(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】画像形成装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240528BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
G03G15/08 300
G03G15/00 303
(21)【出願番号】P 2021009494
(22)【出願日】2021-01-25
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河田 真典
(72)【発明者】
【氏名】木村 誠人
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-033990(JP,A)
【文献】特開平08-062984(JP,A)
【文献】特開2011-090037(JP,A)
【文献】特開2012-073572(JP,A)
【文献】特開2013-003449(JP,A)
【文献】特開2003-167480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
トナーを含む現像剤を収容する現像槽と、
前記現像剤を前記現像槽内で攪拌しながら搬送する第1のスクリューと、
前記第1のスクリューの回転速度を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
画像形成時には前記第1のスクリューを第1の速度で回転させ、
前記画像形成後に予め定められた条件が成立すると、前記第1の速度よりも早い第2の速度で前記第1のスクリューを回転させ、
前記予め定められた条件
は、前記第1の速度での前記回転が停止した後における前記画像形成装置の内部温度に基づく値
が第1の閾値以上となったこと、および
/または、前記第1の速度での前記回転が停止した後における前記画像形成装置の内部湿度に基づく値
が第2の閾値以上となったこ
とである、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記画像形成装置に前記画像形成のジョブを実行させ、
前記予め定められた条件は、前記制御手段が次の画像形成のジョブを受け付けたことをさらに含み、
前記制御手段は、前記予め定められた条件が成立すると、前記画像形成装置に前記次の画像形成のジョブを実行させる前に、前記第1のスクリューを前記第2の速度で回転させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナーを前記現像槽に補給する補給手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第2の速度で前記第1のスクリューを回転させているときには、前記補給手段による前記トナーの補給を停止させる、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記内部温度に基づく値は、前記内部温度の平均値である、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記内部湿度に基づく値は、前記内部湿度の平均値である、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記内部温度に基づく値は、前記内部温度の所定時間毎の平均値である、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記内部湿度に基づく値は、前記内部湿度の所定時間毎の平均値である、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第
1の閾値は、25℃である、請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記内部温度に基づく値は、所定時間内における前記内部温度の最大値と最小値との差である、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第
1の閾値は、10℃である、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第
2の閾値は、15g/m
3である、請求項1から10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第2の速度は、700rpm以下である、請求項1から11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第2の速度は、500rpm以上である、請求項1から12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記予め定められた条件が成立した場合には、前記第1のスクリューを前記第2の速度で所定の時間回転させる、請求項1から13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記所定の時間は、300秒以下である、請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記現像槽の前記トナーの濃度を検出する検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1のスクリューを前記第2の速度で前記所定の時間回転しても、検出された前記トナーの濃度が基準濃度よりも所定値以上低い場合には、前記第1のスクリューをさらに回転させる、請求項14または15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記所定値は、1%であって、
前記制御手段は、前記第1のスクリューを前記第2の速度で前記所定の時間回転しても、検出された前記トナーの濃度が基準濃度よりも1%以上低い場合には、前記第1のスクリューを前記第2の速度で前記所定の時間回転させる、請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
画像形成装置であって、
トナーを含む現像剤を収容する現像槽と、
前記現像剤を前記現像槽内で攪拌しながら搬送する第1のスクリューと、
前記第1のスクリューの回転速度を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
画像形成時には前記第1のスクリューを第1の速度で回転させ、
前記画像形成後に予め定められた条件が成立すると、前記第1の速度よりも早い第2の速度で前記第1のスクリューを回転させ、
前記予め定められた条件
は、前記第1の速度での前記回転が停止した後における前記画像形成装置の内部温度
が第1の閾値以上となったこと、および
/または、前記第1の速度での前記回転が停止した後における前記画像形成装置の内部湿度
が第2の閾値以上となったこ
とである、画像形成装置。
【請求項19】
前記現像槽は、前記第1のスクリューが設けられた第1の収容室と、現像ローラーが設けら
れた第2の収容室とを含み、
前記第1のスクリューは、前記現像剤を前記第1の収容室から前記第2の収容室に搬送する、請求項1から18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記第2の収容室に第2のスクリューをさらに備え、
前記制御手段は、
前記画像形成時には前記第2のスクリューを前記第1の速度で回転させ、
前記画像形成後に前記予め定められた条件が成立すると、前記第2の速度で前記第2のスクリューを回転させる、請求項19に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記内部温度は、前記現像槽の外部温度または前記現像槽の内部温度である、請求項1から20のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項22】
前記内部湿度は、前記現像槽の外部湿度または前記現像槽の内部湿度である、請求項1から21のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項23】
トナーを含む現像剤を収容する現像槽を備えた画像形成装置の制御方法であって、
画像形成時に、前記現像剤を前記現像槽内で攪拌しながら搬送するスクリューを第1の速度で回転させるステップと、
前記画像形成後に予め定められた条件が成立すると、前記第1の速度よりも早い第2の速度で前記スクリューを回転させるステップとを備え、
前記予め定められた条件
は、前記第1の速度での前記回転が停止した後における前記画像形成装置の内部温度に基づく値
が第1の閾値以上となったこと、および
/または、前記第1の速度での前記回転が停止した後における前記画像形成装置の内部湿度に基づく値
が第2の閾値以上となったこ
とである、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1および特許文献2に示すように、トナーとキャリアとを含む現像剤(二成分現像剤)を用いて像担持体に画像を形成する、電子写真方式の画像形成装置が知られている。
【0003】
