(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】グロメット
(51)【国際特許分類】
F16J 15/06 20060101AFI20240528BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20240528BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20240528BHJP
F16C 1/10 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
F16J15/06 L
H05K7/00 M
F16J15/10 U
F16C1/10 B
(21)【出願番号】P 2020144297
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】東 憲一
(72)【発明者】
【氏名】松木 祐平
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-142336(JP,A)
【文献】特表2014-529290(JP,A)
【文献】特開2001-327048(JP,A)
【文献】特開2004-187357(JP,A)
【文献】特開平09-259672(JP,A)
【文献】特開2005-110427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/06
H05K 7/00
F16J 15/10
F16C 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の筐体に取付けられる板状の取付部と、
前記取付部に前記筐体の外方に向けて突設された樋状の充填部と、
ケーブルを挿入可能な大きさで前記充填部の内方空間に向けて開口するケーブル挿通口を有し、前記ケーブル挿通口から前記筐体の内方に向けて延びるように前記取付部に形成された筒状のケーブル挿通部とを備え、
前記取付部における前記筐体の内方を指向する裏面であって、前記ケーブル挿通部との境界となる部分には、前記筐体の内方に向けて開放される凹部が前記ケーブル挿通部の周囲を囲むように形成され
、
前記ケーブル挿通部の前記ケーブル挿通口とは反対側に位置する先端には、前記ケーブル挿通部を閉塞する蓋が設けられ、
前記蓋は、
前記ケーブル挿通部に接続された薄肉部と、
前記薄肉部より厚く形成されて前記薄肉部と協働して前記ケーブル挿通部を閉塞する板状の受圧部とによって構成され、
前記薄肉部は、前記ケーブル挿通部における前記筐体の内方を指向する先端面より前記筐体の内方であって、前記ケーブル挿通部の外側の筒壁面より内側に配設され、
前記ケーブル挿通部と前記蓋との境界は、
前記ケーブル挿通部の内側の筒壁面と前記薄肉部との境界となる第1の隅部と、
前記ケーブル挿通部の前記先端面と前記薄肉部との境界となる第2の隅部とによって構成されていることを特徴とするグロメット。
【請求項2】
請求項1記載のグロメットにおいて、
前記ケーブル挿通部は、
前記取付部に接続されて前記ケーブル挿通口を形成する接続部と、
前記接続部から前記筐体の内方に向けて延びるシール部とを有し、
前記シール部の厚みは、前記接続部の厚みより薄いことを特徴とするグロメット。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載のグロメットにおいて、
前記ケーブル挿通口は、前記充填部の内方空間から前記筐体の内方に向かうにしたがって次第に口径が小さくなるテーパー状に形成されていることを特徴とするグロメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に接続されたケーブルの筐体からの出口を防水するためのグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
野外に設置される電子機器は防水が必須となり、全体を筐体で覆うことが理想的である。しかし、電源やネットワーク等を接続するために電子機器からケーブルを導出しなければならないから、筐体のケーブル導出部には何らかの防水構造が必要になる。
筐体のケーブル導出部を防水する防水構造としては、一般的には特許文献1や特許文献2に示すようなグロメットが知られている。グロメットは、通常はゴム材料によって形成され、ケーブル挿通部を有している。
【0003】
