(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】物品収容設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240528BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B65G1/00 511B
B65G1/04 503
(21)【出願番号】P 2021113661
(22)【出願日】2021-07-08
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】河村 真輔
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-124687(JP,A)
【文献】特開2017-088360(JP,A)
【文献】特開2007-210742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133
B65G 1/14-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路を挟んで両側に配置された一対の収容棚と、前記通路を移動して物品を搬送する搬送装置と、を備えた物品収容設備であって、
前記搬送装置は2台の搬送ユニットを備え、
2台の前記搬送ユニットのそれぞれは、前記通路に設定された走行経路に沿って走行する台車と、前記台車に固定された支柱と、前記支柱に沿って昇降する昇降体と、前記昇降体に支持されて前記物品の保持及び前記収容棚への前記物品の移載を行う移載機と、を備え、
前記走行経路に沿う方向を経路方向とし、上下方向に沿う上下方向視で前記経路方向に直交する方向を幅方向として、
前記走行経路の途中の規定位置に、前記通路を仕切る仕切り装置が設けられており、
前記仕切り装置は、前記幅方向に沿ってスライド移動することにより前記通路に突出した突出姿勢と前記通路から引退した引退姿勢とに姿勢変更する仕切り体と、前記仕切り体を支持すると共に前記仕切り体の前記スライド移動を案内する仕切り体案内機構と、前記仕切り体の前記スライド移動を補助する移動補助機構と、を備え、
前記仕切り体の上部に、前記仕切り体案内機構によって前記幅方向に案内される被案内部が設けられており、
前記移動補助機構は、索状体と、前記索状体を案内する索状体案内機構と、を備え、
前記幅方向における前記仕切り体が前記引退姿勢から前記突出姿勢となる場合に移動する側を幅方向突出側として、
前記索状体の一部である連結部が、前記仕切り体の上部に連結されており、
前記索状体における前記連結部から離れた位置に、作業者が把持するための把持部が設けられており、
前記索状体案内機構は、前記仕切り体案内機構に対する位置が固定された案内体を備え、
前記索状体は、前記案内体に沿って延在方向が湾曲され、前記案内体よりも前記連結部側の部分は前記案内体よりも前記幅方向突出側において前記幅方向に沿って延在するように配置され、前記案内体よりも前記把持部側の部分は前記案内体よりも下側において前記上下方向に沿って延在するように配置され、
前記作業者の手が届く範囲内の高さを操作可能範囲として、前記把持部は、前記仕切り体が前記突出姿勢である場合と前記引退姿勢である場合との双方で、前記操作可能範囲内に位置するように設けられている、物品収容設備。
【請求項2】
前記仕切り体が前記引退姿勢である場合の前記把持部の位置を引退時把持部位置として、前記把持部を前記引退時把持部位置に保持する保持機構を備えており、
前記保持機構は、前記把持部を保持する上下方向の位置を調整する調整機構を備えている、請求項1に記載の物品収容設備。
【請求項3】
前記連結部は弾性体を介して前記仕切り体に連結されている、請求項1又は2に記載の物品収容設備。
【請求項4】
前記仕切り体は、複数の板状の扉部材を備え、
複数の前記扉部材は、互いに平行に配置されていると共に、前記経路方向に互いにずれた位置において前記スライド移動することができるように、前記仕切り体案内機構に案内されており、
複数の前記扉部材は、直動案内機構を介して互いに前記幅方向に相対移動可能に連結されており、
前記仕切り体が前記突出姿勢となった状態では、前記仕切り体が前記引退姿勢となった状態よりも、複数の前記扉部材同士の前記幅方向の重なりが小さくなり、
前記連結部は、前記仕切り体が前記突出姿勢となった状態で最も前記幅方向突出側に配置される前記扉部材に連結されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品収容設備。
【請求項5】
前記被案内部は、前記仕切り体の上部に固定された回転軸回りに回転するローラを備え、
前記仕切り体案内機構は、前記ローラが前記幅方向に沿って転動するように前記ローラを案内するレールを備えている、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品収容設備。
【請求項6】
前記仕切り体の上部の前記経路方向の少なくともいずれかの側を向く面における、前記幅方向突出側の端縁に沿う部分に、前記仕切り体の他の部分とは色彩及び模様の少なくとも一方が異なる表示領域が設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品収容設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通路を挟んで両側に配置された一対の収容棚と、前記通路を移動して物品を搬送する搬送装置と、を備えた物品収容設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の物品収容設備が、特開2016-124687号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示された符号及び名称は、特許文献1のものである。この特許文献1に記載の物品収容設備は、容器(W)を収容する一対の収容棚(2)と、一対の収容棚(2)の間に設けられた通路(走行経路8)を走行して容器(W)を搬送するスタッカークレーン(3)と、仕切り装置(仕切り体5)とを備えている。仕切り装置(5)は通路(8)を第1経路部分(8a)と第2経路部分(8b)とに分断する設置状態と、通路(8)から設置空間(10)に退避する退避状態とに切換自在である。そして、仕切り装置(5)を設置状態にすることで、例えば、第1経路部分(8a)でメンテナンス作業を行っている作業者が、スタッカークレーン(3)による容器(W)の搬送が行われている第2経路部分(8b)に誤って進入することを防ぐことができる。
【0003】
