(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス素子、その製造方法及び表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 71/13 20230101AFI20240528BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240528BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240528BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
H10K71/13
H10K59/10
G09F9/30 365
G09F9/00 338
(21)【出願番号】P 2021562565
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 JP2020043357
(87)【国際公開番号】W WO2021111898
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2019220850
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業、総括実施型研究(ERATO)「磯部縮退π集積プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉 倫生
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼ 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】磯部 寛之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宗太
(72)【発明者】
【氏名】池本 晃喜
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-243562(JP,A)
【文献】特開2001-189193(JP,A)
【文献】特開2000-188180(JP,A)
【文献】特開2000-228283(JP,A)
【文献】特開2013-089524(JP,A)
【文献】COENEN, Michiel et al.,Inkjet printing the three organic functional layers of two-colored organic light emitting diodes,Thin Solid Films,2015年,583,194-200
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/10
H10K 59/10
H05B 33/10
G09F 9/30
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の陽極と陰極との間に一つ又は複数の有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
表示エリア全体に連続相として存在する有機機能層を有し、
前記有機機能層が含有するホスト化合物のうち90%以上が低分子ホスト化合物であり、
当該有機機能層の面内方向及び厚さ方向に、発光性化合物が濃度勾配を有して含有されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
前記有機機能層の前記面内方向において、前記濃度勾配の繰り返しパターンを複数有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記有機機能層の前記面内方向において、最大発光輝度が最小発光輝度の2倍以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記面内方向において、前記発光性化合物がドット形状で存在することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
前記発光性化合物が、複数種の異なる発光性化合物からなることを特徴とする請求項1項から請求項4までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記面内方向において、同色光を発するドットが隣接して存在することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
少なくとも一対の陽極と陰極との間に一つ又は複数の有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって
前記一対の陽極と陰極とを、それぞれ個別に形成する工程のほかに、
前記陽極又は前記陰極の上に、表示エリア全体に連続相として存在する有機機能層を形成する工程1と、
発光性化合物を含有する溶液を前記有機機能層上へ滴下し、当該発光性化合物が
面内方向及び厚さ方向に濃度勾配を有して含有される有機機能層を形成する工程2と
、を有し、
前記有機機能層が含有するホスト化合物のうち90%以上が低分子ホスト化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項8】
さらに、前記発光性化合物を含有する有機機能層上に第2有機機能層を形成する工程3を有することを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項9】
前記発光性化合物を含有する溶液を前記有機機能層上へ滴下する方法が、インクジェット・プリント法であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項10】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、その製造方法及び表示装置に関する。より詳しくは、画素電極を必要としないシンプルな表示方式において、ドット発光により面内ムラ及び混色等を防止した有機エレクトロニクスミネッセンス素子等に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、各画素を個別駆動するための薄膜トランジスタ(thin film transistor;「TFT」と略記する。)や画素電極を必要とするため、構成が非常に複雑である。また、それに伴う煩雑な製造工程を有するため、歩留まりが悪いという大きな問題を有する。
近年、材料の使用効率向上を目的として、発光層(「emission layer;「EML」と略記する。」等をインクジェット・プリント法により製造する方法が提案されているが、個々の画素電極に合わせてインクジェット塗布する必要があり、前記の問題を更に助長する結果となっている(例えば特許文献1、2、3及び4参照。)。
【0003】
これらの大きな問題を解決する方式として、TFTや画素電極を形成することなくインクジェット・プリント法を用いて有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」又は「「OLED」と略記する。:organic lightemitting diode:」ともいう。)を作製する方法が提案されている(例えば非特許文献1参照。)。当該非特許文献1では、簡単構成のディスプレイを作製する方式として、一対の電極間に複数のホスト化合物と発光性化合物(以下において、「エミッター」ともいう。)の混合膜を面内方向に配置したマルチカラー表示方式が提案されている。本例は、TFTや個別画素電極を必要としないため、歩留まりの問題を解決することができる。さらに、個別電極の解像度や開口率(個別電極面積)に依存すること無く画像を形成できるという点で画期的な方式である。
【0004】
一方で、非特許文献1は、一対の電極間に複数のホスト化合物と発光性化合物の混合膜を面内方向に配置した構成であるため、発光性化合物(エミッター)間での材料混合が発生し混色する、膜の均一性確保が難しく輝度むらが発生する、等の問題を有することが、本発明者らの検討で分かった。
したがって、一対の電極を用いたフルカラー表示方式において、面内ムラが無く、また高精細画像作成時においても混色を防止することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-271753号公報
【文献】特開2006-223954号公報
【文献】特開平11-54270号公報
【文献】特開2001-189193号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Michiel J.J.Coenen et al;Inkjet printing the three organic functional layers of two-colored organic light emitting diode;Thin Solid Films 583(2015)194-200
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、一対の電極を用いたフルカラー表示方式において、面内ムラが無く、また高精細画像作成時においても混色を防止することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子、その製造方法及び当該有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく、発光層におけるホスト化合物と発光性化合物との相互の好ましい存在状態を検討する過程において、予め形成したホスト化合物含有層表面上に、発光性化合物を含む溶液を滴下することで、発光性化合物をホスト化合物含有層表面上に濃度勾配のあるドット状になるように含有させることにより、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
【0009】
1.少なくとも一対の陽極と陰極との間に一つ又は複数の有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
表示エリア全体に連続相として存在する有機機能層を有し、
前記有機機能層が含有するホスト化合物のうち90%以上が低分子ホスト化合物であり、
