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特許7494830車両運転支援装置、車両運転支援方法、車両運転支援プログラム及び車両運転支援装置を備えた車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】車両運転支援装置、車両運転支援方法、車両運転支援プログラム及び車両運転支援装置を備えた車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/14 20060101AFI20240528BHJP
   B60W 30/18 20120101ALI20240528BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20240528BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20240528BHJP
【FI】
B60W30/14
B60W30/18
B60W40/04
B60W50/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021182973
(22)【出願日】2021-11-10
(65)【公開番号】P2023070709
(43)【公開日】2023-05-22
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌谷 英輝
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-134925(JP,A)
【文献】特開2017-193334(JP,A)
【文献】特開2020-044943(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0282995(US,A1)
【文献】特開2018-034600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の走行速度が設定速度に維持されるように或いは前記自車両と該自車両の前方を走行している先行車との間の距離が設定距離に維持されるように前記自車両を自律的に加減速する通常走行支援制御と、前記自車両の走行速度が所定速度範囲内に維持されるように或いは前記自車両と前記先行車との間の距離が所定前方距離範囲内に維持されるように前記自車両を自律的に加減速するエコ走行支援制御と、を実行する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記エコ走行支援制御の実行時、前記自車両を減速する場合、前記自車両を惰行させることにより前記自車両を減速させる惰行制御を実行し、前記自車両を加速する場合、前記自車両の駆動装置の動力出力効率が所定効率以上となるように前記駆動装置の作動を制御して前記自車両を加速する最適加速制御を実行し、
前記通常走行支援制御の実行時、前記自車両のアクセルペダルが踏み込まれてアクセルオーバーライド状態が生じたとき、前記通常走行支援制御を中断してアクセルペダル操作量に基づいて前記自車両を加速させる通常走行制御を実行する、
ように構成されている、
車両運転支援装置において、
前記制御装置は、前記エコ走行支援制御の実行時、前記アクセルオーバーライド状態が生じたとの加速要求条件が成立したとき、前記最適加速制御により前記自車両を加速するように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両運転支援装置において、
前記加速要求条件は、前記エコ走行支援制御の実行時、前記自車両の走行速度が前記所定速度範囲内にあるとの条件を含んでいる、
車両運転支援装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両運転支援装置において、
前記加速要求条件は、前記エコ走行支援制御の実行時、前記自車両と前記先行車との間の距離が前記所定前方距離範囲内にあるとの条件を含んでいる、
車両運転支援装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、前記エコ走行支援制御により前記自車両と該自車両の後方を走行している後続車との間の距離が所定後方距離範囲内に維持されるように構成されており、
前記加速要求条件は、前記エコ走行支援制御の実行時、前記自車両と前記後続車との間の距離が前記所定後方距離範囲内にあるとの条件を含んでいる、
車両運転支援装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の車両運転支援装置において、
前記自車両には、動力出力特性の異なる2つの動力源が搭載されており、
前記制御装置は、前記惰行制御を実行する場合、前記動力源の少なくとも一方の作動を停止させておくように構成されており、
前記加速要求条件は、前記アクセルペダルの操作量に基づいて前記通常走行制御により前記自車両を加速する場合には前記停止させておいた動力源を作動させることになるとの条件を含んでいる、
車両運転支援装置。
【請求項6】
自車両を自律的に加減速する通常走行支援制御を実行することにより、前記自車両の走行速度を設定速度に維持し或いは前記自車両と該自車両の前方を走行している先行車との間の距離を設定距離に維持し、前記自車両を自律的に加減速するエコ走行支援制御を実行することにより、前記自車両の走行速度を所定速度範囲内に維持し或いは前記自車両と前記先行車との間の距離を所定前方距離範囲内に維持する車両運転支援方法であって、
前記エコ走行支援制御の実行時、前記自車両を減速する場合、前記自車両を惰行させることにより前記自車両を減速させる惰行制御を実行し、前記自車両を加速する場合、前記自車両の駆動装置の動力出力効率が所定効率以上となるように前記駆動装置の作動を制御して前記自車両を加速する最適加速制御を実行し、
前記通常走行支援制御の実行時、前記自車両のアクセルペダルが踏み込まれてアクセルオーバーライド状態が生じたとき、前記通常走行支援制御を中断してアクセルペダル操作量に基づいて前記自車両を加速させる通常走行制御を実行する、
車両運転支援方法において、
前記エコ走行支援制御の実行時、前記アクセルオーバーライド状態が生じたとの加速要求条件が成立したとき、前記最適加速制御により前記自車両を加速する、
車両運転支援方法。
【請求項7】
自車両を自律的に加減速する通常走行支援制御を実行することにより、前記自車両の走行速度を設定速度に維持し或いは前記自車両と該自車両の前方を走行している先行車との間の距離を設定距離に維持し、前記自車両を自律的に加減速するエコ走行支援制御を実行することにより、前記自車両の走行速度を所定速度範囲内に維持し或いは前記自車両と前記先行車との間の距離を所定前方距離範囲内に維持する車両運転支援プログラムであって、
前記エコ走行支援制御の実行時、前記自車両を減速する場合、前記自車両を惰行させることにより前記自車両を減速させる惰行制御を実行し、前記自車両を加速する場合、前記自車両の駆動装置の動力出力効率が所定効率以上となるように前記駆動装置の作動を制御して前記自車両を加速する最適加速制御を実行し、
前記通常走行支援制御の実行時、前記自車両のアクセルペダルが踏み込まれてアクセルオーバーライド状態が生じたとき、前記通常走行支援制御を中断してアクセルペダル操作量に基づいて前記自車両を加速させる通常走行制御を実行する、
車両運転支援プログラムにおいて、
前記エコ走行支援制御の実行時、前記アクセルオーバーライド状態が生じたとの加速要求条件が成立したとき、前記最適加速制御により前記自車両を加速する、
車両運転支援プログラム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の車両運転支援装置を備えた車両。
【請求項9】
請求項6に記載の車両運転支援方法を実行する車両運転支援装置を備えた車両。
【請求項10】
請求項7に記載の車両運転支援プログラムを実行する車両運転支援装置を備えた車両。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転支援装置、車両運転支援方法、車両運転支援プログラム及び車両運転支援装置を備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の走行速度が所定速度範囲内に維持されるように自車両を自律的に加減速する走行支援制御を実行しているときに自車両を減速する場合に自車両を惰行させることにより自車両を減速するようにしている車両運転支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-193334号公報
【発明の概要】
【0004】
上記走行支援制御の実行時に自車両を惰行させて減速されているときにアクセルペダルが踏み込まれた場合にアクセルオーバーライド状態が生じたと判定して走行支援制御を中断してアクセルペダルの操作量に応じた自車両の加速を行うようにする技術が知られている。しかしながら、これによると、自車両の惰行を停止して自車両を加速させることから、その分、自車両の駆動装置の動力出力効率(駆動装置が動力を出力するためのエネルギー効率)が低下してしまう。勿論、アクセルオーバーライド状態が生じても走行支援制御を中断せずに継続すれば、自車両の駆動装置の動力出力効率が低下することを回避することはできるが、自車両を加速させようとする運転者の意図に応えることができない。
【0005】
本発明の目的は、走行支援制御の実行時にアクセルオーバーライド状態が生じたときに自車両の駆動装置の動力出力効率の低下を小さいものに維持しつつ、自車両を加速させようとする運転者の意図に応えることができる車両運転支援装置を提供することにある。
【0006】
本発明に係る車両運転支援装置は、自車両の走行速度が設定速度に維持されるように或いは前記自車両と該自車両の前方を走行している先行車との間の距離が設定距離に維持されるように前記自車両を自律的に加減速する通常走行支援制御と、前記自車両の走行速度が所定速度範囲内に維持されるように或いは前記自車両と前記先行車との間の距離が所定前方距離範囲内に維持されるように前記自車両を自律的に加減速するエコ走行支援制御と、を実行する制御装置を備えている。
【0007】
前記制御装置は、前記エコ走行支援制御の実行時、前記自車両を減速する場合、前記自車両を惰行させることにより前記自車両を減速させる惰行制御を実行し、前記自車両を加速する場合、前記自車両の駆動装置の動力出力効率が所定効率以上となるように前記駆動装置の作動を制御して前記自車両を加速する最適加速制御を実行する。又、前記制御装置は、前記通常走行支援制御の実行時、前記自車両のアクセルペダルが踏み込まれてアクセルオーバーライド状態が生じたとき、前記通常走行支援制御を中断してアクセルペダル操作量に基づいて前記自車両を加速させる通常走行制御を実行する。
【0008】
そして、前記制御装置は、前記エコ走行支援制御の実行時、前記アクセルオーバーライド状態が生じたとの加速要求条件が成立したとき、前記最適加速制御により前記自車両を加速するように構成されている。
【0009】
本発明によれば、エコ走行支援制御の実行中にアクセルオーバーライド状態が生じた場合、駆動装置の動力出力効率が所定効率以上となるように駆動装置の作動を制御して自車両を加速するので、自車両を加速させようとする運転者の意図に応えることができ、又、駆動装置の動力出力効率が所定効率以上に維持されるので、自車両の駆動装置の動力出力効率の低下を小さいものに維持することができる。
