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特許7494792アイドルストップ機能を有する車両の制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】アイドルストップ機能を有する車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/02 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
F02D29/02 321A
F02D29/02 321C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021084605
(22)【出願日】2021-05-19
(65)【公開番号】P2022178078
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼家 陽介
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-097917(JP,A)
【文献】特開2014-134116(JP,A)
【文献】特開2007-278124(JP,A)
【文献】特開2002-256919(JP,A)
【文献】国際公開第2015/005015(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関を搭載した車両が走行状態から停止した際に前記内燃機関を一時的に停止させるアイドルストップ機能を有する車両の制御装置であって、
前記制御装置は、
走行状態の前記車両の速度と減速度に基づいて前記車両が停止する時刻である停止予定時刻を推定する、掃気開始推定部と、
推定した前記停止予定時刻に、前記内燃機関のシリンダ内を掃気する掃気処理が完了するように、所定の掃気時間の長さの掃気処理を開始する、掃気判定・実行部と、
前記掃気処理を前記掃気時間の間実行して前記掃気処理を完了後かつ前記車両が停止状態、の場合に前記内燃機関を一時的に停止させる、内燃機関停止部と、
を有し、
前記制御装置には、
第1設定速度と、前記第1設定速度よりも低い速度である第2設定速度と、が設定されており、
前記制御装置は、
前記掃気開始推定部にて、
走行状態の前記車両が減速して前記第1設定速度よりも高い速度から前記第1設定速度以下となった後にさらに減速して前記第2設定速度以下となった際に、
前記第1設定速度から前記第2設定速度までの減速に要した時間と、
前記第1設定速度及び前記第2設定速度と、
に基づいて前記車両の減速度である第1減速度を算出し、
算出した前記第1減速度と、
前記第2設定速度と、
に基づいて前記車両が停止する時刻である第1停止予定時刻を推定するとともに、
前記第1停止予定時刻から前記掃気時間だけ前の時刻となる第1掃気予定時刻と、
当該第1掃気予定時刻での前記車両の速度である第1掃気予定速度と、
を推定し、
前記掃気判定・実行部にて、
前記車両の速度が前記第1掃気予定速度以下となった場合に、前記掃気処理を開始する、
アイドルストップ機能を有する車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアイドルストップ機能を有する車両の制御装置であって、
前記制御装置は、
前記掃気判定・実行部にて、
前記車両の速度が前記第2設定速度以下となってから前記第1掃気予定時刻に達するまでの間に前記車両の速度が前記第1掃気予定速度以下となった場合に、前記掃気処理を開始する、
アイドルストップ機能を有する車両の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアイドルストップ機能を有する車両の制御装置であって、
前記制御装置は、
前記掃気判定・実行部にて、
前記車両の速度が前記第2設定速度以下となってから前記第1掃気予定時刻に達しても前記第1掃気予定速度以下とならなかった場合、
前記第1掃気予定時刻での前記車両の速度である第1掃気予定時刻速度と、
前記第2設定速度と、
前記第2設定速度以下となってから前記第1掃気予定時刻までの時間と、
に基づいて前記車両の減速度である第2減速度を算出し、
算出した前記第2減速度と、
前記第1掃気予定時刻速度と、
に基づいて前記車両が停止する時刻である第2停止予定時刻を推定するとともに、
前記第2停止予定時刻から前記掃気時間だけ前の時刻となる第2掃気予定時刻と、
当該第2掃気予定時刻での前記車両の速度である第2掃気予定速度と、
を推定し、
前記車両の速度が前記第2掃気予定速度以下となった場合に、前記掃気処理を開始する、
アイドルストップ機能を有する車両の制御装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のアイドルストップ機能を有する車両の制御装置であって、
前記制御装置には、
前記掃気時間よりも長い時間とされた掃気キャンセル判定時間が設定されており、
前記制御装置は、
前記掃気判定・実行部にて、
前記掃気処理を開始した後は所定タイミング毎に、
前記掃気処理を開始したときの前記車両の速度である掃気開始速度と、
現在の前記車両の速度である現在速度と、
前記掃気処理を開始してから現在までに要した時間と、
に基づいて前記車両の減速度である第3減速度を算出し、
算出した前記第3減速度と、
前記掃気開始速度と、
に基づいて前記車両が停止する時刻である第3停止予定時刻を推定するとともに、
前記掃気処理を開始した時刻である掃気開始時刻から前記掃気キャンセル判定時間が経過した掃気キャンセル判定時刻が、前記第3停止予定時刻よりも前であると判定した場合は、開始している前記掃気処理の前記掃気時間の間の実行中であっても前記掃気処理をキャンセルする、
アイドルストップ機能を有する車両の制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載のアイドルストップ機能を有する車両の制御装置であって、
前記制御装置は、
前記掃気判定・実行部にて、
開始している前記掃気処理をキャンセルした場合、前記車両が停止した際に前記掃気処理を、前記掃気時間の間実行する、
アイドルストップ機能を有する車両の制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関を搭載した車両が走行状態から停止した際に内燃機関を一時的に停止させるアイドルストップ機能を有する車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、運転者がイグニッションスイッチをOFFにして内燃機関の停止指令が入力されると、ただちに内燃機関を停止させるのではなく、所定の掃気処理を実行した後、内燃機関を停止させる、車両の制御装置が有る。この制御装置が搭載された車両では、内燃機関の停止前に掃気を行うことで、内燃機関の停止時にシリンダ内等に残留する凝縮水や排気ガスを低減できるので、インジェクタ等の腐食を抑制することができる。しかし、運転者がイグニッションスイッチをOFFにしたにもかかわらず、掃気処理が実行されてから内燃機関が停止されるので、掃気処理の時間が長いと運転者に違和感を与える。
【0003】
例えば特許文献1には、運転者がイグニッションスイッチをOFFにして内燃機関の停止指令が入力されると、適切な掃気時間を算出し、当該掃気時間の掃気処理を実行した後、内燃機関を停止させる内燃機関の制御装置が開示されている。また掃気処理としては、燃料噴射量を少し増量させて機関回転数を少し上昇させてスロットル弁の開度を増加させ、その後に燃料カット(内燃機関の停止)を行っている。これにより、掃気時間を必要以上に長い時間にすることなく、内燃機関の停止時にシリンダ内に残留する未燃燃料や排気ガスを低減し、インジェクタの腐食を抑制することができる。
【0004】
また近年ではアイドルストップ機能が普及しており、アイドルストップ機能を有する車両では、運転者がイグニッションスイッチをOFFにしなくても車両が停止した場合に自動的に内燃機関が停止される。運転者によるイグニッションスイッチのOFFに連動する掃気処理は、アイドルストップ機能による内燃機関の停止中に運転者がイグニッションスイッチをOFFにした場合、すでに内燃機関が停止しているので実行されない。
【0005】
そこで特許文献2には、車両の減速時やアイドル時に、数秒から数分の間、EGR弁を開弁して温度が低くなった排気ガスでEGR通路を掃気する車両搭載の内燃機関が開示されている。これにより、アイドルストップによる内燃機関の停止中に運転者がイグニッションスイッチをOFFに操作しても、内燃機関の停止の前の減速時やアイドル時に掃気処理を実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-209814号公報
【文献】特開2004-116402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の内燃機関の制御装置では、運転者によるイグニッションスイッチのOFFに連動する掃気処理を実行しているので、アイドルストップにて内燃機関が停止中に運転者がイグニッションスイッチをOFFにした場合、すでに内燃機関が停止しているので掃気処理は実行されない。
【0008】
