(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、用紙情報通知方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20240528BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240528BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240528BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B41J29/393 103
B41J29/38 202
B41J29/38 301
B41J29/38 801
B41J29/46 Z
G06F3/12 308
G06F3/12 310
G06F3/12 332
G06F3/12 334
G06F3/12 373
(21)【出願番号】P 2020142186
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラバ ジョティーモイ
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-175373(JP,A)
【文献】特開2019-093550(JP,A)
【文献】特開2017-191979(JP,A)
【文献】特開2014-199244(JP,A)
【文献】特開2020-095135(JP,A)
【文献】特開2019-188627(JP,A)
【文献】特開2014-117922(JP,A)
【文献】特開2015-230687(JP,A)
【文献】特開2003-107965(JP,A)
【文献】特開2006-335047(JP,A)
【文献】特開2012-101518(JP,A)
【文献】特開平05-164800(JP,A)
【文献】特開2015-174256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
B41J 29/38
B41J 29/46
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された印刷ジョブのジョブ情報を取得するジョブ情報取得部と、
前記印刷ジョブの印刷物に要する検査レベルを取得する検査レベル取得部と、
印刷用に選択可能な複数の用紙の用紙情報を取得する用紙情報取得部と、
前記取得された複数の用紙情報を用いて、前記取得したジョブ情報及び検査レベルが設定された印刷が行われた場合の異常発生頻度を当該用紙情報と関連付けて通知する通知部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
過去の印刷ジョブの履歴情報に基づいて、前記取得されたジョブ情報、検査レベル及び複数の用紙情報に対応する異常発生頻度を予測する予測部を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記履歴情報は、過去の印刷ジョブのジョブ情報と、当該過去の印刷ジョブで使用した用紙の用紙情報と、当該過去の印刷ジョブの検査レベル及び印刷物の異常発生頻度を含む検査情報と、を含む請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測部は、過去の印刷ジョブの履歴情報を学習し、当該学習の結果を用いて、前記取得されたジョブ情報、検査レベル及び複数の用紙情報に対応する異常発生頻度を予測する請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ジョブ情報は、印刷ジョブの画像の特性情報と、印刷ジョブの印刷前の画像形成装置の調整情報と、の少なくとも一つを含む請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記用紙情報は、用紙の特性情報と、用紙の属性情報と、の少なくとも一つを含む請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
情報処理装置。
【請求項7】
前記通知部は、前記異常発生頻度及び前記用紙情報の組合せを、用紙のコストに基づいてソートして通知する請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
投入された印刷ジョブのジョブ情報を取得するジョブ情報取得工程と、
前記印刷ジョブの印刷物に要する検査レベルを取得する検査レベル取得工程と、
印刷用に選択可能な複数の用紙の用紙情報を取得する用紙情報取得工程と、
前記取得された複数の用紙情報を用いて、前記取得したジョブ情報及び検査レベルが設定された印刷が行われた場合の異常発生頻度を当該用紙情報と関連付けて通知する通知工程と、を含む用紙情報通知方法。
【請求項9】
過去の印刷ジョブの履歴情報に基づいて、前記取得されたジョブ情報、検査レベル及び複数の用紙情報に対応する異常発生頻度を予測する予測工程を含む請求項8に記載の用紙情報通知方法。
【請求項10】
前記履歴情報は、過去の印刷ジョブのジョブ情報と、当該過去の印刷ジョブで使用した用紙の用紙情報と、当該過去の印刷ジョブの検査レベル及び印刷物の異常発生頻度を含む検査情報と、を含む請求項9に記載の用紙情報通知方法。
【請求項11】
前記予測工程において、過去の印刷ジョブの履歴情報を学習し、当該学習の結果を用いて、前記取得されたジョブ情報、検査レベル及び複数の用紙情報に対応する異常発生頻度を予測する請求項9又は10に記載の用紙情報通知方法。
【請求項12】
前記ジョブ情報は、印刷ジョブの画像の特性情報と、印刷ジョブの印刷前の画像形成装置の調整情報と、の少なくとも一つを含む請求項8から11のいずれか一項に記載の用紙情報通知方法。
【請求項13】
前記通知工程において、前記異常発生頻度及び前記用紙情報の組合せを、用紙のコストに基づいてソートして通知する請求項8から12のいずれか一項に記載の用紙情報通知方法。
【請求項14】
コンピューターを、
投入された印刷ジョブのジョブ情報を取得するジョブ情報取得部、
前記印刷ジョブの印刷物に要する検査レベルを取得する検査レベル取得部、
印刷用に選択可能な複数の用紙の用紙情報を取得する用紙情報取得部、
前記取得された複数の用紙情報を用いて、前記取得したジョブ情報及び検査レベルが設定された印刷が行われた場合の異常発生頻度を当該用紙情報と関連付けて通知する通知部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項15】
前記コンピューターを、
過去の印刷ジョブの履歴情報に基づいて、前記取得されたジョブ情報、検査レベル及び複数の用紙情報に対応する異常発生頻度を予測する予測部として機能させる請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