【0010】
尚、本発明に係る車両運転支援装置において、前記加速要求条件は、前記エコ走行支援制御の実行時、前記自車両の走行速度が前記所定速度範囲内にあるとの条件を含んでいてもよい。
【0011】
エコ走行支援制御の実行時、自車両の走行速度が所定速度範囲内にないときに自車両が加速されてしまうと、自車両の走行速度が一定の範囲内の速度に維持されなくなってしまう。本発明によれば、加速要求条件に、エコ走行支援制御の実行時、自車両の走行速度が所定速度範囲内にあるとの条件が含まれるため、自車両の走行速度を一定の範囲内の速度に維持することができる。
【0012】
又、本発明に係る車両運転支援装置において、前記加速要求条件は、前記エコ走行支援制御の実行時、前記自車両と前記先行車との間の距離が前記所定前方距離範囲内にあるとの条件を含んでいてもよい。
【0013】
エコ走行支援制御の実行時、自車両と先行車との間の距離が所定前方距離範囲内にないときに自車両が加速されてしまうと、自車両と先行車との間の距離が一定の範囲内の距離に維持されなくなってしまう。本発明によれば、加速要求条件に、エコ走行支援制御の実行時、自車両と先行車との間の距離が所定前方距離範囲内にあるとの条件が含まれるため、自車両と先行車との間の距離を一定の範囲内の距離に維持することができる。
【0014】
又、本発明に係る車両運転支援装置において、前記制御装置は、前記エコ走行支援制御により前記自車両と該自車両の後方を走行している後続車との間の距離が所定後方距離範囲内に維持されるように構成されていてもよい。この場合、前記加速要求条件は、前記エコ走行支援制御の実行時、前記自車両と前記後続車との間の距離が前記所定後方距離範囲内にあるとの条件を含んでいてもよい。
【0015】
後続車が存在するときにエコ走行支援制御を実行する場合、自車両と後続車との間の距離が一定の範囲内の距離に維持されることが好ましい。本発明によれば、加速要求条件に、エコ走行支援制御の実行時、自車両と後続車との間の距離が所定後方距離範囲内にあるとの条件が含まれるため、自車両と後続車との間の距離を一定の範囲内の距離に維持することができる。
【0016】
又、本発明に係る車両運転支援装置において、自車両に、動力出力特性の異なる2つの動力源が搭載されている場合、前記制御装置は、前記惰行制御を実行する場合、前記動力源の少なくとも一方の作動を停止させておくように構成されていてもよい。この場合、前記加速要求条件は、前記アクセルペダルの操作量に基づいて前記通常走行制御により前記自車両を加速する場合には前記停止させておいた動力源を作動させることになるとの条件を含んでいてもよい。
【0017】
惰行制御の実行中にアクセルペダルが操作されたことに応答して通常走行制御により自車両を加速させようとしたときに停止されている動力源を作動させることになる場合に限り、惰行制御から最適加速制御に切り替えて自車両を加速させれば、通常走行制御ではなく、最適加速制御により自車両が加速されるので、動力出力効率が高くなる。本発明によれば、加速要求条件に、アクセルペダルの操作量に基づいて通常走行制御により自車両を加速する場合には停止させておいた動力源を作動させることになるとの条件が含まれている。従って、高い動力出力効率を維持することができる。
【0018】
本発明に係る車両運転支援方法は、自車両を自律的に加減速する通常走行支援制御を実行することにより、前記自車両の走行速度を設定速度に維持し或いは前記自車両と該自車両の前方を走行している先行車との間の距離を設定距離に維持し、前記自車両を自律的に加減速するエコ走行支援制御を実行することにより、前記自車両の走行速度を所定速度範囲内に維持し或いは前記自車両と前記先行車との間の距離を所定前方距離範囲内に維持する方法である。
【0019】
本発明に係る車両運転支援方法は、前記エコ走行支援制御の実行時、前記自車両を減速する場合、前記自車両を惰行させることにより前記自車両を減速させる惰行制御を実行し、前記自車両を加速する場合、前記自車両の駆動装置の動力出力効率が所定効率以上となるように前記駆動装置の作動を制御して前記自車両を加速する最適加速制御を実行し、前記通常走行支援制御の実行時、前記自車両のアクセルペダルが踏み込まれてアクセルオーバーライド状態が生じたとき、前記通常走行支援制御を中断してアクセルペダル操作量に基づいて前記自車両を加速させる通常走行制御を実行するようになっている。
【0020】
そして、本発明に係る車両運転支援方法は、前記エコ走行支援制御の実行時、前記アクセルオーバーライド状態が生じたとの加速要求条件が成立したとき、前記最適加速制御により前記自車両を加速するようになっている。
【0021】
本発明によれば、先に述べた理由と同じ理由から、自車両を加速させようとする運転者の意図に応えることができ、又、自車両の駆動装置の動力出力効率の低下を小さいものに維持することができる。
【0022】
又、本発明に係る車両運転支援プログラムは、自車両を自律的に加減速する通常走行支援制御を実行することにより、前記自車両の走行速度を設定速度に維持し或いは前記自車両と該自車両の前方を走行している先行車との間の距離を設定距離に維持し、前記自車両を自律的に加減速するエコ走行支援制御を実行することにより、前記自車両の走行速度を所定速度範囲内に維持し或いは前記自車両と前記先行車との間の距離を所定前方距離範囲内に維持するプログラムである。
【0023】
又、本発明に係る車両運転支援プログラムは、前記エコ走行支援制御の実行時、前記自車両を減速する場合、前記自車両を惰行させることにより前記自車両を減速させる惰行制御を実行し、前記自車両を加速する場合、前記自車両の駆動装置の動力出力効率が所定効率以上となるように前記駆動装置の作動を制御して前記自車両を加速する最適加速制御を実行し、前記通常走行支援制御の実行時、前記自車両のアクセルペダルが踏み込まれてアクセルオーバーライド状態が生じたとき、前記通常走行支援制御を中断してアクセルペダル操作量に基づいて前記自車両を加速させる通常走行制御を実行するようになっている。
【0024】
そして、本発明に係る車両運転支援プログラムは、前記エコ走行支援制御の実行時、前記アクセルオーバーライド状態が生じたとの加速要求条件が成立したとき、前記最適加速制御により前記自車両を加速するようになっている。
【0025】
本発明によれば、先に述べた理由と同じ理由から、自車両を加速させようとする運転者の意図に応えることができ、又、自車両の駆動装置の動力出力効率の低下を小さいものに維持することができる。
【0026】
又、本発明に係る車両は、上述した車両運転支援装置を備えた車両であり、或いは、上述した車両運転支援方法を実行する車両運転支援装置を備えた車両であり、或いは、上述した車両運転支援プログラムを実行する車両運転支援装置を備えた車両である。
【0027】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置及びその車両運転支援装置が搭載された車両(自車両)を示した図である。
図2図2は、前方車間距離及び後方車間距離を示した図である。
図3図3は、内燃機関の動力出力効率、モータの動力出力効率及び要求駆動トルクを示した図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図5図5は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図7図7は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図8図8は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図9図9の(A)は、前方車間距離が前方中距離判定値よりも長い場面を示した図であり、図9の(B)は、前方車間距離が前方中距離判定値以下である場面を示した図である。
図10図10の(A)は、前方車間距離が前方近距離判定値よりも長い場面を示した図であり、図10の(B)は、前方車間距離が前方近距離判定値以下である場面を示した図である。
図11図11の(A)は、後方車間距離が後方近距離判定値よりも長い場面を示した図であり、図11の(B)は、後方車間距離が後方近距離判定値以下である場面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置について説明する。図1に、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置10が示されている。車両運転支援装置10は、自車両100に搭載される。
【0030】
<ECU>
車両運転支援装置10は、制御装置としてのECU90を備えている。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称である。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。特に、ROMには、後述する運転支援制御を実行する車両運転支援プログラムが格納されており、CPUは、その車両運転支援プログラムを実行することにより、後述する運転支援制御を実現する。
【0031】
特に、ECU90は、後述する走行支援制御を実行するためのプログラムをROMに予め記憶しているが、そうしたプログラムを自車両100の外部の機器から受信装置を介して無線で取得して記憶したり、記憶したプログラムを自車両100の外部の機器から受信装置を介して無線で更新したりすることができるように構成されていてもよい。
【0032】
<車両走行装置>
自車両100には、車両走行装置20が搭載されている。車両走行装置20は、自車両100の駆動、制動及び操舵を行う装置であり、本例においては、駆動装置21、制動装置22及び操舵装置23を備えている。
【0033】
<駆動装置>
駆動装置21は、自車両100を走行させるために自車両100に与えられる駆動力(駆動トルク)を出力する装置であり、本例においては、異なる動力出力特性を有する2つの動力源(第1動力源211及び第2動力源212)からなる。例えば、第1動力源211及び第2動力源212は、それぞれ、内燃機関及びモータである。第1動力源211及び第2動力源212は、それぞれ、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、第1動力源211及び第2動力源212の作動をそれぞれ制御することにより第1動力源211及び第2動力源212からそれぞれ出力される駆動力(駆動トルク)を制御することができる。
【0034】
<制動装置>
制動装置22は、自車両100を制動するために自車両100に与えられる制動力(制動トルク)を出力する装置であり、例えば、油圧ブレーキ装置である。制動装置22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、制動装置22の作動を制御することにより制動装置22から出力される制動力(制動トルク)を制御することができる。
【0035】
<操舵装置>
操舵装置23は、自車両100を操舵するために自車両100に与えられる操舵力(操舵トルク)を出力する装置であり、例えば、パワーステアリング装置である。操舵装置23は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、操舵装置23の作動を制御することにより操舵装置23から出力される操舵力(操舵トルク)を制御することができる。
【0036】
<センサ等>
