(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】充放電制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
(21)【出願番号】P 2020162620
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】密岡 重日
(72)【発明者】
【氏名】長内 弘樹
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-090376(JP,A)
【文献】特開2014-171369(JP,A)
【文献】特開2014-003771(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0163060(US,A1)
【文献】特開2017-220966(JP,A)
【文献】特開2010-068558(JP,A)
【文献】特開2012-120347(JP,A)
【文献】特開2015-82350(JP,A)
【文献】特開2017-103996(JP,A)
【文献】特開2017-175866(JP,A)
【文献】国際公開第2015/156210(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/49963(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置と、
電気負荷と、
複数の電池モジュールと、
前記複数の電池モジュールが並列に接続された第1の接続路と、
前記第1の接続路と前記発電装置及び前記電気負荷との間に設けられ、前記第1の接続路と前記発電装置又は前記電気負荷とを接続するオン状態又は切断するオフ状態を切替可能な第1のスイッチと、
前記発電装置又は前記電池モジュールから電力が供給される制御装置と、を備え、
前記電池モジュールは、
蓄電池と、
前記蓄電池と前記第1の接続路とを接続するオン状態又は切断するオフ状態を切替可能な第2のスイッチと、
前記蓄電池の状態を管理し、前記第2のスイッチの切替を制御する蓄電池管理装置と、を有し、
前記蓄電池管理装置と前記第1の接続路との間には、前記蓄電池管理装置と前記第1の接続路とを接続するオン状態又は切断するオフ状態を切替可能な第3のスイッチが前記蓄電池管理装置ごとに少なくとも1つ設けられ、
前記制御装置は、前記第1のスイッチ及び前記第3のスイッチの切替を制御するよう構成され、
前記電池モジュールから放電を行う場合、前記複数の電池モジュールを、少なくとも1つの電池モジュールから構成された複数の電池モジュール群に分け、前記複数の電池モジュール群のうち、前記電池モジュール群を構成する電池モジュールの平均電圧値が最も高い電池モジュール群を第1の電池モジュール群、その次に電池モジュールの平均電圧値が高い電池モジュール群を第2の電池モジュール群としたとき、
前記第1の電池モジュール群を構成する電池モジュールの前記第2のスイッチ及び前記第3のスイッチをオン状態に切り替え、
前記第1の電池モジュール群の平均電圧値である第1の平均電圧値が前記第2の電池モジュール群の平均電圧値である第2の平均電圧値より低く、かつ、前記第1の平均電圧値と前記第2の平均電圧値との差が所定値より大きいことを条件に、前記第2の電池モジュール群を構成する電池モジュールの前記第2のスイッチ及び前記第3のスイッチをオン状態に切り替え、前記第1の電池モジュール群を構成する電池モジュールの前記第2のスイッチ及び前記第3のスイッチをオフ状態に切り替えることを特徴とする充放電制御システム。
【請求項2】
前記電池モジュール群は、前記蓄電池の電圧値が高い順に該電圧値の差が所定の差以内にある前記少なくとも1つの電池モジュールによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の充放電制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1の平均電圧値が前記第2の平均電圧値より低く、かつ、前記第1の電池モジュール群の放電が開始されてから前記第1の平均電圧値と前記第2の平均電圧値との差が所定値より大きくなるまでの時間が、所定時間よりも短い場合には、前記第1の電池モジュール群での充放電を禁止することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の充放電制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記複数の電池モジュール群のうち前記平均電圧値が最も高い電池モジュール群が複数ある場合、各電池モジュール群を構成する電池モジュールの放電回数の合計値が最も少ない電池モジュール群を前記第1の電池モジュール群とし、
前記蓄電池の満充電容量に対する累積の放電量の割合が100%になった場合に前記放電回数を1回とカウントすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の充放電制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記蓄電池の放電容量と温度と電圧値との相関関係を定義したマップに基づき、前記放電量を推定することを特徴とする請求項4に記載の充放電制御システム。
【請求項6】
前記発電装置は、再生可能エネルギを利用して発電を行う発電装置によって構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の充放電制御システム。
【請求項7】
