(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240528BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240528BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240528BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240528BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B41J29/38 201
G03G21/00 500
B41J29/393 103
B41J29/46 Z
H04N1/00 567K
(21)【出願番号】P 2020155577
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上濱 亮
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-008116(JP,A)
【文献】特開2016-159434(JP,A)
【文献】特開2018-089869(JP,A)
【文献】特開2018-134847(JP,A)
【文献】特開平11-296020(JP,A)
【文献】特開2005-043816(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0061746(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0234960(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/00
B41J 29/393
B41J 29/46
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
複数ページ分の印刷データに基づいて複数ページの印刷媒体に対して印刷処理を行い、
前記印刷処理の結果が優良である優良ページの再利用トレイへの配置姿勢に応じて決定された印刷設定で、前記印刷処理の結果が不良である不良ページについて別途の印刷媒体に対して再印刷処理を行って再印刷ページを取得し、
前記再利用トレイから搬送された前記優良ページ、及び、前記再印刷ページは、まとめて出力される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
決定された前記印刷設定による前記再印刷処理が不可能な場合には、利用者に対して通知を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、決定された前記印刷設定による前記再印刷処理が不可能な理由を前記利用者に対して通知する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記再利用トレイへ配置された複数の優良ページの姿勢が互いに異なることが検出された場合に、利用者に対して通知を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記通知に対して利用者が処理続行を指示した場合には、前記再印刷処理を再開する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
コンピュータに、
複数ページ分の印刷データに基づいて複数ページの印刷媒体に対して印刷処理を行わせ、
前記印刷処理の結果が優良である優良ページの再利用トレイへの配置姿勢に応じて決定された印刷設定で、前記印刷処理の結果が不良である不良ページについて別途の印刷媒体に対して再印刷処理を行って再印刷ページを取得させ、
前記再利用トレイから搬送された前記優良ページ、及び、前記再印刷ページは、まとめて出力される、
ことを特徴とする画像形成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷処理により印刷された用紙を読み取って得られた画像データと、印刷処理で用いたRIPデータとの比較により、各用紙について印刷結果の良否を判定し、印刷結果が良である用紙と印刷結果が不良である用紙とを別々の排出トレイに排出する画像形成装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、突出部を有する複数のタブ紙を複数のシートの間に挿入する画像形成装置であって、挿入された複数のタブ紙を読み取って、読み取られたタブ紙の外形に従って、挿入されたタブ紙の順序が正しいか否かを判定する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-8116号公報
【文献】特許第5627222号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、印刷データに基づいて印刷処理を行って印刷済みの印刷媒体(例えば紙など)を出力する画像形成装置の中には、印刷処理の結果である印刷結果の良否を印刷媒体毎に判定する検査処理を実行し、印刷結果が良であると判定された印刷媒体である優良ページをOKトレイに排出し、印刷結果が不良であると判定された印刷媒体である不良ページをNGトレイに排出するものがある。そのような画像形成装置において、さらに、不良ページのみを再印刷した上で、再印刷処理によって得られた再印刷ページと優良ページとをまとめて(すなわちマージして)出力することが行われている。なお、本明細書における「ページ」とは、印刷媒体上で定義される物理ページを意味し、印刷データ上で定義される論理ページとは異なる概念である。
【0006】
従来の画像形成装置における上述の処理を
図7~10を用いて具体的に説明する。
図7~10には、OKトレイO、NGトレイN、再利用トレイRを備える従来の画像形成装置Mが示されている。
【0007】