ケーブル挿通部は、初期の状態ではケーブルを通す穴が蓋によって塞がれていることが多い。この種のグロメットにおいては、実際に使用するときに蓋に穴を開けるか蓋を切り離してケーブルを通す。また、従来のグロメットにおいては、蓋の周囲を肉薄に形成しておき、ドライバー等で蓋を押圧すると薄肉部分が容易に切れるようにして穴を開け易くすることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-110427号公報
【文献】特開2018-182986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような従来のグロメットにおいては、電子機器の筐体に取付けてケーブルを通した後にケーブルが筐体に対して動くと、グロメットのケーブル挿通部がケーブルに追従することができず、ケーブルとグロメットとの間に隙間が生じるおそれがある。
また、ケーブル挿通部に穴を開け易いようにケーブル挿通部を塞ぐ蓋の周囲を薄肉に形成する場合は、穴開け後に残存した薄肉部分がケーブル挿通部の内側に入ってケーブルとの間に挟み込まれるおそれがある。このような場合は、ケーブルとグロメットとの間に隙間が生じることになる。
【0006】
ケーブルとグロメットとの間に隙間が生じることを防ぐためには、ケーブルをグロメットに挿入した後、コーキング材をグロメット内に注入してケーブルとグロメットとの間の隙間を塞ぐことが考えられる。しかし、従来のグロメットにおいては、コーキング材の注入に関して何ら考慮されていないから作業性が低いし、コーキング材を十分に充填することが難しい。
【0007】
本発明の目的は、ケーブルをグロメットに対して容易に動かすことができ、電子機器の筐体のグロメットを有するシール部から筐体内に水が浸入することを防止する優れた防水機能を有するグロメットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係るグロメットは、電子機器の筐体に取付けられる板状の取付部と、前記取付部に前記筐体の外方に向けて突設された樋状の充填部と、ケーブルを挿入可能な大きさで前記充填部の内方空間に向けて開口するケーブル挿通口を有し、前記ケーブル挿通口から前記筐体の内方に向けて延びるように前記取付部に形成された筒状のケーブル挿通部とを備え、前記取付部における前記筐体の内方を指向する裏面であって、前記ケーブル挿通部との境界となる部分には、前記筐体の内方に向けて開放される凹部が前記ケーブル挿通部の周囲を囲むように形成されているものである。
【0009】
本発明は、前記グロメットにおいて、前記ケーブル挿通部は、前記取付部に接続されて前記ケーブル挿通口を形成する接続部と、前記接続部から前記筐体の内方に向けて延びるシール部とを有し、前記シール部の厚みは、前記接続部の厚みより薄くてもよい。
【0010】
本発明は、前記グロメットにおいて、前記ケーブル挿通部の前記ケーブル挿通口とは反対側に位置する先端には、前記ケーブル挿通部を閉塞する蓋が設けられ、前記蓋は、前記ケーブル挿通部に接続された薄肉部と、前記薄肉部より厚く形成されて前記薄肉部と協働して前記ケーブル挿通部を閉塞する板状の受圧部とによって構成され、前記薄肉部は、前記ケーブル挿通部における前記筐体の内方を指向する先端面より前記筐体の内方であって、前記ケーブル挿通部の外側の筒壁面より内側に配設され、前記ケーブル挿通部と前記蓋との境界は、前記ケーブル挿通部の内側の筒壁面と前記薄肉部との境界となる第1の隅部と、前記ケーブル挿通部の前記先端面と前記薄肉部との境界となる第2の隅部とによって構成されていてもよい。
【0011】
本発明は、前記グロメットにおいて、前記ケーブル挿通口は、前記充填部の内方空間から前記筐体の内方に向かうにしたがって次第に口径が小さくなるテーパー状に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、筒状のケーブル挿通部が充填部の内方空間に隣接する一端部を中心にして揺動可能になるとともに、ケーブルの延びる方向とは直交する方向に平行移動可能になる。このため、ケーブルの傾動や平行移動等の動きに筒状のケーブル挿通部が確実に追従するようになり、防水性を維持することができる。
このようにケーブル挿通部の変形が容易であることにより、グロメットの取付部や充填部などのケーブル挿通部以外の部分にケーブルから力が伝わり難くなる。このため、ケーブル挿通部以外の部分と電子機器の筐体との隙間のシール性を高く維持でき、この隙間からの浸水あるいは虫の侵入を防ぐことができる。
