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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】ハイブリッド車
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/26 20060101AFI20240528BHJP
   B60W 20/20 20160101ALI20240528BHJP
   B60K 6/445 20071001ALI20240528BHJP
   B60W 20/18 20160101ALI20240528BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20240528BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20240528BHJP
   B60W 20/12 20160101ALI20240528BHJP
   B60W 30/192 20120101ALI20240528BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20240528BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240528BHJP
   B60L 58/14 20190101ALI20240528BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240528BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20240528BHJP
   B60L 50/53 20190101ALI20240528BHJP
【FI】
B60W10/26 900
B60W20/20 ZHV
B60K6/445
B60W20/18
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60W20/12
B60W30/192
B60L50/16
B60L50/60
B60L58/14
B60L53/14
B60L53/12
B60L50/53
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021148635
(22)【出願日】2021-09-13
(65)【公開番号】P2023041325
(43)【公開日】2023-03-24
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松盛 裕志
(72)【発明者】
【氏名】坂柳 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】半田 学
(72)【発明者】
【氏名】杉山 緑
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐希
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-166777(JP,A)
【文献】特開2012-132821(JP,A)
【文献】特開2013-184678(JP,A)
【文献】特開2010-167898(JP,A)
【文献】特開2015-231757(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0176802(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20- 6/547
B60W 10/00- 10/26
B60W 10/28
B60W 10/30- 20/50
B60W 30/00- 60/00
B60L 1/00- 3/12
B60L 7/00- 13/00
B60L 15/00- 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド車であって、
エンジンと、
駆動力を発生するモータと、
前記モータに電力を供給する蓄電装置と、
前記モータおよび前記エンジンを制御する制御装置と、
前記ハイブリッド車を利用するユーザの予定が記録された予定情報を取得する取得部とを備え、
前記予定情報は、所定期間における、前記ハイブリッド車を走行させる走行予定を含み、
前記所定期間は、前記エンジンの燃料が給油されてから所定の劣化時期までの期間であり、
前記制御装置は、長距離走行予定での走行距離が、第1距離であるときは、前記第1距離よりも大きい第2距離であるときよりも、前記所定期間において前記エンジンの使用比率を高くし、
前記長距離走行予定は、前記走行予定に含まれる予定であって、所定距離以上を走行する予定である、ハイブリッド車。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記ハイブリッド車をCD(Charge Depleting)モードおよびCS(Charge Sustaining)モードのいずれかに制御し、
前記長距離走行予定での走行距離が、前記第1距離であるときは、前記第2距離であるときよりも、前記所定期間において前記CSモードに制御する比率を高くする促進制御を行う、請求項1に記載のハイブリッド車。
【請求項3】
前記制御装置は、前記予定情報が場所に関する情報を含むときに、当該場所に関する情報に基づき前記走行距離を取得する、請求項2に記載のハイブリッド車。
【請求項4】
前記制御装置は、前記予定情報に含まれるキーワードに基づき前記走行予定に該当するか否かを判定する、請求項3に記載のハイブリッド車。
【請求項5】
前記制御装置は、前記予定情報が場所に関する情報を含むときに、当該場所に関する情報に基づき前記走行距離を取得し、当該走行距離に基づき前記走行予定に該当するか否かを判定する、請求項2に記載のハイブリッド車。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記蓄電装置のSOC(State Of Charge)が所定のしきい値に低下したときに、前記CDモードから前記CSモードに切り替え、
前記長距離走行予定における前記CSモードでの走行距離に基づき、前記劣化時期までに前記燃料の残量が前記燃料の低下を示す所定量以下になるか否かを判定し、
前記残量が前記所定量以下にならないと判定した場合、前記所定期間において前記所定のしきい値を高くする前記促進制御を行う、請求項2~請求項5のいずれか1項に記載のハイブリッド車。
【請求項7】
前記所定のしきい値は、第1しきい値と、当該第1しきい値よりも大きい第2しきい値と、当該第2しきい値よりも大きい第3しきい値とを含み、
前記制御装置は、
前記促進制御を行わない場合、前記所定期間において前記第1しきい値を使用し、
前記促進制御を行う場合、前記所定期間における第1時期において前記第2しきい値を使用し、前記所定期間における前記第1時期より後の第2時期において前記第3しきい値を使用する、請求項6に記載のハイブリッド車。
【請求項8】
前記所定のしきい値は、第1しきい値と、当該第1しきい値よりも大きい第2しきい値と、当該第2しきい値よりも大きい第3しきい値とを含み、
前記制御装置は、
前記促進制御を行わない場合、前記所定期間において前記第1しきい値を使用し、
前記促進制御を行う場合、前記残量が第1量であるときに前記第2しきい値を使用し、前記残量が前記第1量よりも少ない第2量であるときに前記第3しきい値を使用する、請求項6に記載のハイブリッド車。
【請求項9】
車両外部の給電設備から電力を受電可能に構成された受電装置をさらに備え、
前記蓄電装置は、前記受電装置から受電された電力により充電可能に構成され、
前記制御装置は、前記促進制御を行う場合、前記給電設備からの充電を制限する、請求項2~請求項8のいずれか1項に記載のハイブリッド車。
【請求項10】
前記受電装置は、非接触で電力を受電可能な非接触受電装置であり、