画像形成装置Mは、複数ページ分の印刷データに基づいて複数ページの印刷媒体に対して印刷処理を行った上で、各印刷媒体について印刷結果の良否を判定する検査処理を実行する。例えば、印刷済みの印刷媒体をスキャナによって光学的に読み取って検査画像データを取得し、印刷データ(より詳しくはラスタデータ)と検査画像データとを比較することができ良否判定を行うことができる。印刷結果が良であると判定された優良ページは、画像形成装置Mが有する搬送装置(不図示)によりOKトレイOに排出され、印刷結果が不良であると判定された不良ページは搬送装置によりNGトレイNに排出される。
図7には、6ページ分の印刷媒体が印刷された場合であって、1、2、4、及び5ページ目が優良ページであってOKトレイOに排出され、3及び6ページ目が不良ページであってNGトレイNに排出された様子が示されている。なお、画像形成装置Mは、印刷済みの印刷面(両面印刷の場合はおもて面)が下側となって排出される裏面排出で印刷済みの印刷媒体を排出していることから、
図7、8、及び10における印刷済みの印刷媒体は下から見た図で示されている。
【0008】
画像形成装置Mに印刷データを入力した利用者は、OKトレイOに排出された優良ページをOKトレイOから取り出して再利用トレイRに配置する。その上で、利用者が再印刷処理の実行指示を画像形成装置Mに入力すると、画像形成装置Mは、保持しておいた当該印刷データに基づいて、不良ページに対応するページのみを別途の印刷媒体に対して印刷する再印刷処理を行って再印刷ページを取得する。さらに、画像形成装置Mは、優良ページと再印刷ページをまとめてOKトレイOに排出する。
【0009】
具体的には、画像形成装置Mは、印刷媒体毎に、上述の検査処理の結果を参照し、良判定である場合は再利用トレイRに配置された優良ページを搬送してOKトレイOに排出し、不良判定である場合は再印刷処理を実行して再印刷ページをOKトレイOに排出する、という処理を1ページ毎に順に実行していく。なお、ここでは、再利用トレイRからOKトレイOへの優良ページの搬送処理においては、再利用トレイRに配置された複数の優良ページのうち、最も上にある優良ページから搬送され、優良ページの表裏の向きのみが反転されてOKトレイOに排出されるとする。例えば、再利用トレイRに複数の優良ページが印刷面を上向きにして配置されている場合、当該複数の優良ページの最も上にある優良ページが搬送され、印刷面が下向きとなってOKトレイOに排出されるとする。
【0010】
優良ページがページ順に(1ページ目が上となる順で)再利用トレイRに配置されたとすると、
図7の例においては、当該処理により、1ページ目の検査結果が良であるので、画像形成装置Mは再利用トレイRに配置された優良ページを1枚OKトレイOに搬送する。ここでは、1ページ目の優良ページが再利用トレイRから搬送されてOKトレイOに排出される。次に、2ページ目の検査結果が良であるので、画像形成装置Mは再利用トレイRに配置された優良ページを1枚OKトレイOに搬送する。ここでは、2ページ目の優良ページが再利用トレイRから搬送されてOKトレイOに排出される。次に、3ページ目の検査結果は不良であるので、画像形成装置Mは3ページ目についての再印刷処理を実行し、得られた3ページ目の再印刷ページがOKトレイOに排出される。以下、同様に、4ページ目の優良ページが再利用トレイRから搬送されてOKトレイOに排出され、5ページ目の優良ページが再利用トレイRから搬送されてOKトレイOに排出され、6ページ目は再印刷処理された再印刷ページがOKトレイOに排出される。なお、再印刷ページについては上述の検査処理が実行され、仮に、再印刷ページの印刷結果が不良である判定された場合には、当該再印刷ページは不良ページとしてNGトレイNに排出される。
【0011】
再印刷ページの印刷結果が全て良である判定された場合、
図8に示すように、優良ページと再印刷ページがまとめられて、より詳しくは、優良ページと再印刷ページがページ順に揃った状態でOKトレイOに排出されることとなる。
【0012】
ここで、再利用トレイRからOKトレイOへの優良ページの搬送処理においては、上述の表裏反転以外の姿勢の変更は行われないとする。本明細書における印刷媒体の姿勢とは、印刷媒体の向き(縦向きか横向きか)、印刷媒体の表裏(おもて面が上側となっているか裏面が上側となっているか)、及び、印刷媒体内の画像の向き(換言すれば回転角度、0度、90度、180度、270度)を含むものである。したがって、再利用トレイRへの優良ページの配置姿勢と、不良ページを再印刷する再印刷処理の印刷設定(特に排出される再印刷ページの姿勢を決定する設定)とが互いに対応しないことに起因して、まとめて出力される優良ページの姿勢と再印刷ページの姿勢とが揃わないことが生じ得る。
【0013】
例えば、
図8に示された再印刷ページである3ページ目及び6ページ目に示されるように、再印刷処理における印刷設定が再印刷ページを、縦向き(印刷媒体の搬送方向と印刷媒体の長辺が平行となる向き)、裏面が上側、及び画像の向きが正立方向(ここではY軸正側を上側とする向きとする)の姿勢で排出する設定となっている場合であって、
図9に示すように、利用者が、優良ページを、縦向き、おもて面が上側、及び画像の向きが倒立方向(正立方向とは反対方向、ここではY軸負側を上側とする向きとする)の配置姿勢で再利用トレイRに優良ページを配置した場合を考える。なお、
図9においては、再利用トレイRに配置された優良ページは上から見た状態で示されている。
【0014】
この場合、
図10に示すように、優良ページ(
図10の例であると1、2、4、及び5ページ目)は、表裏のみが反転されたOKトレイOに排出されるから、縦向き、裏面が上側、及び画像の向きが倒立方向の姿勢でOKトレイOに排出される一方で、各再印刷ページ(
図10の例であると3及び6ページ目)は、縦向き、裏面が上側、及び画像の向きが正立方向の姿勢でOKトレイOに排出される。すなわち、優良ページは、画像の向きが倒立方向の姿勢で排出され、再印刷ページは画像の向きが正立方向の姿勢で排出されるから、OKトレイOに排出された優良ページの姿勢と再印刷ページの姿勢とが揃わないこととなる。
【0015】