したがって、本発明によれば、ケーブルをグロメットに対して容易に動かすことができ、電子機器の筐体のグロメットを有するシール部から筐体内に水が浸入することを防止する優れた防水機能を有するグロメットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明に係るグロメットを使用した電子機器の筐体の斜視図である。
【
図2】
図2は、電子機器の筐体を破断して示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、電子機器の筐体を破断して示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、グロメットの筐体外側からみた斜視図である。
【
図6】
図6は、グロメットの筐体内側から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、グロメットの要部を拡大して示す断面図である。
【
図9】
図9は、グロメットの要部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るグロメットの一実施の形態を
図1~
図9を参照して詳細に説明する。
図1に示す電子機器1は、箱状の筐体2を備えている。この筐体2は、屋外に設置できるものである。この電子機器1を屋外に設置するにあたっては、
図1において右下側に位置する筐体2の底面2aが下に位置し、
図1において最も大きく描かれている筐体2の正面2bが電子機器1の前方を指向するように行う。
【0015】
筐体2は、ロアケース3とアッパーケース4とを組み合わせて箱状に形成されている。
筐体2の下端部には、他の部分より下方に突出する突出部5が設けられている。突出部5は、
図2に示すように、ロアケース3の突部3aと、この突部3aに被せられるアッパーケース4のカバー部4aとによって形成されている。
【0016】
突出部5の下面には穴6が形成されている。この穴6にはケーブル7が通されている。ケーブル7は、電子機器1に電源やネットワーク等を接続するためのケーブルである。突出部5の穴6は、アッパーケース4のカバー部4aに切欠きとして形成されている。突出部5の内部には、
図2に示すように、防水構造11が設けられている。防水構造11は、ケーブル7が筐体2を貫通するケーブル貫通部12をシールするためのもので、ロアケース3に筐体2内に向けて突設された下壁部13と、この下壁部13に取付けられたグロメット14と、グロメット14に被せられるアッパーケース4のカバー部4aと、グロメット14とカバー部4aとの間に充填されたコーキング材15などによって構成されている。
【0017】
下壁部13は、
図3に示すように、板状に形成されており、下方(
図3においては右下方向)に向けて突出する箱状の囲い部16を有している。下壁部13の前部には、後述するグロメット14の一部を通すための第1の切欠き17が形成されている。
囲い部16は、下壁部13の一部とともに有底角筒状に形成されている。囲い部16を構成する角筒の開口は、電子機器1の前方を指向している。囲い部16の下面には後述するグロメット14の一部を通すための第2の切欠き18が形成されている。
【0018】
グロメット14は、ゴム材料によって所定の形状に形成されており、
図4~
図6に示すように、板状を呈する取付部21と、この取付部21から筐体2の外方(下方)に向けて突設された樋状の充填部22と、取付部21の中央に開口するケーブル挿通口23を含む筒状のケーブル挿通部24(
図6および
図7参照)とを備えている。
【0019】
取付部21は、筐体2の上述した囲い部16に嵌まる形状に形成されている。取付部21の一端部(
図4においては上端部であって、電子機器1の前側の端部)には、取付部21の他の部分より段差をもって厚みが薄くなる第1の薄肉部25が形成されている。第1の薄肉部25の両端部には、
図2に示すように、囲い部16の開口縁に電子機器1の前側から重なる突片25aが設けられている。
第1の薄肉部25と充填部22との間には、取付部21より厚みが厚くなるように段部26が形成されている。段部26の前側に位置する第1の角27は、充填部22の中に注入されるコーキング材15の適正な注入量の目安となる線を構成しており、コーキング材15の前側の最大限界位置になる。
【0020】
図6に示すように、取付部21の裏側の左右方向の中央部であって、電子機器1の前側(