当該有機機能層の面内方向及び厚さ方向に、発光性化合物が濃度勾配を有して含有されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0010】
2.前記有機機能層の前記面内方向において、前記濃度勾配の繰り返しパターンを複数有することを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0011】
3.前記有機機能層の前記面内方向において、最大発光輝度が最小発光輝度の2倍以上であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0012】
4.前記面内方向において、前記発光性化合物がドット形状で存在することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0013】
5.前記発光性化合物が、複数種の異なる発光性化合物からなることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0014】
6.前記面内方向において、同色光を発するドットが隣接して存在することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0015】
7.少なくとも一対の陽極と陰極との間に一つ又は複数の有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって
前記一対の陽極と陰極とを、それぞれ個別に形成する工程のほかに、
前記陽極又は前記陰極の上に、表示エリア全体に連続相として存在する有機機能層を形成する工程1と、
発光性化合物を含有する溶液を前記有機機能層上へ滴下し、当該発光性化合物が面内方向及び厚さ方向に濃度勾配を有して含有される有機機能層を形成する工程2と、を有し、
前記有機機能層が含有するホスト化合物のうち90%以上が低分子ホスト化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【0016】
8.さらに、前記発光性化合物を含有する有機機能層上に第2有機機能層を形成する工程3を有することを特徴とする第7項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【0017】
9.前記発光性化合物を含有する溶液を前記有機機能層上へ滴下する方法が、インクジェット・プリント法であることを特徴とする第7項又は第8項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【0018】
10.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたことを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明の上記手段により、一対の電極を用いたフルカラー表示方式において、面内ムラが無く、また高精細画像作成時においても混色を防止することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子、その製造方法及び当該有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置を提供することができる。
【0020】
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
【0021】
本発明においては、表示エリア全体に連続相として存在する有機機能層をベース(基盤)として、例えば、ホスト化合物を含有する有機機能層をベースとして、その表面上に、発光性化合物が濃度勾配を有するように含有させる。例えば、インクジェット・プリント法により、少なくとも発光性化合物からなるドットが形成されるように、発光性化合物含有液を有機機能層(ベース)上に着弾・付着させ、当該ドットの集合体としての発光性化合物の層(以下において、「エミッター・ドット層」という。)を形成する。
【0022】
前記特許文献1、2及び3に示されるホスト化合物と発光性化合物を含む溶液とは異なり、発光性化合物を主な溶質としたインクジェット溶液を用いることで、滴下後の発光性化合物の広がりが少ないため、バンクを形成する必要がなく、かつ、面内ムラの形成を防止できると推察される。また、面内ムラが無いため、高精細画像作成時においても混色を防止することも可能になると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】有機EL表示装置と有機EL素子の断面を示す模式図
【
図2】有機EL素子に電圧を印加したときの分光発光分布を示す図(A)と光学顕微鏡写真図(B)
【
図3】発光性化合物を含有するドット位置と輝度の関係を示す図(A)と輝度の最大値と最小値を示す図(B)
【
図4】有機EL素子に電圧を印加したときの分光発光分布を示す図(A)と光学顕微鏡写真図(B)
【
図5】発光性化合物を含有するドット位置と輝度の関係を示す図(A)と輝度の最大値と最小値を示す図(B)
【
図6】有機EL素子に電圧を印加したときの分光発光分布を示す図(A)と光学顕微鏡写真図(B)
【
図7】発光性化合物を含有するドット位置と輝度の関係を示す図(A)と輝度の最大値と最小値を示す図(B)
【
図8】有機EL素子に電圧を印加したときの光学顕微鏡写真図
【
図9】有機EL表示装置と有機EL素子の断面を示す模式図
【
図10】比較例の有機EL素子に電圧を印加したときの光学顕微鏡写真図(A)と位置と輝度の関係を示す図(B)及び輝度の最大値と最小値を示す図(C)
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも一対の陽極と陰極との間に一つ又は複数の有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、表示エリア全体に連続相として存在する有機機能層を有し、当該有機機能層の面内方向及び厚さ方向に、発光性化合物が濃度勾配を有して含有されていることを特徴とする。この特徴は、下記実施態様に共通する又は対応する技術的特徴である。
【0025】
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記有機機能層の前記面内方向において、前記濃度勾配の繰り返しパターンを複数有することが好ましい。
また、前記有機機能層の前記面内方向において、最大発光輝度が最小発光輝度の2倍以上であることが好ましい。さらに、前記面内方向において、前記発光性化合物がドット形状で存在することが、ムラの無い輝度の再現性及び精度の観点から好ましい。
多色の発光をさせる場合は、前記発光性化合物が、複数種の異なる発光性化合物からなることが好ましい。また、前記面内方向において、同色光を発するドットが隣接して存在することが好ましい。
【0026】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、少なくとも一対の陽極と陰極との間に一つ又は複数の有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記一対の陽極と陰極とを、それぞれ個別に形成する工程のほかに、少なくとも電極面上に表示エリア全体に連続相として存在する有機機能層を形成する工程1と、発光性化合物を含有する溶液を前記有機機能層上へ滴下し、当該発光性化合物が濃度勾配を有して含有される有機機能層を形成する工程2とを有することを特徴とする。
【0027】
本発明の実施形態としては、さらに、前記発光性化合物を含有する有機機能層上に第2有機機能層を形成する工程3を有することが好ましい。また、前記発光性化合物を含有する溶液を前記有機機能層上へ滴下する方法が、インクジェット・プリント法であることが、簡便でかつバンクの形成を必要としない点で、好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、表示装置に好適に用いることができる。
【0028】
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
【0029】
《本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の概要》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)は、少なくとも一対の陽極と陰極との間に一つ又は複数の有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、表示エリア全体に連続相として存在する有機機能層を有し、当該有機機能層の面内方向及び厚さ方向に、発光性化合物が濃度勾配を有して含有されていることを特徴とすることを特徴とする。
【0030】
ここで、「表示エリア全体に連続相として存在する有機機能層」とは、例えば、有機EL素子の発光層を構成するホスト化合物が、発光層の発光領域表面上の全体に亘って連続的な固相(化学組成及び物理的状態が全体的かつ実質的に一様な固相)として存在することをいう。
また、「発光性化合物が濃度勾配を有して含有されている」とは、上記連続相として存在する有機機能層上に、発光性化合物が連続的に均一濃度で付着又は含有されているのではなく、有機機能層表面を構成する各微視的場所に対して発光性化合物が均一でない濃度で断続的に付着し、例えば点状(ドット状)又は島状になって付着・含有されることをいう。
【0031】
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記有機機能層の前記面内方向において、最大発光輝度が最小輝度の2倍以上であることが好ましい。
また、前記面内方向において、前記発光性化合物がドット形状で存在することが、ムラの無い輝度の再現性及び精度の観点から好ましい。さらに、多色の発光をさせる場合は、前記発光性化合物が、複数種の異なる発光性化合物からなることが好ましい。
以下、本発明に係る各構成要素について、順次詳細な説明をする。
【0032】
《有機EL素子の構成層》
下記各種構成層の説明において、「エミッター・ドット層」とは、例えば、
図6(B)に示すような、有機機能層表面上に形成された少なくとも発光性化合物(エミッター)を主成分として含有する点(ドット)状領域(ドメイン)の集合体からなる層をいう。ただし、適宜、個々の点(ドット)状領域をエミッター・ドット層と称することもある。
