(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】記録装置、記録装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 13/10 20060101AFI20240528BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240528BHJP
B41J 13/076 20060101ALI20240528BHJP
B41J 13/00 20060101ALI20240528BHJP
B41J 15/04 20060101ALI20240528BHJP
B65H 29/70 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B41J13/10
B41J2/01 305
B41J13/076
B41J13/00
B41J15/04
B65H29/70
(21)【出願番号】P 2020154426
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】北原 圭祐
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-68540(JP,A)
【文献】特開2018-203533(JP,A)
【文献】特開2007-144960(JP,A)
【文献】特開2017-1304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 13/10
B41J 2/01
B41J 13/076
B41J 13/00
B41J 15/04
B65H 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、
前記記録部に対向して配置され、前記媒体を支持面で支持する支持部と、
前記媒体の搬送方向において前記記録部の下流に前記媒体の前記搬送方向に交差する幅方向に沿って複数配置され、前記媒体を搬送する下流側搬送ローラー対と、
前記搬送方向において前記記録部と前記下流側搬送ローラー対との間に前記媒体の前記幅方向に沿って複数配置され、前記媒体の上方から前記媒体に接する規制部材と、
前記媒体の第1面への記録が行われた前記媒体の表裏が反転し、前記媒体の前記第1面と反対の第2面に記録を行わせるべく前記記録部の上流に合流する反転経路と、を備え、
前記下流側搬送ローラー対のニップ点は、前記支持面よりも上方に位置し、各前記規制部材の下部先端は、前記下流側搬送ローラー対の前記ニップ点よりも下方に前記媒体を押し下げる位置に配置され、
前記複数の規制部材のうち、前記幅方向の両端部側に配置された前記規制部材は、前記幅方向の中央側に配置された前記規制部材よりも前記媒体にかける荷重が少ない、ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置であって、
各前記規制部材は、前記媒体の搬送に伴って従動回動する回転体である、記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置であって、
各前記回転体は、バネを軸に回動可能であり、
前記両端部側に配置された前記回転体の前記バネのバネ定数は、前記中央側に配置された前記回転体の前記バネのバネ定数よりも低い、記録装置。
【請求項4】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記両端部側に配置された前記規制部材の前記媒体に対する下方への押し込み量を、前記中央側に配置された前記規制部材の前記媒体に対する下方への押し込み量よりも少なくする、記録装置。
【請求項5】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記規制部材は、前記幅方向において前記幅方向に複数配置された各前記下流側搬送ローラー対の間に配置される、記録装置。
【請求項6】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記両端部側に配置された前記規制部材は、各一つずつである、記録装置。
【請求項7】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記下流側搬送ローラー対の下流側に配置され、記録された前記媒体を切断する切断部を備え、
前記媒体が、ロール状に巻き重ねられた長尺媒体である場合、
前記ロール状に巻き重ねられた際に外側の面である前記第1面に記録が行われ、
前記第1面に記録された前記媒体を前記切断部で切断し、
切断された前記媒体を前記反転経路を介して前記媒体の表裏を反転させ、
前記ロール状に巻き重ねられた際に内側の面である前記第2面に記録を行う、記録装置。
【請求項8】
請求項4に記載の記録装置であって、
前記両端部側の前記規制部材の上下方向における位置を変化させる位置調整機構と、
前記位置調整機構を制御する制御部と、を更に備え、
前記制御部は、
前記第2面に記録を行う際に、前記両端部側の前記規制部材における前記上下方向の位置を変化させる、記録装置。
【請求項9】
請求項8に記載の記録装置であって、
前記媒体の前記搬送方向において前記記録部の上流に前記媒体を搬送する上流側搬送ローラー対を備え、
前記制御部は、