上記の現像剤は、現像器の現像槽に収容されている。現像剤は、現像槽内で攪拌かつ搬送(循環)される。現像槽内のセンサーによって、現像剤中のトナーの濃度(以下、「トナー濃度」とも称する)が測定される。トナー濃度が適正値になるように、トナーホッパーから現像槽内にトナーが補給される。上記センサーとしては、典型的には、透磁率センサーが用いられる。透磁率センサーは、現像槽内の底面付近に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-113621号公報
【文献】特開2018-091958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、画像形成装置の省スペース化および低コスト化が進んでいる。このため、画像形成装置内の現像器を構成する部品も、小型化および低コスト化が求められている。現像器の部品の小型化等が進められると、現像器の現像槽内の短い区間(循環路)において、少ない現像剤を攪拌および循環させる必要がある。
【0006】
また、現像槽内のトナー濃度は、典型的には、検出部としての透磁率センサーによって計測される。透磁率センサーの測定精度を高めるためには、透磁率センサーの検知域の搬送力を落として現像剤をある程度パッキングする(固める)必要がある。このため、透磁率センサーによってトナーの濃度が検知される領域(以下、「検知域」とも称する)では、他の場所に比べて現像剤の単位時間当たりの動きを少なくしている。その結果、検知域付近で現像剤の一部が滞留してしまう。
【0007】
さらに、現像槽内の攪拌スクリューの回転が停止して現像剤が放置されると、現像剤の帯電量が低下する。これにより、トナー同士の反発力が低下する。その結果、現像剤が締まり、嵩密度が大きくなる。透磁率センサーは、検知域の透磁率を測定することによりトナー濃度を測定する。それゆえ、嵩密度が大きくなると、トナー濃度の測定値は実際よりも低くなる。
【0008】
このような現象は、攪拌スクリューを回転させることで一部解消される。しかしながら、現像剤の放置時間が長くなる、あるいは高温多湿な状況に現像剤がさらされることにより、現像剤がより顕著に締まって動きにくくなる。このため、単に攪拌スクリューを回転させるだけでは、透磁率センサー付近に嵩密度の大きい現像剤が滞留することを回避できない。その結果、トナー濃度の測定値が本来なるべき値よりも低めに計測されてしまう。
【0009】
このような現象により、様々な不具合が発生する。透磁率センサー付近では、現像剤は動きが少なく、かつ嵩密度の大きい現像剤が滞留しているため、たとえ現像槽にトナーの補給が行われても、透磁率センサーによって測定されるトナー濃度はかわらず低い値を示す。このため、画像形成装置では、透磁率センサーによって測定されるトナー濃度が適正値になるように、トナーの補給量を増やす動作が繰り返し実施される。その結果、トナーの過補給となってしまう。これにより、現像器中のトナー濃度が高くなり、かぶり、粉煙などの問題が発生する。
【0010】
特開2019-113621号公報(特許文献1)の画像形成装置は、現像剤の放置による嵩密度変化を嵩センサーで直接測定し、かつ測定結果に基づき攪拌動作を実施することにより、嵩密度変化に対応している。嵩センサーでは、計測したい部位である(透磁率センサー付近の底面付近)の現像剤の状態をセンシングできない。また、測定された嵩密度が同じであっても、現像剤の吸湿状態および放置期間によって、現像剤のほぐれやすさ、および動きやすさが異なる。それゆえ、特許文献1では、現像剤の状態を一様に制御することは難しい。
【0011】
特開2018-091958号公報(特許文献2)の画像形成装置は、トナーの滞留を解消するために、新品のイメージングユニットを画像形成装置に装着したときに、初期調整として、速い速度、遅い速度、速い速度の順でトナーを攪拌した後、トナー濃度基準値を取得する動作を実施している。しかしながら、特許文献2では、現像剤の放置中の温湿度時間などの状況を考慮していない。また、特許文献2は、新品のイメージングユニットの初期調整に関するものであり、画像形成後に現像剤が放置されたときに生じる上述した不具合には対処できない。
【0012】
本開示は、現像剤の放置によって現像剤が締まるような状況が生じた場合に、このような状況を解消可能な画像形成装置、および画像形成装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示のある局面に従うと、画像形成装置は、トナーを含む現像剤を収容する現像槽と、現像剤を現像槽内で攪拌しながら搬送する第1のスクリューと、第1のスクリューの回転速度を制御する制御手段とを備える。制御手段は、画像形成時には第1のスクリューを第1の速度で回転させる。制御手段は、画像形成後に予め定められた条件が成立すると、第1の速度よりも早い第2の速度で第1のスクリューを回転させる。予め定められた条件は、第1の速度での回転が停止してからの経過時間が、第1の閾値以上となったこと、第1の速度での回転が停止した後における画像形成装置の内部温度に基づく値が、第2の閾値以上となったこと、および、第1の速度での回転が停止した後における画像形成装置の内部湿度に基づく値が、第3の閾値以上となったこと、の少なくとも1つである。
【0014】
本開示の他の局面に従うと、画像形成装置は、トナーを含む現像剤を収容する現像槽と、現像剤を現像槽内で攪拌しながら搬送する第1のスクリューと、第1のスクリューの回転速度を制御する制御手段とを備える。制御手段は、画像形成時には第1のスクリューを第1の速度で回転させる。制御手段は、画像形成後に予め定められた条件が成立すると、第1の速度よりも早い第2の速度で第1のスクリューを回転させる。予め定められた条件は、第1の速度での回転が停止してからの経過時間が、第1の閾値以上となったこと、第1の速度での回転が停止した後における画像形成装置の内部温度が、第2の閾値以上となったこと、および、第1の速度での回転が停止した後における画像形成装置の内部湿度が、第3の閾値以上となったこと、の少なくとも1つである。
【0015】
本開示の他の局面に従うと、トナーを含む現像剤を収容する現像槽を備えた画像形成装置の制御方法は、画像形成時に、現像剤を現像槽内で攪拌しながら搬送するスクリューを第1の速度で回転させるステップと、画像形成後に予め定められた条件が成立すると、第1の速度よりも早い第2の速度でスクリューを回転させるステップとを備える。予め定められた条件は、第1の速度での回転が停止してからの経過時間が、第1の閾値以上となったこと、第1の速度での回転が停止した後における画像形成装置の内部温度に基づく値が、第2の閾値以上となったこと、および、第1の速度での回転が停止した後における画像形成装置の内部湿度に基づく値が、第3の閾値以上となったこと、の少なくとも1つである。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、現像剤の放置によって現像剤が締まるような状況が生じた場合に、このような状況を解消可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】画像形成装置の全体構成の概要を表した図である。
【
図2】現像部の典型的な構成を示す横断面図である。
【
図3】
図2のP-P線で切断した現像部の一部を分解して示す斜視図である。
【
図5】検知域付近の壁面に現像剤の一部がへばりついて滞留している状態を表した模式図である。
【
図6】現像剤の部分的滞留が発生したときの、透磁率センサーによって測定されたトナー濃度と、現像ローラー上のトナー濃度と、現像部内へのトナー補給量との関係を示す図である。
【
図7】放置時間と現像剤の入れ
替わり率との関係を表した図である。
【
図8】画像形成装置の制御部を説明するための模式図である。
【
図9】画像形成装置の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
【
図10】画像形成装置で実行される処理の流れを説明するフロー図である。
【
図11】攪拌制御を実施した場合と実施しなか
った場合との入れ替わり率を比較した図である。
【
図12】攪拌制御を実施した場合と実施しなか
った場合とにおけるトナー濃度を比較した図である。
【
図13】現像槽の外部温度と現像剤の入れ
替わり率との関係を表した図である。
【
図14】他の形態に係る画像形成装置で実行される処理の流れを説明するフロー図である。
【
図15】現像槽の外部湿度と現像剤の入れ
替わり率との関係を表した図である。
【
図16】さらに他の形態に係る画像形成装置で実行される処理の流れを説明するフロー図である。
【
図17】現像槽の外部温度と現像剤の入れ
替わり率との関係を表した図である。
【
図18】さらに他の形態に係る画像形成装置で実行される処理の流れを説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の各形態における画像形成装置について、以下、図を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。なお、各実施の形態に開示された内容は、適宜、組み合わせることが可能である。
【0019】
画像形成装置は、モノクロプリンター、カラープリンターであってもよいし、FAXであってもよいし、モノクロプリンター機能、カラープリンター機能およびFAX機能を有する複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)であってもよい。以下の各実施の形態では、複合機を例に挙げて説明する。
