(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】分割形端子台
(51)【国際特許分類】
H01R 9/24 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
H01R9/24
(21)【出願番号】P 2021190202
(22)【出願日】2021-11-24
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小浦 直洋
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-010476(JP,U)
【文献】特開平05-174888(JP,A)
【文献】実開昭63-082383(JP,U)
【文献】実開昭58-176377(JP,U)
【文献】米国特許第3088091(US,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2009-0010496(KR,U)
【文献】特開平11-238537(JP,A)
【文献】特開2015-138686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に第1端子を取り付け可能な第1端子取付部を有し、側面に前記第1端子取付部と電気的に接続された凸部を有し、前記凸部は後面方向に延設している、第1端子基板と、
前面に第2端子を取り付け可能な第2端子取付部を有し、側面に前記第2端子取付部と電気的に接続された凹部を有する第2端子基板と、を備え、
前記第1端子基板の側面と前記第2端子基板の側面とが対向した状態で前記凸部と前記凹部は嵌合可能であり、
前記第1端子基板の後面と前記第2端子基板の後面とが対向した状態で前記凸部の延設部分と前記凹部は嵌合可能であること、
を特徴とする分割形端子台。
【請求項2】
前記第1端子基板の前記凸部は、頂側の底面積が根元側の底面積よりも大きい四角柱であり、
前記第1端子基板と前記第2端子基板は、前記第1端子基板および前記第2端子基板の前面方向または後面方向から、前記凸部を前記凹部に挿入することにより接続可能であること、
を特徴とする請求項1に記載の分割形端子台。
【請求項3】
前記第1端子基板の前記凸部は、着脱自在であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の分割形端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分割形端子台に関し、特に入出力分割形の断路機能付き端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されるように、1つの基板上に、所定間乖離して左右に取り付けられた第1端子設置部および第2端子設置部を備えた端子台が知られている。当該端子台は、第1端子設置部に取り付けられた第1端子と第2端子設置部に取り付けられた第2端子との間を短絡、開放する可動接触子を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した端子台では、1つの基板上の左右それぞれに配線が接続されるため、端子台の設置に広いスペースが必要であった。また、端子台は複数列並べられることが多々あり、その場合、隣の端子台の配線同士が干渉し合うことがあった。必要に応じて端子台の占有スペースを小さくでき、隣の端子台との配線同士の干渉を軽減できることが望まれる。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、必要に応じて端子台の占有スペースを小さくでき、隣の端子台との配線同士の干渉を軽減できる分割形端子台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点は、分割形端子台に関連する。
分割形端子台は、第1端子基板と第2端子基板とを備える。
前記第1端子基板は、前面に第1端子を取り付け可能な第1端子取付部を有し、側面に前記第1端子取付部と電気的に接続された凸部を有する。前記凸部は後面方向に延設している。
前記第2端子基板は、前面に第2端子を取り付け可能な第2端子取付部を有し、側面に前記第2端子取付部と電気的に接続された凹部を有する。
前記第1端子基板の側面と前記第2端子基板の側面とが対向した状態で前記凸部と前記凹部は嵌合可能である。
前記第1端子基板の後面と前記第2端子基板の後面とが対向した状態で前記凸部の延設部分と前記凹部は嵌合可能である。
【0007】
第2の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。
前記第1端子基板の前記凸部は、頂側の底面積が根元側の底面積よりも大きい四角柱である。
前記第1端子基板と前記第2端子基板は、前記第1端子基板および前記第2端子基板の前面方向または後面方向から、前記凸部を前記凹部に挿入することにより接続可能である。
【0008】
第3の観点は、第1又は2の観点に加えて、次の特徴を更に有する。
前記第1端子基板の前記凸部は、着脱自在である。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る分割形端子台によれば、基板を2分割し、第1端子基板と第2端子基板との組み合わせ方を、配線を一方向に纏めるタイプと、配線を両サイドに分けるタイプとを選択して切り替えることができる。配線を一方向に纏めるタイプの接続方式によれば、配線が一方向に整理され、端子台の占有スペースを小さくでき、隣の端子台との配線同士の干渉を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る分割形端子台の構成を説明するための全体図である。
【
図2】実施の形態1に係る分割形端子台の構成を説明するための拡大図である。
【
図3】実施の形態1に係る分割形端子台における、配線一方向接続タイプの接続方式について説明するための図である。
【
図4】実施の形態1に係る分割形端子台における、配線一方向接続タイプの接続方式について説明するための図である。
【
図5】実施の形態1に係る分割形端子台における、配線両サイド接続タイプの接続方式について説明するための図である。
【
図6】実施の形態1に係る分割形端子台における、配線両サイド接続タイプの接続方式について説明するための図である。
【
図7】実施の形態1に係る分割形端子台の変形例を説明するための図である。
【
図8】実施の形態2に係る分割形端子台の構成を説明するための図である。
【
図9】実施の形態2に係る分割形端子台の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0012】
実施の形態1.
