(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】熱交換型反応器、および、蓄熱器
(51)【国際特許分類】
F25B 37/00 20060101AFI20240528BHJP
F28D 20/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
F25B37/00
F28D20/00 G
(21)【出願番号】P 2021052831
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】望月 美代
(72)【発明者】
【氏名】廣田 靖樹
(72)【発明者】
【氏名】山内 崇史
(72)【発明者】
【氏名】山下 真彦
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0130540(US,A1)
【文献】特開2017-096552(JP,A)
【文献】特開2014-184350(JP,A)
【文献】特開2012-211713(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0003781(US,A1)
【文献】特開2014-126293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 37/00
F28D 20/00 ~ 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換型反応器であって、
一対の主面を備えた熱交換器と、前記一対の主面の少なくとも一方に接着された吸着材と、を有する複数の蓄熱ユニットが積層された積層体であって、互いに隣接する一方の蓄熱ユニットの吸着材と、他方の蓄熱ユニットの吸着材とが対向する積層体と、
前記一方の蓄熱ユニットの吸着材
と前記他方の蓄熱ユニットの吸着材と
が接触しないように互いの間に空間が形成
された状態で、前記複数の蓄熱ユニットを支持する支持部と、を備える、
熱交換型反応器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換型反応器であって、
前記支持部は、
前記一方の蓄熱ユニットの外周に配置され、前記一方の蓄熱ユニットの熱交換器の外周端部が挿入された第1の支持ユニットと、
前記他方の蓄熱ユニットの外周に配置され、前記他方の蓄熱ユニットの熱交換器の外周端部が挿入された第2の支持ユニットと、を含んでおり、
前記第1の支持ユニットと前記第2の支持ユニットとは、前記蓄熱ユニットの積層方向において連結されている、
熱交換型反応器。
【請求項3】
請求項2に記載の熱交換型反応器であって、
前記一方の蓄熱ユニットと前記他方の蓄熱ユニットは、前記一方の蓄熱ユニットが相対的に上方側に配置され、前記他方の蓄熱ユニットが相対的に下方側に配置されており、
前記第2の支持ユニットは、前記一方の蓄熱ユニットの熱交換器と、前記他方の蓄熱ユニットの熱交換器との間に配置される衝立部を含んでいる、
熱交換型反応器。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の熱交換型反応器は、さらに、
前記蓄熱ユニットの外側に配置されており、前記第1の支持ユニットと前記第2の支持ユニットが前記蓄熱ユニットから離間する方向に移動することを規制するガイドカバーを備える、
熱交換型反応器。
【請求項5】
請求項4に記載の熱交換型反応器であって、
前記第1の支持ユニットと前記第2の支持ユニットのそれぞれは、前記蓄熱ユニットの積層方向に延伸する柱部を含んでおり、
前記柱部は、前記ガイドカバーに固定されている、
熱交換型反応器。
【請求項6】
蓄熱器であって、
請求項4または請求項5に記載の熱交換型反応器と、
前記熱交換型反応器を収容する収容容器と、
前記収容容器と前記熱交換型反応器との間に配置され、前記収容容器に対して前記熱交換型反応器を固定する固定用治具と、を備える、
蓄熱器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換型反応器、および、蓄熱器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱媒体の熱を蓄熱する熱交換型反応器が知られている。例えば、特許文献1には、吸着材を収容する収容室と、熱交換流体が流れる流体流路とが交互に形成されている筐体を備える熱交換型反応器が開示されている。特許文献2には、2枚の吸着材成形体に挟まれた多孔質部材を有する積層体を有する熱交換型反応器が開示されている。これらの熱交換型反応器では、吸着材における吸着質の吸脱着を均一に行わせることで、蓄熱能力を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-148363号公報
