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特許7494759電動車両、エネルギー供給装置、及びエネルギー供給システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】電動車両、エネルギー供給装置、及びエネルギー供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240528BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240528BHJP
   B60L 50/70 20190101ALI20240528BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20240528BHJP
   B60L 53/68 20190101ALI20240528BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240528BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240528BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240528BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240528BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20240528BHJP
【FI】
H02J7/00 P
B60L53/14
B60L50/70
B60L53/67
B60L53/68
B60R16/02 660U
H02J13/00 M
H02J13/00 301A
H02J7/00 303E
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021029196
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022130175
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】木野村 茂樹
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-015796(JP,A)
【文献】国際公開第2013/099587(WO,A1)
【文献】特開2011-033068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 53/14
B60L 50/70
B60L 53/67
B60L 53/68
B60R 16/02
H02J 13/00
G06F 13/00
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを供給する複数の供給装置から前記エネルギーを独立的に補給する電動車両であって、
前記複数の供給装置のそれぞれの制御ソフトウェアの少なくとも2つと対応する前記電動車両の複数の車両制御ソフトウェアを保持し、
前記複数の供給装置の中のいずれかであって、かつ、通信料を伴う定期送信の送信設定に代わる手動操作の送信設定に基づいて制御ソフトウェアを取得する特定の供給装置から前記エネルギーを補給する際に、前記特定の供給装置に前記電動車両の車両制御ソフトウェアの版に対応する版の制御ソフトウェアがない場合、前記複数の車両制御ソフトウェアの中から前記特定の供給装置の制御ソフトウェアの版に対応する版の車両制御ソフトウェアを選択する、
制御装置を有する電動車両。
【請求項2】
前記制御装置は、前記特定の供給装置の制御ソフトウェアの版に対応する版の車両制御ソフトウェアを保持しない場合、前記電動車両と通信可能なサーバから前記特定の供給装置の制御ソフトウェアの版に対応する版の車両制御ソフトウェアを取得して選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記電動車両は二次電池を電源として備え、前記複数の供給装置は前記エネルギーとして電力を供給する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動車両。
【請求項4】
前記電動車両は燃料が水素である燃料電池を電源として備え、前記複数の供給装置は前記エネルギーとして前記水素を供給する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動車両。
【請求項5】
エネルギーを複数の電動車両に個別に供給するエネルギー供給装置であって、
前記複数の電動車両のそれぞれの車両制御ソフトウェアの少なくとも2つと対応する前記エネルギー供給装置の複数の制御ソフトウェアを保持し、
前記複数の電動車両の中のいずれかの電動車両に前記エネルギーを供給する際に、前記エネルギー供給装置が前記いずれかの電動車両の車両制御ソフトウェアの版に対応する特定の版の制御ソフトウェアを、通信料を伴う定期送信の送信設定に代わる手動操作の送信設定に基づいて取得していない場合、前記複数の制御ソフトウェアの中から前記いずれかの電動車両の車両制御ソフトウェアの版に対応する前記特定の版以外の版の制御ソフトウェアを選択する、
制御部を有するエネルギー供給装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記いずれかの電動車両の車両制御ソフトウェアの版に対応する前記特定の版の制御ソフトウェアを保持しない場合、前記エネルギー供給装置と通信可能なサーバから前記いずれかの電動車両の車両制御ソフトウェアの版に対応する前記特定の版の制御ソフトウェアを取得して選択する、
ことを特徴とする請求項5に記載のエネルギー供給装置。
【請求項7】
エネルギーを供給する複数の供給装置と、前記複数の供給装置から前記エネルギーを独立的に補給する電動車両とを含むエネルギー供給システムであって、
前記電動車両は、
前記複数の供給装置のそれぞれの制御ソフトウェアの少なくとも2つと対応する前記電動車両の複数の車両制御ソフトウェアを保持し、
前記複数の供給装置の中のいずれかであって、かつ、通信料を伴う定期送信の送信設定に代わる手動操作の送信設定に基づいて制御ソフトウェアを取得する特定の供給装置から前記エネルギーを補給する際に、前記特定の供給装置に前記電動車両の車両制御ソフトウェアの版に対応する版の制御ソフトウェアがない場合、前記複数の車両制御ソフトウェアの中から前記特定の供給装置の制御ソフトウェアの版に対応する版の車両制御ソフトウェアを選択する、
制御装置を有することを特徴とするエネルギー供給システム。
【請求項8】
前記電動車両と通信可能なサーバをさらに含み、
前記制御装置は、前記特定の供給装置の制御ソフトウェアの版に対応する版の車両制御ソフトウェアを保持しない場合、前記サーバから前記特定の供給装置の制御ソフトウェアの版に対応する版の車両制御ソフトウェアを取得して選択する、
ことを特徴とする請求項7に記載のエネルギー供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両、エネルギー供給装置、及びエネルギー供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
充電スタンドの位置、利用可能性及びアクセスのしやすさについての情報を含む充電スタンド情報をサーバが電気自動車に提供する技術が知られている。充電スタンド情報は、利用可能性として、充電スタンドと電気自動車との互換性(例えばプラグタイプのサポート)を含んでいる(以上、例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-212690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電スタンドを含むエネルギー供給装置と電気自動車を含む電動車両との互換性は、プラグタイプといったハードウェアの互換性に限らず、エネルギー供給装置や電動車両を制御するプログラムといったソフトウェアの互換性もある。
【0005】
公共施設や商業施設等の場所に設置されたエネルギー供給装置であれば、このエネルギー供給装置にサーバが例えば有線通信を介して定期的に最新のソフトウェアを提供することで、このエネルギー供給装置を最新の状態に更新することができる。また、サーバがこの最新のソフトウェアと互換性を有する電動車両用のソフトウェアを例えば無線通信を介して電動車両に提供すれば、電動車両は最新の状態に更新されたエネルギー供給装置からエネルギーが供給されて、エネルギーを補給することができる。
【0006】
しかしながら、電動車両の利用頻度が高い自宅などに設置されたエネルギー供給装置の場合、最新のソフトウェアを手動操作により不定期にサーバから取得することがある。最新のソフトウェアの取得を失念すると、上述した電動車両用のソフトウェアが提供された電動車両と自宅などに設置されたエネルギー供給装置とが対応せず、電動車両がこのエネルギー供給装置からエネルギーを補給できなくなる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明では、エネルギーの供給と補給を制御する2つのソフトウェアの不対応を回避する電動車両、エネルギー供給装置、及びエネルギー供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電動車両は、エネルギーを供給する複数の供給装置から前記エネルギーを独立的に補給する電動車両であって、前記複数の供給装置のそれぞれの制御ソフトウェアの少なくとも2つと対応する前記電動車両の複数の車両制御ソフトウェアを保持し、前記複数の供給装置の中のいずれかであって、かつ、通信料を伴う定期送信の送信設定に代わる手動操作の送信設定に基づいて制御ソフトウェアを取得する特定の供給装置から前記エネルギーを補給する際に、前記特定の供給装置に前記電動車両の車両制御ソフトウェアの版に対応する版の制御ソフトウェアがない場合、前記複数の車両制御ソフトウェアの中から前記特定の供給装置の制御ソフトウェアの版に対応する版の車両制御ソフトウェアを選択する、制御装置を有する。