本発明の目的は、複数ページ分の印刷データに関する印刷処理を行う場合であって、印刷結果が不良である不良ページについて再印刷処理を行って再印刷ページを取得する場合に、印刷結果が優良である優良ページと再印刷ページとの姿勢を揃えてまとめて出力することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に係る発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、複数ページ分の印刷データに基づいて複数ページの印刷媒体に対して印刷処理を行い、前記印刷処理の結果が優良である優良ページの再利用トレイへの配置姿勢に応じて決定された印刷設定で、前記印刷処理の結果が不良である不良ページについて別途の印刷媒体に対して再印刷処理を行って再印刷ページを取得し、前記再利用トレイから搬送された前記優良ページ、及び、前記再印刷ページは、まとめて出力される、ことを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に係る発明は、前記プロセッサは、決定された前記印刷設定による前記再印刷処理が不可能な場合には、利用者に対して通知を出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に係る発明は、前記プロセッサは、決定された前記印刷設定による前記再印刷処理が不可能な理由を前記利用者に対して通知する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項4に係る発明は、前記プロセッサは、前記再利用トレイへ配置された複数の優良ページの姿勢が互いに異なることが検出された場合に、利用者に対して通知を出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項5に係る発明は、前記プロセッサは、前記通知に対して利用者が処理続行を指示した場合には、前記再印刷処理を再開する、ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置である。
請求項6に係る発明は、コンピュータに、複数ページ分の印刷データに基づいて複数ページの印刷媒体に対して印刷処理を行わせ、前記印刷処理の結果が優良である優良ページの再利用トレイへの配置姿勢に応じて決定された印刷設定で、前記印刷処理の結果が不良である不良ページについて別途の印刷媒体に対して再印刷処理を行って再印刷ページを取得させ、前記再利用トレイから搬送された前記優良ページ、及び、前記再印刷ページは、まとめて出力される、ことを特徴とする画像形成プログラムである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1又は6に係る発明によれば、複数ページ分の印刷データに関する印刷処理を行う場合であって、印刷結果が不良である不良ページについて再印刷処理を行って再印刷ページを取得する場合に、印刷結果が優良である優良ページと再印刷ページとの姿勢を揃えてまとめて出力することができる。
請求項2に係る発明によれば、利用者は、決定された印刷設定での再印刷処理が不可能であることを把握することができる。
請求項3に係る発明によれば、利用者は、決定された印刷設定での再印刷処理が不可能である理由を把握することができる。
請求項4に係る発明によれば、利用者は、先に検出された優良ページとは異なる配置姿勢の他の優良ページが検出されたことを把握することができる。
請求項5に係る発明によれば、先に検出された優良ページとは異なる配置姿勢の他の優良ページが検出された場合に、当該他の優良ページが検出するまで得られた再印刷ページを有効活用して再印刷処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に画像形成装置の構成概略図である。
【
図2】本実施形態において、優良ページが再利用トレイに配置された様子を示す図である。
【
図3】本実施形態において、優良ページと再印刷ページとが、姿勢を揃えられた上でまとめて出力された様子を示す図である。
【
図4】再印刷処理が不可能であることをユーザに通知する画面の例を示す図である。
【
図5】再利用トレイに配置された優良ページセットの姿勢が互いに異なることを通知する画面の例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る画像形成装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】従来技術において、優良ページがOKトレイに排出され、不良ページがNGトレイに排出される様子を示す図である。
【
図8】従来技術において、不良ページについて再印刷処理が行われて優良ページと再印刷ページとがまとめて出力された様子を示す図である。
【
図9】従来技術において、印刷設定に対応しない配置姿勢で優良ページが再利用トレイに配置された様子を示す図である。
【
図10】従来技術において、印刷設定に対応しない配置姿勢で優良ページが再利用トレイに配置された場合における、優良ページと再印刷ページとがまとめて出力された様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置としての画像形成装置10の構成概略図である。本実施形態に係る画像形成装置10は、プリント(印刷)機能、スキャン(画像読取)機能、コピー機能、画像データ送信機能などを備える複合機である。
【0020】
OKトレイ12及びNGトレイ14は、いずれも印刷済みの紙などの印刷媒体が排出される排出トレイである。OKトレイ12には、画像形成装置10が有する搬送装置(不図示)により、後述の検査処理部36により印刷結果が良である判定された印刷媒体である優良ページが排出される。NGトレイ14には、搬送装置により、検査処理部36により印刷結果が不良である判定された印刷媒体である不良ページが排出される。
【0021】
再利用トレイ16は、利用者であるユーザが印刷媒体を配置する手差し用紙トレイである。後述するように、再利用トレイ16には優良ページが配置され、再利用トレイ16に配置された優良ページは、搬送装置により、後述の再印刷処理に伴って搬送されてOKトレイ12に排出される。従来の画像形成装置と同様に、画像形成装置10においても、再利用トレイ16からOKトレイ12への優良ページの搬送処理においては、再利用トレイ16に配置された複数の優良ページのうち、最も上にある優良ページから搬送され、優良ページの表裏の向きのみが反転されてOKトレイ12に排出される。また、優良ページの搬送処理においては、上述の表裏反転以外の姿勢の変更は行われない。