前記電気負荷は、発光体を負荷として有する装置によって構成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の充放電制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、並列に接続されたバッテリパックが同時に使用されると、負荷への配線距離が相対的に近いバッテリパックが、相対的に遠いバッテリパックよりも、その配線抵抗の小ささに応じた分だけ多くの電流が出力されてしまうため、各バッテリパックは、配線距離に伴って劣化の進行速度に差が生じてしまう虞があり、これを抑制することを目的とした電動車両の駆動制御装置が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の電動車両の駆動制御装置は、並列接続された複数のバッテリパックのうち、いずれか1つを駆動用バッテリパックとして選択するバッテリ制御ユニットと、選択されたバッテリパックからモータに電力を供給する電力供給部と、選択されたバッテリパックの電力容量情報を取得する電力容量取得部と、を含む。特許文献1に記載の電動車両の駆動制御装置は、選択されたバッテリパックの電力容量が所定値以下となった場合、バッテリ制御ユニットが、選択されたバッテリパック以外のバッテリパックを駆動用バッテリパックとして選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電動車両の駆動制御装置では、電力容量が所定値以下となった場合に駆動用バッテリパックを切り替えるのみで、例えばバッテリパックの使用頻度等を考慮してバッテリパックの劣化の偏りを抑制することについては何ら考慮されていなかった。
【0006】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、複数の電池モジュール間における使用頻度の偏りを抑制し、複数の電池モジュール間における劣化の偏りを抑制することができる充放電制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、発電装置と、電気負荷と、複数の電池モジュールと、前記複数の電池モジュールが並列に接続された第1の接続路と、前記第1の接続路と前記発電装置及び前記電気負荷との間に設けられ、前記第1の接続路と前記発電装置又は前記電気負荷とを接続するオン状態又は切断するオフ状態を切替可能な第1のスイッチと、前記発電装置又は前記電池モジュールから電力が供給される制御装置と、を備え、前記電池モジュールは、蓄電池と、前記蓄電池と前記第1の接続路とを接続するオン状態又は切断するオフ状態を切替可能な第2のスイッチと、前記蓄電池の状態を管理し、前記第2のスイッチの切替を制御する蓄電池管理装置と、を有し、前記蓄電池管理装置と前記第1の接続路との間には、前記蓄電池管理装置と前記第1の接続路とを接続するオン状態又は切断するオフ状態を切替可能な第3のスイッチが前記蓄電池管理装置ごとに少なくとも1つ設けられ、前記制御装置は、前記第1のスイッチ及び前記第3のスイッチの切替を制御するよう構成され、前記電池モジュールから放電を行う場合、前記複数の電池モジュールを、少なくとも1つの電池モジュールから構成された複数の電池モジュール群に分け、前記複数の電池モジュール群のうち、前記電池モジュール群を構成する電池モジュールの平均電圧値が最も高い電池モジュール群を第1の電池モジュール群、その次に電池モジュールの平均電圧値が高い電池モジュール群を第2の電池モジュール群としたとき、前記第1の電池モジュール群を構成する電池モジュールの前記第2のスイッチ及び前記第3のスイッチをオン状態に切り替え、前記第1の電池モジュール群の平均電圧値である第1の平均電圧値が前記第2の電池モジュール群の平均電圧値である第2の平均電圧値より低く、かつ、前記第1の平均電圧値と前記第2の平均電圧値との差が所定値より大きいことを条件に、前記第2の電池モジュール群を構成する電池モジュールの前記第2のスイッチ及び前記第3のスイッチをオン状態に切り替え、前記第1の電池モジュール群を構成する電池モジュールの前記第2のスイッチ及び前記第3のスイッチをオフ状態に切り替える構成を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の電池モジュール間における使用頻度の偏りを抑制し、複数の電池モジュール間における劣化の偏りを抑制することができる充放電制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る充放電制御システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係る充放電制御システムにおける各電池モジュールの電圧値の遷移を示すグラフである。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る充放電制御システムによって実行される放電制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係る充放電制御システムにおける各電池モジュールの放電回数の算出方法を説明する図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例に係る充放電制御システムにおける電池モジュールの蓄電池の放電特性を示すマップである。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例に係る充放電制御システムの動作の一例を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る充放電制御システムは、発電装置と、電気負荷と、複数の電池モジュールと、複数の電池モジュールが並列に接続された第1の接続路と、第1の接続路と発電装置及び電気負荷との間に設けられ、第1の接続路と発電装置又は電気負荷とを接続するオン状態又は切断するオフ状態を切替可能な第1のスイッチと、発電装置又は電池モジュールから電力が供給される制御装置と、を備え、電池モジュールは、蓄電池と、蓄電池と第1の接続路とを接続するオン状態又は切断するオフ状態を切替可能な第2のスイッチと、蓄電池の状態を管理し、第2のスイッチの切替を制御する蓄電池管理装置と、を有し、蓄電池管理装置と第1の接続路との間には、蓄電池管理装置と第1の接続路とを接続するオン状態又は切断するオフ状態を切替可能な第3のスイッチが蓄電池管理装置ごとに少なくとも1つ設けられ、制御装置は、第1のスイッチ及び第3のスイッチの切替を制御するよう構成され、電池モジュールから放電を行う場合、複数の電池モジュールを、少なくとも1つの電池モジュールから構成された複数の電池モジュール群に分け、複数の電池モジュール群のうち、電池モジュール群を構成する電池モジュールの平均電圧値が最も高い電池モジュール群を第1の電池モジュール群、その次に電池モジュールの平均電圧値が高い電池モジュール群を第2の電池モジュール群としたとき、第1の電池モジュール群を構成する電池モジュールの第2のスイッチ及び第3のスイッチをオン状態に切り替え、第1の電池モジュール群の平均電圧値である第1の平均電圧値が第2の電池モジュール群の平均電圧値である第2の平均電圧値より低く、かつ、第1の平均電圧値と第2の平均電圧値との差が所定値より大きいことを条件に、第2の電池モジュール群を構成する電池モジュールの第2のスイッチ及び第3のスイッチをオン状態に切り替え、第1の電池モジュール群を構成する電池モジュールの第2のスイッチ及び第3のスイッチをオフ状態に切り替えることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係る充放電制御システムは、複数の電池モジュール間における使用頻度の偏りを抑制し、複数の電池モジュール間における劣化の偏りを抑制することができる。