【0009】
上記構成において、前記特定の供給装置の制御ソフトウェアの版に対応する版の車両制御ソフトウェアを保持しない場合、前記電動車両と通信可能なサーバから前記特定の供給装置の制御ソフトウェアの版に対応する版の車両制御ソフトウェアを取得して選択してもよい。
【0010】
上記構成において、前記電動車両は二次電池を電源として備え、前記複数の供給装置は前記エネルギーとして電力を供給してもよい。
【0011】
上記構成において、前記電動車両は燃料が水素である燃料電池を電源として備え、前記複数の供給装置は前記エネルギーとして前記水素を供給してもよい。
【0012】
本発明に係るエネルギー供給装置は、エネルギーを複数の電動車両に個別に供給するエネルギー供給装置であって、前記複数の電動車両のそれぞれの車両制御ソフトウェアの少なくとも2つと対応する前記エネルギー供給装置の複数の制御ソフトウェアを保持し、前記複数の電動車両の中のいずれかの電動車両に前記エネルギーを供給する際に、前記エネルギー供給装置が前記いずれかの電動車両の車両制御ソフトウェアの版に対応する特定の版の制御ソフトウェアを、通信料を伴う定期送信の送信設定に代わる手動操作の送信設定に基づいて取得していない場合、前記複数の制御ソフトウェアの中から前記いずれかの電動車両の車両制御ソフトウェアの版に対応する前記特定の版以外の版の制御ソフトウェアを選択する、制御部を有する。
【0013】
上記構成において、前記制御部は、前記いずれかの電動車両の車両制御ソフトウェアの版に対応する前記特定の版の制御ソフトウェアを保持しない場合、前記エネルギー供給装置と通信可能なサーバから前記いずれかの電動車両の車両制御ソフトウェアの版に対応する前記特定の版の制御ソフトウェアを取得して選択してもよい。
【0014】
本発明に係るエネルギー供給システムは、エネルギーを供給する複数の供給装置と、前記複数の供給装置から前記エネルギーを独立的に補給する電動車両とを含むエネルギー供給システムであって、前記電動車両は、前記複数の供給装置のそれぞれの制御ソフトウェアの少なくとも2つと対応する前記電動車両の複数の車両制御ソフトウェアを保持し、前記複数の供給装置の中のいずれかであって、かつ、通信料を伴う定期送信の送信設定に代わる手動操作の送信設定に基づいて制御ソフトウェアを取得する特定の供給装置から前記エネルギーを補給する際に、前記特定の供給装置に前記電動車両の車両制御ソフトウェアの版に対応する版の制御ソフトウェアがない場合、前記複数の車両制御ソフトウェアの中から前記特定の供給装置の制御ソフトウェアの版に対応する版の車両制御ソフトウェアを選択する、制御装置を有する。
【0015】
上記構成において、前記電動車両と通信可能なサーバをさらに含み、前記制御装置は、前記特定の供給装置の制御ソフトウェアの版に対応する版の車両制御ソフトウェアを保持しない場合、前記サーバから前記特定の供給装置の制御ソフトウェアの版に対応する版の車両制御ソフトウェアを取得して選択してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エネルギーの供給と補給を制御する2つのソフトウェアの不対応を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1はエネルギー供給システムの全体構成を概略的に示す図である。
図2図2は電動車両の構成の一例を示す図である。
図3図3(a)は電動車両の車両制御ソフトウェア管理表の一例である。図3(b)は電動車両の第1対応表の一例である。図3(c)は電動車両の第2対応表の一例である。
図4図4は車両管理サーバのハードウェア構成の一例である。
図5図5は車両管理サーバの機能構成の一例である。
図6図6は車両管理サーバの車両制御ソフトウェア管理表の一例である。
図7図7はスタンド管理サーバの機能構成の一例である。
図8図8はスタンド管理サーバの制御ソフトウェア管理表の一例である。
図9図9(a)は第1充電スタンドの構成の一例である。図9(b)は第2充電スタンドの構成の一例である。
図10図10(a)は第1充電スタンドの制御ソフトウェア管理表の一例である。図10(b)は第1充電スタンドの第1対応表の一例である。図10(c)は第1充電スタンドの第2対応表の一例である。
図11図11(a)は第2充電スタンドの制御ソフトウェア管理表の一例である。図11(b)は第2充電スタンドの第1対応表の一例である。図11(c)は第2充電スタンドの第2対応表の一例である。
図12図12は第1実施形態に係るエネルギー供給システムの動作の一例を示す処理シーケンス図(その1)である。
図13図13は第1実施形態に係るエネルギー供給システムの動作の一例を示す処理シーケンス図(その2)である。
図14図14は第2実施形態に係るエネルギー供給システムの動作の一例を示す処理シーケンス図(その1)である。
図15図15は第2実施形態に係るエネルギー供給システムの動作の一例を示す処理シーケンス図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0019】
(第1実施形態)
エネルギー供給システムSTは、電動車両100と、管理サーバ群200と、複数の充電スタンド300とを含んでいる。電動車両100は、エンジンを搭載せずに蓄電装置を搭載し、蓄電装置に蓄えられた電力を用いてモータにより走行可能な電気自動車である。電動車両100にはプラグインEV(Electric Vehicle)も含まれる。なお、電動車両100は、モータに加えてエンジンをさらに搭載したハイブリッド車両であってもよいし、蓄電装置に代えて又は蓄電装置と共に、水素を燃料とする燃料電池をさらに搭載した燃料電池車であってもよい。電動車両100は個人の自家用車であってもよいし、法人が所有する社有車であってもよい。
【0020】
管理サーバ群200はクラウドサービスを提供するデータセンターDC内に設置される。管理サーバ群200は車両管理サーバ210やスタンド管理サーバ220など様々な管理サーバを含んでいる。複数の充電スタンド300は第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320を含んでいる。図示しないが、複数の充電スタンド300は第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320以外にも、複数の第1充電スタンド及び第2充電スタンドを含んでいる。第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320はいずれも供給装置及びエネルギー供給装置の一例である。
【0021】
車両管理サーバ210及びスタンド管理サーバ220はLAN(Local Area Network)といった有線通信網によって互いに接続されている。また、車両管理サーバ210及びスタンド管理サーバ220は通信ネットワークNWと接続されている。通信ネットワークNWとしては例えばインターネットがある。
【0022】
通信ネットワークNWには携帯基地局BSが接続される。携帯基地局BSの無線通信可能領域内に電動車両100が含まれていれば、携帯基地局BSは電動車両100と無線通信WLにより通信することができる。携帯基地局BSはOTA(Over the Air)により電動車両100と通信できるといってもよい。したがって、電動車両100は通信ネットワークNW、携帯基地局BS、及び無線通信WLを介して車両管理サーバ210などと互いに通信することができる。なお、無線通信WLには例えばLTE(Long Term Evolution)といった広域無線通信の通信規格が利用される。
【0023】
また、通信ネットワークNWには第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320が接続される。第1充電スタンド310は例えば数十キロワットから数百キロワットの直流電力を供給可能な急速充電スタンドである。第1充電スタンド310は公共施設や商業施設の駐車場などに設置される。第1充電スタンド310は通信系統W1と異なる電力系統311を介して200ボルトの三相交流電源312と接続されている。
【0024】
一方、第2充電スタンド320は例えば数キロワットの直流電力を供給可能な普通充電スタンドである。第2充電スタンド320は電動車両100を所有する個人の自宅の車庫や、電動車両100を所有する企業の駐車場に設置される。第2充電スタンド320は通信系統W2と異なる電力系統321を介して100ボルト又は200ボルトの単相交流電源322と接続されている。
【0025】
第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320はいずれも電動車両100にエネルギーとしての電力を独立的に供給する。例えば第1充電スタンド310が設置された駐車場に電動車両100が駐車していれば、第1充電スタンド310が電動車両100に電力を供給する。逆に、第2充電スタンド320が設置された車庫に電動車両100が駐車していれば、第2充電スタンド320が電動車両100に電力を供給する。電動車両100は第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320から独立的に電力が供給されて充電することができる。
【0026】
ここで、第1充電スタンド310から電力が供給されて電動車両100が充電する場合を具体的に説明する。第1充電スタンド310から電動車両100に電力が供給される場合、第1充電スタンド310から延びる充電ケーブルの先端に設けられた第1コネクタが電動車両100の第1インレットに接続される。そして、電動車両100又は第1充電スタンド310において外部充電の実行が指示されると、第1充電スタンド310から充電ケーブルを通じて電動車両100に電力が供給される。これにより、電動車両100は第1充電スタンド310から電力を補給して充電することができる。第2充電スタンド320から電動車両100に電力が供給される場合については、基本的に第1充電スタンド310の場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0027】
