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特許7494710無線通信制御装置、無線通信装置、及び無線通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】無線通信制御装置、無線通信装置、及び無線通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/00 20180101AFI20240528BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20240528BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240528BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20240528BHJP
【FI】
H04W4/00 111
H04W24/08
H04W84/12
H04W88/06
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020195376
(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公開番号】P2022083823
(43)【公開日】2022-06-06
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】山岡 功佑
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-106721(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0079102(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、
前記第2回線を用いて前記無線ネットワークと接続可能な範囲は、前記第1回線を用いて前記無線ネットワークと接続可能な範囲よりも広いものであり、
前記第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出部(311)を備え、
前記通信制御部は、前記AP検出部で前記アクセスポイントを検出した場合に、前記第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる無線通信制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記データ通信処理部で行わせる前記第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出部(314)を備え、
前記通信制御部は、前記中断検出部で前記送信中断を検出した場合に、前記第1回線でのデータの送信中断を、前記第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知する無線通信制御装置。
【請求項3】
移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、
前記第2回線を用いて前記無線ネットワークと接続可能な範囲は、前記第1回線を用いて前記無線ネットワークと接続可能な範囲よりも広いものであり、
前記データ通信処理部で行わせる前記第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出部(314)を備え、
前記通信制御部は、前記中断検出部で前記送信中断を検出した場合に、前記第1回線でのデータの送信中断を、前記第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するものであり、
前記通信制御部は、前記中断検出部で前記送信中断を検出した場合に、前記第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、前記通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、
前記データ通信処理部は、前記第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、前記通信制御部で受領した前記回答から特定される、前記送信先で未受信の残りデータを、前記第1回線を用いて前記送信先に向けて送信させる無線通信制御装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項において、
前記第2回線は、前記第1回線と比較して通信状態が安定している回線であり、
前記第1回線は、前記第2回線と比較して通信単価の低い回線である無線通信制御装置。
【請求項5】
移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、
前記第2回線は、前記第1回線と比較して通信状態が安定している回線であり、
前記第1回線は、前記第2回線と比較して通信単価の低い回線であり、
前記第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出部(311)を備え、
前記通信制御部は、前記AP検出部で前記アクセスポイントを検出した場合に、前記第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる無線通信制御装置。
【請求項6】
請求項において、
前記データ通信処理部で行わせる前記第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出部(314)を備え、
前記通信制御部は、前記中断検出部で前記送信中断を検出した場合に、前記第1回線でのデータの送信中断を、前記第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知する無線通信制御装置。
【請求項7】
移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、
前記第2回線は、前記第1回線と比較して通信状態が安定している回線であり、
前記第1回線は、前記第2回線と比較して通信単価の低い回線であり、
前記データ通信処理部で行わせる前記第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出部(314)を備え、
前記通信制御部は、前記中断検出部で前記送信中断を検出した場合に、前記第1回線でのデータの送信中断を、前記第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するものであり、
前記通信制御部は、前記中断検出部で前記送信中断を検出した場合に、前記第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、前記通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、
前記データ通信処理部は、前記第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、前記通信制御部で受領した前記回答から特定される、前記送信先で未受信の残りデータを、前記第1回線を用いて前記送信先に向けて送信させる無線通信制御装置。
【請求項8】
請求項のいずれか1項において、
前記第2回線は、到達確認及び誤り訂正の少なくともいずれかが可能な通信プロトコルを用いる回線であり、
前記第1回線は、前記第2回線と比較してデータ転送効率の高い通信プロトコルを用いる回線である無線通信制御装置。
【請求項9】
移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、
前記第2回線は、到達確認及び誤り訂正の少なくともいずれかが可能な通信プロトコルを用いる回線であり、
前記第1回線は、前記第2回線と比較してデータ転送効率の高い通信プロトコルを用いる回線であり、
前記第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出部(311)を備え、
前記通信制御部は、前記AP検出部で前記アクセスポイントを検出した場合に、前記第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる無線通信制御装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記データ通信処理部で行わせる前記第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出部(314)を備え、
前記通信制御部は、前記中断検出部で前記送信中断を検出した場合に、前記第1回線でのデータの送信中断を、前記第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知する無線通信制御装置。
【請求項11】
移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、
前記第2回線は、到達確認及び誤り訂正の少なくともいずれかが可能な通信プロトコルを用いる回線であり、
前記第1回線は、前記第2回線と比較してデータ転送効率の高い通信プロトコルを用いる回線であり、
前記データ通信処理部で行わせる前記第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出部(314)を備え、
前記通信制御部は、前記中断検出部で前記送信中断を検出した場合に、前記第1回線でのデータの送信中断を、前記第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するものであり、