【文献】特開2014-44000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術によっても、熱交換型反応器において、蓄熱能力を向上する技術については、なお改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、熱交換型反応器において、蓄熱能力を向上する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、熱交換型反応器が提供される。この熱交換型反応器では、一対の主面を備えた熱交換器と、前記一対の主面の少なくとも一方に接着された吸着材と、を有する複数の蓄熱ユニットが積層された積層体であって、互いに隣接する一方の蓄熱ユニットの吸着材と、他方の蓄熱ユニットの吸着材とが対向する積層体と、前記一方の蓄熱ユニットの吸着材と、前記他方の蓄熱ユニットの吸着材との間に空間が形成されるように前記複数の蓄熱ユニットを支持する支持部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、吸着材と熱交換器とを有する蓄熱ユニットでは、複数の蓄熱ユニットを支持する支持部は、一方の蓄熱ユニットの吸着材と他方の蓄熱ユニットの吸着材との間に空間を形成する。これにより、吸着質が積層体全体に拡散しやすくなるため、吸着材における吸着質の吸脱着を均一に行わせることができる。したがって、熱交換型反応器の蓄熱能力を向上することができる。
【0009】
(2)上記形態の熱交換型反応器において、前記支持部は、前記一方の蓄熱ユニットの外周に配置され、前記一方の蓄熱ユニットの熱交換器の外周端部が挿入された第1の支持ユニットと、前記他方の蓄熱ユニットの外周に配置され、前記他方の蓄熱ユニットの熱交換器の外周端部が挿入された第2の支持ユニットと、を含んでおり、前記第1の支持ユニットと、前記第2の支持ユニットとは、前記蓄熱ユニットの積層方向において連結されていてもよい。この構成によれば、支持部は、蓄熱ユニットの外周に配置されている複数の支持ユニットを含んでいる。連結される複数の支持ユニットのそれぞれには、蓄熱ユニットの熱交換器の外周端部が挿入されている。これにより、部材の組合せによって蓄熱ユニットの積層体を形成することができるため、例えば、高温による接合などによって吸着材が劣化することを抑制できる。また、支持部は、複数の支持ユニットの連結によって形成されるため、例えば、1つの蓄熱ユニットにおいて熱交換器から熱媒体が漏れるなどの不具合が生じた場合、その不具合が生した蓄熱ユニットのみを交換することが可能となる。これにより、不具合による修理が簡便になるため、蓄熱能力が低下することを抑制することができる。さらに、支持部は、複数の支持ユニットの連結によって形成されているため、積層体における支持ユニットの位置がずれにくくなる。これにより、外部からの衝撃などによって積層体が崩れることを抑制するとともに、熱交換型反応器を製造するとき、蓄熱ユニットおよび支持部の取り付けを精度よく行うことができる。
【0010】
(3)上記形態の熱交換型反応器において、前記一方の蓄熱ユニットと前記他方の蓄熱ユニットは、前記一方の蓄熱ユニットが相対的に上方側に配置され、前記他方の蓄熱ユニットが相対的に下方側に配置されており、前記第2の支持ユニットは、前記一方の蓄熱ユニットの熱交換器と、前記他方の蓄熱ユニットの熱交換器との間に配置される衝立部を含んでいてもよい。この構成によれば、第2の支持ユニットは、第1の蓄熱ユニットの熱交換器と、第2の蓄熱ユニットの熱交換器との間に配置される衝立部を含んでいる。これにより、第1の蓄熱ユニットの熱交換器や第2の蓄熱ユニットの熱交換器が変形しても、衝立部によって、第1の蓄熱ユニットの熱交換器と第2の蓄熱ユニットの熱交換器との間の距離を維持することができる。したがって、対向する吸着材の間の空間を確保することができるため、吸着質を拡散させることができ、熱交換型反応器の蓄熱能力の低下を抑制することができる。
【0011】
(4)上記形態の熱交換型反応器において、前記蓄熱ユニットの外側に配置されており、前記第1の支持ユニットと前記第2の支持ユニットが前記蓄熱ユニットから離間する方向に移動することを規制するガイドカバーを備えてもよい。この構成によれば、熱交換型反応器は、蓄熱ユニットの外側に配置されており、支持ユニットが蓄熱ユニットから離間する方向に移動することを規制するガイドカバーを備える。これにより、連結されている複数の支持ユニットが、積層体の外側に向かって移動することを抑制できるため、外力に対して熱交換型反応器を保護し、積層体の崩れを抑制することができる。また、熱交換型反応器を製造するとき、蓄熱ユニットと支持ユニットとの組み合わせを、ガイドカバーの内表面に沿って移動させて、支持ユニットを連結させる。これにより、支持ユニットの取り付け位置の精度を向上させることができる。
【0012】
(5)上記形態の熱交換型反応器において、前記第1の支持ユニットと前記第2の支持ユニットのそれぞれは、前記蓄熱ユニットの積層方向に延伸する柱部を含んでおり、前記柱部は、前記ガイドカバーに固定されていてもよい。この構成によれば、蓄熱ユニットの積層方向に延伸する柱部は、ガイドカバーに固定されている。これにより、外部からの衝撃や回転などによっても積層体の崩れを抑制することができるため、対向する吸着材の間に形成される空間を維持し、向上させた蓄熱能力を維持させることができる。
【0013】