車両管理サーバ210は通信ネットワークNW、携帯基地局BS及び無線通信WLを通じて電動車両100と通信する。車両管理サーバ210は例えば電動車両100から各種の情報を受信する。また、車両管理サーバ210は電動車両100へ電動車両100を制御する車両制御ソフトウェア(具体的には制御プログラムやファームウェアなど)を送信する。車両制御ソフトウェアは電力の補給(即ち充電)に関する動作を制御する補給制御ソフトウェアを含んでいる。
【0028】
電動車両100は新版の車両制御ソフトウェアを、無線通信WLを介して受信し、旧版の車両制御ソフトウェアを削除せずに保持した状態で、旧版の車両制御ソフトウェアを新版の車両制御ソフトウェアに更新する。旧版の車両制御ソフトウェアが新版の車両制御ソフトウェアに更新されることにより、旧版の車両制御ソフトウェアの機能が発揮されずに制限される。そして、新版の車両制御ソフトウェアの機能が発揮される。このように、電動車両100は新版の車両制御ソフトウェアを受信する度に、互いに異なる複数の旧版の車両制御ソフトウェアを蓄積しつつ、新版の車両制御ソフトウェアを保持して最新の状態になる。
【0029】
一方、スタンド管理サーバ220は通信ネットワークNWを通じて第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320と通信する。スタンド管理サーバ220は第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320から各種の情報を受信する。また、スタンド管理サーバ220は第1充電スタンド310へ第1充電スタンド310を制御する制御ソフトウェアを送信する。同様に、スタンド管理サーバ220は第2充電スタンド320へ第2充電スタンド320を制御する制御ソフトウェアを送信する。これらの制御ソフトウェアは電力の供給に関する動作を制御する供給制御ソフトウェアを含んでいる。
【0030】
ここで、スタンド管理サーバ220と第1充電スタンド310との通信について説明する。スタンド管理サーバ220は、例えば設定日時等に基づく第1充電スタンド310からの定期的な要求に応じて、第1充電スタンド310へ新版の制御ソフトウェアを送信する。これにより、第1充電スタンド310はこの新版の制御ソフトウェアを受信する。電動車両100と同様に、第1充電スタンド310は新版の制御ソフトウェアを受信すると、旧版の制御ソフトウェアを削除せずに保持した状態で、旧版の制御ソフトウェアを新版の制御ソフトウェアに更新する。旧版の制御ソフトウェアが新版の制御ソフトウェアに更新されることにより、旧版の制御ソフトウェアの機能が発揮されずに制限される。そして、新版の制御ソフトウェアの機能が発揮される。このように、第1充電スタンド310は新版の制御ソフトウェアを受信する度に、互いに異なる複数の旧版の制御ソフトウェアを蓄積しつつ、新版の制御ソフトウェアを保持して最新の状態になる。
【0031】
次に、スタンド管理サーバ220と第2充電スタンド320との通信について説明する。スタンド管理サーバ220は、随時といった第2充電スタンド320からの非定期的な要求に応じて、第2充電スタンド320へ新版の制御ソフトウェアを送信する。例えば、第2充電スタンド320を利用するユーザが第2充電スタンド320を手動操作して新版の制御ソフトウェアの送信を指示すると、第2充電スタンド320はスタンド管理サーバ220に新版の制御ソフトウェアの送信を要求する。制御ソフトウェアの定期送信が高額な通信料を伴う場合、ユーザによっては動的な定期送信を設定せずに、手動操作に基づく送信を第2充電スタンド320に設定している場合もある。
【0032】
第2充電スタンド320が新版の制御ソフトウェアの送信を要求すると、スタンド管理サーバ220は第2充電スタンド320へ新版の制御ソフトウェアを送信する。これにより、第2充電スタンド320はこの新版の制御ソフトウェアを受信する。第1充電スタンド310と同様に、第2充電スタンド320も新版の制御ソフトウェアを受信する度に、互いに版が異なる複数の旧版の制御ソフトウェアを蓄積しつつ、新版の制御ソフトウェアを保持して最新の状態になる。例えば、電動車両100が最新の状態である場合に、第2充電スタンド320が最新の状態になると、第2充電スタンド320は最新の状態である電動車両100との互換性を有し、電動車両100に電力を供給することができる。言い換えれば、電動車両100は第2充電スタンド320から電力を補給することができる。すなわち、電動車両100は第2充電スタンド320から充電することができる。
【0033】
一方で、ユーザの失念や誤操作等により第2充電スタンド320が最新の状態になっていない場合もある。詳細は後述するが、この場合、電動車両100は、最新の状態になっていない第2充電スタンド320との互換性を確保するために、複数の旧版の車両制御ソフトウェアの中から、第2充電スタンド320の制御ソフトウェアと互換性を有するいずれかの旧版の車両制御ソフトウェアを選択する。これにより、最新の状態ではない第2充電スタンド320であっても、第2充電スタンド320の制御ソフトウェアは電動車両100の車両制御ソフトウェアとの互換性を有する。したがって、第2充電スタンド320は電動車両100に電力を供給でき、電動車両100は第2充電スタンド320から電力を補給することができる。
【0034】
なお、互換性を有するとはソフトウェア同士の対応関係があることをいい、互換性を有しないとはソフトウェア同士の対応関係がないことをいう。充電に関する互換性であれば、上述した制御ソフトウェアと車両制御ソフトウェアに対応関係があることにより、電力及び通信の出力制御及び入力制御が正常に作動する。これにより、例えば最速の充電速度で電動車両100を充電することができる。また、充電が完了するまでの充電完了時間を高精度に算出することができる。その他、外部充電を指示する電動車両100又は第1充電スタンド310若しくは第2充電スタンド320の画面案内を正常に表示することができる。したがって、制御ソフトウェアと車両制御ソフトウェアに対応関係がない場合、例えば充電速度が低下する可能性もあれば、充電完了時間の算出精度が低下する可能性もあれば、画面案内の表示精度(例えば画質など)が低下する可能性もある。
【0035】
図2を参照して、電動車両100の構成を説明する。電動車両100は、蓄電装置110と、システムメインリレーSMRと、PCU(Power Control Unit)120とを備える。また、電動車両100は、MG(Motor Generator)130と、動力伝達ギヤ135と、駆動輪140と、第1インレット150と、第2インレット152と、充電リレーRYとを備える。さらに、電動車両100は、ECU(Electronic Control Unit)160と、DCM(Data Communication Module)170と、GPS(Global Positioning System)受信機172と、CAN(Controller Area Network)通信部174とを備える。ECU160はCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力I/F(インタフェース)のほか、NVM(Non Volatile Memory:不揮発性メモリ)161を含んでいる。
【0036】
蓄電装置110は充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置110は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等の蓄電素子などである。なお、リチウムイオン電池はリチウムを電荷担体とする二次電池である。リチウムイオン電池は電解質が液体であるリチウムイオン電池であってもよいし、電解質が固体である全固体電池であってもよい。
【0037】
蓄電装置110は充電ケーブルを通じて第1インレット150に接続された車両外部の第1充電スタンド310によって充電(外部充電)される。蓄電装置110は充電ケーブルを通じて第2インレット152に接続された車両外部の第2充電スタンド320(図1参照)によって充電(外部充電)されてもよい。そして、蓄電装置110は、走行時にPCU120を通じてMG130へ電力を供給する。また、蓄電装置110は、車両制動中のMG130の回生発電時にPCU120を通じてMG130の発電電力を受けて充電される。
【0038】
システムメインリレーSMRは蓄電装置110に接続される電力線対PL1,NL1とPCU120との間に設けられ、図示しないスタートスイッチ等により車両システムが起動されるとECU160によってオンされる。
【0039】
PCU120はMG130を駆動する駆動装置であり、コンバータやインバータ等の電力変換装置を含んで構成される。PCU120は、ECU160によって制御され、蓄電装置110から供給される直流電力を、MG130を駆動するための交流電力に変換する。また、PCU120はMG130により発電された交流電力を直流電力に変換して蓄電装置110へ出力する。
【0040】
MG130は交流回転電機であり、例えばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機である。MG130はPCU120により駆動されて回転駆動力を発生し、MG130が発生した駆動力は動力伝達ギヤ135を通じて駆動輪140に伝達される。一方、車両の制動時等には、MG130は、発電機として動作し、回生発電を行う。MG130が発電した電力はPCU120を通じて蓄電装置110に供給される。
【0041】
充電リレーRYは第1インレット150や第2インレット152に接続される電力線対DCL1,DCL2と、電力線対PL1,NL1に接続される電力線対PL2,NL2との間に設けられ、外部充電の実行時にECU160によってオンされる。