前記通信制御部は、前記中断検出部で前記送信中断を検出した場合に、前記第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、前記通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、
前記データ通信処理部は、前記第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、前記通信制御部で受領した前記回答から特定される、前記送信先で未受信の残りデータを、前記第1回線を用いて前記送信先に向けて送信させる無線通信制御装置。
【請求項12】
請求項11のいずれか1項において、
前記第2回線は、セルラー通信の回線若しくはセルラー通信の回線を一部に含む回線であり、
前記第1回線は、無線LANの回線である無線通信制御装置。
【請求項13】
移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、
前記第2回線は、セルラー通信の回線若しくはセルラー通信の回線を一部に含む回線であり、
前記第1回線は、無線LANの回線である無線通信制御装置。
【請求項14】
移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、
前記第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出部(311)を備え、
前記通信制御部は、前記AP検出部で前記アクセスポイントを検出した場合に、前記第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる無線通信制御装置。
【請求項15】
移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)と、
前記データ通信処理部で行わせる前記第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出部(314)とを備え、
前記通信制御部は、前記中断検出部で前記送信中断を検出した場合に、前記第1回線でのデータの送信中断を、前記第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するとともに、前記第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、前記通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し
前記データ通信処理部は、前記第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、前記通信制御部で受領した前記回答から特定される、前記送信先で未受信の残りデータを、前記第1回線を用いて前記送信先に向けて送信させる無線通信制御装置。
【請求項16】
移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行う無線通信装置であって、
前記無線ネットワークとの接続に、通信方式の異なる第1回線と第2回線とのいずれを用いることも可能なものであり、
前記第1回線を用いて前記無線ネットワークと接続する第1通信部(330)と、
前記第2回線を用いて前記無線ネットワークと接続する第2通信部(350)と、
請求項1~1のいずれか1項に記載の無線通信制御装置(310)とを含む無線通信装置。
【請求項17】
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程とを含み、
前記第2回線を用いて前記無線ネットワークと接続可能な範囲は、前記第1回線を用いて前記無線ネットワークと接続可能な範囲よりも広いものであり、
前記第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出工程を含み
前記通信制御工程では、前記AP検出工程で前記アクセスポイントを検出した場合に、前記第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる無線通信制御方法。
【請求項18】
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程とを含み、
前記第2回線を用いて前記無線ネットワークと接続可能な範囲は、前記第1回線を用いて前記無線ネットワークと接続可能な範囲よりも広いものであり、
前記データ通信処理工程で行わせる前記第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出工程を含み、
前記通信制御工程では、前記中断検出工程で前記送信中断を検出した場合に、前記第1回線でのデータの送信中断を、前記第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するものであり、
前記通信制御工程では、前記中断検出工程で前記送信中断を検出した場合に、前記第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、前記通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、
前記データ通信処理工程では、前記第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、前記通信制御工程で受領した前記回答から特定される、前記送信先で未受信の残りデータを、前記第1回線を用いて前記送信先に向けて送信させる無線通信制御方法。
【請求項19】
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程とを含み、
前記第2回線は、前記第1回線と比較して通信状態が安定している回線であり、
前記第1回線は、前記第2回線と比較して通信単価の低い回線であり、
前記第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出工程を含み、
前記通信制御工程では、前記AP検出工程で前記アクセスポイントを検出した場合に、前記第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる無線通信制御方法。
【請求項20】
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程とを含み、
前記第2回線は、前記第1回線と比較して通信状態が安定している回線であり、
前記第1回線は、前記第2回線と比較して通信単価の低い回線であり、
前記データ通信処理工程で行わせる前記第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出工程を含み、
前記通信制御工程では、前記中断検出工程で前記送信中断を検出した場合に、前記第1回線でのデータの送信中断を、前記第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するものであり、
前記通信制御工程では、前記中断検出工程で前記送信中断を検出した場合に、前記第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、前記通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、
前記データ通信処理工程では、前記第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、前記通信制御工程で受領した前記回答から特定される、前記送信先で未受信の残りデータを、前記第1回線を用いて前記送信先に向けて送信させる無線通信制御方法。
【請求項21】
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程とを含み、
前記第2回線は、到達確認及び誤り訂正の少なくともいずれかが可能な通信プロトコルを用いる回線であり、
前記第1回線は、前記第2回線と比較してデータ転送効率の高い通信プロトコルを用いる回線であり、
前記第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出工程を含み、
前記通信制御工程では、前記AP検出工程で前記アクセスポイントを検出した場合に、前記第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる無線通信制御方法。
【請求項22】
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程とを含み、
前記第2回線は、到達確認及び誤り訂正の少なくともいずれかが可能な通信プロトコルを用いる回線であり、
前記第1回線は、前記第2回線と比較してデータ転送効率の高い通信プロトコルを用いる回線であり、
前記データ通信処理工程で行わせる前記第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出工程を含み、
前記通信制御工程では、前記中断検出工程で前記送信中断を検出した場合に、前記第1回線でのデータの送信中断を、前記第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するものであり、
前記通信制御工程では、前記中断検出工程で前記送信中断を検出した場合に、前記第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、前記通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、
前記データ通信処理工程では、前記第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、前記通信制御工程で受領した前記回答から特定される、前記送信先で未受信の残りデータを、前記第1回線を用いて前記送信先に向けて送信させる無線通信制御方法。
