(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】ケーブル用ドラム及びケーブルの梱包方法
(51)【国際特許分類】
B65H 75/18 20060101AFI20240528BHJP
F16B 5/00 20060101ALI20240528BHJP
B65H 75/14 20060101ALI20240528BHJP
B65D 85/04 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B65H75/18 Z
F16B5/00 C
B65H75/14
B65D85/04
(21)【出願番号】P 2020198540
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 圭輔
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-110080(JP,U)
【文献】特開平07-020758(JP,A)
【文献】実開平06-042871(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00-75/32
F16B 5/00-5/12
B65D 85/00-85/28,85/575
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部と、
前記胴部の両端に設けられた一対の鍔部と、
を有し、
前記胴部は、
前記胴部を形成する複数の第1板材と、
前記第1板材を固定する第1釘と、
を有し、
前記第1板材及び前記第1釘が第1着色剤により着色されているケーブル用ドラム。
【請求項2】
前記第1着色剤は、防カビ剤若しくは防虫剤又はこれらの両方を含む請求項1に記載のケーブル用ドラム。
【請求項3】
前記鍔部は、
互いに重ね合わされた複数の第2板材と、
前記複数の第2板材を互いに固定する第2釘と、
を有し、
前記一対の鍔部の互いに対向する面において、前記第2板材及び前記第2釘が第2着色剤により着色されている請求項1または請求項2に記載のケーブル用ドラム。
【請求項4】
前記第2着色剤は、防カビ剤若しくは防虫剤又はこれらの両方を含む請求項3に記載のケーブル用ドラム。
【請求項5】
前記第2着色剤の色は前記第1着色剤の色と同一である請求項3または請求項4に記載のケーブル用ドラム。
【請求項6】
胴部と、
前記胴部の両端に設けられた一対の鍔部と、
を有し、
前記胴部は、
前記胴部を形成する複数の第1板材と、
前記第1板材を固定する第1釘と、
を有し、
前記鍔部は、
互いに重ね合わされた複数の第2板材と、
前記複数の第2板材を互いに固定する第2釘と、
を有し、
前記第1板材及び前記第1釘が第1着色剤により着色され、
前記一対の鍔部の互いに対向する面において、前記第2板材及び前記第2釘が第2着色剤により着色され、
前記第1着色剤及び前記第2着色剤は、防カビ剤若しくは防虫剤又はこれらの両方を含むケーブル用ドラム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のケーブル用ドラムの前記胴部にケーブルを巻き付ける工程と、
前記ケーブルを覆うように複数の第3板材を配置し、第3釘により複数の前記第3板材を前記一対の鍔部に固定する工程と、
を有するケーブルの梱包方法。
【請求項8】
前記ケーブルを巻き付ける工程若しくは前記第3板材を固定する工程、又は前記ケーブルを巻き付ける工程若しくは前記第3板材を固定する工程の両方の時期に応じて前記第1着色剤の色を異ならせる請求項7に記載のケーブルの梱包方法。
【請求項9】
前記ケーブルを巻き付ける工程の前に、前記胴部をシートで覆う工程を有し、
前記ケーブルを巻き付ける工程において、前記ケーブルを前記シートの上から前記胴部に巻き付ける請求項7または請求項8に記載のケーブルの梱包方法。
【請求項10】
前記第3板材を固定する工程の後に、前記第3板材及び前記第3釘を第3着色剤により着色する工程を有する請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のケーブルの梱包方法。
【請求項11】
前記ケーブルを巻き付ける工程及び前記第3板材を固定する工程の時期に応じて前記第3着色剤の色を異ならせる請求項10に記載のケーブルの梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケーブル用ドラム及びケーブルの梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ等のケーブルは、ドラムの胴部に巻き付けて梱包され、輸送されたり、保管されたりしている。ドラムとしては、主に木製のドラムが使用される。木製のドラムには、複数の板材を連結するために多数の釘が使用されている。特許文献1~3には、ケーブルドラムの例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-176171号公報