【0020】
[実施の形態1]
<A.画像形成装置の全体構成>
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成の概要を表した図である。
【0021】
図1を参照して、画像形成装置1は、主として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の再現色に対応した作像部2Y,2M,2C,2Kと、中間転写部3と、給送部4と、定着部5とを備える。
【0022】
画像形成装置1は、ネットワーク(たとえば、LAN(Local Area Network))に接続され、外部の端末装置(図示せず)からプリントジョブの実行指示を受け付ける。画像形成装置1は、当該実行指示に基づいてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各トナー像を形成する。さらに、画像形成装置1は、形成された各トナー像を記録用のシートSへ転写して、カラー画像を形成する。また、画像形成装置1は、ブラック(K)のトナー像のみのモノクロ画像の形成を選択的に実行することもできる。
【0023】
作像部2Y,2M,2C,2Kは、この順に中間転写部3の中間転写ベルト15の走行方向(矢印B方向)に沿って並置されている。
【0024】
作像部2Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム10Kと、帯電部11Kと、現像部13Kと、クリーナー14Kとを備える。作像部2Kは、感光体ドラム10K上にK色のトナー像を作像する。作像部2Y,2M,2Cは、作像部2Kと基本的に同様の構成を有する。作像部2Y,2M,2Cは、感光体ドラム10Y,10M,10Cと、帯電部11Y,11M,11Cと、現像部13Y,13M,13Cと、クリーナー14Y,14M,14Cとを備える。作像部2Y,2M,2Cは、感光体ドラム10Y,10M,10C上にY,M,C色のトナー像を作像する。
【0025】
現像部13Y,13M,13C,13Kの具体的な構成については、後述する。
中間転写部3は、作像部2Y,2M,2C,2Kよりも上に配置される中間転写ベルト15を備える。中間転写部3は、さらに、駆動ローラー16と、従動ローラー17と、一次転写ローラー18Y,18M,18C,18Kと、二次転写ローラー19と、クリーナー20とを備える。
【0026】
中間転写ベルト15は、駆動ローラー16と、従動ローラー17と、一次転写ローラー18Y,18M,18C,18Kとに張架されている。中間転写ベルト15は、矢印B方向に周回駆動される。
【0027】
一次転写ローラー18Y,18M,18C,18Kは、各々に対応する感光体ドラム10Y、10M,10C,10Kに中間転写ベルト15を介して対向配置されている。二次転写ローラー19は、中間転写ベルト15を介して駆動ローラー16に対向配置されている。二次転写ローラー19が中間転写ベルト15に接する二次転写位置19aが、二次転写位置となる。
【0028】
露光部12は、作像部2Y,2M,2C,2Kよりも下に位置する。露光部12は、主制御部51からの駆動信号によって、各色(Y,M,C,K)の画像形成のための光ビームLを発光素子から発する。
【0029】
作像部2Y,2M,2C,2K毎に、帯電部11Y,11M,11C,11Kによって帯電された感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kが露光部12から発せられた光ビームLにより露光走査される。これにより、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に静電潜像が形成される。静電潜像は、現像部13Y,13M,13C,13Kの現像剤(詳しくは、トナーとキャリアを含む二成分現像剤)によって現像され、その結果、対応する色のトナー像が感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成される。
【0030】
感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された各色のトナー像は、一次転写ローラー18Y,18M,18C,18Kの静電作用によって中間転写ベルト15に一次転写される。この際、各色の作像動作は、各色のトナー像が中間転写ベルト15上の同じ位置に重ね合わせて転写されるようにタイミングをずらして実行される。なお、一次転写の際に、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上のトナー像のうち、中間転写ベルト15に転写されずに感光体ドラム上に残った残留トナーは、クリーナー14Y,14M,14C,14Kによって除去される。
【0031】
中間転写ベルト15上に多重転写された各色のトナー像は、中間転写ベルト15の周回走行により二次転写位置19aまで移動する。
【0032】
給送部4は、給紙カセット(図示せず)に収容された記録用のシートSを繰り出しローラー21で搬送路(破線)に繰り出す。給送部4は、停止中のタイミングローラー22までシートSを搬送する。
【0033】
タイミングローラー22は、周回する中間転写ベルト15上に多重転写された各色トナー像が二次転写位置19aに到達するタイミングに合わせて、回転を開始する。タイミングローラー22は、シートSを二次転写位置19aに搬送する。
【0034】
シートSが二次転写位置19aを通過する際に、中間転写ベルト15上に多重転写された各色のトナー像が二次転写ローラー19の静電作用によってシートS上に二次転写される。これにより、シートS上にカラートナー像が形成される。なお、二次転写の際に、中間転写ベルト15上のトナー像のうち、シートSに転写されずに中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の周回走行によりクリーナー20まで搬送される。残留トナーは、クリーナー20により中間転写ベルト15上から除去される。
【0035】
二次転写位置19aによってカラートナー像が二次転写されたシートSは、定着部5に搬送される。定着部5は、加熱ローラー5aと、加熱ローラー5aに圧接して定着ニップを形成する加圧ローラー5bとを有する。定着部5は、二次転写ローラー19により搬送されて来るシートSが定着ニップを通過する際に、シートS上のカラートナー像(未定着画像)を加熱および加圧により熱定着する。定着部5を通過したシートSは、排出ローラー23によって機外に排出され、その後、排紙トレイ24に収容される。
【0036】
上記においては、カラープリントの動作について説明したが、モノクロプリントでは、作像部2Kのみによるブラック色のトナー像の感光体ドラム10Kへの作像の後、感光体ドラム10Kから中間転写ベルト15への一次転写と、シートSへの二次転写と、シートSへの定着とが、この順に実行される。すなわち、帯電、露光、現像、転写、および定着の各プロセスが実行される。
【0037】
現像部13Y,13M,13C,13Kの直上には、各現像部13Y,13M,13C,13Kに補充用のトナーを供給するトナーホッパー7Y,7M,7C,7Kが配置されている。
【0038】
トナーホッパー7Yは、後述するトナー濃度制御部9Yから指示されるイエロー(Y)色のトナー補給量に応じて、補充用の新たなイエロー色のトナーを現像部13Yに供給する。他のトナーホッパー7M,7C,7Kについても、トナーホッパー7Yと基本的に同様の構成を有する。トナーホッパー7M,7C,7Kは、それぞれ対応する現像部13M、13C,13Kに補充用の新たなマゼンタ色,シアン色,ブラック色のトナーを供給する。
【0039】
現像部13Y,13M,13C,13Kの近傍には、トナー濃度制御部9Y,9M,9C,9Kが配置されている。トナー濃度制御部9Y,9M,9C,9Kは、トナーホッパー7Y,7M,7C,7Kから各現像部13Y,13M,13C,13Kに供給するトナー量を制御し、かつ各現像部13Y,13M,13C,13Kにおけるトナー濃度を一定に制御する。なお、以下では、現像部13Yと、トナー濃度制御部9Yを有する現像器制御部120Y(
図8,9参照)とを合わせて「現像器6Y」とも称す。同様に、現像部13M、13C、13Kとトナー濃度制御部9M、9C、9Kとをそれぞれ合わせてマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色用の現像器6M,6C,6Kを構成する。なお、現像器は、現像装置とも称される。
【0040】
トナー濃度制御部9Yは、主制御部51から入力される画像信号および現像部13Yに設けられている透磁率センサー8Yの出力等に基づいて、現像部13Yに補充するトナーの補給量を決定し、決定された補給量のトナーをトナーホッパー7Yから供給させる。なお、他のトナー濃度制御部9M,9C,9Kについても、トナー濃度制御部9Yと基本的に同様の構成を有する。トナー濃度制御部9M,9C,9Kは、対応する現像部13M、13C,13Kに補充するトナーの補給量を制御する。
【0041】
以下、イエロー用の現像部13Yの構成を説明する。なお、現像部13M,13C,13Kは、基本的に現像部13Yと同じ構成であるため、説明を繰り返さない。
【0042】
<B.現像部13Yの構成>
図2は、現像部13Yの典型的な構成を示す横断面図である。
【0043】