特許文献1の仕切り装置(5)は、固定部(27)に対し、仕切り体(スライド部28)を棚前後方向にスライド移動させることで、退避状態と設置状態とに変化させることができる。このような物品収容設備において、仕切り体(28)が物品収容棚の高さに応じた上下方向の寸法で設けられる場合がある。その場合、仕切り体(28)の上下方向の寸法は、作業員の身長よりも大幅に大きくなる場合がある。また、このような上下方向の寸法が大きい仕切り体(28)では、当該仕切り体(28)の上部に、スライド移動を案内する案内機構が設けられることが多い。その場合、仕切り体(28)の下部を作業者が掴んでスライド移動させる操作を行っても、仕切り体(28)の撓みや傾斜等が生じることにより、仕切り体(28)の上部が作業者の操作に追従せず、仕切り体(28)の上部が通路(8)から適切に退避しない場合が生じ得る。仕切り体(28)の一部が通路(8)に突出した状態で、仕切り装置(5)が設けられた場所をスタッカークレーン(3)が通過すると、当該スタッカークレーン(3)と仕切り体(28)とが接触し、これらが損傷する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、仕切り体を通路から引退させた引退姿勢にする場合に、仕切り体の上下方向の寸法にかかわらず、仕切り体の全体を適切に通路から引退させることができる物品収容設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、物品収容設備の特徴構成は、通路を挟んで両側に配置された一対の収容棚と、前記通路を移動して物品を搬送する搬送装置と、を備えた物品収容設備であって、前記搬送装置は2台の搬送ユニットを備え、2台の前記搬送ユニットのそれぞれは、前記通路に設定された走行経路に沿って走行 する台車と、前記台車に固定された支柱と、前記支柱に沿って昇降する昇降体と、前記昇降体に支持されて前記物品の保持及び前記収容棚への前記物品の移載を行う移載機と、を備え、前記走行経路に沿う方向を経路方向とし、上下方向に沿う上下方向視で前記経路方向に直交する方向を幅方向として、前記走行経路の途中の規定位置に、前記通路を仕切る仕切り装置が設けられており、前記仕切り装置は、前記幅方向に沿ってスライド移動することにより前記通路に突出した突出姿勢と前記通路から引退した引退姿勢とに姿勢変更する仕切り体と、前記仕切り体を支持すると共に前記仕切り体の前記スライド移動を案内する仕切り体案内機構と、前記仕切り体の前記スライド移動を補助する移動補助機構と、を備え、前記仕切り体の上部に、前記仕切り体案内機構によって前記幅方向に案内される被案内部が設けられており、前記移動補助機構は、索状体と、前記索状体を案内する索状体案内機構と、を備え、前記幅方向における前記仕切り体が前記引退姿勢から前記突出姿勢となる場合に移動する側を幅方向突出側として、前記索状体の一部である連結部が、前記仕切り体の上部に連結されており、前記索状体における前記連結部から離れた位置に、作業者が把持するための把持部が設けられており、前記索状体案内機構は、前記仕切り体案内機構に対する位置が固定された案内体を備え、前記索状体は、前記案内体に沿って延在方向が湾曲され、前記案内体よりも前記連結部側の部分は前記案内体よりも前記幅方向突出側において前記幅方向に沿って延在するように配置され、前記案内体よりも前記把持部側の部分は前記案内体よりも下側において前記上下方向に沿って延在するように配置され、前記作業者の手が届く範囲内の高さを操作可能範囲として、前記把持部は、前記仕切り体が前記突出姿勢である場合と前記引退姿勢である場合との双方で、前記操作可能範囲内に位置するように設けられている点にある。
【0007】
本構成によれば、物品収容設備は、通路に突出した突出姿勢と通路から引退した引退姿勢とに姿勢変更する仕切り体を有する仕切り装置を備えている。従って、仕切り体を突出姿勢とした状態では、規定位置において通路を仕切ることができ、それぞれの空間において搬送ユニットを独立して動作させ、或いは、それぞれの空間において独立してメンテナンス作業等を行うことができる。また、仕切り体を引退姿勢とした状態では、1台の搬送ユニットが規定位置を超えて走行することが可能になる。
【0008】
この仕切り装置では、仕切り体の上部に、仕切り体案内機構によって幅方向に案内される被案内部が設けられている。そのため、仕切り体を引退姿勢にするために、仕切り体の下部を作業者等が操作して当該仕切り体を幅方向引退側にスライド移動させた場合であっても、仕切り体の撓みや傾斜等が生じることによって仕切り体の上部が下部よりも幅方向突出側に位置する状態となる場合があり得る。そのような場合、仕切り体の上部が通路側に突出した状態となり、仕切り体の全体が適切に引退姿勢とならない場合がある。仕切り体の上下方向の寸法が大きい場合、特にこのような事態が生じ易い。
本構成によれば、仕切り体を引退姿勢にする場合に、作業者が把持部を下方へ引くように操作することにより、索状体の連結部が連結された仕切り体の上部を幅方向引退側に引っ張ることができる。そのため、仕切り体の上下方向の寸法にかかわらず、仕切り体の全体を適切に通路から引退させることができる。また、仕切り体が引退姿勢である場合と突出姿勢である場合との双方で把持部が操作可能範囲内に位置するため、作業者が把持部を容易に操作することができる。
このように本構成によれば、仕切り体を通路から引退させた引退姿勢にする場合に、仕切り体の上下方向の寸法にかかわらず、仕切り体の全体を適切に通路から引退させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】仕切り体が突出姿勢の状態における仕切り装置の正面図
【
図4】仕切り体が引退姿勢の状態における仕切り装置の正面図
【
図5】仕切り体が突出姿勢の状態における仕切り装置の要部拡大図
【
図6】表示領域の一部が通路側に突出した状態における仕切り装置の部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.物品収容設備の全体概要
物品収容設備の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように物品収容設備9は、通路5を挟んで両側に配置された一対の収容棚6と、前記通路を移動して物品Wを搬送する搬送装置3と、を備えている。一対の収容棚6のそれぞれには、物品Wを収容する複数の収容部6aが設けられている。搬送装置3は、それぞれの収容棚6の前方を通路5に沿って移動して、収容部6aに又は収容部6aから物品Wを搬送する。また、本実施形態では、物品収容設備9は、一対の収容棚6の設置空間30の側周囲を囲むように設けられた壁体Kを備えている。以下では、搬送装置3が備える台車80の走行経路2に沿う方向を経路方向Xとし、上下方向Z視で経路方向Xと直交する方向を幅方向Yとして説明する。また、経路方向Xの一方側を経路方向第1側X1、他方側を経路方向第2側X2とする。同様に、幅方向一方側を幅方向第1側Y1、他方側を幅方向第2側Y2とする。
【0011】
2.収容棚6
一対の収容棚6は、通路5に対して幅方向Yの両側にそれぞれ設けられている。また、一対の収容棚6は、幅方向Yに互いに対向するように設けられている。具体的には、
図1に示すように、収容棚6の正面側(収容部6aに対して物品Wを出し入れする側)が通路5側となる向きで設置されている。そのため、一対の収容棚6の正面が、幅方向Yに互いに対向するように配置されている。
図1及び
図2に示すように、一対の収容棚6のそれぞれには、複数の収容部6aが上下方向Z及び経路方向Xに並ぶ状態で備えられている。本実施形態では、複数の収容部6aのそれぞれには、収容した物品Wを載置支持する載置体41が備えられている。本例では、物品Wは、半導体基板を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)である。また、本例では、一対の収容棚6に、収容部6aに収容されている物品Wに窒素ガス等の不活性気体を供給する不活性気体供給装置(不図示)が設けられている。
【0012】
3.壁体K
図1及び
図2に示すように、壁体Kは、一対の収容棚6が設置されている設置空間30と搬送装置3が移動する内部空間8と、外部の空間とを区画するように設置されている。内部空間8の側周囲は、壁体Kにおける無孔状の側壁部K1によって囲われている。内部空間8の天井は、多孔状の天井壁部K2によって覆われており、天井側から内部空間8に清浄空気が流入するように構成されている。また、壁体Kの下方部分には、内部空間8の気体を外部に排気する不図示の気体排出部が備えられている。そのため、壁体Kの天井壁部K2から内部空間8に清浄空気が流入し、その流入した清浄空気が内部空間8を天井側から下向きに通流する。そして、上から下に流れた清浄空気は、収容部6aに収容されている物品Wから排出された不活性気体と共に、気体排出部から内部空間8の外に排気される。