【0042】
第1インレット150は外部充電時に第1充電スタンド310から供給される電力を受ける。外部充電時、第1インレット150には、第1充電スタンド310の第1コネクタが接続され、第1充電スタンド310から出力される直流電力が、第1インレット150、電力線対DCL1,DCL2、充電リレーRY、電力線対PL2,NL2、及び電力線対PL1,NL1を通じて蓄電装置110に供給される。
【0043】
第2インレット152は外部充電時に第2充電スタンド320(図1参照)から供給される電力を受ける。外部充電時、第2インレット152には、第2充電スタンド320の第2コネクタが接続され、第2充電スタンド320から出力される直流電力が、第2インレット152、電力線対DCL1,DCL2、充電リレーRY、電力線対PL2,NL2、及び電力線対PL1,NL1を通じて蓄電装置110に供給される。
【0044】
DCM170は車両管理サーバ210(図1参照)と通信を行なうための車載通信機である。DCM170は無線通信WL、携帯基地局BS、及び通信ネットワークNWを通じて電動車両100(具体的にはECU160)と車両管理サーバ210との間で双方向通信を行うことができる。GPS受信機172は人工衛星からの電波に基づいて現在位置を特定し、特定された位置情報をECU160へ出力する。GPS受信機172により特定される位置情報は例えばナビゲーション装置(不図示)等において利用される。
【0045】
なお、ナビゲーション装置は地図情報を備えている。地図情報には第1充電スタンド310が設置された様々な施設の位置情報や第2充電スタンド320が設置された場所の位置情報が含まれている。したがって、電動車両100は、電動車両100の現在位置の位置情報と施設等の位置情報とに基づいて、複数の充電スタンド300の機種IDを特定することができる。例えば、電動車両100の至近距離の範囲内に第1充電スタンド310が含まれていれば、急速充電器を表す機種IDを特定することができる。電動車両100の至近距離の範囲内に第2充電スタンド320が含まれていれば、普通充電器を表す機種IDを特定することができる。
【0046】
CAN通信部174は外部充電時に電動車両100(具体的にはECU160)と第1充電スタンド310や第2充電スタンド320との間でCAN通信を行なう。本実施形態では、チャデモ(CHAdeMO)(登録商標)方式に従ってDC充電が行なわれる例が示されており、電動車両100と第1充電スタンド310との間の通信も、チャデモで採用されているCANの通信プロトコルに従って行なわれる。
【0047】
なお、本実施形態に係る電動車両100で採用可能な充電方式は、チャデモ方式に限定されず、例えば欧州及び米国が中心になって標準化が進められているコンボ(Combined Charging System)方式も採用可能である。そして、電動車両100と第1充電スタンド310や第2充電スタンド320との間の通信も、チャデモ方式で採用されているCAN通信に限定されるものではなく、コンボ方式で採用されているPLC(Power Line Communication:電力線通信)で行なってもよいし、近距離無線通信で行なってもよい。
【0048】
ECU160は、電動車両100の走行時には、システムメインリレーSMRをオンにするとともにPCU120を制御することにより、MG130の駆動及び蓄電装置110の充放電を制御する。また、ECU160は、外部充電時には、充電リレーRYをオンにするとともに、CAN通信部174を通じて第1充電スタンド310や第2充電スタンド320へ充電開始要求や充電電流指令値等を送信することにより、外部充電を実行する。さらに、ECU160は、蓄電装置110のSOC(State Of Charge)を算出し、SOCが所定の上限値に達すると、CAN通信部174を通じて第1充電スタンド310や第2充電スタンド320へ充電停止要求を送信するとともに充電リレーRYをオフにする。なお、SOCの算出方法については、OCV(Open Circuit Voltage)とSOCとの関係を示すOCV-SOCカーブ(マップ等)を用いた手法や、充放電電流の積算値を用いた手法、残容量/満充電容量×100等、公知の各種手法を用いることができる。
【0049】
第1充電スタンド310の充電ケーブルには、電動車両100の第1インレット150に接続可能な第1コネクタが設けられている。第1コネクタが第1インレット150に接続されている状態において、第1充電スタンド310から電動車両100へ直流電力を供給可能であり、また、第1充電スタンド310と電動車両100との間でCAN通信が可能となる。第2充電スタンド320については第1充電スタンド310と基本的に同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0050】
なお、第1充電スタンド310の第1コネクタが第1インレット150に接続されている状態において、電動車両100から第1充電スタンド310へ送信されるデータには、例えば、充電開始要求や、充電停止要求、充電電流指令値、充電電圧上限値といった各種の充電データが含まれる。一方、第1充電スタンド310から電動車両100へ送信されるデータには、例えば、最大出力情報(出力可能電流値、出力可能電圧値等)や、現在出力情報(現在出力電流値、現在出力電圧値等)といった各種の出力データが含まれる。第2充電スタンド320についても第1充電スタンド310と基本的に同様である。
【0051】
図3(a)乃至(c)を参照して、NVM161の詳細について説明する。まず、NVM161は電動車両100の車両制御ソフトウェア管理表により車両制御ソフトウェアを記憶する。具体的には、図3(a)に示すように、NVM161は、車両機種ID、車両制御ソフトウェア、バージョン、及びリリース日などを互いに関連付けて記憶する。車両機種IDは電動車両100の機種を識別する識別子である。電動車両100の機種としては、例えばプラグインEVやハイブリッド車両などがある。バージョン及びリリース日は、車両制御ソフトウェアの版及び提供可能日である。第1実施形態ではバージョン「V1」及び「V2」が電動車両100における車両制御ソフトウェアの旧版を表し、バージョン「V3」が電動車両100における車両制御ソフトウェアの新版を表している。
【0052】
また、NVM161は電動車両100と第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320との互換性に関する互換性データを記憶する。具体的には、図3(b)及び(c)に示すように、NVM161は互換性データを電動車両100の第1対応表及び複数の第2対応表により管理する。これらの互換性データは、例えばNVM161が車両制御ソフトウェアを記憶する前など、事前にNVM161に格納されている。
【0053】
第1対応表は、図3(b)に示すように、スタンド機種IDと車両機種IDの複数の組合せを互換性データとして管理する。スタンド機種IDは充電スタンド300の機種を識別する識別子である。第1実施形態では、第1充電スタンド310にスタンド機種ID「S1」が割り当てられ、第2充電スタンド320にスタンド機種ID「S2」が割り当てられている。スタンド機種ID「S1」が急速充電器に相当し、スタンド機種ID「S2」が普通充電器に相当する。第1対応表によりスタンド機種IDと車両機種IDの組合せを一意に特定することができる。
【0054】
第2対応表は、図3(c)に示すように、スタンド機種IDが割り当てられた第1充電スタンド310や第2充電スタンドの制御ソフトウェアのバージョンと車両機種IDが割り当てられた電動車両100の車両制御ソフトウェアのバージョンの互換性をスタンド機種IDと車両機種IDの組合せ毎に互換性データとして管理する。互換性「YES」は制御ソフトウェアと車両制御ソフトウェアの互換性があることを示し、互換性「NO」は制御ソフトウェアと車両制御ソフトウェアの互換性がないことを示している。したがって、図3(c)では、スタンド機種ID「S2」が割り当てられた第2充電スタンド320の制御ソフトウェアのバージョン「V2」と車両機種ID「E1」が割り当てられた電動車両100の車両制御ソフトウェアのバージョン「V1」及び「V3」との間では互換性がないことが示されている。第2対応表により、制御ソフトウェアのバージョンと車両制御ソフトウェアのバージョンの互換性を一意に特定することができる。
【0055】
図4を参照して、車両管理サーバ210のハードウェア構成を説明する。尚、スタンド管理サーバ220については基本的に車両管理サーバ210と同様のハードウェア構成であるため、説明を省略する。図4に示すように、車両管理サーバ210は、プロセッサとしてのCPU210Aと、メモリとしてのRAM210B及びROM210C、並びにネットワークI/F210Dを含んでいる。車両管理サーバ210は、必要に応じて、HDD(Hard Disk Drive)210E、入力I/F210F、出力I/F210G、入出力I/F210H、ドライブ装置210Iの少なくとも1つを含んでいてもよい。CPU210Aからドライブ装置210Iまでは、内部バス210Jによって互いに接続されている。
【0056】
入力I/F210Fには入力装置710が接続される。入力装置710としてはキーボードやマウス(不図示)がある。出力I/F210Gには表示装置720が接続される。表示装置720としては液晶ディスプレイがある。入出力I/F210Hには、半導体メモリ730が接続される。半導体メモリ730としては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリやフラッシュメモリなどがある。入出力I/F210Hは半導体メモリ730に記憶されたプログラムやデータを読み取る。入力I/F210F及び入出力I/F210Hは例えばUSBポートを備えている。出力I/F210Gは例えばディスプレイポートを備えている。
【0057】