【0022】
通信インターフェース18は、例えばネットワークアダプタなどを含んで構成される。通信インターフェース18は、LAN(Local Area Network)などの通信回線を介して他の装置(例えばユーザが使用するユーザ端末)と通信する機能を発揮する。通信インターフェース18は、ユーザ端末から印刷要求としての印刷ジョブを受信する。
【0023】
印刷ジョブは、印刷設定を示す設定情報、及び、印刷対象である印刷データを有するデータである。例えば、印刷設定はユーザにより設定され、印刷データはユーザにより選定される。
【0024】
設定情報に示される印刷設定は、種々の設定項目に対する設定値から構成される。特に、本実施形態においては、印刷設定として、印刷済みの印刷媒体の排出姿勢を決定する設定項目に対する設定値が含まれる。上述の通り、印刷媒体の姿勢とは、印刷媒体の向き(縦向きか横向きか)、印刷媒体の表裏(おもて面が上となっているか裏面が上となっているか)、及び、印刷媒体内の画像の向き(換言すれば回転角度、0度(正立方向)、90度、180度(倒立方向)、270度)を含むものである。
【0025】
例えば、印刷設定には、印刷媒体の向きを決定する設定項目として用紙サイズ設定がある。例えば、用紙サイズに対する設定値がA4Sである場合は印刷媒体の排出姿勢は縦向きとなり、用紙サイズに対する設定値がA4Lである場合は印刷媒体の排出姿勢は横向きとなる。ここで、印刷媒体が長方形であることを前提とし、印刷媒体の搬送方向と印刷媒体の長辺とが平行である姿勢を縦向きと呼び、印刷媒体の搬送方向と印刷媒体の短辺とが平行である姿勢を横向きと呼ぶ。
【0026】
また、印刷媒体の表裏を決定する設定項目として排出面設定がある。排出面に対する設定値がおもて面排出である場合は印刷媒体の排出姿勢はおもて面が上向きとなり、排出面に対する設定値が裏面排出である場合は印刷媒体の排出姿勢は裏面が上向きとなる。なお、おもて面排出の場合、排出後の複数の印刷媒体は、ページ順に対して逆順に並ぶこととなる(上側を向いた最終ページが一番上に位置する)が、排出された印刷媒体の印刷面を確認し易いというメリットがある。
【0027】
さらに、印刷媒体内の画像の向きを決定する設定項目として画像の回転角度設定がある。回転角度設定は、印刷媒体に印刷される画像の回転角度を指示するものであり、例えば0度、90度、180度、及び270度の値を設定することができる。
【0028】
入力インターフェース20は、例えばタッチパネルあるいはボタンなどを含んで構成される。入力インターフェース20は、ユーザが画像形成装置10に種々の指示を入力するために用いられる。
【0029】
ディスプレイ22は、例えば液晶パネルなどを含んで構成される。ディスプレイ22には、種々の画面が表示される。例えば、ディスプレイ22には、後述の通知処理部44の処理により、ユーザに種々の情報を通知するための画面が表示される。
【0030】
メモリ24は、例えばHHD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)、あるいはRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されている。メモリ24は、後述のプロセッサ32とは別に設けられてもよいし、少なくとも一部がプロセッサ32の内部に設けられていてもよい。メモリ24には、画像形成装置10の各部を動作させるための画像形成プログラムが記憶される。
【0031】
プリンタ26は、例えば帯電装置、感光ドラム、あるいはトナーなどを含んで構成される。プリンタ26は、プロセッサ32(特に後述の印刷処理部34)の指示に基づいて、印刷媒体がストックされている印刷媒体トレイ(例えば用紙トレイ)(不図示)から搬送装置により搬送されてきた印刷媒体に対して、ユーザから入力された印刷ジョブに含まれる印刷データを印刷する印刷処理を実行する。本実施形態では、プリンタ26は、複数のページ分の印刷データに基づいて、複数ページの印刷媒体に対して印刷処理を行う。
【0032】
また、プリンタ26は、後述の検査処理部36による検査処理によって、印刷処理の結果が不良であると判定された不良ページついて別途の印刷媒体に対して印刷を行う再印刷処理を実行して再印刷ページを取得する。再印刷処理の詳細については後述する。
【0033】
スキャナ28は、例えば光源及びCCD(Charge Coupled Device)などから構成される。スキャナ28は、プリンタ26による印刷処理済みの印刷媒体を光学的に読み取って検査画像データを形成する。検査画像データは、検査処理部36により用いられる。
【0034】
姿勢検出センサ30は、再利用トレイ16に配置された印刷媒体、すなわち優良ページの配置姿勢を検出するセンサである。姿勢検出センサ30は、例えば搬送装置により再利用トレイ16から画像形成装置10の内部に引き込まれた優良ページを光学的に読み取る光源及びCCDを含んで構成される。これに限られるものではないが、本実施形態では、姿勢検出センサ30は、再利用トレイ16に配置された優良ページの上側面を読み取るものである。当該光源及びCCDにより取得された姿勢検出画像データは後述の姿勢検出部38により用いられる。姿勢検出画像データによれば、優良ページの向き、優良ページの表裏、及び、優良ページ内の画像の向きを含む優良ページの姿勢を検出することができる。
【0035】
プロセッサ32は、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)など)、及び、専用の処理装置(例えばGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいは、プログラマブル論理デバイスなど)の少なくとも1つを含んで構成される。プロセッサ32としては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。