【請求項23】
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程と、
前記第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出工程とを含み、
前記通信制御工程では、前記AP検出工程で前記アクセスポイントを検出した場合に、前記第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる無線通信制御方法。
【請求項24】
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、前記無線ネットワークとの接続に第1回線と、前記第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、
前記第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、
前記第2回線で前記データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程と、
前記データ通信処理工程で行わせる前記第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出工程とを含み、
前記通信制御工程では、前記中断検出工程で前記送信中断を検出した場合に、前記第1回線でのデータの送信中断を、前記第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するとともに、前記第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、前記通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、
前記データ通信処理工程では、前記第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、前記通信制御工程で受領した前記回答から特定される、前記送信先で未受信の残りデータを、前記第1回線を用いて前記送信先に向けて送信させる無線通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信制御装置、無線通信装置、及び無線通信制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話網を利用した広域無線通信を用いることで、車両でも無線通信を利用可能とする技術が知られている。また、車両で用いられる無線通信装置が、Wi-Fi(登録商標)といった無線LANのアクセスポイントとの無線通信を介してネットワークに接続し、情報の送受信を行う技術が知られている。車両は高速で移動するのに対して、無線LANのアクセスポイントの通信範囲は限られている。よって、車両周辺のアクセスポイントに無作為に接続すると、すぐにそのアクセスポイントから離れていくことですぐに接続が切断され、効率的に無線通信ができない問題が生じ得る。
【0003】
これに対して、例えば特許文献1には、車両の進行方向に複数の無線基地局(つまり、アクセスポイント)が存在する場合に、当該無線基地局の中から所定の距離範囲内にある無線基地局を選択した後、当該無線基地局の中からより遠方に存在する無線基地局を接続先として選択する技術が開示されている。特許文献1に開示の技術では、車両の進行方向に複数のアクセスポイントが存在する場合に車両から最も遠いアクセスポイントを接続先として選択することで、1つのアクセスポイントへの接続時間をより長く確保することを試みている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-262176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯電話網を利用した広域無線通信(以下、セルラー通信)は、通信の信頼性は無線LANよりも高いと考えられるものの、通信データの増加に伴う通信コストの増加が問題となる。この通信コストの増加の問題は、通信データの転送効率を上げるほど大きくなる。
【0006】
無線LANは、セルラー通信に比べて通信コストが低いものの、通信の信頼性が低下してしまう問題がある。詳しくは、以下の通りである。車両の移動中は、走行環境によって電波状態が異なるため、無線通信が不可となるタイミングの予測が難しい。予測できないタイミングで無線通信が不可となると、通信の途中で通信接続が切断されることになる。無線LANでは、通信の途中で通信が途絶しても、無通信タイムアウトが発生するまでコネクションが残存し、再接続時に通信を即時再開できない問題が発生する。また、無線LANでは、通信の途中で通信が途絶すると、送信ステータスが不明な状態で通信相手側に通信途中の中間データが残ってしまう問題が発生する。この場合、通信相手側のメモリ容量の圧迫が生じたり、送信したデータを再度送信し直す無駄が生じたりする。
【0007】
この開示のひとつの目的は、移動体での無線ネットワークとの通信において、通信の信頼性の低下を抑制しつつ、通信コストの低減とデータ転送効率の向上とを可能にする無線通信制御装置、無線通信装置、及び無線通信制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、開示の更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の第1の無線通信制御装置は、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、第2回線を用いて無線ネットワークと接続可能な範囲は、第1回線を用いて無線ネットワークと接続可能な範囲よりも広いものであり、第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出部(311)を備え、通信制御部は、AP検出部でアクセスポイントを検出した場合に、第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる
上記目的を達成するために、本開示の第2の無線通信制御装置は、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、第2回線を用いて無線ネットワークと接続可能な範囲は、第1回線を用いて無線ネットワークと接続可能な範囲よりも広いものであり、データ通信処理部で行わせる第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出部(314)を備え、通信制御部は、中断検出部で送信中断を検出した場合に、第1回線でのデータの送信中断を、第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するものであり、通信制御部は、中断検出部で送信中断を検出した場合に、第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、データ通信処理部は、第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、通信制御部で受領した回答から特定される、送信先で未受信の残りデータを、第1回線を用いて送信先に向けて送信させる。
上記目的を達成するために、本開示の第の無線通信制御装置は、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、第2回線は、第1回線と比較して通信状態が安定している回線であり、第1回線は、第2回線と比較して通信単価の低い回線であり、第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出部(311)を備え、通信制御部は、AP検出部でアクセスポイントを検出した場合に、第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる
上記目的を達成するために、本開示の第4の無線通信制御装置は、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、第2回線は、第1回線と比較して通信状態が安定している回線であり、第1回線は、第2回線と比較して通信単価の低い回線であり、データ通信処理部で行わせる第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出部(314)を備え、通信制御部は、中断検出部で送信中断を検出した場合に、第1回線でのデータの送信中断を、第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するものであり、通信制御部は、中断検出部で送信中断を検出した場合に、第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、データ通信処理部は、第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、通信制御部で受領した回答から特定される、送信先で未受信の残りデータを、第1回線を用いて送信先に向けて送信させる。
上記目的を達成するために、本開示の第の無線通信制御装置は、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、第2回線は、到達確認及び誤り訂正の少なくともいずれかが可能な通信プロトコルを用いる回線であり、第1回線は、第2回線と比較してデータ転送効率の高い通信プロトコルを用いる回線であり、第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出部(311)を備え、通信制御部は、AP検出部でアクセスポイントを検出した場合に、第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる
上記目的を達成するために、本開示の第6の無線通信制御装置は、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、第2回線は、到達確認及び誤り訂正の少なくともいずれかが可能な通信プロトコルを用いる回線であり、第1回線は、第2回線と比較してデータ転送効率の高い通信プロトコルを用いる回線であり、データ通信処理部で行わせる第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出部(314)を備え、通信制御部は、中断検出部で送信中断を検出した場合に、第1回線でのデータの送信中断を、第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するものであり、通信制御部は、中断検出部で送信中断を検出した場合に、第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、データ通信処理部は、第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、通信制御部で受領した回答から特定される、送信先で未受信の残りデータを、第1回線を用いて送信先に向けて送信させる。
上記目的を達成するために、本開示の第の無線通信制御装置は、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、第2回線は、セルラー通信の回線若しくはセルラー通信の回線を一部に含む回線であり、第1回線は、無線LANの回線である。
上記目的を達成するために、本開示の第の無線通信制御装置は、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)とを備え、第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出部(311)を備え、通信制御部は、AP検出部でアクセスポイントを検出した場合に、第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる。
上記目的を達成するために、本開示の第の無線通信制御装置は、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信方式が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御装置であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理部(313)と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御部(312)と、データ通信処理部で行わせる第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出部(314)とを備え、通信制御部は、中断検出部で送信中断を検出した場合に、第1回線でのデータの送信中断を、第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するとともに、第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、データ通信処理部は、第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、通信制御部で受領した回答から特定される、送信先で未受信の残りデータを、第1回線を用いて送信先に向けて送信させる。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本開示の第1の無線通信制御方法は、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程とを含み、第2回線を用いて無線ネットワークと接続可能な範囲は、第1回線を用いて無線ネットワークと接続可能な範囲よりも広いものであり、第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出工程を含み通信制御工程では、AP検出工程でアクセスポイントを検出した場合に、第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる
また、上記目的を達成するために、本開示の第2の無線通信制御方法は、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程とを含み、第2回線を用いて無線ネットワークと接続可能な範囲は、第1回線を用いて無線ネットワークと接続可能な範囲よりも広いものであり、データ通信処理工程で行わせる第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出工程を含み、通信制御工程では、中断検出工程で送信中断を検出した場合に、第1回線でのデータの送信中断を、第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するものであり、通信制御工程では、中断検出工程で送信中断を検出した場合に、第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、データ通信処理工程では、第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、通信制御工程で受領した回答から特定される、送信先で未受信の残りデータを、第1回線を用いて送信先に向けて送信させる、
上記目的を達成するために、本開示の第の無線通信制御方法は、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程とを含み、第2回線は、第1回線と比較して通信状態が安定している回線であり、第1回線は、第2回線と比較して通信単価の低い回線であり、第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出工程を含み、通信制御工程では、AP検出工程でアクセスポイントを検出した場合に、第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる
上記目的を達成するために、本開示の第4の無線通信制御方法は、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程とを含み、第2回線は、第1回線と比較して通信状態が安定している回線であり、第1回線は、第2回線と比較して通信単価の低い回線であり、データ通信処理工程で行わせる第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出工程を含み、通信制御工程では、中断検出工程で送信中断を検出した場合に、第1回線でのデータの送信中断を、第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するものであり、通信制御工程では、中断検出工程で送信中断を検出した場合に、第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、データ通信処理工程では、第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、通信制御工程で受領した回答から特定される、送信先で未受信の残りデータを、第1回線を用いて送信先に向けて送信させる。
上記目的を達成するために、本開示の第の無線通信制御方法は、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程とを含み、第2回線は、到達確認及び誤り訂正の少なくともいずれかが可能な通信プロトコルを用いる回線であり、第1回線は、第2回線と比較してデータ転送効率の高い通信プロトコルを用いる回線であり、第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出工程を含み、通信制御工程では、AP検出工程でアクセスポイントを検出した場合に、第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる
上記目的を達成するために、本開示の第6の無線通信制御方法は、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程とを含み、第2回線は、到達確認及び誤り訂正の少なくともいずれかが可能な通信プロトコルを用いる回線であり、第1回線は、第2回線と比較してデータ転送効率の高い通信プロトコルを用いる回線であり、データ通信処理工程で行わせる第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出工程を含み、通信制御工程では、中断検出工程で送信中断を検出した場合に、第1回線でのデータの送信中断を、第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するものであり、通信制御工程では、中断検出工程で送信中断を検出した場合に、第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、データ通信処理工程では、第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、通信制御工程で受領した回答から特定される、送信先で未受信の残りデータを、第1回線を用いて送信先に向けて送信させる。
記目的を達成するために、本開示の第の無線通信制御方法は、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程と、第1回線のアクセスポイントを検出するAP検出工程とを含み、通信制御工程では、AP検出工程でアクセスポイントを検出した場合に、第2回線での通信制御用のコネクションを確立させる。