前記制御装置は、前記ハイブリッド車の走行中に走行経路上に配置された前記給電設備から前記非接触受電装置が電力を受電する場合に、前記促進制御の実行中は、前記促進制御の実行中でないときよりも、単位時間あたりの充電量を少なくする、請求項9に記載のハイブリッド車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッド車に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2012-166777号公報(特許文献1)には、燃料の劣化が予測される場合に、燃料の消費を促進するハイブリッド車両が開示されている。特許文献1のハイブリッド車両は、燃料がゼロになる(あるいは次に燃料が給油される)までに要する日数の推定値が、燃料劣化までに要する日数の推定値より後になる場合、駆動モータとエンジンとのうちエンジンの使用比率を高めて走行する燃料促進モードに切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-166777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、燃料がゼロになるまでに要する日数を過去の走行履歴に基づき推定するものであって、現実の走行予定が考慮されていない。このため、推定による走行距離と現実の走行距離とが乖離することにより、必要以上にエンジンの使用比率が高くなってしまう虞がある。このような場合、できる限りモータ使用による電力での走行比率を高めて、環境負荷を低減させたいといったユーザの願望を満たせなくなってしまう。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、燃料の劣化を抑制しつつ電力による走行比率を高めることができるハイブリッド車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に係るハイブリッド車は、エンジンと、モータと、蓄電装置と、制御装置と、取得部とを備える。モータは、駆動力を発生する。蓄電装置は、モータに電力を供給する。制御装置は、モータおよびエンジンを制御する。取得部は、ハイブリッド車を利用するユーザの予定が記録された予定情報を取得する。予定情報は、所定期間における、ハイブリッド車を走行させる走行予定を含む。所定期間は、エンジンの燃料が給油されてから所定の劣化時期までの期間である。制御装置は、長距離走行予定での走行距離が、第1距離であるときは、第1距離よりも大きい第2距離であるときよりも、所定期間においてエンジンの使用比率を高くする。長距離走行予定は、走行予定に含まれる予定であって、所定距離以上を走行する予定である。
【0007】
上記構成においては、ユーザの予定が記録された予定情報に含まれる長距離走行予定での走行距離が小さいほど、燃料が給油されてから所定の劣化時期までの期間においてエンジンの使用比率を高くする。このように、燃料の消費が発生する実際の長距離走行予定を考慮して、エンジンの使用比率を調整するため、不必要なエンジンの使用を低減することができる。これにより、燃料の劣化を抑制しつつ電力による走行比率を高めることができる。
【0008】
ある実施の形態においては、制御装置は、ハイブリッド車をCD(Charge Depleting)モードおよびCS(Charge Sustaining)モードのいずれかに制御する。制御装置は、長距離走行予定での走行距離が、第1距離であるときは、第2距離であるときよりも、所定期間においてCSモードに制御する比率を高くする促進制御を行う。
【0009】
上記構成においては、ユーザの予定が記録された予定情報に含まれる長距離走行予定での走行距離が小さいほど、燃料が給油されてから所定の劣化時期までの期間においてCSモードに制御する比率を高くする促進制御を行う。燃料の消費が発生する実際の長距離走行予定を考慮して、CSモードに制御する比率を調整するため、不必要なエンジンの使用(CSモードへの制御)を低減することができる。これにより、燃料の劣化を抑制しつつ電力による走行比率を高めることができる。
【0010】
ある実施の形態においては、制御装置は、予定情報が場所に関する情報を含むときに、当該場所に関する情報に基づき走行距離を取得する。上記構成によれば、ユーザ自身が走行距離を設定することなく、エンジンの使用比率を制御するための走行距離を自動的に得ることができるため、ユーザの負担を少なくすることができる。
【0011】
ある実施の形態においては、制御装置は、予定情報に含まれるキーワードに基づき走行予定に該当するか否かを判定する。上記構成によれば、走行予定であるか否かをユーザが設定しなくてもよく、キーワードに基づき自動判定できるため、ユーザの負担を少なくすることができる。
【0012】
ある実施の形態においては、制御装置は、予定情報が場所に関する情報を含むときに、当該場所に関する情報に基づき走行距離を取得し、当該走行距離に基づき走行予定に該当するか否かを判定する。上記構成によれば、走行予定であるか否かをユーザが設定しなくてもよく、ユーザの行動パターン(走行距離)に基づき自動判定できるため、ユーザの負担を少なくすることができる。
【0013】
ある実施の形態においては、制御装置は、蓄電装置のSOC(State Of Charge)が所定のしきい値に低下したときに、CDモードからCSモードに切り替える。制御装置は、長距離走行予定におけるCSモードでの走行距離に基づき、劣化時期までに燃料の残量が燃料の低下を示す所定量以下になるか否かを判定する。制御装置は、残量が所定量以下にならないと判定した場合、所定期間において所定のしきい値を高くする促進制御を行う。上記構成によれば、実際に予定されている長距離走行予定での燃料消費量(CSモードでの走行距離から推定)から促進制御を行うか否かを決定するため、不必要なエンジンの使用をより低減することができる。
【0014】
ある実施の形態においては、所定のしきい値は、第1しきい値と、当該第1しきい値よりも大きい第2しきい値と、当該第2しきい値よりも大きい第3しきい値とを含む。制御装置は、促進制御を行わない場合、所定期間において第1しきい値を使用する。制御装置は、促進制御を行う場合、所定期間における第1時期において第2しきい値を使用し、所定期間における第1時期より後の第2時期において第3しきい値を使用する。上記構成によれば、促進制御において劣化時期に近づくほど燃料消費量を増大させるため、不確定要素が大きい劣化時期から遠い時期ではなるべく燃料を消費させず、劣化時期の付近では確実に燃料を消費させることができる。
【0015】
ある実施の形態においては、所定のしきい値は、第1しきい値と、当該第1しきい値よりも大きい第2しきい値と、当該第2しきい値よりも大きい第3しきい値とを含む。制御装置は、促進制御を行わない場合、所定期間において第1しきい値を使用する。制御装置は、促進制御を行う場合、残量が第1量であるときに第2しきい値を使用し、残量が第1量よりも少ない第2量であるときに第3しきい値を使用する。上記構成によれば、促進制御において残量が少なくなるほど燃料消費量を増大させるため、不確定要素が大きい初期段階ではなるべく燃料を消費させず、残量が少なくなった段階で確実に燃料を消費させることができる。
【0016】
ある実施の形態においては、車両外部の給電設備から電力を受電可能に構成された受電装置をさらに備える。蓄電装置は、受電装置から受電された電力により充電可能に構成される。制御装置は、促進制御を行う場合、給電設備からの充電を制限する。上記構成によれば、促進制御の実行中に外部からの充電を制限することで、SOCを十分に高めることができず、結果として、CSモードへの制御比率が高くなる。これにより、促進制御の実行中において、燃料の消費をより促進することができる。
【0017】
ある実施の形態においては、受電装置は、非接触で電力を受電可能な非接触受電装置である。制御装置は、ハイブリッド車の走行中に走行経路上に配置された給電設備から非接触受電装置が電力を受電する場合に、促進制御の実行中は、促進制御の実行中でないときよりも、単位時間あたりの充電量を少なくする。走行中の充電量は、給電設備からの受電時間×単位時間あたりの充電量である。上記構成によれば、単位時間あたりの充電量を少なくすることで走行中の充電量が少なくなるため、CSモードへの制御比率が高くなる。これにより、促進制御の実行中において、燃料の消費をより促進することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、燃料の劣化を抑制しつつ電力による走行比率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1に係るハイブリッド車の全体ブロック図である。