【0013】
4.搬送装置
図1に示すように、搬送装置3は2台の搬送ユニット4を備えている。2台の搬送ユニット4のそれぞれは、経路方向Xに沿って移動して、物品Wを搬送する。具体的には、2台の搬送ユニット4のそれぞれは、経路方向Xに沿って配置された通路5を移動して物品Wを搬送する。本実施形態では、2台の搬送ユニット4のそれぞれは、通路5の幅方向Yの両側に配置された複数の収容部6aの1つから物品Wを受け取って、収容棚6の外部に物品Wを搬出するための搬出ポートへ物品Wを搬送する。また、2台の搬送ユニット4のそれぞれは、収容棚6の外部から物品Wを搬入するための搬入ポートから物品Wを受け取って、複数の収容部6aの1つへ物品Wを搬送する。本例では、2台の搬送ユニット4は、経路方向第1側X1に配置された第一搬送ユニット4aと、経路方向第2側X2に配置された第二搬送ユニット4bとで構成されている。第一搬送ユニット4aと第二搬送ユニット4bとは、通路5に沿って敷設された共通のレール7に案内されることで、幅方向Yの同じ位置において経路方向Xに沿って移動する。そのため、第一搬送ユニット4aと第二搬送ユニット4bとの経路方向Xの位置関係は入れ替わることなく、常に、第一搬送ユニット4aは第二搬送ユニット4bに対して経路方向第1側X1に位置する。図示の例では、2台の搬送ユニット4(第一搬送ユニット4a,第二搬送ユニット4b)のそれぞれは、スタッカークレーンである。
【0014】
図1及び
図2に示すように、2台の搬送ユニット4のそれぞれは、通路5に設定された走行経路2に沿って走行する台車80と、台車80に固定された支柱81と、前記支柱81に沿って昇降する昇降体82と、昇降体82に支持されて物品Wの保持及び収容棚6への物品Wの移載を行う移載機83と、を備えている。
【0015】
台車80はレール7に案内されて、一対の収容棚6の間に形成された走行経路2に沿って走行する。換言すると、台車80はレール7に案内されて、通路5内を、走行経路2に沿って経路方向Xに走行する。本実施形態では、レール7は、幅方向Yに離間して配置された一対のレール部材を備えている。台車80は、一対のレール7に案内されて走行経路2を走行する。本例では、第一搬送ユニット4aの台車80と、第二搬送ユニット4bの台車80とが、共通の一対のレール7に案内されて、同じ走行経路2に沿って、互いに独立して走行する。
【0016】
移載機83は、通路5に対して幅方向Yのいずれの側に配置された収容棚6に対しても、物品Wを移載できる。より具体的には、移載機83は、収容棚6が備える収容部6aなどの移載対象箇所と自己との間で物品Wを移載することができる。移載機83の移載対象箇所は、収容部6aのほかに、収容棚6の外部から物品Wを搬入するための搬入ポートや、収容棚6の外部に物品Wを搬出するための搬出ポート等も含まれる。本例では、移載機83は、幅方向Yに出退するフォークを備えた、スライドフォーク式の移載装置である。これにより、第一搬送ユニット4a及び第二搬送ユニット4bのそれぞれは、搬入ポート(不図示)から物品Wを受け取り、当該物品Wを収容棚6の任意の収容部6aに搬送することができる。また、第一搬送ユニット4a及び第二搬送ユニット4bのそれぞれは、任意の収容部6aに収容されている物品Wを取り出し、搬出ポート(不図示)に搬送して引き渡すことができる。
【0017】
5.仕切り装置
また、物品収容設備9は、2台の搬送ユニット4の通路5を仕切る仕切り装置10を備えている。すなわち、走行経路2の途中の規定位置Tに、通路5を仕切る仕切り装置10が設けられている。仕切り装置10は、規定位置Tにおいて通路5を仕切ることによって、走行経路2を分断すると共に、内部空間8を分断することができる。本実施形態では、
図1に示すように、一対の収容棚6の経路方向Xにおける中央部に単一の規定位置Tが設定されている。図示の例では、通路5が幅方向Yに仕切られた状態で、内部空間8及び走行経路2をそれぞれ2つの空間及び経路に分断している。具体的には、通路5が仕切られることによって、内部空間8が、経路方向第1側X1の第一内部空間8aと、経路方向第2側X2の第二内部空間8bとに分断される。同様に、通路5が仕切られることによって、走行経路2が、経路方向第1側X1の第一走行経路2aと経路方向第2側X2の第二走行経路2bとに分断される。したがって、通路5が仕切られた状態では、第一搬送ユニット4aは、第一内部空間8a内の第一走行経路2aを走行し、第二内部空間8b内の第二走行経路2bは走行しない。そして、第一搬送ユニット4aは、第一内部空間8a内で物品Wを搬送する。同様に、第二搬送ユニット4bは、第二内部空間8b内の第二走行経路2bを走行し、第一内部空間8a内の第一走行経路2aは走行しない。そして、第二搬送ユニット4bは、第二内部空間8b内で物品Wを搬送する。
【0018】
図3及び
図4に示すように、仕切り装置10は、幅方向Yに沿ってスライド移動することにより通路5に突出した突出姿勢と通路5から引退した引退姿勢とに姿勢変更する仕切り体11と、仕切り体11を支持すると共に仕切り体11のスライド移動を案内する仕切り体案内機構12と、仕切り体11のスライド移動を補助する移動補助機構13と、を備えている。仕切り体11が突出姿勢となることにより、通路5が規定位置Tにおいて、経路方向Xに仕切られる(
図1参照)。仕切り体11が引退姿勢となることにより、通路5が規定位置Tにおいても連続する状態となる。したがって、仕切り体11が引退姿勢となった状態では、第一搬送ユニット4aは、規定位置Tよりも経路方向第2側X2に移動することができる。同様に、仕切り体11が引退姿勢となった状態では、第二搬送ユニット4bは、規定位置Tよりも経路方向第1側X1に移動することができる。本実施形態では、仕切り体11が幅方向第1側Y1にスライド移動することにより、仕切り体11が引退姿勢から突出姿勢となり、仕切り体11が幅方向第2側Y2にスライド移動することにより、仕切り体11が突出姿勢から引退姿勢となる。従って、幅方向第1側Y1が、幅方向Yにおける仕切り体11が引退姿勢から突出姿勢となる場合に移動する側である「幅方向突出側」に相当する。また、幅方向第2側Y2が、「幅方向引退側」に相当する。
【0019】
本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、仕切り体11は、複数の板状の扉部材15を備えている。本実施形態では、複数の扉部材15のそれぞれは上下方向Z及び幅方向Yに沿う姿勢で配置されている。扉部材15は経路方向X視で、幅方向Yよりも上下方向Zの方が長い矩形状の板状に形成されている。本例では、複数の扉部材15はそれぞれ同じ形状且つ同じ大きさである。また本例では、仕切り体11は3枚の扉部材15で構成されている。
【0020】
本実施形態では、
図1及び
図3,
図4に示すように、複数の扉部材15は、互いに平行に配置されていると共に、経路方向Xに互いにずれた位置においてスライド移動することができるように、仕切り体案内機構12に案内されている。図示の例では、3枚の扉部材15(第一扉部材15a、第二扉部材15b、第三扉部材15c)が、それぞれ幅方向Yに平行に配置されている。また、3枚の扉部材15は経路方向Xに互いにずれた位置に配置され、互いに異なる幅方向Yの経路に沿ってスライド移動する。3枚の扉部材15のそれぞれは、仕切り体案内機構12によって上方から支持されると共に、幅方向Yに案内される。本例では、3枚の扉部材15は、経路方向第2側X2から第一扉部材15a、第二扉部材15b、第三扉部材15cの順に配置されている。