上記目的を達成するために、本開示の第の無線通信制御方法は、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行うとともに、無線ネットワークとの接続に第1回線と、第1回線とは通信回線が異なる第2回線とを用いる無線通信装置(3)を制御する無線通信制御方法であって、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせるデータ通信処理工程と、第2回線でデータ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる通信制御工程と、データ通信処理工程で行わせる第1回線でのデータの送信中断を検出する中断検出工程とを含み、通信制御工程では、中断検出工程で送信中断を検出した場合に、第1回線でのデータの送信中断を、第2回線を用いて、そのデータの送信先に通知するとともに、第2回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行い、その送信先から、通信ステータスとしてデータの受信状況の回答を受領し、データ通信処理工程では、第1回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、通信制御工程で受領した回答から特定される、送信先で未受信の残りデータを、第1回線を用いて送信先に向けて送信させる。
【0011】
以上の構成によれば、データの伝送であるデータ通信を行わせる第1回線とは別の第2回線で、データの送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせることになる。よって、データ通信を行わせる回線よりも安定性の高い回線を用いて通信ステータスを共有することが可能になる。従って、データ通信が途中で中断した場合であっても、通信ステータスを共有できる可能性を高めることができる。その結果、通信ステータスが共有できないことによる不具合を回避しやすくなり、通信の信頼性の低下を抑制することが可能になる。これにより、データ通信を行わせる回線として通信コストのより低い回線を用いてデータ転送効率を上げた場合でも、通信の信頼性の低下を抑制することが可能になる。その結果、移動体での無線ネットワークとの通信において、通信の信頼性の低下を抑制しつつ、通信コストの低減とデータ転送効率の向上とを行うことが可能になる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本開示の無線通信装置は、移動体で用いることが可能な、無線ネットワークと無線通信を介して接続してデータの送受信を行う無線通信装置であって、無線ネットワークとの接続に、通信方式の異なる第1回線と第2回線とのいずれを用いることも可能なものであり、第1回線を用いて無線ネットワークと接続する第1通信部(330)と、第2回線を用いて無線ネットワークと接続する第2通信部(350)と、前述の無線通信制御装置(310)とを含む。
【0013】
これによれば、前述の無線通信制御装置を含むので、移動体での無線ネットワークとの通信において、通信の信頼性の低下を抑制しつつ、通信コストの低減とデータ転送効率の向上を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】車両用通信システム1の概略的な構成の一例を示す図である。
図2】無線通信装置3の概略的な構成の一例を示す図である。
図3】制御部310の概略的な構成の一例を示す図である。
図4】車両用通信システム1での伝送関連処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図5】制御部310でのサーバ状態確認関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】制御部310でのデータ送信関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】制御部310での到達確認関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】制御部310での送信中断時処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】車両用通信システム1aの概略的な構成について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
【0016】
(実施形態1)
<車両用通信システム1の概略構成>
以下、本実施形態について図面を用いて説明する。まず、図1を用いて、車両用通信システム1の説明を行う。図1に示すように、車両用通信システム1は、センタサーバ(以下、CS)2と、無線通信装置3とを含んでいる。図1のWBSは、無線LANの基地局を示している。つまり、基地局WBSが、無線LANのアクセスポイントにあたる。以降では、アクセスポイントはAPと略することがある。無線LANとしては、例えばWi-Fi(登録商標)が挙げられる。無線LANがWi-Fiの場合には、基地局WBSは、Wi-Fiスポットにあたる。図1のWRCは、基地局WBSの通信範囲を示している。図1のWLANCNは、無線LANコントローラを示している。無線LANコントローラは、複数の基地局WBSを管理するコントローラである。無線LANコントローラは、例えばインターネット及び複数の基地局WBSと接続されている。図1のCBSは、セルラー通信の基地局を示している。図1のITは、インターネットを示している。図1のMPNは携帯電話網を示している。
【0017】
CS2は、無線通信装置3からのアップロードデータを受信するサーバである。CS2は、例えばインターネットに接続されているものとする。CS2は、1つのサーバからなるものであってもよいし、複数のサーバからなるものであってもよい。CS2は、例えばクラウド上のサーバであってもよいし、ブロックチェーン等の分散型ネットワークであってもよい。
【0018】
無線通信装置3は、車両HVで用いることが可能なものである。本実施形態では、無線通信装置3が車両HVで用いられている状態であるものとして、以降の説明を行う。無線通信装置3は、無線通信を介してCS2へのデータアップロードを行う。無線通信装置3は、公衆通信網及び基地局等を介して、公衆通信網に接続されるCS2と通信を行う。公衆通信網としては、前述したインターネットIT,携帯電話網MPNが挙げられる。無線通信装置3は、CS2へのアクセス方法として2種類のアクセス方法が可能となっている。
【0019】
1つ目のアクセス方法は、無線LANを利用して、無線LANの基地局WBSに接続し、インターネットITを通じてCS2に接続するアクセス方法である。この1つ目のアクセス方法で用いられる回線を第1回線と呼ぶ。1つ目のアクセス方法では、インターネットITが無線ネットワークに相当する。無線LANとしてWi-Fiを用いる場合、第1回線は、Wi-Fi回線にあたる。
【0020】
2つ目のアクセス方法は、セルラー通信を利用して、基地局CBSに接続し、携帯電話網MPN及びインターネットITを通じてCS2に接続するアクセス方法である。この2つ目のアクセス方法で用いられる回線を第2回線と呼ぶ。2つ目のアクセス方法では、携帯電話網MPN及びインターネットITが無線ネットワークに相当する。無線通信装置3が直接的に基地局CBSに接続する場合、第2回線は、セルラー回線にあたる。以降では、無線通信装置3が直接的に基地局CBSに接続する場合を例に挙げて説明を行う。
【0021】
無線通信装置3は、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせる。一方、無線通信装置3は、第2回線で、データ通信での送信元と送信先とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる。つまり、無線通信装置3は、第1回線でデータ通信を行わせる一方、第2回線で通信制御を行わせる分担を行う。
【0022】
第2回線を用いて無線ネットワークと接続可能な範囲は、第1回線を用いて無線ネットワークと接続可能な範囲よりも広いことが好ましい。これによれば、第1回線でのデータ通信が中断した場合であっても、第2回線による通信制御は継続され、データの送信先と通信ステータスの共有ができる可能性が高まる。無線ネットワークと接続可能な範囲とは、無線ネットワークの基地局との接続が可能なエリアである。
【0023】
第2回線は、第1回線と比較して通信状態が安定している回線であることが好ましい。これによれば、第1回線でのデータ通信が中断した場合であっても、第2回線による通信制御は正常に行われ、データの送信先と通信ステータスの共有ができる可能性が高まる。第1回線と比較して通信状態が安定しているとは、第1回線と比較して、データ化け、データロス、接続中断等の頻度が低いことを指す。一方、第1回線は、第2回線と比較して通信単価の低い回線であることが好ましい。これによれば、データを送信する際の通信コストを低減することが可能になる。
【0024】
第2回線は、到達確認及び誤り訂正の少なくともいずれかが可能な通信プロトコルを用いる回線であることが好ましい。これによれば、第2回線による通信制御をより確実に行うことが可能になる。例えば、第2回線としては、TCP(Transmission Control Protocol)を用いる構成とすればよい。TCPは、通信開始前に通信相手との間で仮想的な通信路を確保するコネクション型通信を行う。TCPは、順序制御、再送制御、及びフロー制御を有する。一方、第1回線は、第2回線と比較してデータ転送効率の高い通信プロトコルを用いる回線であることが好ましい。これによれば、車両HVの走行中に比較的短時間、且つ、局所的に第1回線のアクセスポイントに接続される場合であっても、効率的にデータを転送することが可能になる。例えば、第1回線としては、UDP(User Datagram Protocol)を用いる構成とすればよい。UDPは、通信開始前に通信相手との間で事前のやり取りなしのコネクションレス型通信を行う。UDPは、ヘッダオーバーヘッドが小さい。UDPは、スロースタートアルゴリズム等の送信量制御を有さない。
