(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】内装体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/05 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
B65D81/05 200
(21)【出願番号】P 2020179263
(22)【出願日】2020-10-26
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】吉田 季央
(72)【発明者】
【氏名】上田 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】浅山 良行
(72)【発明者】
【氏名】佐々島 伸之
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-070036(JP,A)
【文献】実開昭58-009379(JP,U)
【文献】特開2001-270568(JP,A)
【文献】特開2005-126124(JP,A)
【文献】特開2013-103748(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0276330(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 57/00-59/08
B65D 81/00-81/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体に内装される内装体であって、
互いに対向して配置された一対の面部と、
各々の前記面部に設定された貼付領域に貼り付けられて前記面部の間に懸架され、所定方向に沿って延在する複数の切れ込み部が前記貼付領域どうしの間に千鳥状に設けられたシート状の緩衝部と、を備え
、
各々の前記面部は、前記箱体の底面部に支持される下縁部と前記貼付領域よりも上側の上縁部との間に延在する柱部と、前記上縁部において前記柱部から下方へ折り返されて前記箱体の側面部に内側から当接配置される折返部と、を有する
ことを特徴とする内装体
。
【請求項2】
前記柱部は、前記箱体に収納される物品の外面形状に沿って折り曲げられた支持部を有する
ことを特徴とする請求項
1に記載の内装体。
【請求項3】
前記折返部は、幅寸法が下側に向けて次第に縮小されたテーパー形状をなす
ことを特徴とする請求項
1又は
2に記載の内装体。
【請求項4】
各々の前記面部は、前記下縁部において前記柱部から互いに接近する方向に折り曲げられて前記箱体の底面部に内側から当接配置される足部を有する
ことを特徴とする請求項
1~
3のいずれか一項に記載の内装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、箱体に内装される内装体に関する。
【背景技術】
【0002】
緩衝材の一つとして、直線状に延びる複数の切れ込み部が千鳥状に設けられたシート材が知られている。このシート材は、その延在平面において切れ込み部の延びる方向に対して交差する方向に伸張させると、切れ込み部に対応する目が蜂の巣状に開く(このことから「ハニーペーパー」とも称される)。これにより、このシート材は、厚み方向の寸法が増大して緩衝代の形成されたネット状に変化する(この機能に着目して「クッションペーパー」とも称される)。このようなシート材を内装した包装具も提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなシート材で形成された緩衝材を箱体の内部で懸架させることが検討されている。そこで、シート状の緩衝材を懸架状態で箱体に内装させる作業の容易化が課題とされている。