前記履歴情報は、過去の印刷ジョブのジョブ情報と、当該過去の印刷ジョブで使用した用紙の用紙情報と、当該過去の印刷ジョブの検査レベル及び印刷物の異常発生頻度を含む検査情報と、を含む請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記予測部は、過去の印刷ジョブの履歴情報を学習し、当該学習の結果を用いて、前記取得されたジョブ情報、検査レベル及び複数の用紙情報に対応する異常発生頻度を予測する請求項15又は16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記ジョブ情報は、印刷ジョブの画像の特性情報と、印刷ジョブの印刷前の画像形成装置の調整情報と、の少なくとも一つを含む請求項14から17のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項19】
前記用紙情報は、用紙の特性情報と、用紙の属性情報と、の少なくとも一つを含む請求項14から18のいずれか一項に記載のプログラム。
情報処理装置。
【請求項20】
前記通知部は、前記異常発生頻度及び前記用紙情報の組合せを、用紙のコストに基づいてソートして通知する請求項14から19のいずれか一項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、用紙情報通知方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷ジョブが投入され、投入された印刷ジョブに応じて、画像を用紙に形成する複合機などの画像形成装置が知られている。印刷ジョブで用いる用紙は、指定される場合もあるが、顧客などの印刷ジョブの依頼元から具体的な用紙の指定がない場合もある。その場合、オペレーターが印刷ジョブの特徴(画像の特徴など)や依頼元が要望する品質に応じて欠陥が発生しづらく低コストな用紙を選択する。ここで、検品欠陥の発生率は用紙の特性によって異なる。用紙の種類は似た用紙でもメーカーごとに多数の種類があるので、オペレーターは経験を生かしたり試行錯誤したりして最適な用紙を選択していた。
【0003】
また、経験の低いオペレーターは欠陥発生率が低く低コストな用紙を選択するのが困難であり、試行錯誤により用紙の選択に時間がかかったり、無駄な用紙が発生したりしていた。また、複数の印刷装置をそれぞれ操作する複数のオペレーターがいる場合に、印刷ジョブで指定された用紙や、印刷ジョブで指定されたオペレーターに対応付けられた用紙を選択して印刷装置に印刷させる印刷管理装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の印刷管理装置では、オペレーターが利用できる適切な用紙を選択できるが、印刷物に求められる品質を考慮していなかった。
【0006】
本発明の課題は、印刷ジョブと印刷物に求められる品質とに適した用紙の選択を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の情報処理装置は、
投入された印刷ジョブのジョブ情報を取得するジョブ情報取得部と、
前記印刷ジョブの印刷物に要する検査レベルを取得する検査レベル取得部と、
印刷用に選択可能な複数の用紙の用紙情報を取得する用紙情報取得部と、
前記取得された複数の用紙情報を用いて、前記取得したジョブ情報及び検査レベルが設定された印刷が行われた場合の異常発生頻度を当該用紙情報と関連付けて通知する通知部と、を備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、
過去の印刷ジョブの履歴情報に基づいて、前記取得されたジョブ情報、検査レベル及び複数の用紙情報に対応する異常発生頻度を予測する予測部を備える。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の情報処理装置において、
前記履歴情報は、過去の印刷ジョブのジョブ情報と、当該過去の印刷ジョブで使用した用紙の用紙情報と、当該過去の印刷ジョブの検査レベル及び印刷物の異常発生頻度を含む検査情報と、を含む。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の情報処理装置において、
前記予測部は、過去の印刷ジョブの履歴情報を学習し、当該学習の結果を用いて、前記取得されたジョブ情報、検査レベル及び複数の用紙情報に対応する異常発生頻度を予測する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記ジョブ情報は、印刷ジョブの画像の特性情報と、印刷ジョブの印刷前の画像形成装置の調整情報と、の少なくとも一つを含む。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記用紙情報は、用紙の特性情報と、用紙の属性情報と、の少なくとも一つを含む。
情報処理装置。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記通知部は、前記異常発生頻度及び前記用紙情報の組合せを、用紙のコストに基づいてソートして通知する。
【0014】
請求項8に記載の発明の用紙情報通知方法は、
投入された印刷ジョブのジョブ情報を取得するジョブ情報取得工程と、
前記印刷ジョブの印刷物に要する検査レベルを取得する検査レベル取得工程と、
印刷用に選択可能な複数の用紙の用紙情報を取得する用紙情報取得工程と、
前記取得された複数の用紙情報を用いて、前記取得したジョブ情報及び検査レベルが設定された印刷が行われた場合の異常発生頻度を当該用紙情報と関連付けて通知する通知工程と、を含む。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の用紙情報通知方法において、
過去の印刷ジョブの履歴情報に基づいて、前記取得されたジョブ情報、検査レベル及び複数の用紙情報に対応する異常発生頻度を予測する予測工程を含む。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の用紙情報通知方法において、
前記履歴情報は、過去の印刷ジョブのジョブ情報と、当該過去の印刷ジョブで使用した用紙の用紙情報と、当該過去の印刷ジョブの検査レベル及び印刷物の異常発生頻度を含む検査情報と、を含む。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の用紙情報通知方法において、
前記予測工程において、過去の印刷ジョブの履歴情報を学習し、当該学習の結果を用いて、前記取得されたジョブ情報、検査レベル及び複数の用紙情報に対応する異常発生頻度を予測する。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項8から11のいずれか一項に記載の用紙情報通知方法において、
