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特許7494820情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240528BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20240528BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240528BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240528BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20240528BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/123 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/30
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021137494
(22)【出願日】2021-08-25
(65)【公開番号】P2023031788
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 吉則
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-016118(JP,A)
【文献】特表2006-500270(JP,A)
【文献】特開2019-166992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G16Y 10/00 - 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管理者によって遠隔で走行を管理される複数の自動運転車両のうちの第1車両が前記第1管理者による注意が必要となる所定の状況となった場合に、前記第1管理者以外の一または複数の第2管理者を、前記複数の自動運転車両のうちの前記第1車両以外の少なくとも一の第2車両の走行を前記第1管理者に代わって管理する管理者として決定することと、
前記所定の状況が解除された場合、前記一または複数の第2管理者が前記第1管理者に代わって管理している前記少なくとも一の第2車両の走行の管理をする管理者を前記第1管理者に戻すことと、
を実行する制御部を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の状況は複数存在し、前記所定の状況ごとに前記第1管理者が管理可能な自動運転車両の台数が定められており、
前記制御部は、
前記第1管理者が管理している前記複数の自動運転車両の台数が前記第1管理者管理可能な前記自動運転車両の台数を超える場合に、前記第1管理者に代わって、超過分の前記第2車両の走行の管理をする管理者として、前記一または複数の第2管理者を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記一または複数の第2管理者それぞれが管理可能な自動運転車両の台数が定められており、
前記制御部は、
前記少なくとも一の第2車両の台数が、前記一または複数の第2管理者それぞれが新たに管理可能な自動運転車両の台数の合計台数を超える場合に、前記少なくとも一の第2車両のうち、前記合計台数を超える台数の第2車両の走行を停止させることをさらに実行する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の状況は、前記第1車両において異常が発生した状況である、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定の状況は、前記第1管理者による前記第1車両の走行に関する操作が必要とされる状況である、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所定の状況は、前記第1車両の走行経路上に障害物が存在する状況である、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに実行させる情報処理方法であって、
第1管理者によって遠隔で走行を管理される複数の自動運転車両のうちの第1車両が前記第1管理者による注意が必要となる所定の状況となった場合に、前記第1管理者以外の一または複数の第2管理者を、前記複数の自動運転車両のうちの前記第1車両以外の少なくとも一の第2車両の走行を前記第1管理者に代わって管理する管理者として決定することと、
前記所定の状況が解除された場合、前記一または複数の第2管理者が前記第1管理者に代わって管理している前記少なくとも一の第2車両の走行の管理をする管理者を前記第1管理者に戻すことと、
を含む、
情報処理方法。
【請求項8】
前記所定の状況は複数存在し、前記所定の状況ごとに前記第1管理者が管理可能な自動運転車両の台数が定められており、