また特許文献2に記載の内燃機関では、減速時やアイドル時に数秒から数分もの間、掃気処理にてEGR弁を強制的に開弁しており、排ガスの悪化を抑制する本来のEGR弁の制御とは異なる制御を数秒から数分という非常に長い時間実行するので、近年の厳しい排ガス規制への対処が困難である。
【0009】
なお、アイドルストップ機能を有する車両において、車両が停止した際にアイドルストップ機能にて内燃機関を停止する直前に掃気処理を実行することも考えられる。しかし、減速中の車両が停止した際、すぐには内燃機関が停止されず、掃気処理が実行された後で内燃機関が停止されるので、運転者に違和感を与える可能性がある。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、アイドルストップ機能を有する車両において、減速中の車両が停止する直前に掃気処理を完了させ、車両が停止した際にはより速やかにアイドルストップ機能にて内燃機関を停止させることができる、アイドルストップ機能を有する車両の制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、内燃機関を搭載した車両が走行状態から停止した際に前記内燃機関を一時的に停止させるアイドルストップ機能を有する車両の制御装置であって、前記制御装置は、走行状態の前記車両の速度と減速度に基づいて前記車両が停止する時刻である停止予定時刻を推定する、掃気開始推定部と、推定した前記停止予定時刻に、前記内燃機関のシリンダ内を掃気する掃気処理が完了するように、所定の掃気時間の長さの掃気処理を開始する、掃気判定・実行部と、前記掃気処理を前記掃気時間の間実行して前記掃気処理を完了後かつ前記車両が停止状態、の場合に前記内燃機関を一時的に停止させる、内燃機関停止部と、を有している、アイドルストップ機能を有する車両の制御装置である。
【0012】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係るアイドルストップ機能を有する車両の制御装置であって、前記制御装置には、第1設定速度と、前記第1設定速度よりも低い速度である第2設定速度と、が設定されている。そして前記制御装置は、前記掃気開始推定部にて、走行状態の前記車両が減速して前記第1設定速度よりも高い速度から前記第1設定速度以下となった後にさらに減速して前記第2設定速度以下となった際に、前記第1設定速度から前記第2設定速度までの減速に要した時間と、前記第1設定速度及び前記第2設定速度と、に基づいて前記車両の減速度である第1減速度を算出し、算出した前記第1減速度と、前記第2設定速度と、に基づいて前記車両が停止する時刻である第1停止予定時刻を推定するとともに、前記第1停止予定時刻から前記掃気時間だけ前の時刻となる第1掃気予定時刻と、当該第1掃気予定時刻での前記車両の速度である第1掃気予定速度と、を推定し、前記掃気判定・実行部にて、前記車両の速度が前記第1掃気予定速度以下となった場合に、前記掃気処理を開始する、アイドルストップ機能を有する車両の制御装置である。
【0013】
次に、本発明の第3の発明は、上記第2の発明に係るアイドルストップ機能を有する車両の制御装置であって、前記制御装置は、前記掃気判定・実行部にて、前記車両の速度が前記第2設定速度以下となってから前記第1掃気予定時刻に達するまでの間に前記車両の速度が前記第1掃気予定速度以下となった場合に、前記掃気処理を開始する、アイドルストップ機能を有する車両の制御装置である。
【0014】
次に、本発明の第4の発明は、上記第3の発明に係るアイドルストップ機能を有する車両の制御装置であって、前記制御装置は、前記掃気判定・実行部にて、前記車両の速度が前記第2設定速度以下となってから前記第1掃気予定時刻に達しても前記第1掃気予定速度以下とならなかった場合、前記第1掃気予定時刻での前記車両の速度である第1掃気予定時刻速度と、前記第2設定速度と、前記第2設定速度以下となってから前記第1掃気予定時刻までの時間と、に基づいて前記車両の減速度である第2減速度を算出し、算出した前記第2減速度と、前記第1掃気予定時刻速度と、に基づいて前記車両が停止する時刻である第2停止予定時刻を推定するとともに、前記第2停止予定時刻から前記掃気時間だけ前の時刻となる第2掃気予定時刻と、当該第2掃気予定時刻での前記車両の速度である第2掃気予定速度と、を推定し、前記車両の速度が前記第2掃気予定速度以下となった場合に、前記掃気処理を開始する、アイドルストップ機能を有する車両の制御装置である。
【0015】
次に、本発明の第5の発明は、上記第3の発明または第4の発明に係るアイドルストップ機能を有する車両の制御装置であって、前記制御装置には、前記掃気時間よりも長い時間とされた掃気キャンセル判定時間が設定されている。そして前記制御装置は、前記掃気判定・実行部にて、前記掃気処理を開始した後は所定タイミング毎に、前記掃気処理を開始したときの前記車両の速度である掃気開始速度と、現在の前記車両の速度である現在速度と、前記掃気処理を開始してから現在までに要した時間と、に基づいて前記車両の減速度である第3減速度を算出し、算出した前記第3減速度と、前記掃気開始速度と、に基づいて前記車両が停止する時刻である第3停止予定時刻を推定するとともに、前記掃気処理を開始した時刻である掃気開始時刻から前記掃気キャンセル判定時間が経過した掃気キャンセル判定時刻が、前記第3停止予定時刻よりも前であると判定した場合は、開始している前記掃気処理の前記掃気時間の間の実行中であっても前記掃気処理をキャンセルする、アイドルストップ機能を有する車両の制御装置である。
【0016】
次に、本発明の第6の発明は、上記第5の発明に係るアイドルストップ機能を有する車両の制御装置であって、前記制御装置は、前記掃気判定・実行部にて、開始している前記掃気処理をキャンセルした場合、前記車両が停止した際に前記掃気処理を、前記掃気時間の間実行する、アイドルストップ機能を有する車両の制御装置である。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、制御装置は、走行状態の車両の減速度に基づいて、車両の停止予定時刻を推定し、停止予定時刻よりも掃気時間だけ前から掃気処理を開始する(停止予定時刻に掃気処理が完了するように、掃気時間長さの掃気処理を開始する)。つまり、制御装置は、掃気処理の完了タイミングと、車両の停止タイミングとを一致させる。これにより、制御装置は、アイドルストップ機能を有する車両において、減速中の車両が停止する直前に掃気処理を完了させ、車両が停止した際にはより速やかにアイドルストップ機能にて内燃機関を停止させることができる。
【0018】
第2の発明によれば、制御装置は、より具体的かつ適切に第1停止予定時刻を推定することができる。また制御装置は、より具体的かつ適切に掃気処理を開始させることができる。
【0019】
第3の発明によれば、制御装置は、車両の速度が第2設定速度以下となった後、|減速度|が大きくなって(より大きな減速)停止予定時刻が近くなっても、適切に掃気処理を開始することができる。
【0020】
第4の発明によれば、制御装置は、車両の速度が第2設定速度以下となった後、|減速度|が小さくなって停止予定時刻が遠くなっても、より具体的かつ適切に第2停止予定時刻を推定することができる。そして制御装置は、より具体的かつ適切に掃気処理を開始させることができる。
【0021】
第5の発明によれば、制御装置は、掃気処理を開始した後、車両の|減速度|がさらに小さくなって停止予定時刻がさらに必要以上に遠くなった場合、開始している掃気処理を適切にキャンセルすることができる。
【0022】
第6の発明によれば、制御装置は、車両の停止の前に開始した掃気処理をキャンセルした場合、車両が停止した際に、掃気処理を適切に完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】内燃機関システム全体の概略構成の例を説明する図である。
図2】制御装置による[全体処理]の処理手順の例を説明するフローチャートである。
図3図2に示すフローチャートの「第1設定速度」、「第2設定速度」、「第1掃気予定速度」、「第2掃気予定速度」等を説明する、時刻と車両の速度との関係を説明する図である。
図4図2に示すフローチャートの「減速モード」について説明する図である。
図5図2に示すフローチャートの[減速モード0――>1の処理]の詳細を説明するフローチャートである。
図6図2に示すフローチャートの[減速モード1――>2の処理]の詳細を説明するフローチャートである。
図7図2に示すフローチャートの[減速モード2――>3の処理]の詳細を説明するフローチャートである。
図8図2に示すフローチャートの[減速モード2――>40の処理]の詳細を説明するフローチャートである。
図9図2に示すフローチャートの[減速モード=40の処理]の詳細を説明するフローチャートである。
図10図2に示すフローチャートの[減速モード3――>50の処理]の詳細を説明するフローチャートである。
図11図2に示すフローチャートの[減速モード=50の処理]の詳細を説明するフローチャートである。
図12図2に示すフローチャートの[掃気処理]の詳細を説明するフローチャートである。
図13図2に示すフローチャートとは別とされた[掃気用アクチュエータ処理]の詳細を説明するフローチャートである。