図2を参照して、現像部13Yは、主として、ハウジング30と、現像ローラー31と、供給スクリュー32(第2のスクリュー)と、攪拌スクリュー33(第1のスクリュー)と、規制部材34とを備える。ハウジング30と、現像ローラー31と、供給スクリュー32と、攪拌スクリュー33と、規制部材34との各々は、現像ローラー31の軸方向(紙面垂直方向)に沿って長尺状になっている。なお、当該軸方向は、感光体ドラム10Yの回転軸方向に平行である。以下、供給スクリュー32の位置を基準に上下方向を規定する。
【0044】
ハウジング30は、例えばABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)などの樹脂製である。ハウジング30の内部には、現像剤D(二成分現像剤)が収容されている。ハウジング30は、仕切りとしての隔壁37を介して区画されている、収容室38(第2の収容室)と収容室39(第1の収容室)とを有する。同図ではハウジング30内の現像剤Dのうち収容室39に存する一部を代表して示している。収容室38と収容室39とを合わせて、「現像槽70」とも称する。
【0045】
収容室38には、現像ローラー31と、供給スクリュー32とが収容される。収容室39には、攪拌スクリュー33が収容されている。
【0046】
現像ローラー31の斜め下方に供給スクリュー32が配置される。供給スクリュー32の斜め下方に攪拌スクリュー33が配置される。また、収容室38と収容室39とを仕切る隔壁37が、鉛直方向に対して傾斜した姿勢で立設されている。隔壁37を挟んで収容室38の斜め下方に収容室39が配置されている。
【0047】
現像ローラー31は、円筒形の現像スリーブ31aと、マグネット体31bとを備える。現像ローラー31は、供給スクリュー32の位置する側とは反対側の部分が収容室38の、感光体ドラム10Yに対向する位置に設けられた開口部から外に出ている。現像スリーブ31aの内部に、軸方向に沿って挿通される円柱状のマグネット体31bが設けられている。
【0048】
マグネット体31bは、複数の磁極(たとえば、S1、N1・・の形成された部分)が周方向に順に並ぶように設けられている。マグネット体31bは、回転不可となるように軸方向の端部がハウジング30に固定されている。各磁極は、軸方向に沿って延在されている。
【0049】
現像スリーブ31aは、ハウジング30の開口部を介して感光体ドラム10Yと対向する部分が開口部から露出した状態で矢印E方向に回転する。現像スリーブ31aは、静止しているマグネット体31b周りを、マグネット体31bの磁力により表面に現像剤Dを保持(担持)しつつ回転する。
【0050】
供給スクリュー32は、図の矢印F方向に回転することにより、収容室38内の現像剤Dを軸方向に沿って搬送しつつ、当該搬送中に現像剤Dの一部を現像ローラー31に供給する。
【0051】
攪拌スクリュー33は、矢印G方向に回転することにより、収容室39内の現像剤Dを供給スクリュー32による搬送方向とは反対の方向に攪拌しつつ搬送する。
【0052】
規制部材34は、規制部材34の先端が現像ローラー31の表面との間に所定の間隙を有するように配置される。規制部材34は、感光体ドラム10Yと現像ローラー31とが対向する現像位置29において、現像ローラー31の表面上の現像剤量が適切な量になるように、上記間隙を通る現像剤Dの量を規制する。
【0053】
本例では、便宜上、供給スクリュー32と攪拌スクリュー33とが同期して、同じ速度で回転するもとして説明する。また、以下では、供給スクリュー32と攪拌スクリュー33とを合わせて、「スクリュー部60」とも称する。スクリュー部60は、回転動作によって現像剤Dを現像槽70内で攪拌しながら搬送する。
【0054】
図3は、
図2のP-P線で切断した現像部13Yの一部を分解して示す斜視図である。
図3を参照して、以下では、供給スクリュー32と攪拌スクリュー33との並ぶ方向を「X軸方向」とする。現像ローラー31の軸方向を「Z軸方向」とする。X軸とZ軸の双方に直交する方向を「Y軸方向」とする。
【0055】
図3に示すように、ハウジング30に設けられている収容室38と収容室39とは、軸方向(Z軸方向)に沿って長尺で筒状に形成されている。収容室38と収容室39とは、隔壁37により仕切られている。収容室38と収容室39とは、隔壁37の軸方向一方端側に設けられた連通孔37aと、他方端側に設けられた連通孔37bとをそれぞれ介して、相互に連通する構成になっている。
【0056】
供給スクリュー32は、回転軸(軸体)32aと、回転軸32aの外周面に沿って螺旋状に設けられてなるスクリュー羽根32bとを有する。
【0057】
回転軸32aは、軸方向両端部が収容室38の軸方向両側壁に軸受部材(不図示)などを介して回転自在に支持される。回転軸32aは、左端側の軸部分32zが側壁の外に延出されている。回転軸32aは、回転軸32aの軸部分32zにギア(不図示)が取着されている。回転軸32aは、ギアからの回転駆動力により矢印F方向に回転駆動される。
【0058】
回転軸32aの外周面に設けられたスクリュー羽根32bは、回転軸32aの回転により収容室38内の現像剤Dに搬送方向(矢印T1方向)の搬送力を付与する。
【0059】
スクリュー羽根33bは、回転軸33aの外周面に設けられている。スクリュー羽根33bは、回転軸33aの回転により収容室39内の現像剤Dに搬送方向(矢印T1とは逆方向の矢印T2方向)の搬送力を付与する。
【0060】
供給スクリュー32と攪拌スクリュー33とは、たとえば鉄、アルミ等の金属またはABSなどの樹脂からなる。供給スクリュー32と攪拌スクリュー33とは、たとえば、回転軸の径が5mm、スクリュー羽根の外径が12mm、ピッチが25mmになっている。
【0061】
なお、収容室38と収容室39との各々では、現像剤Dの嵩高さ(液面高さ)が供給スクリュー32の回転軸32a、攪拌スクリュー33の回転軸33aよりも少し上になる位置になっている。また、
図3において収容室39の右端には、トナーホッパー7Yから新たに供給される補充用のY色トナーを受け入れる受入口39aが形成されている。
【0062】
次に、現像剤Dの流れ(流動)を説明する。
現像ローラー31と、供給スクリュー32と、攪拌スクリュー33との各々が、回転駆動することにより、ハウジング30内の現像剤Dが
図3に示す矢印の方向に搬送される。
【0063】
具体的には、収容室38内の現像剤Dは、供給スクリュー32により矢印T1方向(同図の右方向)に搬送される。現像剤Dが、現像剤搬送方向下流側の端部まで搬送されると、重力の作用により、隔壁37の連通孔37bを介して、収容室38よりも斜め下方に位置する収容室39に落下する。これにより、収容室38内の現像剤Dが隔壁37の連通孔37bを通じて矢印T3方向に収容室39に搬送される。
【0064】
収容室39に搬送された現像剤Dは、攪拌スクリュー33により矢印T2方向(同図の左方向)に攪拌されつつ搬送される。なお、収容室39において現像剤搬送方向上流側の端部には、受入口39aを介してトナーホッパー7Yから新たな補充用のY色のトナーが供給される。このため、収容室39内に既に存していた現像剤Dと、新たに供給された新規トナー(補充されたトナー)とは、混合されつつ、攪拌スクリュー33により攪拌搬送される。
【0065】
収容室39を搬送中の現像剤Dが現像剤搬送方向の下流端であるハウジング30の側壁30zまで搬送されると、現像剤Dは、収容室38に搬送される。詳しくは、現像剤Dは、隔壁37の連通孔37aを通じて矢印T4方向に搬送される。より詳しくは、現像剤Dは、収容室39の下流端部分39zに溜まりつつ、重力に逆らって、収容室39よりも斜め上方に位置する収容室38に搬送される。
【0066】
収容室39から連通孔37aを通じて収容室38に搬送された現像剤Dは、供給スクリュー32によって、矢印T1方向に搬送される。
【0067】
このように、収容室38における現像剤搬送方向の下流側と、収容室39における現像剤搬送方向の上流側とが、連通孔37bで連通している。さらに、収容室39における現像剤搬送方向の下流側と、収容室38における現像剤搬送方向の上流側とが、連通孔37aで連通している。それゆえ、供給スクリュー32により現像剤Dが搬送される第1搬送路98と、攪拌スクリュー33により現像剤Dが搬送される第2搬送路99とが、連通孔37a、37b(第1、第2連通路)を介して連通する。これにより、ハウジング30内に現像剤Dの循環路(現像剤Dが矢印T1、T3、T2、T4の順に搬送される経路)が形成される。現像剤Dは、当該循環路を循環搬送される。
【0068】
循環路上において収容室38内を供給スクリュー32により現像剤Dが搬送される際に、現像剤Dの一部が、供給スクリュー32に隣接配置されている現像ローラー31に供給される。現像ローラー31に供給された現像剤Dは、感光体ドラム10Y上の静電潜像をトナーで顕像化するのに用いられる。
【0069】
<C.現像剤の滞留>
図4は、
図2のQ-Q線における矢視断面図である。
【0070】
図4を参照して、ハウジング30内の収容室39には、現像剤Dを攪拌搬送させる攪拌スクリュー33が収容されている。攪拌スクリュー33は、上述したように、回転軸33aと、回転軸33aの外周面に沿って螺旋状に設けられてなるスクリュー羽根33bとを有する。
【0071】