前記第1管理者が管理している前記複数の自動運転車両の台数が前記第1管理者管理可能な前記自動運転車両の台数を超える場合に、前記第1管理者に代わって、超過分の前記第2車両の走行の管理をする管理者として、前記一または複数の第2管理者を決定する、
請求項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記一または複数の第2管理者それぞれが管理可能な自動運転車両の台数が定められており、
前記少なくとも一の第2車両の台数が、前記一または複数の第2管理者それぞれが新たに管理可能な自動運転車両の台数の合計台数を超える場合に、前記少なくとも一の第2車両のうち、前記合計台数を超える台数の第2車両の走行を停止させることをさらに含む、
請求項7または8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記所定の状況は、前記第1車両において異常が発生した状況である、
請求項からのいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記所定の状況は、前記第1管理者による前記第1車両の走行に関する操作が必要とされる状況である、
請求項からのいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記所定の状況は、前記第1車両の走行経路上に障害物が存在する状況である、
請求項からのいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項13】
情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記情報処理方法は、
第1管理者によって遠隔で走行を管理される複数の自動運転車両のうちの第1車両が前記第1管理者による注意が必要となる所定の状況となった場合に、前記第1管理者以外の一または複数の第2管理者を、前記複数の自動運転車両のうちの前記第1車両以外の少なくとも一の第2車両の走行を前記第1管理者に代わって管理する管理者として決定することと、
前記所定の状況が解除された場合、前記一または複数の第2管理者が前記第1管理者に代わって管理している前記少なくとも一の第2車両の走行の管理をする管理者を前記第1管理者に戻すことと、
を含む、
プログラム。
【請求項14】
前記所定の状況は複数存在し、前記所定の状況ごとに前記第1管理者が管理可能な自動運転車両の台数が定められており、
前記情報処理方法において、
前記第1管理者が管理している前記複数の自動運転車両の台数が前記第1管理者管理可能な前記自動運転車両の台数を超える場合に、前記第1管理者に代わって、超過分の前記第2車両の走行を管理する管理者として、前記一または複数の第2管理者を決定する、
請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記一または複数の第2管理者それぞれが管理可能な自動運転車両の台数が定められており、
前記情報処理方法は、
前記少なくとも一の第2車両の台数が、前記一または複数の第2管理者それぞれが新たに管理可能な自動運転車両の台数の合計台数を超える場合に、前記少なくとも一の第2車両のうち、前記合計台数を超える台数の第2車両の走行を停止させることをさらに含む、
請求項13または14に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には自律走行車両をリモートコントロールする方法が開示されている。特許文献1に開示されている方法において、自立走行制御装置は、自律走行自動車を自律走行モードまたは手動走行モードで走行するようにした状態で、走行プランの策定に失敗するか、自律走行モードを手動走行モードに変更することに失敗すると、リモート運転者が走行シミュレータを利用して自律走行自動車をリモートコントロールするようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-123341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、複数の自動運転車両の安全な走行を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様に係る情報処理装置は、
第1管理者によって遠隔で走行を管理される複数の自動運転車両のうちの第1車両が前記第1管理者による注意が必要となる所定の状況となった場合に、前記第1管理者以外の一または複数の第2管理者を、前記複数の自動運転車両のうちの前記第1車両以外の少なくとも一の第2車両の走行を前記第1管理者に代わって管理する管理者として決定すること、
を実行する制御部を備える。
【0006】
本開示の第2の態様に係る情報処理方法は、
第1管理者によって遠隔で走行を管理される複数の自動運転車両のうちの第1車両が前記第1管理者による注意が必要となる所定の状況となった場合に、前記第1管理者以外の一または複数の第2管理者を、前記複数の自動運転車両のうちの前記第1車両以外の少なくとも一の第2車両の走行を前記第1管理者に代わって管理する管理者として決定すること、
を含む。
【0007】
本開示の第3の態様に係るプログラムは、