図14図2に示すフローチャートの[燃料カット処理]の詳細を説明するフローチャートである。
図15図2に示すフローチャートとは別とされた[燃料噴射処理]の詳細を説明するフローチャートである。
図16】第1減速パターン(車両が一定の減速度(第1減速度)で停止に達した場合)における、掃気処理の実行タイミングと、内燃機関の停止タイミングとを説明する図である。
図17】第2減速パターン(車両の速度が第2設定速度~第1掃気予定速度の間に、|減速度|が大きくなった場合)における、掃気処理の実行タイミングと、内燃機関の停止タイミングとを説明する図である。
図18】第3減速パターン(車両の速度が第2設定速度~第1掃気予定速度の間に、|減速度|が大きくなった後、掃気処理を開始後に|減速度|が小さくなった場合)における、掃気処理のキャンセルタイミング、再実行タイミングと、内燃機関の停止タイミングとを説明する図である。
図19】第4減速パターン(車両の速度が第2設定速度~第1掃気予定速度の間に、|減速度|が小さくなった場合)における、掃気処理の実行タイミングと、内燃機関の停止タイミングとを説明する図である。
図20】第5減速パターン(車両の速度が第2設定速度~第1掃気予定速度の間に、|減速度|が小さくなった後、第2掃気予定時刻の前に|減速度|が大きくなった場合)における、掃気処理の実行タイミングと、内燃機関の停止タイミングとを説明する図である。
図21】第6減速パターン(車両の速度が第2設定速度~第1掃気予定速度の間に、|減速度|が小さくなった後、掃気処理を開始後に|減速度|がさらに小さくなった場合)における、掃気処理のキャンセルタイミング、再実行タイミングと、内燃機関の停止タイミングとを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
●[内燃機関システム1の概略構成の例(図1)]
以下に本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。まず図1を用いて、内燃機関システム1の概略構成の例について説明する。本実施の形態の説明では、内燃機関の例として、車両に搭載された内燃機関10(例えばディーゼルエンジン)を用いて説明する。なお、本実施の形態の説明では、「時刻」と「時間」を区別している。「時刻」は24時間中の「時」の位置を示し、「時間」は「時」の長さを示している。
【0025】
以下、システム全体について、吸気側から排気側に向かって順に説明する。吸気管11Aの流入側には、エアクリーナ(図示省略)、吸気流量検出装置21(例えば、吸気流量センサ)が設けられている。吸気流量検出装置21は、内燃機関10が吸入した空気の流量に応じた検出信号を制御装置50に出力する。また吸気流量検出装置21には、吸気温度検出装置28A(例えば、吸気温度センサ)、大気圧検出装置23(例えば、大気圧センサ)が設けられている。吸気温度検出装置28Aは、吸気流量検出装置21を通過する吸気の温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。大気圧検出装置23は、周囲の大気圧に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0026】
吸気管11Aの流出側はコンプレッサ35の流入側に接続され、コンプレッサ35の流出側は吸気管11Bの流入側に接続されている。ターボ過給機30のコンプレッサ35は、排気ガスのエネルギーによって回転駆動されるタービン36にて回転駆動され、吸気管11Aから流入された吸気を吸気管11Bに圧送することで過給する。
【0027】
コンプレッサ35の上流側となる吸気管11Aには、コンプレッサ上流圧力検出装置24A(例えば圧力センサ)が設けられている。コンプレッサ上流圧力検出装置24Aは、吸気管11A内の吸気の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。コンプレッサ35の下流側となる吸気管11B(吸気管11Bにおけるコンプレッサ35とインタークーラ16との間の位置)には、コンプレッサ下流圧力検出装置24B(例えば圧力センサ)が設けられている。コンプレッサ下流圧力検出装置24Bは、吸気管11B内の吸気の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0028】
吸気管11Bには、上流側にインタークーラ16が配置され、インタークーラ16よりも下流側にスロットル装置47が配置されている。インタークーラ16は、コンプレッサ下流圧力検出装置24Bよりも下流側に配置されている。インタークーラ16とスロットル装置47との間には、吸気温度検出装置28B(例えば、吸気温度センサ)が設けられている。吸気温度検出装置28Bは、インタークーラ16にて温度が低下された吸気の温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0029】
スロットル装置47は、制御装置50からの制御信号に基づいて吸気管11Bの開度を調整するスロットルバルブ47Vを駆動し、吸気流量を調整可能である。制御装置50は、運転状態に応じて求めた目標スロットル開度に基づいて、スロットル装置47に制御信号を出力してスロットルバルブ47Vの開度を調整可能である。
【0030】
アクセルペダル踏込量検出装置25は、例えばアクセルペダル踏込角度センサであり、アクセルペダルに設けられている。制御装置50は、アクセルペダル踏込量検出装置25からの検出信号に基づいて、運転者によるアクセルペダルの踏込量を検出することが可能である。またブレーキ検出装置25Bは、例えばブレーキペダルセンサであり、ブレーキペダルに設けられている。制御装置50は、ブレーキ検出装置25Bからの検出信号に基づいて、運転者がブレーキペダルを踏んでいるか否かを検出することが可能である。またイグニッション検出装置25Sは、例えばイグニッションスイッチセンサであり、イグニッションスイッチに設けられている。制御装置50は、運転者によってイグニッションスイッチがONまたはOFFに操作されたことを検出することが可能である。
【0031】
吸気管11Bの流出側は吸気マニホルド11Cの流入側に接続されており、吸気マニホルド11Cの流出側は内燃機関10の流入側に接続されている。また吸気管11Bにおけるスロットル装置47よりも下流側には(吸気マニホルド11Cには)、吸気マニホルド圧力検出装置24C(例えば圧力センサ)が設けられており、EGR配管13の流出側が接続されている。吸気マニホルド圧力検出装置24Cは、吸気マニホルド11Cに流入する直前の吸気の圧力(過給圧)に応じた検出信号を制御装置50に出力する。またEGR配管13の流出側(吸気管11Bとの接続部)からは、EGR配管13の流入側(排気管12Bとの接続部)から流入してきたEGRガスが、吸気管11B内に吐出される。EGR配管13は、排気経路に一方端が接続され、吸気経路に他方端が接続されている。
【0032】
内燃機関10は複数のシリンダ45A~45D(気筒)を有しており、インジェクタ43A~43Dが、それぞれのシリンダに設けられている。インジェクタ43A~43Dには、コモンレール41と燃料配管42A~42Dを介して燃料が供給されており、インジェクタ43A~43Dは、制御装置50からの制御信号によって駆動され、それぞれのシリンダ45A~45D内に燃料を噴射する。コモンレール41には、燃料圧力検出装置73が設けられており、燃料ポンプ72によって目標燃料圧力に調整された燃料が充填されている。制御装置50は、燃料圧力検出装置73を用いて検出した燃料圧力が目標燃料圧力に近づくように燃料ポンプ72を制御する。
【0033】
内燃機関10には、クランク角度検出装置22A、カム角度検出装置22B、クーラント温度検出装置28C等が設けられている。クランク角度検出装置22Aは、例えば回転センサであり、内燃機関10のクランクシャフトの回転角度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。カム角度検出装置22Bは、例えば回転センサであり、内燃機関10のカムシャフトの回転角度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、クランク角度検出装置22Aとカム角度検出装置22Bからの検出信号に基づいて、各シリンダの工程及び回転角度等を検出することができる。またクーラント温度検出装置28Cは、例えば温度センサであり、内燃機関10内に循環されている冷却用クーラントの温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0034】
内燃機関10の排気側には排気マニホルド12Aの流入側が接続され、排気マニホルド12Aの流出側には排気管12Bの流入側が接続されている。排気管12Bの流出側はタービン36の流入側に接続され、タービン36の流出側は排気管12Cの流入側に接続されている。
【0035】
排気管12Bの上流側には、EGR配管13の流入側が接続されている。EGR配管13は、EGR流路に相当しており、排気管12Bと吸気管11Bとを連通し、排気管12Bの排気ガスの一部をEGRガスとして吸気管11Bに還流させる(排気ガスの一部をEGRガスとして吸気に戻す)ことが可能である。またEGR配管13には、EGRクーラ15、EGR弁14が設けられている。制御装置50は、EGR弁14の開度を調整することで、EGR配管13内を流れるEGRガスの流量を調整可能である。