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の一実施例に係る充放電制御システムについて図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施例に係る充放電制御システム1は、発電装置2と、電気負荷3と、複数の電池モジュール4と、第1の接続路5と、第1のスイッチ6と、制御装置7と、を含んで構成されている。
【0013】
本実施例に係る充放電制御システム1においては、電池モジュール4が1からn個設けられている。本実施例においては、複数の電池モジュール4のそれぞれを区別するために複数の電池モジュール4をそれぞれ電池モジュール4(a)から4(n)で示すこととする。電池モジュール4(a)から4(n)のうちいずれかの電池モジュールを特定せずに、1つの電池モジュールを示す場合には単に「電池モジュール4」と記す。
【0014】
発電装置2は、例えば太陽光発電装置や風力発電装置等の再生可能エネルギを利用して発電を行う発電装置によって構成されている。再生可能エネルギを利用して発電を行う発電装置としては、太陽光発電装置や風力発電装置に限らず、水力、地熱、バイオマス等の再生可能エネルギを利用した発電装置等も適用可能である。
【0015】
電気負荷3は、例えば照明や電光掲示板等のように、発光体を負荷として有する装置によって構成されている。電気負荷3は、発光体を負荷として有する装置に限られない。
【0016】
電池モジュール4(a)から4(n)は、第1の接続路5に対して互いに並列に接続されている。各電池モジュール4はそれぞれ、蓄電池41と、第2のスイッチ42と、蓄電池管理装置43と、を有している。
【0017】
本実施例においては、電池モジュール4(a)から4(n)のいずれの蓄電池41、第2のスイッチ42及び蓄電池管理装置43であるかを区別するため、電池モジュール4(a)から4(n)のそれぞれに対応する蓄電池41、第2のスイッチ42及び蓄電池管理装置43を、蓄電池41(a)から41(n)、第2のスイッチ42(a)から42(n)及び蓄電池管理装置43(a)から43(n)で示す。蓄電池41(a)から41(n)、第2のスイッチ42(a)から42(n)及び蓄電池管理装置43(a)から43(n)について、電池モジュール4(a)から4(n)のいずれのものであるかを特定せずに、1つの蓄電池、第2のスイッチ及び蓄電池管理装置を示す場合にはそれぞれ単に「蓄電池41」、「第2のスイッチ42」、「蓄電池管理装置43」と記す。
【0018】
蓄電池41は、例えばリチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池によって構成されている。蓄電池41としては、例えば車両に搭載されていたリチウムイオンバッテリをリユースしたものを用いることもできる。
【0019】
第2のスイッチ42は、蓄電池41と第1の接続路5とを接続するオン状態、又は、切断するオフ状態を切替可能なスイッチである。第2のスイッチ42のオン状態又はオフ状態の切替は、蓄電池管理装置43よって制御されるようになっている。
【0020】
蓄電池管理装置43は、蓄電池41の電圧値や残容量(SOC:state of charge)など、蓄電池41の状態を監視及び管理するようになっている。蓄電池管理装置43は、第2のスイッチ42のオン状態又はオフ状態の切替を制御するようになっている。蓄電池管理装置43は、蓄電池41の充放電電流に基づきSOCを算出する。
【0021】
蓄電池管理装置43は、制御装置7に接続されており、蓄電池41の電圧値やSOC等の各種情報を制御装置7に送信可能に構成されている。
【0022】
蓄電池管理装置43と第1の接続路5との間には、蓄電池管理装置43と第1の接続路5とを接続するオン状態、又は、切断するオフ状態を切替可能な第3のスイッチ8が設けられている。第3のスイッチ8は、蓄電池管理装置43ごとに少なくとも1つ設けられている。本実施例では、蓄電池管理装置43ごとに第3のスイッチ8が1つ設けられた例を説明するが、蓄電池管理装置43ごとに第3のスイッチ8が2つ以上設けられていてもよい。
【0023】
本実施例においては、蓄電池管理装置43(a)から43(n)のいずれの第3のスイッチ8であるかを区別するため、蓄電池管理装置43(a)から43(n)のそれぞれに対応する第3のスイッチ8を、第3のスイッチ8(a)から8(n)で示す。第3のスイッチ8(a)から8(n)について、蓄電池管理装置43(a)から43(n)のいずれのものであるかを特定せずに、1つの第3のスイッチを示す場合には単に「第3のスイッチ8」と記す。
【0024】
第3のスイッチ8のオン状態又はオフ状態の切替は、制御装置7よって制御されるようになっている。
【0025】
第1の接続路5には、電池モジュール4(a)から4(n)が並列に接続されている。第1の接続路5の一端には、第1のスイッチ6が接続されている。
【0026】
第1のスイッチ6は、第1の接続路5と発電装置2及び電気負荷3との間に設けられ、第1の接続路5と発電装置2又は電気負荷3とを接続するオン状態、又は、切断するオフ状態を切替可能なスイッチである。
【0027】
すなわち、第1のスイッチ6は、第1の接続路5と発電装置2とを接続する発電オン状態、又は、第1の接続路5と電気負荷3とを接続する放電オン状態のいずれかのオン状態と、発電装置2及び電気負荷3のいずれとも第1の接続路5を接続しないオフ状態と、に切替可能である。
【0028】