情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記情報処理方法は、
第1管理者によって遠隔で走行を管理される複数の自動運転車両のうちの第1車両が前記第1管理者による注意が必要となる所定の状況となった場合に、前記第1管理者以外の一または複数の第2管理者を、前記複数の自動運転車両のうちの前記第1車両以外の少なくとも一の第2車両の走行を前記第1管理者に代わって管理する管理者として決定すること、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、複数の自動運転車両の安全な走行を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、管理システムの概略構成を示す図である。
図2図2は、各管理者と、各管理者によって管理される車両との対応の一例を示す図である。
図3図3は、各管理者と、各管理者によって管理される車両との対応の変更の一例を示す図である。
図4図4は、管理サーバの機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図5図5は、管理者情報データベースに格納されている管理者情報のテーブル構成の一例を示す図である。
図6図6は、変更処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
自動運転車両の走行の管理を行う管理者(以下、「第1管理者」と称する場合がある。)が複数の自動運転車両の走行の管理を遠隔で行う場合を想定する。ここで、第1管理者は、自動運転車両の状況を監視したり、自動運転車両に対する操作を行ったりすることで、自動運転車両の走行の管理を行う。このとき、第1管理者が走行を管理する複数の自動運転車両のうち、一の自動運転車両が第1管理者による注意が必要となる所定の状況となる場合がある。
【0011】
そうすると、第1管理者は、所定の状況となった自動運転車両(以下、「第1車両」と称する場合がある。)を注意しつつ、第1車両以外の一または複数の自動運転車両の走行の管理を行うこととなる。そのため、第1管理者が第1車両に注意をしている間、第1車両以外の一または複数の自動運転車両の走行の管理が疎かになってしまう虞がある。
【0012】
そこで、本開示の第1の態様に係る情報処理装置における制御部は、第1車両が第1管理者による注意が必要となる所定の状況となった場合に、第1管理者以外の一または複数の第2管理者を、少なくとも一の第2車両の走行を第1管理者に代わって管理する管理者として決定する。ここで、第1管理者によって走行を管理される複数の自動運転車両のうちの第1車両以外の車両を第2車両と称する場合がある。
【0013】
これにより、第1管理者が管理している第1車両が所定の状況となった場合に、少なくとも一の第2車両が第1管理者による走行の管理の対象外となる。そうすると、第1管理者が走行を管理する自動運転車両の台数が減少する。そのため、第1管理者は、自動運転車両の走行を管理する負担が軽減された状態で、第1車両への注意を行うことが可能となる。また、第1管理者による走行の管理の対象外となった少なくとも一の第2車両は、一または複数の第2管理者による走行の管理対象となる。このようにして、第1車両と第2車両との走行の管理が第1管理者と第2管理者とで分担される。その結果、第1車両と第2車両とを含む複数の自動運転車両の安全な走行を可能にすることができる。
【0014】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、および、その相対配置等は、特に記載がない限りは本開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
<実施形態>
(システムの概略)
本実施形態における管理システム1について、図1から図3に基づいて説明する。図1は、管理システム1の概略構成を示す図である。管理システム1は、複数の車両100、管理サーバ200、および複数の管理者端末300を含んで構成される。
【0016】
管理システム1においては、複数の車両100と管理サーバ200とがネットワークN1によって相互に接続される。ネットワークN1には、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)または、携帯電話等の電話通信網が採用されてもよい。また、管理システム1においては、管理サーバ200と複数の管理者端末300とが、所定の領域内において構築されているネットワーク(以下、「領域内ネットワーク」と称する場合がある。)によって相互に接続される。領域内ネットワークには、例えば、所定の領域内において構築されているLAN(Local Area Network)が採用されてもよい。
【0017】
(車両)
車両100は、運転者等の搭乗員を有していない自動運転車両である。車両100は、例えば、乗客を輸送する車両である。車両100は、ネットワークN1を経由して、車両100の状況に関する情報(以下、「状況情報」と称する場合がある。)を管理サーバ200に送信する。本実施形態においては、状況情報は、車両100に設けられているカメラが撮像した車両100の内部および外部の動画像である。車両100の内部の動画像には、車両100の乗客の様子等を含む、車両100の内部の様子が含まれている。また、車両100の外部の動画像には、車両100が走行している道路の様子等を含む、車両100の周囲の様子が含まれている。なお、本実施形態においては、車両100は乗客を輸送する車両である。しかしながら、車両100は、必ずしも、乗客を輸送する車両でなくてもよい。車両100は、例えば、荷物を輸送する車両であってもよい。