更に、自車両100には、アクセルペダル41、アクセルペダル操作量センサ42、ブレーキペダル43、ブレーキペダル操作量センサ44、ハンドル45、操舵角センサ46、操舵トルクセンサ47、車速検出装置48、走行支援操作器51、エコ走行操作器52及び周辺情報検出装置60が搭載されている。
【0037】
<アクセルペダル操作量センサ>
アクセルペダル操作量センサ42は、アクセルペダル41の操作量を検出するセンサである。アクセルペダル操作量センサ42は、ECU90に電気的に接続されている。アクセルペダル操作量センサ42は、検出した操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、アクセルペダル操作量センサ42から送信される情報に基づいてアクセルペダル41の操作量をアクセルペダル操作量APとして取得する。
【0038】
ECU90は、後述する走行支援制御を実行する場合を除き、アクセルペダル操作量AP及び自車両100の走行速度(自車速)に基づいて駆動装置21から出力させるべき駆動トルク(ドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQ)を演算により取得する。ECU90は、そのドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQが駆動装置21から出力されるように駆動装置21の作動を制御する。又、ECU90は、後述する走行支援制御を実行する場合には、その走行支援制御により所望通りに自車両100を走行させるのに必要な駆動トルク(システム要求駆動トルクDTQ_S_RQ)を決定し、そのシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQが出力されるように駆動装置21の作動を制御する。
【0039】
<ブレーキペダル操作量センサ>
ブレーキペダル操作量センサ44は、ブレーキペダル43の操作量を検出するセンサである。ブレーキペダル操作量センサ44は、ECU90に電気的に接続されている。ブレーキペダル操作量センサ44は、検出した操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、ブレーキペダル操作量センサ44から送信される情報に基づいてブレーキペダル43の操作量をブレーキペダル操作量BPとして取得する。
【0040】
ECU90は、後述する走行支援制御を実行する場合を除き、ブレーキペダル操作量BPに基づいて制動装置22により加えるべき制動トルク(ドライバー要求制動トルクBTQ_D_RQ)を演算により取得する。ECU90は、そのドライバー要求制動トルクBTQ_D_RQが自車両100に加えられるように制動装置22の作動を制御する。又、ECU90は、後述する走行支援制御を実行する場合には、その走行支援制御により所望通りに自車両100を走行させるのに必要な制動トルク(システム要求制動トルクBTQ_S_RQ)を決定し、そのシステム要求制動トルクBTQ_S_RQが自車両100に加えられるように制動装置22の作動を制御する。
【0041】
<操舵角センサ>
操舵角センサ46は、ハンドル45の中立位置に対する回転角度を検出するセンサである。操舵角センサ46は、ECU90に電気的に接続されている。操舵角センサ46は、検出したハンドル45の回転角度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてハンドル45の回転角度を操舵角θとして取得する。
【0042】
<操舵トルクセンサ>
操舵トルクセンサ47は、自車両100の自車運転者がハンドル45を介してステアリングシャフトに入力したトルクを検出するセンサである。操舵トルクセンサ47は、ECU90に電気的に接続されている。操舵トルクセンサ47は、検出したトルクに関する情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車運転者がハンドル45を介してステアリングシャフトに入力したトルク(ドライバー入力操舵トルク)を取得する。
【0043】
ECU90は、操舵角θ、ドライバー入力操舵トルク及び自車両100の走行速度(自車速)に基づいて要求操舵力(要求操舵トルク)を取得し、その要求操舵トルクが操舵装置23から出力されるように操舵装置23の作動を制御する。
【0044】
<車速検出装置>
車速検出装置48は、自車両100の走行速度を検出する装置であり、例えば、車輪速センサである。車速検出装置48は、ECU90に電気的に接続されている。車速検出装置48は、検出した自車両100の走行速度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の走行速度を自車速VOとして取得する。
【0045】
<走行支援操作器>
走行支援操作器51は、自車両100の運転者により操作される装置であり、例えば、スイッチやボタン等からなる装置である。これらスイッチやボタン等は、例えば、ハンドル45のステアリングホイールに設けられ、或いは、自車両100のステアリングコラムに取り付けられたレバーに設けられる。
【0046】
本例において、走行支援操作器51は、走行支援選択スイッチ、車速設定スイッチ、車速増加ボタン、車速減少ボタン及び車間距離設定ボタンを含んでいる。走行支援操作器51は、ECU90に電気的に接続されている。
【0047】
後述する走行支援制御が実行されていないときに走行支援選択スイッチが操作されると、走行支援操作器51からECU90に信号が送信される。ECU90は、その信号を受信した場合、走行支援制御の実行が要求されたと判定する。一方、走行支援制御が実行されているときに走行支援選択スイッチが運転者により操作されると、走行支援操作器51からECU90に信号が送信される。ECU90は、その信号を受信した場合、走行支援制御の実行が要求されなくなったと判定する。即ち、ECU90は、走行支援制御の終了が要求されたと判定する。
【0048】
又、走行支援制御が実行されているときに車速設定スイッチが操作されると、走行支援操作器51からECU90に信号が送信される。ECU90は、その信号を受信した場合、その時点の自車速VO(自車両100の走行速度)を走行支援制御における設定車速V_SETとして設定する。
【0049】
又、走行支援制御が実行されているときに車速増加ボタンが操作されると、走行支援操作器51からECU90に信号が送信される。ECU90は、その信号を受信した場合、設定車速V_SETを大きくする。一方、走行支援制御が実行されているときに車速減少ボタンが自車運転者により操作されると、走行支援操作器51からECU90に信号が送信される。ECU90は、その信号を受信した場合、設定車速V_SETを小さくする。
【0050】
又、走行支援制御が実行されているときに車間距離設定ボタンが操作されると、走行支援操作器51からECU90に信号が送信される。この信号は、運転者が車間距離設定ボタンを操作することにより走行支援制御の追従走行制御における自車両100と先行車200Fとの間の距離(前方車間距離DF)として要求している距離(要求前方車間距離DF_RQ)を表す信号(要求車間距離信号)である。
【0051】
前方車間距離DFは、図2に示したように、自車両100と先行車200Fとの間の距離であり、後述する周辺検出情報ISに基づいて取得される。又、本例において、先行車200Fは、自車線LN(自車両100が走行している車線)を自車両100の前方で走行する車両であって、前方車間距離DFが所定の距離(先行車判定距離DF_TH)以下となっている車両である。自車線LNは、後述する周辺検出情報ISに基づいて取得される自車両100の左側の区画線LML及び右側の区画線LMRに係る情報に基づいて認識される。又、本例において、運転者が車間距離設定ボタンを操作することにより選択可能な要求前方車間距離DF_RQは、長めの距離、中程度の距離及び短めの距離の3種類である。
【0052】
ECU90は、要求車間距離信号を受信した場合、そのときの自車速VOとは無関係に要求前方車間距離DF_RQを設定前方車間距離DF_SETとして設定してもよいが、本例においては、そのときの自車速VO及び要求前方車間距離DF_RQに基づいて設定前方車間距離DF_SETを設定する。
【0053】
具体的には、ECU90は、そのときの自車速VOで除して得られる時間(予測到達時間TTC)が所定の時間(所定予測到達時間TTC_REF)となる前方車間距離DFを設定前方車間距離DF_SETとして設定する。即ち、ECU90は、そのときの自車速VOと所定予測到達時間TTC_REFと前方車間距離DFとの関係が下式1の関係となる前方車間距離DFを設定前方車間距離DF_SETとして設定する。
【0054】
TTC_REF=DF/VO …(1)
【0055】
所定予測到達時間TTC_REFは、要求前方車間距離DF_RQが長めの距離である場合、長めの時間TTC_Lであり、要求前方車間距離DF_RQが中程度の距離である場合、中程度の時間TTC_Mであり、要求前方車間距離DF_RQが短めの距離である場合、短めの時間TTC_Sである。尚、先行車判定距離DF_THは、設定前方車間距離DF_SETよりも長い距離となるように定められている。
【0056】
<エコ走行操作器>
エコ走行操作器52は、自車両100の運転者により操作される装置であり、例えば、スイッチやボタン等からなる装置である。これらスイッチやボタン等は、例えば、自車両100のステアリングホイールに設けられ、或いは、自車両100のステアリングコラムに取り付けられたレバーに設けられる。
【0057】
エコ走行操作器52は、それがオフ位置に操作された状態にあるときに操作されるとオン位置となる。エコ走行操作器52は、オン位置に操作されると、ECU90に信号を送信する。ECU90は、その信号を受信すると、後述する拡大走行支援制御(エコ走行支援制御)の実行が要求されたと判断する。ECU90は、拡大走行支援制御の実行が要求されたと判断した場合、エコ走行実行条件が成立したと判断する。
【0058】
一方、エコ走行操作器52は、それがオン位置に操作されている状態にあるときに操作されるとオフ位置となる。エコ走行操作器52は、オフ位置に操作されると、ECU90に信号を送信する。ECU90は、その信号を受信した場合、拡大走行支援制御の実行が要求されなくなったと判断する。ECU90は、拡大走行支援制御の実行が要求されなくなったと判断した場合、エコ走行実行条件が成立しなくなったと判断する。
【0059】
<周辺情報検出装置>
周辺情報検出装置60は、自車両100の周辺の情報を検出する装置であり、本例においては、電波センサ61及び画像センサ62を備えている。
【0060】
<電波センサ>
電波センサ61は、電波を用いて自車両100の周辺に存在する物体に関する情報を検出するセンサであり、例えば、レーダセンサ(ミリ波レーダ等)、超音波センサ(クリアランスソナー)等の音波センサ及びレーザーレーダ(LiDAR)等の光センサの少なくとも1つである。電波センサ61は、ECU90に電気的に接続されている。電波センサ61は、電波を発信すると共に、物体で反射した電波(反射波)を受信する。電波センサ61は、発信した電波及び受信した電波(反射波)に係る情報をECU90に送信する。別の言い方をすると、電波センサ61は、自車両100の周辺に存在する物体を検知し、その検知した物体に係る情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報(電波情報IR又は電波データ)に基づいて自車両100の周辺に存在する物体に係る情報(周辺検出情報IS)を取得することができる。電波センサ61を用いて検出される物体は、例えば、車両、壁、自転車及び人等である。