なお、少なくとも発光性化合物を主成分として含有する層であって、連続相として形成された層は、「エミッター層」と称する。
また、「ホスト層」とは、少なくともホスト化合物を主成分として含有する層をいう。
【0033】
以下、各種層構成例を示す。
(i)陽極/発光層(ホスト層A/エミッター・ドット層/ホスト層B)/陰極
(ii)陽極/正孔注入層/発光層(ホスト層A/エミッター・ドット層/ホスト層B)/電子注入層/陰極
(iii)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層(ホスト層A/エミッター・ドット層
/ホスト層B)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(iv)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/(ホスト層A/電子阻止層/エミッター・ドット層/正孔阻止層/ホスト層B)/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0034】
《有機機能層》
「有機機能層」とは、所定の機能を発現する有機化合物を含有する層をいう。単に、「有機化合物層」又は「有機層」ともいう。
本発明の有機EL素子を構成する有機機能層としては、例えば、上記の層構成の中で、正孔輸送層、発光層(ホスト層及びエミッター・ドット層を含む。)、電子輸送層等が挙げられるが、その他、正孔注入層、電子注入層等、有機EL素子の構成層に含有される有機化合物が含有されていれば、本発明に係る有機機能層として定義される。
【0035】
さらに、陽極バッファー層、陰極バッファー層等に有機化合物が用いられる場合には、陽極バッファー層、陰極バッファー層等も、各々有機機能層を形成していることになる。
なお、前記有機機能層には、『有機EL素子の構成層に使用可能な有機EL素子材料』等を含有する層も含まれる。
【0036】
本発明の有機EL素子においては、青色発光の発光極大波長は430~480nmにあるものが好ましく、緑色発光は発光極大波長が500~550nm、赤色発光は発光極大波長が600~640nmの範囲にあることが好ましく、これらを用いた表示装置であることが好ましい。
以下において、本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
【0037】
《発光層》
本発明に係る発光層は、ホスト層Aとエミッター・ドット層とホスト層Bからなる構成であることが好ましい。ホスト層Aは正孔注入層から注入されてくる正孔をエミッター・ドット層へ輸送し、ホストB層は電子注入層から注入されてくる電子をエミッター・ドット層へ輸送する。その結果、エミッター・ドット層で電子及び正孔が再結合して発光する。再結合する位置は、エミッター・ドット層内であってもホスト層との界面であってもよい。
【0038】
ホスト層AとBの層厚は、特に制限はないが、層の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、それぞれ10nm~1μmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは20~100nmの範囲である。
ホスト層AとBの作製には、後述するホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により成膜して形成することができる。
【0039】
本発明の有機EL素子の発光層は、ホスト層(A及びB)にはホスト化合物を少なくとも1種類を含有し、エミッター・ドット層には発光性化合物(発光ドーパント;リン光発光性ドーパント(「リン光発光性ドーパント」ともいう。)や蛍光発光性ドーパント等)の少なくとも1種類を含有することが好ましい。また、後述する正孔輸送材料や電子輸送材料を混合して用いても良い。
【0040】
ホスト化合物としては、下記に示す従来公知のものが使用できる。又は、一種類ではなく複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。
従来公知のホスト化合物としては、正孔輸送能及び電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度(Tg)である化合物が好ましい。
【0041】
さらに、ホスト化合物としては、低分子ホスト化合物であることが望ましい。高分子ホスト化合物を用いた場合、一般的に駆動電圧高くなることが知られている(特開平3-171590号公報参照)。また、分子量が大きいため真空蒸着できない、粘度が高いためインクジェットやディスペンサーのようなノズルを用いた塗布プロセスに制約があるなど、製造プロセス面での問題も有する。
【0042】
一対の共通電極で複数の異なる材料を発光させる本方式において、駆動電圧が高くなることは、特に好ましくない。異なる材料間において、必要な輝度を確保するための電圧差が大きくなり、材料間における輝度ムラが大きくなってしまうという問題に繋がるためである。
【0043】
以上の理由より、低分子ホストの割合は、ホスト全体の50%以上であることが好ましく、更には90%以上であることが好ましい。50%以上では電圧差を低減でき、90%以上でほぼ解消することが可能となる。ここで、「低分子」とは、分子量が2000以下の分子をいう。
【0044】
従来公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。
特開2001-257076号公報、同2002-308855号公報、同2001-313179号公報、同2002-319491号公報、同2001-357977号公報、同2002-334786号公報、同2002-8860号公報、同2002-334787号公報、同2002-15871号公報、同2002-334788号公報、同2002-43056号公報、同2002-334789号公報、同2002-75645号公報、同2002-338579号公報、同2002-105445号公報、同2002-343568号公報、同2002-141173号公報、同2002-352957号公報、同2002-203683号公報、同2002-363227号公報、同2002-231453号公報、同2003-3165号公報、同2002-234888号公報、同2003-27048号公報、同2002-255934号公報、同2002-260861号公報、同2002-280183号公報、同2002-299060号公報、同2002-302516号公報、同2002-305083号公報、同2002-305084号公報、同2002-308837号公報等
【0045】
さらには、メチル化[n]シクロメタフェニレン(methylated[n]cyclo-meta-phenylene:「nMe-[n]CMP」)や、特開2016-32083号公報に開示されている無置換[n]-シクロメタフェニレン(「CMP」)が好ましい。
さらには、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される鎖状芳香族化合物も好ましい。
【0046】
【0047】
[一般式(1)中、nは5~20のうちのいずれかの整数を示す。Rは置換基又は水素原子を表し、少なくとも1つ以上のRが置換基である。Rが複数存在するときは各々のRは異なっていてもよい。Rが置換基の場合、各々の置換位置は異なっていてもよい。]
【0048】
【0049】
[一般式(2)中、nは5~20のうちのいずれかの整数を示す。Rは置換基又は水素原子を表し、少なくとも1つ以上のRが置換基である。Rが複数存在するときは各々のRは異なっていてもよい。]
【0050】
上記一般式(1)及び(2)において、Rで表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、2-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、2-ペンテニル基、イソプロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)等が挙げられる。
【0051】
また、芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p-クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)等が挙げられる。
【0052】
また、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)及び複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)等が挙げられる。
【0053】
また、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、及びスルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2-ピリジルアミノスルホニル基等)等が挙げられる。
【0054】
また、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2-エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2-エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、及びカルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2-エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2-ピリジルアミノカルボニル基等)等が挙げられる。
【0055】
