらに、発熱部11は、必ずしも自らが熱源でなくてもよい。例えば、発熱部11とは異なる場所に熱源があり、その熱源から発熱部11に伝わってきた熱が発熱部11によって放出されてもよい。したがって、熱源から伝わってきた熱によって温度が上昇した領域(例えば、板金またはプラスチックの板など)も発熱部11に含まれ得る。かかる場合であっても、本発明の実施形態に係る放熱構造が適用されることによって、温度が上昇した領域(ヒートスポット)の熱が伝熱部材21を伝わって外部に放出され得る。
【0124】
本発明の実施形態では、突起に接続された第1の部材に対して、凹部が設けられた第2の部材を相対的にスライドさせる場合を想定する。したがって、典型的には、第1の部材が第1の板状部材であり、第2の部材が第2の板状部材である場合が想定される。しかし、第1の部材および第2の部材それぞれの形状は特に限定されず、第1の部材および第2の部材それぞれは、必ずしも板状部材でなくてもよい。一例として、第1の部材および第2の部材の一方のみが板状部材であり、その板状部材が他方に対してスライドされてもよい。
【0125】
上記した各実施形態では、突起22a~22fに接続された第1の部材および凹部12a~12fが設けられた第2の部材のうち、一方の部材が、筐体であり、他方の部材が、筐体によって覆われる基板である場合を主に想定した。かかる基板と筐体との組み合わせは、様々な構造に適用され得る。例えば、筐体は、基板に配置された電子部品を覆うノイズシールドなどであってもよい。その他、かかる基板と筐体との組み合わせは、あらゆる電子機器に適用され得る。
【符号の説明】
【0126】
10、30、60 基板
11 発熱部
12a~12f 凹部
13a、13b ガイド溝
20、40、70、80、90 筐体
21 伝熱部材
22a~22f 突起
23a、23b フック部材
31 被固定部材
32 孔部
33 ガイド溝
41 突起
42 係合溝
51 フック部材
52 係合部
53 固定具


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23