回転軸33aは、軸方向両端部が収容室39の軸方向両側壁に軸受部材(図示せず)などを介して回転自在に支持されている。回転軸33aは、左端側の軸部分33zが側壁の外に延出されている。回転軸33aは、軸部分33zにギア(不図示)が取着され、かつ、当該ギアからの回転駆動力により回転駆動される。
【0072】
回転軸33aの外周面に設けられたスクリュー羽根33bは、回転軸33aの回転により収容室39内の現像剤Dに搬送方向(矢印T2A、T2B方向)の搬送力を付与する。収容室39の底部には、透磁率センサー8Yが備えられている。透磁率センサー8Yは、検知域81内の現像剤Dの透磁率を計測する。
【0073】
攪拌スクリュー33は、透磁率センサー8Yの検知域81付近においてスクリュー羽根33bがない構成になっている。透磁率センサー8Yの検知域81付近において現像剤Dに付与される搬送力(矢印T2B付近での搬送力)は、スクリュー羽根33bの存在する箇所において、現像剤Dに付与される搬送力(矢印T2A付近での搬送力)よりも小さくなっている。このように透磁率センサー8Yの検知域81付近で搬送力を落とすことにより、透磁率センサー8Yの測定精度を向上させている。
【0074】
現像槽内の攪拌スクリュー33の回転が停止して現像剤Dが放置されると、現像剤Dの帯電量が低下する。これにより、トナー同士の反発力が低下する。その結果、現像剤Dが締まり、嵩密度が大きくなる。透磁率センサー8Yは、検知域81の透磁率を測定することによりトナー濃度を測定する。それゆえ、嵩密度が大きくなると、トナー濃度の測定値は本来なるべき値よりも低めとなる。トナー濃度の測定値は、検知域81以外の箇所のトナー濃度(たとえば、現像ローラー31上のトナー濃度)の実測値よりも低めとなる。
【0075】
このような現象は、攪拌スクリュー33を回転させることで一部解消される。しかしながら、攪拌スクリュー33を回転を停止してからの現像剤Dの放置時間が長くなる、あるいは高温多湿な状況に現像剤Dがさらされることにより、現像剤Dがより顕著に締まって動きにくくなる。このため、単に攪拌スクリュー33を回転させるだけでは、透磁率センサー8Y付近に嵩密度の大きい現像剤Dが滞留することを回避できない。その結果、トナー濃度の測定値が本来なるべき値よりも低めに計測されてしまう。
【0076】
透磁率センサー8Yの検知域81付近において現像剤Dの搬送力が落とされていること、および、現像剤Dの放置によって現像剤Dが締まることにより動きやすさが低下していることにより、透磁率センサー8Yの検知域81付近の壁面に現像剤Dの一部がへばりついて滞留することが生じ易くなる。
【0077】
図5は、検知域81付近の壁面に現像剤Dの一部がへばりついて滞留している状態を表した模式図である。
【0078】
図5を参照して、現像剤Dの一部の滞留が生じると、透磁率センサー8Yの検知域81付近に滞留して攪拌搬送されない現像剤82と、通常通り攪拌搬送される現像剤83とに現像剤Dが分離した状態になってしまう。このような状態で、透磁率センサー8Yによってトナー濃度が低いと検出されると、トナーホッパー7Yから新規トナーが収容室39に補給される。しかしながら、当該新規トナーは、滞留している現像剤82には取り込まれ難い。それゆえ、検知域81付近は、現像剤82のトナー濃度が低いままとなる。
【0079】
このため、現像剤83のトナー濃度が実際には目標値まで上昇していても、収容室39へのトナー補給が継続されてしまう。その結果、現像剤83のトナー濃度が目標値よりも高くなり、トナー過補給という状況が起こる。
【0080】
以下では、透磁率センサー8Yの検知域81付近に一部の現像剤82が滞留し、検知域81付近のトナー濃度と、検知域81付近以外のトナー濃度とが異なる状況に陥ってしまうことを、説明の便宜上、「現像剤の部分的滞留」とも称する。なお、現像剤の部分的滞留は、現像部13Yと同様に、現像部13M,13C,13Kでも起こり得る。
【0081】
図6は、現像剤の部分的滞留が発生したときの、透磁率センサー8Yによって測定されたトナー濃度(現像剤82のトナー濃度に相当)と、現像ローラー31上のトナー濃度(現像剤83のトナー濃度に相当)と、現像部13Y内へのトナー補給量との関係を示す図である。
【0082】
図6を参照して、時刻tdより後に、トナー補給量が上昇しても、透磁率センサー8Yによって測定されたトナー濃度(透磁率センサー測定値)は、目標トナー濃度よりも低いままである。現像ローラー31上のトナー濃度が目標トナー濃度を超えて上昇し続けるトナー過補給状態に陥っている。
【0083】
<D.現像剤の入れ替わり率>
図7は、放置時間と現像剤Dの入れ
替わり率との関係を表した図である。なお、放置時間とは、スクリュー部60(すなわち、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33)の回転を停止してからの経過時間である。現像剤Dの入れ
替わり率は、現像剤Dの滞留のしやすさを表す指標である。
【0084】
放置後に現像剤Dがどの程度締まっていて、かつどれくらい滞留しやすくなっているかは、放置時間から正確に判定することができる。実際に、現像剤Dの滞留しやすさを実験により確認した。具体的には、現像剤Dの滞留のしやすさを、通常の現像剤Dと異なる色の現像剤Dを現像器6Y内で2周相当分循環させた後に、初期に入っていた現像剤Dがどれだけ入れ替わっているかにより確認した。
【0085】
図7を参照して、放置時間が8時間を過ぎると、入れ替わり率が低下している。すなわち、放置時間が8時間を過ぎると、現像剤Dが滞留していることを示している。このように、放置時間が少なくとも8時間を経過した時点では、現像剤の部分的滞留が発生していることが分かる。
【0086】
そこで、本実施の形態では、放置時間に着目した制御を行なう。制御の詳細については、後述する。
【0087】
<E.機能的構成>
図8は、画像形成装置1の制御部を説明するための模式図である。
【0088】
図8を参照して、画像形成装置1の各部を動作させる制御部100(コントローラー)は、主制御部51と、イエロー用の現像器制御部120Yと、マゼンタ用の現像器制御部120Mと、シアン用の現像器制御部120Cと、ブラック用の現像器制御部120Bとを含む。主制御部51は、現像器6Y,6M,6C,6K以外の部材の動作を制御する。主制御部51が、複数の制御部によって構成されてもよい。
【0089】
主制御部51は、典型的には、CPU等のプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。主制御部51は、ASIC等のハードウェアにより実現されてもよい。また、現像器制御部120Y,120M,120C,120Bの各々も、CPU等のプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。現像器制御部120Y,120M,120C,120Bの各々は、ASIC等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0090】
なお、
図8では、制御部100が複数の制御部によって構成された例を示したが、これに限定されない。1つの制御部(たとえば1つの制御基板)が画像形成装置1の全体を制御する構成としてもよい。
【0091】
図9は、画像形成装置1の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
図9を参照して、画像形成装置1は、主制御部51と、現像器6Y,6M,6C,6Kと、温度センサー182Y,182M,182C,182Kと、湿度センサー184Y,184M,184C,184Kと、トナー補給部130Y,130M,130C,130Kとを備える。
【0092】
温度センサー182Y,182M,182C,182Kは、画像形成装置1の内部温度を測定する。湿度センサー184Y,184M,184C,184Kは、画像形成装置1の内部湿度を測定する。なお、測定場所と、測定された内部温度および内部湿度を利用する制御方法とについては、他の実施の形態で説明する。
【0093】
現像器6Yは、現像器制御部120Yと、収容室39とを備える。現像器制御部120Yは、判定部122を含む。収容室39は、トナー濃度検出部140と、攪拌部150とを含む。
【0094】
現像器制御部120Yは、現像器6Yの動作を制御する。現像器制御部120Yは、攪拌部150と、供給部160と、動作を制御する。現像器制御部120Yは、現像器6Y内のトナー濃度を制御する。現像器制御部120Yは、トナーホッパー7Yから収容室39に補給するトナー量を算出する。
【0095】
トナー濃度検出部140は、透磁率センサー8Yに相当する。すなわち、トナー濃度検出部140は、検知域81内のトナー濃度を検出する。
【0096】
供給部160は、収容室38内の現像剤Dを現像ローラー31に搬送する。供給部160は、供給スクリュー32に相当する。
【0097】
攪拌部150は、収容室39内の現像剤Dを攪拌する。攪拌部150は、現像剤Dを攪拌することにより、キャリアとトナーとを混ぜる。攪拌部150は、攪拌スクリュー33に相当する。
【0098】
このように、現像器制御部120Yは、供給スクリュー32の回転と、攪拌スクリュー33の回転とを制御する。すなわち、現像器制御部120Yは、スクリュー部60(
図2参照)の回転動作を制御する。
【0099】