図1に示す通り、プロセッサ32は、メモリ24に記憶された画像形成プログラムにより、印刷処理部34、検査処理部36、姿勢検出部38、再印刷設定決定部40、出力制御部42、及び通知処理部44としての機能を発揮する。
【0036】
印刷処理部34は、画像形成装置10が受け付けた印刷ジョブに含まれる複数ページ分の印刷データに基づいて、複数ページの印刷媒体に当該印刷データに対応する画像を印刷する印刷処理をプリンタ26に実行させる。具体的には、印刷処理部34は、プリンタ26が認識不可能なベクタ形式の印刷データをプリンタ26が認識可能なラスタ形式(例えばビットマップ画像)に変換するラスタライズ処理を実行する。その上で、生成されたラスタ形式の印刷データをプリンタ26に送り、プリンタ26に印刷処理を実行させる。
【0037】
また、印刷処理部34は、後述の検査処理部36によって印刷済みの印刷媒体の複数の印刷結果が全て良と判定されるまで、印刷データを保持しておく。その上で、印刷処理部34は、ユーザから再印刷処理の実行指示が入力されると、保持しておいた印刷データに基づいて、検査処理部36の検査処理により不良と判定された不良ページについて別途の印刷媒体に対して印刷を行って再印刷ページを取得する再印刷処理を実行する。
【0038】
検査処理部36は、プリンタ26による印刷処理が完了すると、印刷媒体毎に印刷結果の良否を判定する検査処理を実行する。当該検査処理はどのような方法であってもよいが、本実施形態では、検査処理部36は、印刷処理済みの印刷媒体をスキャナ28に光学的に読み取らせて取得した検査画像データに基づいて検査処理を行う。具体的には、検査処理部36は、印刷処理部34が生成したラスタ形式の印刷データと、検査画像データとを比較することによって検査処理を行う。詳しくは、検査処理部36は、両データの類似度が所定の閾値以上であれば、当該印刷媒体の印刷結果は良であると判定し、両データの類似度が所定の閾値未満であれば、当該印刷媒体の印刷結果は不良であると判定する。
【0039】
検査処理部36により印刷結果が良であると判定された印刷媒体である優良ページは、搬送装置によりOKトレイ12に排出される。このときの優良ページのOKトレイ12への排出姿勢は、当該印刷ジョブの印刷設定により決定される。また、検査処理部36により印刷結果が不良であると判定された印刷媒体である不良ページは、搬送装置によりNGトレイ14に排出される。
【0040】
NGトレイ14に1枚以上の不良ページが排出されると、ユーザは、再印刷処理のために、OKトレイ12から優良ページを取り出して再利用トレイ16に配置する。本実施形態では、複数の優良ページからなる優良ページセットが再利用トレイ16に配置される。なお、再利用トレイ16に配置される優良ページは1枚だけであってもよい。ここで、優良ページセットはユーザによって再利用トレイ16に配置されるため、優良ページセットは様々な姿勢で再利用トレイ16に配置され得る。ユーザは、再利用トレイ16に優良ページセットを配置した後、入力インターフェース20などを用いて画像形成装置10に再印刷処理の実行指示を入力する。
【0041】
姿勢検出部38は、ユーザから再印刷処理の実行指示が入力されると、再利用トレイ16への優良ページの配置姿勢を検出する。
【0042】
まず、姿勢検出部39は、姿勢検出データが示す優良ページの外形に基づいて、再利用トレイ16に配置された優良ページの向きを検出することができる。
【0043】
次に、姿勢検出部38は、印刷処理部34が生成したラスタ形式の印刷データと、姿勢検出センサ30が取得した姿勢検出画像データとの比較により、再利用トレイ16における優良ページの表裏及び画像の向きを検出する。例えば、検査処理部36による検査処理の結果、1ページ目が優良ページである場合、搬送装置は、再利用トレイ16に配置された優良ページセットのうち、最も上にある優良ページを画像形成装置10内に引き込み、姿勢検出センサ30は当該優良ページの姿勢検出画像データを取得する。そして、姿勢検出部38は、姿勢検出センサ30が取得した姿勢検出画像データと、ラスタ形式の1ページ目の印刷データとを比較する。ここでは、再利用トレイ16に配置された優良ページセットのうち、最も上にある優良ページが1ページ目であるとする。これが1ページではない場合については後述する。
【0044】
姿勢検出センサ30による読み取り方向に応じて姿勢検出画像データの向きが変わり得るが、例えば、印刷データと姿勢検出画像データとが一致した場合に、姿勢検出部38は、おもて面が上側であり、画像の向き(回転角度)が0度である、と判定することができる。また、本実施形態では姿勢検出画像データは優良ページの上側面を読み取って得られたものであるところ、姿勢検出画像データが白紙を示すものである場合(優良ページが片面印刷されたものである場合)、又は、姿勢検出画像データが他のページ(例えば検査対象ページの次のページ)の印刷データと一致する場合(優良ページが両面印刷されたものである場合)には、姿勢検出部38は優良ページが裏面を上側とする姿勢であると判定できる。さらに、印刷データに対する姿勢検出画像データの向き(回転角度)に基づいて、画像の回転角度を判定できる。
【0045】
再印刷設定決定部40は、姿勢検出部38が検出した、再利用トレイ16への優良ページの配置姿勢に応じて、検査処理部36により不良と判定された不良ページについての再印刷処理に係る印刷設定を決定する。具体的には、再印刷設定決定部40は、再利用トレイ16から搬送された優良ページのOKトレイ12への排出姿勢と、印刷処理部34の再印刷処理によって得られた再印刷ページのOKトレイ12への排出姿勢とが同じになるように、再印刷処理の印刷設定(特に再印刷ページの排出姿勢を決定する設定)を決定する。再印刷処理の印刷設定は、優良ページ及び不良ページを印刷した印刷処理の印刷設定と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0046】
例えば、まず、印刷処理部34が、用紙サイズ設定がA4S、排出面設定が裏面排出、回転角度設定が0度である印刷設定で印刷処理を行い、優良ページとして、1、2、4、5ページ目が