1.分割形端子台の構成
図1は、実施の形態に係る分割形端子台の構成を説明するための全体図である。
図1に示す分割形端子台1は、制御盤や配電盤などの電子機器盤の内部に設置される。
分割形端子台1は、合成樹脂等の電気絶縁材からなる第1端子基板10と第2端子基板20を備える2分割式の端子台である。第1端子基板10および第2端子基板20のいずれか一方は入力用端子台として、他方は出力用端子台として用いられる。
例えば第1端子基板10および第2端子基板20それぞれの形状は略直方体である。第1端子基板10の前面を、第1端子基板10の第1面とも記す。第1端子基板10の側面は、第1端子基板10の第1面と略直交する面であり、第1端子基板10の第2面とも記す。第1端子基板10の後面すなわち第1端子基板10の第1面と対向する面を、第1端子基板10の第3面とも記す。第2端子基板20の前面を、第2端子基板20の第1面とも記す。第2端子基板20の側面は、第2端子基板20の第1面と略直交する面であり、第2端子基板20の第2面とも記す。第2端子基板20の後面すなわち第2端子基板20の第1面と対向する面を、第2端子基板20の第3面とも記す。
【0013】
第1端子基板10の前面には、導体性金属材からなる複数の第1端子取付部11が設けられている。第1端子取付部11は、導電性金属材からなる第1端子12を取り付け可能に構成されている。
【0014】
第2端子基板20の前面には、導体性金属材からなる複数の第2端子取付部21が設けられている。第2端子取付部21は、導電性金属材からなる第2端子22を取り付け可能に構成されている。
【0015】
図2は、実施の形態1に係る分割形端子台の構成を説明するための拡大図である。
一例として、第1端子12は圧着端子である。第1端子12の端子部12aは、ネジ等の締結具により第1端子取付部11に固定される。圧着部12bは電線13に接続している。
【0016】
第1端子基板10の側面には、内部導体14を介して第1端子取付部11と電気的に接続された導体性金属材からなる凸部15が設けられている。凸部15は第1端子基板10の後面方向に(第1端子基板10の第1面と反対方向)延設している。
【0017】
一例として、第2端子22は圧着端子である。第2端子22の端子部22aは、ネジ等の締結具により第2端子取付部21に固定される。圧着部22bは電線23に接続している。
【0018】
第2端子基板20の側面には、内部導体24を介して第2端子取付部21と電気的に接続された導体性金属材からなる凹部25が設けられている。凹部25は、その底面のみが導体であってもよいし、側面および底面が導体であってもよい。
【0019】
上述した凸部15と凹部25が噛み合うことで、第1端子12と第2端子22とが電気的に接続される。
【0020】
2.第1端子基板と第2端子基板との接続形態
本開示に係る分割形端子台1は、第1端子基板10および第2端子基板20を、「配線一方向接続タイプ」と「配線両サイド接続タイプ」の2種類の組み合わせ方を選択して使用することができる。
【0021】
(配線一方向接続タイプ)
図3は、分割形端子台1の配線一方向接続タイプの接続方式について説明するための図である。
図3の(A)は分割形端子台1を第1端子基板10の前面側から見た図である。
図3の(B)は分割形端子台1を第1端子基板10の後面側から見た図である。
【0022】
図3に示すように、第1端子基板10の後面と第2端子基板20の後面とが対向した状態で凸部15の延設部分と凹部25は嵌合可能である。2つの基板をこのように組み合わせることで、第1端子12と第2端子22とが電気的に接続される。
すなわち、第1端子基板10の第3面と第2端子基板20の第3面とが向かい合わせとなり、凸部15の延設部分と凹部25は嵌合されている。第1端子基板10と第2端子基板20の結合は、図示されないネジ等やその他の補強構造により、容易に第1端子12と第2端子22との電気的接続および、第1端子基板10の第3面と第2端子基板20の第3面との物理的組み合わせが分離されないようにしてもよい。
【0023】
図3に示すように、第1端子基板10および第2端子基板20を組み合わせることで、端子台自身の横幅が狭まり、かつ、配線(電線13および23)が一方向に揃えられ、配線を整理することができる。そのため、端子台および配線のための占有スペースを節約できる。また、複数の端子台が並列される場合に、隣の端子台との配線同士の干渉を軽減できる。また、配線が整理されることで、改造時に作業の邪魔にならない。また、配線一方向接続タイプの接続形式においても、第1端子基板10の裏側に配置される第2端子基板20の配線番号や端子台のゆるみは確認可能である。
【0024】
なお、配線一方向接続タイプにおいては、導体部である凸部15がむき出しになるため、凸部15を覆うための合成樹脂等の電気絶縁材のカバーを取り付けることが望ましい。例えば、カバーは、
図3の右方向から差し込んで、電線13および23を有する側面以外の面を保護可能な、一面が開口した中空の直方体状のケースである。
【0025】
図4は、配線一方向接続タイプにおける断路状態を示す図である。