【0036】
また排気管12Bにおける上流側には(排気マニホルド12Aには)、排気マニホルド圧力検出装置26C(例えば圧力センサ)が設けられている。排気マニホルド圧力検出装置26Cは、排気マニホルド12A内の排気の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0037】
排気管12Bには、排気温度検出装置29が設けられている。排気温度検出装置29は、例えば排気温度センサであり、排気温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0038】
排気管12Bの流出側はタービン36の流入側に接続され、タービン36の流出側は排気管12Cの流入側に接続されている。タービン36には、タービン36へ導く排気ガスの流速を制御可能な(タービンへと排気ガスを導く流路の閉度に関連する閉度関連量を調整可能な)可変ノズル33が設けられており、可変ノズル33(過給圧調整装置に相当)は、ノズル駆動装置31によって閉度(開度)が調整される。制御装置50は、ノズル閉度検出装置32(例えば、ノズル閉度センサ)からの検出信号と目標ノズル閉度(開度)に基づいて、ノズル駆動装置31に制御信号を出力して可変ノズル33の閉度(開度)を調整することで過給圧を調整可能である。なおタービン36は、排気経路に接続されたEGR配管13よりも排気の下流側に配置されている。
【0039】
タービン36の上流側となる排気管12Bには、タービン上流圧力検出装置26A(例えば圧力センサ)が設けられている。タービン上流圧力検出装置26Aは、排気管12B内の排気の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。タービン36の下流側となる排気管12Cには、タービン下流圧力検出装置26B(例えば圧力センサ)が設けられている。タービン下流圧力検出装置26Bは、排気管12C内の排気の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0040】
排気管12Cの流出側には排気浄化装置61が接続されている。例えば内燃機関10がディーゼルエンジンの場合、排気浄化装置61には、酸化触媒、微粒子捕集フィルタ、選択式還元触媒等が含まれている。
【0041】
車速検出装置27は、例えば車両速度検出センサであり、車両の車輪等に設けられている。車速検出装置27は、車両の車輪の回転速度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0042】
制御装置50は、CPU51、RAM52、記憶装置53、タイマ54等を有している。制御装置50(CPU51)は、上述した種々の検出装置からの検出信号が入力され、上述した種々のアクチュエータへの制御信号を出力する。なお、制御装置50の入出力は、上記の検出装置やアクチュエータに限定されるものではない。また、各部の温度や圧力等はセンサを搭載せずに推定計算により算出しても良い。制御装置50は、上記の検出装置を含めた各種の検出装置からの検出信号に基づいて内燃機関10の運転状態を検出可能であり、運転状態に基づいて上記のアクチュエータを含む各種のアクチュエータを制御する。記憶装置53は、例えばFlash-ROM等の記憶装置であり、内燃機関の制御や自己診断等を実行するためのプログラムやデータ等が記憶されている。また制御装置50(CPU51)は、掃気開始推定部51A、掃気判定・実行部51B、内燃機関停止部51C等を有しているが、これらの詳細については後述する。
【0043】
制御装置50は、内燃機関システム1を搭載した車両が減速して停止した際には、内燃機関を自動的に停止するアイドルストップ機能を有している。また、当該アイドルストップ機能にて内燃機関を停止する直前には、車両の停止タイミングを予測して以降に説明する掃気処理を実行することで、可能な限り、掃気処理の完了タイミングと、車両の停止タイミングとを一致させる。以下、制御装置50の処理手順の例について説明する。
【0044】
●[制御装置50の処理手順(図2図15)]
次に図2図15に示すフローチャート等を用いて、制御装置50の処理手順の例を説明する。まず図2に示すフローチャートを用いて、[全体処理]について説明する。なお図3に示す[減速パターンの例]は、時刻(横軸)に対する車速(縦軸)の例を示しており、減速状態の車両の各時刻、各速度と、図2に示すフローチャートで用いる各時刻の名称、各速度の名称、を示している。また図4に示す[減速モード]は、図2図9図11に示すフローチャートで用いている「減速モード」の各値が、どのような状態を示すものであるか、を示している。
【0045】
●[全体処理(図2)]
制御装置50(CPU51)は、例えば所定時間間隔(数[ms]~数10[ms]間隔であり、所定タイミング毎)にて、図2に示す[全体処理]を起動し、ステップS010に処理を進める。なお制御装置50は、図示省略した別の処理にて、内燃機関10の車速(車両速度)を含む種々の運転状態を取得している。
【0046】
ステップS010にて制御装置50は、車速が第1設定速度以下であるか否かを判定する。制御装置50は、車速が第1設定速度以下である場合(Yes)はステップS020へ処理を進め、車速が第1設定速度以下でない場合(No)はステップS750へ処理を進める。なお第1設定速度は、実際の車両を用いた実験やシミュレーション等にて適切な値(例えば約5.0[km/h])が決定されて記憶装置53に記憶されている。
【0047】
ステップS750へ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードに「0」を設定して(図4参照)ステップS760へ処理を進める。
【0048】
ステップS760にて制御装置50は、掃気完了フラグをOFFに設定し、掃気実行フラグをOFFに設定し、掃気実行タイマを初期化し、図2に示す処理を終了する。
【0049】
ステップS020へ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードが「0」であるか否かを判定する。制御装置50は、減速モードが「0」である場合(Yes)はステップS050へ処理を進め、減速モードが「0」でない場合(No)はステップS120へ処理を進める。
【0050】
ステップS050へ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードに「1」を設定して(図4参照)ステップS060へ処理を進める。
【0051】
ステップS060にて制御装置50は、[減速モード0――>1の処理]を実行し、ステップS070へ処理を進める。なお[減速モード0――>1の処理]の詳細については後述する。
【0052】
ステップS070にて制御装置50は、[掃気処理]を実行し、ステップS080へ処理を進める。なお[掃気処理]の詳細については後述する。
【0053】
ステップS080にて制御装置50は、[燃料カット処理]を実行し、図2に示す処理を終了する。
【0054】
ステップS120に処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードが「1」であるか否かを判定する。制御装置50は、減速モードが「1」である場合(Yes)はステップS125へ処理を進め、減速モードが「1」でない場合(No)はステップS220へ処理を進める。
【0055】
ステップS125にて制御装置50は、車速が第2設定速度以下であるか否かを判定する。制御装置50は、車速が第2設定速度以下である場合(Yes)はステップS150へ処理を進め、車速が第2設定速度以下でない場合(No)はステップS070へ処理を進める。なお第2設定速度は、第1設定速度よりも低い速度に設定されており(図3参照)、実際の車両を用いた実験やシミュレーション等にて適切な値(例えば約3.0[km/h])が決定されて記憶装置53に記憶されている。
【0056】
ステップS150へ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードに「2」を設定して(図4参照)ステップS160へ処理を進める。
【0057】
ステップS160にて制御装置50は、[減速モード1――>2の処理]を実行し、ステップS070へ処理を進める。なお[減速モード1――>2の処理]の詳細については後述する。
【0058】
ステップS220へ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードが「2」であるか否かを判定する。制御装置50は、減速モードが「2」である場合(Yes)はステップS225へ処理を進め、減速モードが「2」でない場合(No)はステップS320へ処理を進める。
【0059】
ステップS225へ処理を進めた場合、制御装置50は、現在時刻が第1掃気予定時刻を超えたか否かを判定する。なお、第1掃気予定時刻は、後述する[減速モード1――>2の処理]にて算出され、掃気処理を実行する予定の時刻である。制御装置50は、現在時刻が第1掃気予定時刻を超えている場合(Yes)はステップS250Bへ処理を進め、現在時刻が第1掃気予定時刻を超えていない場合(No)はステップS230へ処理を進める。