【0061】
<画像センサ>
画像センサ62は、自車両100の周辺を撮像するセンサであり、例えば、カメラである。画像センサ62は、ECU90に電気的に接続されている。画像センサ62は、自車両100の周辺を撮像し、撮像した画像に係る情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報(画像情報IC又は画像データ)に基づいて自車両100の周辺の情報(周辺検出情報IS)を取得することができる。
【0062】
ECU90は、周辺検出情報ISから先行車200Fと自車両100との間の距離(前方車間距離DF)、及び、先行車200Fの車速(先行車速VF)等を取得する。又、ECU90は、周辺検出情報ISから後続車200Rと自車両100との間の距離(後方車間距離DR)、及び、後続車200Rの車速(後続車速VR)等を取得する。
【0063】
後方車間距離DRは、図2に示したように、自車両100と後続車200Rとの間の距離である。又、本例において、後続車200Rは、自車両100が走行している車線(自車線LN)を自車両100の後方で走行する車両であって、自車両100からの距離(後方車間距離DR)が後続車判定距離DR_TH以下である車両である。
【0064】
<車両運転支援装置の作動の概要>
次に、車両運転支援装置10の作動の概要について説明する。車両運転支援装置10は、運転者によるアクセルペダル41の操作やブレーキペダル43の操作が行われなくても、自車両100を自律的に加減速して走行させる走行支援制御を実行可能に構成されている。
【0065】
先に述べたように、本例において、駆動装置21は、第1動力源211及び第2動力源212からなる。ここで、第1動力源211及び第2動力源212は、それぞれ異なる動力出力特性(動力を出力するときのエネルギー効率)を有している。本例においては、第1動力源211及び第2動力源212は、図3に示した動力出力特性を有している。即ち、第1動力源211の動力出力効率E1は、線DTQ_ENGで示したように、第1動力源211が出力する駆動トルクが或る値DTQ_Aであるときに最も高くなり、第2動力源212の動力出力効率E2は、線DTQ_MTで示したように、第2動力源212が出力する駆動トルクが上記値DTQ_Aよりも小さい値DTQ_Bであるときに最も高くなる。
【0066】
尚、第1動力源211が内燃機関である場合、第1動力源211の動力出力効率E1は、いわゆる燃費であり、第2動力源212がモータである場合、第2動力源212の動力出力効率E2は、いわゆる電費である。
【0067】
このように、駆動装置21の動力出力効率Eには、駆動装置21が出力する駆動トルクが特定の値(最適駆動トルクDTQ_OPT)であるときにピークとなる(最も高くなる)特性があり、そのピークは、複数(本例においては、2つ)である。従って、最適駆動トルクDTQ_OPTを駆動装置21から出力させて自車両100を加速すれば、駆動装置21の動力出力効率Eが高くなる。
【0068】
そこで、車両運転支援装置10は、走行支援実行条件が成立し且つエコ走行実行条件が成立した場合、駆動装置21の動力出力効率Eが高くなる自車両100の加減速が許容されない条件(エコ走行禁止条件)が成立しない限り、エコ走行支援制御を実行する。具体的には後述するが、概して言えば、エコ走行支援制御は、自車速VOが所定速度範囲(所定車速範囲RNG_E)内に維持されるように或いは自車両100と先行車200Fとの間の距離(前方車間距離DF)が所定前方距離範囲内に維持されるように或いは自車両100と後続車200Rとの間の距離(後方車間距離DR)が所定後方距離範囲内に維持されるように、自車両100を自律的に加減速する制御であって、自車両100を減速させるための制御として、惰行制御を実行し、自車両100を加速させるための制御として、最適加速制御を実行する制御である。
【0069】
惰行制御は、自車両100を加速も減速もさせない値の駆動力を駆動装置21から出力させて自車両100を惰行させる制御である。本例においては、惰行制御は、第1動力源211(例えば、内燃機関)の作動を停止させると共に、第2動力源212(例えば、モータ)の動力出力効率E2が最大となるように第2動力源212から駆動トルクを出力させることにより自車両100を惰行させる制御である。これによれば、自車両100は、主に、その走行抵抗により減速する。
【0070】
一方、最適加速制御は、そのときの自車速VOを考慮したときに駆動装置21の動力出力効率Eが最大効率となる自車両100の加速度(最適加速度G_OPT)をシステム要求加速度G_S_RQとして算出し、そのシステム要求加速度G_S_RQを実現するための駆動トルクをシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQとして算出し、そのシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQが出力されるように駆動装置21の作動を制御して自車両100を加速させる制御である。
【0071】
尚、最適加速制御は、最適加速度G_OPTよりも僅かばかり大きい或いは小さい加速度をシステム要求加速度G_S_RQとして算出し、そのシステム要求加速度G_S_RQを実現するための駆動トルクをシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQとして算出し、そのシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQが出力されるように駆動装置21の作動を制御して自車両100を加速させる制御であってもよい。即ち、最適加速制御は、「最大動力出力効率及びそれよりも僅かばかり小さい動力出力効率」を含む最適動力出力効率で駆動装置21を作動させる制御であってもよい。即ち、最適加速制御は、駆動装置21の動力出力効率が所定効率以上となるように駆動装置21の作動を制御して自車両100を加速する制御である。
【0072】
以下、車両運転支援装置10が実行する制御について、より詳しく説明する。
【0073】
<通常走行制御>
走行支援実行条件が成立していない場合、車両運転支援装置10は、通常走行制御を実行する。通常走行制御は、アクセルペダル操作量AP及び自車速VOに基づいて駆動装置21から出力させるべき駆動トルク(ドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQ)を算出し、そのドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQのトルクが駆動装置21から出力されるように駆動装置21の作動を制御し、ブレーキペダル操作量BPに基づいて制動装置22により自車両100に加えられるべき制動トルク(ドライバー要求制動トルクBTQ_D_RQ)を算出し、そのドライバー要求制動トルクBTQ_D_RQが制動装置22により自車両100に加えられるように制動装置22の作動を制御する制御である。
【0074】
尚、車両運転支援装置10は、通常走行制御の実行時、ドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQがゼロよりも大きい値(作動切替閾値DTQ_SW)よりも大きい場合、第1動力源211及び第2動力源212の両方から駆動トルクを出力させることによりドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQに一致するトルクを駆動装置21から出力させ、ドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQが作動切替閾値DTQ_SW以下である場合、第1動力源211の作動を停止して第2動力源212のみから駆動トルクを出力させることによりドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQに一致するトルクを駆動装置21から出力させるように構成されている。
【0075】
<通常走行支援制御>
一方、車両運転支援装置10は、走行支援実行条件が成立したときには、エコ走行実行条件が成立しているか否かを判定し、エコ走行実行条件が成立していない場合、走行支援制御として、通常走行支援制御を実行する。
【0076】
ここで、車両運転支援装置10は、走行支援操作器51が操作されて走行支援制御の実行が要求された場合、アクセルペダル41又はブレーキペダル43が操作されているか否かを問わず、走行支援実行条件が成立したと判断するように構成されてもよいが、本例においては、走行支援制御の実行が要求されたと判断したときにアクセルペダル41もブレーキペダル43も操作されていない場合、走行支援実行条件が成立したと判断する。
【0077】
又、車両運転支援装置10は、走行支援制御の実行中に走行支援操作器51が操作されて走行支援制御の終了が要求された場合、走行支援実行条件が成立しなくなった、即ち、走行支援制御を終了する条件(走行支援制御終了条件)が成立したと判断する。又、車両運転支援装置10は、走行支援制御の実行中にブレーキペダル43が操作された場合、即ち、ブレーキペダル操作量BPがゼロよりも大きくなった場合も、走行支援制御終了条件が成立したと判断する。車両運転支援装置10は、走行支援制御終了条件が成立した場合、走行支援制御を終了して通常走行制御を開始する。
【0078】
車両運転支援装置10は、先行車200Fが存在する場合、通常走行支援制御として、追従走行制御を実行する。先に述べたように、車両運転支援装置10は、自車線LNを自車両100の前方で走行する車両であって、前方車間距離DFが先行車判定距離DF_TH以下である車両が存在する場合、先行車200Fが存在すると判断する。一方、車両運転支援装置10は、先行車200Fが存在しない場合、通常走行支援制御として、通常定速走行制御を実行する。
【0079】
<通常追従走行制御>
通常追従走行制御は、自車両100と先行車200Fとの間の距離(前方車間距離DF)が設定距離(設定前方車間距離DF_SET)に維持されるように自車両100を自律的に加減速する制御である。
【0080】
従って、車両運転支援装置10は、通常追従走行制御を開始すると、前方車間距離DFが設定前方車間距離DF_SETに維持されるように自車両100を加速したり減速したりする。本例においては、車両運転支援装置10は、追従走行制御を開始すると、予測到達時間TTCが所定予測到達時間TTC_REFに維持されるように自車両100を加速したり減速したりする。
【0081】
より具体的には、車両運転支援装置10は、追従走行制御の実行時、予測到達時間TTCを所定予測到達時間TTC_REFに制御するために必要な自車両100の加速度(システム要求加速度G_S_RQ)を算出する。
【0082】
車両運転支援装置10は、システム要求加速度G_S_RQを算出すると、そのシステム要求加速度G_S_RQを実現するために駆動装置21から出力させるべき駆動トルク(システム要求駆動トルクDTQ_S_RQ)及び制動装置22から自車両100に加えられるべき制動トルク(システム要求制動トルクBTQ_S_RQ)算出する。そして、車両運転支援装置10は、システム要求駆動トルクDTQ_S_RQに一致する駆動トルクが駆動装置21から出力されるように駆動装置21の作動を制御し、システム要求制動トルクBTQ_S_RQに一致する制動トルクが制動装置22から自車両100に加えられるように制動装置22の作動を制御する。
【0083】