また、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2-ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2-エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2-ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2-エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基、又は、ヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2-ピリジルスルホニル基等)等が挙げられる。
【0056】
さらに、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2-エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2-ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、及びボラン基等が挙げられる。
【0057】
また、上記一般式(1)及び一般式(2)で表される鎖状芳香族化合物において、Rは、アルキル基又は水素原子であることが好ましい。特に、Rがすべて、アルキル基又は水素原子のいずれかであることが好ましく、メチル基又は水素原子のいずれかであることがさらに好ましい。さらに、Rがすべてアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがさらに好ましく、Rがすべてメチル基であることがより好ましい。
上記一般式(1)で表される環状芳香族化合物の具体例として、化合物1~38を以下に示す。なお、以下においてMe=メチル基、Et=エチル基である。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
(発光性化合物)
発光性化合物(「エミッター」又は「発光ドーパント」ともいう。)としては、蛍光発光性化合物(「蛍光性化合物」又は「蛍光ドーパント」ともいう。)及びリン光発光性化合物(「リン光性化合物」又は「リン光ドーパント」ともいう。)を用いることができる。
本発明に係るリン光発光性化合物は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
【0065】
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光発光性化合物は、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
【0066】
発光性化合物の発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを発光性化合物に移動させることで発光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つは発光性化合物がキャリアトラップとなり、発光性化合物上でキャリアの再結合が起こり、発光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型が挙げられる。
上記のいずれの場合においても、発光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
発光性化合物は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
【0067】
(リン光発光性化合物)
本発明に係るリン光発光性化合物(「リン光性化合物」又は「リン光ドーパント」ともいう。)としては、好ましくは元素周期表で8族~10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物(Ir錯体)、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物(Ir錯体)である。
本発明に係るリン光発光性化合物としては、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物が好ましく用いられる。
【0068】
《一般式(3)で表される構造を有するリン光発光性化合物》
【化9】
【0069】
一般式(3)において、A1で表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o-テルフェニル環、m-テルフェニル環、p-テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環は更に、後述する置換基を有してもよい。
【0070】
一般式(3)において、A1で表される芳香族複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。これらの環は更に後述する置換基を有していても良い。
【0071】
<置換基>
上記のA1で表される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が有していても良い置換基としては、置換基の例としてはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)等が挙げられる。
【0072】
また、芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p-クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)等が挙げられる。
【0073】
また、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4-トリアゾール-1-イル基、1,2,3-トリアゾール-1-イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、及び複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)等が挙げられる。
【0074】
また、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、及びスルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2-ピリジルアミノスルホニル基等)等が挙げられる。
【0075】
また、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2-エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2-エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、及びカルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2-エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2-ピリジルアミノカルボニル基等)等が挙げられる。
【0076】
さらに、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2-ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2-エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2-ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2-エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2-ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2-エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2-ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、及びホスホノ基等が挙げられる。
【0077】
また、これらの置換基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(3)において、A2で表される芳香族炭化水素環、芳香族複素環は、一般式(10)において、A1で表される芳香族炭化水素環、芳香族複素環と各々同義である。
一般式(3)において、P1-L1-P2で表される2座の配位子としては、例えば、置換又は無置換のフェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、アセチルアセトン、ピコリン酸等が挙げられる。
【0078】
一般式(3)において、M1は、元素周期表における8~10族の遷移金属元素(単に「遷移金属」ともいう。)が用いられるが、中でもイリジウム、白金が好ましく、特にイリジウムが好ましい。
以下に、リン光発光性化合物として用いられる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704~1711に記載の方法等により合成できる。
【0079】
(蛍光発光性化合物)
蛍光発光性化合物(「蛍光性化合物」又は「蛍光ドーパント」ともいう。)としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
【0080】
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層又は正孔輸送層の間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。
ここで、「注入層」とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機機能層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123~166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
【0081】
「正孔注入層」については、特開平9-45479号公報、同9-260062号公報、同8-288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
【0082】