【0025】
以降では、第1回線については、Wi-Fi回線であって、UDPを用いる場合を例に挙げて説明を行う。第2回線については、LTEといったセルラー回線であって、TCPを用いる場合を例に挙げて説明を行う。なお、第1回線と第2回線とは、上述した条件のいずれかを満たす関係であれば、Wi-Fi回線とセルラー回線との組み合わせでなくてもよい。
【0026】
<無線通信装置3の概略構成>
続いて、図2を用いて無線通信装置3の概略的な構成について説明する。図2に示すように、無線通信装置3は、制御部310、無線LAN通信部(以下、WLAN通信部)330、セルラー通信部(以下、CL通信部)350、及びデータ記憶部370を含む。WLAN通信部330は、図2ではWLANCDと示す。CL通信部350は、図2ではCLCDと示す。
【0027】
WLAN通信部330は、基地局WBSと接続して無線通信を行う。WLAN通信部330は、基地局WBSを介して、インターネットITに接続されるCS2と通信を行う。この通信を、以下では無線LAN通信と呼ぶ。なお、WLAN通信部330が第1通信部に相当する。無線LAN通信は、基地局WBSの通信範囲WRC内で可能となる。本実施形態の例では、無線LAN通信はWi-Fi通信にあたる。
【0028】
CL通信部350は、基地局CBSと接続して無線通信を行う。CL通信部350は、基地局CBS、携帯電話網MPN、及びインターネットITを介して、CS2と通信を行う。つまり、CL通信部350は、セルラーネットワークと接続して通信を行う。この通信を、以下ではセルラー通信と呼ぶ。なお、CL通信部350が第2通信部に相当する。セルラー通信としては、LTE(Long Term Evolution)等が挙げられる。なお、無線通信装置3が携帯端末を介して間接的に基地局CBSに接続する構成を採用する場合、CL通信部350は、例えばBluetoohテザリングによって基地局CBSと接続する構成とすればよい。
【0029】
データ記憶部370は、各種の情報が格納される。データ記憶部370としては、不揮発性メモリを用いればよい。データ記憶部370は、1つのメモリからなるものであってもよいし、複数のメモリからなるものであってもよい。データ記憶部370は、送信待ちデータベース(以下、WSDB)371、及び送信状態管理データベース(以下、MDB)372を有している。
【0030】
WSDB371は、送信の必要があるデータ(以下、送信データ)を格納するデータベースである。送信データとは、CS2に送信するアップロードデータである。アップロードデータは、車両HVのECUで生成される。アップロードデータは、無線通信装置3内のアプリケーションでも生成される。WSDB371は、アップロードデータが送信完了するまで、そのアップロードデータを一時的に格納する。
【0031】
MDB372は、WSDB371に格納される個々の送信データについて、現在のデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを管理するためのデータベースである。通信ステータスとしては、送信状態と送信状況とが挙げられる。送信状態には、「送信待ち」,「送信中」,「送信中断中」といった段階がある。送信状況は、データをどこまで送信したかを示す。送信状況の一例としては、データを複数のブロックに分けて送信する際のブロックごとの送信完了の有無とすればよい。以降では、1つのデータを分割したUDP送信単位をブロックとする。
【0032】
ここで、MDB372に格納される通信ステータスの一例について、図3を用いて説明する。図3は、MDB372に格納される通信ステータスの一例を説明するための図である。MDB372では、送信データは、「Data_ID#1」といったデータごとのID(以下、データID)を割り当てて管理される。MDB372では、このデータIDごとに、「送信待ち」,「送信中」,「送信中断中」といった送信状態が紐付けられる。また、MDB372では、送信データのブロックごとに、「ID#1_Block#1」といったブロックごとのID(以下、ブロックID)を割り当てて管理される。MDB372では、このブロックIDごとに、「完了」,「未完了」といった送信状況が紐付けられる。一例として、送信の優先順に並べて送信データを管理すればよい。
【0033】
制御部310は、例えばプロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備え、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで、無線通信の制御に関する各種の処理を実行する。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ等によって実現される。制御部310の詳細については、以下で述べる。
【0034】
<制御部310の概略構成>
続いて、図2を用いて制御部310の概略的な構成について説明する。図4に示すように、制御部310は、AP検出部311、通信制御部312、データ通信処理部313、及び中断検出部314を機能ブロックとして備えている。なお、制御部310が実行する機能の一部又は全部を、1つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、制御部310が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。この制御部310が無線通信制御装置にあたる。コンピュータによって制御部310の各機能ブロックの処理が実行されることが、無線通信制御方法が実行されることに相当する。
【0035】
AP検出部311は、第1回線のアクセスポイントを検出する。本実施形態の例では、基地局WBSを検出する。AP検出部311は、WLAN通信部330で受信した信号から基地局WBSのSSID(Service Set Identifier)を検出することで、基地局WBSを検出すればよい。AP検出部311は、WLAN通信部330の通信範囲内に基地局WBSが存在しない場合は、基地局WBSのSSIDを含む信号をWLAN通信部330で受信できないので、基地局WBSを検出しないことになる。
【0036】
通信制御部312は、第2回線で通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる。本実施形態の例では、セルラー回線で通信ステータスを共有するための通信制御を行わせる。この通信制御部312での処理が通信制御工程に相当する。通信制御部312での処理の詳細については後述する。データ通信処理部313は、第1回線でデータの伝送であるデータ通信を行わせる。本実施形態の例では、Wi-Fi回線でデータ通信を行わせる。このデータ通信処理部313での処理がデータ通信処理工程に相当する。データ通信処理部313での処理の詳細については後述する。中断検出部314は、データ通信処理部313で行わせる第1回線でのデータの送信中断を検出する。
【0037】
<伝送関連処理>
続いて、図4のシーケンス図を用いて、車両用通信システム1でのWi-Fi回線とセルラー回線とを併用したデータの伝送に関連する処理(以下、伝送関連処理)の流れの一例について説明を行う。図4のシーケンス図では、Wi-Fi回線とセルラー回線とのそれぞれについて、無線通信装置3とCS2との間での通信の流れの一例を示している。図4では、データの全ブロックを送信する前に送信が中断される場合の例を示す。
【0038】
まず、t1では、AP検出部311が、第1回線の基地局WBS(つまり、アクセスポイント)を検出する。ここでは、AP検出部311が検出した基地局WBSが、車両HVのユーザによって契約済みの接続可能な基地局WBSであるものとする。t2では、t1で検出した基地局WBSとWLAN通信部330とが接続される。これにより、Wi-Fi回線での通信が可能になる。
【0039】
t3では、通信制御部312が、CL通信部350と基地局CBSとの通信制御用のコネクションを確立させる。つまり、通信制御部312は、AP検出部311で基地局WBSを検出した場合に、セルラー回線での通信制御用のコネクション(以下、制御用コネクション)を確立させる。これによれば、制御用コネクションを常に接続しておく無駄を低減することが可能になる。t4では、CS2が、準備完了したことを示すAckを、セルラー回線でCL通信部350に送る。
【0040】
t5では、t4でのAckを受け、通信制御部312が、データの送信開始を知らせる送信開始通知を、CL通信部350からCS2に送信させる。送信開始通知は、セルラー回線で送信されることになる。t6では、CS2が、送信開始通知への応答として、データ通信の最大転送速度を示すAckを、セルラー回線でCL通信部350に送る。
【0041】
t7では、データ通信処理部313が、t6で応答のあった最大転送速度以下で、送信待ちのデータのブロックを、WLAN通信部330からWi-Fi回線で順次送信させる。t8では、車両HVの移動により無線通信装置3が基地局WBSの通信範囲WRCの外に位置し、基地局WBSとWLAN通信部330との接続が切断される。これにより、WLAN通信部330からのデータの送信が中断される。なお、制御部310は、基地局WBSとWLAN通信部330との接続が切断されかけている状態を検知して、データの送信を中断させてもよい。基地局WBSの通信範囲WRCの外が、Wi-Fi圏外にあたる。
【0042】