図6においては上側)には、取付部21の他の部分より厚みが厚くなるように凸壁28が設けられている。この凸壁28は、取付部21がロアケース3の囲い部16に挿入された状態で下壁部13の第1の切欠き17に挿入される。第1の切欠き17は、後述するケーブル挿通部24を通すことができるように形成されている。このため、第1の切欠き17と対応する取付部21の中央部であって前側は、下壁部13に支持されることがなくなる。しかし、この実施の形態においては、この部分に凸壁28が設けられているから、この部分を補強することができる。
【0021】
取付部21における筐体2の内方を指向する裏面21aであって、ケーブル挿通部24との境界となる部分には、筐体2の内方に向けて開放される凹部31がケーブル挿通部24の周囲を囲むように形成されている。
【0022】
充填部22は、
図4および
図5に示すように、下方から見て電子機器1の前方に向けて開放される断面U字状に形成されている。このため、充填部22は、筐体2の外に向けて(下方に向けて)開口する第1の開口部32と、筐体2の外に向かう方向とは直交する方向(電子機器1の前方)に向けて開口する第2の開口部33とを有している。グロメット14の取付部21がロアケース3の囲い部16に挿入された状態においては、充填部22が囲い部16の第2の切欠き18に挿入される。
【0023】
第1の開口部32は、充填部22の中に注入されるコーキング材15の適正な注入量の目安となる線を構成しており、コーキング材15の下側の最大限界位置になる。
第2の開口部33は、グロメット14が取付けられているロアケース3にアッパーケース4を取付けることによって、アッパーケース4のカバー部4aによって塞がれる。
第2の開口部33は、充填部22の中に注入されるコーキング材15の適正な注入量の目安となる線を構成しており、コーキング材15の前側の最低限界位置になる。
【0024】
充填部22の下端部には、充填部22のその他の部分とは段差をもって厚みが薄くなる第2の薄肉部34が形成されている。第2の薄肉部34と充填部22の他の部分との境界となる第2の角35は、充填部22の中に注入されるコーキング材15の適正な注入量の目安となる線を構成しており、コーキング材15の下側の最低限界位置になる。
【0025】
ケーブル挿通口23は、ケーブル7を挿入可能な大きさで充填部22の内方空間に向けて開口している。このケーブル挿通口23を有するケーブル挿通部24は、
図7に示すように、ケーブル挿通口23が一端となるようにケーブル挿通口23から筐体2の内方(
図7においては右方)に向けて延びるように取付部21に形成されている。この実施の形態によるケーブル挿通部24は、ケーブル挿通口23から離れるにしたがって太さが細くなる円筒状に形成されている。
【0026】
詳述すると、ケーブル挿通部24は、取付部21に接続されてケーブル挿通口23を形成する接続部41と、この接続部41から筐体2の内方に向けて延びるシール部42とを有している。接続部41は、筐体2の内方に向かうにしたがって次第に径が小さくなるテーパー状に形成されている。このため、ケーブル挿通口23は、充填部22の内方空間から筐体2の内方に向かうにしたがって次第に口径が小さくなるテーパー状に形成されている。
【0027】
シール部42は、ケーブル7の外面に液密に密着する部分である。この実施の形態によるシール部42は、接続部41より径の変化が小さくなるように、言い換えればテーパーの角度が小さくなるように、筐体2の内方に向かうにしたがって次第に径が小さくなるテーパー状に形成されている。シール部42の厚みは、接続部41の厚みより薄い。また、シール部42は、取付部21より筐体2の内方に向けて突出している。
【0028】
シール部42の先端、言い換えればケーブル挿通部24のケーブル挿通口23とは反対側に位置する先端には、ケーブル挿通部24を閉塞する蓋43が設けられている。蓋43は、ケーブル挿通部24の長手方向から見て円形に形成されている。この実施の形態による蓋43は、ケーブル挿通部24に接続された薄肉部44と、薄肉部44より厚く形成されて薄肉部44と協働してケーブル挿通部24を閉塞する板状の受圧部45とによって構成されている。薄肉部44は、ケーブル挿通部24における筐体2の内方を指向する先端面24aより筐体2の内方であって、ケーブル挿通部24の外側の筒壁面24bより内側に配設されている。
【0029】
図8に示すように、ケーブル挿通部24の内側の筒壁面24cと、薄肉部44との境界には、第1の隅部46が形成されている。また、ケーブル挿通部24の先端面24aと薄肉部44との境界には、第2の隅部47が形成されている。これらの第1の隅部46と第2の隅部47とは、ケーブル挿通部24と蓋43との境界を構成している。この実施の形態による第1の隅部46と第2の隅部47は、ケーブル挿通部24の長手方向において略同じ位置に形成されている。