本件は、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、緩衝材を懸架状態で箱体に内装させる作業を容易化することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用及び効果であって、従来の技術では得られない作用及び効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本件の内装体は、箱体に内装される内装体であって、互いに対向して配置された一対の面部と、各々の前記面部に設定された貼付領域に貼り付けられて前記面部の間に懸架され、所定方向に沿って延在する複数の切れ込み部が前記貼付領域どうしの間に千鳥状に設けられたシート状の緩衝部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本件によれば、緩衝材(緩衝部)を懸架状態で箱体に内装させる作業を容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】箱体に内装された内装体を斜め上方から視た斜視図である。
【
図2】伸張した状態の緩衝部(緩衝材)の要部を拡大して示す斜視図である。
【
図3】箱体に内装された内装体の断面図(
図1のA-A矢視断面図)である。
【
図4】内装体に組み立てられる内装シートの平面図である。
【
図5】(a)~(c)は、内装シートを内装体に組み立てる手順を例示する模式図である。
【
図6】(a),(b)は、内装体を箱体に組み付ける手順を例示する模式図である。
【
図7】箱体に内装された変形例に係る内装体の断面図(
図3に対応する図)である。
【
図8】変形例の内装体に組み立てられる内装シートの平面図(
図4に対応する図)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、本件の実施形態を説明する。この実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0009】
[1.構成]
〈箱体〉
図1に示すように、本実施形態に係る内装体2は、物品(図示略)を包装する立体的な箱体1に内装され、物品へ印加される衝撃を緩和する。本実施形態では、箱体1として、有底四角筒状の本体部10に差込式の蓋部11が連設された、いわゆるB式のものを例示する。
【0010】
箱体1は、矩形状の底面部12と、底面部12の縁部をなす四つの辺からそれぞれ立設された矩形状の四つの側面部13,14とを有する。四つの側面部13,14は、四角筒状をなし、底面部12と共に本体部10を構成する。
本実施形態では、幅方向WDよりも長さ方向LDに長い箱体1を例示する。以下、四つの側面部13,14のうち、箱体1の長さ方向LDにおいて互いに対面する一対の側面部13,13を「短面部13,13」ともいい、箱体1の幅方向WDにおいて互いに対面する一対の側面部14,14を「長面部14,14」ともいう。また、箱体1において物品が収納される空間(側面部13,14で囲まれる空間)に向かう側を内側とし、この反対側を外側とする。
【0011】
短面部13は、幅方向WD及び深さ(高さ)方向DDに沿う平面状をなす。一方、長面部14は、長さ方向LD及び深さ方向DDに沿う平面状をなす。なお、長さ方向LDと幅方向WDと深さ方向DDとは、互いに直交する。
本実施形態では、箱体1が水平面上に載置されている(底面部12が水平面に沿って配置されている)ものとして、箱体1及び内装体2の各構成を説明する。すなわち、本実施形態では、深さ方向DDが鉛直方向と一致し、長さ方向LD及び幅方向WDがいずれも水平方向に沿う。
【0012】
蓋部11は、一方の長面部14の上縁部と連設されている。本実施形態の箱体1では、各短面部13の上縁部からフラップ部16が突設されている。各フラップ部16は、蓋部11が閉じられる際に、短面部13よりも内側へ折り込まれ、蓋部11の下方(内側)に重ねられる。
本体部10の上縁部は、物品が出し入れされる開口部15を区画する。蓋部11が開けられた箱体1では、開口部15が上方に向けて開放される。
【0013】
〈内装体〉
内装体2は、箱体1の内部で互いに対向して配置された一対の面部3,3と、面部3,3の間に懸架されたシート状の緩衝部4とを備える。本実施形態では、一対の面部3,3が箱体1の幅方向WDにおいて互いに対向して配置された内装体2を例示する。