第1のスイッチ6の発電オン状態、放電オン状態又はオフ状態の切替は、制御装置7よって制御されるようになっている。充放電制御システム1の初回起動時等、制御装置7の電源投入がなされていない状態においては、充放電制御システム1を起動するための電力を確保する観点から第1のスイッチ6が発電オン状態に切り替えられているのが好ましい。
【0029】
制御装置7は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。コンピュータユニットのROMには、各種定数等とともに、当該コンピュータユニットを制御装置7として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、コンピュータユニットは、本実施例における制御装置7として機能する。
【0030】
制御装置7は、第1の接続路5に接続されており、第1の接続路5を介して発電装置2又は電池モジュール4(a)から4(n)の少なくとも1つから電力が供給されるようになっている。制御装置7は、第1のスイッチ6及び第3のスイッチ8のオン状態又はオフ状態の切替を制御するようになっている。
【0031】
制御装置7には、各種センサ9が接続されている。本実施例においては、各種センサ9として、発電装置2の種類や電気負荷3の種類に応じて必要なセンサが接続されるようになっており、例えば、風力センサ、照度センサ、温度センサ等の外部環境の変化を検出可能なセンサ類が接続されている。また、制御装置7は、電気負荷3が照明である場合には、照明時間や照明時刻を管理するタイマを備えていてもよい。
【0032】
(放電制御)
次に、本実施例に係る充放電制御システム1における放電制御について説明する。
【0033】
本実施例において、n個の電池モジュール4の少なくとも1つ以上から放電を行う場合、制御装置7は、n個の電池モジュール4を、少なくとも1つの電池モジュール4から構成された複数の電池モジュール群4Gに分ける。
【0034】
具体的には、制御装置7は、n個の電池モジュール4を、蓄電池41の電圧値が高い順に少なくとも1つの電池モジュール4によって構成した複数の電池モジュール群4Gに振り分ける。
【0035】
例えば、8個の電池モジュール4がある場合は、電圧値が1番目、2番目に高い電池モジュール4で1つの電池モジュール群を構成し、電圧値が3番目、4番目に高い電池モジュール4で1つの電池モジュール群を構成し、電圧値が5番目、6番目に高い電池モジュール4で1つの電池モジュール群を構成し、電圧値が7番目、8番目に高い電池モジュール4で1つの電池モジュール群を構成する。
【0036】
電池モジュール単品でなく、電池モジュール群にしている理由としては、電池モジュール単品で放電する場合、該電池モジュールの電圧値が放電可能電圧値を下回る以外の理由で放電不可になると、制御装置への電源供給が不可能になり、システム全体で動作不良に陥る恐れがあるためであり、放電の際は複数の電池モジュールで構成された電池モジュール群を用いる方が好ましい。
【0037】
ただし、複数の電池モジュール群4Gを決定する際には、電圧値の差が所定の差Δthを超える電池モジュール4同士では電池モジュール群を構成しないようにするのが好ましい。この場合、例えば、電圧値が1番目に高い電池モジュール4と電圧値が2番目に高い電池モジュール4との電圧値の差が所定の差Δthを超えている場合には、電圧値が1番目に高い電池モジュール4のみで1つの電池モジュール群を構成する。このとき、電圧値が2番目に高い電池モジュール4は、電圧値が3番目に高い電池モジュール4との電圧値の差が所定の差Δth以内であれば、電圧値が3番目に高い電池モジュール4と1つの電池モジュール群を構成する。
【0038】
このように、電圧値の差が所定の差Δthを超える電池モジュール4同士で電池モジュール群を構成しないのは、次の理由による。すなわち、電池モジュール群を構成する電池モジュール4のうち、一部の電池モジュール4の電圧値が突出して高いと、当該電池モジュール群を構成する電池モジュール4間で電圧差が大きくなることで大電流が流れて回路が故障するおそれがあるため、当該故障を回避するためである。
【0039】
したがって、本実施例において、電池モジュール群4Gは、蓄電池41の電圧値が高い順に該電圧値の差が所定の差Δth以内にある少なくとも1つの電池モジュール4によって構成されている。
【0040】
制御装置7は、これら複数の電池モジュール群4Gのうち、電池モジュール群4Gを構成する電池モジュール4の蓄電池41の平均電圧値(以下、「電池モジュール4の平均電圧値」ともいう)が最も高い電池モジュール群4Gを第1の電池モジュール群4G(1)、その次に電池モジュール4の平均電圧値が高い電池モジュール群4Gを第2の電池モジュール群4G(2)とする。
【0041】
制御装置7は、第1の電池モジュール群4G(1)を構成する電池モジュール4の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8をオン状態に切り替える。
【0042】
制御装置7は、第1の電池モジュール群4G(1)の平均電圧値である第1の平均電圧値BMV1が第2の電池モジュール群4G(2)の平均電圧値である第2の平均電圧値BMV2より低く、かつ、第1の平均電圧値BMV1と第2の平均電圧値BMV2との差が所定値Vthより大きいことを条件に、第2の電池モジュール群4G(2)を構成する電池モジュール4の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8をオン状態に切り替え、第1の電池モジュール群4G(1)を構成する電池モジュール4の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8をオフ状態に切り替える。
【0043】
所定値Vthは、電気負荷3に電池モジュール4を接続した場合に電圧値が直ぐに低下しても電池モジュール群4Gの切替が頻繁に生じないような電圧値の幅であって、予め実験的に求めて制御装置7のROMに記憶されている。
【0044】
これにより、第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8が必要以上にオン状態に切り替えられることを抑制され、またこれらスイッチの切替に伴う、電気負荷3への印加される電圧又は流れる電流の変動も抑制される。
【0045】