【文献】特開2007-99406号公報
【文献】特開2017-1721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドラムはケーブルの輸送時及び繰り出し時に振動し、振動に起因して釘が抜けることがある。抜けた釘は、ケーブルに傷をつけるおそれがある。そこで、抜けた釘が発見された場合、抜けた原因を究明するために、その釘がどこから抜けたのか特定することが望まれる。しかしながら、一般に、ドラムに使用されている釘は汎用の釘であることが多く、釘がどのドラムから、いつ抜けたのかを特定することは困難である。特定するための手段として、例えば装飾した釘を用いることで発生源を特定しやすくなるが、汎用の釘と比較してコストが上昇してしまう。装飾した釘は入手に時間がかかるおそれもある。
【0005】
本開示は、釘がどのドラムから抜けたのかを特定しやすくできるケーブル用ドラム及びケーブルの梱包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のケーブル用ドラムは、胴部と、前記胴部の両端に設けられた一対の鍔部と、を有し、前記胴部は、前記胴部を形成する複数の第1板材と、前記第1板材を固定する第1釘と、を有し、前記第1板材及び前記第1釘が第1着色剤により着色されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、釘がどのドラムから抜けたのかを特定しやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るケーブル用ドラムを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、鍔部の板材の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るケーブル用ドラムの製造方法を示す斜視図(その1)である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るケーブル用ドラムの製造方法を示す斜視図(その2)である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るケーブル用ドラムを用いたケーブルの梱包方法を示す斜視図(その1)である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るケーブル用ドラムを用いたケーブルの梱包方法を示す斜視図(その2)である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るケーブル用ドラムを用いたケーブルの梱包方法を示す斜視図(その3)である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るケーブル用ドラムを用いたケーブルの梱包方法を示す斜視図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係るケーブル用ドラムは、胴部と、前記胴部の両端に設けられた一対の鍔部と、を有し、前記胴部は、前記胴部を形成する複数の第1板材と、前記第1板材を固定する第1釘と、を有し、前記第1板材及び前記第1釘が第1着色剤により着色されている。
【0012】
胴部の第1釘が第1着色剤により着色されている。このため、第1釘が抜け落ちている場合、抜け落ちた第1釘の外観を確認するだけで、このケーブル用ドラムから抜け落ちたことがわかる。つまり、容易に第1釘がどのドラムから抜けたのかを特定できる。また、第1釘を第1板材に打ち付けた後に第1着色剤により着色すれば良いので、着色するのも容易である。
【0013】
〔2〕 〔1〕において、前記第1着色剤は、防カビ剤若しくは防虫剤又はこれらの両方を含んでもよい。この場合、胴部の防カビ性、防虫性を向上できる。
【0014】
〔3〕 〔1〕又は〔2〕において、前記鍔部は、互いに重ね合わされた複数の第2板材と、前記複数の第2板材を互いに固定する第2釘と、を有し、前記一対の鍔部の互いに対向する面において、前記第2板材及び前記第2釘が第2着色剤により着色されていてもよい。この場合、第2釘がどのドラムから抜けたのかを特定しやすくできる。
【0015】