【0018】
(管理者端末)
管理者端末300は、管理者30が使用する端末である。管理者端末300は、例えば、管理者30が使用するコンピュータである。管理者端末300は、管理サーバ200が受信した、車両100の状況情報を管理者30に対して表示する。具体的には、管理者端末300は、状況情報に含まれる、車両100の内部および外部の動画像を表示する。これにより、管理者30は、車両100の内部および外部の状況を把握することができる。
【0019】
管理者30は、管理者端末300に表示されている車両100の内部および外部の状況に基づいて、車両100の走行を管理する業務を遠隔で行う。つまり、管理者30は、車両100に搭乗することなく、車両100の走行を管理する。管理者30は、状況情報に基づいて、例えば、車両100の様子(例えば、車両100の周囲または乗客の様子等)を監視する。ここで、車両100に異常が生じた場合、管理者30は、管理者端末300を使用して、車両100を緊急停車させたり車両100の乗客に対するアナウンスを行ったりする。
【0020】
また、管理者30は、車両100の外部の状況に基づいて、管理者端末300を使用して、車両100の自動運転の補助のための操作を行う。管理者30は、例えば、車両100の外部の動画像に基づいて車両100の周囲の安全を確認し、車両100が他の車両を追い越すことを指示する操作を行う。また、管理者30は、車両100の外部の動画像に基づいて車両100の周囲の安全を確認し、車両100が交差点を右左折することを許可する操作を行う。管理者30は、例えば、管理者端末300が表示する特定のボタンを押下することによって、車両の追い越しの指示および交差点の右左折の許可を行う。管理者端末300は、特定のボタンが押下されると、自動運転を補助するための情報を生成する。そして、自動運転を補助する情報は、管理サーバ200を経由して、車両100に送信される。このようにして、管理者30によって、車両100の自動運転の補助が行われる。なお、管理者30は、必要に応じて、車両100の自動運転の補助以外にも、車両100を操縦してもよい。
【0021】
(管理サーバ)
管理サーバ200は、複数の管理者30の業務を管理するサーバである。管理サーバ200は、ネットワークN1を経由して、各車両100の状況情報を各車両100から受信する。これにより、管理サーバ200は、車両100の内部および外部の状況を把握することが可能となる。また、管理サーバ200は、領域内ネットワークを経由して、車両100の状況情報を、管理者端末300に送信する。
【0022】
図2は、各管理者30と、各管理者30によって管理される車両100との対応の一例を示す図である。図2に示す例においては、3人の管理者30(管理者30A、管理者30B、および管理者30C)が、7台の車両100(車両100A、車両100B、車両100C、車両100D、車両100E、車両100F、および車両100G)の走行の管理を行う。ここで、図2に示すように、管理者30Aは、管理者端末300Aを使用して、車両100A、車両100B、および車両100Cの3台の車両の管理を行っている。また、管理者30Bは、管理者端末300Bを使用して、車両100Dおよび車両100Eの2台の車両の管理を行っている。また、管理者30Cは、管理者端末300Cを使用して、車両100Fおよび車両100Gの2台の車両の管理を行っている。
【0023】
管理サーバ200は、各車両100から受信した状況情報に基づいて、各車両100の状況を検出する。このとき、車両100が所定の状況となる場合がある。このとき、管理サーバ200は、各管理者30と、各管理者30によって管理される車両100との対応を変更する。ここで、所定の状況は、車両100が管理者30による注意が必要となる状況である。所定の状況は、例えば、車両100に異常が生じた状況である。また、所定の状況は、例えば、車両100の自動運転の補助のために、管理者30による車両100の走行に関する操作が必要とされる状況である。
【0024】
図3は、各管理者30と、各管理者30によって管理される車両100との対応の変更の一例を示す図である。図3に示す例においては、図2に示す例において車両100Aが所定の状況となった場合を想定する。この場合、図3に示すように、車両100Bを管理する管理者が管理者30Aから管理者30Bに変更される。また、図3に示すように、車両100Cを管理する管理者が管理者30Aから管理者30Cに変更される。管理サーバ200によって車両100Bおよび車両100Cの管理者の変更が行われることで、管理者30Aは、車両100Bおよび車両100Cの走行の管理を行わずに、車両100Aの走行の管理を行う。なお、管理サーバ200による車両100の管理者の変更方法の詳細は後述する。
【0025】