前記第2面に記録を行う際に、前記媒体の前記搬送方向の上流端が前記上流側搬送ローラー対におけるニップが終了するまでに前記両端部側の前記規制部材における前記上下方向の位置を変化させる、記録装置。
【請求項10】
請求項8に記載の記録装置であって、
前記媒体の前記搬送方向において前記記録部の上流に前記媒体を搬送する上流側搬送ローラー対を備え、
前記制御部は、
前記第2面に記録を行う際に、前記媒体の前記搬送方向の上流端が前記上流側搬送ローラー対におけるニップが終了すると判断したときに、前記両端部側の前記規制部材における前記上下方向の位置を変化させる、記録装置。
【請求項11】
請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記位置調整機構は、カムまたはソレノイドを含む、記録装置。
【請求項12】
媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、
前記記録部に対向して配置され前記媒体を支持する支持部と、
前記媒体の搬送方向において前記記録部の下流に前記媒体の幅方向に沿って複数配置され、前記媒体を搬送する下流側搬送ローラー対と、
前記媒体の前記搬送方向において前記記録部と前記下流側搬送ローラー対との間に前記媒体の前記幅方向に沿って複数配置され、前記媒体の上方から前記媒体に接する規制部材と、
前記媒体の第1面への記録が行われた前記媒体の表裏が反転し、前記媒体の前記第1面と反対の第2面に記録を行わせるべく前記記録部の上流に合流する反転経路と、
前記幅方向における両端部側の前記規制部材の上下方向における位置を変化させる位置調整機構と、
制御部と、を備えた記録装置の制御方法であって、
前記制御部は、前記位置調整機構を制御し、前記複数の規制部材のうち、前記幅方向の前記両端部側に配置された前記規制部材を、中央側に配置された前記規制部材よりも前記媒体にかける荷重を少なくさせる、記録装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、記録媒体にインクを吐出して画像を形成する記録ヘッドと、記録された記録媒体を表裏反転させて記録ヘッドに再給紙する手段と、を有する両面印刷可能なインクジェット記録装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば、普通紙に比べてコシが強い記録媒体(例えば、写真用紙)を用いた場合、記録媒体の一方面にインクを塗布すると、記録媒体はインクの水分によって膨張し、記録媒体が記録ヘッドに向けて凸状に湾曲した状態で保持される、という現象が発生する。
そして、湾曲した記録媒体を表裏反転させて記録ヘッドに再給紙した場合、記録媒体は下方に向けて凸状に湾曲した状態で給紙される。このため、記録媒体が記録ヘッドに接触してしまう、という課題がある。特に、裏面の印刷時に記録媒体の後端が記録ヘッド上流の上流側搬送ローラーのニップ点を抜けた後に、記録媒体の後端が記録ヘッドに接触する場合が多い。
記録媒体が記録ヘッドに接触して擦れると、記録媒体にインクが付着し、画像品質が低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
記録装置は、媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、前記記録部に対向して配置され、前記媒体を支持面で支持する支持部と、前記媒体の搬送方向において前記記録部の下流に前記媒体の前記搬送方向に交差する幅方向に沿って複数配置され、前記媒体を搬送する下流側搬送ローラー対と、前記搬送方向において前記記録部と前記下流側搬送ローラー対との間に前記媒体の前記幅方向に沿って複数配置され、前記媒体の上方から前記媒体に接する規制部材と、前記媒体の第1面への記録が行われた前記媒体の表裏が反転し、前記媒体の前記第1面と反対の第2面に記録を行わせるべく前記記録部の上流に合流する反転経路と、を備え、前記下流側搬送ローラー対のニップ点は、前記支持面よりも上方に位置し、各前記規制部材の下部先端は、前記下流側搬送ローラー対の前記ニップ点よりも下方に前記媒体を押し下げる位置に配置され、前記複数の規制部材のうち、前記幅方向の両端部側に配置された前記規制部材は、前記幅方向の中央側に配置された前記規制部材よりも前記媒体にかける荷重が少ない。
【0006】
記録装置の制御方法は、媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、前記記録部に対向して配置され前記媒体を支持する支持部と、前記媒体の搬送方向において前記記録部の下流に前記媒体の幅方向に沿って複数配置され、前記媒体を搬送する下流側搬送ローラー対と、前記媒体の前記搬送方向において前記記録部と前記下流側搬送ローラー対との間に前記媒体の前記幅方向に沿って複数配置され、前記媒体の上方から前記媒体に接する規制部材と、前記媒体の第1面への記録が行われた前記媒体の表裏が反転し、前記媒体の前記第1面と反対の第2面に記録を行わせるべく前記記録部の上流に合流する反転経路と、前記幅方向における両端部側の前記規制部材の上下方向における位置を変化させる位置調整機構と、制御部と、を備えた記録装置の制御方法であって、前記制御部は、前記位置調整機構を制御し、前記複数の規制部材のうち、前記幅方向の前記両端部側に配置された前記規制部材を、中央側に配置された前記規制部材よりも前記媒体にかける荷重を少なくさせる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態にかかる記録装置の外観構成を示す斜視図。