【0014】
緩衝部4は、クッションペーパーやハニーペーパーなどとも称されるシート状の素材(後述の緩衝材7)で形成される。緩衝部4は、各面部3に設定された貼付領域31に貼り付けられることで、貼付領域31,31どうしの間に延在する主部40が底面部12側へ垂れ下がった状態で設けられる。換言すれば、緩衝部4は、一対の面部3,3の間でハンモック状に設けられている。ここでは、貼付領域31,31から底面部12へ向けて凸をなすU字状に吊り下げられた緩衝部4を例示する。なお、
図1には長さ方向LDに延びる帯状に設定された貼付領域31を例示するが、貼付領域31の形状は特に限定されない。また、貼付領域31に対する緩衝部4の貼付手法も特に限定されず、例えば接着剤や粘着剤を適用できる。
【0015】
緩衝部4の主部40は、面部3のいずれの部位にも貼り付けられずに配置される。緩衝部4の主部40(貼付領域31,31どうしの間)には、所定方向に沿って延在する複数の切れ込み部41が千鳥状に設けられている。本実施形態では、切れ込み部41が箱体1の長さ方向LDに沿って延在する(所定方向が長さ方向LDである)緩衝部4を例示する。
【0016】
図2に示すように、緩衝部4は、切れ込み部41の延びる所定方向と交差する方向(以下、単に「交差方向」ともいう)に引っ張られた場合に、切れ込み部41に対応する目が開くことで交差方向に伸張する。このとき、交差方向に伸張した緩衝部4では、切れ込み部41の周辺の片部42が立ち上がることで、ハニカム状の立体的なセル構造43が出現する。緩衝部4は、このような交差方向への伸張に伴うセル構造43の出現により、厚み方向(所定方向及び交差方向の双方に交差する方向)の寸法が増大し、緩衝代が形成されたネット状(厚みのあるマット状)に変形する。
【0017】
本実施形態の緩衝部4は、箱体1の長さ方向LDに沿って延在する切れ込み部41により、長さ方向LDと交差する深さ方向DDに引っ張られた場合にネット状に変形する。
図3に示すように、開口部15が上方に向けられた箱体1では、開口部15を通じて上方から下方へ挿入された物品の重量により、緩衝部4が下方へ引っ張られることで下方に伸張する(
図3中の二点鎖線参照)。
【0018】
なお、緩衝部4は、交差方向に引っ張られる前の状態(切れ込み部41に対応する目が開いていない状態)において、箱体1の底面部12との間に隙間をあけて配置される。緩衝部4は、一対の面部3,3の距離(本実施形態では箱体1の幅方向WDの寸法に対応)が大きいほど、底面部12側への垂れ下がりが抑制される。このため、一対の面部3,3が互いに離隔して配置されるほど、緩衝部4と箱体1の底面部12との干渉(底付き)が抑制されやすくなる。
【0019】
各面部3は、好ましくは、緩衝部4に用いられる素材よりも厚くて硬いシート状の素材で形成され、緩衝部4を支持する。本実施形態の各面部3は、箱体1の長面部14のほぼ全域に重なって配置される柱部32と、柱部32から外側(長面部14側)に折り返されて長面部14の一部に内側から当接配置される折返部33とを有する。本実施形態では、緩衝部4の貼り付けられる貼付領域31が柱部32に設定されている。
【0020】
各柱部32は、箱体1の底面部12に支持される下縁部34と、貼付領域31よりも上側の上縁部35との間に延在する。ここでは、箱体1の長面部14と比べて、長さ方向LD及び深さ方向DDの各寸法がいずれも僅かに小さく形成された柱部32を例示する。
図1及び
図3に示すように、本実施形態の柱部32は、箱体1に収納される物品の外面形状に沿って折り曲げられた支持部36を有する。支持部36は、具体的には、箱体1に包装される物品の外面形状を模した折曲線(後述の支持罫線65)で折り曲げられた部位である。支持部36は、箱体1に収納された物品の外面に当接する。換言すれば、箱体1に収納される物品は、支持部36に当接するように箱体1の内部で位置決めされる。このように、支持部36は、箱体1の内部における物品の位置決めの指標としても機能する。
【0021】