管理サーバ200は、プロセッサ210、主記憶部220、補助記憶部230、および通信インタフェース(通信I/F)240を有するコンピュータを含んで構成される。プロセッサ210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)である。主記憶部220は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。補助記憶部230は、例えば、ROM(Read Only Memory)である。また、補助記憶部230は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、またはCD-ROM、DVDディスク、もしくはブルーレイディスクのようなディスク記録媒体である。また、補助記憶部230は、リムーバブルメディア(可搬記憶媒体)であってもよい。ここで、リムーバブルメディアとして、例えば、USBメモリまたはSDカードが例示される。通信I/F240は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、または無線通信のための無線通信回路である。
【0026】
管理サーバ200において、補助記憶部230には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、および各種情報テーブル等が格納されている。また、管理サーバ200において、プロセッサ210が、補助記憶部230に記憶されたプログラムを主記憶
部220にロードして実行することによって、後述するような各種の機能を実現することができる。ただし、管理サーバ200における一部または全部の機能はASICまたはFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、管理サーバ200は、必ずしも単一の物理的構成によって実現される必要はなく、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。また、車両100も管理サーバ200と同様にコンピュータを含んで構成される。
【0027】
(機能構成)
次に、本実施形態に係る管理システム1を構成する、管理サーバ200の機能構成について、図4および図5に基づいて説明する。図4は、管理サーバ200の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。管理サーバ200は、制御部201、通信部202、および管理者情報データベース203(管理者情報DB203)を含んで構成される。
【0028】
制御部201は、管理サーバ200を制御するための演算処理を行う機能を有する。制御部201は、管理サーバ200におけるプロセッサ210によって実現できる。通信部202は、管理サーバ200をネットワークN1および領域内ネットワークに接続する機能を有する。通信部202は、管理サーバ200における通信I/F240によって実現できる。
【0029】
制御部201は、通信部202によって、状況情報を車両100から受信する。また、制御部201は、通信部202によって、車両100から受信した状況情報を各管理者端末300に送信する。このとき、制御部201は、管理者30が走行を管理する車両100の状況情報を各管理者端末300に送信する。また、制御部201は、通信部202によって、車両100と管理者端末300との間で音声データを送受信することで、車両100と管理者端末300との間の通話を中継する。また、制御部201は、管理者端末300から受信した車両100の自動運転を補助するための情報を、車両100に送信する。
【0030】
制御部201は、各車両100から受信した状況情報に基づいて、各車両100の状況を検出する。具体的には、管理サーバ200は、各車両100の状況情報に含まれる動画像を分析することによって、各車両100の状況を検出する。このとき、車両100が所定の状況となる場合がある。管理サーバ200は、車両100が所定の状況となっていることを検出すると、該車両100(以下、「対象車両100」と称する場合がある。)の管理を行っている管理者30(以下、「対象管理者30」と称する場合がある。)が管理を担当している対象車両100以外の車両100の管理者を変更する。本実施形態において、所定の状況は、車両100に異常が発生した状況(以下、「第1状況」と称する場合がある。)である。また、本実施形態において、所定の状況は、管理者30による車両100の走行に関する操作が必要とされる状況(以下、「第2状況」と称する場合がある。)である。
【0031】
ここで、本実施形態においては、第1状況となった対象車両100を管理する対象管理者30は、対象車両100の走行の管理に集中する必要があることを想定する。この場合において、対象管理者30は、例えば、異常が生じた対象車両100を緊急停車させたり対象車両の乗客と通話したりするために、対象車両100の走行の管理に集中する必要がある。そこで、制御部201は、対象管理者30以外の一または複数の管理者30を、対象管理者30が走行を管理している複数の車両100のうちの対象車両100以外の全ての車両100の走行を対象管理者30に代わって管理する管理者として決定する。つまり、制御部201は、対象管理者30が対象車両100の走行の管理のみを行えるように、対象管理者30が担当する車両100を変更する。