図2に示す姿勢でOKトレイ12に排出されたとする。なお、OKトレイ12に排出された優良ページセットは下から見た状態で示されている。ここで、回転角度設定が0度であるときに、優良ページ内の画像の向きはY軸正側を上側とする向き(ここではこれを正立方向と呼ぶ)であることに留意されたい。次いで、ユーザが当該優良ページセットを再利用トレイ16に配置させる。ここで、再利用トレイ16への優良ページセットの配置姿勢が、縦向き、おもて面が上側、及び画像の向きが倒立方向(ここでは印刷された画像の向きがY軸負側を上側とする向きである)であったとする。なお、再利用トレイ16に配置された優良ページセットは上から見た状態で示されている。この場合、再印刷処理に伴って、搬送装置は、優良ページの表裏を反転させその他の姿勢は維持してOKトレイ12に排出させるから、優良ページのOKトレイ12への排出姿勢は、縦向き、裏面が上側、及び画像の向きが倒立方向となる。したがって、再印刷設定決定部40は、再印刷ページのOKトレイ12への排出姿勢が、縦向き、裏面が上側、及び画像の向きが倒立方向となるように、再印刷処理の印刷設定を決定する。この場合の印刷設定としては、例えば、用紙サイズ設定がA4S、排出面設定が裏面排出、回転角度設定が180度となる。
【0047】
印刷処理部34は、再印刷設定決定部40が決定した印刷設定で、不良ページについての再印刷処理を実行し、再印刷ページを取得する。
【0048】
出力制御部42は、印刷処理部34による再印刷処理に伴う、再利用トレイ16から搬送された優良ページセットを順次OKトレイ12へ排出し、再印刷処理により取得された再印刷ページをOKトレイ12へ順次排出する再排出処理に係る排出制御を行う。具体的には、出力制御部42は、優良ページセットと再印刷ページとを、印刷データにより定義されたページ順に並ぶようにまとめてOKトレイ12へ排出する制御を行う。なお、検査処理部36は、再印刷ページに対して検査処理を実行してもよく、当該検査処理にて良判定となった再印刷ページのみがOKトレイ12に排出されるようにしてもよい。
【0049】
出力制御部42による排出制御の具体的な手順は以下の通りである。まず、出力制御部42は、検査処理部36による検査処理の結果を参照し、良判定である場合は再利用トレイ16に配置された優良ページを搬送してOKトレイ12に排出し、不良判定である場合は再印刷処理により得られた再印刷ページをOKトレイ12に排出する、という処理を1ページ毎に実行していく。
【0050】
ここで、本実施形態では、ユーザは、優良ページセットをおもて面が上向きとなるように再利用トレイ16にセットするのが正しいとする。また、上述のように、再利用トレイ16に配置された優良ページセットは、最も上にある優良ページから搬送されていく。したがって、印刷処理部34による印刷処理が裏面排出である場合(すなわち、OKトレイ12に優良ページが裏面排出された場合)、出力制御部42による排出制御は1ページ目から最終ページに向かって1ページ毎に実行され、印刷処理部34による印刷処理がおもて面排出である場合(すなわち、OKトレイ12に優良ページがおもて面排出された場合)、出力制御部42による排出制御は最終ページから1ページ目に向かって1ページ毎に実行される。ここでは、出力制御部42による排出制御は1ページ目から実行される場合について説明する。
【0051】
図2の例では、印刷処理により出力された印刷媒体は全部で6ページ分あり、1、2、4、5ページ目が優良ページであり、3、6ページ目が不良ページである。したがって、出力制御部42は、まず、搬送装置に再利用トレイ16から1ページ目を搬送させてOKトレイ12へ排出させる。その途中において、姿勢検出部38及び再印刷設定決定部40の上述の処理が実行される。1ページ目以下の優良ページのOKトレイ12への排出姿勢は、上述のように、縦向き、裏面が上側、及び画像の向きが倒立方向である。次に、出力制御部42は、搬送装置に再利用トレイ16から2ページ目を搬送させてOKトレイ12へ排出させる。次に、3ページ目は不良ページであるので、出力制御部42は、印刷処理部34により再印刷処理された再印刷ページをOKトレイ12に排出する。再印刷設定決定部40による再印刷処理の印刷設定により、3ページ目及び6ページ目の再印刷ページのOKトレイ12への排出姿勢は、上述のように、縦向き、裏面が上側、及び画像の向きが倒立方向である。以後、同様に、出力制御部42は、4ページ目及び5ページ目の優良ページをOKトレイ12へ排出させ、6ページ目の再印刷ページをOKトレイ12に排出させる。
図3に、優良ページセットと再印刷ページが、その姿勢が揃えられてまとめて出力された様子が示されている。なお、
図3の例では、優良ページセット及び再印刷ページは下から見た状態が示されている。
【0052】
このように、出力制御部42は、検査処理部36による検査処理の結果に基づいて、優良ページセットに対する再印刷ページの挿入位置を決定している。これにより、OKトレイ12には、優良ページセット及び再印刷ページがページ順に並んだ状態でまとめて排出される。
【0053】
通知処理部44は、画像形成装置10に対して再印刷処理を指示したユーザに対する種々の通知を行う。通知処理部44による通知の方法として、本実施形態では通知画面をディスプレイ22に表示させているが、通知の方法はこれには限られない。例えば、ディスプレイ22へ通知画面を表示させるに代えてあるいは加えて、画像形成装置10に備えられたスピーカ(不図示)から音声を出力するようにしてもよい。また、同様の通知画面をユーザが使用するユーザ端末のディスプレイに表示させるようにしてもよい。
【0054】
具体的には、通知処理部44は、再印刷設定決定部40が決定した再印刷処理の印刷設定による再印刷処理が不可能である場合に、ユーザに対して通知を行う。例えば、再利用トレイ16への優良ページセットの配置姿勢が横向きの姿勢であると姿勢検出部38が検出した場合、再印刷設定決定部40は、再印刷処理の印刷設定として、例えば用紙サイズA4Lを設定することなる。しかしながら、画像形成装置10に、A4Lの用紙サイズに対応する用紙トレイが設けられていない場合、印刷処理部34は、当該印刷設定で再印刷処理を実行することができない。このような場合、通知処理部44は、再印刷処理が実行できないことをユーザに通知する。例えば、