【
図2】第1実施形態にかかる記録装置の外観構成を示す斜視図。
【
図3】第1実施形態にかかる記録装置の内部構成を示す断面模式図。
【
図4】第1実施形態にかかる記録装置の制御部の構成を示すブロック図。
【
図5A】第1実施形態にかかる記録装置の制御方法を示す模式図。
【
図5B】第1実施形態にかかる記録装置の制御方法を示す模式図。
【
図5C】第1実施形態にかかる記録装置の制御方法を示す模式図。
【
図5D】第1実施形態にかかる記録装置の制御方法を示す模式図。
【
図5E】第1実施形態にかかる記録装置の制御方法を示す模式図。
【
図6】第1実施形態にかかる媒体の変形状態を示す模式図。
【
図7】第1実施形態にかかる記録装置の内部構成を示す一部拡大図。
【
図8】第1実施形態にかかる規制部材周辺の構成を示す一部斜視図。
【
図9】第1実施形態にかかる規制部材周辺の構成を示す正面図。
【
図10】第1実施形態にかかる規制部材の一部断面図。
【
図11】第2実施形態にかかる記録装置の構成を示す模式図。
【
図12】第2実施形態にかかる記録装置の制御部の構成を示すブロック図。
【
図13A】第3実施形態にかかる記録装置の記録方法を示す模式図。
【
図13B】第3実施形態にかかる記録装置の記録方法を示す模式図。
【
図13C】第3実施形態にかかる記録装置の記録方法を示す模式図。
【
図13D】第3実施形態にかかる記録装置の記録方法を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.第1実施形態
まず、記録装置11の構成について説明する。本実施形態の記録装置11は、媒体Mに液体としてのインクを吐出して印刷するインクジェット方式の記録装置である。また、本実施形態の記録装置11は、媒体Mとして、単票状の媒体、及びロール状に巻き重ねられた長尺の媒体に対して印刷可能に構成される。
【0009】
以降の図面では、記録装置11が水平面上に載置された状態とし、水平面に沿う方向として、記録装置11の前後方向をX軸に沿った方向とし、左右方向(幅方向であり、搬送方向に交差する方向)をY軸に沿った方向とする。また、水平面に対して鉛直方向(上下方向)をZ軸に沿った方向とする。また、+X方向を前方向、-X方向を後方向、+Y方向を右方向、-Y方向を左方向、+Z方向を上方向、-Z方向を下方向とする。
【0010】
図1、
図2及び
図3に示すように、記録装置11は、直方体状の筐体12、及び記録装置11の各部を支持する本体フレーム16を備える。筐体12は、前面に開口する開口部13を備えている。また、筐体12には、記録(印刷)されて切断された媒体Mを排出する排出口14が設置されている。なお、排出口14は排出部28を構成する。
【0011】
記録装置11は、ロール紙Rを収納し、また収納したロール紙Rを繰り出す収納部40を備えている。収納部40は、開口部13を通じて筐体12から前方向に引き出し可能に設置される。収納部40は、筐体12に収納された場合、記録装置11の外装の一部を構成する前板部42と、ロール紙Rを回転自在に支持する一対の支持壁43と、を備えている。
【0012】
排出部28の下方には、切断部27による切断で生じる媒体Mの切断屑を収容する箱状の切断屑収容部80を備えている。切断屑収容部80は、ロール紙Rの前方向で、着脱可能に筐体12の前面に設置されている。切断屑収容部80は、筐体12に取り付けられることで開口部13を塞ぐ。切断屑収容部80は、筐体12に取り付けられた場合、記録装置11の外装の一部を構成する外壁81を備えている。
【0013】
切断屑収容部80が筐体12から取り外された場合、収納部40が筐体12から引き出し可能な状態となる。収納部40が筐体12から引き出された状態で、ロール紙Rを交換する。
【0014】
また、筐体12の前方には、記録装置11を操作するための操作部15が設けられる。操作部15は、Y軸に沿った方向に横長のパネルであり、記録装置11をオン又はオフする際に操作される電源ボタン15aや、各種の操作情報を入力可能な入力ボタン15bや、記録装置11の操作状態などの表示や記録装置11の操作ボタンが設けられた操作パネル15cが設けられる。操作パネル15cは、タッチパネルである。また、外部に向けて音を発するスピーカー15dが設けられる。
【0015】
図3に示すように、記録装置11は、媒体Mが搬送される搬送経路30(図中、二点鎖線で示す)を備える。記録装置11は、搬送経路30に沿って媒体Mを搬送する搬送部31と、媒体Mに記録を行う記録部20と、媒体Mを切断する切断部27と、を備える。
【0016】
記録部20は、収納部40から搬送される媒体Mに記録を行う。記録部20は、媒体Mに向かってインクを吐出するノズル23を有するヘッド22と、ヘッド22を搭載するキャリッジ21と、を備える。キャリッジ21は、Y軸に沿って延在するガイドフレーム29と、ガイドフレーム29に取り付けられ、Y軸に沿って延在するガイド軸24とによって支持される。キャリッジ21は、モーター等の駆動源によってガイド軸24に沿って移動可能である。すなわち、キャリッジ21は、Y軸に沿った方向に往復移動可能である。ヘッド22と対向する位置には、媒体Mを支持する支持部25が設けられる。
【0017】