t9では、中断検出部314がデータの送信中断を検出する。t10では、t9でデータの送信中断を検出したことを受け、通信制御部312が、データの送信中断を知らせる送信中断通知を、CL通信部350からCS2に送信させる。つまり、通信制御部312が、中断検出部314でデータの送信中断を検出した場合に、Wi-Fi回線でのデータの送信中断を、セルラー回線を用いて、そのデータの送信先に通知する。これにより、データの送信が中断中であることをCS2側が認識することが可能になる。
【0043】
t11では、通信制御部312が、データの受信状況を確認する受信状況確認通知を、CL通信部350からCS2に送信させる。つまり、通信制御部312が、中断検出部314でデータの送信中断を検出した場合に、セルラー回線を用いて、データの受信状況を確認する通知をそのデータの送信先に行う。t12では、CS2が、受信状況確認通知への応答として、受信状況を示すAckを、セルラー回線でCL通信部350に送る。
【0044】
t13では、制御部310が、t12で応答のあった受信状況の回答に応じて、MDB372に格納されている通信ステータスを更新する。例えば、データの送信開始前に「送信待ち」であった送信状態を、「送信中断中」に更新する。また、データの送信開始前にデータの全ブロックで「未完了」だった送信状況を、受信状況の回答で受信済みであったブロックについては「完了」に更新する。
【0045】
t14では、t1と同様にして、AP検出部311が、Wi-Fi回線の基地局WBSを検出する。t15では、t2で検出した基地局WBSとWLAN通信部330とが接続される。これにより、Wi-Fi回線での通信が可能になる。
【0046】
t16では、通信制御部312が、基地局WBSとWLAN通信部330との接続を検知し、データの送信再開を知らせる送信再開通知を、CL通信部350からCS2に送信させる。送信再開通知は、セルラー回線で送信されることになる。t17では、CS2が、送信再開通知への応答として、データ通信の最大転送速度を示すAckを、セルラー回線でCL通信部350に送る。
【0047】
t18では、データ通信処理部313が、t6で応答のあった最大転送速度以下で、送信中断中のデータのうちの送信未完了のブロックを、WLAN通信部330からWi-Fi回線で順次送信させる。つまり、データ通信処理部313は、Wi-Fi回線を用いたデータの伝送が再開可能となった場合に、通信制御部312で受領した受信状況の回答から特定される、送信先で未受信の残りデータを、Wi-Fi回線を用いて送信先に向けて送信させる。これによれば、送信済みのデータを再送する無駄を省き、送信先で未受信の残りデータに絞って送信することが可能になる。t19では、送信中断中のデータの全ブロックの送信が完了する。
【0048】
t20では、通信制御部312が、データの受信状況を確認する受信状況確認通知を、CL通信部350からCS2に送信させる。t21では、CS2が、受信状況確認通知への応答として、受信状況を示すAck(以下、受信状況回答)を、セルラー回線でCL通信部350に送る。ここでは、データの全ブロックの受信が完了したことを示す受信状況回答が返信される。基地局WBSとWLAN通信部330との接続は、車両HVの移動により無線通信装置3が基地局WBSの通信範囲WRCの外に位置した場合に切断される。
【0049】
t22では、制御部310が、t21で応答のあった受信状況回答に応じて、MDB372に格納されている通信ステータスを更新する。例えば、CS2で全ブロックが受信完了したデータについての通信ステータスを消去すればよい。
【0050】
t23では、通信制御部312が、データの送信が完了したことを示す送信完了通知を、CL通信部350からCS2に送信させる。送信完了通知は、セルラー回線で送信されることになる。t24では、CS2が、送信完了通知を受け、受信したデータの全ブロックからそのデータを再構成する。t25では、通信制御部312が、セルラー回線での制御用コネクションを切断する。なお、t24の処理とt25の処理とは、並行して行われてもよいし、順序が逆であってもよい。
【0051】
<サーバ状態確認関連処理>
続いて、図5のフローチャートを用いて、制御部310でのセルラー回線を用いたCS2の状態の確認に関連する処理(以下、サーバ状態確認関連処理)の流れの一例について説明を行う。図5のフローチャートは、例えば無線通信装置3の電源がオンになった状態であって、且つ、Wi-Fi回線での制御用コネクションが確立されていない場合に開始する構成とすればよい。なお、サーバ状態確認関連処理は、無線通信装置3の電源がオフになった場合に終了すればよい。
【0052】
まず、ステップS1では、制御部310が、MDB372に格納されている通信ステータスを確認する。そして、送信待ちのデータがあった場合(S1でYES)には、ステップS2に移る。一方、送信待ちのデータがなかった場合(S1でNO)には、S1に戻って処理を繰り返す。
【0053】
ステップS2では、AP検出部311が、Wi-Fi回線の基地局WBSを検出する。そして検出した基地局WBSのSSIDが、車両HVのユーザによって契約済みのSSID(以下、契約SSID)であった場合(S2でYES)には、ステップS3に移る。一方、契約SSIDでなかった場合(S2でNO)には、S1に戻って処理を繰り返す。
【0054】
ステップS3では、通信制御部312が、CL通信部350と基地局CBSとの制御用コネクションを確立させる。本実施形態の例では、この制御用コネクションは、TCPコネクションである。
【0055】
ステップS4では、通信制御部312が、セルラー回線を用いてCS2にサーバ状態を問い合わせる。なお、サーバ状態は、「busy」が通信不可の状態であり、「ready」が通信可能な状態とする。そして、問い合わせたサーバ状態が「ready」であった場合(S4でYES)には、ステップS7に移る。一方、問い合わせたサーバ状態が「busy」であった場合(S4でNO)には、ステップS5に移る。
【0056】
ステップS5では、通信制御部312が、CL通信部350と基地局CBSとの制御用コネクションを切断させる。ステップS6では、所定時間待機し、S2に戻って処理を繰り返す。ここで言うところの所定時間とは、任意に設定可能な時間とすればよい。
【0057】
ステップS7では、通信制御部312が、基地局WBSとWLAN通信部330との接続状態を確認する。そして、基地局WBSとWLAN通信部330とが接続されたWi-Fi接続の状態であった場合(S7でYES)には、後述するデータ送信関連処理のステップS21に移る。一方、基地局WBSとWLAN通信部330とが接続されていないWi-Fi未接続の状態であった場合(S7でNO)には、ステップS8に移る。
【0058】
ステップS8では、AP検出部311が、Wi-Fi回線の基地局WBSを検出する。そして検出した基地局WBSのSSIDが契約SSIDであった場合(S8でYES)には、S7に戻って処理を繰り返す。一方、契約SSIDでなかった場合(S8でNO)には、ステップS9に移る。ステップS9では、通信制御部312が、CL通信部350と基地局CBSとの制御用コネクションを切断させ、S1に戻って処理を繰り返す。
【0059】
以上のように、Wi-Fi接続とは別にセルラー回線を用いてサーバ状態を確認することで、Wi-Fi接続時のデータ通信の信頼性と効率とを高めることができる。
【0060】
<データ送信関連処理>
続いて、図6のフローチャートを用いて、制御部310でのWi-Fi回線を用いたデータの送信に関連する処理(以下、データ送信関連処理)の流れの一例について説明を行う。図6のフローチャートは、サーバ状態確認関連処理のS7の処理に続いて開始される。
【0061】
まず、ステップS21では、通信制御部312が、MDB372から送信対象データの通信ステータスを取得し、送信状態を確認する。送信対象データは、送信の優先順位が最も高い送信データとすればよい。
【0062】
ステップS22では、送信対象データの送信状態が「送信待ち」であった場合(S22でYES)には、ステップS23に移る。一方、送信対象データの送信状態が「送信中断中」であった場合(S22でNO)には、ステップS25に移る。
【0063】
ステップS23では、通信制御部312が、送信開始通知をCL通信部350からCS2に、セルラー回線を用いて送信させ、ステップS26に移る。送信開始通知には、新規データであることを示す情報、及び送信対象データのデータIDを含ませればよい。
【0064】
ステップS24では、制御部310が、MDB372から取得した通信ステータスをもとに、未送信のブロックを特定する。制御部310は、送信対象データのブロックのうち、送信状況が「未完了」のブロックを、未送信のブロックと特定すればよい。ステップS25では、通信制御部312が、送信再開通知をCL通信部350からCS2に、セルラー回線を用いて送信させ、ステップS26に移る。送信再開通知には、送信中断中であったことを示す情報、及び送信対象データのデータIDを含ませればよい。
【0065】
CS2は、送信開始通知若しくは送信再開通知を受領すると、応答として現状のWi-Fi通信での最大転送速度を、セルラー回線を用いて返信する。ステップS26では、通信制御部312が、CL通信部350を介して、返信された最大転送速度を受信する。
【0066】
ステップS27では、データ通信処理部313が、WLAN通信部330からCS2にWi-Fi回線を用いて送信対象データを送信させる。S27では、S26で受信された最大転送速度以下にデータ転送速度を抑えて、送信対象データをブロックごとに順次送信させる。
【0067】
ステップS28では、送信対象データの全ブロックを送信できた場合(S28でYES)には、後述する到達確認関連処理のステップS41に移る。一方、送信対象データの全ブロックを送信できていない場合(S28でNO)には、ステップS29に移る。
【0068】