これによれば、予測到達時間TTCが所定予測到達時間TTC_REFよりも長くなった場合、自車両100が加速され、予測到達時間TTCが所定予測到達時間TTC_REFよりも短くなった場合、自車両100が減速され、予測到達時間TTCが所定予測到達時間TTC_REFに制御される。
【0084】
尚、車両運転支援装置10は、通常追従走行制御の実行中にアクセルペダル41が踏み込まれてドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQがシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQよりも大きくなった場合、アクセルオーバーライド状態(ドライバーオーバーライド状態)が生じたと判断して通常追従走行制御を中断し、ドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQに一致するトルクが駆動装置21から出力されるように駆動装置21の作動を制御する。即ち、車両運転支援装置10は、通常追従走行制御を中断し、通常走行制御を実行する。その後、アクセルペダル41の踏込みが解除される等してドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQがシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQ以下になった場合、車両運転支援装置10は、通常追従走行制御を再開する。
【0085】
<通常定速走行制御>
一方、通常定速走行制御は、自車両100の走行速度(自車速VO)が設定速度(設定車速V_SET)に維持されるように自車両100を自律的に加減速する制御である。
【0086】
従って、車両運転支援装置10は、通常定速走行制御を開始すると、自車速VOが設定車速V_SETに維持されるように自車両100を加速したり減速したりする。
【0087】
より具体的には、車両運転支援装置10は、通常定速走行制御の実行時、自車速VOを設定車速V_SETに制御するために必要な自車両100の加速度(システム要求加速度G_S_RQ)を算出する。
【0088】
車両運転支援装置10は、システム要求加速度G_S_RQを算出すると、そのシステム要求加速度G_S_RQを実現するために駆動装置21から出力させるべき駆動トルク(システム要求駆動トルクDTQ_S_RQ)及び制動装置22から自車両100に加えられるべき制動トルク(システム要求制動トルクBTQ_S_RQ)を算出する。そして、車両運転支援装置10は、システム要求駆動トルクDTQ_S_RQに一致する駆動トルクが駆動装置21から出力されるように駆動装置21の作動を制御し、システム要求制動トルクBTQ_S_RQに一致する制動トルクが制動装置22から自車両100に加えられるように制動装置22の作動を制御する。
【0089】
これによれば、自車速VOが設定車速V_SETよりも低くなった場合、自車両100が加速され、自車速VOが設定車速V_SETよりも高くなった場合、自車両100が減速され、自車速VOが設定車速V_SETに制御される。
【0090】
尚、本例において、車両運転支援装置10は、通常定速走行制御の実行時、設定車速V_SETを基準として自車両100を加速したり減速したりしているが、例えば、自車両100を加速するか減速するかを判断する基準として設定車速V_SETを含む車速範囲(通常車速制御範囲RNG_N)を設定車速V_SETに応じて決定し、自車速VOが低下して通常車速制御範囲RNG_Nの下限値(通常車速下限値VL_N)よりも低くなった場合、自車両100を加速して自車速VOを上昇させ、自車速VOが上昇して通常車速制御範囲RNG_Nの上限値(通常車速上限値VU_N)よりも高くなった場合、自車両100を減速して自車速VOを低下させるように構成されてもよい。これによれば、自車速VOの平均値VO_AVEが設定車速V_SET近傍に制御される。
【0091】
又、車両運転支援装置10は、通常定速走行制御の実行中も、アクセルペダル41が踏み込まれてドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQがシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQよりも大きくなった場合、アクセルオーバーライド状態が生じたと判断して通常定速走行制御を中断し、ドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQに一致するトルクが駆動装置21から出力されるように駆動装置21の作動を制御する。即ち、車両運転支援装置10は、通常定速走行制御を中断し、通常走行制御を実行する。その後、アクセルペダル41の踏込みが解除される等してドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQがシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQ以下になった場合、車両運転支援装置10は、通常定速走行制御を再開する。
【0092】
<エコ走行支援制御(拡大走行支援制御)>
一方、先に述べたように、走行支援実行条件が成立し且つエコ走行実行条件が成立している場合、車両運転支援装置10は、エコ走行支援制御を実行する。このエコ走行支援制御について、図4乃至図8に示したフローチャートを参照しながら説明する。車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。
【0093】
車両運転支援装置10は、所定のタイミングになると、図4に示したルーチンのステップ400から処理を開始し、その処理をステップ405に進め、走行支援実行条件が成立しているか否かを判定する。車両運転支援装置10は、走行支援実行条件が成立していない場合、走行支援制御を実行しない。従って、車両運転支援装置10は、ステップ405にて「No」と判定した場合、処理をステップ495に直接進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。この場合、車両運転支援装置10は、通常走行制御を実行する。
【0094】
一方、車両運転支援装置10は、ステップ405にて「Yes」と判定した場合、ステップ410に処理を進め、エコ走行実行条件が成立しているか否かを判定する。車両運転支援装置10は、ステップ410にて「No」と判定した場合、ステップ425に処理を進め、制御モードを車間維持モードに設定する。即ち、車両運転支援装置10は、走行支援実行条件は成立しているが、エコ走行実行条件が成立していない場合、制御モードを車間維持モードに設定する。
【0095】
車両運転支援装置10は、制御モードを車間維持モードに設定した場合、先行車200Fが存在するか否かに応じて先に述べた通常追従走行制御又は通常定常走行制御を実行する。
【0096】
従って、車両運転支援装置10は、ステップ425で制御モードを車間維持モードに設定すると、ステップ430に処理を進め、先行車200Fが存在する場合には、予測到達時間TTCを所定予測到達時間TTC_REFに制御するために必要な自車両100の加速度(システム要求加速度G_S_RQ)を算出し、先行車200Fが存在しない場合には、自車速VOを設定車速V_SETに制御するために必要な自車両100の加速度(システム要求加速度G_S_RQ)を算出する。
【0097】
次いで、車両運転支援装置10は、ステップ435に処理を進め、ステップ430で算出したシステム要求加速度G_S_RQを実現するために駆動装置21から出力させるべき駆動トルク(システム要求駆動トルクDTQ_S_RQ)及び制動装置22により自車両100に加えられるべき制動トルク(システム要求制動トルクBTQ_S_RQ)を算出する。尚、ゼロよりも大きいシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQが算出された場合、算出されるシステム要求制動トルクBTQ_S_RQは、ゼロである。一方、ゼロよりも大きいシステム要求制動トルクBTQ_S_RQが算出された場合、算出されるシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQは、ゼロである。
【0098】
次いで、車両運転支援装置10は、ステップ440に処理を進め、ステップ435で算出したシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQを駆動装置21から出力するために第1動力源211を作動させる必要があるか否かを判断する。車両運転支援装置10は、システム要求駆動トルクDTQ_S_RQが作動切替閾値DTQ_SWよりも大きい場合、第1動力源211を作動させる必要があると判断し、システム要求駆動トルクDTQ_S_RQが作動切替閾値DTQ_SW以下である場合、第1動力源211を作動させる必要はないと判断する。
【0099】
次いで、車両運転支援装置10は、ステップ445に処理を進め、ステップ440で第1動力源211を作動させる必要があると判断した場合には、ステップ435で算出したシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQを駆動装置21から出力させるために第1動力源211及び第2動力源212からそれぞれ出力させるべき駆動トルク(指令駆動トルクDTQ_COM)を算出する。尚、このとき、第2動力源212に対する指令駆動トルクDTQ_COMは、ゼロである。
【0100】
一方、車両運転支援装置10は、ステップ440で第1動力源211を作動させる必要はないと判断した場合であって、システム要求駆動トルクDTQ_S_RQがゼロよりも大きい場合には、ステップ435で算出したシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQを第1動力源211に対する指令駆動トルクDTQ_COMとして算出する。このときも、第2動力源212に対する指令駆動トルクDTQ_COMは、ゼロである。
【0101】
又、車両運転支援装置10は、ステップ435で算出したシステム要求制動トルクBTQ_S_RQがゼロよりも大きい場合には、そのシステム要求制動トルクBTQ_S_RQを指令制動トルクBTQ_COMとして算出する。尚、このとき、本例においては、第1動力源211及び第2動力源212に対する指令駆動トルクDTQ_COMは、ゼロである。
【0102】
次いで、車両運転支援装置10は、ステップ450に処理を進め、ステップ445で算出した指令駆動トルクDTQ_COMが第1動力源211及び第2動力源212から出力されるように第1動力源211及び第2動力源212の作動を制御し、ステップ445で算出した指令制動トルクBTQ_COMが制動装置22から自車両100に加えられるように制動装置22の作動を制御する。斯くして、通常追従走行制御又は通常定速走行制御が行われる。
【0103】
そして、車両運転支援装置10は、ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0104】
一方、車両運転支援装置10は、ステップ410にて「Yes」と判定した場合、ステップ415に処理を進め、後方車間距離DRが後続車判定距離DR_THよりも長いか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、走行支援実行条件が成立し且つエコ走行実行条件が成立している場合、後続車200Rが存在しないか否かを判定する。