【0060】
ステップS230へ処理を進めた場合、制御装置50は、車速が第1掃気予定速度以下であるか否かを判定する。なお、第1掃気予定速度は、後述する[減速モード1――>2の処理]にて算出され、掃気処理を実行する予定の車速である。制御装置50は、車速が第1掃気予定速度以下である場合(Yes)はステップS250Aへ処理を進め、車速が第1掃気予定速度以下でない場合(No)はステップS070へ処理を進める。
【0061】
ステップS250Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードに「40」を設定して(図4参照)ステップS260Aへ処理を進める。
【0062】
ステップS260Aにて制御装置50は、[減速モード2――>40の処理]を実行し、ステップS070へ処理を進める。なお[減速モード2――>40の処理]の詳細については後述する。
【0063】
ステップS250Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードに「3」を設定して(図4参照)ステップS260Bへ処理を進める。
【0064】
ステップS260Bにて制御装置50は、[減速モード2――>3の処理]を実行し、ステップS070へ処理を進める。なお[減速モード2――>3の処理]の詳細については後述する。
【0065】
ステップS320へ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードが「3」であるか否かを判定する。制御装置50は、減速モードが「3」である場合(Yes)はステップS325へ処理を進め、減速モードが「3」でない場合(No)はステップS420へ処理を進める。
【0066】
ステップS325へ処理を進めた場合、制御装置50は車速が第2掃気予定速度以下であるか否かを判定する。なお、第2掃気予定速度は、後述する[減速モード2――>3の処理]にて算出され、掃気処理を実行する予定の車速である。制御装置50は、車速が第2掃気予定速度以下である場合(Yes)はステップS350へ処理を進め、車速が第2掃気予定速度以下でない場合(No)はステップS070へ処理を進める。
【0067】
ステップS350へ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードに「50」を設定して(図4参照)ステップS360へ処理を進める。
【0068】
ステップS360にて制御装置50は、[減速モード3――>50の処理]を実行し、ステップS070へ処理を進める。なお[減速モード3――>50の処理]の詳細については後述する。
【0069】
ステップS420へ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードが「40」であるか否かを判定する。制御装置50は、減速モードが「40」である場合(Yes)はステップS460へ処理を進め、減速モードが「40」でない場合(No)はステップS520へ処理を進める。
【0070】
ステップS460へ処理を進めた場合、制御装置50は、[減速モード=40の処理]を実行し、ステップS070へ処理を進める。なお[減速モード=40の処理]の詳細については後述する。
【0071】
ステップS520へ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードが「50」であるか否かを判定する。制御装置50は、減速モードが「50」である場合(Yes)はステップS560へ処理を進め、減速モードが「50」でない場合(No)はステップS070へ処理を進める。
【0072】
ステップS560へ処理を進めた場合、制御装置50は、[減速モード=50の処理]を実行し、ステップS070へ処理を進める。なお[減速モード=50の処理]の詳細については後述する。
【0073】
●[減速モード0――>1の処理(図5)]
次に図5を用いて、図2に示すフローチャートのステップS060の[減速モード0――>1の処理]の詳細を説明する。図2に示すフローチャートのステップS060の処理を実行する際、制御装置50は、図5に示すステップSM010へ処理を進める。
【0074】
ステップSM010へ処理を進めた場合、制御装置50は、現在時刻を第1設定速度時刻Z1(図3参照)に設定し、図5に示す処理を終了すると、図2に示すステップS070へ処理を戻す。
【0075】
●[減速モード1――>2の処理(図6)]
次に図6を用いて、図2に示すフローチャートのステップS160の[減速モード1――>2の処理]の詳細を説明する。図2に示すフローチャートのステップS160の処理を実行する際、制御装置50は、図6に示すステップSM110へ処理を進める。
【0076】
ステップSM110へ処理を進めた場合、制御装置50は、現在時刻を第2設定速度時刻Z2(図3参照)に設定し、第1減速度ΔG1(図3参照)を算出し、第1停止予定時刻ZT1と第1掃気予定時刻ZS1と第1掃気予定速度VS1(図3参照)を推定する。そして制御装置50は、図6に示す処理を終了すると、図2に示すステップS070へ処理を戻す。
【0077】
具体的には、制御装置50は第1減速度ΔG1を算出する際、[第2設定速度V2―第1設定速度V1]/[第2設定速度時刻Z2-第1設定速度時刻Z1(第1設定速度から第2設定速度までの減速に要した時間)]にて第1減速度ΔG1を算出する(図3参照)。また制御装置50は、第2設定速度V2及び第2設定速度時刻Z2と、第1減速度ΔG1とに基づいて、車速が「0」となる第1停止予定時刻ZT1(図3参照)を推定(予測)する。そして制御装置50は、第1停止予定時刻ZT1よりも掃気時間TSだけ前の時刻となる第1掃気予定時刻ZS1(図3参照)を推定する。なお掃気時間は、掃気処理に必要な時間であり、例えば約400[ms]程度に設定された一定の時間、あるいは運転状態に応じて算出された可変の時間、である。また制御装置50は、図3の[第1の実施の形態]にて示した直線上における第1掃気予定時刻ZS1での車速である第1掃気予定速度VS1を推定する。
【0078】
●[減速モード2――>3の処理(図7)]
次に図7を用いて、図2に示すフローチャートのステップS260Bの[減速モード2――>3の処理]の詳細を説明する。図2に示すフローチャートのステップS260Bの処理を実行する際、制御装置50は、図7に示すステップSM210へ処理を進める。
【0079】
ステップSM210へ処理を進めた場合、制御装置50は、現在速度を第1掃気予定時刻速度VSY1(図3参照)に設定し、第2減速度ΔG2(図3参照)を算出し、第2停止予定時刻ZT2と第2掃気予定時刻ZS2と第2掃気予定速度VS2(図3参照)を推定する。そして制御装置50は、図7に示す処理を終了すると、図2に示すステップS070へ処理を戻す。
【0080】
具体的には、制御装置50は第2減速度ΔG2を算出する際、[第1掃気予定時刻速度VSY1―第2設定速度V2]/[第1掃気予定時刻ZS1-第2設定速度時刻Z2(第2設定速度以下となってから第1掃気予定時刻までの時間)]にて第2減速度ΔG2を算出する(図3参照)。また制御装置50は、第1掃気予定時刻速度VSY1及び第1掃気予定時刻ZS1と、第2減速度ΔG2とに基づいて、車速が「0」となる第2停止予定時刻ZT2(図3参照)を推定(予測)する。そして制御装置50は、第2停止予定時刻ZT2よりも掃気時間TSだけ前の時刻となる第2掃気予定時刻ZS2(図3参照)を推定する。なお掃気時間は、掃気処理に必要な時間であり、例えば約400[ms]程度に設定された時間、あるいは運転状態に応じて算出された時間、である。また制御装置50は、図3の[第4の実施の形態]にて示した直線上における第2掃気予定時刻ZS2での車速である第2掃気予定速度VS2を推定する。
【0081】
●[減速モード2――>40の処理(図8)]
次に図8を用いて、図2に示すフローチャートのステップS260Aの[減速モード2――>40の処理]の詳細を説明する。図2に示すフローチャートのステップS260Aの処理を実行する際、制御装置50は、図8に示すステップSM240へ処理を進める。
【0082】
ステップSM240へ処理を進めた場合、制御装置50は、掃気実行フラグをONに設定し、掃気実行タイマを起動し、第1掃気開始時刻ZSS1(図3参照)に現在時刻を設定する。そして制御装置50は、図8に示す処理を終了すると、図2に示すステップS070へ処理を戻す。なお制御装置50は、減速モードを2――>40に設定したタイミングにて、後述する[掃気処理]にて掃気処理(掃気用アクチュエータの制御)を開始する。
【0083】
なお、掃気実行フラグは、掃気処理の実行中にONに設定されるフラグであり、後述する掃気完了フラグは、掃気処理を掃気時間の間実行して掃気処理が完了した場合にONに設定されるフラグである。また掃気実行タイマは、掃気処理の開始時に起動され、掃気時間を計測するためのタイマである。
【0084】
●[減速モード=40の処理(図9)]
次に図9を用いて、図2に示すフローチャートのステップS460の[減速モード=40の処理]の詳細を説明する。図2に示すフローチャートのステップS460の処理を実行する際、制御装置50は、図9に示すステップSM410へ処理を進める。