ドライブ装置210Iには可搬型記録媒体740が挿入される。可搬型記録媒体740としては、例えばCD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)といったリムーバブルディスクがある。ドライブ装置210Iは可搬型記録媒体740に記録されたプログラムやデータを読み込む。ネットワークI/F210Dは例えばLANポートを備えている。ネットワークI/F210Dは上述した通信ネットワークNWと接続される。
【0058】
上述したRAM210BにはROM210CやHDD210Eに記憶されたプログラムがCPU210Aによって一時的に格納される。RAM210Bには可搬型記録媒体740に記録されたプログラムがCPU210Aによって一時的に格納される。格納されたプログラムをCPU210Aが実行することにより、CPU210Aは後述する各種の機能を実現し、また、後述する各種の処理を実行する。尚、プログラムは後述する処理シーケンス図に応じたものとすればよい。
【0059】
図5及び図6を参照して、車両管理サーバ210の機能構成を説明する。なお、図5では車両管理サーバ210の機能の要部が示されている。
【0060】
図5に示すように、車両管理サーバ210は記憶部211、処理部212、入力部213、及び通信部214を備えている。記憶部211は上述したRAM210BやHDD210Eなどによって実現することができる。処理部212は上述したCPU210Aによって実現することができる。入力部213は上述した入力I/F210Fによって実現することができる。通信部214は上述したネットワークI/F210Dによって実現することができる。したがって、記憶部211、処理部212、入力部213、及び通信部214は互いに接続されている。
【0061】
記憶部211は車両制御ソフトウェア(以下SWと表記)記憶部215を含んでいる。車両制御SW記憶部215を車両管理サーバ210と異なる別の管理サーバに設けてもよい。この場合、車両管理サーバ210が別の管理サーバにアクセスし、車両制御SW記憶部215の記憶内容を参照してもよい。
【0062】
車両制御SW記憶部215は車両管理サーバ210の車両制御ソフトウェア管理表により車両制御ソフトウェアを記憶する。具体的には、図6に示すように、車両制御SW記憶部215は、車両機種ID、車両制御ソフトウェア、バージョン、及びリリース日などを互いに関連付けて記憶する。電動車両100の車両制御ソフトウェア管理表と異なり、車両制御SW記憶部215は車両制御ソフトウェア「E1制御プログラム」のバージョン「V4」を車両制御ソフトウェアの新版として記憶する。このように、車両管理サーバ210による電動車両100への車両制御ソフトウェアの送信タイミングによっては、電動車両100の車両制御ソフトウェア管理表と車両管理サーバ210の車両制御ソフトウェア管理表が異なることがある。
【0063】
処理部212は車両制御SW管理部217を含んでいる。車両制御SW管理部217は車両制御SW記憶部215にアクセスして、各種の処理を実行する。例えば、車両制御SW管理部217は電動車両100から複数の車両制御ソフトウェアが要求されると、複数の車両制御ソフトウェアを電動車両100に送信する。なお、車両制御SW管理部217の詳細については、エネルギー供給システムSTの動作を説明する際に詳しく記載する。
【0064】
図7及び図8を参照して、スタンド管理サーバ220の機能構成を説明する。なお、図7ではスタンド管理サーバ220の機能の要部が示されている。
【0065】
図7に示すように、スタンド管理サーバ220は記憶部221、処理部222、入力部223、及び通信部224を備えている。記憶部221は上述したRAM210BやHDD210Eなどによって実現することができる。処理部222は上述したCPU210Aによって実現することができる。入力部223は上述した入力I/F210Fによって実現することができる。通信部224は上述したネットワークI/F210Dによって実現することができる。したがって、記憶部221、処理部222、入力部223、及び通信部224は互いに接続されている。
【0066】
記憶部221はスタンド制御SW記憶部225を含んでいる。スタンド制御SW記憶部225をスタンド管理サーバ220と異なる別の管理サーバに設けてもよい。この場合、スタンド管理サーバ220が別の管理サーバにアクセスし、スタンド制御SW記憶部225の記憶内容を参照してもよい。
【0067】
スタンド制御SW記憶部225はスタンド管理サーバ220の制御ソフトウェア管理表により充電スタンド300を制御する制御ソフトウェアを記憶する。具体的には、図8に示すように、スタンド制御SW記憶部225は、スタンド機種ID、制御ソフトウェア、バージョン、及びリリース日などを互いに関連付けて記憶する。車両制御ソフトウェアと同様に、バージョン「V1」、「V2」及び「V3」が制御ソフトウェアの旧版を表し、バージョン「V4」が制御ソフトウェアの新版を表している。
【0068】
処理部222はスタンド制御SW管理部227を含んでいる。スタンド制御SW管理部227はスタンド制御SW記憶部225にアクセスして、各種の処理を実行する。例えば、スタンド制御SW管理部227は第1充電スタンド310から複数の制御ソフトウェアが要求されると、第1充電スタンド310のスタンド機種IDに応じた複数の制御ソフトウェアを第1充電スタンド310に送信する。スタンド制御SW管理部227は第2充電スタンド320から複数の制御ソフトウェアが要求されると、第2充電スタンド320のスタンド機種IDに応じた複数の制御ソフトウェアを第2充電スタンド320に送信する。なお、スタンド制御SW管理部227の詳細については、エネルギー供給システムSTの動作を説明する際に詳しく記載する。
【0069】
図9(a)を参照して、第1充電スタンド310の構成について説明する。第1充電スタンド310は、AC/DCコンバータ315、高周波インバータ316、昇圧トランス317、整流器318、及び第1充電コントローラ319を含んでいる。第1充電コントローラ319はCPU、RAM、ROM、入出力I/Fのほか、NVM319mを含んでいる。AC/DCコンバータ315には電力系統311を介して三相交流電源312が接続されている。整流器318には第1電力線対313の一端が接続され、第1充電コントローラ319には第1通信線314の一端が接続される。第1電力線対313の他端及び第1通信線314の他端は第1コネクタC1が接続される。第1コネクタC1は電動車両100の第1インレット150に接続することができる。なお、第1電力線対313及び第1通信線314は第1充電スタンド310から延びる充電ケーブルの一部であり、この充電ケーブルに含まれる。
【0070】
AC/DCコンバータ315は三相交流電源312からの電力供給を受けて、交流電力を直流電力に変換する。高周波インバータ316は昇圧効率を高めのために直流電力を高周波(矩形波)交流電力に変換する。昇圧トランス317は高周波交流電力を昇圧する。整流器318は高周波交流電力を昇圧した昇圧交流電力の整流・平滑化を行い、第1コネクタC1を介して直流電力を出力する。第1充電コントローラ319は、電動車両100のECU160(図2参照)と蓄電装置110の現在のSOCなどの情報を交換しながら、AC/DCコンバータ315及び高周波インバータ316の動作を制御する。
【0071】
図9(b)を参照して、第2充電スタンド320の構成について説明する。第2充電スタンド320は、第1フィルタ325、AC/DCコンバータ326、DC/DCコンバータ327、第2フィルタ328、及び第2充電コントローラ329を含んでいる。第2充電コントローラ329はCPU、RAM、ROM、入出力I/Fのほか、NVM329mを含んでいる。第1フィルタ325には電力系統321を介して単相交流電源322が接続されている。第2フィルタ328には第2電力線対323の一端が接続され、第2充電コントローラ329には第2通信線324の一端が接続される。第2電力線対323の他端及び第2通信線324の他端は第2コネクタC2が接続される。第2コネクタC2は電動車両100の第2インレット152に接続することができる。なお、第2電力線対323及び第2通信線324は第2充電スタンド320から延びる充電ケーブルの一部であり、この充電ケーブルに含まれる。
【0072】
第1フィルタ325は単相交流電源322からの電力供給を受けつつ、単相交流電源322からのノイズの流入や、単相交流電源322へのノイズの流出を抑制する。AC/DCコンバータ326は第1フィルタ325が受けた交流電力を直流電力に変換する。DC/DCコンバータ327はAC/DCコンバータ326から出力された直流電力を電圧が異なる直流電力へ変換する。第2フィルタ328は直流電力の平滑化を行い、第2コネクタC2を介して直流電力を出力する。第2充電コントローラ329は、電動車両100のECU160(図2参照)と蓄電装置110の現在のSOCなどの情報を交換しながら、AC/DCコンバータ326及びDC/DCコンバータ327の動作を制御する。
【0073】
図10(a)乃至(c)を参照して、第1充電コントローラ319に含まれるNVM319mの詳細について説明する。まず、NVM319mは第1充電スタンド310の制御ソフトウェア管理表により制御ソフトウェアを記憶する。具体的には、図10(a)に示すように、NVM319mは、スタンド機種ID、制御ソフトウェア、バージョン、及びリリース日などを互いに関連付けて記憶する。
【0074】
また、NVM319mは電動車両100と第1充電スタンド310との互換性に関する互換性データを記憶する。具体的には、図10(b)及び(c)に示すように、NVM319mは互換性データを第1充電スタンド310の第1対応表及び複数の第2対応表により管理する。互換性データは、例えばNVM319mが制御ソフトを記憶する前など、事前にNVM319mに格納されている。
【0075】