【0105】
車両運転支援装置10は、ステップ415にて「Yes」と判定した場合、即ち、後続車200Rが存在しないと判定した場合、図5に示したルーチンのステップ505に処理を進め、前方車間距離DFが先行車判定距離DF_THよりも長いか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、先行車200Fが存在しないか否かを判定する。
【0106】
車両運転支援装置10は、ステップ505にて「Yes」と判定した場合、図6に示したルーチンのステップ605に処理を進め、自車速VOがエコ車速上限値VU_Eよりも速いか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rが存在せず且つ先行車200Fも存在しない場合、自車速VOがエコ車速上限値VU_Eよりも速いか否かを判定する。
【0107】
車両運転支援装置10は、ステップ605にて「Yes」と判定した場合、ステップ610に処理を進め、制御モードを惰行モードに設定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rが存在せず且つ先行車200Fも存在しない場合において、自車速VOがエコ車速上限値VU_Eよりも速いときには、制御モードを惰行モードに設定する。次いで、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430に処理を進める。
【0108】
車両運転支援装置10は、ステップ430に処理を進めると、システム要求加速度G_S_RQを算出するが、このとき、制御モードが惰行モードに設定されているので、このときに算出されるシステム要求加速度G_S_RQは、次のステップ435で算出されるシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQがゼロとなるような加速度である。
【0109】
次いで、車両運転支援装置10は、ステップ435に処理を進め、ステップ430で算出したシステム要求加速度G_S_RQを実現するためのシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQを算出するが、上述したように、制御モードが惰行モードに設定されている場合、ステップ430で算出されるシステム要求加速度G_S_RQは、システム要求駆動トルクDTQ_S_RQがゼロとなる加速度であるので、ステップ435で算出されるシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQは、ゼロである。尚、このとき、システム要求制動トルクBTQ_S_RQもゼロである。
【0110】
次いで、車両運転支援装置10は、ステップ440に処理を進め、ステップ435で算出したシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQを駆動装置21から出力するために第1動力源211を作動させる必要があるか否かを判断するが、このとき、システム要求駆動トルクDTQ_S_RQがゼロであるので、車両運転支援装置10は、第1動力源211を作動させる必要はないと判断することになる。
【0111】
次いで、車両運転支援装置10は、ステップ445に処理を進め、システム要求駆動トルクDTQ_S_RQに基づいて指令駆動トルクDTQ_COMを算出するが、このとき、システム要求駆動トルクDTQ_S_RQがゼロであるので、ステップ445で算出される第1動力源211に対する指令駆動トルクDTQ_COMも第2動力源212に対する指令駆動トルクDTQ_COMもゼロである。尚、このとき、指令制動トルクBTQ_COMもゼロである。
【0112】
次いで、車両運転支援装置10は、ステップ450に処理を進め、ステップ445で算出した指令駆動トルクDTQ_COMが第1動力源211及び第2動力源212から出力されるように第1動力源211及び第2動力源212の作動を制御し、ステップ445で算出した指令制動トルクBTQ_COMが制動装置22から自車両100に加えられるように制動装置22の作動を制御する。即ち、このとき、指令駆動トルクDTQ_COMも指令制動トルクBTQ_COMもゼロであるので、車両運転支援装置10は、第1動力源211を停止させた状態で第2動力源212が最適動力出力効率で作動するように第2動力源212の作動を制御する。斯くして、惰行制御が行われる。
【0113】
そして、車両運転支援装置10は、ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0114】
一方、車両運転支援装置10は、図6に示したルーチンのステップ605にて「No」と判定した場合、ステップ615に処理を進め、自車速VOがエコ車速下限値VL_Eよりも遅いか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rが存在せず且つ先行車200Fも存在しない場合において、自車速VOがエコ車速上限値VU_E以下であるときには、自車速VOがエコ車速下限値VL_Eよりも遅いか否かを判定する。
【0115】
車両運転支援装置10は、ステップ615にて「Yes」と判定した場合、ステップ620に処理を進め、制御モードを最適加速モードに設定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rが存在せず且つ先行車200Fも存在しない場合において、自車速VOがエコ車速下限値VL_Eよりも遅いときには、制御モードを最適加速モードに設定する。次いで、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430に処理を進める。
【0116】
車両運転支援装置10は、ステップ430に処理を進めると、システム要求加速度G_S_RQを算出するが、このとき、制御モードが最適加速モードに設定されているので、このときに算出されるシステム要求加速度G_S_RQは、次のステップ435で算出されるシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQが駆動装置21を最適動力出力効率で作動させるトルクとなるような加速度である。
【0117】
次いで、車両運転支援装置10は、ステップ435に処理を進め、ステップ430で算出したシステム要求加速度G_S_RQを実現するためのシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQを算出するが、上述したように、制御モードが最適加速モードに設定されている場合、ステップ430で算出されるシステム要求加速度G_S_RQは、システム要求駆動トルクDTQ_S_RQが駆動装置21を最適動力出力効率で作動させるトルクとなるような加速度であるので、ステップ435で算出されるシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQは、駆動装置21を最適動力出力効率で作動させるトルクである。尚、このとき、システム要求制動トルクBTQ_S_RQもゼロである。
【0118】
次いで、車両運転支援装置10は、ステップ440に処理を進め、ステップ435で算出したシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQを駆動装置21から出力するために第1動力源211を作動させる必要があるか否かを判断する。
【0119】
次いで、車両運転支援装置10は、ステップ445に処理を進め、システム要求駆動トルクDTQ_S_RQに基づいて指令駆動トルクDTQ_COMを算出する。尚、制御モードが最適加速モードに設定されている場合、指令制動トルクBTQ_COMは、ゼロである。
【0120】
次いで、車両運転支援装置10は、ステップ450に処理を進め、ステップ445で算出した指令駆動トルクDTQ_COMが第1動力源211及び第2動力源212から出力されるように第1動力源211及び第2動力源212の作動を制御する。尚、ステップ445で算出した指令制動トルクBTQ_COMは、ゼロであるので、制動装置22は、作動されない。斯くして、最適加速制御が行われる。
【0121】
そして、車両運転支援装置10は、ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0122】
一方、車両運転支援装置10は、図6に示したルーチンのステップ615にて「No」と判定した場合、ステップ625に処理を進める。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rが存在せず且つ先行車200Fも存在しない場合において、自車速VOがエコ車速上限値VU_Eとエコ車速下限値VL_Eとの間の範囲(所定車速範囲RNG_E)内の車速であるとき、ステップ625に処理を進める。本例において、所定車速範囲RNG_Eは、設定車速V_SETを含む範囲であって、設定車速V_SETよりも所定値だけ大きい車速を上限値(エコ車速上限値VU_E)とし、設定車速V_SETよりも所定値だけ小さい車速を下限値(エコ車速下限値VL_E)とする範囲である。
【0123】
このとき、自車速VOが所定車速範囲RNG_E内にあるので、そのときの走行モードが惰行モードに設定されていて惰行制御が実行されている場合、自車速VOがエコ車速下限値VL_Eよりも遅くなるまで、走行モードを惰行モードに設定したまま(現状の走行モードを維持したまま)とし、一方、そのときの走行モードが加速モードに設定されていて最適加速制御が実行されている場合、自車速VOがエコ車速上限値VU_Eよりも速くなるまで、走行モードを加速モードに設定したまま(現状の走行モードを維持したまま)としてもよいが、本例においては、車両運転支援装置10は、以下のように走行モードを設定する。
【0124】
例えば、走行モードが惰行モードに設定されている場合、惰行制御が行われ、自車両100が惰行しているが、自車速VOがエコ車速下限値VL_Eよりも遅くならない限り、走行モードが加速モードに切り替わらないので、運転者が自車両100の走行速度が遅いと感じ、自車両100を加速させようとしてアクセルペダル41を踏み込むことがある。
【0125】
このとき、アクセルペダル操作量APに基づいて算出されるドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQがシステム要求駆動トルクDTQ_S_RQよりも大きくなることがあり、このとき、アクセルオーバーライド状態が生じたと判定してドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQに基づいて駆動装置21の作動が制御されると、作動を停止されていた第1動力源211が作動されることがある。このとき、第1動力源211が最適動力出力効率で作動されるとは限らないので、駆動装置21の動力出力効率Eが低下してしまう。
【0126】
そこで、車両運転支援装置10は、ステップ615にて「No」と判定してステップ625に処理を進めると、アクセルオーバーライド状態が生じており且つドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQが駆動装置21から出力されるように駆動装置21の作動を制御したときに第1動力源211を作動することになるとの条件(加速要求条件)が成立しているか否かを判定する。
【0127】