「電子注入層」については、特開平6-325871号公報、同9-17574号公報、同10-74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属注入層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物注入層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物注入層、酸化アルミニウムに代表される酸化物注入層等が挙げられる。上記注入層はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1~10nmの範囲が好ましい。
【0083】
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
「阻止層」は、必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11-204258号公報、同11-204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
【0084】
「正孔阻止層」とは、広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係わる正孔阻止層として用いることができる。
【0085】
本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、エミッター・ドット層に隣接して設けられていることが好ましい。
また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の層厚としては、好ましくは3~100nmであり、更に好ましくは5~30nmである。
【0086】
《正孔輸送層》
「正孔輸送層」とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。なお、本発明の有機EL素子では、正孔輸送層は、ホスト層Aと正孔注入層の間に配置する。
【0087】
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。 正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0088】
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′-テトラフェニル-4,4′-ジアミノフェニル;N,N′-ジフェニル-N,N′-ビス(3-メチルフェニル)-〔1,1′-ビフェニル〕-4,4′-ジアミン(TPD);2,2-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)プロパン;1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′-テトラ-p-トリル-4,4′-ジアミノビフェニル;1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン;ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′-ジフェニル-N,N′-ジ(4-メトキシフェニル)-4,4′-ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′-テトラフェニル-4,4′-ジアミノジフェニルエーテル;4,4′-ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N-トリ(p-トリル)アミン;4-(ジ-p-トリルアミノ)-4′-〔4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4-N,N-ジフェニルアミノ-(2-ジフェニルビニル)ベンゼン;3-メトキシ-4′-N,N-ジフェニルアミノスチルベンゼン;N-フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4-308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″-トリス〔N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
【0089】
さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型-Si、p型-SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11-251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料を用いることもできる。
【0090】
本発明においては、より高性能の発光素子が得られることから、上記一般式(1)で表される重合性化合物又は該重合性化合物から導かれる構造単位を有する高分子化合物を含有する本発明の有機EL素子材料を用いることが好ましく、また、上記の材料を併用してもよい。
【0091】
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができるが、本発明においては塗布法(ウェットプロセス)により作製されることが好ましい。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm~5μm程度、好ましくは5~200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
【0092】
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4-297076号公報、特開2000-196140号公報、同2001-102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
【0093】
《電子輸送層》
「電子輸送層」とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。
なお、本発明の有機EL素子では、電子輸送層は、ホスト層Bと電子注入層の間に配置する。
【0094】
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0095】
例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。
さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0096】
また、8-キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8-キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7-ジクロロ-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7-ジブロモ-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノリノール)アルミニウム、ビス(8-キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
【0097】
その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型-Si、n型-SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
【0098】
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
電子輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm~5μm程度、好ましくは5~200nmである。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
【0099】
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4-297076号公報、同10-270172号公報、特開2000-196140号公報、同2001-102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
【0100】
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。
このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
また、IDIXO(In2O3-ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
【0101】
陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。又は、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。
【0102】
この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10~1000nm、好ましくは10~200nmの範囲で選ばれる。
【0103】
《陰極》
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する。)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
【0104】
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
【0105】
また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm~5μm、好ましくは50~200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1~20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
【0106】
《支持基板》
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。
好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