第1対応表は、図10(b)に示すように、スタンド機種IDと車両機種IDの複数の組合せを互換性データとして管理する。第1対応表によりスタンド機種IDと車両機種IDの組合せを一意に特定することができる。第2対応表は、図10(c)に示すように、スタンド機種IDが割り当てられた第1充電スタンド310の制御ソフトウェアのバージョンと車両機種IDが割り当てられた電動車両100の車両制御ソフトウェアのバージョンの互換性をスタンド機種IDと車両機種IDの組合せ毎に互換性データとして管理する。第2対応表により、制御ソフトウェアのバージョンと車両制御ソフトウェアのバージョンの互換性を一意に特定することができる。
【0076】
図11(a)乃至(c)を参照して、第2充電コントローラ329に含まれるNVM329mの詳細について説明する。まず、NVM329mは第2充電スタンド320の制御ソフトウェア管理表により制御ソフトウェアを記憶する。具体的には、図11(a)に示すように、NVM329mは、スタンド機種ID、制御ソフトウェア、バージョン、及びリリース日などを互いに関連付けて記憶する。
【0077】
また、NVM329mは電動車両100と第2充電スタンド320との互換性に関する互換性データを記憶する。具体的には、図11(b)及び(c)に示すように、NVM329mは互換性データを第2充電スタンド320の第1対応表及び複数の第2対応表により管理する。互換性データは、例えばNVM329mが制御ソフトを記憶する前など、事前にNVM329mに格納されている。
【0078】
第1対応表は、図11(b)に示すように、スタンド機種IDと車両機種IDの複数の組合せを互換性データとして管理する。第1対応表によりスタンド機種IDと車両機種IDの組合せを一意に特定することができる。第2対応表は、図11(c)に示すように、スタンド機種IDが割り当てられた第2充電スタンド320の制御ソフトウェアのバージョンと車両機種IDが割り当てられた電動車両100の車両制御ソフトウェアのバージョンの互換性をスタンド機種IDと車両機種IDの組合せ毎に互換性データとして管理する。第2対応表により、制御ソフトウェアのバージョンと車両制御ソフトウェアのバージョンの互換性を一意に特定することができる。
【0079】
図12及び図13を参照して、第1実施形態に係るエネルギー供給システムSTの動作について説明する。なお、図12及び図13では文字「A」や文字「B」などで処理が連続することを示している。
【0080】
まず、図12に示すように、電動車両100のECU160は複数の車両制御ソフトウェアを車両管理サーバ210に要求する(ステップS1)。ECU160は複数の車両制御ソフトウェアを一括して要求せずに個別に要求してもよい。例えば、ECU160は、ECU160自身又はDCM170に割り当てられた車両機種IDとリリース日とを含む情報を第1送信対象条件として車両管理サーバ210に送信することにより、複数の車両制御ソフトウェアを要求する。本実施形態では、ECU160は車両機種ID「E1」とリリース日「2020年1月8日」からリリース日「2020年11月8日」までを含む情報を第1送信対象条件として送信する。
【0081】
車両管理サーバ210の車両制御SW管理部217は複数の車両制御ソフトウェアが要求されると、複数の車両制御ソフトウェアを電動車両100に送信する(ステップS2)。上述した第1送信対象条件が送信された場合、車両制御SW管理部217は車両制御SW記憶部215にアクセスし、車両管理サーバ210の車両制御ソフトウェア管理表(図6参照)の中から第1送信対象条件に応じた車両制御ソフトウェアを抽出する。本実施形態では、車両制御SW管理部217は車両機種ID「E1」のバージョン「V1」、「V2」及び「V3」の車両制御ソフトウェアを抽出する。車両制御SW管理部217は抽出した車両制御ソフトウェアを電動車両100に送信する。
【0082】
複数の車両制御ソフトウェアが送信されると、ECU160はこれら複数の車両制御ソフトウェアを受信する(ステップS3)。ECU160は複数の車両制御ソフトウェアを受信すると、複数の車両制御ソフトウェアをNVM161に格納して保持する(ステップS4)。これにより、NVM161は複数の車両制御ソフトウェアを記憶する(図3(a)参照)。なお、ECU160がステップS1,S3の処理を実行せずに、NVM161が複数の車両制御ソフトウェアを事前に記憶していてもよい。
【0083】
ECU160が複数の車両制御ソフトウェアを格納して保持した後、電動車両100は第1充電スタンド310又は第2充電スタンド320のいずれかから電力を補給する。ECU160は電力を補給する際、第1充電スタンド310又は第2充電スタンド320のスタンド機種IDを確認する(ステップS5)。例えば第1充電スタンド310が設置された施設の駐車場に電動車両100が駐車していれば、ECU160は充電ケーブルを介した有線通信により第1充電スタンド310のスタンド機種IDを確認する。第2充電スタンド320が設置された場所の駐車場に電動車両100が駐車していれば、ECU160は充電ケーブルを介した有線通信により第2充電スタンド320のスタンド機種IDを確認する。
【0084】
第1充電スタンド310の第1充電コントローラ319が電動車両100からスタンド機種IDの確認を求められた場合、第1充電コントローラ319はスタンド機種IDと制御ソフトウェアの版を電動車両100に通知する(ステップS6)。例えば、第1充電コントローラ319は第1充電コントローラ319(より詳しくはNVM319m)が記憶する複数の制御ソフトウェアの中から最新の制御ソフトウェアを特定し、特定した制御ソフトウェアの版を第1充電コントローラ319のスタンド機種IDとともに通知する。本実施形態では、第1充電コントローラ319は制御ソフトウェアのバージョン「V2」を版としてスタンド機種ID「S1」とともに通知する(図10(a)参照)。
【0085】
一方、第2充電スタンド320の第2充電コントローラ329が電動車両100からスタンド機種IDの確認を求められた場合、第2充電コントローラ329はスタンド機種IDと制御ソフトウェアの版を電動車両100に通知する(ステップS7)。例えば、第2充電コントローラ329は第2充電コントローラ329(より詳しくはNVM329m)が記憶する複数の制御ソフトウェアの中から最新の制御ソフトウェアを特定し、特定した制御ソフトウェアの版を第2充電コントローラ329のスタンド機種IDとともに通知する。本実施形態では、第2充電コントローラ329は制御ソフトウェアのバージョン「V2」を版としてスタンド機種ID「S2」とともに通知する(図11(a)参照)。
【0086】
なお、ECU160はGPS受信機172によって特定された電動車両100の現在位置の位置情報と、第1充電スタンド310又は第2充電スタンド320の位置情報とに基づく地図情報上の距離によって機種IDを確認してもよい。例えば、電動車両100の至近距離内に第2充電スタンド320が存在すれば、ECU160は機種ID「S2」を確認することができる。
【0087】
スタンド機種IDと制御ソフトウェアの版が通知されると、図12に示すように、ECU160は第1充電スタンド310又は第2充電スタンド320に対応する車両制御ソフトウェアがあるか否かを判断する(ステップS8)。例えば、第2充電スタンド320から制御ソフトウェアのバージョン「V2」を版としてスタンド機種ID「S2」とともに通知された場合、ECU160は電動車両100の第1対応表に基づき車両機種ID「E1」とスタンド機種ID「S2」の組合せを特定する(図3(b)参照)。ECU160は組合せを特定すると、特定した組合せに応じた第2管理票を特定し、スタンド機種ID「S2」に応じた制御ソフトウェアのバージョン「V2」と互換性を有する車両制御ソフトウェアの有無を確認する(図3(c)参照)。すなわち、特定した第2管理票に基づいて、ECU160は互換性「YES」と関連付けられた車両制御ソフトウェアのバージョンの有無を確認する。本実施形態では、車両制御ソフトウェアのバージョン「V1」及び「V3」には互換性「NO」が関連付けられている。一方で、車両制御ソフトウェアのバージョン「V2」には互換性「YES」が関連付けられており、NVM161はこのバージョン「V2」の車両制御ソフトウェアを記憶する。このため、ECU160は対応する車両制御ソフトウェアがあると判断する(ステップS8:YES)。
【0088】
対応する車両制御ソフトウェアがある場合、ECU160は後述するステップS9,S10,S12の処理をスキップして、対応する車両制御ソフトウェアを選択する(ステップS13)。本実施形態では、ECU160は最新のバージョン「V3」の車両制御ソフトウェアからバージョン「V2」の車両制御ソフトウェアに切り替え、この車両制御ソフトウェアを選択する。これにより、電動車両100の車両制御ソフトウェアはバージョン「V2」の第2充電スタンド320の制御ソフトウェアと互角性を確保することができる。
【0089】
一方、ステップS8の処理において、対応する車両制御ソフトウェアがない場合(ステップS8:NO)、ECU160は車両管理サーバ210にアクセスして、対応する車両制御ソフトウェアを車両管理サーバ210から取得可能か否かを判断する(ステップS9)。例えば図3(c)において、スタンド機種ID「S2」のバージョン「V2」に応じた車両機種ID「E1」のバージョン「V1」、「V2」及び「V3」に互換性「NO」が関連付けられ、バージョン「V4」(不図示)に互換性「YES」が関連付けられている場合に、NVM161がこのバージョン「V4」の車両制御ソフトウェアを記憶していないこともある。この場合、ECU160は対応する車両制御ソフトウェアがないと判断し、対応する車両制御ソフトウェアを車両管理サーバ210から取得可能か否かを判断する。
【0090】
対応する車両制御ソフトウェアを車両管理サーバ210が有することにより、対応する車両制御ソフトウェアが取得可能な場合(ステップS9:YES)、ECU160は対応する車両制御ソフトウェアを車両管理サーバ210に要求する(ステップS10)。本実施形態では、車両機種ID「E1」とバージョン「V4」を含む車両制御ソフトウェアを車両制御SW記憶部215が記憶するため(図6参照)、ECU160は対応するこの車両制御ソフトウェアを車両管理サーバ210に要求する。