(6)本発明の別の形態によれば、蓄熱器が提供される。この蓄熱器は、上記の熱交換型反応器と、前記熱交換型反応器を収容する収容容器と、前記収容容器と前記熱交換型反応器との間に配置され、前記収容容器に対して前記熱交換型反応器を固定する固定用治具と、を備える。この構成によれば、熱交換型反応器は、固定用治具によって収容容器に対して固定されている。これにより、積層体が崩れることを抑制することができるため、対向する吸着材の間に形成される空間を維持し、向上させた蓄熱能力を維持させることができる。また、固定用治具によって、収容容器と熱交換型反応器との間には、空間が形成されるため、例えば、収容容器内に流入した吸着質が収容容器の全体に拡散しやすくなる。これにより、吸着材における吸着質の吸脱着を均一に行わせることができる。したがって、蓄熱器における吸着材の蓄熱能力を向上することができる。
【0014】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、熱交換型反応器のまたは蓄熱器の製造方法、蓄熱器を含むシステム、蓄熱器を含むシステムの制御方法、蓄熱器を含むシステムにおいて蓄熱を実行させるコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、そのコンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の蓄熱システムの模式図である。
【
図10】蓄熱器の製造方法を説明する第1の図である。
【
図11】蓄熱器の製造方法を説明する第2の図である。
【
図12】積層用構造体の積層状態を示す斜視図である。
【
図13】蓄熱器の製造方法を説明する第3の図である。
【
図14】蓄熱器の製造方法を説明する第4の図である。
【
図15】蓄熱器の製造方法を説明する第5の図である。
【
図16】蓄熱器の製造方法を説明する第6の図である。
【
図17】蓄熱器の製造方法を説明する第7の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の蓄熱システム1の模式図である。本実施形態の蓄熱システム1は、蒸発凝縮器2と、流通配管3と、バルブ4と、蓄熱器5と、を備える。蓄熱システム1は、蓄熱器5が備える吸着材12における吸着質の吸脱着反応を利用して、外部から供給される熱媒体M1と熱のやり取りを行う。熱媒体M1は、例えば、エタノールなどのアルコール、水、油類、これらの混合物などの流体である。熱媒体M1は、図示しない外部の廃熱発生装置の廃熱を蓄熱器5に供給し、蓄熱器5に蓄えられた熱を図示しない外部の熱利用装置に供給する。
【0017】
蒸発凝縮器2は、蓄熱器5が有する吸着材12が吸脱着することで蓄熱システム1を作動させる作動流体(吸着質)Wを貯留する。本実施形態では、作動流体として水が用いられる。蒸発凝縮器2は、吸着材12に吸着される水蒸気を貯留されている水から生成し、吸着材12が放出する水蒸気を凝縮し貯留する。なお、本実施形態では、水蒸気を吸着質として説明するが、吸着質は、必ずしも水蒸気に限られるものではない。例えば、吸着質は、水蒸気の代わりに、アンモニアや、炭素数1~6のアルコールなどの低級アルコールであってもよい。
【0018】
流通配管3は、
図1に示すように、蒸発凝縮器2と蓄熱器5とを接続する配管である。流通配管3には、蓄熱器5の吸着材12が吸脱着する水蒸気が流れる(
図1の白抜き矢印W11、W12参照)。バルブ4は、流通配管3に取り付けられており、蒸発凝縮器2と蓄熱器5との間を連通または遮断し、流通配管3における水蒸気W11、W12の流れを制御する。
【0019】
蓄熱器5は、熱交換型反応器6と、収容容器40と、を備える。蓄熱器5は、熱媒供給配管14を介して供給される熱媒体M1との熱のやり取りを行う。具体的には、蓄熱器5は、吸着材12に水蒸気を吸着させることで熱媒体M1に放熱し、熱媒体M1の熱によって加熱される吸着材12が吸着している水分を放出することで、熱媒体M1の熱を吸熱する。
【0020】
図2は、第1実施形態の熱交換型反応器6の斜視図である。本実施形態の熱交換型反応器6は、複数の蓄熱ユニット10と、複数の支持ユニット20と、ガイドカバー30と、収容容器40と、を備える。蓄熱ユニット10は、熱交換器11と、複数の吸着材12と、を備える。本実施形態では、複数の蓄熱ユニット10と複数の支持ユニット20とによって、蓄熱ユニット10が積層された積層体が形成される。本実施形態の熱交換器6では、この蓄熱ユニット10の積層体において、積層された蓄熱ユニット10の間に、空間16が形成されている。なお、
図2において、複数の蓄熱ユニット10の積層方向をz軸方向とし、z軸方向に垂直な平面に含まれる互いに直交する方向を、x軸方向およびy軸方向とする。
図2に示すように、2つの熱媒供給配管14を結ぶ方向をx軸方向とし、x軸方向とz軸方向とに直交する方向をy軸方向とする。
【0021】
図3は、本実施形態の蓄熱ユニット10の斜視図である。
図4は、蓄熱ユニット10の上面図である。
図5は、蓄熱ユニット10の側面図である。蓄熱ユニット10は、熱交換器11と、複数の吸着材12と、を備える。なお、
図3~
図5に示すx軸、y軸、および、z軸のそれぞれの方向は、
図2に示す熱交換型反応器6で積層されるときの方向を示す。
【0022】