【0107】
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
【0108】
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129-1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m2・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126-1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、10-3mL/(m2・24h・MPa)以下、水蒸気透過度が、10-5g/(m2・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
【0109】
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。
無機層と有機機能層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
【0110】
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ-イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004-68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
【0111】
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。
ここで、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
【0112】
《封止》
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
【0113】
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
【0114】
本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7126-1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10-3mL/(m2・24h・MPa)以下、JIS K 7129-1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が1×10-3g/(m2・24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
【0115】
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2-シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
【0116】
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
【0117】
また、有機機能層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に当該電極と有機機能層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。
【0118】
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ-イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
【0119】
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
【0120】
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
【0121】
《保護膜、保護板》
有機機能層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜又は前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜若しくは保護板を設けてもよい。
特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜又は保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
【0122】
《光取り出し》
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7~2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。
これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
【0123】
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63-314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1-220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62-172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001-202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11-283751号公報)等がある。
【0124】
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、又は基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(基板と外界間を含む。)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。 本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
【0125】
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚さで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えばエアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5~1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率が、およそ1.5以下であることが好ましい。また、更に1.35以下であることが好ましい。
【0126】
また、低屈折率媒質の厚さは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率媒質の厚さが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む層厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。
【0127】
この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間又は媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
【0128】
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
【0129】
回折格子を導入する位置としては前述の通り、いずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2~3倍程度が好ましい。
回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
【0130】
《集光シート》
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、又は所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
【0131】
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10~100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚さが厚くなり好ましくない。
【0132】
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
【0133】
《有機EL素子の製造方法》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、少なくとも一対の陽極と陰極との間に一つ又は複数の有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記一対の陽極と陰極とを、それぞれ個別に形成する工程のほかに、下記工程1及び工程2を有することを特徴とする。また、さらに下記のような工程3を有することも好ましい。
【0134】
工程1:少なくとも電極面上に表示エリア全体に連続相として存在する有機機能層を形成する工程
工程2:発光性化合物を含有する溶液を前記有機機能層上へ滴下し、当該発光性化合物が濃度勾配を有して含有される有機機能層を形成する工程
工程3:前記発光性化合物を含有する有機機能層上に第2有機機能層を形成する工程
本発明においては、目的に応じて、更に上記工程以外の工程を有することも好ましい。
【0135】
なお、発光性化合物を含有する溶液を前記有機機能層上へ滴下する方法が、インクジェット・プリント法であることが、小液滴を形成することができ、バンクの形成を必要とせず、簡便な点で、好ましい。
インクジェット・プリント法の詳細については、後記する。
【0136】
本発明に関連する有機EL素子の製造方法の一例として、陽極/正孔注入層/発光層(ホストA層及びB層、並びにエミッター・ドット層)/電子注入層/陰極からなる素子の製造方法について説明する。