なお、第1のスイッチ6が放電オン状態であるときと第1のスイッチ6がオフ状態であるときとで電池モジュール群4Gからの放電速度が異なるため、第1のスイッチ6が放電オン状態であるときと第1のスイッチ6がオフ状態であるときとで所定値Vthを異なる値に設定してもよい。
【0046】
次に、
図2を参照して、本実施例の放電制御について、電池モジュール群4Gが4つの場合を例に説明する。
【0047】
図2においては、横軸に並ぶ各棒グラフが各電池モジュール群4Gの平均電圧値を示している。また、
図2中、「1」と明記された棒グラフは、第1の電池モジュール群4G(1)の平均電圧値であり、「2」と明記された棒グラフは、第2の電池モジュール群4G(2)の平均電圧値である。
【0048】
図2の縦軸は、各電池モジュール群4Gの平均電圧値の大きさを示している。当該縦軸における各破線間の幅は、上述した所定値Vthを示している。
【0049】
図2においては、放電に伴い、4つの電池モジュール群4Gのなかで第1の電池モジュール群4G(1)と第2の電池モジュール群4G(2)とが遷移していく様子を示している。
【0050】
図2(a)に示すように、制御装置7は、まず4つの電池モジュール群4Gのうち、平均電圧値が最も高い電池モジュール群4Gを第1の電池モジュール群4G(1)とし、その次に平均電圧値が高い電池モジュール群4Gを第2の電池モジュール群4G(2)として決定する。以下においては、上述した通り、第1の電池モジュール群4G(1)の平均電圧値を第1の平均電圧値BMV1、第2の電池モジュール群4G(2)のの平均電圧値を第2の平均電圧値BMV2とする。
【0051】
そして、制御装置7は、第1の電池モジュール群4G(1)を構成する電池モジュール4の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8をオン状態に切り替え、放電を開始する。
【0052】
その後、第1の電池モジュール群4G(1)の放電に伴い、第1の平均電圧値BMV1が第2の平均電圧値BMV2より低くなり、かつ、第1の平均電圧値BMV1と第2の平均電圧値BMV2との差が所定値Vthより大きくなると、
図2(b)に示すように、制御装置7は、第1の電池モジュール群4G(1)と第2の電池モジュール群4G(2)とを新たに決定し直す。ここでは、これまで第2の電池モジュール群4G(2)であった電池モジュール群4Gが第1の電池モジュール群4G(1)となり、これまで第1の電池モジュール群4G(1)であった電池モジュール群4Gが第2の電池モジュール群4G(2)となる。
【0053】
以後も、第1の電池モジュール群4G(1)の放電に伴い、第1の平均電圧値BMV1が第2の平均電圧値BMV2より低くなり、かつ、第1の平均電圧値BMV1と第2の平均電圧値BMV2との差が所定値Vthより大きくなる度に、
図2(c)から
図2(e)に示すように第1の電池モジュール群4G(1)と第2の電池モジュール群4G(2)とが新たに決定されて放電が継続される。
【0054】
次に、
図3を参照して、本実施例に係る充放電制御システム1によって実行される放電制御の処理の流れについて説明する。
【0055】
図3に示す放電制御における各処理の主体は、制御装置7又は蓄電池管理装置43である。
図3に示す放電制御は、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
【0056】
図3に示すように、制御装置7は、電気負荷3に対する駆動要求があるか否かを判定する(ステップS1)。制御装置7は、例えば照度センサから得られる照度や時間などの外部環境に応じて、電気負荷3に対する駆動要求を行うか否かを判定することができる。例えば、照明の点灯が必要な照度以下である場合や照明の点灯が必要な時刻となった場合には、電気負荷3に対して駆動要求がなされる。その他の外部環境として各種センサ9から得られる通行人や車両の有無などに応じて電気負荷3に対する駆動要求があるか否かを判定してもよい。
【0057】
制御装置7は、ステップS1において電気負荷3に対する駆動要求がないと判定した場合には、第1のスイッチ6をオフ状態に切り替え(ステップS3)、ステップS5に処理を移行する。これにより、電池モジュール4における無駄な放電や過放電が防止される。
【0058】
制御装置7は、ステップS1において電気負荷3に対する駆動要求があると判定した場合には、電圧値が放電可能電圧値以上の電池モジュール4があるか否かを判定する(ステップS2)。
【0059】
制御装置7は、電圧値が放電可能電圧値以上の蓄電池41を有する電池モジュール4を、放電可能な電池モジュールであると判定する。なお、制御装置7は、SOCが放電可能SOC以上の蓄電池41を有する電池モジュール4を、放電可能な電池モジュールと判定してもよい。
【0060】
放電可能電圧値とは、発電装置2からの給電がないとした場合でも、1つの電池モジュール4で所定期間の間、制御装置7を駆動し続けることのできる電圧値である。所定の期間とは、次に充電が開始されるまでの予測期間である。当該所定期間は、各種センサ9から得られる情報に基づき変動してもよいし、予め実験的に求めた定数であってもよい。なお、充放電制御システム1が設置される地域によって日照時間や年間の晴雨の期間が異なるため、地域によって当該予測期間も異なることから、地域に応じて放電可能電圧値を変更してもよい。
【0061】
制御装置7は、ステップS2において電圧値が放電可能電圧値以上の電池モジュール4がないと判定した場合には、第1のスイッチ6をオフ状態に切り替え(ステップS3)、ステップS5に処理を移行する。これにより、電池モジュール4の過放電が防止される。
【0062】
制御装置7は、ステップS2において電圧値が放電可能電圧値以上の電池モジュール4があると判定した場合には、第1のスイッチ6を放電オン状態に切り替える(ステップS4)。
【0063】
その後、制御装置7は、少なくとも1つの電池モジュール4から構成された電池モジュール群4Gを決定する(ステップS5)。すなわち、制御装置7は、n個の電池モジュール4を、少なくとも1つの電池モジュール4から構成された複数の電池モジュール群4Gに分ける。
【0064】
次いで、制御装置7は、複数の電池モジュール群4Gのうち、電池モジュール群4Gを構成する電池モジュール4の平均電圧値が最も高い電池モジュール群4Gを第1の電池モジュール群4G(1)、その次に電池モジュール4の平均電圧値が高い電池モジュール群4Gを第2の電池モジュール群4G(2)として決定する(ステップS6)。