図2】第1MG、第2MG、PCU、およびバッテリの回路構成を示す図である。
図3】ハイブリッド車の非接触給電を説明するための図である。
図4】通常制御におけるCDモードおよびCSモードを説明するための図である。
図5】促進制御におけるCDモードおよびCSモードを説明するための図である。
図6】ユーザ端末に表示される予定情報の一例を説明するための図である。
図7】ユーザ端末およびハイブリッド車が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
図8】走行予定推定処理の処理手順を示すフローチャートである。
図9】促進制御切替判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
図10】通常制御における燃料の劣化時期までの長距離走行予定を説明するためのグラフである。
図11】通常制御における燃料の劣化時期までの長距離走行予定を説明するためのグラフである。
図12】促進制御における燃料の劣化時期までの長距離走行予定を説明するためのグラフである。
図13】実施の形態2に係る走行予定推定処理の処理手順を示すフローチャートである。
図14】実施の形態3に係るユーザ端末に表示されるマイカー利用設定画面の一例を説明するための図である。
図15】実施の形態3に係るユーザ端末が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
(実施の形態1)
[ハイブリッド車の構成]
図1は、この実施の形態1に係るハイブリッド車1の全体ブロック図である。ハイブリッド車1は、エンジン10と、第1MG(Motor Generator)20と、第2MG(モータ)30と、動力分割装置40と、減速機50と、PCU(Power Control Unit)60と、バッテリ(蓄電装置)70と、駆動輪80と、通信装置(取得部)140と、ECU(Electronic Control Unit:制御装置)200とを備える。さらに、ハイブリッド車1は、充電ポート160と、充電器170と、電力変換装置180と、受電装置190とを備える。
【0022】
エンジン10、第1MG20および第2MG30は、動力分割装置40を介して連結される。ハイブリッド車1は、エンジン10および第2MG30の少なくとも一方からの駆動力によって走行する。
【0023】
エンジン10は、空気と燃料との混合気を燃焼させたときに生じる燃焼エネルギによってクランクシャフトを回転させる駆動力を発生する内燃機関である。エンジン10は、ECU200からの制御信号により制御される。エンジン10が発生する動力は、動力分割装置40によって、駆動輪80へ伝達される経路と、第1MG20へ伝達される経路とに分割される。
【0024】
第1MG20および第2MG30は、交流で駆動されるモータジェネレータである。第1MG20は、動力分割装置40によって分割されたエンジン10の動力を用いて発電する。第1MG20によって発電された電力はバッテリ70および第2MG30へ供給される。
【0025】
第2MG30は、バッテリ70から供給される電力および第1MG20により発電された電力の少なくとも一方を用いて走行駆動力を発生する。そして、第2MG30の走行駆動力は、駆動輪80に伝達される。ハイブリッド車1の制動時には、駆動輪80により第2MG30が駆動され、第2MG30がジェネレータとして動作する。これにより、第2MG30は、ハイブリッド車1の運動エネルギを電気エネルギに変換する回生ブレーキとして機能する。第2MG30による回生発電によって生じた回生電力はPCU60を介してバッテリ70に充電される。なお、バッテリ70に蓄えられた電力および第1MG20および/または第2MG30で発電された回生電力は、後に詳述するように、必要に応じてEHC140にも供給される。
【0026】
動力分割装置40は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含む遊星歯車により構成される。ピニオンギヤは、サンギヤおよびリングギヤと係合する。キャリアは、ピニオンギヤを自転可能に支持するとともに、エンジン10のクランクシャフトに連結される。サンギヤは、第1MG20の回転軸に連結される。リングギヤは第2MG30の回転軸および減速機50に連結される。
【0027】
PCU60は、ECU200からの制御信号によって制御される。PCU60は、バッテリ70から供給された直流電力を第1MG20および第2MG30を駆動可能な交流電力に変換する。PCU60は、変換された交流電力をそれぞれ第1MG20,第2MG30に出力する。これにより、バッテリ70に蓄えられた電力で第1MG20,第2MG30が駆動される。なお、PCU60は、第1MG20,第2MG30によって発電された交流電力を直流電力に変換し、変換された直流電力でバッテリ70を充電することも可能である。
【0028】
バッテリ70は、充放電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池で構成される。バッテリ70の出力電圧は、たとえば200Vを超える高い電圧である。バッテリ70は、不図示の電圧センサおよび電流センサを含む。電圧センサは、バッテリ70の電圧V1を検知し、電流センサは、バッテリ70に対して入出力される電流I1を検知する。電圧センサおよび電流センサによる検知結果は、ECU200に出力される。なお、バッテリ70に代えて、大容量のキャパシタも採用可能である。
【0029】
ハイブリッド車1は、車両外部の給電設備として給電設備9または非接触送電装置8(後述の図3参照)から給電可能である。充電器170は、給電設備9から電力を受電可能である。非接触送電装置8は、受電装置190から電力を受電可能である。バッテリ70は、充電器170または受電装置190から受電された電力により充電可能である。なお、給電設備9または非接触送電装置8から供給される電力によるバッテリ70の充電を以下では「外部充電」とも称する。
【0030】
充電ポート160は、給電設備9から受電するための電力インターフェースである。外部充電を行なう際、充電ポート160には、給電設備9から車両へ電力を供給するためのコネクタ300が接続される。なお、図示したような給電設備9に限らず、コネクタ300と接続して電力を供給可能な外部電力であればよい。
【0031】
充電器170は、充電ポート160およびバッテリ70に電気的に接続される。そして、充電器170は、給電設備9から供給される電力をバッテリ70を充電可能な電力に変換し、バッテリ70を充電する。
【0032】
また、電力変換装置180は、受電装置190およびバッテリ70に電気的に接続される。そして、電力変換装置180は、非接触送電装置8から供給される電力をバッテリ70を充電可能な電力に変換し、バッテリ70を充電する。詳しくは、図3を用いて後述する。
【0033】
図2は、第1MG20、第2MG30、PCU60、およびバッテリ70の回路構成を示す図である。図2に示すように、PCU60とバッテリ70との間には、システムメインリレー(SMR)71が設けられる。SMR71は、ECU200からの制御信号によって制御され、バッテリ70とPCU60との間における電力の供給と遮断とを切り替える。
【0034】
PCU60は、コンバータ61と、インバータ62,63とを含む。コンバータ61は、バッテリ70とインバータ62,63との間に設けられる。コンバータ61は、ECU200からの制御信号によって制御され、バッテリ70とインバータ62,63との間で電圧変換を行なう。
【0035】
インバータ62は、コンバータ61と第1MG20との間に設けられる。インバータ63は、コンバータ61と第2MG30との間に設けられる。インバータ62,63は、ECU200からの制御信号によって制御され、コンバータ61で電圧変換された直流電力を交流電力に変換してそれぞれ第1MG20、第2MG30に出力する。
【0036】
図1に戻り、ECU200は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵し、当該メモリに記憶された情報に基づいて、所定の演算処理を実行するように構成される。なお、図1ではECU200が1つのユニットとして示されているが、ECU200を2つ以上のユニットに分割してもよい。