ヘッド22は、キャリッジ21と共に媒体Mの幅方向に往復移動しならインクを吐出することで、支持部25の支持面25aに支持された媒体Mに記録を行う。本実施形態では、記録部20として、ヘッド22が幅方向に往復移動するシリアルヘッド方式を例示したが、ヘッド22が幅方向に延在して固定配列されたラインヘッド方式の記録部であってもよい。
【0018】
搬送経路30は、媒体Mが移動可能な空間であり、複数の部材により構成される。搬送経路30は、最上流に位置してロール紙Rを繰り出す収納部40から、最下流に位置する排出部28(排出口14)まで続く。記録部20及び支持部25などは、搬送経路30上に配置される。
【0019】
切断部27は、支持部25より下流に位置すると共に、排出口14より上流に位置する。本実施形態の切断部27は、幅方向に往復移動可能な可動刃27aと、移動しない固定刃27bと、を備える。可動刃27aは、搬送経路30の上方に設けられ、固定刃27bは搬送経路30の下方に設けられる。切断部27は、媒体Mを切断位置で幅方向にわたって切断する。切断位置は、固定刃27bの刃先の位置である。
【0020】
本実施形態の搬送経路30は、媒体Mの搬送方向上流側から、ロール紙Rから繰り出される媒体Mが搬送される第1経路30aと、媒体Mが湾曲しながら搬送される湾曲経路30bと、ヘッド22(支持部25)に向けて媒体Mが搬送される第2経路30cと、支持部25の下流から排出部28に向けて媒体Mが搬送される第3経路30dと、を有する。
【0021】
さらに、搬送経路30は、反転経路30eを備える。反転経路30eは、第2経路30cから分岐する分岐点P1と、第1経路30aに合流する合流点P2とを結ぶ通路である。湾曲経路30bを介して搬送される媒体Mの搬送方向において、合流点P2は、分岐点P1より上流に位置する。すなわち、反転経路30eは、湾曲経路30bの上流側に合流する。反転経路30eは、単票状の媒体Mを反転させて、媒体Mの両面に記録を行うための経路である。
【0022】
搬送部31は、収納部40から記録部20を経由して、切断部27及び排出部28に至る搬送経路30に沿って媒体Mを搬送する。搬送部31は、第1経路30a上に設けられる供給ローラー対32、湾曲経路30bを形成する中間ローラー33、湾曲経路30bの中間ローラー33の外周面に沿って配置された従動ローラー34、第2経路30c上に設けられる上流側搬送ローラー対35を備えている。
従動ローラー34は、回転自在に設けられ、中間ローラー33との間に媒体Mを挟んで従動回転する。本実施形態では、従動ローラー34は複数(本実施形態では3つ)備えている。これにより、反転された媒体Mを湾曲経路30bに沿って円滑に搬送させることができる。
【0023】
搬送部31は、さらに第3経路30d上に下流側第1搬送ローラー対36(下流側搬送ローラー対に相当)、下流側第2搬送ローラー対37、及び下流側第3搬送ローラー対38を備えている。下流側第2搬送ローラー対37は、切断部27より上流に位置する。下流側第3搬送ローラー対38は、切断部27より下流に位置する。
【0024】
ここで、収納部40の構成について説明する。
収納部40は、ロール紙Rが筐体12の幅方向に延びる支軸41を介して回転可能に支持される。支軸41は、正逆両方向に回転駆動可能に構成される。そのため、ロール紙Rは、支軸41を介して正逆両方向に回転駆動される。また、収納部40には、ロール紙Rから繰り出される媒体Mを、第1経路30aに向かって搬送するためのロール紙搬送路50が設けられる。ロール紙搬送路50は、搬送経路30の一部である。
【0025】
ロール紙搬送路50は、支軸41を介して支持されたロール紙Rの前側から下方に向かって延びてから後方向に屈曲し、ロール紙Rの下方向及び後方向を回り込んでロール紙Rよりも高い位置まで上方向に向かって第1経路30aまで延びる。
【0026】
ロール紙搬送路50は、その上流端部、すなわちロール紙搬送路50におけるロール紙Rの前方向で、斜め下方向の位置に、ほぼ直角に曲がる屈曲部50aを有する。ロール紙搬送路50における屈曲部50aの下流側には、ロール紙Rから繰り出される媒体Mの曲がり癖を矯正するデカールを行うためのデカール機構51が設けられる。
【0027】
ロール紙搬送路50におけるデカール機構51よりも下流側には、ロール紙Rに搬送力を付与するロール紙搬送ローラー対56が適宜間隔を置いて設置される。ロール紙搬送ローラー対56が回転駆動することにより、媒体Mがロール紙Rから繰り出されて、第1経路30aに搬送される。ロール紙搬送ローラー対56は、搬送部31の一部である。
【0028】
ロール紙搬送ローラー対56、供給ローラー対32、中間ローラー33、従動ローラー34、上流側搬送ローラー対35、下流側第1搬送ローラー対36、下流側第2搬送ローラー対37、及び下流側第3搬送ローラー対38は、媒体Mを挟んだ状態で回転することにより媒体Mを搬送する。
【0029】
搬送部31の各ローラー対等が正転駆動することにより媒体Mが上流から下流に搬送される。一方、搬送部31の各ローラー対等が逆転駆動すると媒体Mが下流から上流に搬送される。本実施形態では、搬送経路30に沿って、下流に向かう方向を順送方向D1(搬送方向に相当)といい、上流に向かう方向を逆送方向D2という。
【0030】
また、記録装置11は、搬送方向(順送方向D1)において記録部20と下流側第1搬送ローラー対36との間に規制部材100が配置される。規制部材100は、媒体Mの上方から媒体Mに接するものである。なお、規制部材100の詳細な構成は後述する。