熱交換器11は、中空平板状に形成されている部材である。熱交換器11は、熱伝導性が高い金属、例えば、銅から形成されている。熱交換器11の内側の中空部分には、吸着材12と熱交換する熱媒体M1が流れる。熱交換器11のy軸方向のマイナス側の端部には、熱交換器11の中空部を流れる熱媒体M1の熱媒流路13が形成されている(
図4参照)。熱媒流路13は、熱媒供給配管14に接続される。熱媒流路13は、流入流路13aと、流出流路13bと、を備える。流入流路13aは、熱交換器11の中空部分に熱媒体M1を流入させる流路である。流出流路13bは、熱交換器11の中空部分を流れる熱媒体M1を熱交換器11の外部に流出させる流路である。熱媒供給配管14によって蓄熱器5に供給される熱媒体M1は、流入流路13aを介して熱交換器11の中空部分に供給されて、吸着材12と熱交換を行う。吸着材12と熱交換した熱媒体M1は、流出流路13bを介して熱媒供給配管14を通り、蓄熱器5から排出される。
【0023】
吸着材12は、水蒸気が吸着すると放熱し、吸熱によって水蒸気が脱離する。本実施形態では、吸着材12は、シリカゲル粒子と、バインダーと、熱伝導性材料と、から成形されており、直方体形状に成形されている。本実施形態の蓄熱ユニット10では、吸着材12は、1枚の熱交換器11に形成されている一対の主面11a、11bのそれぞれに、36個ずつ配置されている。具体的には、
図4に示すように、一対の主面11a、11bのそれぞれにおいて、吸着材12は、x軸方向に6個並び、y軸方向に6個並ぶように配置されている。
図4に示すように、x軸方向に3個並ぶ吸着材12を2列配置した6個の吸着材12のかたまりを吸着体G12とすると、本実施形態では、6個の吸着体G12が配置されている。隣接する吸着体G12の間には、隙間15が形成されている。
【0024】
本実施形態では、熱交換型反応器6は、9個の蓄熱ユニット10を備えている。なお、熱交換型反応器6では、z軸方向のマイナス側の端部に、1枚の熱交換器11の一方の主面11aにのみ36個の吸着材12が接着されている蓄熱ユニット10aが配置されている。
【0025】
図6は、本実施形態の支持ユニット20の第1の斜視図である。
図7は、支持ユニット20の第2の斜視図である。支持ユニット20は、柱部21と、衝立部22と、を備える。複数の支持ユニット20は、それぞれが蓄熱ユニット10を支持しつつ、z軸方向に連結されることで、複数の蓄熱ユニット10を積層することができる。本実施形態では、柱部21と衝立部22とは、一体に成形されている。なお、
図6および
図7に示すx軸、y軸、および、z軸のそれぞれの方向は、熱交換型反応器6において、蓄熱ユニット10のx軸方向のプラス側の端部に配置される支持ユニット20における
図2に示す方向を示している。連結された状態の複数の支持ユニット20は、特許請求の範囲の「支持部」に相当する。
【0026】
柱部21は、略直方体形状を有しており、z軸方向に延伸するように形成されている。柱部21は、蓄熱ユニット10の熱交換器11の外周に配置されており、吸着体G12の熱交換器11から外れる方向のずれを抑制する。柱部21のz軸方向のプラス側の端部には、xz平面に略平行な段差面21aが形成されている。段差面21aに対してy軸方向のマイナス側に位置する端面21bは、段差面21aに対してy軸方向のプラス側に位置する端面21cよりもz軸方向のプラス側に形成されている。柱部21のz軸方向のマイナス側の端部には、xz平面に略平行な段差面21dが形成されている。段差面21dのy軸方向のプラス側に位置する端面21eは、段差面21dのy軸方向のマイナス側に位置する端面21fよりもz軸方向のマイナス側に形成されている。
【0027】
柱部21のz軸方向のマイナス側の端部には、切り欠き部23が形成されている。切り欠き部23は、y軸方向に沿って形成されており、蓄熱ユニット10の熱交換器11の外周端部を挿入可能である。柱部21には、後述するガイドカバー30に固定するときにねじが挿入されるねじ穴21gが形成されている。
【0028】
衝立部22は、柱部21の側面21hから、x軸のマイナス方向に延伸する、平板形状を有する部位である。衝立部22のz軸方向の長さは、熱交換型反応器6において積層されている隣接する蓄熱ユニット10のそれぞれの熱交換器11の間の距離と同じ程度の長さである。衝立部22のz軸方向のプラス側の端面22aと、z軸方向のマイナス側の端面22bとのそれぞれは、隣接する蓄熱ユニット10のそれぞれの熱交換器11に当接可能となっている。衝立部22は、支持ユニット20が蓄熱ユニット10に組付けられるとき、隣接する吸着体G12の間の隙間15に挿入される。
【0029】
図8は、本実施形態のガイドカバー30の分解斜視図である。ガイドカバー30は、内部に、複数の支持ユニット20によって支持されている複数の蓄熱ユニット10が積層された積層体を収容する。ガイドカバー30は、収容部材31と、2つの蓋部材32、33と、を備える。収容部材31は、蓄熱ユニット10の積層体の4方向(z軸方向のマイナス側、x軸方向のプラス側とマイナス側、および、y軸方向のマイナス側)を囲むように形成されている部材である。収容部材31は、底部31aと、3つの側部31b、31c、31dとを有する。側部31b、31c、31dのそれぞれには、複数の開口30aと、複数の穴30bが形成されている。収容部材31の3つの側部31b、31c、31dは、支持ユニット20に当接可能に配置されており、支持ユニット20が蓄熱ユニット10から離間する方向に移動することを規制する。蓋部材32は、蓄熱ユニット10の積層体のy軸方向のプラス側を覆う略平板形状の部材である。蓋部材32には、複数の開口30aと、複数の穴30bが形成されている。蓋部材32は、支持ユニット20に当接可能に配置されており、支持ユニット20が蓄熱ユニット10から離間する方向に移動することを規制する。蓋部材33は、蓄熱ユニット10の積層体のz軸方向のプラス側を覆う略平板形状の部材である。