【0085】
ステップSM410へ処理を進めた場合、制御装置50は、第3a減速度ΔG3a(図3参照)を算出し、第3a停止予定時刻ZT3a(図3参照)を推定し、ステップSM420へ処理を進める。なお「第3減速度」には、図9を用いて説明する「第3a減速度(ΔG3a)」と、図11を用いて説明する「第3b減速度(ΔG3b)」とが有る。また「第3停止予定時刻」には、図9を用いて説明する「第3a停止予定時刻(ZT3a)」と、図11を用いて説明する「第3b停止予定時刻(ZT3b)」とが有る。
【0086】
具体的には、制御装置50は第3a減速度ΔG3aを算出する際、[現在速度―第1掃気予定速度VS1]/[現在時刻-第1掃気開始時刻ZSS1(掃気処理を開始してから現在までに要した時間)]にて第3a減速度ΔG3aを算出する(図3参照)。なお第1掃気予定速度VS1は、掃気処理を開始したときの車両の速度である「掃気開始速度」に相当している。また制御装置50は、第1掃気予定速度VS1及び第1掃気開始時刻ZSS1と、第3a減速度ΔG3aとに基づいて、車速が「0」となる第3a停止予定時刻ZT3a(図3参照)を推定(予測)する。なお、「現在時刻-第1掃気開始時刻ZSS1」の値が非常に小さい場合、第3a減速度ΔG3aの誤差が大きくなるので、第1掃気開始時刻ZSS1から所定時間が経過後に、図9に示す処理を実行するようにしてもよい。
【0087】
ステップSM420にて制御装置50は、「第3a停止予定時刻ZT3a-第1掃気開始時刻ZSS1(掃気処理を開始してから車両が停止するまでの時間)」が、掃気キャンセル判定時間以下であるか否かを判定する。なお掃気キャンセル判定時間は、掃気時間TSよりも長い時間に設定されており、例えば約1000[ms]程度とされている。制御装置50は、「第3a停止予定時刻ZT3a-第1掃気開始時刻ZSS1」が掃気キャンセル判定時間以下である場合(Yes)はステップSM430へ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSM450Bへ処理を進める。つまり制御装置50は、掃気処理を開始した時刻である掃気開始時刻(この場合、第1掃気開始時刻ZSS1)から掃気キャンセル判定時間が経過した掃気キャンセル判定時刻が、第3a停止予定時刻ZT3aよりも前であると判定した場合は、開始している掃気処理の掃気時間TSの間の実行中であっても掃気処理をキャンセルする。
【0088】
ステップSM430へ処理を進めた場合、制御装置50は、掃気実行タイマにて計測している掃気処理を開始してからの時間が、掃気時間TS(図3参照)以上であるか否かを判定する。制御装置50は、掃気実行タイマにて計測した時間が掃気時間TS(図3参照)以上である場合(Yes)はステップSM450Aへ処理を進め、そうでない場合(No)は図9に示す処理を終了し、図2に示すステップS070へ処理を戻す。
【0089】
ステップSM450Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードに「41」を設定して(図4参照)ステップSM460Aへ処理を進める。
【0090】
ステップSM460Aにて制御装置50は、掃気完了フラグをONに設定し、掃気実行フラグをOFFに設定し、掃気実行タイマを初期化する。そして制御装置50は、図9に示す処理を終了し、図2に示すステップS070へ処理を戻す。
【0091】
ステップSM450Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードに「42」を設定して(図4参照)ステップSM460Bへ処理を進める。制御装置50は、掃気処理を開始してから車両が停止するまでの時間が、掃気キャンセル判定時間よりも長い場合は、開始した掃気処理の実行をキャンセルする。
【0092】
ステップSM460Bにて制御装置50は、掃気実行フラグをOFFに設定し、掃気実行タイマを初期化する。そして制御装置50は、図9に示す処理を終了し、図2に示すステップS070へ処理を戻す。
【0093】
●[減速モード3――>50の処理(図10)]
次に図10を用いて、図2に示すフローチャートのステップS360の[減速モード3――>50の処理]の詳細を説明する。図2に示すフローチャートのステップS360の処理を実行する際、制御装置50は、図10に示すステップSM310へ処理を進める。
【0094】
ステップSM310へ処理を進めた場合、制御装置50は、掃気実行フラグをONに設定し、掃気実行タイマを起動し、第2掃気開始時刻ZSS2(図3参照)に現在時刻を設定する。そして制御装置50は、図10に示す処理を終了すると、図2に示すステップS070へ処理を戻す。なお制御装置50は、減速モードを3――>50に設定したタイミングにて、後述する[掃気処理]にて掃気処理(掃気用アクチュエータの制御)を開始する。
【0095】
●[減速モード=50の処理(図11)]
次に図11を用いて、図2に示すフローチャートのステップS560の[減速モード=50の処理]の詳細を説明する。図2に示すフローチャートのステップS560の処理を実行する際、制御装置50は、図11に示すステップSM510へ処理を進める。
【0096】
ステップSM510へ処理を進めた場合、制御装置50は、第3b減速度ΔG3b(図3参照)を算出し、第3b停止予定時刻ZT3b(図3参照)を推定し、ステップSM520へ処理を進める。
【0097】
具体的には、制御装置50は第3b減速度ΔG3bを算出する際、[現在速度―第2掃気予定速度VS2]/[現在時刻-第2掃気開始時刻ZSS2(掃気処理を開始してから現在までに要した時間)]にて第3b減速度ΔG3bを算出する(図3参照)。なお第2掃気予定速度VS2は、掃気処理を開始したときの車両の速度である「掃気開始速度」に相当している。また制御装置50は、第2掃気予定速度VS2及び第2掃気開始時刻ZSS2と、第3b減速度ΔG3bとに基づいて、車速が「0」となる第3b停止予定時刻ZT3b(図3参照)を推定(予測)する。なお、「現在時刻-第2掃気開始時刻ZSS2」の値が非常に小さい場合、第3b減速度ΔG3bの誤差が大きくなるので、第2掃気開始時刻ZSS2から所定時間が経過後に、図11に示す処理を実行するようにしてもよい。
【0098】
ステップSM520にて制御装置50は、「第3b停止予定時刻ZT3b-第2掃気開始時刻ZSS2(掃気処理を開始してから車両が停止するまでの時間)」が、掃気キャンセル判定時間以下であるか否かを判定する。なお掃気キャンセル判定時間は、掃気時間TSよりも長い時間に設定されており、例えば約1000[ms]程度とされている。制御装置50は、「第3b停止予定時刻ZT3b-第2掃気開始時刻ZSS2」が掃気キャンセル判定時間以下である場合(Yes)はステップSM530へ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSM550Bへ処理を進める。つまり制御装置50は、掃気処理を開始した時刻である掃気開始時刻(この場合、第2掃気開始時刻ZSS2)から掃気キャンセル判定時間が経過した掃気キャンセル判定時刻が、第3b停止予定時刻ZT3bよりも前であると判定した場合は、開始している掃気処理の掃気時間TSの間の実行中であっても掃気処理をキャンセルする。
【0099】
ステップSM530へ処理を進めた場合、制御装置50は、掃気実行タイマにて計測している掃気処理を開始してからの時間が、掃気時間TS(図3参照)以上であるか否かを判定する。制御装置50は、掃気実行タイマにて計測した時間が掃気時間TS(図3参照)以上である場合(Yes)はステップSM550Aへ処理を進め、そうでない場合(No)は図11に示す処理を終了し、図2に示すステップS070へ処理を戻す。
【0100】
ステップSM550Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードに「51」を設定して(図4参照)ステップSM560Aへ処理を進める。
【0101】
ステップSM560Aにて制御装置50は、掃気完了フラグをONに設定し、掃気実行フラグをOFFに設定し、掃気実行タイマを初期化する。そして制御装置50は、図11に示す処理を終了し、図2に示すステップS070へ処理を戻す。
【0102】
ステップSM550Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、減速モードに「52」を設定して(図4参照)ステップSM560Bへ処理を進める。制御装置50は、掃気処理を開始してから車両が停止するまでの時間が、掃気キャンセル判定時間よりも長い場合は、開始した掃気処理の実行をキャンセルする。
【0103】
ステップSM560Bにて制御装置50は、掃気実行フラグをOFFに設定し、掃気実行タイマを初期化する。そして制御装置50は、図11に示す処理を終了し、図2に示すステップS070へ処理を戻す。
【0104】
なお、ステップSM110(図6参照)、ステップSM210(図7参照)、ステップSM410(図9参照)、ステップSM510(図11参照)、の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、走行状態の車両の速度と減速度に基づいて車両が停止する時刻である停止予定時刻(第1、第2、第3a、第3b停止予定時刻)を推定する、掃気開始推定部51A(図1参照)に相当している。