本実施形態の支持部36は、貼付領域31よりも上側(上縁部35側)に設けられている。ここでは、略円柱状をなす物品が長さ方向LDに三つ並んで箱体1に収納されることを想定し、これらの物品の外面形状に沿う波状の折曲線で折り曲げられた支持部36を例示する。ただし、支持部36の具体的な配置や形状は上記の例示に限定されず、箱体1の包装対象となる物品のサイズや外面形状などに応じて適宜設計される。
【0022】
折返部33は、上縁部35において柱部32から下方へ折り返され、柱部32の外側に重ねられる。本実施形態の折返部33は、長さ方向LDの寸法(折返部33の幅寸法)が下側(底面部12側)に向けて次第に縮小されたテーパー形状をなす。より具体的にいえば、本実施形態の折返部33は、箱体1の幅方向WDから視て、長さ方向LDに沿う一対の平行な底辺を有すると共に短い底辺が長い底辺よりも上側に配置された等脚台形状をなす。
図3に示すように、折返部33は、好ましくは、上縁部35以外の部分において柱部32との間に隙間37をあけて配置される。ここでは、深さ方向DDにおいて柱部32よりも短く形成された折返部33を例示する。
【0023】
〈内装シート〉
上記の内装体2は、
図4に示す内装シート5から組み立てられる。内装シート5は、シート状の台紙6とシート状の緩衝材7とが厚み方向に重ねられて貼り合わされたものであり、平面状をなす。台紙6は、内装体2の一対の面部3,3となる部位を構成し、緩衝材7は、内装体2の緩衝部4となる部位を構成する。なお、台紙6及び緩衝材7は、紙製に限定されず、例えばプラスチック製であってもよい。また、台紙6及び緩衝材7は、同一の材料から形成されてもよいし、互いに異なる材料から形成されてもよい。
【0024】
以下、内装シート5の平面視(厚み方向視)で互いに直交する二方向をそれぞれ縦方向D1及び横方向D2ともいう。また、内装シート5の厚み方向のうち、緩衝材7が配置される側を「表側」ともいい、この反対側(台紙6が配置される側)を「裏側」ともいう。なお、内装シート5の縦方向D1は、上記の箱体1に内装された内装体2の長さ方向LDに対応する。
【0025】
台紙6には、内装体2において一対の面部3,3となる二つの面領域61,61が設けられている。面領域61,61は、平面視で縦方向D1に延びる破断補助部62を介して横方向D2に隣り合っている。本実施形態では、破断補助部62が内装シート5の横方向D2の中心に設けられており、二つの面領域61,61が破断補助部62を基準として対称に形成された台紙6を例示する。
【0026】
破断補助部62は、台紙6において相対的に(破断補助部62の周辺よりも)破断しやすく形成されている。破断補助部62は、具体的には、ミシン目やハーフカットやカットテープなどで構成される。台紙6は、内装シート5が内装体2に組み立てられる際に、破断補助部62に沿う破断により、二つの面領域61,61が互いに分割される。本実施形態の台紙6では、破断補助部62に沿って破断された部位が、内装体2における柱部32の下縁部34となる。
【0027】
本実施形態の台紙6は、破断補助部62の縦方向D1の両端部でV字状に切り欠かれた切欠部67を有する。切欠部67は、破断補助部62に沿う破断の起点となる部位であって、破断補助部62に剪断力を印加しやすくする。切欠部67は、詳細には、その縦方向D1の内側端(V字の先端)が破断補助部62と繋がるように形成される。
各面領域61には、緩衝材7の貼り付けられる貼付領域63が設定されている。二つの面領域61に設定された貼付領域63,63は、内装体2における一対の面部3,3に設定された貼付領域31,31にそれぞれ対応する。上記のとおり、本実施形態の貼付領域63は、縦方向D1に延びる帯状に設定されている。
【0028】
本実施形態の台紙6は、各面領域61のうち、貼付領域63よりも横方向D2の外側で縦方向D1に延びた頂罫線64と、頂罫線64よりも横方向D2の内側で、箱体1に収納される物品の外面形状に沿って延びた支持罫線65とを有する。各頂罫線64は、内装体2において柱部32の上縁部35となり、各支持罫線65は、内装体2において支持部36となる。また、各面領域61のうち、頂罫線64よりも横方向D2の外側の折返領域66は、内装体2において折返部33となる。
【0029】