車両運転支援装置10は、ステップ625にて「Yes」と判定した場合、ステップ630に処理を進め、制御モードを最適加速モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、最適加速制御が行われる。
【0128】
一方、車両運転支援装置10は、図6に示したルーチンのステップ625にて「No」と判定した場合、ステップ635に処理を進め、アクセルオーバーライド状態が生じているか否かを判定する。
【0129】
車両運転支援装置10は、ステップ635にて「Yes」と判定した場合、ステップ640に処理を進め、制御モードを通常走行モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、通常走行制御が実行されるように図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、通常走行制御が行われる。
【0130】
一方、車両運転支援装置10は、ステップ635にて「No」と判定した場合、ステップ645に処理を進め、制御モードを前回設定したモードに設定する。即ち、車両運転支援装置10は、制御モードをその時点の制御モードのまま維持する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、その時点で惰行制御が行われていれば、惰行制御が継続して行われ、その時点で最適加速制御が行われていれば、最適加速制御が継続して行われる。
【0131】
尚、本例においては、ステップ625において判定される加速要求条件は、アクセルオーバーライド状態が生じており且つドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQに基づいて駆動装置21の作動を制御したときに第1動力源211を作動することになるとの条件であるが、アクセルオーバーライド状態が生じているとの条件であってもよい。この場合、車両運転支援装置10は、ステップ625にて「Yes」と判定した場合、ステップ630に処理を進め、制御モードを最適加速モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、最適加速制御が行われる。一方、車両運転支援装置10は、ステップ625にて「No」と判定した場合、ステップ635の処理を行わずに、ステップ645に処理を直接進め、制御モードを前回設定したモードに設定する。即ち、車両運転支援装置10は、制御モードをその時点の制御モードのまま維持する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、その時点で惰行制御が行われていれば、惰行制御が継続して行われ、その時点で最適加速制御が行われていれば、最適加速制御が継続して行われる。これによれば、通常走行制御が実行されないので、その分、動力出力効率を高めることができる。
【0132】
このように、図6に示したルーチンのステップ605乃至ステップ620の処理及び図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理から判るように、これら処理が行われることにより、エコ走行支援制御により自車両100の走行速度(自車速VO)が所定速度範囲(所定車速範囲RNG_E)内に維持されるように自車両100が自律的に加減速される。
【0133】
従って、実質的には、ステップ625にて判定される加速要求条件には、エコ走行支援制御の実行時、自車両100の走行速度が所定速度範囲内にあるとの条件が含まれているとも言える。
【0134】
又、車両運転支援装置10は、図5に示したルーチンのステップ505にて「No」と判定した場合、ステップ510に処理を進め、前方車間距離DFが先行車判定距離DF_THよりも短い前方中距離判定値DF_Mよりも長いか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rは存在しないが先行車200Fは存在する場合、自車両100と先行車200Fとの間の距離(前方車間距離DF)が或る程度長いか否かを判定する。
【0135】
車両運転支援装置10は、ステップ510にて「Yes」と判定した場合、図7に示したルーチンのステップ705に処理を進め、その時点で最適加速モードが制御モードとして設定されており且つ自車速VOに対する先行車200Fの走行車速(先行車速VF)の差(前方車速差ΔVF=自車速VO-先行車速VF)が正の所定前方車速差ΔVF_THよりも大きいか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rは存在しないが先行車200Fが存在する場合において、図9の(A)に示したように、自車両100と先行車200Fとの間の距離(前方車間距離DF)が或る程度、長いときには、その時点で最適加速制御により自車両100が加速されており、自車速VOが先行車200Fの走行速度よりも速いことから、自車両100が先行車200Fに近づきつつあるか否かを判定する。
【0136】
車両運転支援装置10は、ステップ705にて「Yes」と判定した場合、ステップ710に処理を進め、制御モードを惰行モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、惰行制御が行われる。このため、自車速VOが減速される。
【0137】
一方、車両運転支援装置10は、ステップ705にて「No」と判定した場合、ステップ715に処理を進め、その時点で惰行モードが制御モードとして設定されており且つ前方車速差ΔVFが負の所定前方車速差ΔVF_THよりも小さく且つ自車速VOがエコ車速下限値VL_Eよりも遅いか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rは存在しないが先行車200Fが存在する場合において、自車両100と先行車200Fとの間の距離(前方車間距離DF)が或る程度、長く、且つ、自車両100が先行車200Fから遠ざかりつつあるときには、その時点で惰行制御が実行されていて自車両100が減速されており、自車速VOが先行車速VFよりも遅いことから、自車両100が先行車200Fから遠ざかりつつあり、しかも、その時点の自車速VOが所定車速範囲RNG_Eを外れて遅いか否かを判定する。
【0138】
車両運転支援装置10は、ステップ715にて「Yes」と判定した場合、ステップ720に処理を進め、制御モードを最適加速モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、最適加速制御が行われる。このため、自車両100が加速される。
【0139】
一方、車両運転支援装置10は、ステップ715にて「No」と判定した場合、ステップ725に処理を進め、アクセルオーバーライド状態が生じており且つドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQが駆動装置21から出力されるように駆動装置21の作動を制御したときに第1動力源211を作動することになるとの条件(加速要求条件)が成立しているか否かを判定する。
【0140】
車両運転支援装置10は、ステップ725にて「Yes」と判定した場合、ステップ730に処理を進め、制御モードを最適加速モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、最適加速制御が行われる。このため、自車両100が加速される。
【0141】
一方、車両運転支援装置10は、図7に示したルーチンのステップ725にて「No」と判定した場合、ステップ735に処理を進め、アクセルオーバーライド状態が生じているか否かを判定する。
【0142】
車両運転支援装置10は、ステップ735にて「Yes」と判定した場合、ステップ740に処理を進め、制御モードを通常走行モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、通常走行制御が実行されるように図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、通常走行制御が行われる。
【0143】
一方、車両運転支援装置10は、ステップ735にて「No」と判定した場合、ステップ745に処理を進め、制御モードを前回設定したモードに設定する。即ち、車両運転支援装置10は、制御モードをその時点の制御モードのまま維持する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、その時点で惰行制御が行われていれば、惰行制御が継続して行われ、その時点で最適加速制御が行われていれば、最適加速制御が継続して行われる。
【0144】
尚、本例においては、ステップ725において判定される加速要求条件は、アクセルオーバーライド状態が生じており且つドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQに基づいて駆動装置21の作動を制御したときに第1動力源211を作動することになるとの条件であるが、アクセルオーバーライド状態が生じているとの条件であってもよい。この場合、車両運転支援装置10は、ステップ725にて「Yes」と判定した場合、ステップ730に処理を進め、制御モードを最適加速モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、最適加速制御が行われる。一方、車両運転支援装置10は、ステップ725にて「No」と判定した場合、ステップ735の処理を行わずに、ステップ745に処理を直接進め、制御モードを前回設定したモードに設定する。即ち、車両運転支援装置10は、制御モードをその時点の制御モードのまま維持する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、その時点で惰行制御が行われていれば、惰行制御が継続して行われ、その時点で最適加速制御が行われていれば、最適加速制御が継続して行われる。これによれば、通常走行制御が実行されないので、その分、動力出力効率を高めることができる。
【0145】
このように、図5に示したルーチンのステップ510の処理、図7に示したルーチンのステップ705乃至ステップ720の処理及び図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理から判るように、これら処理が行われることにより、エコ走行支援制御により自車両100と先行車200Fとの間の距離(前方車間距離DF)が先行車判定距離DF_THと前方中距離判定値DF_Mとの間の一定の範囲(所定前方距離範囲)内に維持されるように自車両100が自律的に加減速される。
【0146】
従って、実質的には、ステップ725にて判定される加速要求条件には、エコ走行支援制御の実行時、自車両100と先行車200Fとの間の距離が所定前方距離範囲内にあるとの条件が含まれているとも言える。
【0147】
又、車両運転支援装置10は、図5に示したルーチンのステップ510にて「No」と判定した場合、ステップ515に処理を進め、前方車間距離DFが前方中距離判定値DF_Mよりも短い前方近距離判定値DF_Sよりも長いか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rは存在しないが先行車200Fは存在する場合において、図9の(B)に示したように、自車両100と先行車200Fとの間の距離(前方車間距離DF)が或る程度長くないときには、自車両100と先行車200Fとの間の距離が非常に短くはないか否かを判定する。
【0148】