【0030】
収容容器40は、熱交換型反応器6を収容する容器である。収容容器40は、熱交換型反応器6を収容した状態で内部を密閉することができる。収容容器40の内部は、流通配管3を介して蒸発凝縮器2に接続されており、蒸発凝縮器2が供給する水蒸気で満たすことができる。
【0031】
次に、本実施形態の蓄熱器5の製造方法について詳細を説明する。蓄熱器5は、ガイドカバー30の内部に、複数の支持ユニット20を用いて複数の蓄熱ユニット10を積層させた積層体を形成する。その後、蓄熱ユニット10の積層体が内部に収容するガイドカバー30を、ガイドカバー30ごと収容容器40に収容することで蓄熱器5が製造される。
【0032】
本実施形態の蓄熱器5の製造方法では、最初に、蓄熱ユニット10を作製する。蓄熱ユニット10は、熱交換器11の一対の主面11a、11bの少なくとも一方に複数の吸着材12を接着することで作製される。熱交換器11と吸着材12との接着は、例えば、吸着材12を熱交換器11に押し付けることで接着させる。これにより、蓄熱ユニット10が作製される。なお、本実施形態では、熱交換器11の一対の主面11a、11bのそれぞれに複数の吸着材12を接着した蓄熱ユニット10を9個作製するとともに、熱交換器11の一方の主面11aに、数の吸着材12を接着した蓄熱ユニット10aを1個作製する。なお、熱交換器11と吸着材12との接着の方法は、これに限定されず、熱伝導性が良い接着剤によって接着してもよい。
【0033】
蓄熱ユニット10を複数作製したのち、複数の蓄熱ユニット10のそれぞれに、支持ユニット20を取り付ける。支持ユニット20の取り付け工程では、蓄熱ユニット10の外周端部の複数の個所に支持ユニット20を取り付け、1つの蓄熱ユニット10と複数の支持ユニット20とを組み合わせた積層用構造体7を作製する。
【0034】
図9は、積層用構造体7の概略構成を示す図である。
図9は、積層用構造体7をz軸のプラス方向から見た図である。
図9に示すように、蓄熱ユニット10が有する6個の吸着体G12のうち、隣接する吸着体G12の間の隙間15に、支持ユニット20の衝立部22を挿入しつつ、支持ユニット20の切り欠き部23に蓄熱ユニット10の外周端部を挿入する。本実施形態では、
図9に示すように、支持ユニット20は、y軸方向に沿って両端に2個ずつ取り付けられ、x軸方向に沿って両端に1個取ずつり付けられる。なお、本実施形態では、熱交換器11の4つの角部11cのそれぞれに、角部11cを支持する支持ユニット24が取り付けられる、支持ユニット24には、蓄熱ユニット10の角部11cを挿入可能な切り欠き部が形成されている。すなわち、本実施形態では、蓄熱ユニット10と、6個の支持ユニット20と、4つの支持ユニット24とが組み合わされたものが、積層用構造体7となる。
【0035】
次に、作製した複数の積層用構造体7を積層する。積層用構造体7の積層工程では、積層用構造体7をガイドカバー30の収容部材31の中に入れて、支持ユニット20が連結されるように、積層用構造体7を積み上げる。
【0036】
図10は、蓄熱器5の製造方法を説明する第1の図である。
図10は、積層用構造体7が積層されていく状態を、y軸のプラス方向から見た図である。積層用構造体7の積層工程では、最初に、蓄熱ユニット10aと、6つの支持ユニット20と、4つの支持ユニット24とが組み合わされた積層用構造体7aを収容部材31の底部31aの上に置く。このとき、蓄熱ユニット10aの熱交換器11がz軸方向のマイナス側に位置するように、積層用構造体7aを収容部材31の中に入れる(
図10参照)。次に、収容部材31内の積層用構造体7aの上に、積層用構造体7を置く。このとき、積層用構造体7の支持ユニット20、24を、収容部材31の内表面31eに沿わせながら積層用構造体7を移動させて、積層用構造体7aの上に、積層用構造体7を置く(
図10の白抜き矢印F1)。これにより、すでに収容部材31内に置かれている積層用構造体7aの上に、積層用構造体7を精度よく置くことができ、支持ユニット20、24のそれぞれを連結することができる。このようにして、収容部材31内に置かれる積層用構造体7の上に、次の積層用構造体7を置くことで、収容部材31内に、蓄熱ユニット10の積層体が形成される。収容部材31内の蓄熱ユニット10の積層体では、隣接する蓄熱ユニット10の吸着材12の間に、空間16が形成される。なお、
図10以降、図面が煩雑になることを避けるため、熱交換型反応器6で積層される蓄熱ユニット10の数を6個として示す。
【0037】
図11は、蓄熱器5の製造方法を説明する第2の図である。
図11は、積層用構造体7が積層されている状態を、x軸のプラス方向から見た図であって、