【0105】
また、ステップSM240(図8参照)、ステップSM310(図10参照)、の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、推定した停止予定時刻(第1、第2停止予定時刻)に、内燃機関のシリンダ内を掃気する掃気処理が完了するように、所定の掃気時間の長さの掃気処理を開始する、掃気判定・実行部51B(図1参照)に相当している。
【0106】
また、図14に示すステップSM810~SM830Bの処理を実行している制御装置50(CPU51)は、掃気処理を掃気時間の間実行して掃気処理を完了後、かつ、車両が停止状態、の場合に内燃機関を一時的に停止(アイドルストップ)させる、内燃機関停止部51C(図1参照)に相当している。
【0107】
●[掃気処理(図12)]
次に図12を用いて、図2に示すフローチャートのステップS070の[掃気処理]の詳細を説明する。図2に示すフローチャートのステップS070の処理を実行する際、制御装置50は、図12に示すステップSM710へ処理を進める。
【0108】
ステップSM710へ処理を進めた場合、制御装置50は、車速=0[km/h]であるか否か(停止状態であるか否か)を判定する。制御装置50は、車速=0である場合(Yes)はステップSM715へ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSM740へ処理を進める。
【0109】
ステップSM715へ処理を進めた場合、制御装置50は、掃気完了フラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、掃気完了フラグがONである場合(Yes)はステップSM740へ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSM720へ処理を進める。
【0110】
ステップSM720へ処理を進めた場合、制御装置50は、掃気実行フラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、掃気実行フラグがONである場合(Yes)はステップSM725へ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSM730Bへ処理を進める。
【0111】
ステップSM725へ処理を進めた場合、制御装置50は、掃気実行タイマにて計測している掃気処理を開始してからの時間が、掃気時間TS(図3参照)以上であるか否かを判定する。制御装置50は、掃気実行タイマにて計測した時間が掃気時間TS(図3参照)以上である場合(Yes)はステップSM730Aへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSM740へ処理を進める。制御装置50は、車速=0になっても、まだ掃気処理を実行中の場合、掃気時間が経過するまで掃気処理を継続させる。
【0112】
ステップSM730Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、掃気完了フラグをONに設定し、掃気実行フラグをOFFに設定し、掃気実行タイマを初期化し、ステップSM740へ処理を進める。
【0113】
ステップSM730Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、掃気実行フラグをONに設定し、掃気実行タイマを起動し、ステップSM740へ処理を進める。制御装置50は、開始した掃気処理をキャンセルした場合、車速=0になってから掃気処理を再開させる。
【0114】
ステップSM740へ処理を進めた場合、制御装置50は、掃気実行フラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、掃気実行フラグがONである場合(Yes)はステップSM745へ処理を進め、そうでない場合(No)は図12に示す処理を終了し、図2に示すステップS080へ処理を戻す。
【0115】
ステップSM745へ処理を進めた場合、制御装置50は、掃気用アクチュエータを制御して「掃気処理」を実行し、図12に示す処理を終了し、図2に示すステップS080へ処理を戻す。なお制御装置50は、「掃気処理」の実行にて、例えばEGR弁14を全閉に制御して吸気に含まれる水蒸気を低減し、スロットルバルブ47Vを目標掃気開度に向けて徐々に閉じる制御を行う。この「掃気処理」により、掃気処理の完了後のアイドルストップ(内燃機関の停止)の際、シリンダ内での凝縮水の発生が抑制され、燃料カットによる失火に向けて滑らかに吸気量が減量される。
【0116】
●[掃気用アクチュエータ処理(図13)]
次に図13を用いて、[掃気用アクチュエータ処理]の詳細について説明する。図13に示す[掃気用アクチュエータ処理]は、既存の処理に本実施の形態の「掃気処理」を追加した処理である。制御装置50は、所定タイミングにて、既存の処理である[掃気用アクチュエータ処理]を起動し、ステップSA010へ処理を進める。
【0117】
ステップSA010にて制御装置50は、既存の処理にて、掃気用アクチュエータ(例えばEGR弁やスロットルバルブ)の目標開度を算出し、ステップSA020へ処理を進める。
【0118】
ステップSA020にて制御装置50は、掃気実行フラグがOFFであるか否かを判定する。制御装置50は、掃気実行フラグがOFFである場合(Yes)はステップSA030へ処理を進め、掃気実行フラグがONである場合(No)は、掃気用アクチュエータの制御を行わず、図13に示す処理を終了する。
【0119】
ステップSA030へ処理を進めた場合、制御装置50は、既存の処理による掃気用アクチュエータの制御を実行し、図13に示す処理を終了する。つまり制御装置50は、掃気実行フラグがONの場合では、図13に示す既存の処理では掃気用アクチュエータの制御を行わず、図12に示す本実施の形態の[掃気処理]のステップSM745にて掃気用アクチュエータを制御する。また制御装置50は、掃気実行フラグがOFFの場合では、図13に示す既存の処理にて掃気用アクチュエータの制御を行い、図12に示す本実施の形態の[掃気処理]のステップSM745を実行しない。
【0120】
●[燃料カット処理(図14)]
次に図14を用いて、図2に示すフローチャートのステップS080の[燃料カット処理]の詳細を説明する。図2に示すフローチャートのステップS080の処理を実行する際、制御装置50は、図14に示すステップSM810へ処理を進める。
【0121】
ステップSM810へ処理を進めた場合、制御装置50は、掃気完了フラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、掃気完了フラグがONである場合(Yes)はステップSM820へ処理を進め、掃気完了フラグがOFFである場合(No)はステップSM830Bへ処理を進める。
【0122】
ステップSM820へ処理を進めた場合、制御装置50は、車速=0[km/h]であるか否か(停止状態であるか否か)を判定する。制御装置50は、車速=0である場合(Yes)はステップSM830Aへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSM830Bへ処理を進める。
【0123】
ステップSM830Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、アイドルストップのための掃気燃料カットフラグをONに設定し、図14に示す処理を終了し、図2に示すステップS080の直下に処理を戻し、図2に示す処理を終了する。
【0124】
ステップSM830Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、掃気燃料カットフラグをOFFに設定し、図14に示す処理を終了し、図2に示すステップS080の直下に処理を戻し、図2に示す処理を終了する。
【0125】
●[燃料噴射処理(図15)]
次に図15を用いて、[燃料噴射処理]の詳細について説明する。図15に示す[燃料噴射処理]は、既存の処理に本実施の形態の「掃気処理」を追加した処理である。制御装置50は、所定タイミングにて、既存の処理である[燃料噴射処理]を起動し、ステップSB010へ処理を進める。
【0126】
ステップSB010にて制御装置50は、既存の処理にて、燃料の噴射量や噴射時期などを算出し、ステップSB020へ処理を進める。
【0127】
ステップSB020にて制御装置50は、掃気燃料カットフラグがOFFであるか否かを判定する。制御装置50は、掃気燃料カットフラグがOFFである場合(Yes)はステップSB030Aへ処理を進め、掃気実行フラグがONである場合(No)はステップSB030Bへ処理を進める。
【0128】
ステップSB030Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、既存の処理による燃料噴射処理を実行し、図15に示す処理を終了する。
【0129】