【0065】
その後、制御装置7は、第1の電池モジュール群4G(1)を構成する電池モジュール4の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8をオン状態に切り替える(ステップS7)。これにより、第1の電池モジュール群4G(1)からの放電が行われる。
【0066】
次いで、制御装置7は、第1の電池モジュール群4G(1)以外の電池モジュール4の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8をオフ状態に切り替える(ステップS8)。これにより、平均電圧値が最も高い第1の電池モジュール群4G(1)のみによる放電に限定でき、他の電池モジュール4からの放電を抑制することができる。
【0067】
その後、制御装置7は、第1の電池モジュール群4G(1)の第1の平均電圧値BMV1が放電可能平均電圧値よりも大きいか否かを判定する(ステップS9)。
【0068】
放電可能平均電圧値とは、上述した放電可能電圧と同様に、発電装置2からの給電がないとした場合でも、1つの電池モジュール4で所定期間の間、制御装置7を駆動し続けることのできる電圧値である。ここでの所定期間も、次に充電が開始されるまでの予測期間である。
【0069】
また、放電可能平均電圧値は、放電可能電圧より高い電圧閾値とするのが好ましい。その理由は、次の通りである。異なる電圧値の電池モジュール4同士を接続した場合、時間経過により電圧値が均等化される。ところが、接続時間が短時間の場合や、電池モジュール群4Gを構成する電池モジュール4の数が多い場合、電圧値が均等化されるまで時間がかかることがある。その際、電池モジュール群4Gを構成する各電池モジュール4の電圧値の高低により、単体の電池モジュール4で見た場合に、放電可能電圧値を下回る電池モジュール4が発生することを防ぐため、上述したように放電可能平均電圧値を放電可能電圧より高い電圧閾値に設定するのが好ましい。これにより、1つの電池モジュール群4Gを構成する電池モジュール4のなかで、最も電圧値の低い電池モジュール4が過放電することが抑制される。
【0070】
本実施例においては、ステップS6及びステップS9の処理によって、1つの電池モジュール群4Gを構成する電池モジュール4間で、使用頻度の違いによる劣化度合いの差が発生することが抑制される。
【0071】
制御装置7は、ステップS9において第1の平均電圧値BMV1が放電可能平均電圧値よりも大きくない、すなわち放電可能平均電圧値以下であると判定した場合には、本充放電制御を終了する。
【0072】
制御装置7は、ステップS9において第1の平均電圧値BMV1が放電可能平均電圧値よりも大きいと判定した場合には、第2の平均電圧値BMV2から第1の平均電圧値BMV1を差し引いた値が所定値Vthより大きいか否かを判定する(ステップS10)。
【0073】
本実施例において、所定値Vthは正の値である。これにより、制御装置7は、ステップS10において、第1の平均電圧値BMV1が第2の平均電圧値BMV2より低く、かつ、第1の平均電圧値BMV1と第2の平均電圧値BMV2との差が所定値Vthより大きいか否かを判定することができる。
【0074】
制御装置7は、ステップS10において第2の平均電圧値BMV2から第1の平均電圧値BMV1を差し引いた値が所定値Vthより大きくない、すなわち所定値Vth以下であると判定した場合には、ステップS9に処理を戻す。
【0075】
制御装置7は、ステップS10において第2の平均電圧値BMV2から第1の平均電圧値BMV1を差し引いた値が所定値Vthより大きいと判定した場合には、本充放電制御を終了する。
【0076】
これにより、充放電制御の次回ループにおいて、第2の電池モジュール群4G(2)を構成する電池モジュール4の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8がオン状態に切り替えられ、第1の電池モジュール群4G(1)を構成する電池モジュール4の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8がオフ状態に切り替えられる。これは、充放電制御の次回ループにおいては、第2の電池モジュール群4G(2)が平均電圧の最も高い電池モジュール群4Gとなり、第1の電池モジュール群4G(1)として決定されるからである。
【0077】
また、制御装置7は、ステップS7で放電が開始されてからステップS10において第2の平均電圧値BMV2から第1の平均電圧値BMV1を差し引いた値が所定値Vthより大きいと判定されるまでの時間が、所定時間よりも短い場合には第1の電池モジュール群4G(1)を構成する電池モジュール4の少なくともいずれかの蓄電池41が劣化していると判定してもよい。蓄電池41が劣化していると、電圧低下速度が速く(単位時間当たりの電圧低下量が大きく)なるためである。所定時間は、蓄電池41が劣化していないと判定できる時間の下限であって、予め実験的に求めて制御装置7のROMに記憶されている。
【0078】
さらに、制御装置7は、上述のように蓄電池41が劣化していると判定した際に、第1の平均電圧値BMV1が放電可能平均電圧値以下となってしまっている場合には、過放電や過充電による電池モジュール4の故障や過熱を防止するため、以降、第1の電池モジュール群4G(1)での充放電を禁止する。
【0079】
なお、制御装置7は、上述のステップS6において、平均電圧値が最も高い電池モジュール群4Gが複数ある場合には、各電池モジュール群4Gを構成する電池モジュール4の放電回数の合計値が少ない順に第1の電池モジュール群4G(1)、第2の電池モジュール群4G(2)として決定する。放電回数の合計値は、電池モジュール群4Gを構成する全ての電池モジュール4の放電回数の合計値である。
【0080】
制御装置7は、各電池モジュール4において、蓄電池41の満充電容量に対する累積の放電量の割合が100%になった場合に放電回数を1回とカウントする。
【0081】
例えば、
図4(a)に示すように充電容量が100%の電池モジュール4がある場合、当該電池モジュール4において放電により
図4(b)に示すように充電容量が40%に低下すると、このときの放電量は60%となる。
【0082】
次いで、