図10の状態で積層しようとしていた積層用構造体7が積層された後の状態を示している。
図11に示すように、z軸方向で連結する支持ユニット20は、z軸方向のマイナス側に位置する支持ユニット20が有する柱部21の段差面21aと、z軸方向のプラス側に位置する支持ユニット20が有する柱部21の段差面21dとが当接している。これにより、
図11に示す支持ユニット20どうしの係合では、y軸方向へのずれが互いに規制される。
【0038】
図12は、積層用構造体7の積層状態を示す斜視図である。
図12には、積層用構造体7の積層状態をわかりやすくするため、ガイドカバー30を除いた状態を示している。
図12に示すように、本実施形態では、y軸方向の両側の端部に設けられている支持ユニット20における段差面21a、21dの係合では、積層用構造体7のx軸方向へずれが互いに規制される。すなわち、複数の積層用構造体7のそれぞれが有する6個の支持ユニット20は、蓄熱ユニット10の積層体における積層用構造体7のx軸方向とy軸方向との両方向のずれを規制することができる。
【0039】
ガイドカバー30の収容部材31内に、1個の積層用構造体7aと、9個の積層用構造体7とを積み重ねたのち、収容部材31のy軸方向のプラス側と、z軸方向のプラス側とのそれぞれの開口部分を蓋部材32、33で閉じる。収容部材31の開口部分を蓋部材32、33で閉じた後、支持ユニット20のねじ穴21gと、ガイドカバー30の穴30bに図示しないボルトを通して、支持ユニット20とガイドカバー30とを接続する。
【0040】
図13は、蓄熱器5の製造方法を説明する第3の図であって、積層用構造体7を積層し終えた状態の熱交換器6のz軸に垂直な断面図である。支持ユニット20とガイドカバー30とを接続した後、ガイドカバー30のy軸方向のマイナス側の端部に、2つの熱媒供給配管14を取り付ける(
図13参照)。2つの熱媒供給配管14のそれぞれは、1個の積層用構造体7aと、9個の積層用構造体7とのそれぞれの熱媒流路13に接続する。これにより、熱交換型反応器6が完成する。
【0041】
図14は、蓄熱器5の製造方法を説明する第4の図であって、積層用構造体7を積層し終えた状態の熱交換型反応器6のy軸に垂直な断面図である。
図14に示すように、ガイドカバー30内の蓄熱ユニット10の積層体において、隣接する蓄熱ユニット10の吸着材12の間には、空間16が形成されている。この空間16は、水蒸気が通る流路となる。また、積層用構造体7のx軸方向の長さが、ガイドカバー30の内部のx軸方向の距離よりわずかに短いか同じであるため、ガイドカバー30の側部31b、31cは、積層用構造体7のx軸方向の移動を規制する。
【0042】
ガイドカバー30内の蓄熱ユニット10の積層体において、隣接する蓄熱ユニット10の熱交換器11の間には、支持ユニット20の衝立部22が配置されている。衝立部22は、z軸方向のプラス側の端面22aがz軸のプラス方向に位置する熱交換器11の主面11bに当接可能となっており、z軸方向のマイナス側の端面22bがz軸のマイナス方向に位置する熱交換器11の主面11aに当接可能となっている。これにより、万が一、熱交換器11が変形しても、z軸方向で隣接する熱交換器11の間隔は衝立部22によって維持されるため、空間16がなくなることを抑制することができる。
【0043】
図15は、蓄熱器5の製造方法を説明する第5の図である。
図15は、熱交換型反応器6のx軸に垂直な断面図であって、ガイドカバー30の側部31bの内側における断面図である。
図15に示すように、ガイドカバー30内の蓄熱ユニット10の積層体において、隣接する蓄熱ユニット10の吸着材12の間には、水蒸気が通る流路となる空間16が形成されている。また、積層用構造体7のy軸方向の長さが、ガイドカバー30の内部のy軸方向の距離よりわずかに短いか同じであるため、ガイドカバー30の側部31dと蓋部材32は、積層用構造体7のy軸方向の移動を規制する。
【0044】
図16は、蓄熱器5の製造方法を説明する第6の図である。
図17は、蓄熱器5の製造方法を説明する第7の図である。
図16は、蓄熱器5のy軸の垂直な断面図であり、
図17は、蓄熱器5のz軸に垂直な断面図である。熱交換型反応器6を収容容器40内に収容するとき、収容容器40に対して熱交換型反応器6を固定する固定用治具51、52、53、54、55、56、57を用いる。固定用治具51は、
図16に示すように、熱交換型反応器6のz軸方向のプラス側において、ガイドカバー30の蓋部材33と収容容器40とに挟まれることで、収容容器40に対してガイドカバー30を保持する。固定用治具52、53、54、55、56、57のそれぞれは、
図17に示すように、熱交換型反応器6の支持ユニット20と収容容器40の内表面との間に配置されている。固定用治具51、52、53、54、55、56、57を用いて収容容器40に対して熱交換型反応器6を固定することで、熱交換型反応器6の外表面と収容容器40の内表面との間には、空間17が形成される。空間17は、熱交換型反応器6のz軸方向のマイナス側の外表面6aを除く外表面と収容容器40の内表面との間に形成される。空間17は、収容容器40内で水蒸気が拡散するための流路となる。本実施形態では、このようにして蓄熱器5が製造される。