【0091】
対応する車両制御ソフトウェアが要求されると、車両制御SW管理部217は対応する車両制御ソフトウェアを電動車両100に送信する(ステップS11)。対応する車両制御ソフトウェアが送信されると、ECU160は対応する車両制御ソフトウェアを受信して取得する(ステップS12)。ECU160は対応する車両制御ソフトウェアを取得すると、対応する車両制御ソフトウェアをNVM161に格納して保持する。
【0092】
対応する車両制御ソフトウェアを保持すると、ステップS13の処理において、ECU160は対応するこの車両制御ソフトウェアを選択する。すなわち、ECU160は最新のバージョン「V3」の車両制御ソフトウェアからバージョン「V4」の車両制御ソフトウェアに切り替え、この車両制御ソフトウェアを選択する。上述したように、スタンド機種ID「S2」のバージョン「V2」に応じた車両機種ID「E1」のバージョン「V4」に互換性「YES」が関連付けられていれば、ECU160はバージョン「V4」の車両制御ソフトウェアを選択することにより、電動車両100の車両制御ソフトウェアはバージョン「V2」の第2充電スタンド320の制御ソフトウェアと互角性を確保することができる。
【0093】
なお、対応する車両制御ソフトウェアを車両管理サーバ210が有しないことにより、対応する車両制御ソフトウェアが取得不可能な場合(ステップS9:NO)、ステップS13の処理において、ECU160は充電可能性の高い車両制御ソフトウェアを選択する。例えば図3(c)において、スタンド機種ID「S2」のバージョン「V2」に応じた車両機種ID「E1」のバージョン「V1」、「V2」、「V3」及び「V4」(不図示)に互換性「NO」が関連付けられている場合、ECU160は、スタンド機種ID「S2」に関わらず、互換性「YES」が関連付けられた車両機種ID「E1」のいずれかのバージョンの車両制御ソフトウェアを選択する。例えば図3(c)において、ECU160はスタンド機種ID「S2」のバージョン「V1」に応じた車両機種ID「E1」のバージョン「V1」の車両制御ソフトウェアを選択する。NVM161はバージョン「V1」の車両制御ソフトウェアを記憶するため(図3(a)参照)、ECU160はこの車両制御ソフトウェアを選択することができる。
【0094】
以上、ここまで第2充電スタンド320から制御ソフトウェアのバージョン「V2」を版としてスタンド機種ID「S2」とともに通知された場合を一例として説明した。第1充電スタンド310から制御ソフトウェアのバージョン「V2」を版としてスタンド機種ID「S1」とともに通知された場合については、基本的に、第2充電スタンド320の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
ステップS13の処理によって車両制御ソフトウェアが選択されると、ECU160は充電開始要求といった充電データを第1充電スタンド310又は第2充電スタンド320に送信する(ステップS14)。第1充電スタンド310が設置された施設の駐車場に電動車両100が駐車していれば、ECU160は充電ケーブルを介した有線通信により充電データを第1充電スタンド310に送信する。第2充電スタンド320が設置された場所の駐車場に電動車両100が駐車していれば、ECU160は充電ケーブルを介した有線通信により充電データを第2充電スタンド320に送信する。
【0096】
充電データが第1充電スタンド310に送信された場合、第1充電コントローラ319は充電データを受信する(ステップS15)。充電データが第2充電スタンド320に送信された場合、第2充電コントローラ329は充電データを受信する(ステップS16)。第1充電コントローラ319が充電データを受信した場合、第1充電コントローラ319は最大出力情報といった出力データを電動車両100に送信する(ステップS17)。第2充電コントローラ329が充電データを受信した場合、第2充電コントローラ329は出力データを電動車両100に送信する(ステップS18)。
【0097】
出力データが第1充電スタンド310又は第2充電スタンド320から送信されると、ECU160は第1充電スタンド310又は第2充電スタンド320から送信された出力データを受信する(ステップS19)。ECU160が出力データを受信すると、電動車両100に第1充電スタンド310又は第2充電スタンド320から電力が供給され始める。すなわち、電動車両100に対する充電が開始する。ステップS13の処理によって第1充電スタンド310又は第2充電スタンド320の制御ソフトウェアと互換性を有する車両制御ソフトウェアをECU160が選択しているため、制御ソフトウェアと車両制御ソフトウェアの不対応を回避することができる。
【0098】
(第2実施形態)
図14及び図15を参照して、第2実施形態に係るエネルギー供給システムSTの動作について説明する。なお、図14及び図15では文字「P」や文字「Q」などで処理が連続することを示している。
【0099】
まず、図14に示すように、第1充電スタンド310の第1充電コントローラ319は複数の制御ソフトウェアをスタンド管理サーバ220に要求する(ステップS31)。また、第2充電スタンド320の第2充電コントローラ329は複数の制御ソフトウェアをスタンド管理サーバ220に要求する(ステップS32)。第1充電コントローラ319及び第2充電コントローラ329は複数の制御ソフトウェアを一括して要求せずに個別に要求してもよい。
【0100】
例えば、第1充電コントローラ319は、第1充電コントローラ319に割り当てられたスタンド機種IDとリリース日とを含む情報を第2送信対象条件としてスタンド管理サーバ220に送信することにより、複数の制御ソフトウェアを要求する。本実施形態では、第1充電コントローラ319はスタンド機種ID「S1」とリリース日「2020年1月8日」からリリース日「2020年11月8日」までを含む情報を第2送信対象条件として送信する。なお、第2充電コントローラ329については、第1充電コントローラ319の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0101】
スタンド管理サーバ220のスタンド制御SW管理部227は複数の制御ソフトウェアが要求されると、複数の制御ソフトウェアを送信する(ステップS33)。第2送信対象条件が第1充電スタンド310から送信された場合、スタンド制御SW管理部227はスタンド制御SW記憶部225にアクセスし、スタンド管理サーバ220の制御ソフトウェア管理表(図8参照)の中から第2送信対象条件に応じた制御ソフトウェアを抽出する。本実施形態では、スタンド制御SW管理部227はスタンド機種ID「S1」のバージョン「V1」、「V2」及び「V3」の制御ソフトウェアを抽出する。スタンド制御SW管理部227は抽出した制御ソフトウェアを第1充電スタンド310に送信する。第2送信対象条件が第2充電スタンド320から送信された場合には、第1充電スタンド310から送信された場合と同様に、スタンド制御SW管理部227は抽出した制御ソフトウェアを第2充電スタンド320に送信する。
【0102】
複数の制御ソフトウェアが第1充電スタンド310に送信されると、第1充電コントローラ319はこれら複数の制御ソフトウェアを受信する(ステップS34)。複数の制御ソフトウェアが第2充電スタンド320に送信されると、第2充電コントローラ329はこれら複数の制御ソフトウェアを受信する(ステップS35)。第1充電コントローラ319は複数の制御ソフトウェアを受信すると、複数の制御ソフトウェアをNVM319mに格納して保持する(ステップS36)。これにより、NVM319mは複数の制御ソフトウェアを記憶する(図10(a)参照)。
【0103】
また、第2充電コントローラ329は複数の制御ソフトウェアを受信すると、複数の制御ソフトウェアをNVM329mに格納して保持する(ステップS37)。これにより、NVM329mは複数の制御ソフトウェアを記憶する(図11(a)参照)。なお、第1充電コントローラ319がステップS31,S34の処理を実行せずに、NVM319mが複数の制御ソフトウェアを事前に記憶していてもよい。また、第2充電コントローラ329がステップS32,S35の処理を実行せずに、NVM329mが複数の制御ソフトウェアを事前に記憶していてもよい。
【0104】
第1充電コントローラ319及び第2充電コントローラ329が複数の制御ソフトウェアを格納して保持した後、第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320は独立的に電動車両100に電力を供給する。第1充電コントローラ319及び第2充電コントローラ329は電力を供給する際、電動車両100の車両機種IDを確認する(ステップS38,S39)。例えば第1充電スタンド310が設置された施設の駐車場に電動車両100が駐車していれば、第1充電コントローラ319は充電ケーブルを介した有線通信により電動車両100の車両機種IDを確認する。第2充電スタンド320が設置された場所の駐車場に電動車両100が駐車していれば、第2充電スタンド320は充電ケーブルを介した有線通信により電動車両100の車両機種IDを確認する。
【0105】
電動車両100が車両機種IDの確認を求められた場合、ECU160は車両機種IDと制御ソフトウェアの版を通知する(ステップS40)。例えば、電動車両100が第1充電コントローラ319から車両機種IDの確認を求められた場合、ECU160はECU160(より詳しくはNVM161)が記憶する複数の車両制御ソフトウェアの中から最新の車両制御ソフトウェアを特定する。そして、ECU160は特定した車両制御ソフトウェアの版を電動車両100の車両機種IDとともに第1充電スタンド310に通知する。本実施形態では、ECU160は制御ソフトウェアのバージョン「V3」を版として車両機種ID「E1」とともに通知する(図3(a)参照)。電動車両100が第2充電コントローラ329から車両機種IDの確認を求められた場合についても、第1充電コントローラ319から車両機種IDの確認を求められた場合と同様に、ECU160は車両制御ソフトウェアの版を電動車両100の車両機種IDとともに第2充電スタンド320に通知する。