頂罫線64及び支持罫線65はいずれも、台紙6において相対的に(頂罫線64及び支持罫線65の周辺よりも)折れ曲がりやすく形成されており、内装シート5が内装体2に組み立てられる際に折り曲げを補助する。頂罫線64及び支持罫線65は、具体的には、溝(スジ押し)やミシン目やハーフカットなどで構成される。
本実施形態の頂罫線64は、縦方向D1に沿って延びる直線状に設けられている。一方、支持罫線65は、湾曲しながら縦方向D1に延びる波線状に設けられている。各面領域61は、内装シート5が内装体2に組み立てられる際に、頂罫線64及び支持罫線65において表側へ凸となるように折り曲げられる。
【0030】
折返領域66は、縦方向D1の寸法が横方向D2の外側に向けて次第に縮小されたテーパー形状をなす。より具体的にいえば、本実施形態の折返領域66は、平面視において、縦方向D1に沿う一対の平行な底辺を有すると共に短い底辺が長い底辺よりも横方向D2の外側に配置された等脚台形状をなす。
【0031】
緩衝材7は、破断補助部62を跨いで台紙6に重ねられ、各貼付領域63に貼り付けられる。緩衝材7は、その全体が台紙6に沿う平面状に配置される。すなわち、内装体2の緩衝部4では、主部40が垂れ下がって配置されるのに対し、内装シート5の緩衝材7では、貼付領域63,63どうしの間に延在する主部70が台紙6と平行な平面状に配置される。
【0032】
緩衝材7の主部70(貼付領域63,63どうしの間)には、所定方向に沿って延在する複数の切れ込み部71が千鳥状に設けられている。本実施形態の緩衝材7では、切れ込み部71が縦方向D1に沿って延在する(所定方向が縦方向D1である)。緩衝材7の切れ込み部71は、内装体2における緩衝部4の切れ込み部41に対応する。
【0033】
〈内装シートの組立手順〉
内装シート5を内装体2に組み立てるには、
図5(a)に示すように、まず切欠部67から破断補助部62に沿って台紙6を破断させる。これにより、二つの面領域61,61が互いに分割される。このような破断補助部62に沿う破断は、ハサミやカッターといった機具を用いなくても、例えばユーザが破断補助部62に沿って台紙6を手でちぎることで実施できる。
【0034】
次いで、
図5(b)に示すように、頂罫線64及び支持罫線65で表側へ凸となるように各面領域61を折り曲げる。これにより、内装体2の面部3となる各面領域61において、柱部32に対応する部位から折返領域66が折り返されると共に、支持部36が形成される。
それから、
図5(c)に示すように、柱部32の上縁部35となる頂罫線64を、柱部32の下縁部34となる部位(本実施形態では破断補助部62に沿って破断させた部位)よりも上方に位置させた姿勢で、面領域61,61を互いに間隔をあけて対向させる。これにより、一対の面部3,3の間に緩衝部4が懸架された内装体2が完成する。
【0035】
〈内装体の組付手順〉
内装体2を箱体1に組み付ける(内装させる)には、
図6(a)に示すように、各面部3,3が長面部14とほぼ平行に配置された姿勢で、箱体1の開口部15から内装体2を挿入する。そして、
図6(b)に示すように、各柱部32の下縁部34を箱体1の底面部12に当接させると共に、折返部33を長面部14,14に内側から当接配置する。これにより、箱体1に対する内装体2の組み付け(箱体1に内装体2を内装させる作業)が完了する。
【0036】
図6(b)に二点鎖線で示すように、内装体2が内装された箱体1には、開口部15を通じて物品8が上方から挿入される。物品8は、一対の面部3,3の間で支持部36に当接するように位置決めされ、緩衝部4に上方から載置される。
物品8を受け止めた緩衝部4は、物品8の自重(重力)により下方に伸張してネット状に変形する。この結果、緩衝部4の緩衝性が確保され、物品8が緩衝部4で保護される。
【0037】
[2.作用及び効果]
〈内装体〉
内装体2によれば、以下の作用及び効果が得られる。
(1)内装体2には、互いに対向して配置された一対の面部3,3と、面部3,3の間に懸架されたシート状の緩衝部4とが設けられるため、内装体2を箱体1に内装させるだけで、箱体1の内部において緩衝部4(緩衝材7)を懸架させられる。よって、緩衝材7を懸架状態で箱体1に内装させる作業を容易化できる。