ステップSB030Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、アイドルストップとして燃料噴射を停止し、図15に示す処理を終了する。
【0130】
●[第1減速パターンと、掃気処理の実行タイミング及び燃料カットの開始タイミング(図16)]
以上に説明した制御装置50の処理によって、以降に説明する第1~第6減速パターンのそれぞれにおける、掃気処理の実行タイミングと燃料カット(アイドルストップ)タイミングの例について説明する。
【0131】
図16に示す第1減速パターンは、第1設定速度V1から第2設定速度V2への一定の減速度である第1減速度ΔG1を維持したまま車両が停止した例を示している。つまり、第2設定速度時刻(Z2)のタイミングにて推定した第1停止予定時刻ZT1にて車両が停止した例を示している。
【0132】
図16に示す第1減速パターンの場合、制御装置50は、車速が第1掃気予定速度VS1以下となった際に掃気処理を開始する。そして、掃気時間TSの長さの掃気処理が完了したタイミングと、車両が停止したタイミングとがほぼ一致し、制御装置50は、車両の停止とともに燃料カットを実行してアイドルストップを行うことができる。
【0133】
●[第2減速パターンと、掃気処理の実行タイミング及び燃料カットの開始タイミング(図17)]
図17に示す第2減速パターンは、第1減速パターン(図16参照)に対して、車速が「第2設定速度V2以下かつ第1掃気予定速度VS1より大きい」場合に、|減速度(第3a減速度ΔG3a)|が|第1減速度ΔG1|よりも大きくなって、車両の停止予定時刻が、第1停止予定時刻ZT1から第3a停止予定時刻ZT3aへと早まった場合の例を示している。図17の例では、第3a停止予定時刻ZT3aにて車両が停止した例を示している。
【0134】
図17に示す第2減速パターンの場合、制御装置50は、車速が第1掃気予定速度VS1以下となった際に掃気処理を開始する。そして制御装置50は、掃気時間TSの掃気処理の実行中である第3a停止予定時刻ZT3aにて車両が停止しても燃料カットを行わず、掃気時間TSの掃気処理が完了した後、燃料カットを実行してアイドルストップを行う。
【0135】
●[第3減速パターンと、掃気処理の実行タイミング及び燃料カットの開始タイミング(図18)]
図18に示す第3減速パターンは、第2減速パターン(図17参照)に対して、車速が第1掃気予定速度VS1以下となって掃気処理を開始した後、|減速度(第3a減速度ΔG3a)|が|第1減速度ΔG1|よりも小さくなって、車両の第3a停止予定時刻ZT3aが遠い位置へ変わった場合の例を示している。図18の例では、第3a停止予定時刻ZT3aにて車両が停止した例を示している。
【0136】
図18に示す第3減速パターンの場合、制御装置50は、車速が第1掃気予定速度VS1以下となった際に掃気処理を開始したが、第1掃気開始時刻ZSS1から第3a停止予定時刻ZT3aまでの時間の長さが、掃気キャンセル判定時間の長さよりも長い、と判定した場合、掃気処理をキャンセルする。そして制御装置50は、開始した掃気処理をキャンセルした場合、車両が停止(第3a停止予定時刻ZT3aで車両が停止)した際に、掃気時間TSの間、掃気処理を実行し、掃気完了後に燃料カットを実行してアイドルストップを行う。
【0137】
なお図示省略するが、制御装置50は、第1掃気開始時刻ZSS1から第3a停止予定時刻ZT3aまでの時間の長さが、掃気キャンセル判定時間の長さ以下である、と判定した場合、掃気処理をキャンセルせず、掃気時間TSの掃気処理を完了させる。
【0138】
●[第4減速パターンと、掃気処理の実行タイミング及び燃料カットの開始タイミング(図19)]
図19に示す第4減速パターンは、第1減速パターン(図16参照)に対して、車速が「第2設定速度V2以下かつ第1掃気予定速度より大きい」場合に、|減速度(第2減速度ΔG2)|が|第1減速度ΔG1|よりも小さくなって、車両の停止予定時刻が、第1停止予定時刻ZT1から第2停止予定時刻ZT2へと遠くなった場合の例を示している。図19の例では、第2停止予定時刻ZT2にて車両が停止した例を示している。
【0139】
図19に示す第4減速パターンの場合、制御装置50は、車速が第2掃気予定速度VS2以下となった際に掃気処理を開始する。そして、掃気時間TSの長さの掃気処理が完了したタイミングと、車両が停止したタイミングとがほぼ一致し、制御装置50は、車両の停止とともに燃料カットを実行してアイドルストップを行うことができる。
【0140】
●[第5減速パターンと、掃気処理の実行タイミング及び燃料カットの開始タイミング(図20)]
図20に示す第5減速パターンは、第4減速パターン(図19参照)に対して、車速が「第1掃気予定時刻速度VSY1以下かつ第2掃気予定速度VS2より大きい」場合に、|減速度(第3b減速度ΔG3b)|が|第2減速度ΔG2|よりも大きくなって、車両の停止予定時刻が、第2停止予定時刻ZT2から第3b停止予定時刻ZT3bへと早まった場合の例を示している。図20の例では、第3b停止予定時刻ZT3bにて車両が停止した例を示している。
【0141】
図20に示す第5減速パターンの場合、制御装置50は、車速が第2掃気予定速度VS2以下となった際に掃気処理を開始する。そして制御装置50は、掃気時間TSの掃気処理の実行中である第3b停止予定時刻ZT3bにて車両が停止しても燃料カットを行わず、掃気時間TSの掃気処理が完了した後、燃料カットを実行してアイドルストップを行う。
【0142】
●[第6減速パターンと、掃気処理の実行タイミング及び燃料カットの開始タイミング(図21)]
図21に示す第6減速パターンは、第4減速パターン(図19参照)に対して、車速が第2掃気予定速度VS2以下となって掃気処理を開始した後、|減速度(第3b減速度ΔG3b)|が|第2減速度ΔG2|よりも小さくなって、車両の第3b停止予定時刻ZT3bが第2停止予定時刻ZT2よりも遠い位置へ変わった場合の例を示している。図21の例では、第3b停止予定時刻ZT3bにて車両が停止した例を示している。
【0143】
図21に示す第6減速パターンの場合、制御装置50は、車速が第2掃気予定速度VS2以下となった際に掃気処理を開始したが、第2掃気開始時刻ZSS2から第3b停止予定時刻ZT3bまでの時間の長さが、掃気キャンセル判定時間の長さよりも長い、と判定した場合、掃気処理をキャンセルする。そして制御装置50は、開始した掃気処理をキャンセルした場合、車両が停止(第3b停止予定時刻ZT3bで車両が停止)した際に、掃気時間TSの間、掃気処理を実行し、掃気完了後に燃料カットを実行してアイドルストップを行う。
【0144】
なお図示省略するが、制御装置50は、第2掃気開始時刻ZSS2から第3b停止予定時刻ZT3bまでの時間の長さが、掃気キャンセル判定時間の長さ以下である、と判定した場合、掃気処理をキャンセルせず、掃気時間TSの掃気処理を完了させる。
【0145】
本発明のアイドルストップ機能を有する車両の制御装置50は、本実施の形態で説明した構成、処理手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0146】
また、本発明のアイドルストップ機能を有する車両の制御装置は、ディーゼルエンジンに限定されず、ガソリンエンジンにも適用することが可能である。
【0147】
本実施の形態の説明では、掃気処理の例として、EGR弁14を全閉に制御、スロットルバルブ47Vを目標掃気開度に向けて徐々に閉じる制御、を行う例を説明したが、掃気処理は、これらの処理に限定されるものではない。
【0148】
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(より小さい)(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0149】
1 内燃機関システム
10 内燃機関
11A、11B 吸気管
11C 吸気マニホルド
12A 排気マニホルド
12B、12C 排気管
13 EGR配管
14 EGR弁
15 EGRクーラ
16 インタークーラ
21 吸気流量検出装置
22A クランク角度検出装置
22B カム角度検出装置
23 大気圧検出装置
24A コンプレッサ上流圧力検出装置
24B コンプレッサ下流圧力検出装置
24C 吸気マニホルド圧力検出装置
25 アクセルペダル踏込量検出装置
25S イグニッション検出装置
26A タービン上流圧力検出装置
26B タービン下流圧力検出装置
26C 排気マニホルド圧力検出装置
27 車速検出装置
28A、28B 吸気温度検出装置
28C クーラント温度検出装置
29 排気温度検出装置
30 ターボ過給機
31 ノズル駆動装置
32 ノズル閉度検出装置
33 可変ノズル(過給圧調整装置)
35 コンプレッサ
36 タービン
41 コモンレール
43A~43D インジェクタ
45A~45D シリンダ
47 スロットル装置
47S スロットル開度検出手段
47V スロットルバルブ
50 制御装置
51 CPU
51A 掃気開始推定部
51B 掃気判定・実行部
51C 内燃機関停止部
53 記憶装置
61 排気浄化装置
72 燃料ポンプ
73 燃料圧力検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21