まず、適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10~200nmの層厚になるように形成させ、陽極を作製する。
次に、この上に素子材料である正孔注入層、発光層、電子注入層等の有機化合物を含有する薄膜からなる層を形成させる。
【0137】
これら各層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(湿式成膜法)が挙げられる。塗布法としては、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法等があるが、精密な薄膜が形成可能で、かつ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット、スプレーコート法などのロール・ツー・ロール方式適性の高い方法が好ましい。また、層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。
【0138】
ホストA層とB層の間に、エミッター・ドット層を形成するが、その方法はパターニング可能であることが望ましい。パターニング開口部のあるマスクを用いた印刷法であっても良いが、ホストA層への損傷(ダメージ)が少ないという観点から非接触で形成する方法が望ましい。また高解像度可能という点から、ディスペンサー法、インクジェット・プリント法がより好ましい。エミッターを含む溶液の体積は10μL以下、好ましくは100pL以下である。
【0139】
なお、ドットの大きさは、発光層の主たる発光面側から撮影した光学顕微鏡写真(平面図)に基づいて計測した場合、円換算粒径として、30~300μmの範囲内であることが好ましい。
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる膜厚を1μm以下、好ましくは50~200nmの範囲の膜厚になるように形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
また、順序を逆にして、陰極、電子注入層、発光層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
【0140】
このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極をプラス(+)、陰極をマイナス(-)の極性として電圧2~40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明の有機EL素子の作製は、エミッター・ドット層以外が、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましい。大気圧中で成膜するエミッター・ドット層は、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行っても良い。
【0141】
このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極をプラス(+)、陰極を(-)の極性として電圧2~40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる素子の製造方法について、正孔輸送層及び電子輸送層は、正孔注入層、発光層、及び電子注入層と同様の方法で行うことができる。
【0142】
〔インクジェット・プリント法〕
本発明の有機EL素子の製造方法において、エミッター・ドット層の形成の方法としては、インクジェット・プリント法を採用することが好ましい。
本発明においては、公知のインクジェット・プリント法及びインクジェット・プリント装置を適宜適用することができる。
例えば、インクジェット・ヘッドにより、予め形成した有機機能層(例えばホスト層)の表面に向けて、発光性化合物(エミッター)(リン光発光性化合物又は蛍光発光性化合物)を含有するインクを、所定のドット形成条件下で、吐出して、エミッター・ドット層を形成する。なお、具体例は、後記する本発明の実施例において詳細に説明する。
【0143】
インクジェット・ヘッドとしては特に限定はなく、例えばインク圧力室に圧電素子を備えた振動板を有しており、この振動板によるインク圧力室の圧力変化で射出液体を吐出させる剪断モード型(ピエゾ型)のヘッドでもよいし、発熱素子を有しており、この発熱素子からの熱エネルギーによりインクの膜沸騰による急激な体積変化によりノズルから射出液体を吐出させるサーマルタイプのヘッドであってもよい。
インクジェット・ヘッドには射出液体を供給する機構などが接続されていることが好ましい。
【0144】
インクジェット・プリントに用いる前記発光性化合物は、所望の量を溶媒に溶解又は分散しインクとして用いることが好ましい。例えばインクジェット用インクに用いられる溶媒としては、上記材料を所望の量を分散させることができ、インクジェット・ノズルから液滴の吐出ができるものであれば特に限定されるものではないが、発光性化合物の種類等により適宜選択されることが好ましい。
【0145】
具体的には、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオールなどのアルコール類、n-ヘプタン、n-オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、p-ジオキサンなどのエーテル系化合物、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル化合物、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル、酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル、炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチルのようなアルコキシカルボン酸エステル、アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル、さらにプロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。
【0146】
さらに、インクジェット・プリント方式に適性を有するインクとするため、構成材料をインク溶媒等に溶解して調製したインクに各種機能性添加剤を含有させることができる。
例えば吐出安定性、プリントヘッド適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、溶媒、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防黴剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができる。
【0147】
インクジェット・プリント法による、エミッター・ドット層の作製条件として好ましい例を以下に示す。インクジェット装置は、市販の工業用途品が望ましい。例えばコニカミノルタ社製IJCS-1が用いられる。インクジェット・ヘッドはピコリットルレベルの液滴を形成できる仕様であれば望ましく、例えばコニカミノルタ社製KM512やKM1024等が用いられる。ヘッドスキャンスピードはスキャン方向のドットピッチを適正な値(50~500μm)に設定できる値が望ましく、10~200mm/secが好ましく、80~100mm/secがより好ましい。
【0148】
《有機EL素子の用途》
本発明の有機EL素子は、ドット発光してパターニングや文字を再現したり、多色発光して混色が改善された高品質のカラー画像を表示する有機EL表示装置に好適に用いることができる。
また、本発明の有機EL素子は、照明装置や各種発光光源として好適に用いることができる。例えば家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられる。
【実施例】
【0149】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
【0150】
[実施例1]
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(indiμm tin oxide:酸化インジウムスズ)が100nmの厚さとなるように成膜された基板(NHテクノグラス社製NA-45)にパターニングを行った後、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥せしめ、UVオゾン洗浄を5分間行い、ITO透明電極(陽極)を設けた透明支持基板を得た。
【0151】
この透明支持基板のITO透明電極上に、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリスチレンスルホネート(PEDOT・PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により成膜した後、200℃にて1時間乾燥し、層厚30nmの正孔注入層を設けた。
【0152】
次いで、これを真空蒸着装置に取付け、真空槽を4×10-4Paまで減圧した上で、以下の条件で成膜した。
ホストA層:ホスト化合物(ベース化合物1)(4,4’-N,N-ジカルバゾール-ビフェニル)(CBP)を成膜レート1Å/secにて層厚40nmとなるように蒸着した。
【0153】
次いで、下記のインクジェット条件下で、発光性化合物1(クマリン6:3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン)を含有する溶液(インク)をホストA層上へ射出し、発光層を形成した。
形成した発光層の表面を光学顕微鏡観察したが、発光性インクジェットによる溶液滴下後、溶媒による浸食の跡は殆んど観察されなかった。このことから、溶媒はホストA層の表面に滴下後、殆どが浸透せずに乾燥し、その結果、発光性化合物はホストA層の表層近傍に存在し、厚さ方向に濃度勾配を有していると推測することができる。
【0154】
【0155】
<インクジェット・プリント条件>
インクジェット装置はコニカミノルタ社製IJCS-1を、インクジェット・ヘッドはコニカミノルタ社製KM512を用いた。