詳しくは、現像器制御部120Yは、供給スクリュー32の回転速度と、攪拌スクリュー33の回転速度とを制御する。現像器制御部120Yは、画像形成時には、現像ローラー31にトナーを供給するために、供給スクリュー32と攪拌スクリュー33とを、予め定められた速度VLで回転させる。速度VLは、たとえば、300rpmである。
【0100】
トナー補給部130Yは、収容室39にトナーを供給する。詳しくは、トナー補給部130Yは、現像器制御部120Yからの指示基づき、トナーを補給する。ある局面において、トナー補給部130Yは、現像器制御部120Yからの指示基づき、現像器制御部120Yで算出された量のトナーを補給する。トナー補給部130Yは、トナーホッパー7Yに相当する。
【0101】
現像器制御部120Yの判定部112は、画像形成後に、予め定められた条件が成立したか否かを判定する。判定部112は、前回(直近)の画像形成が行なわれた後に、予め定められた条件が成立したか否かを判定する。本実施の形態では、予め定められた条件は、「速度VLでのスクリュー部60の回転が停止してからの経過時間が予め定められた時間(閾値Th1)以上になったこと」である。予め定められた時間(閾値Th1)は、
図7に基づき説明したように、たとえば8時間である。
【0102】
以下では、現像剤の部分的滞留を解消する方法を説明する。なお、イエロー用の現像器6Yを例に挙げて説明することにより、他の現像器6M,6C,6Kについての重複する説明を繰り返さない。
【0103】
速度VLでの供給スクリュー32および攪拌スクリュー33の回転が停止してからの経過時間が8時間(閾値Th1)以上になったと判定された場合、現像器制御部120Yは、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33を、通常の画像形成時の回転速度である速度VLよりも早い速度VHで所定の時間Pだけ回転させる。
【0104】
供給スクリュー32および攪拌スクリュー33の回転速度が500rpmよりも遅くなると、滞留した現像剤Dを動かす力が弱まる。また、当該回転速度が700rpmよりも早くなると現像剤Dを動かす力は大きくなるが、強いストレスにより現像剤Dの外添剤が剥がれたり、あるいは埋没したりする。これにより、現像剤Dが劣化し、帯電量が低下する。その結果、かぶり、または粉煙などの品質低下が発生する。そのため、速度VHは、500rpm以上かつ700rpm以下の速度とすることが好ましい。
【0105】
所定の時間Pは、上述したストレスによる劣化を抑制するために、300秒以下であることが好ましい。
【0106】
現像器制御部120Yは、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33を速度VHで回転させるときには、トナー補給部130Yからの収容室39へのトナー補給を停止させる。
【0107】
以下では、速度VHを550rpmとし、かつ所定の時間Pを30秒とした場合を例に挙げて説明する。
【0108】
<F.制御構造>
図10は、画像形成装置1で実行される処理の流れを説明するフロー図である。詳しくは、
図10は、ジョブに基づいた画像形成が行なわれた後の処理の流れを説明するフロー図である。なお、イエロー用の現像器6Yを例に挙げて説明することにより、他の現像器6M,6C,6Kについての重複する説明を繰り返さない。
【0109】
図10を参照して、ステップS1において、現像器制御部120Yは、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33との回転を停止してから8時間が経過したか否かを判断する。8時間が経過したと判断された場合(ステップS1においてYES)、現像器制御部120Yは、ステップS2において、トナー補給に関する動作モードを、トナー補給を許可するモードから、トナー補給を禁止するモードに移行する。8時間が経過していないと判断された場合(ステップS1においてNO)、現像器制御部120Yは、処理をステップS1に戻す。
【0110】
ステップS3において、現像器制御部120Yは、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33との回転速度の設定値を300rpm(速度VL)から550rpm(速度VH)に切換えて、550rpmの速度で供給スクリュー32および攪拌スクリュー33とを回転させる。ステップS4において、現像器制御部120Yは、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33を550rpmで30秒間回転させたか否かを判断する。詳しくは、現像器制御部120Yは、550rpmの速度で供給スクリュー32および攪拌スクリュー33を回転させてから30秒が経過したか否かを判断する。
【0111】
30秒回転させたと判断された場合(ステップS4においてYES)、現像器制御部120Yは、ステップS5において、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33との回転を停止させる。30秒回転していないと判断された場合(ステップS4においてNO)、現像器制御部120Yは、処理をステップS4に戻す。
【0112】
ステップS6において、現像器制御部120Yは、透磁率センサー8Yによって計測されたトナー濃度が予め規定された基準値よりも1%以上低いか否かを判断する。トナー濃度が基準値よりも1%以上低いと判断された場合(ステップS6において、YES)、現像器制御部120Yは、ステップS9において、550rpmの速度で供給スクリュー32および攪拌スクリュー33とをさらに30秒間回転させる。すなわち、現像器6Yは、現像剤Dの再攪拌を行う。
【0113】
トナー濃度と基準値との差が1%未満であると判断された場合(ステップS6において、NO)、ステップS7において、現像器制御部120Yは、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33との回転速度の設定値を550rpmから300rpmに切換える。ステップS8において、現像器制御部120Yは、トナー補給に関する動作モードを、トナー補給を禁止するモードから、トナー補給を許可するモードに移行する。
【0114】
以下では、説明の便宜上、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33を550rpmで30秒間回転させることを、「攪拌制御」とも称する。
【0115】
<G.対比>
実験により攪拌制御の効果を確認した。
図11および
図12は、攪拌制御による効果を説明するための図である。
【0116】
図11は、攪拌制御を実施した場合と実施しなか
った場合との入れ替わり率を比較した図である。
【0117】
図11を参照して、攪拌制御を行なった場合には、攪拌制御を行なわなかった場合よりも入れ替わり率が高くなっている。すなわち、攪拌制御を行なった場合には、攪拌制御を行なわなかった場合よりも、現像剤Dが滞留していない状態となっている。
【0118】
図12は、攪拌制御を実施した場合と実施しなかった場合とにおけるトナー濃度を比較した図である。
【0119】
図12を参照して、攪拌制御を行なった場合と、攪拌制御を行なわなかった場合とでは、トナー濃度の本来なるべき値は、大差がない。その一方、
図11に示したように攪拌制御によって現像剤Dの入れ
替わり率が高くなったため、攪拌制御を行なった場合には、攪拌制御を行なわなかった場合よりも透磁率センサー8Yの測定値が高くなっている。
【0120】
また、同様の理由により、攪拌制御を行なった場合には、攪拌制御を行なわなかった場合よりも、トナー濃度の本来なるべき値と透磁率センサー8Yの測定値との差が小さくなっている。攪拌制御を行なった場合には、トナー濃度の本来なるべき値と透磁率センサー8Yの測定値とが略同等になった。
【0121】
このように、攪拌制御により、攪拌スクリュー33から離れた位置で滞留している現像剤Dに対して、搬送方向(
図3の矢印T2方向)向かう力を与えることにより、現像剤の部分的滞留を解消することができた。すなわち、現像剤Dの放置によって現像剤Dが締まるような状況となった場合に、このような状況を解消することができた。
【0122】
なお、攪拌制御時はトナー補給を禁止するモードに移行しているが、数百mgのトナーがトナーホッパーから自然落下することもある。このような場合であっても、現像剤の部分的滞留を問題なく解消することができる。
【0123】
<H.変形例>
(1)上記においては、予め定められた条件を放置時間に関する条件のみとした。しかしながら、これに限定されず、予め定められた条件に、「現像器制御部120Yが次の画像形成のジョブを受け付けたこと」を含めてもよい。すなわち、予め定められた条件を、「速度VLでのスクリュー部60の回転が停止してからの経過時間が予め定められた時間(閾値Th1)以上になったこと、および次の画像形成のジョブを受け付けたこと」としてもよい。
【0124】
このような構成によれば、画像形成時において、トナーが過補給されることを抑制することができる。
【0125】
(2)上記においては、供給スクリュー32と攪拌スクリュー33とが同期しており、かつ同じ速度で回転する場合を説明した。このような構成以外の場合には、以下のような制御を行なってもよい。
【0126】
上述した予め定められた条件が成立した場合、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33とのうち攪拌スクリュー33のみを所定の時間だけ速度VHで回転させてもよい。