【0045】
次に、蓄熱器5の作動内容について説明する。流入流路13aを介して比較的高温の熱媒体M1が蓄熱器5に供給される場合、蓄熱器5では、熱媒体M1との熱交換によって加熱された吸着材12は、吸着材12に吸着されている水を放出する。放出された水(水蒸気)は、隣接する吸着体G12の間の隙間15や、隣接する蓄熱ユニット10の吸着材12の間の空間16と、ガイドカバー30に形成されている複数の開口30aを通って、収容容器40の中であって熱交換型反応器6の外部に移動する。収容容器40の中の水蒸気は、流通配管3を介して蒸発凝縮器2に送られる。一方、吸着材12と熱交換した熱媒体M1は、流出流路13bと熱媒供給配管14を通り、蓄熱システム1の外部に排出される。
【0046】
吸着材12を放熱させる場合、蒸発凝縮器2で生成された水蒸気を、流通配管3を介して蓄熱器5の収容容器40内に送る。収容容器40内に送られた水蒸気は、ガイドカバー30の複数の開口30aを介して、吸着材12の間の空間16や、吸着体G12の間の隙間15を通り、熱交換型反応器6の全体に拡散する。熱交換型反応器6で拡散した水蒸気は、吸着材12が吸着する。これにより、吸着材12に発生する吸着熱は、流入流路13aを介して蓄熱器5に供給される熱媒体M1を加熱する。加熱された熱媒体M1は、流出流路13bと熱媒供給配管14を通り、蓄熱システム1の外部に排出される。蓄熱システム1の外部に排出された熱媒体M1の熱は、図示しない熱利用部において利用することができる。
【0047】
本実施形態の熱交換型反応器6は、蓄熱器5の使用中に、1つの蓄熱ユニット10が備える熱交換器11から熱媒体M1が漏れだしたり、吸着材12が吸脱着の繰り返しなどによって劣化したりした場合、不具合が生じた蓄熱ユニット10のみを交換することができる。具体的には、ガイドカバー30の蓋部材32を開けて、熱交換型反応器6のy軸のプラス側に配置されている支持ユニット20を取り外す。このとき、積層されている蓄熱ユニット10は、残りの支持ユニット20によって支持されているため、崩れることはない。支持ユニット20を取り外すと、不具合が生じた蓄熱ユニット10をy軸のプラス方向に引き抜くことができる。これは、蓄熱ユニット10が支持ユニット20の切り欠き部23に挿入されるだけで支持されているため、一定の方向に力をかけることで抜き差しが行えるためである。その後、新しい蓄熱ユニット10を不具合が生じた蓄熱ユニット10を抜き出した部分に挿入することで、不具合が生じた蓄熱ユニット10を新しい蓄熱ユニット10に交換することができる。
【0048】
以上説明した、本実施形態の熱交換型反応器6によれば、また、複数の蓄熱ユニット10を支持する複数の支持ユニット20は、一方の蓄熱ユニット10の吸着材12と他方の蓄熱ユニット10の吸着材12との間に空間16を形成する。これにより、蓄熱ユニット10の積層体全体に水蒸気が拡散しやすくなるため、吸着材12における水蒸気の吸脱着を均一に行わせることができる。したがって、熱交換型反応器6における吸着材12の蓄熱能力を向上することができる。
【0049】
また、本実施形態の熱交換型反応器6によれば、熱交換器11と吸着材12とを有する蓄熱ユニット10では、吸着材12が熱交換器11の一対の主面11a、11bの少なくとも一方に接着されているため、熱交換器11と吸着材12との間の熱抵抗を小さくすることができる。これにより、熱交換器11と吸着材12との間で効率的に熱をやり取りすることができる。
【0050】
また、本実施形態の熱交換型反応器6によれば、複数の蓄熱ユニット10は、蓄熱ユニット10の外周に配置されている複数の支持ユニット20によって支持されている。連結される複数の支持ユニット20のそれぞれには、蓄熱ユニット10の熱交換器11の外周端部が挿入されている。これにより、部材の組合せによって蓄熱ユニット10の積層体を形成することができるため、例えば、高温による接合などによって吸着材12が劣化することを抑制できる。
【0051】
また、本実施形態の熱交換型反応器6によれば、複数の支持ユニット20は連結されているため、例えば、1つの蓄熱ユニット10において熱交換器11から熱媒体M1が漏れるなどの不具合が生じた場合、その不具合が生した蓄熱ユニット10のみを交換することが可能となる。これにより、不具合による修理が簡便になるため、蓄熱能力が低下することを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態の熱交換型反応器6によれば、z軸方向で連結する支持ユニット20は、z軸方向のマイナス側に位置する支持ユニット20が有する柱部21の段差面21aと、z軸方向のプラス側に位置する支持ユニット20が有する柱部21の段差面21dとが当接しているため、支持ユニット20の位置が互いにずれにくくなる。これにより、外部からの衝撃などによって蓄熱ユニット10の積層体が崩れることを抑制するとともに、熱交換型反応器6を製造するとき、蓄熱ユニット10および支持ユニット20の取り付けを精度よく行うことができる。
【0053】