【0106】
車両機種IDと車両制御ソフトウェアの版が第1充電スタンド310に通知されると、図15に示すように、第1充電コントローラ319は電動車両100に対応する制御ソフトウェアがあるか否かを判断する(ステップS41)。例えば、電動車両100から車両制御ソフトウェアのバージョン「V3」を版として車両機種ID「E1」とともに通知された場合、第1充電コントローラ319は第1充電コントローラ319の第1対応表に基づきスタンド機種ID「S1」と車両機種ID「E1」の組合せを特定する(図10(b)参照)。第1充電コントローラ319は組合せを特定すると、特定した組合せに応じた第2管理票を特定し、車両機種ID「E1」に応じた車両制御ソフトウェアのバージョン「V3」と互換性を有する制御ソフトウェアの有無を確認する(図10(c)参照)。すなわち、特定した第2管理票に基づいて、第1充電コントローラ319は互換性「YES」と関連付けられた制御ソフトウェアのバージョンの有無を確認する。本実施形態では、制御ソフトウェアのバージョン「V2」には互換性「NO」が関連付けられている。一方で、制御ソフトウェアのバージョン「V1」には互換性「YES」が関連付けられており、NVM161はこのバージョン「V1」の制御ソフトウェアを記憶する。このため、第1充電コントローラ319は対応する制御ソフトウェアがあると判断する(ステップS41:YES)。
【0107】
対応する制御ソフトウェアがある場合、第1充電コントローラ319は後述するステップS42,S43,S45の処理をスキップして、対応する制御ソフトウェアを選択する(ステップS46)。本実施形態では、第1充電コントローラ319は最新のバージョン「V2」の制御ソフトウェアからバージョン「V1」の制御ソフトウェアに切り替え、この制御ソフトウェアを選択する。これにより、バージョン「V1」の第1充電スタンド310の制御ソフトウェアは電動車両100の車両制御ソフトウェアと互角性を確保することができる。
【0108】
一方、ステップS41の処理において、対応する制御ソフトウェアがない場合(ステップS41:NO)、第1充電コントローラ319はスタンド管理サーバ220にアクセスして、対応する制御ソフトウェアをスタンド管理サーバ220から取得可能か否かを判断する(ステップS42)。例えば図10(c)において、車両機種ID「E1」のバージョン「V3」に応じたスタンド機種ID「S1」のバージョン「V1」及び「V2」に互換性「NO」が関連付けられ、バージョン「V3」(不図示)に互換性「YES」が関連付けられている場合に、NVM319mがこのバージョン「V3」の制御ソフトウェアを記憶していないこともある。この場合、第1充電コントローラ319は対応する制御ソフトウェアがないと判断し、対応する制御ソフトウェアをスタンド管理サーバ220から取得可能か否かを判断する。
【0109】
対応する車両制御ソフトウェアをスタンド管理サーバ220が有することにより、対応する制御ソフトウェアが取得可能な場合(ステップS42:YES)、第1充電コントローラ319は対応する制御ソフトウェアをスタンド管理サーバ220に要求する(ステップS43)。本実施形態では、スタンド機種ID「S1」とバージョン「V3」を含む制御ソフトウェアをスタンド制御SW記憶部225が記憶するため(図8参照)、第1充電コントローラ319は対応するこの制御ソフトウェアをスタンド管理サーバ220に要求する。
【0110】
対応する制御ソフトウェアが要求されると、車両制御SW管理部217は対応する制御ソフトウェアを電動車両100に送信する(ステップS44)。対応する制御ソフトウェアが送信されると、第1充電コントローラ319は対応する制御ソフトウェアを受信して取得する(ステップS45)。第1充電コントローラ319は対応する制御ソフトウェアを取得すると、対応する制御ソフトウェアをNVM319mに格納して保持する。
【0111】
対応する制御ソフトウェアを保持すると、ステップS46の処理において、第1充電コントローラ319は対応するこの制御ソフトウェアを選択する。すなわち、第1充電コントローラ319は最新のバージョン「V2」の制御ソフトウェアからバージョン「V3」の制御ソフトウェアに切り替え、この制御ソフトウェアを選択する。上述したように、車両機種ID「E1」のバージョン「V3」に応じたスタンド機種ID「S1」のバージョン「V3」に互換性「YES」が関連付けられていれば、第1充電コントローラ319はバージョン「V3」の制御ソフトウェアを選択することにより、バージョン「V3」の第1充電スタンド310の制御ソフトウェアは電動車両100の車両制御ソフトウェアと互角性を確保することができる。
【0112】
なお、対応する制御ソフトウェアをスタンド管理サーバ220が有しないことにより、対応する制御ソフトウェアが取得不可能な場合(ステップS42:NO)、ステップS46の処理において、第1充電コントローラ319は供給可能性の高い制御ソフトウェアを選択する。例えば図10(c)において、車両機種ID「E1」のバージョン「V3」に応じたスタンド機種ID「S1」のバージョン「V1」及び「V2」に互換性「NO」が関連付けられている場合、第1充電コントローラ319は、互換性「YES」が関連付けられたスタンド機種ID「S1」のいずれかのバージョンの制御ソフトウェアを選択する。例えば図10(c)において、第1充電コントローラ319は車両機種ID「E1」のバージョン「V2」に応じたスタンド機種ID「S1」のバージョン「V2」の制御ソフトウェアを選択する。NVM319mはバージョン「V2」の制御ソフトウェアを記憶するため(図10(a)参照)、第1充電コントローラ319はこの制御ソフトウェアを選択することができる。
【0113】
以上、ここまで第1充電スタンド310の場合を一例として説明したが、第2充電スタンド320の場合は基本的に第1充電スタンド310の場合と同様である。このため、図15ではステップS41~S46の処理に相当する第2充電スタンド320の各種の処理については、ステップS47の処理を除いて図面から省略し、また、詳細な説明についても省略する。
【0114】
ステップS46の処理によって制御ソフトウェアが選択されると、電動車両100のECU160は充電開始要求といった充電データを第1充電スタンド310又は第2充電スタンド320に送信する(ステップS48)。充電データが第1充電スタンド310に送信された場合、第1充電コントローラ319は充電データを受信する(ステップS49)。充電データが第2充電スタンド320に送信された場合、第2充電コントローラ329は充電データを受信する(ステップS50)。
【0115】
第1充電コントローラ319が充電データを受信した場合、第1充電コントローラ319は最大出力情報といった出力データを電動車両100に送信する(ステップS51)。第2充電コントローラ329が充電データを受信した場合、第2充電コントローラ329は出力データを電動車両100に送信する(ステップS52)。出力データが第1充電スタンド310又は第2充電スタンド320から送信されると、ECU160は第1充電スタンド310又は第2充電スタンド320から送信された出力データを受信する(ステップS53)。
【0116】
ECU160が出力データを受信すると、電動車両100に第1充電スタンド310又は第2充電スタンド320から電力が供給され始める。すなわち、電動車両100に対する充電が開始する。ステップS46の処理によって車両制御ソフトウェアと互換性を有する制御ソフトウェアを第1充電コントローラ319や第2充電コントローラ329が選択しているため、車両制御ソフトウェアと制御ソフトウェアの不対応を回避することができる。
【0117】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0118】
例えば、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、第1充電スタンド310及び第2充電スタンド320を供給装置及びエネルギー供給装置の一例として説明したが、電動車両100が燃料電池車である場合には、充電スタンド300に代えて、エネルギーとして水素を供給する水素ステーションを採用してもよい。このような実施形態であれば、水素の供給を制御する制御ソフトウェアと水素の補給を制御する車両制御ソフトウェアの互換性の不対応を回避することができる。
【0119】
また、上述した第1実施形態では、電動車両100は無線通信WLを介して車両制御プログラムを受信したが、例えば第1充電スタンド310から延びる充電ケーブルに含まれる第1通信線314など、有線通信を介して車両制御プログラムを受信してもよい。
【0120】
以上の実施形態に関し、以下の付記を開示する。
【0121】
(付記1)
エネルギーを補給する電動車両に複数の供給装置が独立的に前記エネルギーを供給するエネルギー供給方法であって、
前記電動車両の制御装置は、
前記複数の供給装置のそれぞれの制御ソフトウェアの少なくとも2つと対応する前記電動車両の複数の車両制御ソフトウェアを保持し、
前記複数の供給装置の中のいずれかの供給装置から前記エネルギーを補給する際、前記複数の車両制御ソフトウェアの中から前記いずれかの供給装置に対応する車両制御ソフトウェアを選択する、
ことを特徴とするエネルギー供給方法。
【符号の説明】
【0122】
ST エネルギー供給システム
100 電動車両
160 ECU(制御装置)
210 車両管理サーバ
220 スタンド管理サーバ
300 充電スタンド
310 第1充電スタンド(供給装置、エネルギー供給装置)
319 第1充電コントローラ(制御部)
320 第2充電スタンド(供給装置、エネルギー供給装置)
329 第2充電コントローラ(制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15