【0032】
また、本実施形態においては、所定の第2状況となった対象車両100の走行を管理する対象管理者30は、車両100の走行の管理の負担を軽減される必要があることを想定する。つまり、対象管理者30が所定の第2状況となった対象車両100に注意するために、対象管理者30が走行の管理を担当する車両100の台数を減少させる必要があることを想定する。そこで、制御部201は、対象管理者30以外の一または複数の管理者30を、対象管理者30が走行を管理している複数の車両100のうちの対象車両100以外の一部の車両100の走行を対象管理者30に代わって管理する管理者として決定する。このとき、制御部201は、管理者情報DB203に格納されている管理者情報に基づいて、対象車両100以外の車両100を、対象管理者30以外の一または複数の管理者30による走行の管理対象として決定する。
【0033】
図5は、管理者情報DB203に格納されている管理者情報のテーブル構成の一例を示す図である。管理者情報DB203は、管理サーバ200における補助記憶部230によって実現できる。また、管理者情報は、各管理者30が走行の管理を行うことが可能な車両100の台数に関する情報である。図5が示すように、管理者情報は、管理者IDフィールドおよび管理台数フィールドを有する。管理者IDフィールドは、管理者30を特定するための識別子(管理者ID)が入力される。
【0034】
ここで、各管理者30には、車両100の走行の管理を行うスキルに差があることが想定される。そのため、各管理者30が走行の管理を行うことが可能な車両100の台数が異なることが想定される。そこで、管理台数フィールドには、各管理者30が走行の管理を行うことが可能な車両100の台数が入力される。また、管理者30が通常時に走行の管理を行う場合よりも、第2状況となった対象車両100の走行の管理をしつつ走行の管理を行う場合のほうが、走行の管理の業務の負担が大きくなる。そのため、管理者30が、通常時において走行の管理を行うことが可能な車両100の台数と、第2状況となった対象車両100の走行の管理をしつつ走行の管理を行うことが可能な車両100の台数と、が異なることが想定される。
【0035】
そこで、管理台数フィールドには、管理者30が通常時において走行の管理を行うことが可能な車両100の台数(以下、「通常管理台数」と称する場合がある。)が入力される。また、管理台数フィールドには、管理者30が、管理する車両100が第2状況となった場合に、第2状況となった対象車両100の走行の管理と併せて、走行の管理を行うことが可能な車両100の台数(以下、「特定台数」と称する場合がある。)が入力される。ここで、管理台数フィールドにおいて、特定台数には通常管理台数よりも少ない台数が入力されている。なお、管理台数フィールドに入力される、通常管理台数および特定台数は、各管理者30のスキルに応じて、管理サーバ200の管理者等によって適宜入力される。
【0036】
制御部201は、対象車両100が第2状況となったことを検出すると、管理者情報DB203に格納されている管理者情報に基づいて、対象管理者30についての特定台数を取得する。制御部201は、対象管理者30が走行の管理を行っている複数の車両100の台数と特定台数との差の台数分の車両100を、対象管理者30以外の管理者30によって走行が管理される車両(以下、「非対象車両100」と称する場合がある。)として決定する。
【0037】
制御部201が非対象車両100を決定する方法として、公知の方法を採用することができる。制御部201は、対象管理者30が走行の管理を行っている複数の車両100の台数と特定台数との差の台数分の非対象車両100を、対象管理者30が走行の管理を行っている複数の車両100を識別するための識別子(車両ID)に基づいて決定してもよい。制御部201は、例えば、対象管理者30が走行の管理を行っている複数の車両10
0であって、対象車両100以外の車両100の車両IDを昇順(または降順)に並べる。そして、制御部201は、対象管理者30が走行の管理を行っている複数の車両100の台数と特定台数との差の台数分の車両100を上(または下)から順に非対象車両100として決定する。
【0038】
そして、制御部201は、対象車両100が所定の状況(第1状況または第2状況)となったことを検出すると、対象車両100以外の車両100または非対象車両100の管理者を対象管理者30以外から決定する。しかしながら、非対象車両100の台数が、対象管理者30以外の管理者30それぞれが新たに管理可能な車両100の台数(通常管理台数と現在走行を管理している車両100の台数の差の台数)の合計台数を超える場合がある。この場合において、非対象車両100のすべての管理者が変更されると、対象管理者30以外の管理者30であって、通常管理台数を超える車両100の走行の管理を行わなければならない管理者30が存在することになる。そうすると、管理者30が走行の管理をする車両100のうち、走行の管理が疎かになる車両100が存在してしまう虞がある。