【0037】
ECU200は、第1MG20、第2MG30およびエンジン10を制御することで、車両の走行を制御する。また、ECU200は、たとえば、バッテリ70の電圧センサおよび電流センサの検知結果に基づいて、バッテリ70のSOC(State Of Charge)を推定する。
【0038】
さらに、ECU200は、通信装置140を介してユーザ端末500およびサーバ装置400と通信可能である。ユーザ端末500は、ハイブリッド車1を利用するユーザが使用する端末である。
【0039】
本実施の形態においては、ECU200は、ユーザ端末500から取得したユーザの予定情報およびサーバ装置400から取得した情報に基づき、促進制御を行うか否かを判定する。促進制御については、図5以降を用いて詳細に説明する。
【0040】
なお、ハイブリッド車1は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)であってもよいし、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)などであってもよい。
【0041】
図3は、ハイブリッド車1の非接触給電を説明するための図である。受電装置190は、ハイブリッド車1の底面を形成するフロアパネルの下面に配置されている。受電装置190内には受電コイルが収容されている。受電コイルは、非接触送電装置8から伝送される電力を非接触で受電する。
【0042】
非接触送電装置8は、複数の送電ユニット91~96と、コントローラ90とを含む。なお、図3には送電ユニットの台数が6台の例が示されているが、送電ユニットの台数は特に限定されるものではなく、より多くてもよい。
【0043】
複数の送電ユニット91~96は、ハイブリッド車1の走行レーン(路面であっても側壁であってもよい)に一列に配置されている。複数の送電ユニット91~96は、送電コイル911~961をそれぞれ含む。各送電コイル911~961は、交流電源(図示せず)に電気的に接続されている。図示しないが、複数の送電ユニット91~96の各々には、ハイブリッド車1の通過を検出するためのセンサ(光学センサ、重量センサ等)が設けられている。
【0044】
コントローラ90は、各センサからの検出信号に基づいて、ハイブリッド車1の走行位置を特定する。そして、コントローラ90は、送電ユニット91~96のうちハイブリッド車1が上方に位置している送電ユニット内の送電コイルに、交流電源からの交流電力を供給する。
【0045】
より詳細には、たとえば送電ユニット91の上方にハイブリッド車1が検出された場合、コントローラ90は、送電コイル911に交流電力を供給する。そうすると、送電コイル911に交流電流が流れることで送電コイル911の周囲に電磁界が形成される。受電装置190内の受電コイルは、当該電磁界を通して非接触で電力を受電する。その後、送電ユニット91の上方にハイブリッド車1が検出されなくなると、コントローラ90は、送電コイル911への交流電力の供給を停止する。このような一連の制御が送電ユニット91~96毎に行われることで、走行中のハイブリッド車1に対して非接触で電力を伝送できる。受電装置190は、非接触送電装置8からの電力を電力変換装置180を介してバッテリ70に供給する。
【0046】
[通常制御/促進制御、CD/CSモード]
ECU200は、ハイブリッド車1をCDモードおよびCSモードのいずれかに制御する。たとえば、外部充電によりバッテリ70が所定量以上の充電状態(たとえば、満充電)となった後、ハイブリッド車1がCDモードに制御されるものとする。ECU200は、バッテリ70のSOC(State Of Charge)が所定のしきい値(以下、単に「SL」とも称する)に低下したときに、CDモードからCSモードに切り替える。
【0047】
加えて、ECU200は、ハイブリッド車1を通常制御および促進制御のいずれかに制御する。促進制御は、通常制御よりもモータとエンジンとのうちエンジンの使用比率を高める制御である。具体的には、促進制御は、通常制御よりもCSモードに制御する比率を高くすることで、エンジンの使用比率を高める。
【0048】
図4は、通常制御におけるCD(Charge Depleting)モードおよびCS(Charge Sustaining)モードを説明するための図である。
【0049】
CDモードは、SOCを消費するモードであり、基本的には、バッテリ70に蓄えられた電力(主には外部充電による電気エネルギー)を消費するものである。CDモードでの走行時は、SOCを維持するためにはエンジン10は作動しない。これにより、車両の減速時等に回収される回生電力やエンジン10の作動に伴ない発電される電力により一時的にSOCが増加することはあるものの、結果的に充電よりも放電の割合の方が相対的に大きくなり、全体としては走行距離の増加に伴ないSOCが減少する。
【0050】
CSモードは、SOCを所定レベルに維持するモードである。一例として、時刻t1において、SL(通常モードにおいて、SL=sl1)にSOCが低下すると、CSモードが選択され、その後のSOCが制御範囲RNG内に制御される。具体的には、SOCが制御範囲RNGの下限(エンジン始動しきい値)に達するとエンジン10が作動し、SOCが制御範囲RNGの上限に達するとエンジン10が停止する。このように、エンジン10が作動および停止を適宜繰り返す(間欠運転)ことによって、SOCが制御範囲RNG内に制御される。このように、CSモードでは、SOCを維持するためにエンジン10が作動する。
【0051】
なお、CDモードにおいても、大きな走行駆動力が要求されればエンジン10は作動する。一方、CSモードにおいても、SOCが上昇すればエンジン10は停止する。すなわち、CDモードは、エンジン10を常時停止させて走行するEV走行に限定されるものではなく、CSモードも、エンジン10を常時作動させて走行するHV走行に限定されるものではない。CDモードにおいても、CSモードにおいても、EV走行とHV走行とが可能である。
【0052】
図5は、促進制御におけるCDモードおよびCSモードを説明するための図である。制御が通常制御から促進制御に切り替わると、SLが通常制御におけるSL(sl1)以上に変動することで、CSモードへの制御比率(エンジンの使用比率)が高まる。
【0053】
たとえば、促進制御に制御されてSLがsl1よりも大きいsl2に設定されたとする。この場合、図4と比較すると、CDモードからCSモードに切り替わるタイミング(時刻t1)が早くなる。
【0054】
図5においても、図4と同様に、SOCが制御範囲RNGの下限(エンジン始動しきい値)に達するとエンジン10が作動し、SOCが制御範囲RNGの上限に達するとエンジン10が停止する。この制御範囲RNGも、SLの上昇に伴い上昇する。
【0055】
その結果、外部充電が行われることなく長距離走行するような場合には、通常制御よりも促進制御の方が、早いタイミング(短い距離)でCSモードに切り替わることになる。そして、CDモードとCSモードとのうち、CSモードに制御される割合が高くなる。
【0056】
[予定情報]
上述のように、ECU200は、ユーザ端末500から取得した予定情報等に基づき、促進制御を行うか否かを判定する。ここで、「予定情報」とは、予定管理ソフトにおいて管理されている、ハイブリッド車1を利用するユーザの予定が記録された情報である。
【0057】
予定管理ソフトは、ユーザ端末500にインストールされたソフトウェアである。予定管理ソフトは、スマートフォンにインストールされたスケジュール管理ソフトであればよい。予定管理ソフトは、ECU200との通信用にインストールされた専用のソフトウェアであってもよいが、スマートフォンに標準的にインストールされているような一般的なスケジュール管理ソフトであればよい。
【0058】
ハイブリッド車1を利用するユーザは、予定管理ソフトを用いて、ユーザの予定の管理を行う。図6は、ユーザ端末500に表示される予定情報の一例を説明するための図である。たとえば、図6に示すように、ユーザ端末500の画面には、指定された月のカレンダーおよびユーザの予定が表示される。
【0059】