図4に示すように、「再印刷処理ができません。」などのメッセージをディスプレイ22に表示させる。この場合、印刷処理部34は再印刷処理を中止し、出力制御部42も再印刷処理に伴う排出制御を中止する。
【0055】
また、通知処理部44は、再印刷処理が実行できないことに加え、再印刷設定決定部40が決定した再印刷処理の印刷設定による再印刷処理が不可能な理由をユーザに通知するとよい。例えば、上述の例では、画像形成装置10に、A4Lの用紙サイズに対応する用紙トレイが無いことが再印刷処理が不可能な理由であるから、通知処理部44は、例えば、
図4に示すように、「このプリンタにはA4L用紙に対応する用紙トレイがありません。」などのメッセージをディスプレイ22に表示させる。
【0056】
上述のように、本実施形態では、優良ページセットはおもて面が上向きとなるように再利用トレイ16に配置されるのが正しく、印刷処理部34による印刷処理が裏面排出である場合は、出力制御部42による排出制御は1ページ目から行われ、印刷処理部34による印刷処理がおもて面排出である場合は、出力制御部42による排出制御は最終ページから行われることとなっている。したがって、通知処理部44は、ユーザが優良ページセットを裏面が上向きとなるように配置したなど、再利用トレイ16に配置された優良ページセットのページ順が適切でない場合に、ユーザに対して通知を行う。例えば、印刷処理部34による印刷処理が裏面排出である場合であって、再利用トレイ16から最初に搬送された優良ページが優良ページセットのうち最もページ番号が小さいページ(つまり検査処理部36による検査処理において最初に良判定された優良ページ)ではない場合に、通知処理部44はユーザに通知する。また、印刷処理部34による印刷処理がおもて面排出である場合であって、再利用トレイ16から最初に搬送された優良ページが優良ページセットのうち最もページ番号が大きいページ(つまり検査処理部36による検査処理において最後に良判定された優良ページ)ではない場合、通知処理部44はユーザに通知する。この場合も、印刷処理部34は再印刷処理を中止し、出力制御部42も再印刷処理に伴う排出制御を中止する。
【0057】
なお、優良ページのページ番号の検出は、種々の方法で行うことができる。例えば、姿勢検出センサ30が取得した姿勢検出画像データと印刷データとの比較により、優良ページのページ番号を検出することができる。また、優良ページにページ番号が記載されていれば、当該ページ番号を読み取ることで優良ページのページ番号を検出することができる。
【0058】
再利用トレイ16に複数の優良ページからなる優良ページセットが配置された場合、本実施形態では、上述のように、優良ページセットのうちの1枚の優良ページ(本実施形態では、一番上にある優良ページ)の姿勢が姿勢検出部38により検出され、検出された優良ページの姿勢に基づいて、再印刷設定決定部40によって再印刷処理の印刷設定が決定される。ここで、姿勢検出部38は、1枚目の優良ページのみならず、2枚目以降の優良ページの姿勢を検出するようにしてもよい。その場合、姿勢検出部38が、再利用トレイ16へ配置された複数の優良ページの姿勢が互いに異なることを検出する場合がある。例えば、1ページ目の優良ページの画像の向きが正立方向であるのに対して、2ページ目の優良ページの画像の向きが倒立方向である場合などである。このような場合、元々優良ページの姿勢が互いに異なるのであるから、優良ページセットと再印刷ページとをその姿勢を揃えてまとめて出力することができなくなる。
【0059】
したがって、通知処理部44は、再利用トレイ16へ配置された複数の優良ページの姿勢が互いに異なることを姿勢検出部38が検出した場合、ユーザに対して通知を出力するようにしてもよい。例えば、通知処理部44は、
図5に示すように、「再利用トレイに配置された用紙の姿勢が揃っておりません。姿勢を修正してください。」などのメッセージをディスプレイ22に表示させる。
【0060】
通知処理部44により当該通知が出力される前において姿勢検出部38が最後に姿勢を検出した優良ページがOKトレイ12に排出された後、当該通知が出力されている間、印刷処理部34による再印刷処理、並びに、出力制御部42による優良ページ及び再印刷ページの搬送処理は中断されているとよい。その上で、ユーザは、OKトレイ12から取り出した、最後に姿勢を検出された優良ページと、再利用トレイ16に残っている優良ページとの姿勢を、既に再利用トレイ16から搬送されOKトレイ12に排出されている優良ページの姿勢と揃えた上で、再印刷処理を続行する指示を画像形成装置10に入力可能となっていてもよい。例えば、通知処理部44は、
図5に示すように、再利用トレイ16へ配置された複数の優良ページの姿勢が互いに異なることの通知と共に、「再印刷処理を再開しますか?」などのメッセージ、並びに、「はい」及び「いいえ」ボタンをディスプレイ22に表示させる。
【0061】
そして、ユーザは、再印刷処理の処理続行を希望する場合には、上述のように姿勢を揃えた優良ページセットを再利用トレイ16に配置した上で、「はい」ボタンを操作することで、画像形成装置10に再印刷処理の処理続行を指示することができる。再印刷処理の処理続行が指示されると、印刷処理部34は再印刷処理を再開し、出力制御部42は再印刷処理に伴う印刷媒体の搬送を再開する。姿勢検出部38によって、再利用トレイ16へ配置された複数の優良ページの姿勢が互いに異なることが検出された場合に、ユーザの指示によって再印刷処理を再開可能としたことによって、再利用トレイ16へ配置された複数の優良ページの姿勢が異なることが検出されるまでの、再利用トレイ16からOKトレイ12へ優良ページを搬送する処理、再印刷処理、及び、再印刷処理により得られた再印刷ページをOKトレイ12へ搬送する処理の結果を有効活用することができる。これにより、当該再印刷処理を初めからやり直す場合に比して、再印刷処理及びそれに伴う搬送処理の処理量が低減され、より早期に優良ページと再印刷ページとをまとめて出力することができる。
【0062】
一方、ユーザは、再印刷処理の処理続行を希望しない場合には、「いいえ」ボタンを操作することで、画像形成装置10に再印刷処理の中止を指示することができる。再印刷処理の中止が指示されると、印刷処理部34は再印刷処理を中止し、出力制御部42は再印刷処理に伴う印刷媒体の搬送を中止する。