図4に示すように、対向した第1端子基板10の裏面と第2端子基板20の裏面とをスライドさせることで断路可能である。改造時や回路不使用時には断路状態にできる断路機能を有することで利便性が向上する。
【0026】
(配線両サイド接続タイプ)
図5は、分割形端子台1の、配線両サイド接続タイプの接続方式について説明するための図である。
【0027】
図5に示すように、第1端子基板10の側面と第2端子基板20の側面とが対向した状態で凸部15と凹部25は嵌合可能である。2つの基板をこのように組み合わせることで、第1端子12と第2端子22とが電気的に接続される。
すなわち第1端子基板10の第2面と、第2端子基板20の第2面とが向かい合わせとなり、凸部15と凹部25は嵌合されている。第1端子基板10と第2端子基板20の結合は、図示されないネジ等やその他の補強構造により、容易に第1端子12と第2端子22との電気的接続および、すなわち第1端子基板10の第2面と第2端子基板20の第2面との物理的組み合わせが分離されないようにしてもよい。
【0028】
図5に示すように、第1端子基板10および第2端子基板20を組み合わせることで、上述した配線一方向接続タイプに比して、端子台の奥行きを小さくすることができる。また、配線両サイド接続タイプは、従来の配線形式であるため、既存設備への適用が容易である。
【0029】
図6は、配線両サイド接続タイプにおける断路状態を示す図である。
図6に示すように対向した第1端子基板10の側面と第2端子基板20の側面とを引き離すことで断路可能である。改造時や回路不使用時には断路状態にできる断路機能を有することで利便性が向上する。
【0030】
3.効果
以上説明したように、実施の形態1に係る分割形端子台1によれば、端子台を入力分と出力分で2分割することで、接続される配線方向を自由に設定できる。特に、配線一方向接続タイプの接続形式によれば、端子台に接続される配線を一方向に整理でき、また端子台自身の占有スペースを小さくできる。配線が整理されることで、改造時に配線が邪魔にならずに作業ができる。占有スペースが小さくなる分、他機器を設置するなど盤内を有効活用できる。
【0031】
4.変形例
ところで、上述した実施の形態1の分割形端子台においては、凸部15を直方体状としているが、凸部15の形状はこれに限定されるものではない。例えば、凸部15の形状は、
図7に示す凸部15aのような断面が台形の四角柱であってもよい。凸部15aは、頂側の底面積が根元側の底面積よりも大きい四角柱である。凹部25aは、凸部15aに適合した形状である。第1端子基板10と第2端子基板20は、第1端子基板10および第2端子基板20の前面方向または後面方向から、凸部15aを凹部25aに挿入することにより接続可能である。
【0032】
実施の形態2.
次に、
図8および
図9を参照して実施の形態2について説明する。以下の説明において実施の形態1と共通する要素については説明を省略する。
【0033】
上述した実施の形態1においては、第1端子基板10に複数設けられた凸部15は、第1端子基板10の側面に形成されている。ところで、断路機能としては端子毎に断路できることが望ましい。そこで、実施の形態2に係る分割形端子台では、凸部15が第1端子基板10と着脱自在であることとした。
【0034】
図8は、実施の形態2に係る分割形端子台の構成を説明するための図である。
図8の(A)に示すように、凸部15の一部は、第1端子基板10の側面に着脱可能に埋め込まれている。
図8の(B)に示すように、第1端子基板10の側面と凸部15との間の摩擦力よりも強い力により引き抜かれることで、凸部15は第1端子基板10から分離する。
【0035】
これによれば、実施の形態2に係る分割形端子台は、第1端子基板10に取り付けられた凸部15aを必要に応じて取り外すことで、第1端子12毎に断路させることができる。
【0036】
ところで、上述した実施の形態1のシステムにおいては、凸部15を直方体状としているが、凸部15の形状はこれに限定されるものではない。例えば、第1端子基板10と着脱自在であれば、
図9に示す凸部15cのような形状であってもよい。凸部15cの右半分は、上述した
図7の断面が台形の四角柱である凸部15aと同形状である。このとき第2端子基板20には
図7の凹部25aが用いられる。また、凸部15cの左半分は、第1端子基板10の側面に対して凸部15aと面対称な形状である。凸部15cの左半分は、第1端子基板10に設けられた凸部15cの左半分に適合するように、凹部25aと同形状の穴に嵌合している。凸部15aは、第1端子基板10の前面方向または後面方向に引き抜くことが可能である。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数にこの発明が限定されるものではない。また、上述した実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
【符号の説明】
【0038】
1 分割形端子台
10 第1端子基板
11 第1端子取付部
12 第1端子
12a 端子部
12b 圧着部
13 電線
14 内部導体
15、15a、15c 凸部
20 第2端子基板
21 第2端子取付部
22 第2端子
22a 端子部
22b 圧着部
23 電線
24 内部導体
25、25a 凹部