図4(c)に示すように当該電池モジュール4が充電容量80%まで充電され、その後、
図4(d)に示すように充電容量が40%に低下すると、このときの放電量は40%となる。これにより、蓄電池41の満充電容量を充電容量100%としたとき、充電容量100%に対する累積の放電量の割合は、「60%+40%=100%」となり、放電回数を1回としてカウントされる。
図4における充電容量は、放電容量を割合表記したものである。
【0083】
ここで、制御装置7は、
図5に示すように蓄電池41の放電容量と温度と電圧値との相関関係を定義したマップに基づき、放電量を推定することができる。
図5に示すマップは、蓄電池41の放電容量と温度と電圧値との相関関係を予め実験的に求めて制御装置7のROMに記憶されている。
【0084】
次に、
図6を参照して、本実施例に係る充放電制御システム1の動作の一例について、電池モジュール4(a)、4(b)及び4(n)を例に説明する。
【0085】
図6に示す例では、電池モジュール4(a)、4(b)及び4(n)をそれぞれ1つの電池モジュール群4Gとしている。つまり、
図6に示す例では、1つの電池モジュール4で1つの電池モジュール群4Gを構成している。
【0086】
図6に示すように、時刻t0においては、電気負荷3の駆動要求がなく、第1のスイッチ6がオフ状態に切り替えられている。このとき、電池モジュール4(a)、4(b)及び4(n)のうち、電池モジュール4(a)を平均電圧値が最も高い第1の電池モジュール群4G(1)とし、電池モジュール4(b)を平均電圧値がその次に高い第2の電池モジュール群4G(2)として決定される。
【0087】
これにより、電池モジュール4(a)の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8がオン状態に切り替えられ、電池モジュール4(a)以外の電池モジュール4の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8がオフ状態に切り替えられる。したがって、時刻t0においては、電池モジュール4(a)のみからの放電によって充放電制御システム1が維持される。
【0088】
その後、時刻t1において、電池モジュール4(b)の電圧値から電池モジュール4(a)の電圧値を差し引いた値、すなわち第2の平均電圧値BMV2から第1の平均電圧値BMV1を差し引いた値が所定値Vthより大きくなると、第1の電池モジュール群4G(1)及び第2の電池モジュール群4G(2)が再決定される。
【0089】
時刻t1においては、電池モジュール4(b)が第1の電池モジュール群4G(1)、電池モジュール4(n)が第2の電池モジュール群4G(2)として決定される。これにより、電池モジュール4(b)の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8がオン状態に切り替えられ、電池モジュール4(b)以外の電池モジュール4の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8がオフ状態に切り替えられる。
【0090】
その後、時刻t2において、電池モジュール4(n)の電圧値から電池モジュール4(b)の電圧値を差し引いた値、すなわち第2の平均電圧値BMV2から第1の平均電圧値BMV1を差し引いた値が所定値Vthより大きくなると、第1の電池モジュール群4G(1)及び第2の電池モジュール群4G(2)が再決定される。
【0091】
時刻t2においては、電池モジュール4(n)が第1の電池モジュール群4G(1)、電池モジュール4(a)が第2の電池モジュール群4G(2)として決定される。これにより、電池モジュール4(n)の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8がオン状態に切り替えられ、電池モジュール4(n)以外の電池モジュール4の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8がオフ状態に切り替えられる。
【0092】
その後、時刻t3において、電気負荷3の駆動要求があると、電圧値が放電可能電圧以上の電池モジュール4があるため、第1のスイッチ6が放電オン状態に切り替えられる。このとき、第1の電池モジュール群4G(1)は電池モジュール4(n)で変わりないため、電池モジュール4(n)から電気負荷3に対して電力が供給される。
【0093】
その後、時刻t4までは、電気負荷3の駆動要求が継続しているため、全ての電池モジュール4の電圧値が放電可能電圧を下回るまで、上述のように第1の電池モジュール群4G(1)を切り替えながら放電が継続される。
【0094】
時刻t4において、全ての電池モジュール4において電圧値が放電可能電圧を下回ると、電気負荷3の駆動要求の有無に関わらず、第1のスイッチ6がオフ状態に切り替えられる。これにより、電気負荷3もオフされる。このとき、第1の電池モジュール群4G(1)は電池モジュール4(b)であり、第2の電池モジュール群4G(2)は電池モジュール4(n)である。
【0095】
その後、時刻t5において、電池モジュール4(n)の電圧値から電池モジュール4(b)の電圧値を差し引いた値が所定値Vthより大きくなると、第1の電池モジュール群4G(1)及び第2の電池モジュール群4G(2)が再決定される。
【0096】
時刻t5においては、電池モジュール4(n)が第1の電池モジュール群4G(1)、電池モジュール4(a)が第2の電池モジュール群4G(2)として決定される。これにより、電池モジュール4(n)の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8がオン状態に切り替えられ、電池モジュール4(n)以外の電池モジュール4の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8がオフ状態に切り替えられる。
【0097】
その後、時刻t6までは、第2の平均電圧値BMV2から第1の平均電圧値BMV1を差し引いた値と、所定値Vthとに基づき、上述のように第1の電池モジュール群4G(1)の切替が繰り返される。
【0098】