前記ジョブ情報は、印刷ジョブの画像の特性情報と、印刷ジョブの印刷前の画像形成装置の調整情報と、の少なくとも一つを含む。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項8から12のいずれか一項に記載の用紙情報通知方法において、
前記通知工程において、前記異常発生頻度及び前記用紙情報の組合せを、用紙のコストに基づいてソートして通知する。
【0020】
請求項14に記載の発明のプログラムは、
コンピューターを、
投入された印刷ジョブのジョブ情報を取得するジョブ情報取得部、
前記印刷ジョブの印刷物に要する検査レベルを取得する検査レベル取得部、
印刷用に選択可能な複数の用紙の用紙情報を取得する用紙情報取得部、
前記取得された複数の用紙情報を用いて、前記取得したジョブ情報及び検査レベルが設定された印刷が行われた場合の異常発生頻度を当該用紙情報と関連付けて通知する通知部、
として機能させる。
【0021】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載のプログラムにおいて、
前記コンピューターを、
過去の印刷ジョブの履歴情報に基づいて、前記取得されたジョブ情報、検査レベル及び複数の用紙情報に対応する異常発生頻度を予測する予測部として機能させる。
【0022】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載のプログラムにおいて、
前記履歴情報は、過去の印刷ジョブのジョブ情報と、当該過去の印刷ジョブで使用した用紙の用紙情報と、当該過去の印刷ジョブの検査レベル及び印刷物の異常発生頻度を含む検査情報と、を含む。
【0023】
請求項17に記載の発明は、請求項15又は16に記載のプログラムにおいて、
前記予測部は、過去の印刷ジョブの履歴情報を学習し、当該学習の結果を用いて、前記取得されたジョブ情報、検査レベル及び複数の用紙情報に対応する異常発生頻度を予測する。
【0024】
請求項18に記載の発明は、請求項14から17のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記ジョブ情報は、印刷ジョブの画像の特性情報と、印刷ジョブの印刷前の画像形成装置の調整情報と、の少なくとも一つを含む。
【0025】
請求項19に記載の発明は、請求項14から18のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記用紙情報は、用紙の特性情報と、用紙の属性情報と、の少なくとも一つを含む。
情報処理装置。
【0026】
請求項20に記載の発明は、請求項14から19のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記通知部は、前記異常発生頻度及び前記用紙情報の組合せを、用紙のコストに基づいてソートして通知する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、印刷ジョブと印刷物に求められる品質とに適した用紙の選択を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施の形態の画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】(a)は、ジョブ履歴データベースを示す図である。(b)は、ジョブ情報を示す図である。
【
図4】(a)は、用紙情報を示す図である。(b)は、検品情報を示す図である。
【
図5】用紙インベントリデータベースを示す図である。
【
図10】変形例の画像形成システムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付図面を参照して本発明に係る実施の形態及び変形例を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態)
図1~
図9を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。まず、
図1、
図2を参照して、本実施の形態の情報処理装置としての画像形成装置1の装置構成を説明する。
図1は、本実施の形態の画像形成装置1の概略構成図である。
【0031】
本実施の形態の画像形成装置1は、例えば、ある印刷会社の敷地内に設置され、外部装置から受信した画像データに基づいて、電子写真方式により用紙にカラー画像を形成する複合機(MFP(MultiFunction Peripheral))である。なお、画像形成装置1は、プリンターなど、他の電子写真方式の画像形成装置としてもよい。
【0032】
図1に示すように、画像形成装置1は、上流から下流への用紙の流れ(通紙方向)に沿って、給紙装置200と、画像形成装置本体100と、後処理装置300と、排紙トレイT4と、を順に備える。画像形成装置本体100は、外部装置から受信した画像データに基づいて、給紙部20(後述)から供給された用紙にカラーのトナー像を形成し、加熱及び加圧により定着し、後段の後処理装置300に画像形成後の用紙を搬送する。
【0033】
給紙装置200は、大容量の給紙トレイ(図示略)を備え、画像形成装置本体100の制御部11(後述)により指示された給紙トレイから用紙を取得して画像形成装置本体100へ搬送する。
【0034】
後処理装置300は、用紙に後処理を施すための後処理部21(
図1の図示略)を備える。後処理としては、例えば、ステイプル処理、パンチ穴開け処理、折り処理、製本処理などが挙げられる。後処理装置300は、後処理部21により、画像形成装置本体100から搬送された画像形成後の用紙に、必要に応じて後処理を施し、後処理を施された又は施されていない用紙を排紙トレイT4に排出する。
【0035】
排紙トレイT4は、後処理装置300から搬送された画像形成(、後処理)後の用紙を載置するトレイである。
【0036】
図1に示すように、画像形成装置本体100は、操作部12、表示部13、画像形成部17、定着部18、給紙トレイT1,T2,T3、搬送部19などを備える。
【0037】
操作部12は、表示部13の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタンなどの各種操作ボタンを有する。
【0038】
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(ElectroLuminescence)ディスプレイなどの表示パネルにより構成され、表示パネルの表示画面上に各種表示情報を表示する。
【0039】
画像形成部17は、給紙部20から供給された用紙上に画像を形成する。画像形成部17は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色ごとの画像形成ユニット17Y,17M,17C,17K、中間転写ベルト177、2次転写ローラー178などを有する。各画像形成ユニット17Y,17M,17C,17Kは、感光体ドラム171、帯電部172、露光部173、現像部174、1次転写ローラー175、クリーニング部176を有する。