【0038】
(2)
図3に示すように、柱部32の上縁部35において柱部32から下方へ折り返された折返部33が箱体1の長面部14に内側から当接配置されれば、箱体1に対して内装体2の姿勢を安定化できる。また、柱部32から折り返された折返部33を折り戻す方向に作用する復元力(弾性力)により、幅方向WDの衝撃に対して折返部33をクッションのように機能させられる。これらにより、内装体2の緩衝性を高められる。よって、一対の面部3,3の間に懸架された緩衝部4の上方に載せられた物品の保護性をより高められる。
【0039】
(3)箱体1に収納される物品の外面形状に沿って折り曲げられた支持部36が柱部32に設けられていれば、物品との接触面積が支持部36により確保されることから、内装体2において物品をより安定して支持できる。これにより、内装体2に対する物品の位置ずれが抑制されるため、物品の保護性を更に高められる。
【0040】
(4)長さ方向LDの寸法(幅寸法)が下側に向けて次第に縮小されたテーパー形状をなす折返部33によれば、折返部33を箱体1に上方から差し込みやすくなるため、内装体2を箱体1に内装させる作業が容易となる。よって、箱体1に対する内装体2の組付容易性を高められる。
【0041】
(5)上縁部35以外の部分において柱部32と折返部33との間に隙間37が設けられていれば、柱部32に対する折返部33の変形代が確保されるため、幅方向WDの衝撃に対する折返部33の緩衝性を更に発揮させられる。よって、内装体2の緩衝性を一層高められる。
【0042】
〈内装シート〉
内装シート5によれば、以下の作用及び効果が得られる。
(1)内装シート5には、二つの面領域61,61が破断補助部62に沿う破断で互いに分割される台紙6と、各面領域61の貼付領域63に貼り付けられたシート状の緩衝材7とが設けられるため、内装シート5から組み立てられた内装体2を箱体1に内装させるだけで、箱体1の内部で緩衝材7を懸架させられる。よって、緩衝材7を懸架状態で箱体1に内装させる作業を容易化できる。また、縦方向D1に延びる破断補助部62を介して二つの面領域61,61が横方向D2に隣り合う台紙6に、緩衝材7を重ねて各貼付領域63に貼り付けるだけで、内装体2に組立可能な内装シート5を製造できる。よって、上記の内装体2の製造容易性を高められる。
【0043】
(2)破断補助部62の縦方向D1の両端部でV字状に切り欠かれた切欠部67が台紙6に設けられていれば、切欠部67が破断の起点となることで、台紙6を破断補助部62に沿って破断させやすくなる。このため、内装シート5を内装体2に組み立てる作業が容易となる。よって、内装シート5の組立容易性を高められる。
【0044】
[3.変形例]
内装体2及び内装シート5の各構成は、上記の実施形態で例示したものに限定されない。
図7に示すように、内装体2の各面部3は、下縁部34において柱部32から互いに接近する方向(本変形例では幅方向WDの内側)に折り曲げられた足部38を更に有してもよい。足部38は、箱体1の底面部12に内側(上側)から当接配置される。本変形例では、二つの足部38が幅方向WDにおいて互いに離隔して配置された内装体2を例示する。
【0045】
図8に示すように、足部38が設けられた内装体2に組み立てられる内装シート5では、台紙6が、各面領域61のうち貼付領域63よりも横方向D2の内側で縦方向D1に延びた底罫線68を有する。本変形例の各底罫線68は、内装体2において柱部32の下縁部34となる。
底罫線68は、頂罫線64及び支持罫線65と同様に、台紙6において相対的に(底罫線68の周辺よりも)折れ曲がりやすく形成されており、内装シート5が内装体2に組み立てられる際に折り曲げを補助する。底罫線68は、具体的には、溝(スジ押し)やミシン目やハーフカットなどで構成される。
【0046】
底罫線68は、縦方向D1に沿って延びる直線状に設けられている。各面領域61は、内装シート5が内装体2に組み立てられる際に、底罫線68において裏側へ凸となるように折り曲げられる。このように、各底罫線68では、頂罫線64及び支持罫線65における折り曲げ方向と反対方向へ面領域61が折り曲げられる。