【0030】
次に、上述したグロメット14を筐体2に組付ける手順について説明する。グロメット14を筐体2に組付けるためには、先ず、グロメット14のケーブル挿通部24に穴を開ける。この穴開け作業は、ケーブル挿通口23に例えばドライバー等の工具を挿入し、この工具で蓋43を押して行う。蓋43が工具によって押されると、
図9に示すように、第1の隅部46が開くようになるとともに、第2の隅部47が狭くなるように蓋43が曲げられる。蓋43が工具によって強く押圧されると、第1の隅部46と第2の隅部47とに応力が集中する。この応力集中により第1の隅部46あるいは第2の隅部47を起点として亀裂が生じて薄肉部44が破断し、ケーブル挿通部24から蓋43が外れるようになる。このとき亀裂は、
図9中に二点鎖線Aや二点鎖線Bで示すように生じると考えられる。
【0031】
このようにケーブル挿通部24に円形の穴が開いた後、ケーブル7をケーブル挿通口23からケーブル挿通部24の中に挿通する。そして、グロメット14の取付部21をロアケース3の囲い部16に嵌め込む。その後、グロメット14の充填部22にコーキング材15を注入する。コーキング材15の注入は、充填部22の第1の開口部32から充填部22の内方空間に向けて行う。コーキング材15を充填部22に充填した後にアッパーケース4をロアケース3に取付ける。
【0032】
この実施の形態によるグロメット14においては、取付部21の裏面21aにケーブル挿通部24を囲むように凹部31が形成されているから、筒状のケーブル挿通部24が充填部22の内方空間に隣接する一端部を中心にして揺動可能になるとともに、ケーブル7の延びる方向とは直交する方向に平行移動可能になる。このため、ケーブル7の傾動や平行移動等の動きに筒状のケーブル挿通部24が確実に追従するようになり、防水性を維持することができる。
【0033】
このようにケーブル挿通部24の変形が容易であることにより、グロメット14の取付部21や充填部22などのケーブル挿通部24以外の部分にケーブル7から力が伝わり難くなる。このため、ケーブル挿通部24以外の部分と電子機器1の筐体2との間の隙間のシール性を高く維持でき、この隙間からの浸水あるいは虫の侵入を防ぐことができる。
したがって、この実施の形態によれば、ケーブル7をグロメット14に対して容易に動かすことができ、グロメット14を有するシール部42から電子機器1の筐体2内に水が浸入することを防止する優れた防水機能を有するグロメットを提供することができる。
【0034】
この実施の形態によるグロメット14のケーブル挿通部24は、取付部21に接続されてケーブル挿通口23を形成する接続部41と、接続部41から筐体2の内方に向けて延びるシール部42とを有している。シール部42の厚みは、接続部41の厚みより薄い。このため、使用するケーブル7の線径が多様であったとしても、また、ケーブル7の断面形状が丸形や四角形であったとしても、シール部42がケーブル7と確実に密着するようになる。
【0035】
この実施の形態によるケーブル挿通部24と蓋43との境界は、ケーブル挿通部24の内側の筒壁面24cと薄肉部44との境界となる第1の隅部46と、ケーブル挿通部24の先端面24aと薄肉部44との境界となる第2の隅部47とによって構成されている。このため、蓋43の薄肉部44の破断跡がケーブル挿通部24内に凸となるように形成されることがないから、グロメット14とケーブル7との間に隙間が生じることを確実に防ぐことができる。
【0036】
この実施の形態によるケーブル挿通口23は、充填部22の内方空間から筐体2の内方に向かうにしたがって次第に口径が小さくなるテーパー状に形成されている。このため、ケーブル挿通部24の接続部41がコーキング材15の注入時に充填部22内側へ移動することを防ぐことができる。また、ケーブル7とケーブル挿通口23との間が広く開放されるために、コーキング材15を注入するときの作業性が高くなるし、コーキング材15が円滑に流れるようになってグロメット14とコーキング材15との間に隙間が生じることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0037】
1…電子機器、2…筐体、7…ケーブル、21…取付部、21a…裏面、22…充填部、23…ケーブル挿通口、24…ケーブル挿通部、24a…先端面、24b…外側の筒壁面、24c…内側の筒壁面、31…凹部、41…接続部、42…シール部、43…蓋、44…薄肉部、45…受圧部、46…第1の隅部、47…第2の隅部。