【0127】
上述した予め定められた条件が成立した場合、攪拌スクリュー33を所定の時間Pだけ速度VHで回転させ、供給スクリュー32を700rpm以下であって、かつ速度VHとは異なる速度VH’で回転させてよい。また、速度VH’で供給スクリュー32を回転させる時間は、所定の時間Pであってもよいし、所定の時間Pとは異なる時間P’であってもよい。時間P’は、300秒以下であることが好ましい。
【0128】
(3)また、速度VHを一定速度ではなく、速度VHを500rpm以上かつ700rpm以下の範囲で変動させてもよい。
【0129】
[実施の形態2]
本実施の形態では、実施の形態1と異なる点について説明し、実施の形態1と同じ点については繰り返し説明しない。
【0130】
実施の形態1では、予め定められた条件を、「速度VLでのスクリュー部60の回転が停止してからの経過時間が予め定められた時間(閾値Th1)以上になったこと」とした。本実施の形態では、上述した予め定められた条件を、「速度VLでのスクリュー部60の回転が停止した後における画像形成装置1の内部温度に基づく値が、予め定められた温度(閾値Th2)以上となったこと」とする。
【0131】
本実施の形態においてもイエロー用の現像器6Yを例に挙げて説明することにより、他の現像器6M,6C,6Kについての重複する説明を繰り返さない。
【0132】
本実施の形態では、温度センサー182Y(
図9参照)は、現像器6Yに設けられている。たとえば、温度センサー182Yは、ハウジング30の表面(詳しくは、現像槽70を構成する内壁面とは逆の面)に装着されている。温度センサー182Yは、現像槽70に対応する領域に装着されている。典型的には、温度センサー182Yは、攪拌スクリュー33が設けられた収容室39に対応する領域に設けられている。このように、温度センサー182Yは、画像形成装置1の内部温度として、現像槽70の外側領域の温度(外部温度)を測定する。
【0133】
図13は、現像槽70の外部温度と現像剤Dの入れ
替わり率との関係を表した図である。放置後に現像剤Dがどの程度締まっていて、かつどれくらい滞留しやすくなっているかは、現像器6Yの温度から正確に判定することができる。典型的には、放置後に現像剤Dがどの程度締まっていて、かつどれくらい滞留しやすくなっているかは、以下の実験結果から分るように、現像槽70の外部温度(具体的には、現像槽70の外側領域の温度、現像槽70の周囲温度)または現像槽70の内部温度から正確に判定することができる。
【0134】
現像剤Dの滞留のしやすさを、通常の現像剤Dと異なる色の現像剤Dを現像器6Y内で2周相当分循環させた後に、初期に入っていた現像剤Dがどれだけ入れ替わっているかにより確認した。
【0135】
図13を参照して、内部温度が25℃以上となると、入れ替わり率が低下している。すなわち、内部温度が25℃以上となると、現像剤Dが滞留していることを示している。このように、内部温度が25℃以上となると、現像剤の部分的滞留が発生していることが分かる。そこで、本実施の形態では、内部温度に着目した制御を行なう。
【0136】
図14は、本実施の形態に係る画像形成装置1で実行される処理の流れを説明するフロー図である。詳しくは、
図14は、ジョブに基づいた画像形成が行なわれた後の処理の流れを説明するフロー図である。
【0137】
図14を参照して、本実施の形態は、実施の形態1の
図10のステップS1の代わりに、ステップS1Aを備える点で異なる。
図14のステップS2~S9は、実施の形態1の
図10のステップS2~S9と同じである。それゆえ、以下では、ステップS1Aに着目して説明する。
【0138】
ステップS1Aにおいて、現像器制御部120Yは、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33との回転が停止した後の内部温度の平均値が、25℃(閾値Th2)以上となったか否かを判断する。平均値が25℃以上となったと判断された場合(ステップS1AにおいてYES)、現像器制御部120Yは、処理をステップS2に進める。平均値が25℃未満であると判断された場合(ステップS1AにおいてNO)、現像器制御部120Yは、処理をステップS1Aに戻す。
【0139】
本実施の形態でも、ステップS4に基づく処理(攪拌制御)により、攪拌スクリュー33から離れた位置で滞留している現像剤Dに対して、搬送方向(
図3の矢印T2方向)向かう力を与えることができる。それゆえ、現像剤の部分的滞留を解消することができる。すなわち、現像剤Dの放置によって現像剤Dが締まるような状況となった場合に、このような状況を解消することができる。
【0140】
<変形例>
(1)上記においては、画像形成装置1の内部温度に基づく値として、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33との回転が停止した後の内部温度の平均値を用いた。しかしながら、これに限定されるものではない。画像形成装置1の内部温度に基づく値として、内部温度の所定時間毎の平均値(すなわち、区間平均)を用いてもよい。たとえば、4時間毎の内部温度の平均値が閾値Th2を超えたか否かを判定するように、現像器制御部120Yを構成してもよい。
【0141】
現像器制御部120Yは、所定時間毎の平均値に基づいた判定を行なうことにより、現像剤の部分的滞留の有無をより高い精度で判定できる。
【0142】
(2)「画像形成装置1の内部温度に基づく値」の代わりに、画像形成装置1の内部温度そのものを用いてもよい。
【0143】
(3)上記においては、温度センサー182Yは、画像形成装置1の内部温度として、現像槽70の外側の表面温度を測定した。しかしながら、測定位置は、これに限定されるものではない。
【0144】
たとえば、画像形成装置1の内部温度として、現像槽70の周囲の温度を測定するように、温度センサー182Yを設置してもよい。あるいは、画像形成装置1の内部温度として、現像槽70内の温度を測定するように、温度センサー182Yを現像槽70内に設置してもよい。
【0145】
(4)上記においては、色毎に温度センサー182Y,182M,182C,182Kを設けたが、これに限定されるものではない。各色で共通に用いる温度センサーを1つ設けて、各色の現像器制御部120Y等が当該温度センサーによる測定結果を用いてもよい。この場合、画像形成装置1の内部温度として、現像槽70の周囲の温度を測定するように、温度センサーを設置すればよい。このような構成によれば、温度センサーの数を低減できる。
【0146】
(5)実施の形態1で述べた変形例を本実施の形態でも適用可能である。
[実施の形態3]
本実施の形態では、実施の形態1と異なる点について説明し、実施の形態1と同じ点については繰り返し説明しない。
【0147】
実施の形態1では、予め定められた条件を、「速度VLでのスクリュー部60の回転が停止してからの経過時間が予め定められた時間(閾値Th1)以上になったこと」とした。本実施の形態では、上述した予め定められた条件を、「速度VLでのスクリュー部60の回転が停止した後における画像形成装置1の内部湿度に基づく値が、予め定められた湿度(閾値Th3)以上となったこと」とする。
【0148】
本実施の形態においてもイエロー用の現像器6Yを例に挙げて説明することにより、他の現像器6M,6C,6Kについての重複する説明を繰り返さない。
【0149】
本実施の形態では、湿度センサー184Y(
図9参照)は、現像器6Yに設けられている。たとえば、湿度センサー184Yは、ハウジング30の表面(詳しくは、現像槽70を構成する内壁面とは逆の面)に装着されている。湿度センサー184Yは、現像槽70に対応する領域に装着されている。典型的には、湿度センサー184Yは、攪拌スクリュー33が設けられた収容室39に対応する領域に設けられている。このように、湿度センサー184Yは、画像形成装置1の内部湿度として、現像槽70の外側領域の湿度(外部湿度)を測定する。
【0150】
図15は、現像槽70の外部湿度と現像剤Dの入れ
替わり率との関係を表した図である。放置後に現像剤Dがどの程度締まっていて、かつどれくらい滞留しやすくなっているかは、現像器6Yの湿度から正確に判定することができる。典型的には、放置後に現像剤Dがどの程度締まっていて、かつどれくらい滞留しやすくなっているかは、以下の実験結果から分るように、現像槽70の外部湿度(具体的には、現像槽70の外側領域の表面湿度、現像槽70の周囲湿度)または、現像槽70の内部湿度から正確に判定することができる。
【0151】
現像剤Dの滞留のしやすさを、通常の現像剤Dと異なる色の現像剤Dを現像器6Y内で2周相当分循環させた後に、初期に入っていた現像剤Dがどれだけ入れ替わっているかにより確認した。
【0152】
図15を参照して、内部湿度が15g/m
3以上となると、入れ替わり率が低下している。すなわち、内部湿度が15g/m
3以上となると、現像剤Dが滞留していることを示している。このように、内部湿度が15g/m
3以上となると、現像剤の部分的滞留が発生していることが分かる。そこで、本実施の形態では、内部湿度に着目した制御を行なう。
【0153】
図16は、本実施の形態に係る画像形成装置1で実行される処理の流れを説明するフロー図である。詳しくは、
図14は、ジョブに基づいた画像形成が行なわれた後の処理の流れを説明するフロー図である。
【0154】