溶媒として、1H,1H,7H-ドデカフルオロ-1-ヘプタノール(DFHO):2-プロパノール=7:3の比率で混合したものを用いた。さらに、発光性化合物1を1mg/mLの割合で上記溶媒と混合し、超音波で30分加熱後、0.2μmのフィルターで濾過した後、凝集成分を除去し溶液とした。
ヘッドの吐出ノズル間距離を140μmピッチ、ヘッドスキャンスピード=90mm/secに設定することで、2mm×2mmの表示エリアに、縦横140μmピッチで均等にドットを形成した。なお、吐出ショット数は2ショットとした。
【0156】
ホストB層:ベース化合物1(4,4’-N,N-ジカルバゾール-ビフェニル)(CBP)を成膜レート1Å/secにて層厚20nmとなるように蒸着した。その後、セシウム(電子注入層)を成膜レート0.1Å/secにて層厚1.5nmとなるように蒸着した後、陰極:Alを成膜レート4Å/secにて層厚100nmとなるように蒸着して、有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の断面の模式図を
図1(A及びB)に示す。
【0157】
図2に、作製した有機EL素子に12ボルト印加したときの分光発光分布グラフ(
図2(A))と、顕微鏡写真(2mm×2mm)(
図2(B))を示す。発光極大波長(ピーク波長)が500nm付近であり、発光性化合物1(クマリン6)に由来する分光発光分布を示している。
また、吐出ノズルピッチである140μmに相当するパターンの画像が得られており、非常に再現性の良いドットが形成されている(全領域に発光性化合物1(エミッター)を含有するドット(「エミッター・ドット」)が存在し、濃度勾配がある場合の素子構成を示している。)。
【0158】
図3に、
図2(B)の評価点Aから評価点Bまでの輝度を評価したグラフ(
図3(A)と、その13個の凸周期の中央部分の輝度を数値化して示す(
図3(B))。
図3(A)の縦軸は輝度の最大値で規格化している。
図3(B)の数値は発光性化合物1(エミッター)着弾中央部分の輝度を示す(ドット中央部の10ピクセルの平均値)。最大値と最小値の差が0.03であり、非常に再現性の良い輝度分布であることが分かる。
なお、輝度測定は次の手順で行った。最初にモリテックス社のデジタルマイクロスコープシステムを用いて12ボルト印加時の有機EL素子のデジタル画像を得た。次に画像処理ソフト「Image-J」を用い、赤色、青色及び緑色の3つの画像に分割した。発光性化合物1(クマリン)の発光色である緑画像を用い、評価点AからBの各画素位置に対する輝度値を得た。
【0159】
[実施例2]
ホストA層とB層をホスト化合物(ベース化合物2:(5メチル-([5]-シクロメタフェニレン(5Me-[5]CMP))へ変更した以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。ホスト化合物(ベース化合物2)の構造を下に示す。
【0160】
【0161】
図4に、作製した有機EL素子に12ボルト印加したときの分光発光分布グラフ(
図4(A))と、顕微鏡写真(2mm×2mm)(
図4(B))を示す。発光極大波長(ピーク波長)が500nm近辺であり、発光性化合物1(クマリン6)に由来する分光発光分布を示している。また、吐出ノズルピッチである140μmに相当するパターンの画像が得られており、非常に再現性の良いドットが形成されている発光性化合物1(エミッター)が存在しない領域がある場合の素子構成を示す。)。
【0162】
図5(A)に、
図4(B)の評価点Aから評価点Bまでの輝度(斜め方向)を評価したグラフと、その13個の凸周期の中央部分の輝度を数値化して示す(
図5(B);評価方法は実施例1と同じ)。数値は発光性化合物1(エミッター)着弾中央部分の輝度を示す。最大値と最小値の差が0.06であり、非常に再現性の良い輝度分布であることが分かる。また
図5(A)で示すように、最大輝度が最小輝度の2倍以上(最大輝度=1に対して、最小輝度が0.37)であり、ドット形状が実施例1に対して明瞭となった。
最大輝度が最小輝度の2倍以上となる要因を明確にするために、本実施例のベース化合物1と2の薄膜上に本実施例の溶液を滴下し、液滴の乾燥後の直径を測定した。結果は、ホスト化合物1上では173μm、ホスト化合物2(本実施例)上では131μmとなった。
【0163】
また、実施例1と同様の方法で、ホスト化合物2に対する溶液のインクジェット後の様子を観察したが、溶媒による浸食の跡は殆ど観察されなかった。
以上より、本実施例の化合物2を用いると、溶液との濡れ性を下げる(接触角を大きくする。)ことができ、ホスト化合物2上での発光化合物の領域(ELドット径)を小さくすることが可能となり、その結果、最小輝度が小さくなったと考えることができる。
なお、液滴径の測定は、FujiFilm Dimatix社のドット計測機能付きインクジェット装置(DMP-2850)を用いた。
【0164】
[実施例3]
インクジェット吐出条件のショット数を2ショットから1ショットへ変更した以外は、実施例2と同様にして、有機EL素子を作製した。
図6に、作製した有機EL素子に12ボルト印加した時の分光発光分布グラフ(
図6(A))と、顕微鏡写真(2mm×2mm)(
図6(B))を示す。発光極大波長(ピーク波長)が500nm近辺であり、発光性化合物1(クマリン6)に由来する分光発光分布を示している。また、吐出ノズルピッチである140μmに相当するパターンの画像が得られており、非常に再現性の良いドットが形成されている(明確なドット形状を形成する場合の素子構成を示している。)
【0165】
図7に、
図6(B)の評価点Aから評価点Bまでの輝度を評価したグラフ(
図7(A))と、その14個の凸周期の中央部分の輝度を数値化して示す(
図7(B);評価方法は実施例1及び2と同じ。)。数値は発光性化合物1(エミッター)着弾中央部分の輝度を示す。最大値と最小値の差が0.04であり、非常に再現性の良い輝度分布であることが分かる。また
図7(A)で示すように、最大輝度が最小輝度の2倍以上(最大輝度=1に対して、最小輝度が0.32)であり、ドット形状が実施例1に対して明瞭となった。
【0166】
[実施例4]
三つの異なるインクジェット・ヘッドを用い、発光化合物1、2及び3を用い、電極間の重なり部分を6mm×16mmとした以外は実施例2と同様にして、有機EL素子を作製した。発光性化合物2及び3の構造を下に示す。
【0167】
【0168】
図8に、作製した有機EL素子に12ボルト印加時の顕微鏡写真を示す。吐出ノズルピッチである140μmに相当するパターンの画像が得られており、非常に再現性の良いドットが形成されている。また、高精細ドットでありながら、各化合物間の混色が無いことが分かる。
【0169】
[実施例5]
発光性化合物1(クマリン6)を含有する溶液(インク)を鎖状芳香族化合物3(下記ベース化合物3)及び発光性化合物4(質量比90:10)に変更した以外は実施例2と同様にして、有機EL素子を作製した。
全く同様にして輝度評価を行ったところ最大輝度が比較例に対し10%増大し、高輝度化に対して効果があることが分かった。このことから鎖状芳香族化合物3(下記ベース化合物3)は、通常のホスト化合物としての機能に加え、インク特性(発光性材料の溶解補助効果・発光性材料の分散効果・インクの増粘効果)向上に対して効果がみられた。
【0170】
[比較例]
正孔注入層上へ、下記インクジェット・プリント条件で、ホスト化合物3と発光性化合物4の混合溶液を射出し発光層を形成した。
【0171】
<インクジェット・プリント条件>
インクジェット装置はコニカミノルタ社製IJCS-1を、インクジェット・ヘッドはコニカミノルタ社製KM512を用いた。
溶媒として、テトラリンを用いた。さらに、ホスト化合物(ベース化合物3)と発光性化合物4を97:3の割合で溶質とし、更に上記溶媒を用いて10mg/mLの溶液とした。超音波で30分加熱後、0.2μmのフィルターで濾過し、凝集成分を除去して溶液とした。ヘッドの吐出ノズル間距離を70μmピッチ、ヘッドスキャンスピード=90mm/sec、ショット数=6ショットの条件で、2mm×2mmの電極間の重なり部分より大きい領域に、縦横70μmピッチで均等に吐出し、発光層を形成した。
【0172】
その後、セシウム(電子注入層)を成膜レート0.1Å/secにて層厚1.5nmとなるように蒸着した後、陰極:アルミニウム(Al)を成膜レート4Å/secにて層厚100nmとなるように蒸着し、有機EL素子を作製した。得られた有機エレクトロニクス素子の断面の模式図を
図9(A及びB)に示す。また、ホスト化合物(ベース化合物3)と発光化合物4を下に示す。
【0173】
【0174】
図10(A)に、作製した有機EL素子に12ボルト印加した時の顕微鏡写真を示す(
図2、4、及び6と同様に2×2mm領域)。層厚ムラに起因すると思われる発光ムラが観察された。
図10(B)に、
図10(A)の評価点Aから評価点Bまでの輝度を評価したグラフと、輝度を数値化して示す(
図10(C))。最大値と最小値の差が0.97であり、
図10で示されたとおり、非常に再現性の悪い輝度分布であることが分かる。
【0175】
本発明の実施例1、2及び3と比較例との輝度の差(輝度再現性)を比較した結果を表Iに示す(
図3(B)、
図5(B)、
図7(B)、及び
図10(C)中の最大値、最小値、及び差を示す)。
【0176】
【0177】
表Iに示した比較により、本発明の有機EL素子は、輝度差が非常に小さく輝度再現性が非常に優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明により、一対の電極を用いたフルカラー表示方式において、面内ムラが無く、また高精細画像作成時においても混色を防止することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子、その製造方法及び当該有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0179】
1 陽極(ITO透明電極)
2 正孔注入層
3 ホストA層
4 発光層(
図1(B);エミッターのみ、又は
図9(B);ホストとエミッター)
7 ホストB層
8 電子注入層(セシウム)
9 陰極(アルミニウム)
101 有機エレクトロニクス素子
102 ガラスケース
103 ガラス基板
104 シール材
108 窒素ガス
109 捕水剤