【0031】
記録装置11は、搬送される媒体Mへの加熱を行う加熱部60を備えている。加熱部60は、湾曲経路30bに設置される中間ローラー33に対向して位置し、3つの従動ローラー34において、最も下流側の従動ローラー34の直ぐ下流側に設置されている。加熱部60は、媒体Mの巻癖を矯正するために構成されている。本実施形態の加熱部60は、発熱するヒーター61と、発熱したヒーター61の熱を媒体Mに吹き付けるファン62とで構成されている。
【0032】
また、記録装置11は、単票状の媒体Mを収容するカセット221を収容し、媒体Mを搬送可能な収容搬送体200を有する。収容搬送体200は、筐体12に対して着脱可能に構成される。
【0033】
収容搬送体200は、カセット221に収容された媒体Mを湾曲経路30bに向けて搬送する給送部222を有する。
給送部222は、カセット221に積層状態で収容された媒体Mのうち、最上位の媒体Mを送り出すピックアップローラー227と、ピックアップローラー227により送り出された媒体Mを1枚ずつ分離する分離ローラー対228と、単票用搬送経路217に沿って湾曲経路30bに向けて搬送する搬送ローラー対229と、を備える。
【0034】
単票用搬送経路217の下流端には、湾曲経路30bと連通する連通路230が設けられる。
カセット221から搬送された媒体Mは、単票用搬送経路217に沿って搬送され、連通路230を介して湾曲経路30bに合流する。湾曲経路30bに合流した媒体Mは、搬送部31によって記録部20側に搬送され、記録部20によって記録される。
【0035】
次に、記録装置11の制御部58の構成について説明する。
記録装置11は、記録装置11で実行される各種動作を制御する制御部58を備える。
図4に示すように、制御部58は、CPU581と、メモリー582と、制御回路583と、I/F(インターフェイス)584と、を有する。CPU581は演算処理装置である。メモリー582は、CPU581のプログラムを格納する領域または作業領域等を確保する記憶装置であり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。情報処理端末等の外部からI/F584を介して記録データ等を取得すると、CPU581が各駆動部等を制御する。
なお、制御部58は、搬送部31を構成する供給ローラー対32、中間ローラー33、上流側搬送ローラー対35、下流側第1搬送ローラー対36、下流側第2搬送ローラー対37、下流側第3搬送ローラー対38、ロール紙搬送ローラー対56、ピックアップローラー227、分離ローラー対228及び搬送ローラー対229のそれぞれ駆動制御可能に構成される。
また、媒体Mの搬送位置は、位置検出部によって検出可能に構成される。位置検出部は、例えば、搬送経路30上に配置される光学式センサーであり、発光可能な発光部及び受光可能な受光部を有する。発光部は、光学式センサーの下方に向けて発光し、受光部は、媒体Mに反射した反射光を受光する。発光部は、LED(Light Emitting Diode)やレーザー発光素子等で構成される。また、受光部は、フォトトランジスターやフォトIC等で構成される。受光部は、受光した受光量を電圧値として取得する。そして、受光量(電圧値)に媒体Mの有無を判断するための閾値が設けられ、当該閾値を基準にして媒体Mの有無が判断される。これにより媒体Mの端部の検出が可能となる。制御部58は、位置検出部の検出情報に基づき、搬送部31を駆動制御する。なお、位置検出部は、各駆動ローラーに配置可能なロータリーエンコーダーであってもよい。
【0036】
次に、単票状の媒体Mに対して両面印刷を行う制御方法について説明する。
図5Aから
図5Eは、記録装置11の制御方法を示す模式図である。なお、媒体Mの第1面S1は、カセット221に収容された状態で下方となる面である。一方、媒体Mの第2面S2は、カセット221に収容された状態で上方となる面である。
【0037】
まず、
図5Aに示すように、制御部58は、搬送部31を正転駆動させ、カセット221に収容された媒体Mを単票用搬送経路217の順送方向D1に搬送させる。媒体Mは、単票用搬送経路217から連通路230を介して湾曲経路30bに合流し、さらに、第2経路30cを通ってヘッド22に向けて搬送される。
【0038】
次いで、
図5Bに示すように、制御部58は、搬送部31を正転駆動させながら記録部20を駆動させ、媒体Mにインクを吐出させ、画像を記録させる。
【0039】
次いで、
図5Cに示すように、制御部58は、媒体Mを順送方向D1に搬送させ、媒体Mの上流側端部が下流側第1搬送ローラー対36に位置した時点で媒体Mの搬送を停止させる。
【0040】
次いで、
図5Dに示すように、制御部58は、搬送部31を逆転駆動させ、媒体Mを搬送経路30の逆送方向D2に搬送させる。そして、媒体Mを反転経路30eに引き込ませる。
【0041】
次いで、
図5Eに示すように、制御部58は、搬送部31を正転駆動させ、媒体Mを湾曲経路30b、第2経路30cを介してヘッド22に向けて搬送させる。これにより、媒体Mが反転し、媒体Mの第2面S2とヘッド22とが対向する。
次いで、媒体Mを順送方向D1に搬送させながら媒体Mの第2面S2にインクを吐出させて画像を記録させる。これにより、媒体Mの第1面S1及び第2面S2に記録が行われる。すなわち、両面印刷が実行される。