〔4〕 〔3〕において、前記第2着色剤は、防カビ剤若しくは防虫剤又はこれらの両方を含んでもよい。この場合、鍔部の防カビ性、防虫性を向上できる。
【0016】
〔5〕 〔3〕又は〔4〕において、前記第2着色剤の色は前記第1着色剤の色と同一であってもよい。この場合、色を変える必要が無いので、着色するのが容易である。
【0017】
〔6〕 本開示の他の一態様に係るケーブル用ドラムは、胴部と、前記胴部の両端に設けられた一対の鍔部と、を有し、前記胴部は、前記胴部を形成する複数の第1板材と、前記第1板材を固定する第1釘と、を有し、前記鍔部は、互いに重ね合わされた複数の第2板材と、前記複数の第2板材を互いに固定する第2釘と、を有し、前記第1板材及び前記第1釘が第1着色剤により着色され、前記一対の鍔部の互いに対向する面において、前記第2板材及び前記第2釘が第2着色剤により着色され、前記第1着色剤及び前記第2着色剤は、防カビ剤若しくは防虫剤又はこれらの両方を含む。
【0018】
胴部の第1釘が第1着色剤により着色され、鍔部の第2釘が第2着色剤により着色されている。このため、第1釘、第2釘が抜け落ちている場合、抜け落ちた第1釘、第2釘の外観を確認するだけで、このケーブル用ドラムから抜け落ちたことがわかる。つまり、容易に第1釘、第2釘がどのドラムから抜けたのかを特定できる。また、第1板材も第1着色剤により着色され、第2板材も第2着色剤により着色されるため、第1釘を第1板材に打ち付けた後に第1着色剤により着色でき、第2釘を第2板材に打ち付けた後に第2着色剤により着色できる。従って、着色するのが容易である。また、胴部、鍔部の防カビ性、防虫性を向上できる。
【0019】
〔7〕 本開示の他の一態様に係るケーブルの梱包方法は、〔1〕~〔6〕のケーブル用ドラムの前記胴部にケーブルを巻き付ける工程と、前記ケーブルを覆うように複数の第3板材を配置し、第3釘により複数の前記第3板材を前記一対の鍔部に固定する工程と、を有する。
【0020】
梱包の後で第1釘が抜け落ちている場合、抜け落ちた第1釘の外観を確認するだけで、このケーブル用ドラムから抜け落ちたことがわかる。つまり、容易に第1釘がどのドラムから抜けたのかを特定できる。
【0021】
〔8〕 〔7〕において、前記ケーブルを巻き付ける工程若しくは前記第3板材を固定する工程、又は前記ケーブルを巻き付ける工程若しくは前記第3板材を固定する工程の両方の時期に応じて前記第1着色剤の色を異ならせてもよい。この場合、第1釘のトレーサビリティを更に向上できる。
【0022】
〔9〕 〔7〕又は〔8〕において、前記ケーブルを巻き付ける工程の前に、前記胴部をシートで覆う工程を有し、前記ケーブルを巻き付ける工程において、前記ケーブルを前記シートの上から前記胴部に巻き付けてもよい。この場合、第1着色剤のケーブルへの転写を防止できる。
【0023】
〔10〕 〔7〕~〔9〕において、前記第3板材を固定する工程の後に、前記第3板材及び前記第3釘を第3着色剤により着色する工程を有してもよい。この場合も、第3釘がどのドラムから抜けたのかを特定しやすくできる。
【0024】
〔11〕 〔10〕において、前記ケーブルを巻き付ける工程及び前記第3板材を固定する工程の時期に応じて前記第3着色剤の色を異ならせてもよい。この場合、第3釘のトレーサビリティを更に向上できる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0026】
本開示の実施形態は、ケーブル用ドラムに関する。
図1は、実施形態に係るケーブル用ドラムを示す斜視図である。
【0027】
本実施形態に係るケーブル用ドラム1は、
図1に示すように、胴部10と、鍔部20と、鍔部30とを有する。胴部10は円筒形状を有しており、鍔部20は胴部10の一方の端部に設けられ、鍔部30は胴部10の他方の端部に設けられている。鍔部20及び30は一対の鍔部の一例である。
【0028】
胴部10は複数の板材11を含む。板材11は、例えば、胴部10の軸方向を長手方向とし、円周方向を短手方向とし、径方向を厚さ方向とする直方体形状を有する。胴部10の円周方向で隣り合う板材11の間で、板材11の短手方向に垂直な面同士が向かい合っている。板材11は第1板材の一例である。
【0029】
鍔部20は、例えば円板形状の板材21及び22を含む。板材21及び22の半径は互いに同程度であり、胴部10の半径よりも大きい。板材21及び22は互いに重ね合わされており、鍔部20は、板材21及び22を互いに固定する複数の釘23を含む。板材21が板材22よりも胴部10側に配置され、例えば、釘23は板材21側から打ち付けられ、先端部が板材22から露出し、板材22に食い込むように折り曲げられている。釘23の頭部の平面は板材21の胴部10側の面に露出する。板材21及び22は第2板材の一例であり、釘23は第2釘の一例である。