【0040】
ここで、イエローの画像形成ユニット17Yの各部について説明する。感光体ドラム171は、イエローのトナー像が形成される回転体である。帯電部172は、感光体ドラム171を一様に帯電させる。露光部173は、画像形成に係る画像データのイエロー成分に基づいて、感光体ドラム171の表面をレーザー光などのビームにより走査露光して、静電潜像を形成する。現像部174は、イエローのトナーを収納し、感光体ドラム171上の静電潜像にイエローのトナーを付着させ、現像を行う。1次転写ローラー175は、感光体ドラム171上に形成されたイエローのトナー像を中間転写ベルト177上に転写する(1次転写)。クリーニング部176は、感光体ドラム171に残ったトナーを除去する。マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成ユニット17M,17C,17Kの各部についても、扱う色(トナー)が異なるだけで、イエローの画像形成ユニット17Yの各部と同様である。
【0041】
中間転写ベルト177は、画像形成ユニット17Y,17M,17C,17Kの各色の感光体ドラム171上に形成されたトナー像が順次転写される無端状のベルトである。2次転写ローラー178は、中間転写ベルト177上に形成された4色のトナー像を用紙上に転写する(2次転写)。
【0042】
定着部18は、画像形成部17によりトナー像が形成された用紙が搬送され、加熱・加圧によりトナー像を用紙に定着させる。
【0043】
給紙部20は、給紙トレイT1,T2,T3、給紙ローラーなどを有し、画像形成部17に用紙を供給する。各給紙トレイT1~T3には、予め定められた紙種やサイズの用紙が収納されている。給紙部20は、給紙装置200を含めるものとする。
【0044】
搬送部19は、用紙を搬送するための搬送ローラー、レジストローラーなどにより構成され、給紙部20から、画像形成部17、定着部18を介して、後処理装置300までの用紙搬送経路上に配置され、当該用紙搬送経路上の用紙を搬送する。また、搬送部19は、画像形成部17により画像形成され定着部18から搬送された用紙を反転して再度画像形成部17に搬送する反転部を含むものとする。また、搬送部19は、画像形成装置本体100から搬送され、後処理装置300を介する排紙トレイT4までの用紙搬送経路上の用紙の搬送部を含むものとする。
【0045】
なお、画像形成装置1は、原稿を読み取り画像データを生成するスキャナーなど、他の部品を備える構成としてもよい。
【0046】
ついで、
図2を参照して、画像形成装置1の内部の機能構成を説明する。
図2は、画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0047】
図2に示すように、画像形成装置1は、ジョブ情報取得部、用紙情報取得部、通知部としての制御部11と、検査レベル取得部としての操作部12と、表示部13と、記憶部14と、通信部15と、画像処理部16と、画像形成部17と、定着部18と、搬送部19と、給紙部20と、後処理部21と、を備える。画像形成装置1の
図2の各部は、バス22を介して接続されている。
【0048】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などにより構成され、画像形成装置1の各部を制御する。制御部11は、記憶部14に記憶されている各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムとCPUとの協働で、各種処理を実行する。
【0049】
操作部12は、オペレーター(ユーザー)からのタッチ入力、ボタンの押下入力を受け付け、その操作情報を制御部11に出力する。
【0050】
表示部13は、制御部11から入力される表示情報に応じて、表示パネルに表示情報を表示する。
【0051】
記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)やフラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶装置により構成され、画像データなどの各種データ及び各種プログラムを記憶する。特に、記憶部14には、後述するジョブ履歴データベースD1及び用紙インベントリデータベースD2と、後述する予測部としての機械学習部80を実現するための機械学習プログラムP1と、後述する用紙提案処理を実行するための用紙提案プログラムP2と、を記憶している。
【0052】
通信部15は、LAN(Local Area Network)などの通信ネットワークを介して接続されたPC(Personal Computer)などの外部装置との間でデータの送受信を行う。制御部11は、通信部15を介して、外部装置とデータを送受信する。例えば、通信部15は、外部装置から印刷用の画像データを含む印刷ジョブを受信する。
【0053】
画像処理部16は、例えば、ラスタライズ処理部、色変換部、階調補正部、ハーフトーン処理部を有し、制御部11の制御に従い、これらの各部により、通信部15を介して外部装置から受信され(記憶部14に記憶された)印刷用の画像データに各種画像処理を施す。
【0054】
画像形成部17は、制御部11の制御に従い、通信部15を介して外部装置から受信され(画像処理部16により画像処理された)印刷用の画像データに基づいて、給紙部20から給紙された用紙に画像形成を行う。
【0055】
定着部18は、制御部11の制御に従い、画像形成部17によりトナー像が形成された用紙を加熱及び加圧して、トナー像を用紙に定着する。
【0056】
搬送部19は、制御部11の制御に従い、給紙部20から給紙された用紙を、画像形成部17、定着部18、後処理部21を介して排紙トレイT4へ搬送する。給紙部20は、制御部11の制御に従い、画像形成部17に用紙を供給する。
【0057】
後処理部21は、制御部11の制御に従い、画像形成装置本体100から搬送された画像形成及び定着された用紙に、必要に応じて、各種後処理を施し、排紙トレイT4へ排紙する。
【0058】
つぎに、
図3(a)~
図5を参照して、記憶部14に記憶される情報を説明する。
図3(a)は、ジョブ履歴データベースD1を示す図である。
図3(b)は、ジョブ情報30を示す図である。
図4(a)は、用紙情報50を示す図である。
図4(b)は、検品情報60を示す図である。
図5は、用紙インベントリデータベースD2を示す図である。
【0059】
記憶部14に記憶されるジョブ履歴データベースD1は、画像形成装置1に投入され実行された印刷ジョブに関する各種履歴情報を格納するデータベースである。
【0060】