【0063】
また、出力制御部42による排出制御の最初のページ(印刷処理部34による印刷処理が裏面排出である場合は1ページ目、印刷処理部34による印刷処理がおもて面排出である場合は最終ページ)が不良ページである場合が考えられる。この場合、姿勢検出部38により優良ページの姿勢が検出される前に、最初のページの再印刷処理を実行しなければならない。この場合、再印刷設定決定部40は、再印刷処理の印刷設定と印刷処理の印刷処理と同じに設定する。印刷処理部34は、当該印刷設定で再印刷処理を行って再印刷ページをOKトレイ12に排出する。その後、姿勢検出部38が優良ページの再利用トレイ16への配置姿勢を検出したときに、再印刷処理の印刷設定と、検出した優良ページの再利用トレイ16への配置姿勢とが対応しないものである場合(換言すれば、再印刷ページのOKトレイ12への排出姿勢と、優良ページのOKトレイ12への排出姿勢が異なる場合)に、通知処理部44はユーザに通知を出力する。この場合も、印刷処理部34は再印刷処理を中止し、出力制御部42も再印刷処理に伴う排出制御を中止する。
【0064】
本実施形態に係る画像形成装置10の概要は以上の通りである。以下、
図6に示すフローチャートに従って、画像形成装置10の処理の流れについて説明する。
【0065】
ステップS10において、印刷処理部34は、ユーザから入力された複数ページ分の印刷データに基づいて、複数ページの印刷媒体に対して印刷処理を行う。検査処理部36は、各印刷媒体の印刷結果の良否を判定し、搬送装置は、良と判定された優良ページをOKトレイ12に排出し、不良と判定された不良ページをNGトレイ14に排出する。ユーザは、OKトレイ12に排出された優良ページセットを再利用トレイ16に配置して、画像形成装置10に対して再印刷処理の指示を入力する。
【0066】
ステップS12において、姿勢検出部38は、再利用トレイ16に配置された優良ページセットのうち、最も上にある優良ページを画像形成装置10内に引き込む。
【0067】
ステップS14において、姿勢検出部38は、ステップS12で引き込んだ優良ページのページ番号に基づいて、再利用トレイ16に配置された優良ページセットのページ順が適切であるか否かを判定する。具体的には、姿勢検出部38は、ステップS10における印刷処理が裏面排出である場合であって、再利用トレイ16から最初に搬送された優良ページが優良ページセットのうち最もページ番号が小さいページである場合、又は、ステップS10における印刷処理がおもて面排出である場合であって、再利用トレイ16から最初に搬送された優良ページが優良ページセットのうち最もページ番号が大きいページである場合に、姿勢検出部38は、再利用トレイ16に配置された優良ページセットのページ順が適切であると判定する。一方、姿勢検出部38は、ステップS10における印刷処理が裏面排出である場合であって、再利用トレイ16から最初に搬送された優良ページが優良ページセットのうち最もページ番号が小さいページではない場合、又は、ステップS10における印刷処理がおもて面排出である場合であって、再利用トレイ16から最初に搬送された優良ページが優良ページセットのうち最もページ番号が大きいページではない場合に、姿勢検出部38は、再利用トレイ16に配置された優良ページセットのページ順が適切でないと判定する。再利用トレイ16に配置された優良ページセットのページ順が適切であると判定された場合にはステップS18に進み、適切でないと判定された場合はステップS16に進む。
【0068】
ステップS16において、通知処理部44はユーザに対して通知を出力する。その後処理を終了する。
【0069】
ステップS18において、姿勢検出部38は、ステップS12で引き込んだ優良ページの姿勢を検出する。
【0070】
ステップS20において、再印刷設定決定部40は、ステップS18で検出された優良ページの姿勢に応じて、再利用トレイ16から搬送されたOKトレイ12に排出される優良ページの排出姿勢と、再印刷処理により取得される再印刷ページのOKトレイ12への排出姿勢が同じにあるように、再印刷処理の印刷設定を決定する。
【0071】
ステップS22において、通知処理部44は、ステップS20で決定された印刷設定でプリンタ26が再印刷処理を実行可能か否かを判定する。実行可能である場合にはステップS24に進む。実行不可能である場合はステップS16に進み、通知処理部44はユーザに対して通知を出力する。
【0072】
ステップS24において、印刷処理部34は、ステップS20で決定された印刷設定で、ステップS10で判定された不良ページについての再印刷処理を実行する。当該再印刷処理に伴う出力制御部42による排出制御により、再利用トレイ16からの優良ページと、再印刷処理により取得された再印刷ページとが、姿勢が揃えられてまとめてOKトレイ12に排出される。
【0073】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0074】
例えば、本実施形態においては、再利用トレイ16からOKトレイ12への優良ページの搬送処理においては、優良ページの表裏の向きのみが反転され、その他の姿勢の変更は行われなかったが、そうでなくてもよい。例えば、再利用トレイ16に縦向きで優良ページが配置された場合、優良ページの表裏の向き及び画像の向きが変更されるようにしてもよい。このような場合であっても、再印刷設定決定部40は、再利用トレイ16からOKトレイ12への優良ページ搬送処理における優良ページの姿勢変更も考慮した上で、再利用トレイ16からOKトレイ12へ排出される優良ページの排出姿勢と、再印刷ページのOKトレイ12への排出姿勢が同じになるように、再印刷処理の印刷処理を決定すればよい。
【符号の説明】
【0075】
10 画像形成装置、12 OKトレイ、14 NGトレイ、16 再利用トレイ、18 通信インターフェース、20 入力インターフェース、22 ディスプレイ、24 メモリ、26 プリンタ、28 スキャナ、30 姿勢検出センサ、32 プロセッサ、34 印刷処理部、36 検査処理部、38 姿勢検出部、40 再印刷設定決定部、42 出力制御部、44 通知処理部。