また、本実施形態の熱交換型反応器6によれば、支持ユニット20は、隣接する蓄熱ユニット10の熱交換器11の間に配置される衝立部22を備えている。これにより、熱交換器11が変形しても、衝立部22によって、隣接する熱交換器11の間の距離を維持することができる。したがって、対向する吸着材12の間の空間16を確保することができるため、水蒸気を拡散させることができ、熱交換型反応器6の蓄熱能力の低下を抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態の熱交換型反応器6によれば、熱交換型反応器6は、蓄熱ユニット10の積層体の外周に配置されており、支持ユニット20に当接するガイドカバー30を備える。これにより、連結されている複数の支持ユニット20が蓄熱ユニット10から離間する方向に移動することを抑制できるため、外力に対して熱交換型反応器6を保護し、蓄熱ユニット10の積層体の崩れを抑制することができる。また、熱交換型反応器6を製造するとき、蓄熱ユニット10と支持ユニット20との組み合わせを、ガイドカバー30の内表面31eに沿って移動させて、支持ユニット20を連結させることができる。これにより、支持ユニット20の取り付け位置の精度を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態の熱交換型反応器6によれば、支持ユニット20は、蓄熱ユニット10の積層方向に延伸する柱部21がガイドカバー30に固定されている。これにより、外部からの衝撃や回転などによっても蓄熱ユニット10の積層体の崩れを抑制することができるため、対向する吸着材12の間に形成される空間16を維持し、向上させた蓄熱能力を維持させることができる。
【0056】
また、本実施形態の蓄熱器5によれば、熱交換型反応器6は、固定用治具51、52、53、54、55、56、57によって収容容器40内に固定されている。これにより、積層されている蓄熱ユニット10の積層体が崩れることを抑制することができるため、対向する吸着材12の間に形成されている空間16を維持し、向上させた蓄熱能力を維持させることができる。また、固定用治具51、52、53、54、55、56、57によって、収容容器40と熱交換型反応器6との間には、空間17が形成されるため、水蒸気が収容容器40の全体に拡散しやすくなる。これにより、吸着材12における水蒸気の吸脱着を均一に行わせることができる。したがって、蓄熱器5における吸着材12の蓄熱能力を向上することができる。
【0057】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0058】
[変形例1]
上述の実施形態では、蓄熱システム1は、蒸発凝縮器2と、流通配管3と、バルブ4と、蓄熱器5と、を備えるとした。しかしながら、蓄熱システムの構成はこれに限定されない。蓄熱器を複数備える構成であってもよい。
【0059】
[変形例2]
上述の実施形態では、複数の蓄熱ユニット10のそれぞれを支持する「支持部」は、複数の支持ユニット20が連結されることで形成されるとした。支持部は、複数の蓄熱ユニット10を支持する1つの部材であってもよい。
【0060】
[変形例3]
上述の実施形態では、支持ユニット20は、積層方向で隣接する熱交換器11の間の距離を維持する衝立部22を備えるとした。衝立部22はなくてもよい。
【0061】
[変形例4]
上述の実施形態では、熱交換型反応器6は、支持ユニット20を固定するガイドカバー30を備えるとした。ガイドカバー30はなくてもよい。ガイドカバー30を備えることで、連結される複数の支持ユニット20を外側から支持し、蓄熱ユニット10の積層体が崩れることを抑制するとともに、熱交換型反応器6の製造時に、積層用構造体7を積層する位置決めを精度よく行うことができる。
【0062】
[変形例5]
上述の実施形態で説明した蓄熱ユニット10の構成は、これに限定されない。熱交換器11は、平板形状を有していなくてもよく、吸着材12は、一対の主面のいずれかに接着されていてもよい。また、本実施形態では、蓄熱ユニット10の熱媒流路13の流入流路13aと流出流路13bとは、熱交換器11のy軸方向のマイナス側の端部に設けられるとした。流入流路13aと流出流路13bとは異なる端部に設けられていてもよい。不具合が生じた蓄熱ユニット10のみを交換する場合には、1つの端部に流入流路13aと流出流路13bとが設けられていた方が取り出しやすくなる。
【0063】
[変形例6]
上述の実施形態では、蓄熱器5の製造方法において、蓄熱ユニット10と支持ユニット20とを組みわせた積層用構造体7を積み重ねることで、蓄熱ユニット10を積層するとした。しかしながら、蓄熱ユニット10を積層する方法は、これに限定されない。収容部材31内で先に支持ユニット20を連結しておいてから、蓄熱ユニット10をy軸のプラス方向からマイナス方向に向けてスライドさせることで、蓄熱ユニット10を積層してもよい。
【0064】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0065】
1…蓄熱システム
5…蓄熱器
6…熱交換型反応器
7,7a…積層用構造体
10,10a…蓄熱ユニット
11…熱交換器
11a,11b…主面
11b…主面
12…吸着材
16…空間
17…空間
20,24…支持ユニット
22…衝立部
30…ガイドカバー
40…収容容器
51,52,53,54,55,56,57…固定用治具