【0021】
本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、複数の扉部材15は、直動案内機構16を介して互いに幅方向Yに相対移動可能に連結されている。ここでは、経路方向Xに隣接する一対の扉部材15が直動案内機構16を介して互いに連結されている。具体的には、第一扉部材15aと第二扉部材15bとが直動案内機構16を介して連結されている。また、第二扉部材15bと第三扉部材15cとが直動案内機構16を介して連結されている。ここで、直動案内機構16は、経路方向Xに隣接する一対の扉部材15の対向する面の間に配置されている。本例では、直動案内機構16はリニアガイドである。そして、
図5に示すように、直動案内機構16の案内レール16aが幅方向Yに沿う姿勢で一対の扉部材15の一方に取り付けられ、案内レール16aによって案内されるスライダ部16bが一対の扉部材15の他方に取り付けられている。本実施形態では、
図3に示すように、3枚の扉部材15には、それぞれ複数の直動案内機構16が幅方向Yに沿って設けられている。より具体的には、第一扉部材15aと第二扉部材15bとが向き合う面に、直動案内機構16がそれぞれ6本設けられている。同様に、第二扉部材15bと第三扉部材15cとが向き合う面に、直動案内機構16がそれぞれ6本設けられている。なお、経路方向Xに隣接する一対の扉部材15を連結する直動案内機構16の数は、6本に限らず、必要に応じて適切な数が設けられると良い。
【0022】
本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、仕切り体11が突出姿勢となった状態では、仕切り体11が引退姿勢となった状態よりも、複数の扉部材15同士の幅方向Yの重なりが小さくなる。
図4に示すように、仕切り体11が引退姿勢となった状態では、複数の扉部材15は幅方向Yの重なりが最も大きくなる。一方、
図1及び
図3に示すように、仕切り体11が突出姿勢となった状態では、幅方向Yの相互の重なりが最も小さくなる。本実施形態では、引退姿勢において、3枚の扉部材15(第一扉部材15a、第二扉部材15b、第三扉部材15c)は、スライド移動可能な範囲における幅方向第2側Y2の端部側の領域に配置される。そして、本例では、3枚の扉部材15は、引退姿勢において、各扉部材15の幅方向Yの全体が、経路方向X視で互いに重なるように配置される(
図4参照)。更に本例では、3枚の扉部材15は、引退姿勢において、各扉部材15の幅方向Yの全体が、経路方向X視で後述する第一固定壁31及び第二固定壁32と重なるように配置されている。そして、引退姿勢の状態から、幅方向第1側Y1にスライド移動することにより、3枚の扉部材15の幅方向Yにおける重なりは次第に小さくなる。3枚の扉部材15は、突出姿勢において、通路5を完全に仕切る状態となると共に、幅方向Yの相互の重なりが最も小さくなる。本例では、3枚の扉部材15は、突出姿勢において、各扉部材15の幅方向Yの端部同士が経路方向X視で重なるように配置される(
図1,
図3参照)。これにより、3枚の扉部材15は、幅方向第2側Y2から第一扉部材15a、第二扉部材15b、第三扉部材15cの順に、幅方向Yに並ぶように配置される。
【0023】
ここで、仕切り体11を構成する複数の扉部材15のうち、着目している扉部材15を対象扉部材とし、仕切り体11が突出姿勢となった状態で、対象扉部材に対して幅方向第1側Y1(幅方向突出側)に位置する扉部材15を突出側扉部材とすると、本実施形態では、仕切り体11は、対象扉部材が突出側扉部材に対して幅方向第1側Y1(幅方向突出側)に相対移動しないように規制する規制機構16cを備えている。すなわち、複数の扉部材15のそれぞれは、規制機構16cにより、突出側扉部材に対して幅方向第1側Y1に相対移動しないように規制される。本実施形態では、規制機構16cは、上述した直動案内機構16における、案内レール16aに対するスライダ部16bの移動範囲を規制する部材を用いて構成されている。なお、直動案内機構16に限らず、経路方向Xに隣接する一対の扉部材15の対向する面の間にストッパ等を設けることによって規制機構16cを構成しても良い。本例では、第一扉部材15aを対象扉部材とすると、第二扉部材15b及び第三扉部材15cが突出側扉部材となり、第二扉部材15bを対象扉部材とすると、第三扉部材15cが突出側扉部材となる。従って、第一扉部材15aは、第二扉部材15b及び第三扉部材15cに対して幅方向第1側Y1に相対移動することが規制される。また、第二扉部材15bは、第三扉部材15cに対して幅方向第1側Y1に相対移動することが規制される。
【0024】
図3及び
図4、
図5に示すように、仕切り体11の上部に、仕切り体案内機構12によって幅方向Yに案内される被案内部14が設けられている。この構成により、仕切り体11は幅方向Yへスライド移動することができる。本実施形態では、仕切り体11としての複数の扉部材15のそれぞれの上部に被案内部14が設けられている。そして、仕切り体案内機構12は、仕切り体11よりも上方に配置されている。そのため、仕切り体案内機構12は、被案内部14を介して複数の扉部材15を上方からから吊上げた状態で支持している。作業者Rが仕切り体11としての複数の扉部材15のいずれかを幅方向Yに押し引きすることで、扉部材15と共に被案内部14が幅方向Yにスライド移動する。
【0025】
本実施形態では、被案内部14は、仕切り体11の上部に固定された回転軸回りに回転するローラ14aを備えている。そして、仕切り体案内機構12は、ローラ14aが幅方向Yに沿って転動するようにローラ14aを案内するガイドレール18を備えている。
図5に示すように、本例では、ローラ14aは、仕切り体11としての複数の扉部材15のそれぞれの上部に、経路方向Xに沿う軸心周りに回転自在に支持されている。ガイドレール18は、複数の扉部材15のそれぞれに対応するローラ14aが幅方向Yに沿って転動するように、これら複数のローラ14aを案内するように構成されている。これにより、複数の扉部材15が幅方向Yに沿ってスライド移動するように案内される。本実施形態では、3枚の扉部材15のそれぞれの上部には、L型に折り曲げられた板状の支持部材14bが固定されている。より詳細には、支持部材14bは、扉部材15の上方を向く面に固定されている。ローラ14aは、支持部材14bの上部に回転自在に支持されている。これにより、第一扉部材15aと第二扉部材15bと第三扉部材15cとのそれぞれが、支持部材14b及びローラ14aを介して、仕切り体案内機構12のガイドレール18に吊り下げられている。本実施形態では、規定位置Tにおける壁体Kの天井壁部K2にガイドレール18が固定されている。ガイドレール18の上面にローラ14aが載置されることにより、3枚の扉部材15が支持されている。複数のローラ14aのそれぞれは、ガイドレール18の上面を、幅方向Yに沿って転動する。これにより、仕切り体11としての複数の扉部材15は、幅方向Yに沿ってスライド移動する。なお、ガイドレール18が「レール」に相当する。
【0026】
本実施形態では、