本例においては、2021年10月周辺の予定が表示されている。ユーザは、「9月30日」の予定として、「A県B市」を登録している。ユーザは、9月30日にA県B市に出かける予定である。ユーザは、「10月4日」の予定として、「C社出張」を登録している。ユーザは、10月4日にC社への出張を予定している。
【0060】
ユーザは、「10月9日」の予定として、「D温泉旅行」を登録している。ユーザは、10月9日にD温泉への旅行を予定している。ユーザは、「10月13日」の予定として、「大掃除」を登録している。ユーザは、10月13日に自宅の大掃除を予定している。
【0061】
ユーザは、「10月15日」の予定として、「E教室レッスン」を登録している。ユーザは、10月15日にE教室においてレッスン(たとえば、英会話レッスン)を予定している。ユーザは、「10月17日」の予定として、「F県G市」を登録している。ユーザは、10月15日にF県G市に出かける予定である。
【0062】
ユーザは、「10月26日」の予定として、「H病院」を登録している。ユーザは、10月26日にH病院で診察を受ける予定である。ユーザは、「10月30日」の予定として、「I遊園地」を登録している。ユーザは、10月30日にI遊園地に出かける予定である。なお、9月28日、10月7日等にはその他の予定も登録されている。
【0063】
[フローチャート]
本実施の形態において、ECU200は、長距離走行予定における走行距離(より具体的には、長距離走行予定におけるCSモードでの走行距離)に基づき、所定の劣化時期までに燃料の残量が燃料の低下を示す所定量以下になるか否かを判定する。
【0064】
長距離走行予定は、走行予定に含まれる予定であって、所定距離以上を走行する予定である。ここで、「走行予定」は、予定情報のうち、所定期間において、ハイブリッド車1を走行させる予定を指す。たとえば、予定「大掃除」は、ユーザがハイブリッド車1を走行させる予定がないため、走行予定には該当しない。
【0065】
「所定距離」は、通常制御において、満充電状態から走行を開始してSOCがSL(sl1)に達するまでに走行可能な距離の平均値(CSモードに切り替わるまでの平均走行距離)である。言い換えると、長距離走行予定は、CSモードへの制御による燃料消費が発生する走行予定である。
【0066】
「所定期間」は、エンジン10の燃料が給油されてから所定の劣化時期までの期間である。所定の劣化時期(以下、単に「劣化時期とも称する」)は、経年劣化により燃料の品質が劣化していると判断される時期である。本実施の形態では、所定の劣化時期は、「1年」である。なお、これに限らず、所定の劣化時期は、何らかの公知の方法を用いて推定するようにしてもよい。燃料の低下を示す「所定量」は、燃料の残量が少ないために、ユーザが給油を行う目安となる燃料の残量である。
【0067】
ECU200は、燃料の残量が所定量以下にならないと判定した場合に、所定期間において促進制御を行う。つまり、ECU200は、劣化時期までの長距離走行予定における、CSモードでの燃料消費量を推定する。そして、ECU200は、この燃料消費量に基づき、劣化時期までにユーザが給油を行わないであろうと予測される場合には、燃料消費を促進する促進制御を行う。
【0068】
以下、フローチャートを用いて、ユーザ端末500、ハイブリッド車1およびサーバ装置400が実行する処理の処理手順を説明する。図7は、ユーザ端末500およびハイブリッド車1が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、たとえば予め定められた条件の成立時にメインルーチン(図示せず)から呼び出されて実行される。
【0069】
図中、ユーザ端末500により実行される処理を左側に示し、ハイブリッド車1により実行される処理を右側に示す。各ステップは、ユーザ端末500またはハイブリッド車1によるソフトウェア処理により実現されるが、ユーザ端末500またはハイブリッド車1に配置されたLSI(Large Scale Integration)等のハードウェアにより実現されてもよい。以下、ステップをSと略す。
【0070】
本実施の形態においては、ユーザは、ハイブリッド車1に対して、促進制御に切り替えるか否かの判定を行わせることができる。その際、ユーザは、ユーザ端末500とハイブリッド車1のECU200とを通信接続させて、当該判断を行わせる。
【0071】
ユーザ端末500とECU200とは、何らかの専用ソフトウェアを用いて接続させてもよいし、所定のURLにアクセスすることで接続させるようにしてもよい。そして、ユーザ端末500からの操作により、ECU200に対して、促進制御判定要求を送信することができる。これをトリガーにして、ECU200は、促進制御に切り替えるか否かの判断を行う。
【0072】
ユーザ端末500における処理が開始すると、S1において、ユーザ端末500は、促進制御判定要求があったかどうかを判定する。促進制御判定要求があったと判定した場合(S1においてYES)、ユーザ端末500は、S2に処理を進める。促進制御判定要求があったと判定しなかった場合(S1においてNO)、ユーザ端末500は、処理をメインルーチンに戻す。
【0073】
S2において、ユーザ端末500は、ユーザ情報および予定情報を出力し、処理をメインルーチンに戻す。予定情報は、たとえば、図6で示した、予定管理ソフトが保持するユーザの予定情報である。ユーザ情報は、後述する検索履歴およびユーザの所在地情報を含む。ユーザの所在地情報は、ユーザの自宅位置(ハイブリッド車1の所在地)である。
【0074】
ハイブリッド車1における処理が開始すると、S11において、ハイブリッド車1のECU200は、促進制御判定要求があったかどうかを判定する。促進制御判定要求があったと判定した場合(S11においてYES)、ECU200は、S12に処理を進める。促進制御判定要求があったと判定しなかった場合(S11においてNO)、ECU200は、処理をメインルーチンに戻す。
【0075】
S12において、ECU200は、通信装置140を介して、予定情報を取得する。たとえば、「9月30日」の予定「A県B市」、「10月4日」の予定「C社出張」、「10月9日」の予定「D温泉旅行」、「10月13日」の予定「大掃除」、「10月15日」の予定「E教室レッスン」、「10月17日」の予定「F県G市」、「10月26日」の予定「H病院」、「10月30日」の予定「I遊園地」等である。
【0076】
S13において、ECU200は、所定の劣化時期を特定する。本実施の形態においては、所定の劣化時期は、前回の給油から「1年後」である。
【0077】
S14において、ECU200は、走行予定推定処理する(図8参照)。これにより、長距離走行予定情報が設定される。S15において、ECU200は、促進制御切替判定処理を実行する(図9参照)。これにより、長距離走行予定情報に基づいて、促進制御に切り替えるか否かが判定される。
【0078】
S16において、ECU200は、促進制御への切替決定があったかどうかを判定する。促進制御への切替決定があったと判定した場合(S16においてYES)、ECU200は、S17に処理を進める。促進制御への切替決定があったと判定しなかった場合(S16においてNO)、ECU200は、処理をメインルーチンに戻す。S17において、ECU200は、ハイブリッド車1を通常制御から促進制御に切り替え、処理をメインルーチンに戻す。
【0079】
図8は、走行予定推定処理の処理手順を示すフローチャートである。走行予定推定処理が開始すると、S21において、ECU200は、予定情報のうち劣化時期(給油から1年後)までに含まれる予定を候補情報に設定する。
【0080】
S22において、ECU200は、ユーザ情報から、追加用キーワードおよび除外用キーワードを決定する。追加用キーワードは、候補情報に含まれる予定のうち、走行予定であると判断するためのキーワードである。除外用キーワードは、候補情報に含まれる予定のうち、走行予定から除外するためのキーワードである。
【0081】
ユーザ情報は、たとえば、ユーザ端末500にインストールされた地図ソフトや交通機関の乗り換え案内ソフトなどの検索ソフトの検索履歴等である。これらのユーザ情報からユーザの行動パターンを推測し、追加用キーワードおよび除外用キーワードを決定する。
【0082】