【0039】
そこで、制御部201は、非対象車両100の台数が、対象管理者30以外の管理者30それぞれが新たに管理可能な車両100の台数の合計台数を超える場合、該合計台数を超える台数(以下、「超過台数」と称する場合がある。)の非対象車両100の走行を停止させる。具体的には、制御部201は、非対象車両100から、超過台数分の非対象車両100を、管理者30を決定することができない車両(以下、「不可車両100」と称する場合がある。)として決定する。そして、制御部201は、非対象車両100に不可車両100が存在する場合、不可車両100の走行を停止させるための停止情報を送信する。このとき、走行を停止している不可車両は、管理者30によって走行の管理が行われない。
【0040】
なお、制御部201が不可車両100を決定する方法として、非対象車両100を決定する方法と同様の方法を採用することができる。制御部201は、例えば、超過台数分の不可車両100を、非対象車両100の車両IDに基づいて決定してもよい。
【0041】
また、制御部201が対象管理者30から車両100の走行の管理の担当が変更される対象管理者30以外の管理者30を決定する方法として、公知の方法を採用することができる。制御部201は、例えば、対象管理者30以外の管理者30の管理者IDに基づいて、対象管理者30から車両100の走行の管理の担当が変更される対象管理者30以外の管理者30を決定する。制御部201は、例えば、対象管理者30以外の管理者30の管理者IDを昇順(または降順)に並べる。そして、制御部201は、対象管理者30から管理者が変更される車両100を上(または下)から順に割り当てることで、対象管理者30から車両100の走行の管理の担当が変更される対象管理者30以外の管理者30を決定する。このとき、制御部201は、各管理者30の通常管理台数を超えないように、車両100を割り当てる。
【0042】
(変更処理)
次に、管理システム1において、管理サーバ200における制御部201によって実行される変更処理について、図6に基づいて説明する。図6は、変更処理のフローチャートである。変更処理は、対象車両100が所定の状況となった場合に、対象車両100以外の車両100の担当者を変更する処理である。変更処理は、複数の車両100の走行が開始されると繰り返し実行される。
【0043】
変更処理においては、まずS101において、複数の車両100のうち、対象車両100が存在するか否かが判別される。つまり、S101において、複数の車両100のうち
、所定の状況(第1状況または第2状況)となった車両100が存在するか否かが判別される。S101において、否定判定がされた場合、車両100の走行を管理する管理者30の担当を変更する必要はない。そこで、変更処理は終了される。
【0044】
S101において肯定判定がされると、S102において対象車両100が第1状況であるか否かが判別される。S102において肯定判定がされると、対象管理者30は、対象車両100の走行の管理に集中する必要がある。そこで、S103において、対象管理者30以外の管理者30から対象管理者30が管理している対象車両100以外の車両100の走行を対象管理者30に代わって管理する管理者が決定される。次に、S104において、不可車両100が存在するか否かの判別が行われる。S104において否定判定がされた場合、不可車両100が存在しないため、停止させる必要のある車両100は存在しない。そのため、S106において、対象車両100以外の車両100の管理者の変更が行われる。
【0045】
また、S104において肯定判定がされた場合、超過台数分の非対象車両100を停止させる必要がある。そこで、S105において、不可車両に対して停止情報が送信される。そして、S106において、対象管理者30が走行を管理している車両100のうち、不可車両100以外の車両100の管理者が変更される。
【0046】
また、S102において否定判定がされた場合、対象車両100は、第2状況となっている。そこでS107において、対象管理者30以外の管理者30から非対象車両100の走行を対象管理者30に代わって管理する管理者が決定される。次に、S104において、不可車両が存在するか否かの判別が行われる。S104において否定判定がされた場合、不可車両100が存在しないため、停止させる必要のある車両100は存在しない。そのため、S106において、非対象車両100の管理者の変更が行われる。また、S104において肯定判定がされた場合、超過台数分の車両100を停止させる必要がある。そこで、S105において、不可車両100に対して停止情報が送信される。そして、S106において、対象管理者30が走行を管理している車両100のうち、不可車両100以外の車両100の管理者が変更される。
【0047】