図1に示すように、仕切り装置10は、第一固定壁31と第二固定壁32と第三固定壁33とを更に備えている。本例では、これらはいずれも、経路方向X視で矩形状に形成されている。第一固定壁31及び第三固定壁33は、規定位置Tにおいて、内部空間8における幅方向第2側Y2の端部に立設された第一柱部材51及び床面にそれぞれ固定されている。第一固定壁31と第三固定壁33とは、それぞれ、幅方向Y及び経路方向Xに沿うように配置されている。更に、第一固定壁31と第三固定壁33とは経路方向Xに互いに離間して配置されている。図示の例では、第一固定壁31が、第三固定壁33に対して経路方向第2側X2に配置されている。本例では、仕切り体11としての複数の扉部材15が、幅方向第2側Y2にスライド移動することで仕切り体11は引退姿勢となり、第一固定壁31と第三固定壁33との間に形成された仕切り体収容部Uに収容される。本例では、第一扉部材15aと第二扉部材15bと第三扉部材15cとが、経路方向Xに並ぶように重なり合った状態で仕切り体収容部Uに収容される。そのため、第一固定壁31と第三固定壁33との経路方向Xの離間距離は、仕切り体11としての複数の扉部材15の経路方向Xの厚さの合計に対応する距離とされると好適である。
【0027】
第二固定壁32は、規定位置Tにおいて、内部空間8における幅方向第1側Y1の端部に立設された第二柱部材52及び床面に固定されている。また、第二固定壁32は幅方向Yと経路方向Xとに沿うように設けられている。
図1及び
図3に示すように、第二固定壁32は、仕切り体11の第三扉部材15cと経路方向Xの配置領域が重複している。したがって、仕切り体11が突出姿勢となった状態では、第三扉部材15cの幅方向第1側Y1を向く面と、第二固定壁32の幅方向第2側Y2を向く面とが当接する。これにより、内部空間8は、仕切り体11によって第一内部空間8aと第二内部空間8bとに分断される。
【0028】
以上のように、この仕切り装置10では、仕切り体11の被案内部14が、仕切り体11の上部に設けられている。そのため、仕切り体11を引退姿勢にするために、仕切り体11の下部を作業者R等が操作して当該仕切り体11を幅方向第2側Y2にスライド移動させた場合であっても、仕切り体11の撓みや傾斜等が生じることによって、仕切り体11の上部が下部よりも幅方向第1側Y1に位置する(残る)状態となる場合があり得る。そのような場合、仕切り体11の上部が通路側に突出した状態となり、仕切り体11の全体が適切に引退姿勢とならない場合がある。そこで、仕切り装置10は、仕切り体11のスライド移動を補助する移動補助機構13を備えている。
【0029】
図3及び
図4、
図5に示すように、移動補助機構13は、索状体19と、索状体19を案内する索状体案内機構21とを備えている。索状体19及び索状体案内機構21は、仕切り体11の全体を突出姿勢から引退姿勢に適切に姿勢変更できるように、仕切り体11のスライド移動を補助する役割を果たす。本実施形態では、索状体19が仕切り体11に連結されており、索状体19を作業者Rが操作することで、仕切り体11を幅方向Yにスライド移動させることができるように構成されている。なお、本例では索状体19はワイヤーケーブルである。
【0030】
そして、索状体19の一部である連結部20が、仕切り体11の上部に連結されている。本実施形態では、索状体19の一端部が連結部20とされている。なお、連結部20は、後述するように、弾性体26及びブラケット45等を介して、仕切り体11を構成する第三扉部材15cに連結されている。本例では、連結部20は、仕切り体11よりも上側に位置するように、仕切り体11に取り付けられている。
【0031】
また、索状体19における連結部20から離れた位置に、作業者Rが把持するための把持部23が設けられている。本実施形態では、索状体19における連結部20とは反対側の端部に把持部23が設けられている。把持部23は、作業者R等が索状体19を操作する場合に把持される部分である。このように、本例では、索状体19の一端部に連結部20が設けられ、他端部に把持部23が設けられている。
【0032】
図3及び
図4、
図5に示すように、索状体案内機構21は、仕切り体案内機構12に対する位置が固定された案内体22を備えている。本実施形態では、案内体22は、連結部20に対応する上下方向Zの位置であって、仕切り体11が引退姿勢である場合における連結部20の位置よりも幅方向第2側Y2の位置に配置されている。本実施形態では、案内体22は、経路方向Xに沿う軸心回りに回転自在に支持された滑車22Aである。また、本実施形態では、索状体案内機構21は、当該案内体22としての滑車22Aを支持する滑車支持部材21Aを更に備えている(
図5参照)。
【0033】
そして、案内体22としての滑車22Aの外周面における、上側を向く部分から幅方向第2側Y2を向く部分までの間で、索状体19が案内される。すなわち、索状体19は、案内体22に沿って延在方向が湾曲され、案内体22よりも連結部20側の部分は案内体22よりも幅方向第1側Y1において幅方向Yに沿って延在するように配置され、案内体22よりも把持部23側の部分は案内体22よりも下側において上下方向Zに沿って延在するように配置されている。このような構成のため、作業者Rは連結部20及び案内体22の位置よりも下方の位置で、把持部23を把持して索状体19を操作することができる。具体的には、仕切り体11が突出姿勢となった状態では、作業者Rが索状体19を下方に引っ張ることで、仕切り体11の上部を幅方向第2側Y2に移動させることができる。本実施形態では、
図5に示すように、案内体22は、連結部20から幅方向第2側Y2に延在する索状体19が、案内体22の位置において湾曲して下方へ向かうように、当該索状体19を案内している。索状体19の案内体22より把持部23側の部分は、把持部23が下端部となるように、上下方向Zに沿って延在する。
【0034】
本実施形態では、滑車22Aの外周面の上端部が、連結部20に対応する上下方向Zの位置に配置されるように、滑車22Aが支持されている。上記のとおり、本例では、連結部20が仕切り体11より上側に配置されている。従って、滑車22Aの外周面の上端部も、仕切り体11より上側に配置されている。これにより、索状体19における案内体22よりも連結部20側の部分は、仕切り体11より上側において、幅方向Yに沿って延在するように配置されている。また、本実施形態では、滑車22Aの外周面の幅方向第2側Y2の端部が、内部空間8における幅方向第2側Y2の端部領域に配置されるように、滑車22Aが支持されている。本例では、滑車22Aの外周面の幅方向第2側Y2の端部が、第一柱部材51に隣接するように配置されている。これにより、索状体19における案内体22よりも把持部23側の部分は、内部空間8における幅方向第2側Y2の端部領域において上下方向Zに沿って延在するように配置されている。このような構成を実現するため、本例では、滑車支持部材21Aは、滑車22Aの回転軸心が、第三固定壁33の幅方向第2側Y2の領域における上端部分に位置するように、第三固定壁33に固定されている。
【0035】
本実施形態では、連結部20は、仕切り体11が突出姿勢となった状態で最も幅方向第1側Y1に配置される扉部材15に連結されている。本例では、連結部20は第三扉部材15cの上部に連結されている。そのため仕切り体11が突出姿勢である状態から、作業者Rが索状体19の把持部23を下側へ向けて引っ張ることにより、第三扉部材15cの上部を幅方向第2側Y2に向けて引っ張ることができる。そして、上記のように、仕切り体11は規制機構16cを備えているため、仕切り体11を構成する複数の扉部材15のそれぞれが突出側扉部材に対して幅方向第1側Y1に相対移動しないように規制されている。したがって、複数の扉部材15のうち、突出姿勢において最も幅方向第1側Y1に位置する第三扉部材15cを幅方向第2側Y2に向けて引っ張ることで、複数の扉部材15の全てを幅方向第2側Y2にスライド移動させることができる。
【0036】
本実施形態では、