【0047】
本変形例の内装体2によれば、各柱部32から互いに接近する方向に折り曲げられた足部38が箱体1の底面部12に内側から当接配置されるため、各面部3を長面部14に沿って立設された姿勢に安定化できる。これにより、箱体1に対して内装体2の姿勢をより安定させられる。よって、一対の面部3,3の間に懸架された緩衝部4の上方に載せられた物品の保護性を更に高められる。
【0048】
また、足部38が折り曲げられた面部3は深さ方向DDの寸法が縮小されるため、折り曲げる足部38の大きさを調整することで、内装体2の深さ方向DDの寸法を調整できる。これにより、深さ方向DDにおいて内装体2の寸法を箱体1の寸法に対応させることが可能となる。よって、様々な寸法の箱体1に対して内装体2をより適用に内装させられる。
【0049】
なお、台紙6は、横方向D2において互いに離隔する複数の底罫線68を各面領域61に有してもよい。このような構成によれば、複数の底罫線68のうち、箱体1の深さ方向DDの寸法に応じた底罫線68で足部38を折り曲げることにより、深さ方向DDにおいて内装体2の寸法を箱体1の寸法に容易に対応させられる。よって、様々な寸法の箱体1に適用可能な内装体2の組立容易性を高められる。
【0050】
内装体2において、各面部3から折返部33が省略されてもよい。また、支持部36は、一方の柱部32にのみ設けられてもよいし、両方の柱部32から省略されてもよい。また、支持部36は、貼付領域31と重複して配置されてもよいし、柱部32において貼付領域31よりも下縁部34側に配置されてもよい。内装シート5においても同様であり、一方又は両方の支持罫線65が省略されてもよいし、支持罫線65の配置が変更されてもよい。
【0051】
内装シート5において、頂罫線64及び折返領域66は共に省略されてもよい。切欠部67も、一方又は両方が省略されてもよい。
なお、内装体2の折返部33及び内装シート5の折返領域66の各形状は、上記のテーパー形状に限定されず、例えば長方形状であってもよい。また、内装体2において、折返部33は柱部32の全体と重なる大きさに形成されてもよい。内装シート5においても同様であり、折返領域66は、内装体2で柱部32となる領域と等しい大きさに形成されてもよい。
【0052】
緩衝部4及び緩衝材7の切れ込み部41,71が延在する所定方向は、上記の長さ方向LD及び縦方向D1にそれぞれ限定されない。緩衝部4及び緩衝材7は、所定方向がいずれの方向であっても(切れ込み部41,71がいずれの方向に延在していても)、交差方向に引っ張られることでネット状に変形するため、上記の実施形態と同様に緩衝性が確保される。よって、緩衝部4及び緩衝材7で緩衝性が確保された内装体2及び内装シート5を提供できる。
【0053】
内装体2が適用される箱体1の具体的な構成も、上記の例示に限定されない。箱体1は、側面部13,14がいずれも等しい大きさの矩形状に形成されてもよいし、蓋部11やフラップ部16が省略されてもよい。
内装体2は、一対の面部3,3が箱体1の短面部13,13に沿って配置されてもよい。この場合であっても、上記の実施形態と同様に、緩衝材7を懸架状態で箱体1に内装させる作業を容易化できる。また、各面部3の折返部33が箱体1の短面部13に内側から当接配置されば、上記の実施形態と同様に緩衝性を高められる。
【符号の説明】
【0054】
1 箱体
2 内装体
3 面部
4 緩衝部
5 内装シート
6 台紙
7 緩衝材
8 物品
10 本体部
11 蓋部
12 底面部
13 短面部(側面部)
14 長面部(側面部)
15 開口部
16 フラップ部
31 貼付領域
32 柱部
33 折返部
34 下縁部
35 上縁部
36 支持部
37 隙間
38 足部
40 主部
41 切れ込み部
42 片部
43 セル構造
61 面領域
62 破断補助部
63 貼付領域
64 頂罫線
65 支持罫線
66 折返領域
67 切欠部
68 底罫線
70 主部
71 切れ込み部
D1 縦方向
D2 横方向
DD 深さ方向
LD 長さ方向
WD 幅方向