追加用キーワードは、たとえば、「旅行」あるいは「追加用の場所」である。たとえば、過去にユーザが地図ソフトにおいて、場所A1~ANについて車の走行ルートを検索した履歴があれば、場所A1~AN(本例では「A県B市」を含む)を追加用キーワードとして設定する。また、たとえば、「○○旅行」(行先+旅行)という過去の複数の予定に関し、所定確率以上の高い確率で車の走行ルートを検索していたとする。この場合、ECU200は、このユーザが旅行の際に車を使用する可能性が高いものと判断して、予定に「旅行」というキーワードが含まれる場合には、当該予定を走行予定であると判断する。
【0083】
除外用キーワードは、たとえば、「出張」あるいは「除外用の場所」である。たとえば、過去にユーザが地図ソフトまたは交通機関の乗り換え案内ソフトにおいて、場所B1~BMについて交通機関(電車等)のルートを検索した履歴があれば、場所B1~BM(本例では「E教室」、「H病院」を含む)を除外用キーワードとして設定する。また、たとえば、「○○出張」(行先+出張)という過去の複数回の予定に関し、所定確率以上の高い確率で交通機関のルート検索をしていたとする。この場合、ECU200は、このユーザが出張の際には交通機関を使う可能性が高いもの判断として、予定に「出張」というキーワードが含まれる場合には、当該予定を走行予定ではないと判断する。
【0084】
その他、ECU200は、「教室」、「レッスン」、「病院」等のキーワードについても、上記のような方法で、追加用キーワードあるいは除外用キーワードに含めるか否かの判断を行ってもよい。
【0085】
S23において、ECU200は、候補情報のうち場所情報または追加用キーワードが含まれる情報を走行予定に設定する。たとえば、図6の例において、「旅行」というキーワードが含まれる「D温泉旅行」、「追加用の場所」に含まれる「A県B市」、さらに、場所情報が含まれる「C社出張」、「E教室レッスン」、「F県G市」、「H病院」、「I遊園地」が走行予定に含まれる。一方、「大掃除」は走行予定に設定されない。
【0086】
S24において、ECU200は、除外用キーワードが含まれる情報を走行予定から除外する。上記において、「出張」というキーワードが含まれる「C社出張」、「除外用の場所」に含まれる「E教室レッスン」および「H病院」が除外されて、「D温泉旅行」、「A県B市」、「F県G市」、「I遊園地」が走行予定に設定される。
【0087】
このように、ECU200は、予定情報に含まれるキーワード(追加用キーワードまたは除外用キーワード)に基づき走行予定に該当するか否かを判定している。
【0088】
S25において、ECU200は、走行予定から場所情報を抽出し、サーバ装置400に場所情報を送信する。上記例においては、ECU200は、場所情報として、「A県B市」、「D温泉」、「F県G市」、「I遊園地」およびユーザの所在地情報を送信する。
【0089】
サーバ装置400における処理が開始すると、S31において、サーバ装置400は、場所情報を受信したかどうかを判定する。場所情報を受信したと判定した場合(S31においてYES)、サーバ装置400は、S32に処理を進める。場所情報を受信したと判定しなかった場合(S31においてNO)、サーバ装置400は、処理をメインルーチンに戻す。
【0090】
S32において、サーバ装置400は、場所情報から走行距離情報を算出して送信し、処理をメインルーチンに戻す。ここで、サーバ装置400は、地名あるいは施設名から住所(位置情報)を特定する。さらに、サーバ装置400は、2点の位置情報から車の走行ルートを特定するとともに、当該走行ルートの走行距離を特定する。
【0091】
上記例において、サーバ装置400は、施設名「D温泉」から「D温泉」の位置情報(住所)を特定する。サーバ装置400は、施設名「I遊園地」から「I遊園地」の位置情報を特定する。
【0092】
次に、サーバ装置400は、ユーザの所在地からA県B市までの走行ルートおよび走行距離を特定する。同様に、サーバ装置400は、ユーザの所在地からD温泉まで、ユーザの所在地からF県G市まで、ユーザの所在地からI遊園地までのそれぞれの走行ルートおよび走行距離を特定する。
【0093】
サーバ装置400は、上記において特定した各走行距離を走行距離情報として送信する。ハイブリッド車1のS26において、ECU200は、サーバ装置400から走行距離情報を取得する。このように、ECU200は、予定情報が場所に関する情報を含むときに、当該場所に関する情報に基づき走行距離をサーバ装置400から取得する。
【0094】
S27において、ECU200は、走行予定のうち走行距離が所定距離(本例では後述する「SD」)以上であるものを長距離走行予定として設定し、走行スケジュール推定処理を終了する。
【0095】
本例において、走行予定「D温泉旅行」、「F県G市」および「I遊園地」の走行距離がそれぞれSD以上であり、走行予定「A県B市」の走行距離がSD未満であるとする。この場合、ECU200は、走行予定「D温泉旅行」、「F県G市」および「I遊園地」を長距離走行予定として設定する。
【0096】
図9は、促進制御切替判定処理の処理手順を示すフローチャートである。促進制御切替判定処理が開始すると、S41において、ECU200は、CSモードに切り替わる距離SDを特定する。S42において、ECU200は、長距離走行予定においてCSモードで走行する距離を算出する。S43において、ECU200は、算出した距離から燃料消費量を算出する。
【0097】
上記S41~S43の処理について、図10図11を用いて説明する。図10図11は、通常制御における燃料の劣化時期(本実施の形態では、給油から1年後)までの長距離走行予定を説明するためのグラフである。図10では、劣化時期までに燃料の残量が所定量以下になる(ユーザが給油を行う)例を示し、図11では、劣化時期までに燃料の残量が所定量以下にならない(ユーザが給油を行わない)例を示す。
【0098】
図10に示すように、本例においては、給油後経過日数が少なくともd1~d9であるときに長距離走行予定があるものとする。たとえば、上述の長距離走行予定「D温泉旅行」、「F県G市」、「I遊園地」が、それぞれd7,d8,d9での長距離走行予定に該当するとする。
【0099】
本例においては、d9よりも少し後の給油後経過日数において劣化時期(給油から1年後のdmax)に達するものとする。図4に示したように、長距離走行予定において、SOCがSLまで低下するとCDモードからCSモードに切り替わる。
【0100】
本実施の形態においては、長距離走行予定において、満充電状態でCDモードでの走行を開始し、CSモードに切り替わるまでの平均走行距離をSDとする。図4では、SDは、SOCが満充電状態からSLに低下するまでの平均走行距離に相当する。
【0101】
たとえば、d1の長距離走行予定において、走行距離がSDに達するまではCDモードに制御され、走行距離がSD以上であるときはCSモードに制御される。d2の長距離走行予定においても同様である。d2ではd1よりも走行距離が短いため、CSモードに制御される期間も短くなる。以下、d3~d9においても同様である。
【0102】
d1~d9を含む全ての長距離走行予定において、CSモードに制御された状態において、図4で示したように燃料が消費される。劣化時期までの燃料消費量は、d1~d9を含む全ての長距離走行予定において、CSモード中の走行距離から算出することができる。この燃料消費量を算出することで、劣化時期までに燃料の残量が所定量以下になるか否かを判断することできる。
【0103】
ここでは、CSモード中の1km走行あたりの平均燃料消費量を予め算出しておく。この平均燃料消費量×長距離走行予定においてCSモード中の走行距離=劣化時期までの燃料消費量として算出する。なお、本例では、CDモードにおいて消費される燃料については考慮していないが、これも含めて燃料消費量を算出するようにしてもよい。
【0104】
本例では、d8の長距離走行予定において、燃料の残量が所定量以下になるとする。この場合、ユーザは、d8の走行またはそれ以前の走行時に給油するものと考えられる。このタイミングで給油した場合は、劣化時期の前であるので、燃料の劣化による影響は発生しない。
【0105】
図11においても、図10と同様に、給油後経過日数が少なくともd1~d9であるときに長距離走行予定があるものとする。ただし、図11においては、図10の例よりも、全体的に長距離走行予定における走行距離が短い。