図5に示すように、連結部20は、弾性体26を介して仕切り体11に連結されている。本例では、弾性体26は、幅方向Yに弾性を有する姿勢で配置されている。また、弾性体26は、少なくとも仕切り体11が引退姿勢となった状態で、仕切り体11に対して幅方向第2側Y2へ向かう方向の付勢力を作用させるように配置されている。本例では、弾性体26は圧縮コイルバネとされている。本実施形態では、
図5に示すように、連結部20は、索状体19の先端部分に設けられた棒状の連結部材20aを備えている。本例では、連結部20を仕切り体11に連結するために、仕切り体11の上面、ここでは第三扉部材15cの上面(上下方向Z視で上方を向く面)にブラケット45が固定されている。そして、連結部材20aは、ブラケット45を幅方向Yに貫通するように配置されている。そして、連結部材20aにおけるブラケット45に対して幅方向第1側Y1の部分に、係止部材42が取り付けられている。弾性体26は、係止部材42とブラケット45と幅方向Yの間に挟まれるように配置されている。ここでは、弾性体26としての圧縮コイルバネに対して径方向内側を貫通するように、連結部材20aが配置されている。弾性体26は、係止部材42とブラケット45と幅方向Yの間に圧縮状態で配置され、係止部材42及び連結部材20aに対して幅方向第1側Y1へ向かう方向の付勢力を作用させると共に、その反力として、ブラケット45及び仕切り体11(ここでは第三扉部材15c)に対して幅方向第2側Y2へ向かう方向の付勢力を作用させる。また、本実施形態では、連結部材20aにおけるブラケット45に対して幅方向第2側Y2の部分に、ストッパ部材43が取り付けられている。これにより、弾性体26の付勢力による、ブラケット45に対する連結部材20aの幅方向第1側Y1への移動が、ストッパ部材43がブラケット45に当接するまでの範囲に規制される。
【0037】
また本実施形態では、作業者Rの手が届く範囲内の高さを操作可能範囲Pとして、把持部23は、仕切り体11が突出姿勢である場合と引退姿勢である場合との双方で、操作可能範囲P内に位置するように設けられている。ここで、操作可能範囲Pは、標準的な身長の作業者Rが腕を上にあげた状態での手の高さから、作業者Rが立つ床面までの範囲である(
図3参照)。仕切り体11が突出姿勢である場合と引退姿勢である場合との双方で把持部23が操作可能範囲P内に位置するように設計することで、作業者Rにより把持部23を容易に操作可能とすることができる。本実施形態では、把持部23の上下方向Zにおける移動範囲は、操作可能範囲Pの中の一部に設定されている。ここでは、把持部23が上下方向Zにおける移動範囲の上限にある状態が、仕切り体11が突出姿勢となった状態に対応する。ここでは、この状態の把持部23の位置を突出時把持部位置と称する。また、把持部23が上下方向Zにおける移動範囲の下限にある状態が、仕切り体11が引退姿勢となった状態に対応する。ここでは、この状態の把持部23の位置を引退時把持部位置と称する。本例では、
図5に示すように、仕切り体11が突出姿勢となった状態で、把持部23は立った姿勢の作業者Rの腹部付近の高さに配置され、仕切り体11が引退姿勢となった状態で、把持部23は作業者Rの膝部付近の高さに配置されている。なお、突出時把持部位置及び引退時把持部位置の設定は、このようなものに限定されず、操作可能範囲P内における任意の位置に設定することができる。そして、作業者Rが、把持部23を突出時把持部位置から下側へ向けて引っ張ることで、仕切り体11を突出姿勢から引退姿勢に姿勢変更させることができる。なお、作業者Rが仕切り体11(ここでは第三扉部材15c)を直接操作して幅方向第2側Y2に移動させることで仕切り体11を引退姿勢としても良い。この場合において、仕切り体11の全体が引退姿勢になりきらず、仕切り体11の上部が幅方向第1側Y1に突出していた場合に、作業者Rが把持部23を下側へ向けて引っ張ることで、仕切り体11の上部を幅方向第2側Y2に引っ張ることができ、仕切り体11の全体を引退姿勢とすることができる。
【0038】
本実施形態では、仕切り装置10は、突出時把持部位置に対応する位置に設けられ、当該突出時把持部位置にある把持部23を保持する第一保持ブラケット87を備えている。この第一保持ブラケット87により、仕切り体11が突出姿勢である場合に、把持部23が揺れ動かないように保持することができる。本例では、第一保持ブラケット87は、第一柱部材51に固定されている。また、本例では、第一保持ブラケット87は、水平方向に沿って延在する板状に形成されていると共に索状体19を水平方向のいずれかの側から挿入可能な切欠きを有する第1保持部87aを備えている。そして、当該切欠きに索状体19が挿通された状態で、当該保持部の下面に把持部23が当接するように構成されている。なお、上述した弾性体26の弾性力により把持部23が保持部の下面に当接することで、把持部23が第一保持ブラケット87に保持される。
【0039】
また、本実施形態では、
図5に示すように、仕切り体11が引退姿勢である場合の把持部23の位置を引退時把持部位置として、把持部23を引退時把持部位置に保持する保持機構84を備えている。この保持機構84により、把持部23が引退時把持部位置よりも上側に移動しないように保持される。従って、引退姿勢の仕切り体11が意図せず幅方向第1側Y1へ移動して、搬送ユニット4の移動を妨げたり、搬送ユニット4と干渉したりすることを回避できる。保持機構84は、引退時把持部位置にある把持部23に対応する位置に設けられる。本実施形態では、把持部23は、当該把持部23の下端部から上下方向Zに沿って延在するように設けられた雌ネジ部24を備えている。また、保持機構84は、第二ブラケット84aと締結ボルト84bと固定用ナット84cとを備えている。第二ブラケット84aは、水平方向に沿って延在する板状に形成されていると共に上下方向Zに貫通する貫通孔(図示を省略)を有する第2保持部84dを備えている。締結ボルト84bは、頭部が下側となるように第2保持部84dの挿通孔に挿通されている。固定用ナット84cは、第2保持部84dに対して上側から第2保持部84dに当接するように、締結ボルト84bに固定されている。これにより、締結ボルト84bを第二ブラケット84aに対して回転自在としつつ、締結ボルト84bが第二ブラケット84aから脱落しないように保持することができる。ここで、締結ボルト84bは把持部23の雌ネジ部24に螺合するように構成されている。そして、引退時把持部位置にある把持部23の雌ネジ部24に対して、下方から締結ボルト84bを螺合させることで、把持部23を引退時把持部位置に保持することができる。図示の例では、締結ボルト84bの頭部には、作業者Rが手動で締結ボルト84bを回転させる操作を容易に行えるようにするためのノブ86が設けられている。ノブ86は、締結ボルト84bの軸部よりも十分に大径であり、外周部分に滑り止め(凹凸形状等)が設けられている。作業者Rは、ノブ86を把持して回転させることにより、締結ボルト84bを容易に回転させることができる。なお、本例では、第二ブラケット84aは第一柱部材51に固定されている。
【0040】
本実施形態では、
図5に示すように、保持機構84は、把持部23を保持する上下方向Zの位置を調整する調整機構85を備えている。本例では、