以降、さらに、媒体Mを順送方向D1に搬送させることで、媒体Mは、排出部28から排出される。
【0042】
ここで、媒体Mとヘッド22との接触について説明する。
例えば、印刷に用いる媒体Mが普通紙よりもコシが強い(剛性が高い)写真用紙等である場合、媒体Mの第1面S1にインクを塗布すると、媒体Mはインクの水分によって膨張して変形する。具体的には、媒体Mがヘッド22に向けて凸状に湾曲した状態となる。また、写真用紙等はコシが強いので凸状に湾曲した状態で保持され、搬送される。
その後、両面印刷のために媒体Mを表裏反転させ、ヘッド22と第2面S2とが対向した際、
図6に示すように、媒体Mは下方に向けて凸状に湾曲した状態で支持面25aに支持される。このため、媒体Mの搬送方向端部がヘッド22に接触してしまう。特に、第2面S2の印刷時に媒体Mの上流端部が、上流側搬送ローラー対35が媒体Mを挟持する位置であるニップ点を抜けた後に、振り子現象により媒体Mの上流端部がヘッド22に接触する場合が多い。
このように、媒体Mがヘッド22に接触して擦れると、媒体Mにインクが付着し、画像品質が低下してしまう。
そこで、本実施形態では、規制部材100により媒体Mのヘッド22への接触や擦れを抑制する。
以下、規制部材100の詳細な構成について説明する。
【0043】
図7に示すように、媒体Mの搬送方向においてヘッド22(記録部20)の下流に下流側第1搬送ローラー対36が配置され、ヘッド22と下流側第1搬送ローラー対36との間に規制部材100が配置される。
下流側第1搬送ローラー対36のニップ点N1は、支持部25の支持面25aよりも上方に位置し、規制部材100の下部先端Btは、下流側第1搬送ローラー対36のニップ点N1よりも下方であり、媒体Mを押し下げる位置に配置される。なお、規制部材100の下部先端Btの高さは、下流側第1搬送ローラー対36のニップ点N1と支持面25aとの間である。
【0044】
図8及び
図9に示すように、下流側第1搬送ローラー対36は、媒体Mの幅方向(Y軸に沿った方向)に沿って複数配置される。また、規制部材100も同様にして、媒体Mの幅方向に沿って複数配置される。本実施形態では、各規制部材100が、幅方向において複数配置された各下流側第1搬送ローラー対36の間に配置される。
【0045】
また、本実施形態の規制部材100は、媒体Mの搬送に伴って従動回動する回転体であり、例えば、ゴムローラーである。当該規制部材100は幅細に形成される。これにより、規制部材100が媒体Mに記録された記録面を擦る面積が低減され、画像品質を確保することができる。
図10に示すように、規制部材100は、回転軸として圧縮バネで構成されるバネ軸101(軸心101A)を中心に回転する。規制部材100の上部はフォルダー105によって覆われる。フォルダー105は本体フレーム16に支持される。バネ軸101は、フォルダー105に支持される。これにより、例えば、媒体Mを押さえた場合、バネ軸101は+Z方向に凸状に変形した状態で媒体Mを下方に押し圧する。
なお、規制部材100は、外周縁に一定の角度ピッチで突起が形成されたスターホイールであってもよい。
【0046】
そして、複数の規制部材100のうち、幅方向の両端部側に配置された規制部材100Aは、幅方向の中央側に配置された規制部材100Bよりも媒体Mにかける荷重が少なくなるように設定される。なお、本実施形態では、
図9に示すように、両端部側に各一つずつ規制部材100Aが配置される。
両端部側に配置された規制部材100Aのバネ軸101のバネ定数は、中央側に配置された規制部材100Bのバネ軸101のバネ定数よりも低い。これにより、幅方向の両端部側に配置された規制部材100Aの媒体Mにかける荷重を、中央側に配置された規制部材100Bの媒体Mにかける荷重よりも少なく(小さく)することができる。
【0047】
本実施形態によれば、媒体Mの両面印刷において、
図6に示すように、媒体Mが下方に向けて凸状に湾曲した状態で支持面25aに支持される場合でも、規制部材100で媒体Mを下流側第1搬送ローラー対36のニップ点N1よりも下方に規制するため、媒体Mを容易に下流側第1搬送ローラー対36に導くことができる。
また、媒体Mの上方から媒体Mに接する際、規制部材100は媒体Mに対してある程度の荷重をかける必要がある。しかしながら、媒体Mを下方に押さえすぎると、媒体Mの支持面25aに接する部分が支点となって、振り子現象で媒体Mの上流端部がより上方に移動してヘッド22に接触しやすくなってしまう。
また、媒体Mの幅方向端部の反り量は、他の部分よりも大きい傾向にある。このため、複数の規制部材100によって媒体Mの下流端部を一様に押さえると、媒体Mの幅方向端部に大きな荷重がかかり、必要以上に媒体Mの下流端部を下方に押し下げてしまい、媒体Mの上流端部がより大きく上方に移動してヘッド22(記録部20)に接触しやすくなってしまう。
そこで、複数の規制部材100のうち、幅方向の両端部側に配置された規制部材100Aの媒体Mにかける荷重を、中央側に配置された規制部材100Bの媒体Mにかける荷重よりも小さくすることで、支持面25a上における媒体Mの姿勢バランスが確保され、媒体Mの上流端部の上方への移動が抑制される。これにより、媒体Mのヘッド22への接触や擦れを低減することができる。これに伴い、媒体Mに記録された画像品質を確保することができる。