図3(a)に示すように、ジョブ履歴データベースD1は、互いに紐づけられた、ジョブ情報30、用紙情報50、検品情報60を有する。ジョブ情報30は、画像形成装置1に投入された印刷ジョブに関する情報テーブルである。用紙情報50は、ジョブ情報30の印刷ジョブの印刷時に選択された印刷対象の用紙の情報である。検品情報60は、ジョブ情報30の印刷ジョブの印刷後の印刷物の検品の情報である。ここでは、ジョブ情報30、用紙情報50、検品情報60で、レコードが共通の構成例を説明する。
【0061】
図3(b)に示すように、ジョブ情報30は、ジョブID31、Page(s)32、Set33と、印刷ジョブの画像の特性情報としての印字率C(シアン)34、印字率Y(イエロー)35、印字率M(マゼンタ)36、印字率K(ブラック)37、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)特徴38、線特徴39、調整情報40などのカラム(項目)を有する。ジョブ情報30の各カラムの情報をジョブの特徴情報とする。
【0062】
ジョブID31は、画像形成装置1に投入され実行された印刷ジョブの識別情報である。ジョブID31は、ジョブ情報30、用紙情報50、検品情報60の各カラムの主キーとなる。Page32は、ジョブID31の印刷ジョブのページ数である。Set33は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷の部数である。
【0063】
印字率C34は、ジョブID31の印刷ジョブのシアンの印字率である。印字率は、用紙の面積に対するトナー像の面積の割合である。印字率Y35は、ジョブID31の印刷ジョブのイエローの印字率である。印字率M36は、ジョブID31の印刷ジョブのマゼンタの印字率である。印字率K37は、ジョブID31の印刷ジョブのブラックの印字率である。
【0064】
FFT特徴38は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷画像のFFTを用いて解析した特徴情報である。FFTは、印刷画像をその周波数成分に変換する。この周波数成分の振幅がFFT特徴として使用される。FFT特徴38の各レコードに対応して、印刷ジョブの印刷画像のFFT解析により、例えば、400-484[THz]などの周波数範囲ごとの振幅が得られる。ただし、各周波数範囲内の複数の周波数の平均アンプリチュート(振幅)が使用されている。例えば、2番目のレコードでは、紫(668-789[THz])は周波数成分が最も高く、赤(400-484[THz])は最低である。
【0065】
線特徴39は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷画像中のエッジなどの線の成分の合計画素数の割合を示す特徴情報である。
【0066】
調整情報40は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷前に画像形成装置1に対して行った各種調整の内容を示す情報である。調整情報40は、例えば、色相、彩度、明度、画像判別調整(文字写真、色文字)、カラーバランス(シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの各色における低濃度、中濃度、高濃度の各濃度)の調整値である。
図3の調整情報40の調整値として、色相、彩度、明度の調整値を、例えば-4~+4の範囲として表し、それ以外の項目の調整値を、例えば-10~+10の範囲として表しているが、実際には、それらの範囲の具体的な1つの調整値がそれぞれ格納される。
【0067】
図4(a)に示すように、用紙情報50は、用紙の特性情報としての用紙サイズ51、紙種52、坪量53、色紙54、厚さ55と、用紙の属性情報としてのメーカー56と、値段57などのカラム(項目)を有する。用紙情報50の各カラムの情報を用紙の特徴情報とする。用紙サイズ51は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷に用いた用紙の用紙サイズである。紙種52は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷に用いた用紙の紙種である。紙種は、Plain(普通紙)、Fine(上質紙)、Coated-GL(レーザープリンター用艶コート紙)、Coated-ML(レーザープリンター用艶消しコート紙)などである。
【0068】
坪量53は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷に用いた用紙の質量[g/m2]である。色紙54は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷に用いた用紙の色である。厚さ55は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷に用いた用紙の厚さ[mm]である。メーカー56は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷に用いた用紙のメーカー名である。値段は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷に用いた用紙の値段[円/pg(ページ)]である。
【0069】
図4(b)に示すように、検品情報60は、検査レベルとしての検品レベル61、汚れ枚数62、スジ枚数63、位置ズレ枚数64、ヤレ総枚数65などのカラム(項目)を有する。検品情報60の各カラムの情報を検品の特徴情報とする。検品レベル61は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷済の用紙(印刷物)のオペレーターによる検品の厳しさのレベルであり、例えば1(緩い)~7(厳しい)の7段階で表される。汚れ枚数62は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷物の汚れがある枚数である。
【0070】
スジ枚数63は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷物のスジがある枚数である。位置ズレ枚数64は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷物の位置ズレがある枚数である。ヤレ総枚数65は、ジョブID31の印刷ジョブの印刷物のヤレがある合計枚数である。ヤレとは、不具合のため無駄になった印刷物であり、ここでは、汚れ、スジ、位置ずれを含むものとする。
【0071】
記憶部14に記憶される用紙インベントリデータベースD2は、画像形成装置1が設置された印刷会社が持っており給紙部20へ格納可能な在庫の用紙の商品情報としての用紙情報70を格納するデータベースである。ここでは、用紙インベントリデータベースD2の同一レコードが、同一の用紙の情報である構成とする。
【0072】