【0106】
本例においても、d1~d9を含む全ての長距離走行予定においてCSモード中の走行距離×平均燃料消費量=劣化時期までの燃料消費量を算出する。本例では、燃料消費量に基づき算出される燃料の残量は、劣化時期までに所定量以下とならない。このため、燃料が劣化した状態においても、なお給油されずにハイブリッド車1が利用されるものと推定される。
【0107】
ECU200は、劣化時期までに燃料の残量が所定量以下にならないと判定した場合、所定期間においてSLを高くする(SDを低くする)促進制御を行う。具体的には、以下のような処理を行う。
【0108】
図9に戻り、S44において、ECU200は、劣化時期までに燃料の残量が所定量以下になるかどうかを判定する。劣化時期までに燃料の残量が所定量以下になると判定した場合(S44においてYES)、ECU200は、促進制御切替判定処理を終了する。図10の例がこれに相当する。
【0109】
劣化時期までに燃料の残量が所定量以下にならないと判定した場合(S44においてNO)、ECU200は、S45に処理を進める。図11の例がこれに相当する。
【0110】
S45において、ECU200は、劣化時期に近づくほどSLが上がり(SDが下がり)かつ劣化時期までに燃料の残量が所定量以下になるように促進制御のSLを決定する。S46において、ECU200は、促進制御への切替を決定し、促進制御切替判定処理を終了する。
【0111】
以下、S45の処理の具体例について、図12を用いて説明する。図11の例のように通常制御において劣化時期を越えても燃料の残量が所定量以下にならない(ユーザが給油しない)と推定されるような場合には、通常制御から促進制御に切り替えられる。図12は、促進制御における燃料劣化時期までの長距離走行予定を説明するためのグラフである。
【0112】
図12に示すように、通常制御から促進制御に切り替わった場合、劣化時期に近づけば近づくほどSDが低下する(言い換えると、SLが上昇する)。本例においては、d1~d3において、通常制御と促進制御とでSD(=sd1)が同じ(SL(=sl1)が同じ)である。
【0113】
その後、d4に近づくと、促進制御においてSDが低下し始め(SLが上昇し始め)、d5,d6,d7,d8,d9において、SDが低下し続け(SLが上昇し続け)、d9においてSDが最も低くなる(SLが最も高くなる)。
【0114】
具体的には、給油後経過日数がd0~daであるときにSD=sd1,SL=sl1(第1しきい値)であり、d6(第1時期)であるときにSD=sd2,SL=sl2(第2しきい値)であり、dmax(第2時期)であるときにSD=sd3,SL=sl3(第3しきい値)である。ここで、sd1>sd2>sd3の関係、sl1<sl2<sl3の関係がそれぞれ成り立つ。
【0115】
ECU200は、促進制御を行わない場合(図10のケース)、所定期間においてsl1を使用する。一方、ECU200は、促進制御を行う場合(図12のケース)、所定期間におけるd6においてsl1より小さいsl2を使用し、所定期間におけるd6より後のdmaxにおいてsl2より小さいsl3を使用している。
【0116】
このように、劣化時期に近づけば近づくほどCSモードに制御される比率が高くなるため、劣化時期近辺ではより燃料の消費が促進されることになる。促進制御におけるSDは、燃料劣化時期までのd1~d9を含む全ての長距離走行予定において燃料の残量が所定量以下になるように設定される。
【0117】
さらに、ECU200は、促進制御を行う場合、非接触送電装置8などの非接触式による給電設備や、給電設備9などの接触式による給電設備からの外部充電を制限する。具体的には、促進制御において、いずれの給電設備からの充電においても、充電の上限値が通常制御よりも低くなる。図4の例においては、満充電にならないようにSOCの上限値が制限される。このようにすることで、通常制御よりも促進制御の方が、CSモードに切り替わりやすくなり、燃料の消費が促進される。
【0118】
また、ECU200は、ハイブリッド車1の走行中に、走行経路上に配置された非接触送電装置8から受電装置190が電力を受電する場合(走行中充電を行う場合)、促進制御の実行中は、促進制御の実行中でないときよりも、単位時間あたりの充電量を少なくする。
【0119】
これにより、結果として、走行経路上に配置された非接触送電装置8からの充電量が少なくことになる。なお、単位時間あたりの充電量を0にして、非接触送電装置8からハイブリッド車1に対して走行中充電を行わないようにしてもよい。このようにすることで、通常制御よりも促進制御の方が、CSモードに切り替わりやすくなり、燃料の消費が促進される。
【0120】
なお、促進制御を行う場合の外部充電の制限方法は、上記に限らない。たとえば、自宅で充電を行う場合は、外部充電を制限せず、自宅以外で充電を行う場合に外部充電を制限するようにしてもよい。また、非接触による外部充電を一律行わないように制限してもよい。
【0121】
以上示したように、ECU200は、長距離走行予定での走行距離が、図12で示したd1~d9等における走行距離の和(「第1距離」と称する)であるときは、当該第1距離よりも大きい、図9で示したd1~d9等における走行距離の和(「第2距離」とする)であるときよりも、エンジン10の燃料が給油されてから所定の劣化時期までの所定期間において、エンジン10の使用比率を高くする制御(CSモードに制御する比率を高くする制御)を行う。このように、燃料の消費が発生する実際の長距離走行予定を考慮して、エンジン10の使用比率を調整するため、不必要なエンジン10の使用(CSモードへの制御)を低減することができる。さらに、促進制御の実行中に外部からの充電を制限し、また、走行中充電において単位時間あたりの充電量を少なくすることで、CSモードへの制御比率を高くすることができる。これらにより、燃料の劣化を抑制しつつ電力による走行比率を高めることができる。
【0122】
また、促進制御において劣化時期に近づくほど燃料消費量を増大させるため、不確定要素が大きい劣化時期から遠い時期ではなるべく燃料を消費させず、劣化時期の付近では確実に燃料を消費させることができる。さらに、ユーザ自身が走行距離や走行予定であるか否かを設定しなくてもよく、既存の予定管理ソフトの情報を流用するため、ユーザの設定負担を少なくすることができる。
【0123】
なお、S45において、ECU200は、燃料の残量が少なくなるほどSLが上がりかつ劣化時期までに燃料の残量が所定量以下になるように促進制御のSLを決定するようにしてもよい。
【0124】
具体的には、ECU200は、促進制御を行わない場合、所定期間においてSLとしてsl1を使用する。給油時の残量をX0として、X0>X1>X2>所定量の関係が成り立つとする。ECU200は、促進制御を行う場合、残量がX1(第1量)であるときにsl2(>sl1)を使用し、残量がX2(第2量)であるときにsl3(>sl2)を使用する。これにより、促進制御において残量が少なくなるほど燃料消費量を増大させるため、不確定要素が大きい初期段階ではなるべく燃料を消費させず、残量が少なくなった段階で確実に燃料を消費させることができる。
【0125】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2について説明する。実施の形態2の説明においては、実施の形態1と異なる点について説明し、共通する部分については説明を省略する。
【0126】
実施の形態1においては、走行予定推定処理(図8)において、ECU200は、予定情報に含まれるキーワード(追加用キーワードまたは除外用キーワード)に基づき走行予定に該当するか否かを判定した。
【0127】
これに対し、実施の形態2では、ECU200は、予定情報が場所に関する情報を含むときに、当該場所に関する情報に基づき走行距離を取得し、当該走行距離に基づき走行予定に該当するか否かを判定する。以下、図13のフローチャートを用いて説明する。
【0128】
図13は、実施の形態2に係る走行予定推定処理の処理手順を示すフローチャートである。走行予定推定処理が開始すると、S51において、ECU200は、予定情報のうち劣化時期までに含まれる情報を候補情報に設定する。
【0129】