【0030】
図2は、板材21の構成を示す斜視図である。
図2に示すように、例えば板材21の径方向の中心には、胴部10の内周面に沿った外周面を備えた円板状の凸部24が設けられている。胴部10は、板材11を凸部24に固定する複数の釘12を含む。板材11を釘12で凸部24に固定することにより、鍔部20は胴部10に固定されることになる。図示を省略するが、鍔部20と胴部10との連結をより強固にするために、板材22側から板材22及び21を貫通し、板材11の長手方向に垂直な面から板材11の内部に入り込む釘が更に設けられていてもよい。釘12は第1釘の一例である。
【0031】
鍔部30は、例えば円板形状の板材31及び32を含む。板材31及び32の半径は互いに同程度であり、胴部10の半径よりも大きい。板材31及び32は互いに重ね合わされており、鍔部30は、板材31及び32を互いに固定する複数の釘33を含む。板材31が板材32よりも胴部10側に配置され、例えば、釘33は板材31側から打ち付けられ、先端部が板材32から露出し、板材32に食い込むように折り曲げられている。釘33の頭部の平面は板材31の胴部10側の面に露出する。板材31及び32は第2板材の一例であり、釘23は第2釘の一例である。
【0032】
板材31の径方向の中心には、凸部24と同様に、例えば胴部10の内周面に沿った外周面を備えた円板状の凸部(図示せず)が設けられている。胴部10は、板材11をこの凸部に固定する複数の釘12を含む。板材11を釘12で凸部に固定することにより、鍔部30は胴部10に固定されることになる。図示を省略するが、鍔部30と胴部10との連結をより強固にするために、板材32側から板材32及び31を貫通し、板材11の長手方向に垂直な面から板材11の内部に入り込む釘が更に設けられていてもよい。釘12は第1釘の一例である。
【0033】
本実施形態では、胴部10の板材11及び釘12が着色剤2により着色されている。なお、鍔部20の鍔部30に対向する面において、板材21及び釘23が着色剤2により着色され、鍔部30の鍔部20に対向する面において、板材31及び釘33が着色剤2により着色されていてもよい。着色剤2としては、油性のペンキ等が用いられる。板材11及び釘12を着色する着色剤2は第1着色剤の一例である。板材21及び釘23を着色する着色剤2と、板材31及び釘33を着色する着色剤2とは第2着色剤の一例である。
【0034】
本実施形態に係るケーブル用ドラム1では、胴部10の釘12が着色剤2により着色されている。このため、釘12自体が汎用の釘であったとしても、釘12がケーブル用ドラム1から抜け落ちた場合には、釘12の外観を確認するだけで、ケーブル用ドラム1から抜け落ちたことがわかる。つまり、容易に釘12がケーブル用ドラム1から抜けたことを特定できる。
【0035】
同様に、鍔部20、30の釘23が着色剤2により着色されていた場合も、釘23自体が汎用の釘であったとしても、釘23がケーブル用ドラム1から抜け落ちた場合には、釘23の外観を確認するだけで、ケーブル用ドラム1から抜け落ちたことがわかる。つまり、容易に釘23がケーブル用ドラム1から抜けたことを特定できる。
【0036】
次に、ケーブル用ドラム1の製造方法について説明する。
図3~
図4は、実施形態に係るケーブル用ドラム1の製造方法を示す斜視図である。
【0037】
まず、
図3に示すように、胴部10と鍔部20とを連結し、胴部10と鍔部30とを連結する。このとき、複数の釘12を板材11の上から板材21の凸部24に打ち付け、複数の釘12を板材11の上から板材31の凸部(図示せず)に打ち付ける。
【0038】
次いで、
図4に示すように、胴部10の板材11及び釘12を着色剤2により着色する。加えて、鍔部20の鍔部30に対向する面において、板材21及び釘23を着色剤2により着色し、鍔部30の鍔部20に対向する面において、板材31及び釘33を着色剤2により着色しても良い。
【0039】
このようにしてケーブル用ドラム1を製造することができる。
【0040】
この製造方法では、胴部10の板材11及び釘12を着色剤2により着色するため、広範囲を単色で着色できる。従って、着色の作業が簡易である。同様に、板材21及び釘23を着色剤2により着色し、板材31及び釘33を着色剤2により着色する場合は、さらに広範囲を単色で着色できる。従って、着色の作業が簡易である。
【0041】
製造工程を簡素化するために、板材11及び釘12と、板材21及び釘23と、板材31及び釘33とは、同一で同色の着色剤2により着色することが好ましい。その一方で、胴部10から抜け落ちた釘12と、鍔部20又は30から抜け落ちた釘23とを識別しやすくするために、板材21及び釘23の着色に用いる着色剤(第1着色剤)と、板材21及び釘23と板材31及び釘33との着色に用いる着色剤(第2着色剤)との間で色を異ならせてもよい。