車両運転支援装置10は、ステップ515にて「Yes」と判定した場合、ステップ520に処理を進め、制御モードを惰行モードに設定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rは存在しないが先行車200Fは存在する場合において、自車両100と先行車200Fとの間の距離(前方車間距離DF)が或る程度長くはないが、図10の(A)に示したように、自車両100と先行車200Fとの間の距離が非常に短くはないときには、制御モードを惰行モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、惰行制御が行われる。このため、自車両100が減速される。
【0149】
一方、車両運転支援装置10は、図5に示したルーチンのステップ515にて「No」と判定した場合、処理をステップ525に進め、制御モードを車間維持モードに設定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rは存在しないが先行車200Fは存在する場合において、図10の(B)に示したように、自車両100と先行車200Fとの間の距離が非常に短いときには、制御モードを車間維持モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、通常追従走行制御が行われる。
【0150】
又、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ415にて「No」と判定した場合、ステップ420に処理を進め、前方車間距離DFが先行車判定距離DF_THよりも長いか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、走行支援実行条件が成立し且つエコ走行実行条件が成立している場合において、後続車200Rが存在するときには、先行車200Fが存在しないか否かを判定する。
【0151】
車両運転支援装置10は、ステップ420にて「Yes」と判定した場合、図8に示したルーチンのステップ805に処理を進め、後方車間距離DRが後続車判定距離DR_THよりも短い後方近距離判定値DR_Sよりも長いか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rは存在するが先行車200Fは存在しないときには、後続車200Rが自車両100に非常に近いところを走行しているか否かを判定する。
【0152】
車両運転支援装置10は、ステップ805にて「Yes」と判定した場合、ステップ810に処理を進め、その時点で惰行モードが制御モードとして設定されており且つ自車速VOに対する後続車200Rの走行速度(後続車速VR)の差(後方車速差ΔVR=自車速VO-後続車速VR)が負の所定後方車速差ΔVR_THよりも小さく且つ自車速VOがエコ車速上限値VU_Eよりも遅いか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rは存在するが先行車200Fは存在しない場合において、図11の(A)に示したように、後続車200Rが自車両100に非常に近いところを走行していないときには、その時点で惰行制御が実行されていて自車両100が減速されており、自車速VOが後続車速VRよりも遅いことから、後続車200Rが自車両100に近づきつつあり、しかも、その時点の自車速VOが所定車速範囲RNG_Eを外れて速いか否かを判定する。
【0153】
車両運転支援装置10は、ステップ810にて「Yes」と判定した場合、ステップ815に処理を進め、制御モードを最適加速モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、最適加速制御が行われる。このため、自車両100が加速される。
【0154】
一方、車両運転支援装置10は、ステップ810にて「No」と判定した場合、ステップ820に処理を進め、アクセルオーバーライド状態が生じており且つドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQに基づいて駆動装置21の作動を制御したときに第1動力源211を作動することになるとの条件(加速要求条件)が成立しているか否かを判定する。
【0155】
車両運転支援装置10は、ステップ820にて「Yes」と判定した場合、ステップ825に処理を進め、制御モードを最適加速モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、最適加速制御が行われる。このため、自車両100が加速される。
【0156】
一方、車両運転支援装置10は、図8に示したルーチンのステップ820にて「No」と判定した場合、ステップ830に処理を進め、アクセルオーバーライド状態が生じているか否かを判定する。
【0157】
車両運転支援装置10は、ステップ830にて「Yes」と判定した場合、ステップ835に処理を進め、制御モードを通常走行モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、通常走行制御が実行されるように図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、通常走行制御が行われる。
【0158】
一方、車両運転支援装置10は、ステップ830にて「No」と判定した場合、ステップ840に処理を進め、制御モードを前回設定したモードに設定する。即ち、車両運転支援装置10は、制御モードをその時点の制御モードのまま維持する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、その時点で惰行制御が行われていれば、惰行制御が継続して行われ、その時点で最適加速制御が行われていれば、最適加速制御が継続して行われる。
【0159】
尚、本例においては、ステップ820において判定される加速要求条件は、アクセルオーバーライド状態が生じており且つドライバー要求駆動トルクDTQ_D_RQに基づいて駆動装置21の作動を制御したときに第1動力源211を作動することになるとの条件であるが、アクセルオーバーライド状態が生じているとの条件であってもよい。この場合、車両運転支援装置10は、ステップ820にて「Yes」と判定した場合、ステップ825に処理を進め、制御モードを最適加速モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、最適加速制御が行われる。一方、車両運転支援装置10は、ステップ820にて「No」と判定した場合、ステップ830の処理を行わずに、ステップ840に処理を直接進め、制御モードを前回設定したモードに設定する。即ち、車両運転支援装置10は、制御モードをその時点の制御モードのまま維持する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、その時点で惰行制御が行われていれば、惰行制御が継続して行われ、その時点で最適加速制御が行われていれば、最適加速制御が継続して行われる。これによれば、通常走行制御が実行されないので、その分、動力出力効率を高めることができる。
【0160】
このように、図8に示したルーチンのステップ805乃至ステップ815の処理及び図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理から判るように、これら処理が行われることにより、エコ走行支援制御により自車両100と後続車200Rとの間の距離(後方車間距離DR)が後続車判定距離DR_THと後方近距離判定値DR_Sとの間の一定の範囲(所定後方距離範囲)内に維持されるように自車両100が自律的に加減速される。
【0161】
従って、実質的には、ステップ820にて判定される加速要求条件には、エコ走行支援制御の実行時、自車両100と後続車200Rとの間の距離が所定後方距離範囲内にあるとの条件が含まれているとも言える。
【0162】
又、車両運転支援装置10は、図8に示したルーチンのステップ805にて「No」と判定した場合、ステップ845に処理を進め、自車速VOがエコ車速上限値VU_Eよりも遅いか否かを判定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rは存在するが先行車200Fは存在しない場合において、図11の(B)に示したように、後続車200Rが自車両100に非常に近いところを走行しているときには、自車速VOがエコ車速上限値VU_Eよりも遅いか否かを判定する。
【0163】
車両運転支援装置10は、ステップ845にて「Yes」と判定した場合、ステップ850に処理を進め、制御モードを最適加速モードに設定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rは存在するが先行車200Fは存在しない場合において、後続車200Rが自車両100に非常に近いところを走行しているわけではなく、且つ、自車速VOがエコ車速上限値VU_Eよりも遅いときには、制御モードを最適加速モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、最適加速制御が行われる。このため、自車両100が加速される。
【0164】
一方、車両運転支援装置10は、図8に示したルーチンのステップ845にて「No」と判定した場合、処理をステップ855に進め、制御モードを車間維持モードに設定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rは存在するが先行車200Fは存在しない場合において、後続車200Rが自車両100に非常に近いところを走行しているわけではなく、且つ、自車速VOが所定車速範囲RNG_Eを外れて速いときには、制御モードを車間維持モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、通常定常走行制御が行われる。
【0165】
又、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ420にて「No」と判定した場合、ステップ425に処理を進め、制御モードを車間維持モードに設定する。即ち、車両運転支援装置10は、後続車200Rも先行車200Fも存在するときには、制御モードを車間維持モードに設定する。以降、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンのステップ430乃至ステップ450の処理を実行した後、ステップ495に処理を進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。これにより、通常追従走行制御が行われる。
【0166】
<効果>
以上説明した車両運転支援装置10によれば、エコ走行支援制御の実行中にアクセルオーバーライド状態が生じたときに即座に通常走行制御が実行されるのではなく、エコ走行支援制御が継続される。このため、自車両100を走行させるための駆動装置21の動力出力効率を高い効率に維持することができる。
【0167】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0168】
10…車両運転支援装置、21…駆動装置、41…アクセルペダル、90…ECU、100…自車両、200F…先行車、200R…後続車、211…第1動力源、212…第2動力源

図1
図2
図3
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図11