【0048】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。具体的には、記録装置11Aにおける規制ユニット110の構成について説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0049】
記録装置11Aは、記録部20、支持部25、下流側第1搬送ローラー対36、反転経路30eを含む搬送経路30、規制部材100を含む規制ユニット110等を備える。
【0050】
規制ユニット110は、両端部側に配置された規制部材100Aの媒体Mに対する下方への押し込み量が、中央側に配置された規制部材100Bの媒体Mに対する下方への押し込み量よりも少なくなるように構成される。
【0051】
図11に示すように、規制ユニット110は、両端部側に配置された規制部材100Aと中央側に配置された規制部材100Bとがそれぞれ独立して構成される。具体的には、両端部側に配置された各規制部材100Aは第1フォルダー105Aに支持され、中央側に配置された規制部材100Bは第2フォルダー105Bに支持される。なお、本実施形態において規制部材100A,100Bのバネ軸101のバネ定数は同一である。
また、本実施形態では、各第1フォルダー105Aに一つの規制部材100Aが支持される。
【0052】
第2フォルダー105Bは本体フレーム16に支持され、第1フォルダー105Aは本体フレーム16に上下方向に移動可能に支持される。従って、規制部材100Bの下部先端Bt2は、第1位置Pt1に保持される。一方、規制部材100Aの下部先端Bt1は、第1位置Pt1と、第1位置Pt1よりも上方となる第2位置Pt2と、に移動可能である。なお、第2位置Pt2における規制部材100Aの下部先端Bt1は、下流側第1搬送ローラー対36のニップ点N1よりも下方である。
そして、規制部材100Aの下部先端Bt1を第2位置Pt2に移動させることにより、規制部材100Aの媒体Mに対する下方への押し込み量を、規制部材100Bの媒体Mに対する下方への押し込み量よりも少なくすることができる。これにより、両端部側に配置された規制部材100Aの媒体Mにかける荷重を、中央側に配置された規制部材100Bの媒体Mにかける荷重よりも小さくすることができる。
【0053】
また、記録装置11Aは、規制部材100Aが支持された第1フォルダー105Aを上下方向の位置を変化させる位置調整機構111を備える。位置調整機構111を駆動させることで、第1フォルダー105Aを上下方向に位置を変化させ、規制部材100Aの下部先端Bt1の位置を、第1位置Pt1と第2位置Pt2とに移動可能となる。位置調整機構111はカム機構を含み、カム機構によって第1フォルダー105Aが上下方向に位置を変化させることができる。なお、位置調整機構111はソレノイドを含む構成であってもよい。
【0054】
図12に示すように、記録装置11Aは、記録装置11Aで実行される各種動作を制御する制御部58を備える。制御部58は、CPU581と、メモリー582と、制御回路583と、I/F(インターフェイス)584と、を有する。制御部58は、各部、各機構を駆動制御する。
【0055】
制御部58は、位置調整機構111を駆動制御し、規制部材100A,100Bのうち、幅方向の両端部側に配置された規制部材100Aを、中央側に配置された規制部材100Bよりも媒体Mにかける荷重を少なくさせる。
本実施形態では、両面印刷において媒体Mの裏面となる第2面S2に記録を行う際に、両端部側の規制部材100Aにおける上下方向の位置を変化させる。具体的には、制御部58は、第1フォルダー105Aを+Z方向に移動させる。これにより、規制部材100Aの下部先端Bt1の位置は第2位置Pt2に移動する。すなわち、規制部材100Aの下部先端Bt1の位置は、規制部材100Bの下部先端Bt2の位置よりも上方に位置する。従って、規制部材100Aの媒体Mに対する押し込み量が少なくなり、規制部材100Aの媒体Mに対する荷重が少なくなる。
【0056】
ここで、制御部58は、第2面S2に記録を行う際に、媒体Mの搬送方向の上流端が上流側搬送ローラー対35におけるニップが終了するまでに規制部材100Aにおける上下方向の位置を変化させる。具体的には、媒体Mの搬送方向の上流端が上流側搬送ローラー対35におけるニップが終了するまでに規制部材100Aの下部先端Bt1の位置を第1位置Pt1から第2位置Pt2に移動させる。これにより、必要なタイミングで規制部材100Aにおける媒体Mにかける荷重を確実に少なくすることができる。
なお、上流側搬送ローラー対35におけるニップが終了するタイミングは、位置検出部によって検出される。
また、制御部58は、媒体Mの搬送方向の上流端がヘッド22を通過した後に、規制部材100Aの下部先端Bt1の位置を第2位置Pt2から第1位置Pt1に移動させる。
【0057】
また、制御部58は、第2面S2に記録を行う際に、媒体Mの搬送方向の上流端が上流側搬送ローラー対35におけるニップが終了すると判断したときに、規制部材100Aにおける上下方向の位置を変化させてもよい。すなわち、媒体Mの搬送方向の上流端が上流側搬送ローラー対35におけるニップが終了すると判断したときに、規制部材100Aの下部先端Bt1の位置を第1位置Pt1から第2位置Pt2に移動させる。このようにしても、規制部材100Aにおける媒体Mにかける荷重を確実に少なくすることができる。なお、制御部58は、媒体Mの搬送方向の上流端がヘッド22を通過した後に、規制部材100Aの下部先端Bt1の位置を第2位置Pt2から第1位置Pt1に移動させる。