図5に示すように、用紙インベントリデータベースD2の用紙情報70は、用紙サイズ71、紙種72、坪量73、色紙74、厚さ75、メーカー76、値段77、用紙名78などのカラム(項目)を有する。用紙情報70の各カラムの情報を用紙の特徴情報とする。用紙サイズ71は、在庫の用紙としての用紙名78の用紙の用紙サイズである。紙種72は、用紙名78の用紙の紙種である。坪量73は、用紙名78の用紙の坪量である。
【0073】
色紙74は、用紙名78の用紙の色である。厚さ75は、用紙名78の用紙の厚さである。メーカー76は、用紙名78の用紙のメーカー名である。値段77は、用紙名78の用紙の値段である。用紙名78は、在庫の用紙の識別情報としての用紙の名称である。用紙名78は、例えば、用紙を識別する英数字などで表され、また用紙情報70の一部(用紙サイズ71、紙種72など)を含んでもよい。
【0074】
つぎに、
図6~
図9を参照して、画像形成装置1の動作を説明する。
図6は、機械学習部80の入出力情報を示す図である。
図7は、用紙提案処理を示すフローチャートである。
図8は、用紙情報設定画面400を示す図である。
図9は、用紙提案画面500を示す図である。
【0075】
まず、
図6を参照して、機械学習部80の動作を説明する。機械学習部80は、制御部11による機械学習プログラムP1の実行により、制御部11内に実現されるプログラムモジュールの機能部である。
【0076】
画像形成装置1において、後述する用紙提案処理で学習情報を利用するために、ジョブ履歴データベースD1の情報を利用して機械学習モデルを構築する。具体的には、機械学習部80は、ヤレ発生頻度と、ジョブ履歴データベースD1の情報との関係を学習する。
【0077】
まず、数学的に、集合Xを次式(1)で定義する。
X=[x1,x2,…,xn] …(1)
ここで、x1~xn(n:正の整数)は、ジョブ履歴データベースD1の各特徴情報(カラム)の値である。例えば、x1は、ジョブ情報30の印字率C34とする。また、x1~xnに用いられるFFT特徴38、調整情報40の値は、例えば、最下層の各カラムの値を用いるものとする。ただし、x1~xnには、下記の情報は含まれない。
・ジョブ情報30のジョブID31、Page32、Set33、
・用紙情報50の値段57、
・検品情報60の、汚れ枚数62、スジ枚数63、位置ズレ枚数64、ヤレ総枚数65。
【0078】
ついで、印刷ジョブのヤレ発生頻度(ヤレ発生率)を求める関数をY(x
1,x
2,…,x
n)とする。ヤレ発生頻度Yは、次式(2)で計算される。
【数1】
ここで、ヤレ量は、検品情報60のヤレ総枚数65、Pageは、ジョブ情報30の印刷ジョブのPage32、Setは、ジョブ情報30の印刷ジョブのSet33、である。ここでは、ヤレ発生頻度Yは、ヤレ総枚数の発生率とする。ヤレ発生頻度Yの回帰式は、次式(3)となる。
Y(x
1,x
2,…,x
n)=w
0+w
1x
1+w
2x
2+…+w
nx
n …(3)
【0079】
新しい印刷ジョブが投入される時、その印刷ジョブの[x1,x2,…,xn]を式(3)に入力したら、ヤレ発生頻度Yを予測できる。そうするためには、係数w0,w1,w2,…,wnを学習により決定する必要がある。学習するためには、ジョブ履歴データベースD1のデータが使用される。この学習では、例えば、機械学習のRegressionアルゴリズムが使用される。また、式(2)のヤレ量を、検品情報60の汚れ枚数62、スジ枚数63、位置ズレ枚数64とする場合に、それぞれ、ヤレ発生頻度Yは、汚れ枚数、スジ枚数、位置ズレ枚数のヤレの発生率となる。
【0080】
より具体的には、機械学習の学習段階として、画像形成装置1において、通信部15を介して外部装置からある印刷ジョブが投入され、画像形成装置1への必要な調整の後に印刷が実行された場合に、制御部11は、当該印刷ジョブに関する上記調整の調整情報を含むジョブ情報(印刷率、FFT特徴など、計算が必要な特徴情報については、制御部11により計算がなされ、計算された特徴情報を含む)と、当該印刷ジョブの印刷用にオペレーターにより操作部12を介して選択入力された用紙の用紙情報と、当該印刷ジョブの印刷物がオペレーターにより検品され操作部12を介して入力された検品情報とを、ジョブ履歴データベースD1のジョブ情報30、用紙情報50、検品情報60の同一レコードに格納する。
【0081】
学習段階において、機械学習部80は、ジョブ履歴データベースD1のジョブ情報30、用紙情報50、検品情報60の各特徴情報が教師データとして入力され、入力された教師データにより係数w0,w1,w2,…,wnを決定して保持する。
【0082】
そして、機械学習の予測段階として、画像形成装置1において、通信部15を介して外部装置からある印刷ジョブが投入された場合に、制御部11は、当該印刷ジョブに関するジョブ情報と、用紙インベントリデータベースD2の用紙情報70とを、機械学習部80に入力する。
【0083】
予測段階において、機械学習部80は、学習段階において決定されている係数w0,w1,w2,…,wnと、入力された印刷ジョブのジョブ情報及び用紙インベントリデータベースD2の用紙情報70とから、式(3)により(給紙部20に格納可能な商品の)用紙ごとのヤレ発生頻度Yを算出して予測し、予測結果としての用紙ごとのヤレ発生頻度Yを出力する。
【0084】
ついで、
図7~
図9を参照して、画像形成装置1で実行される用紙提案処理を説明する。あらかじめ、画像形成装置1において、上記の学習段階のように、ジョブ履歴データベースD1の特徴情報が蓄積され、機械学習部80が、学習により、係数w
0,w
1,w
2,…,w
nを決定して保持しているものとする。
【0085】
そして、画像形成装置1において、通信部15を介して外部装置から用紙情報が指定されていない印刷ジョブが投入されたものとする。投入された印刷ジョブに応じて、制御部11は、操作部12を介するオペレーターからの画像形成装置1に行う必要な調整の調整情報と、印刷物に要する検品レベルと、の入力を受け付け、画像形成装置1に対して当該調整情報に対応する調整を行う。そして、制御部11は、当該印刷ジョブの印刷に用いる用紙を設定するための用紙情報設定画面データを生成して表示部13に表示する。例えば、
図8に示すように、用紙情報設定画面400が表示される。
【0086】
用紙情報設定画面400は、用紙情報表示領域410と、用紙情報設定領域420と、OKボタン431などのボタンと、を有する。用紙情報表示領域410は、特徴情報表示ボタン411と、特徴情報内容表示欄412と、を有する。特徴情報表示ボタン411は、投入された印刷ジョブに用いるための用紙情報の特徴情報の種類を表示し、当該特徴情報の種類の選択のタッチ入力を受け付けるボタンである。特徴情報内容表示欄412は、特徴情報表示ボタン411の用紙情報の各特徴情報の内容を表示する領域である。
【0087】