その後、時刻t6において、発電装置2における発電電圧が電池モジュール4を充電可能な電圧まで上昇すると、第1のスイッチ6が発電オン状態に切り替えられ、電圧値の低い電池モジュール4(b)及び4(n)の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8がオン状態に切り替えられる。これにより、電池モジュール4(b)及び4(n)の充電が開始される。
【0099】
その後、時刻t7において、電池モジュール4(b)及び4(n)の電圧値が電池モジュール4(a)の電圧値と同じになると、電池モジュール4(a)の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8がオン状態に切り替えられる。これにより、電池モジュール4(a)の充電も開始される。
【0100】
以上のように、本実施例に係る充放電制御システム1は、第1の電池モジュール群4G(1)の第1の平均電圧値BMV1が第2の電池モジュール群4G(2)の第2の平均電圧値BMV2より低く、かつ、第1の平均電圧値BMV1と第2の平均電圧値BMV2との差が所定値Vthより大きいことを条件に、第2の電池モジュール群4G(2)を構成する電池モジュール4の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8をオン状態に切り替え、第1の電池モジュール群4G(1)を構成する電池モジュール4の第2のスイッチ42及び第3のスイッチ8をオフ状態に切り替えるよう構成されている。
【0101】
この構成により、本実施例に係る充放電制御システム1は、平均電圧値が最も高い第1の電池モジュール群4G(1)から放電を行い、第1の平均電圧値BMV1が、次に平均電圧値が高い第2の電池モジュール群4G(2)より所定値Vth分低くなった場合に、放電する電池モジュール群を第1の電池モジュール群4G(1)から第2の電池モジュール群4G(2)へ切り替えることができる。
【0102】
これにより、本実施例に係る充放電制御システム1は、放電する電池モジュール群4G間の電圧差を抑制し、大電流が流れることを抑制しつつ、一部の電池モジュール群4Gだけが放電されるなどの使用頻度の偏りを抑制することができる。したがって、複数の電池モジュール4間における使用頻度の偏りを抑制し、複数の電池モジュール4間における劣化の偏りを抑制することができる。
【0103】
また、本実施例に係る充放電制御システム1は、電気負荷3として大電力を要する電気負荷を使用する場合には、複数の電池モジュール4から電力供給を行うことができる。さらに、複数の電池モジュール4で構成された電池モジュール群4Gで電気負荷3を駆動する場合は、電池モジュール群4Gを構成する電池モジュール4が、故障等で電力を出力できなくなっても、残りの電池モジュール4から放電可能となるため、充放電制御システム1の耐久性を向上させることができる。
【0104】
また、本実施例に係る充放電制御システム1において、電池モジュール群4Gは、蓄電池41の電圧値が高い順に該電圧値の差が所定の差Δth以内にある少なくとも1つの電池モジュール4によって構成されている。
【0105】
この構成により、本実施例に係る充放電制御システム1は、電池モジュール群4Gを構成する電池モジュール4間で電圧差が大きくなることで大電流が流れて回路が故障するといった事態を回避することができる。
【0106】
また、本実施例に係る充放電制御システム1は、放電が開始されてから、第2の平均電圧値BMV2から第1の平均電圧値BMV1を差し引いた値が所定値Vthより大きいと判定されるまでの時間が所定時間よりも短い場合には、第1の電池モジュール群4G(1)での充放電を禁止するよう構成されている。
【0107】
この構成により、本実施例に係る充放電制御システム1は、蓄電池管理装置43が常時起動していないことから積算電流値に基づくSOCの計算が不十分であっても、電池モジュール4の劣化度合いを判定できる。
【0108】
また、本実施例に係る充放電制御システム1は、第1の電池モジュール群4G(1)を構成する電池モジュール4の少なくともいずれかの蓄電池41が劣化していると判定できる場合には、第1の電池モジュール群4G(1)での充放電を禁止することで、過放電や過充電による電池モジュール4の故障や過熱を防止することができる。
【0109】
また、本実施例に係る充放電制御システム1は、平均電圧値が最も高い電池モジュール群4Gが複数ある場合には、各電池モジュール群4Gを構成する電池モジュール4の放電回数の合計値が少ない順に第1の電池モジュール群4G(1)、第2の電池モジュール群4G(2)として決定し、蓄電池41の満充電容量に対する累積の放電量の割合が100%になった場合に放電回数を1回とカウントするよう構成されている。
【0110】
この構成により、本実施例に係る充放電制御システム1は、平均電圧値が同じ電池モジュール群4Gにおいて、放電回数の少ない電池モジュール群4Gから優先して放電することが可能になるため、電池モジュール群4G間の使用頻度の偏り、すなわち、劣化度合いの偏りを抑制できる。これにより、電池モジュール群4Gを構成する電池モジュール4の交換頻度を減らすことができる。
【0111】
また、本実施例に係る充放電制御システム1は、蓄電池41の放電容量と温度と電圧値との相関関係を定義したマップ(
図5参照)に基づき放電量を推定するので、温度と電圧値とから放電量を容易に推定することができる。
【0112】
また、本実施例に係る充放電制御システム1は、発電装置2が再生可能エネルギを利用して発電を行う発電装置によって構成されている。これにより、本実施例に係る充放電制御システム1を屋外に独立して設置することができる。
【0113】
また、本実施例に係る充放電制御システム1は、電気負荷3が発光体を負荷として有する装置によって構成されている。これにより、本実施例に係る充放電制御システム1を、屋外に独立して設置される照明や電光掲示板に用いることができる。
【0114】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0115】
1 充放電制御システム
2 発電装置
3 電気負荷
4 電池モジュール
4G 電池モジュール群
4G(1) 第1の電池モジュール群
4G(2) 第2の電池モジュール群
5 第1の接続路
6 第1のスイッチ
7 制御装置
8 第3のスイッチ
9 各種センサ
41 蓄電池
42 第2のスイッチ
43 蓄電池管理装置
BMV1 第1の平均電圧値
BMV2 第2の平均電圧値
Vth 所定値
Δth 所定の差