ステップS29では、Wi-Fi圏外になったか、若しくはWi-Fi圏外になることを検知した場合(S29でYES)には、ステップS30に移る。一方、Wi-Fi圏外になっておらず、Wi-Fi圏外になることを検知してもいない場合(S29でNO)には、S28に戻って処理を繰り返す。Wi-Fi圏外になったことは、中断検出部314が、WLAN通信部330での通信が切断されたことから検知すればよい。Wi-Fi圏外になることは、中断検出部314が、基地局WBSからの受信電界強度が劣化していることから検知すればよい。ステップS30では、データ通信処理部313が、WLAN通信部330からの送信対象データの送信を停止させ、後述する送信中断時処理のステップS61に移る。
【0069】
<到達確認関連処理>
続いて、図7のフローチャートを用いて、制御部310でのセルラー回線を用いたデータの到達確認に関連する処理(以下、到達確認関連処理)の流れの一例について説明を行う。図7のフローチャートは、データ送信関連処理のS28でYESであった場合に開始される。
【0070】
まず、ステップS41では、通信制御部312が、受信状況確認通知をCL通信部350からCS2に、セルラー回線を用いて送信させる。受信状況確認通知は、送信対象データの送信において全ブロックをCS2が受信できているか確認するための通知とすればよい。受信状況確認通知は、送信対象データを構成するブロックの一覧等の情報を含む通知メッセージとすればよい。
【0071】
受信状況確認通知を受領したCS2は、受信できたブロックの内容と受信状況確認通知の内容とを比較する。そして、CS2は、受信状況回答として、CS2での受信済みブロックと未受信ブロックとの結果を、セルラー回線を用いて無線通信装置3へ回答する。ステップS42では、通信制御部312が、CL通信部350を介してこの受信状況回答を受領する。
【0072】
ステップS43では、制御部310が、S42で受領した受信状況回答に応じて、MDB372に格納されている通信ステータスを更新する。MDB372に格納されている受信状況のうち、受信済みブロックとなったブロックについて、受信状況を「未完了」から「完了」に更新する。全ブロックの受信状況が「完了」となったデータについては、MDB372から送信済みとして消去すればよい。
【0073】
ステップS44では、送信対象データの全ブロックを受信済みであった場合(S44でYES)には、ステップS45に移る。一方、送信対象データのブロックのうち未受信のものが残っている場合(S44でNO)には、データ送信関連処理のS24に移って処理を繰り返す。
【0074】
ステップS45では、通信制御部312が、送信完了通知をCL通信部350からCS2に、セルラー回線を用いて送信させる。送信完了通知は、送信対象データの送信において全ブロックを送信完了したことを示す通知とすればよい。ステップS46では、通信制御部312が、CL通信部350と基地局CBSとの制御用コネクションを切断させ、サーバ状態確認関連処理のS1に戻って処理を繰り返す。
【0075】
<送信中断時処理>
続いて、図8のフローチャートを用いて、制御部310でのWi-Fi回線が切断されてデータの送信が中断した場合の処理(以下、送信中断時処理)の流れの一例について説明を行う。図8のフローチャートは、データ送信関連処理のS30の処理に続いて開始される。
【0076】
まず、ステップS61では、通信制御部312が、送信中断通知をCL通信部350からCS2に、セルラー回線を用いて送信させる。送信中断通知は、送信対象データの送信において送信が中断したことを示す通知とすればよい。CS2は、送信対象データの送信が中断したことを明示した通知を受領することで、受信できている分のデータをRAMから外部記憶装置に退避するといったリソース管理を実施可能となる。
【0077】
ステップS62では、通信制御部312が、S41と同様にして、受信状況確認通知をCL通信部350からCS2に、セルラー回線を用いて送信させる。ステップS63では、S42と同様にして、通信制御部312が、CL通信部350を介して受信状況回答を受領する。ステップS64では、制御部310が、S43と同様にして、S63で受領した受信状況回答に応じて、MDB372に格納されている通信ステータスを更新する。
【0078】
ステップS65では、AP検出部311が、Wi-Fi回線の基地局WBSを検出する。そして検出した基地局WBSのSSIDが、契約SSIDであった場合(S65でYES)には、サーバ状態確認関連処理のS7に戻って処理を繰り返す。一方、契約SSIDでなかった場合(S65でNO)には、ステップS66に移る。ステップS66では、通信制御部312が、CL通信部350と基地局CBSとの制御用コネクションを切断させ、サーバ状態確認関連処理のS1に戻って処理を繰り返す。
【0079】
<実施形態1のまとめ>
実施形態1の構成によれば、データ通信を行わせるWi-Fi回線とは別のセルラー回線で、無線通信装置3とCS2とでのデータの伝送の進行状態を示す通信ステータスを共有するための通信制御を行わせることになる。よって、データ通信を行わせるWi-Fi回線よりも安定性の高いセルラー回線を用いて通信ステータスを共有することができる。従って、Wi-Fi回線でのデータ通信が途中で中断した場合であっても、セルラー回線で通信ステータスを共有することが可能になる。その結果、通信ステータスが共有できないことによる不具合を回避しやすくなり、通信の信頼性の低下を抑制することが可能になる。これにより、セルラー回線よりも通信コストが低く、且つ、データ転送効率も高いWi-Fi回線でデータ通信を行いながらも、通信の信頼性の低下を抑制することが可能になる。その結果、移動体での無線ネットワークとの通信において、通信の信頼性の低下を抑制しつつ、通信コストの低減とデータ転送効率の向上とを行うことが可能になる。
【0080】
また、実施形態1の構成によれば、セルラー回線でCS2から受領した最大転送速度以下で、Wi-Fi回線でのデータの送信を行わせる。よって、通信が切断されにくくしつつ、Wi-Fi回線でのデータの送信を行わせることが可能になる。なお、セルラー回線でCS2から最大転送速度を受領せず、この最大転送速度を考慮せずにWi-Fi回線でのデータの送信を行わせる構成としてもよい。
【0081】
(実施形態2)
実施形態1では、無線通信装置3が直接的に基地局CBSに接続する場合の構成を例に挙げたが、必ずしもこれに限らない。例えば、無線通信装置3が携帯端末を介して間接的に基地局CBSに接続する構成(以下、実施形態2)としてもよい。以下では、実施形態2の一例について図を用いて説明する。
【0082】
ここで、図9を用いて、実施形態2の車両用通信システム1aの概略的な構成について説明する。図9に示すように、車両用通信システム1aは、CS2と、無線通信装置3と、携帯端末4とを含んでいる。車両用通信システム1aは、携帯端末4を含む点と無線通信装置3が携帯端末4を介してCS2と通信を行う点とを除けば、実施形態1の車両用通信システム1と同様である。
【0083】
携帯端末4は、車両HVのユーザに携帯される端末である。携帯端末4は、車両HVの走行中には、車両HVの車室内に位置する。携帯端末4としては、多機能携帯電話機等が挙げられる。
【0084】
実施形態2の無線通信装置3は、携帯端末4を介して間接的に基地局CBSに接続する。実施形態2では、無線通信装置3と携帯端末4とは、Bluetooth(登録商標)の規格に従った安定性の高い近距離無線通信(Bluetooth通信)で接続すればよい。携帯端末4は、セルラー通信を利用して基地局CBSと接続すればよい。言い換えると、無線通信装置3は、Bluetoothテザリングの機能によって基地局CBSと接続すればよい。
【0085】
実施形態2でも、無線通信装置3は、第1回線と第2回線とを併用する。実施形態2でも、無線通信装置3は、第1回線でデータ通信を行わせ、第2回線で通信制御を行わせる。実施形態2の第1回線は、実施形態1で例示したのと同様のWi-Fi回線(図9のWLL参照)とする。一方、実施形態2の第2回線は、無線通信装置3と携帯端末4との間のBluetooth通信の回線(図9のBTL参照)と、携帯端末4とCS2との間のセルラー回線(図9のCLL参照)とを含むものとする。つまり、第2回線の一部がセルラー回線にあたる。
【0086】
実施形態2では、CL通信部350が、携帯端末4を介して間接的に基地局CBSに接続し、第2回線でCS2との間で通信制御を行う。車両HVに携帯端末4が持ち込まれた状態での無線通信装置3と携帯端末4とのBluetooth通信は安定性が高い。よって、無線通信装置3が携帯端末4を介して間接的に基地局CBSに接続する構成を採用した場合でも、通信制御を安定して行うことが可能になる。
【0087】
実施形態2の構成であっても、実施形態1と同様に、移動体での無線ネットワークとの通信において、通信の信頼性の低下を抑制しつつ、通信コストの低減とデータ転送効率の向上とを行うことが可能になる。
【0088】
(実施形態3)
前述の実施形態では、無線通信装置3を車両HVで用いる場合の構成を例に挙げたが、必ずしもこれに限らない。無線通信装置3を車両以外の移動体で用いる構成としてもよい。例えば、無線通信装置3をドローンといった飛行体で用いる構成としてもよい。
【0089】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。また、本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと1つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1,1a 車両用通信システム、2 CS、3 無線通信装置、310 制御部(無線通信制御装置)、311 AP検出部、312 通信制御部、313 データ通信処理部、314 中断検出部、330 WLAN通信部(第1通信部)、350 CL通信部(第2通信部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9