用紙情報設定領域420は、特徴情報内容選択ボタン421と、用紙提案ボタン422と、を有する。特徴情報内容選択ボタン421は、特徴情報表示ボタン411のタッチ入力により選択された用紙情報の特徴情報の種類に対応する内容の選択のタッチ入力を受け付けるボタンである。用紙提案ボタン422は、投入された印刷ジョブに用いるための用紙情報を提案するための用紙提案画面を表示するタッチ入力を受け付けるボタンである。
【0088】
例えば、
図8の用紙情報設定画面400の例では、用紙情報表示領域410の「紙種」の特徴情報表示ボタン411がタッチ入力され、「紙種」の内容としての「Plain」、「Fine」、「色指定」、「Coated-GL」、「Coated-ML」の特徴情報内容選択ボタン421と、用紙提案ボタン422とが、用紙情報設定領域420に表示されている。OKボタン431は、特徴情報内容表示欄412に表示された特徴情報の用紙を印刷用に決定するタッチ入力を受け付けるボタンである。
【0089】
そして、画像形成装置1において、操作部12を介してオペレーターから用紙提案ボタン422のタッチ入力がされたことをトリガーとして、制御部11は、記憶部14に記憶されている用紙提案プログラムP2に従い、用紙提案処理を実行する。
【0090】
図7に示すように、まず、制御部11は、投入された印刷ジョブのデータを用いて、当該印刷ジョブに対応するジョブ情報の特徴情報のうち、計算が必要なもの(印字率C、印字率Y、印字率M、印字率K、FFT特徴)の計算を行う(ステップS11)。そして、制御部11は、記憶部14に記憶された用紙インベントリデータベースD2の用紙情報70の未選択の用紙情報のレコードがあるか否かを判別する(ステップS12)。
【0091】
未選択の用紙情報のレコードがある場合(ステップS12;YES)、制御部11は、用紙インベントリデータベースD2の用紙情報70の未選択の用紙情報の1レコードを選択して取得する(ステップS13)。そして、制御部11は、上記事前に入力された調整情報及び検品レベルと、ステップS11で計算された特徴情報とを含む、投入された印刷ジョブの特徴情報を取得する(ステップS14)。
【0092】
そして、制御部11は、ステップS13で取得された用紙情報と、ステップS14で取得された特徴情報とを、機械学習部80に入力する(ステップS15)。機械学習部80は、式(2)により、学習段階で決定された係数w0,w1,w2,…,wnを用いて、ステップS14で入力された用紙情報及び特徴情報を[x1,x2,…,xn]に代入して、選択中の用紙情報のヤレ発生頻度Yを算出して予測する。
【0093】
そして、制御部11は、ステップS15で算出された選択中の用紙情報のヤレ発生頻度Yを機械学習部80から取得して当該用紙情報の値段とともに制御部11内のRAMに記憶し(ステップS16)、ステップS12に移行する。
【0094】
未選択の用紙情報のレコードがない場合(ステップS12;NO)、制御部11は、ステップS16でRAMに記憶された用紙情報ごとのヤレ発生頻度Y及び値段を読み出し、ヤレ発生頻度Yと当該用紙情報の値段とのバランスがよい順番に、当該用紙情報をソートする(ステップS17)。そして、制御部11は、ステップS17で読み出されたソートされた用紙情報を含む用紙提案画面データを生成して表示部13に表示し(ステップS18)、用紙提案処理を終了する。
【0095】
ステップS18では、例えば、
図9に示す用紙提案画面500が表示される。用紙提案画面500は、表示番号(1)~(12)の12個の用紙情報表示欄510を含む。用紙情報表示欄510は、表示番号(1)~(12)が付与され、左上から表示番号順に並べられた用紙情報の表示欄である。
【0096】
用紙情報表示欄510には、用紙情報511と、ヤレ発生頻度512と、詳細表示入力領域513と、が含められる。用紙情報511は、用紙情報70として、用紙名78としての用紙名と、値段77としての値段(COST)と、を含む。
【0097】
ヤレ発生頻度512は、用紙情報511の用紙のヤレ発生頻度である。また、詳細表示入力領域513は、操作部12を介するオペレーターからのタッチ入力を受け付ける領域である。詳細表示入力領域513がタッチ入力されると、制御部11は、タッチ入力された詳細表示入力領域513に対応する用紙情報の全ての特徴情報を表示部13に表示する。
【0098】
用紙提案画面500では、印刷会社が持っている用紙の中で、値段とヤレ発生頻度とのバランスが良い用紙情報511が表示番号(1)~(4)の順番で表示されている。例えば、用紙を100枚印刷する場合に、用紙名PA1の無駄紙のコストは、20[円]×100[枚]×0.05(5[%])=100[円]となる。同様にして、用紙名PA2の無駄紙のコストは、150[円]、用紙名PA3の無駄紙のコストは、250[円]、用紙名PA4の無駄紙のコストは、450[円]となる。このように、無駄紙のコストが小さい順に、表示番号(1)~(4)の順番の用紙情報表示欄510に、用紙名PA1、用紙名PA2、用紙名PA3、用紙名PA4の用紙情報511が表示され、その表示順に用紙がオペレーターに提案されている。
【0099】
また、用紙情報表示欄510は、中に含まれる用紙情報511に対応する用紙情報選択のタッチ入力を受け付ける。操作部12を介してオペレーターにより用紙情報表示欄510がタッチ入力されると、制御部11は、用紙提案画面500を消去し、選択入力された用紙情報表示欄510に対応する用紙情報の内容を、表示中の用紙情報設定画面400の特徴情報内容表示欄412に表示する。この状態で、操作部12を介してオペレーターによりOKボタン431がタッチ入力されると、制御部11は、投入された印刷ジョブを印刷する用紙を、特徴情報内容表示欄412の用紙情報の用紙に決定し、当該用紙が格納された給紙部20の給紙トレイを選択する。そして、制御部11は、画像処理部16、画像形成部17、定着部18、搬送部19、給紙部20、後処理部21を制御して、投入された印刷ジョブの画像データを、選択された用紙に画像形成(印刷)して印刷物として排紙トレイT4に排紙する。なお、一つの印刷ジョブに対して複数の種類の用紙を使う場合には、それぞれの種類について、上記と同様に用紙提案処理を行う構成としてもよい。また、上記決定された用紙が給紙部20の給紙トレイに格納されていない場合に、制御部11は、給紙部20の給紙トレイへの決定された用紙の格納を促すメッセージを表示部13に表示して、オペレーターに当該用紙を給紙トレイへ格納させ、当該給紙トレイから供給される用紙を用いて、印刷ジョブの印刷を行うこととしてもよい。
【0100】
以上、本実施の形態によれば、画像形成装置1は、投入された印刷ジョブのデータを取得する制御部11と、印刷ジョブの印刷物に要する検査レベルとしての検品レベル、ジョブ情報の調整情報を取得する操作部12と、を備える。制御部11は、用紙インベントリデータベースD2から印刷用に選択可能な複数の用紙の用紙情報を取得し、取得された複数の用紙情報を用いて、取得した印刷ジョブのデータ及び検品レベルが設定された印刷が行われた場合の異常発生頻度としてのヤレ発生頻度512を生成し、生成したヤレ発生頻度512を用紙情報511と関連付けて通知(表示部13に表示)する。