図5に示すように、保持機構84の締結ボルト84bが調整機構85を兼ねている。すなわち、第二ブラケット84aにより上下方向Zの位置が拘束された締結ボルト84bを回転させ、把持部23の雌ネジ部24に対する締結ボルト84bの螺合量を変更することにより、保持機構84に保持された把持部23の上下方向Zの位置を調整することができる。上記のとおり、締結ボルト84bの頭部にはノブ86が設けられているため、作業者Rはノブ86を把持して締結ボルト84bを回転させることで、把持部23を保持する上下方向Zの位置を容易に調整することができる。このように、保持機構84によって把持部23を保持する上下方向Zの位置を調整することで、索状体19を介して仕切り体11を引退方向に引っ張る量や引っ張る力を調整することができる。ここで、上記のとおり、連結部20は、弾性体26を介して仕切り体11に連結されている。従って、把持部23の上下方向Zの位置を調整することで、弾性体26の圧縮量を調整し、当該弾性体26による、仕切り体11を引退方向に付勢する付勢力を調整することができる。よって、引退姿勢の仕切り体11が意図せず幅方向第1側Y1へ移動することを、より確実性高く回避することができる。
【0041】
また、本実施形態では、
図5に示すように、仕切り体11の上部の経路方向Xの少なくともいずれかの側を向く面における、幅方向第1側Y1の端縁に沿う部分に、仕切り体11の他の部分とは色彩及び模様の少なくとも一方が異なる表示領域Sが設けられている。本例では、仕切り体11の上部の経路方向第1側X1を向く面及び経路方向第2側X2を向く面の双方における、幅方向第1側Y1の端縁に沿う部分に、表示領域Sが設けられている。より具体的には、第三扉部材15cの上部の経路方向第1側X1を向く面及び経路方向第2側X2を向く面の双方における、幅方向第1側Y1の端縁に沿う部分に、それぞれ表示領域Sが設けられている。本例では、表示領域Sは、他の部分とは色彩及び模様の双方が異なる領域となっている。この表示領域Sの色彩及び模様は、できるだけ目立つ態様であることが望ましい。図示の例では、表示領域Sに、2色の傾斜したストライプ模様を施している。目立つようにするためには、例えば、赤と白のストライプとすると好適である。なお、表示領域Sの色彩及び模様は、このようなものには限定されない。例えば、表示領域Sは、他の部分とは色彩のみが異なる領域となっていても良い。このような場合であっても、明るく目立つ色であれば、十分に機能を果たすことができる。この表示領域Sの機能は、作業者Rが経路方向Xに沿って仕切り体11を見た場合に、表示領域Sの見え方を確認することによって、仕切り体11が適切に引退姿勢となっているか否かを容易に確認できるようにすることである。すなわち、仕切り体11の全体が適切に引退姿勢となった場合には、仕切り体11の全体が、第一固定壁31と第三固定壁33との間に形成された仕切り体収容部Uに収容される。そのため表示領域Sも全体が当該仕切り体収容部Uに収容され、作業者Rが経路方向Xに沿って仕切り体11を見た場合にも表示領域Sは見えない。しかし、仕切り体11を引退姿勢とした場合であっても、仕切り体11の上部に撓みや傾斜等が生じていたことに起因して、仕切り体11の上部が、仕切り体収容部Uから幅方向第1側Y1に突出した状態となる場合がある。このような場合、例えば
図6に示すように、表示領域Sの一部が通路5側に突出し、作業者Rが経路方向Xに沿って仕切り体11を見た場合に、表示領域Sが見える状態となる。このように、作業者Rは、表示領域Sが見えるか否かによって、仕切り体11が適切に引退姿勢となっているか否かを容易に視認することができる。
【0042】
6.その他の実施形態
次に、物品収容設備のその他の実施形態について説明する。
【0043】
(1)上記の実施形態では、搬送装置3は2台の搬送ユニット4(第一搬送ユニット4a,第二搬送ユニット4b)を備え、これら2台の搬送ユニット4の移動範囲を仕切るように仕切り体11を設けた構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、例えば搬送装置3は3台以上の搬送ユニット4を備えていても良い。その場合、これら3台の搬送ユニット4の移動範囲を仕切るように、規定位置Tを2箇所に設定し、2つの仕切り体11を設けると好適である。
【0044】
(2)上記の実施形態では、保持機構84を構成する第二ブラケット84a、締結ボルト84b、固定用ナット84cが、調整機構85を兼ねている構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、調整機構85は、保持機構84とは別に設けられていても良い。例えば、調整機構85は索状体19や把持部23に設けられても良い。その場合、調整機構85は、索状体19の長さを調節する機構を備えると好適である。
【0045】
(3)上記の実施形態では、連結部20は、弾性体26を介して第三扉部材15cの上部に連結されている構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、例えば、弾性体26を備えず、連結部20が仕切り体11に固定された構成としても良い。
【0046】
(4)上記の実施形態では、仕切り体11が3つの扉部材15(第一扉部材15a,第二扉部材15b,第三扉部材15c)を備えた構成を例として説明した。しかし、仕切り体11を構成する扉部材15の枚数は適宜設定可能である。従って、仕切り体11が備える扉部材15の数は、4つ以上であっても良いし、2つ以下であっても良い。また、仕切り体11は、1つの扉部材15により構成されていても良い。このような仕切り体11を構成する扉部材15の数は、物品収容設備9の規模、特に通路5の幅方向Yの寸法等に応じて適宜設定すると好適である。
【0047】
(5)上記の実施形態では、ローラ14aは、複数の扉部材15のそれぞれに一つずつ配置される構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、複数の扉部材15のそれぞれに複数のローラ14aが配置されていても良い。
【0048】
(6)上記の実施形態では、表示領域Sが、仕切り体11の上部の経路方向第1側X1を向く面及び経路方向第2側X2を向く面の双方に設けられている構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、表示領域Sは、仕切り体11の上部の経路方向第1側X1を向く面及び経路方向第2側X2を向く面のいずれか一方のみに設けられていてもよい。例えば、作業者Rが内部空間8に入るための入り口が、規定位置Tに対して経路方向Xの一方側に設けられている場合等には、仕切り体11の上部における当該経路方向Xの一方側の面に表示領域Sが設けられると好適である。なお、仕切り体11に表示領域Sが設けられていなくても良い。その場合において、例えば、仕切り体11の上部の位置が、適切な引退姿勢の位置となっているか否かを検知するセンサを設けても好適である。
【0049】
(7)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0050】
7.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品収容設備の概要について説明する。
【0051】