図16を参照して、本実施の形態は、実施の形態1の
図10のステップS1の代わりに、ステップS1Bを備える点で異なる。
図14のステップS2~S9は、実施の形態1の
図10のステップS2~S9と同じである。それゆえ、以下では、ステップS1Bに着目して説明する。
【0155】
ステップS1Bにおいて、現像器制御部120Yは、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33との回転が停止した後の内部湿度の平均値が、15g/m3(閾値Th3)以上となったか否かを判断する。平均値が15g/m3以上となったと判断された場合(ステップS1BにおいてYES)、現像器制御部120Yは、処理をステップS2に進める。平均値が15g/m3未満であると判断された場合(ステップS1BにおいてNO)、現像器制御部120Yは、処理をステップS1Bに戻す。
【0156】
本実施の形態でも、ステップS4に基づく処理(攪拌制御)により、攪拌スクリュー33から離れた位置で滞留している現像剤Dに対して、搬送方向(
図3の矢印T2方向)向かう力を与えることができる。それゆえ、現像剤の部分的滞留を解消することができる。すなわち、現像剤Dの放置によって現像剤Dが締まるような状況となった場合に、このような状況を解消することができる。
【0157】
<変形例>
(1)上記においては、画像形成装置1の内部湿度に基づく値として、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33との回転が停止した後の内部湿度の平均値を用いた。しかしながら、これに限定されるものではない。画像形成装置1の内部湿度に基づく値として、内部湿度の所定時間毎の平均値(すなわち、区間平均)を用いてもよい。たとえば、4時間毎の内部湿度の平均値が閾値Th3を超えたか否かを判定するように、現像器制御部120Yを構成してもよい。
【0158】
現像器制御部120Yは、所定時間毎の平均値に基づいた判定を行なうことにより、現像剤の部分的滞留の有無をより高い精度で判定できる。
【0159】
(2)「画像形成装置1の内部湿度に基づく値」の代わりに、画像形成装置1の内部湿度を用いてもよい。
【0160】
(3)上記においては、湿度センサー184Yは、画像形成装置1の内部湿度として、現像槽70の外側の表面湿度を測定した。しかしながら、測定位置は、これに限定されるものではない。
【0161】
たとえば、画像形成装置1の内部湿度として、現像槽70の周囲の湿度を測定するように、湿度センサー184Yを設置してもよい。あるいは、画像形成装置1の内部湿度として、現像槽70内の湿度を測定するように、湿度センサー184Yを現像槽70内に設置してもよい。
【0162】
(4)上記においては、色毎に湿度センサー184Y,184M,184C,184Kを設けたが、これに限定されるものではない。各色で共通に用いる湿度センサーを1つ設けて、各色の現像器制御部120Y等が当該湿度センサーによる測定結果を用いてもよい。この場合、画像形成装置1の内部湿度として、現像槽70の周囲の湿度を測定するように、湿度センサーを設置すればよい。このような構成によれば、湿度センサーの数を低減できる。
【0163】
(5)実施の形態1で述べた変形例を本実施の形態でも適用可能である。
[実施の形態4]
本実施の形態では、実施の形態2と異なる点について説明し、実施の形態2(変形例を含む)と同じ点については繰り返し説明しない。
【0164】
実施の形態2では、予め定められた条件を、「速度VLでのスクリュー部60の回転が停止した後における画像形成装置1の内部温度に基づく値が、予め定められた温度(閾値Th2)以上となったこと」とした。詳しくは、内部温度に基づく値として、温度の平均値または所定時間毎の平均値を用いた。
【0165】
本実施の形態では、内部温度に基づく値として、所定時間内(たとえば2時間)における内部温度の最大値と最小値との差を用いる。また、予め定められた温度を、一例として、10℃とする。
【0166】
本実施の形態においてもイエロー用の現像器6Yを例に挙げて説明することにより、他の現像器6M,6C,6Kについての重複する説明を繰り返さない。
【0167】
図17は、現像槽70の外部温度と現像剤Dの入れ
替わり率との関係を表した図である。放置後に現像剤Dがどの程度締まっていて、かつどれくらい滞留しやすくなっているかは、現像器6Yの所定時間における温度変化から正確に判定することができる。典型的には、放置後に現像剤Dがどの程度締まっていて、かつどれくらい滞留しやすくなっているかは、以下の実験結果から分るように、現像槽70の所定時間における温度変化(具体的には、現像槽70の外側の表面温度の変化、現像槽70の周囲温度の変化、現像槽70の内部温度の変化)から正確に判定することができる。
【0168】
現像剤Dの滞留のしやすさを、通常の現像剤Dと異なる色の現像剤Dを現像器6Y内で2周相当分循環させた後に、初期に入っていた現像剤Dがどれだけ入れ替わっているかにより確認した。
【0169】
詳しくは、第1のケースとして、2時間で内部温度を25℃から15℃まで10℃低下させた。第2のケースとして、2時間で内部温度を15℃から25℃まで10℃上昇させた。第3のケースとして、2時間の内部温度の変化を10℃未満とした。これら3つケースにおける現像剤Dの入れ替わり率を求めた。
【0170】
図17を参照して、2時間で内部温度が25℃から15℃まで10℃低下させた場合は、2時間の内部温度の変化を10℃未満とした場合に比べて、入れ替わり率が低い。同様に、2時間で内部温度が15℃から25℃まで10℃上昇させた場合は、2時間の内部温度の変化を10℃未満とした場合に比べて、入れ替わり率が低い。
【0171】
すなわち、2時間での内部温度の変化が10℃以上となると、現像剤Dが滞留していることを示している。このように、2時間での内部温度の変化が10℃以上となると、現像剤の部分的滞留が発生していることが分かる。そこで、本実施の形態では、所定時間内の内部温度の変化に着目した制御を行なう。
【0172】
図18は、本実施の形態に係る画像形成装置1で実行される処理の流れを説明するフロー図である。詳しくは、
図18は、ジョブに基づいた画像形成が行なわれた後の処理の流れを説明するフロー図である。
【0173】
図18を参照して、本実施の形態は、実施の形態2の
図14のステップS1Aの代わりに、ステップS1Cを備える点で異なる。
図14のステップS2~S9は、実施の形態2の
図14のステップS2~S9と同じである。それゆえ、以下では、ステップS1Cに着目して説明する。
【0174】
ステップS1Cにおいて、現像器制御部120Yは、供給スクリュー32および攪拌スクリュー33との回転が停止した後の2時間内における内部温度の最大値と最小値との差が、10℃以上となったか否かを判断する。当該差が10℃以上となったと判断された場合(ステップS1CにおいてYES)、現像器制御部120Yは、処理をステップS2に進める。当該差が10℃未満であると判断された場合(ステップS1CにおいてNO)、現像器制御部120Yは、処理をステップS1Cに戻す。
【0175】
本実施の形態でも、ステップS4に基づく処理(攪拌制御)により、攪拌スクリュー33から離れた位置で滞留している現像剤Dに対して、搬送方向(
図3の矢印T2方向)向かう力を与えることができる。それゆえ、現像剤の部分的滞留を解消することができる。すなわち、現像剤Dの放置によって現像剤Dが締まるような状況となった場合に、このような状況を解消することができる。
【0176】
なお、本実施の形態においても、実施の形態1で述べた変形例を適用可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0177】
1 画像形成装置、2C,2K,2M,2Y 作像部、3 中間転写部、4 部、5 定着部、5a 加熱ローラー、5b 加圧ローラー、6C,6K,6M,6Y 現像器、7C,7K,7M,7Y トナーホッパー、8Y 透磁率センサー、9C,9K,9M,9Y トナー濃度制御部、10C,10K,10M,10Y 感光体ドラム、11C,11K,11M,11Y 帯電部、12 露光部、13C,13K,13M,13Y 現像部、14C,14K,14M,14Y,20 クリーナー、15 中間転写ベルト、16 駆動ローラー、17 従動ローラー、18C,18K,18M,18Y 一次転写ローラー、19 二次転写ローラー、19a 二次転写位置、21 ローラー、22 タイミングローラー、23 排出ローラー、24 排紙トレイ、29 現像位置、30 ハウジング、30z 側壁、31 現像ローラー、31a 現像スリーブ、31b マグネット体、32 供給スクリュー、32a,33a 回転軸、32b,33b スクリュー羽根、32z,33z 軸部分、33 攪拌スクリュー、34 規制部材、37 隔壁、37a,37b 連通孔、38,39 収容室、39a 受入口、39z 下流端部分、51 主制御部、60 スクリュー部、70 現像槽、81 検知域、82,83,D 現像剤、98 第1搬送路、99 第2搬送路、100 制御部、112,122 判定部、120B,120C,120M,120Y 現像器制御部、130C,130K,130M,130Y トナー補給部、140 トナー濃度検出部、150 攪拌部、160 供給部、182C,182K,182M,182Y 温度センサー、184C,184K,184M,184Y 湿度センサー。