【0101】
このため、表示されたヤレ発生頻度512及び用紙情報511から用紙情報を選択することで、印刷ジョブと印刷物に求められる品質とに適した用紙の選択を容易にすることができる。
【0102】
また、制御部11は、過去の印刷ジョブのジョブ履歴データベースD1に基づいて、取得された印刷ジョブのデータ、検品レベル及び複数の用紙情報に対応するヤレ発生頻度を予測する機械学習部80として機能する。このため、過去の印刷ジョブのジョブ履歴データベースD1から今回の印刷ジョブの用紙情報ごとのヤレ発生頻度を予測できる。
【0103】
また、ジョブ履歴データベースD1は、過去の印刷ジョブのジョブ情報30と、過去の印刷ジョブで使用した用紙の用紙情報50と、過去の印刷ジョブの検品レベル61及び印刷物の異常発生頻度としてのヤレ総枚数65を含む検品情報60と、を含む。このため、過去の印刷ジョブのジョブ履歴データベースD1から今回の印刷ジョブの用紙情報ごとのヤレ発生頻度を正確に予測できる。
【0104】
また、機械学習部80は、過去の印刷ジョブのジョブ履歴データベースD1を学習し、当該学習の結果としての係数w0,w1,w2,…,wnを用いて、取得された印刷ジョブのデータ、検品レベル及び複数の用紙情報に対応する異常発生頻度を予測する。このため、過去の印刷ジョブのジョブ履歴データベースD1から今回の印刷ジョブの用紙情報ごとのヤレ発生頻度をより正確に予測できる。
【0105】
また、ジョブ情報(印刷ジョブのデータ、ジョブ情報30)は、印刷ジョブの画像の特性情報と、印刷ジョブの印刷前の画像形成装置1の調整情報と、を含む。このため、過去の印刷ジョブのジョブ履歴データベースD1から今回の印刷ジョブの用紙情報ごとのヤレ発生頻度をより正確に予測できる。
【0106】
また、用紙情報(印刷ジョブの用紙情報、用紙インベントリデータベースD2の用紙情報)は、用紙の特性情報と、用紙の属性情報と、を含む。このため、過去の印刷ジョブのジョブ履歴データベースD1から今回の印刷ジョブの用紙情報ごとのヤレ発生頻度をより正確に予測できる。
【0107】
また、制御部11は、ヤレ発生頻度及び用紙情報の組合せを、用紙のコスト(値段)に基づいてソートして表示する。このため、低コストかつ適切な用紙情報を容易に選択できる。
【0108】
(変形例)
図10を参照して、上記実施の形態の変形例を説明する。
図10は、本変形例の画像形成システム1000の概略構成を示すブロック図である。
【0109】
上記実施の形態では、画像形成装置1自体が、投入された印刷ジョブのデータを用いて、用紙提案処理を行う構成としたが、本変形例では、画像形成装置とは独立した後述する情報処理装置としてのジョブ管理装置2が、投入された印刷ジョブのデータを管理するとともに、画像形成装置に用紙提案を行う構成である。
【0110】
図10に示すように、画像形成システム1000は、画像形成装置1Aと、ジョブ管理装置2と、を備える。画像形成装置1Aと、ジョブ管理装置2とは、通信ネットワークNを介して接続されている。通信ネットワークNは、LAN(Local Area Network)などの通信ネットワークである。
【0111】
画像形成装置1Aは、上記実施の形態の画像形成装置1と同様の構成を有する。ただし、記憶部14には、ジョブ履歴データベースD1、用紙インベントリデータベースD2、機械学習プログラムP1、用紙提案プログラムP2は、記憶されていないものとする。
【0112】
ジョブ管理装置2は、PC3などの外部装置から投入された印刷ジョブのデータを記憶して管理し、印刷実行する印刷ジョブのデータを画像形成装置1Aに送信して印刷させる情報処理装置である。ジョブ管理装置2は、画像形成装置1と同様に、制御部、記憶部、操作部、表示部、通信部などを備える。この操作部は、キーボードや、マウスなどのポインティングデバイスを備えてもよい。
【0113】
ジョブ管理装置2の記憶部には、ジョブ履歴データベース、用紙インベントリデータベース、機械学習プログラム、用紙提案プログラムが記憶される。ジョブ管理装置2の制御部は、PC3などの外部装置から投入された印刷ジョブのデータを画像形成装置1Aに送信してオペレーターの操作に応じて用紙に印刷させ、当該印刷ジョブに対応するジョブ情報と、画像形成装置1Aの操作部12を介してオペレーターから入力された用紙情報、検品情報とを取得してジョブ履歴データベースに格納する。
【0114】
ジョブ管理装置2の制御部には、機械学習プログラムにより機械学習部が実現される。ジョブ管理装置2の機械学習部は、ジョブ履歴データベースの特徴情報を用いて、式(2)の係数w0,w1,w2,…,wnを決定し保持する。
【0115】
そして、PC3などの外部装置から用紙情報を含まない印刷ジョブが投入された場合に、ジョブ管理装置2の制御部は、当該印刷ジョブのデータを画像形成装置1Aに送信して用紙情報設定画面を表示部13に表示させ、操作部12を介してオペレーターから用紙提案ボタンがタッチ入力されると、そのタッチ入力情報を画像形成装置1Aから受信して、用紙提案プログラムに従い、用紙提案処理を実行する。この用紙提案処理は、
図7の用紙提案処理の主体をジョブ管理装置2の制御部に代えたものである。また、ジョブ管理装置2の制御部は、用紙提案処理で生成した用紙提案画面データを、画像形成装置1Aに送信して表示部13に表示させる。画像形成装置1Aは、受信した印刷ジョブのデータと、表示された用紙提案画面により操作部12を介してオペレーターから選択入力された用紙情報とを用いて、画像処理部16、画像形成部17、定着部18、搬送部19、給紙部20、後処理部21を制御して、当該用紙情報の用紙に画像を形成して印刷を行う。
【0116】
本変形例によれば、上記実施の形態と同様な効果を奏する。
【0117】
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係る好適な情報処理装置、用紙情報通知方法及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0118】
また、以上の実施の形態及び変形例における画像形成装置1、画像形成システム1000を構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0119】
1000 画像形成システム
1,1A 画像形成装置
100 画像形成装置本体
12 操作部
13 表示部
17 画像形成部
17Y,17M,17C,17K 画像形成ユニット
171 感光体ドラム
172 帯電部
173 露光部
174 現像部
175 1次転写ローラー
176 クリーニング部
177 中間転写ベルト
178 2次転写ローラー
18 定着部
19 搬送部
20 給紙部
T1,T2,T3 給紙トレイ
200 給紙装置
300 後処理装置
21 後処理部
T4 排紙トレイ
2 ジョブ管理装置
3 PC
N 通信ネットワーク