物品収容設備は、通路を挟んで両側に配置された一対の収容棚と、前記通路を移動して物品を搬送する搬送装置と、を備えた物品収容設備であって、前記搬送装置は2台の搬送ユニットを備え、2台の前記搬送ユニットのそれぞれは、前記通路に設定された走行経路に沿って走行する台車と、前記台車に固定された支柱と、前記支柱に沿って昇降する昇降体と、前記昇降体に支持されて前記物品の保持及び前記収容棚への前記物品の移載を行う移載機と、を備え、前記走行経路に沿う方向を経路方向とし、上下方向に沿う上下方向視で前記経路方向に直交する方向を幅方向として、前記走行経路の途中の規定位置に、前記通路を仕切る仕切り装置が設けられており、前記仕切り装置は、前記幅方向に沿ってスライド移動することにより前記通路に突出した突出姿勢と前記通路から引退した引退姿勢とに姿勢変更する仕切り体と、前記仕切り体を支持すると共に前記仕切り体の前記スライド移動を案内する仕切り体案内機構と、前記仕切り体の前記スライド移動を補助する移動補助機構と、を備え、前記仕切り体の上部に、前記仕切り体案内機構によって前記幅方向に案内される被案内部が設けられており、前記移動補助機構は、索状体と、前記索状体を案内する索状体案内機構と、を備え、前記幅方向における前記仕切り体が前記引退姿勢から前記突出姿勢となる場合に移動する側を幅方向突出側として、前記索状体の一部である連結部が、前記仕切り体の上部に連結されており、前記索状体における前記連結部から離れた位置に、作業者が把持するための把持部が設けられており、前記索状体案内機構は、前記仕切り体案内機構に対する位置が固定された案内体を備え、前記索状体は、前記案内体に沿って延在方向が湾曲され、前記案内体よりも前記連結部側の部分は前記案内体よりも前記幅方向突出側において前記幅方向に沿って延在するように配置され、前記案内体よりも前記把持部側の部分は前記案内体よりも下側において前記上下方向に沿って延在するように配置され、前記作業者の手が届く範囲内の高さを操作可能範囲として、前記把持部は、前記仕切り体が前記突出姿勢である場合と前記引退姿勢である場合との双方で、前記操作可能範囲内に位置するように設けられている。
【0052】
本構成によれば、物品収容設備は、通路に突出した突出姿勢と通路から引退した引退姿勢とに姿勢変更する仕切り体を有する仕切り装置を備えている。従って、仕切り体を突出姿勢とした状態では、規定位置において通路を仕切ることができ、それぞれの空間において搬送ユニットを独立して動作させ、或いは、それぞれの空間において独立してメンテナンス作業等を行うことができる。また、仕切り体を引退姿勢とした状態では、1台の搬送ユニットが規定位置を超えて走行することが可能になる。
【0053】
この仕切り装置では、仕切り体の上部に、仕切り体案内機構によって幅方向に案内される被案内部が設けられている。そのため、仕切り体を引退姿勢にするために、仕切り体の下部を作業者等が操作して当該仕切り体を幅方向引退側にスライド移動させた場合であっても、仕切り体の撓みや傾斜等が生じることによって仕切り体の上部が下部よりも幅方向突出側に位置する状態となる場合があり得る。そのような場合、仕切り体の上部が通路側に突出した状態となり、仕切り体の全体が適切に引退姿勢とならない場合がある。仕切り体の上下方向の寸法が大きい場合、特にこのような事態が生じ易い。
本構成によれば、仕切り体を引退姿勢にする場合に、作業者が把持部を下方へ引くように操作することにより、索状体の連結部が連結された仕切り体の上部を幅方向引退側に引っ張ることができる。そのため、仕切り体の上下方向の寸法にかかわらず、仕切り体の全体を適切に通路から引退させることができる。また、仕切り体が引退姿勢である場合と突出姿勢である場合との双方で把持部が操作可能範囲内に位置するため、作業者が把持部を容易に操作することができる。
このように本構成によれば、仕切り体を通路から引退させた引退姿勢にする場合に、仕切り体の上下方向の寸法にかかわらず、仕切り体の全体を適切に通路から引退させることができる。
【0054】
ここで、前記仕切り体が前記引退姿勢である場合の前記把持部の位置を引退時把持部位置として、前記把持部を前記引退時把持部位置に保持する保持機構を備えており、前記保持機構は、前記把持部を保持する上下方向の位置を調整する調整機構を備えていると好適である。
【0055】
本構成によれば、保持機構によって把持部を引退時把持部位置に保持することができる。そのため、仕切り体を引退姿勢に定常的に保持することができ、仕切り体が誤って突出姿勢になることを回避できる。また、保持機構が調整機構を備えているため、把持部を保持する上下方向の位置を調整することによって、索状体を介して引退方向に仕切り体を引っ張る量や引っ張る力を調整することができる。
【0056】
また、前記連結部は弾性体を介して前記仕切り体に連結されていると好適である。
【0057】
本構成によれば、作業者によって急な把持部の操作が行われた場合であっても、当該操作の伝達を弾性体によって緩和することができる。そのため、索状体、索状体案内機構、仕切り体、仕切り体案内機構などに過大な負荷が作用することを回避することができる。
また、弾性体が自然長よりも伸びた状態で把持部の位置を固定することにより、索状体及び弾性体を介して、仕切り体を引退させる側に引っ張る力を常に付与することができる。従って、索状体の寸法が経年変化等により伸びた場合であっても、その伸びを吸収して仕切り体を適切に引退姿勢とすることができる。
【0058】
また、前記仕切り体は、複数の板状の扉部材を備え、複数の前記扉部材は、互いに平行に配置されていると共に、前記経路方向に互いにずれた位置において前記スライド移動することができるように、前記仕切り体案内機構に案内されており、複数の前記扉部材は、直動案内機構を介して互いに前記幅方向に相対移動可能に連結されており、前記仕切り体が前記突出姿勢となった状態では、前記仕切り体が前記引退姿勢となった状態よりも、複数の前記扉部材同士の前記幅方向の重なりが小さくなり、前記連結部は、前記仕切り体が前記突出姿勢となった状態で最も前記幅方向突出側に配置される前記扉部材に連結されていると好適である。
【0059】
本構成によれば、複数の扉部材を展開して仕切り体を突出姿勢とし、複数の扉部材を重ねて仕切り体を引退姿勢とすることができる。従って、突出姿勢における仕切り体の幅方向の寸法を確保しつつ、引退姿勢とした状態での仕切り体の収納に必要な空間の幅方向の寸法を小さく抑えることができる。そして、仕切り体が突出姿勢となった状態で最も幅方向突出側に配置された扉部材に連結部が連結されるため、作業者が把持部を下方へ引くように操作することにより、仕切り体の全体、すなわち、複数の扉部材の全てを適切に引退姿勢とすることができる。
【0060】
また、前記被案内部は、前記仕切り体の上部に固定された回転軸回りに回転するローラを備え、前記仕切り体案内機構は、前記ローラが前記幅方向に沿って転動するように前記ローラを案内するレールを備えていると好適である。
【0061】
本構成によれば、仕切り体をレールに沿って適切にスライド移動させることができる。
【0062】
また、前記仕切り体の上部の前記経路方向の少なくともいずれかの側を向く面における、前記幅方向突出側の端縁に沿う部分に、前記仕切り体の他の部分とは色彩及び模様の少なくとも一方が異なる表示領域が設けられていると好適である。
【0063】
本構成によれば、作業者が経路方向に沿って仕切り体を見た場合に、表示領域の見え方を確認することによって、仕切り体が適切に引退姿勢となっているか否かを容易に確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本開示に係る技術は、物品収容設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
2 :走行経路
3 :搬送装置
4 :搬送ユニット
5 :通路
6 :収容棚
7 :レール
9 :物品収容設備
10 :仕切り装置
11 :仕切り体
12 :仕切り体案内機構
13 :移動補助機構
14 :被案内部
14a :ローラ
15 :扉部材
16 :直動案内機構
19 :索状体
20 :連結部
21 :索状体案内機構
22 :案内体
23 :把持部
26 :弾性体
80 :台車
81 :支柱
82 :昇降体
83 :移載機
84 :保持機構
85 :調整機構
A :幅方向突出側
P :操作可能範囲
S :表示領域
T :規定位置
W :物品
X :経路方向
Y :幅方向
Z :上下方向