【0058】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、規制部材100Aと規制部材100Bに対してバネ定数が同一のバネ軸101を用いることができるので、組み間違いが防止され、作業工数を低減することができる。
【0059】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態について説明する。具体的には、長尺の媒体Mに対して両面印刷を行う場合について説明する。
上記実施形態では、単票状の媒体Mが湾曲状に変形した場合の形態について説明したが、長尺の媒体Mにおいても同様の変形が発生する。
具体的には、
図3に示すように、媒体Mはロール状に巻き重ねられている。このため、巻き癖により湾曲した変形が発生する。
さらに詳細には、長尺状態で媒体Mの第1面S1に記録されたあと、切断部27で記録された媒体Mを切断し、単票状の媒体Mに形成されると、巻き癖が顕著に表れ湾曲状に変形する。この時点では、第1面S1を上方とした場合、媒体Mは上方に向けて凸状に湾曲する。そして、単票状に形成された媒体Mの表裏を反転させて、媒体Mの第2面S2に記録を行う際、媒体Mは下方に向けて凸状に湾曲するため、媒体Mの搬送方向端部とヘッド22とが接触する。なお、媒体Mの第1面S1は、ロール状に巻き重ねられた状態で外側となる面である。一方、媒体Mの第2面S2は、ロール状に巻き重ねられた状態で内側となる面である。
【0060】
そこで、本実施形態においても、上記実施形態と同様にして、規制部材100により媒体Mのヘッド22への接触や擦れを抑制する。
以下、記録装置11における長尺の媒体Mの両面印刷方法について説明する。
【0061】
まず、
図13Aに示すように、収納部40の支軸41及び搬送部31を正転駆動させ、収納部40に収納された媒体Mを搬送経路30の順送方向D1に搬送させる。媒体Mは、ロール紙搬送路50、第1経路30a、湾曲経路30b、第2経路30cを通ってヘッド22に向けて搬送される。そして、搬送部31及び記録部20を駆動させ、媒体Mを搬送経路30の順送方向D1に搬送させながら媒体Mの第1面S1に画像を記録させる。
【0062】
次いで、
図13Bに示すように、所定のタイミングで切断部27を駆動させ、媒体Mを切断させる。また、下流側第3搬送ローラー対38の駆動を停止させ、切断されて単票状となった媒体Mを保持させる。
また、ロール紙搬送ローラー対56、供給ローラー対32、中間ローラー33、上流側搬送ローラー対35、下流側第1搬送ローラー対36及び下流側第2搬送ローラー対37を逆転駆動させ、媒体Mを搬送経路30の逆送方向D2に搬送させる。そして、媒体Mの先端部が供給ローラー対32に保持される位置で駆動を停止させる。
【0063】
次いで、
図13Cに示すように、下流側第3搬送ローラー対38を逆転駆動させるとともに、上流側搬送ローラー対35、下流側第1搬送ローラー対36及び下流側第2搬送ローラー対37を逆転駆動させ、媒体Mを搬送経路30の逆送方向D2に搬送させ、単票状の媒体Mを反転経路30eに引き込ませる。
【0064】
次いで、
図13Dに示すように、中間ローラー33及び上流側搬送ローラー対35を正転駆動させ、媒体Mを湾曲経路30b、第2経路30cを介してヘッド22に向けて搬送させる。これにより、媒体Mが反転し、媒体Mの第2面S2とヘッド22とが対向する。
このとき、媒体Mは下方に向けて凸状に湾曲した状態で支持面25aに支持される。そこで、上記実施形態と同様にして、複数の規制部材100のうち、幅方向の両端部側に配置された規制部材100Aの媒体Mにかける荷重を、中央側に配置された規制部材100Bの媒体Mにかける荷重よりも小さくする。これにより、ロール状の巻き重ねによる巻き癖が発生する場合であっても、規制部材100A,100Bより媒体Mを押し圧することで、媒体Mのヘッド22への接触を抑制することができる。
次いで、媒体Mを順送方向D1に搬送させながら媒体Mの第2面S2にインクを吐出させて画像を記録させる。これにより、媒体Mの第1面S1及び第2面S2に記録が行われる。すなわち、両面印刷が実行される。
以降、さらに、媒体Mを順送方向D1に搬送させることで、媒体Mは、排出部28から排出される。
【0065】
なお、上記実施形態では、規制部材100は回転体としたが、これに限定されない。例えば、規制部材100がリブ等であってもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0066】
11,11A…記録装置、20…記録部、21…キャリッジ、22…ヘッド、23…ノズル、25…支持部、25a…支持面、27…切断部、28…排出部、30…搬送経路、30a…第1経路、30b…湾曲経路、30c…第2経路、30d…第3経路、30e…反転経路、31…搬送部、35…上流側搬送ローラー対、36…下流側第1搬送ローラー対(下流側搬送ローラー対)、58…制御部、100,100A,100B…規制部材、101…バネ軸、105…フォルダー、105A…第1フォルダー、105B…第2フォルダー、110…規制ユニット、111…位置調整機構、200…収容搬送体、D1…順送方向(搬送方向)、D2…逆送方向、M…媒体、S1…第1面、S2…第2面、N1…ニップ点、Pt1…第1位置、Pt2…第2位置、Bt1,Bt2…下部先端。