S106において、管理者の変更が行われた後、S108において所定の状況が解除されたか否かが判別される。具体的には、制御部201は、対象車両100から送信される状況情報における動画像を分析することによって、対象車両100において所定の状況が解除されたか否かを判別する。S108において肯定判定がされた場合、対象車両100が所定の状況となっていない場合と比べて、対象管理者30は対象車両100の走行の管理に注意する必要がなくなる。そこで、S109において、S106において変更された管理者の変更が解除される。つまり、S109においては、S106において管理者が変更された車両100の管理者が対象管理者30に戻される。これにより、対象管理者30以外の管理者30が車両100の走行の管理をする負担であって、S106において車両100の管理者が変更されたことによって増加した負担を管理者の変更前の状態に戻すことが可能となる。
【0048】
また、S108において否定判定がされた場合、対象車両100における所定の状況は解除されていないため、S106における管理者の変更を解除することはできない。そのため、再びS108の処理が実行される。そして、S109の処理が実行された後、変更処理は終了される。
【0049】
以上説明したように、管理システム1によって、対象車両100が存在する場合、対象車両100以外の車両100または非対象車両100の管理者が対象管理者30から変更される。これにより、対象管理者30が走行を管理する車両100の台数が減少する。そ
のため、対象管理者30が車両100の走行を管理する負担が軽減されることによって、対象車両100への注意を行うことが可能となる。また、管理者が変更された対象車両100以外の車両100または非対象車両100は、対象管理者30とは異なる管理者30によって走行が管理される。これにより、管理者が変更された対象車両100以外の車両または非対象車両100は、管理者30によって走行の管理が安全に行われる。また、不可車両が存在する場合、管理システム1によって、停止情報が不可車両に送信される。これにより、管理者30が走行の管理をする車両100のうち、走行の管理が疎かになる車両100が存在してしまうことを抑制することが可能となる。このようにして、複数の車両100の安全な走行を可能にすることができる。
【0050】
(変形例1)
本実施形態においては、所定の状況は、第1状況および第2状況を含む状況である。しかしながら、所定の状況は、必ずしも、第1状況および第2状況を含む状況でなくてもよい。例えば、対象管理者30は、対象車両100の走行経路上に存在する障害物と対象車両100とが接触しないように、対象管理者30は対象車両100の走行の管理に注意する必要がある。そこで、所定の状況は、車両100の走行経路上に障害物が存在する状況を含んでいてもよい。また、本実施形態においては、所定の状況は、第1状況と第2状況との二の状況を含む状況であったが、所定の状況は一の状況のみの状況であってもよい。
【0051】
(変形例2)
本実施形態においては、管理サーバ200は、車両100の内部および外部の動画像を含む状況情報に基づいて、所定の状況が生じたことを検出する。しかしながら、管理サーバ200は、必ずしも、車両100の内部および外部の動画像を含む状況情報に基づいて、所定の状況が生じたことを検出しなくてもよい。管理サーバ200は、例えば、車両100に設けられている非常ボタンが乗客によって押下された際に車両100から送信される信号に基づいて、所定の状況(第1状況)が生じたことを検出してもよい。また、管理サーバ200は、車両100の速度、位置、および車両100の周囲の車両および障害物等の位置に関する情報等によって、所定の状況(第2状況)が生じたことを検出してもよい。この場合において、所定の状況は、道幅が狭かったり道路が入り組んでいたりする等して、管理者30が注意して車両100の走行の監視を行う必要のある道路を車両100が走行している状況を含んでいてもよい。この場合において、管理サーバ200は、車両100の位置等に基づいて、道幅が狭かったり道路が入り組んでいたりする道路を車両100が走行している場合に、車両100が所定の状況となっていることを判定する。
【0052】
<その他の実施形態>
上述の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。また、本開示において説明した処理および手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0053】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0054】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録
商標)ディスク、またはハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、またはブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、または光学式カードのような、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0055】
1・・管理システム
100・・車両
200・・管理サーバ
201・・制御部
202・・通信部
203・・管理者情報DB
210・・プロセッサ
220・・主記憶部
230・・補助記憶部
240・・通信I/F
30・・管理者
300・・管理者端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6