【0042】
また、ケーブル用ドラム1の製造時期に応じて着色剤2の色を異ならせてもよい。例えば、製造年毎に色を異ならせてもよく、製造月毎に色を異ならせてもよく、製造日毎に色を異ならせてもよい。製造時期に応じて着色剤2の色を異ならせることにより、釘12及び23のトレーサビリティを更に向上することができる。
【0043】
着色剤2は防カビ剤又は防虫剤を含んでいることが好ましく、防カビ剤及び防虫剤の両方を含んでいることがより好ましい。木製のケーブル用ドラム1のカビ又は虫による劣化を防止するためである。着色剤2とは別に防カビ剤又は防虫剤を塗布してもよいが、着色剤2に含ませることで、塗布の工程数を減らすことができる。
【0044】
なお、鍔部20及び30が、それぞれ1枚の板材から構成されていてもよい。この場合、釘23及び33は不要である。
【0045】
次に、ケーブル用ドラム1を用いたケーブルの梱包方法について説明する。
図5~
図8は、ケーブル用ドラムを用いたケーブルの梱包方法を示す斜視図である。
【0046】
ケーブルを梱包するに際して、まず、
図5に示すように、上記の実施形態に係るケーブル用ドラム1を準備し、胴部10をシート3で覆う。シート3としては、例えば、蝋をコーティングした紙、ビニルシート、プラスチックシート、エアクッション等の安価な材料からなるシートが用いられる。
【0047】
次に、
図6に示すように、シート3の上から胴部10にケーブル4を巻き付ける。ケーブル4は、例えば光ファイバケーブルである。
【0048】
次に、
図7に示すように、ケーブル用ドラム1の外周に複数の板材41を固定する。板材41は直方体形状を有しており、例えば、胴部10の軸方向が長手方向、円周方向が短手方向、径方向が厚さ方向となり、ケーブル4を覆うように配置される。板材41を貫通し、鍔部20、30の外周面から鍔部20、30の内部に入り込むように釘42を打ち付けることで、板材41を鍔部20、30に固定することができる。板材41は第3板材の一例であり、釘42は第3釘の一例である。
【0049】
次に、
図8に示すように、板材41及び釘42を着色剤5により着色する。着色剤5としては、油性のペンキ等が用いられる。着色剤5は防カビ剤又は防虫剤を含んでいることが好ましく、防カビ剤及び防虫剤の両方を含んでいることがより好ましい。木製の板材41のカビ又は虫による劣化を防止するためである。着色剤5とは別に防カビ剤又は防虫剤を塗布してもよいが、着色剤5に含ませることで、塗布の工程数を減らすことができる。着色剤5は第3着色剤の一例である。
【0050】
その後、同じく
図8に示すように、針金43により複数の板材41を巻き締め、止め具44により針金43を板材41に固定する。
【0051】
このようにしてケーブル4を梱包することができる。
【0052】
このケーブルの梱包方法では、ケーブル用ドラム1を用いているため、着色剤2により着色されている釘12がケーブル用ドラム1から抜けたことを特定できる。また、釘42を着色剤5により着色している。このため、釘42自体が汎用の釘であったとしても、釘42が板材41から抜け落ちた場合には、釘42の外観を確認するだけで、板材41から抜け落ちたことがわかる。つまり、容易に釘42がどのドラムから抜けたのかを特定できる。
【0053】
ケーブル4の梱包時期に応じて着色剤5の色を異ならせてもよい。例えば、梱包した年毎に色を異ならせてもよく、梱包した月毎に色を異ならせてもよく、梱包した日毎に色を異ならせてもよい。梱包時期に応じて着色剤5の色を異ならせることにより、釘42のトレーサビリティを更に向上することができる。また、ケーブル4の梱包時期に応じて予め着色剤2の色を異ならせてもよい。
【0054】
本実施形態では、ケーブル4を胴部10に巻き付ける前にシート3により胴部10を覆っている。このため、着色剤2のケーブル4への転写を防止できる。また、釘12を板材11から抜けにくくすることもできる。
【0055】
なお、ケーブル用ドラム1は再利用することができる。ただし、釘12、23の着色が剥がれてきている場合には、着色剤2による着色を再度行うことが望ましい。
【0056】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1:ケーブル用ドラム
2:着色剤
3:シート
4:ケーブル
5:着色剤
10:胴部
11、21、22、31、32、41:板材
12、23、33、42:釘
20、30:鍔部
24:凸部
43:針金
44:止め具