S52において、ECU200は、ユーザ情報から、車両使用距離範囲を決定する。車両使用距離範囲とは、ユーザがハイブリッド車1を使用する可能性が高いことが想定される走行距離の範囲である。たとえば、ユーザは、走行距離が200km以下であるときに、ハイブリッド車1を使用する確率が高く、走行距離が200kmを越える場合にはハイブリッド車1を使用しないといった傾向がある場合、車両使用距離範囲が0~200kmに設定される。
【0130】
ユーザ情報は、たとえば、ユーザ端末500にインストールされた地図ソフトや交通機関の乗り換え案内ソフトなどの検索ソフトの検索履歴等である。ECU200は、これらのユーザ情報からユーザの行動パターンを推測し、車両使用距離範囲を決定する。
【0131】
たとえば、ECU200は、過去にユーザが地図ソフトにおいて、車のルートを検索した複数の履歴を取得する。また、ECU200は、過去にユーザが交通機関の乗り換え案内ソフトにおいて、交通機関(電車等)のルートを検索した複数の履歴を取得する。
【0132】
車のルートを検索した複数の履歴のそれぞれの走行距離の分布から、ユーザがハイブリッド車1を使用する可能性の高い距離の範囲を推定することが可能である。また、電車等のルートを検索した複数の履歴のそれぞれの移動距離の分布から、ユーザがハイブリッド車1を使用しない可能性の高い距離の範囲を推定することが可能である。たとえば、前者では200km以下の走行距離が多いのに対し、後者では200kmを越える移動距離が多い場合は、車両使用距離範囲が0~200kmに設定される。
【0133】
車両使用距離範囲は、ユーザのハイブリッド車1の利用傾向に応じて異なるので、様々なパターンが考えられる。ユーザによっては、距離が短い場合に車両を使用することが考えられるし、距離が長い場合に車両を使用することも考えられるし、特定の距離範囲において車両を使用することも考えられる。
【0134】
S53において、ECU200は、候補情報のうち、場所情報が含まれる情報を走行予定に設定する。S23と同様に、たとえば、「A県B市」、「D温泉」、「F県G市」、「I遊園地」等を走行予定に設定する。
【0135】
S54において、ECU200は、サーバ装置400に場所情報を送信する。上記例においては、ECU200は、場所情報として、「A県B市」、「D温泉」、「F県G市」、「I遊園地」等およびユーザの所在地情報を送信する。
【0136】
サーバ装置400における処理が開始すると、S61において、サーバ装置400は、場所情報を受信したかどうかを判定する。場所情報を受信したと判定した場合(S61においてYES)、サーバ装置400は、S62に処理を進める。場所情報を受信したと判定しなかった場合(S61においてNO)、サーバ装置400は、処理をメインルーチンに戻す。
【0137】
S62において、サーバ装置400は、走行距離情報を算出して送信し、処理をメインルーチンに戻す。走行予定推定処理のS55において、ECU200は、サーバ装置400から走行距離情報を取得する。これらの処理は、S32,S26と同様である。
【0138】
S57において、ECU200は、走行予定のうち走行距離が車両使用距離範囲に含まれ、かつ、所定距離以上であるものを長距離走行予定として設定し、走行予定推定処理を終了する。
【0139】
走行予定「A県B市」、「D温泉」、「I遊園地」の走行距離がそれぞれ所定距離(SD)以上であり、そのうち、「D温泉」の走行距離が車両使用距離範囲に含まれなかったとする。この場合、ECU200は、走行予定「A県B市」および「I遊園地」を長距離走行予定として設定する。
【0140】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3について説明する。実施の形態3の説明においては、実施の形態1,2と異なる点について説明し、共通する部分については説明を省略する。
【0141】
実施の形態1,2においては、一般的な予定管理ソフトから抽出された予定情報に基づいて、走行予定であるか否かを推定するようにした。しかしながら、走行予定であるか否かは、あくまで予定管理ソフトに設定された情報に基づく推定である。このため、実際には走行予定でない場合も、走行予定であるとしてカウントされてしまう可能性がある。
【0142】
このため、実施の形態3においては、ユーザはユーザ端末500に専用ソフトをインストールしておき、当該専用ソフトにおいて走行予定であるか否かをユーザが設定するようにした。以下、図14および図15を用いて説明する。図14は、実施の形態3に係るユーザ端末500に表示されるマイカー利用設定画面の一例を説明するための図である。
【0143】
専用ソフトにおいても、図6で示したような予定管理が行えるものとする。これに加えて、専用ソフトにおいて、マイカー利用設定を行うことができる。図14に示すように、図6のような予定管理画面から、マイカー利用設定画面に遷移することができる。
【0144】
マイカー利用設定画面においては、ユーザの予定から、日付および行先の一覧が抽出される。本例においては、「9月30日」の予定として行先「A県B市」、「10月4日」の予定として行先「C社出張」、「10月9日」の予定として行先「D温泉旅行」、「10月15日」の予定として行先「E教室レッスン」、「10月17日」の予定として行先「F県G市」、「10月26日」の予定として行先「H病院」、「10月30日」の予定として行先「I遊園地」がそれぞれ表示されている。
【0145】
行先の左側には、予定においてハイブリッド車1を使用するか否かを設定する項目「マイカー利用」が表示されている。ユーザは、各予定について、ハイブリッド車1を使用する場合は、「マイカー利用」の項目にチェックマークをつける。
【0146】
本例においては、行先「A県B市」、「D温泉旅行」、「F県G市」および「I遊園地」にチェックマークがつけられており、これらの予定は、ハイブリッド車1を使用することを意味している。一方、行先「C社出張」、「E教室レッスン」および「H病院」にはチェックマークがつけられておらず、これらの予定は、ハイブリッド車1を使用しないことを意味している。ユーザが「送信」ボタンを押すと、走行予定であるか否かの情報とともに予定情報が、ハイブリッド車1に送信される。
【0147】
図15は、実施の形態3に係るユーザ端末500が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。ユーザ端末500における処理が開始すると、S71において、ユーザ端末500は、送信ボタンの押下があったかどうかを判定する。送信ボタンの押下があったと判定した場合(S71においてYES)、ユーザ端末500は、S72に処理を進める。送信ボタンの押下があったと判定しなかった場合(S71においてNO)、ユーザ端末500は、処理をメインルーチンに戻す。
【0148】
S72において、ユーザ端末500は、マイカー利用のチェックボックスにチェックがついたデータを走行予定に追加する。S73において、ユーザ端末500は、ユーザ情報および予定情報として走行予定をハイブリッド車1に送信し、処理をメインルーチンに戻す。
【0149】
一方、ハイブリッド車1において、図7図9に類した処理が実行される。ただし、この場合、ユーザ端末500において、既に走行予定が設定されている。このため、S22~S24において走行予定を設定する処理を実行せず、ユーザ端末500において設定したものを走行予定として使用する。走行予定は、推定ではなくユーザが設定した確定情報であるため、促進制御切替判定処理における判定精度をより高めることができる。
【0150】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0151】
1 ハイブリッド車、8 非接触送電装置、9 給電設備、10 エンジン、20 第1MG、30 第2MG、40 動力分割装置、50 減速機、60 PCU、61 コンバータ、62,63 インバータ、70 バッテリ、71 SMR、80 駆動輪、90 コントローラ、91~96 送電ユニット、140 通信装置、160 充電ポート、170 充電器、180 電力変換装置、190 受電装置、200 ECU、300 コネクタ、400 サーバ装置、500 ユーザ端末、911~961 送電コイル。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図15