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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】検出装置および時計
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20240528BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20240528BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20240528BHJP
   G04G 17/08 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
A61B5/02 310B
A61B5/02 310F
A61B5/0245 B
A61B5/1455
G04G17/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022047803
(22)【出願日】2022-03-24
(65)【公開番号】P2023141469
(43)【公開日】2023-10-05
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】黒川 智康
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-158712(JP,A)
【文献】特開2017-023509(JP,A)
【文献】特開2013-063205(JP,A)
【文献】特開2020-018430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
A61B 5/06-5/22
G04G 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に設けられて受光素子が対応する受光窓部と、前記装置本体に設けられて発光素子が対応する少なくとも2つの発光窓部と、を備え、
前記発光窓部のうち第1発光窓部は、前記受光窓部及び他の発光窓部よりも表面の面積が大きく形成されており、
前記第発光窓部は、防水検査を行うことが可能である
ことを特徴とする検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検出装置において、
前記他の発光窓部と前記受光窓部との表面の面積は略等しい
ことを特徴とする検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の検出装置において、
前記第1発光窓部に対応する第1発光素子は、前記第1発光窓部の一端部に対応する位置に配置されており、
前記一端部は、前記受光素子側の端部である
ことを特徴とする検出装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の検出装置において、
前記装置本体には、前記受光素子を囲う枠状の第1遮光部と、前記発光素子を囲う枠状の第2遮光部と、が設けられている
ことを特徴とする検出装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の検出装置において、
前記受光素子は、受光領域を除いて、遮光部材によって覆われている
ことを特徴とする検出装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれかに記載の検出装置において、
前記発光素子は、赤波長を発光する第1の発光素子と、赤外波長を発光する第2の発光素子と、を備えている
ことを特徴とする検出装置。
【請求項7】
請求項1~請求項のいずれかに記載された検出装置において、
前記発光窓部と前記受光窓部とは、3時9時方向に配置されている
ことを特徴とする検出装置。
【請求項8】
請求項1~請求項のいずれかに記載の検出装置において、
前記発光素子は、緑波長を発光する
ことを特徴とする検出装置。
【請求項9】
請求項1~請求項のいずれかに記載された検出装置を備えていることを特徴とする時計。
【請求項10】
請求項に記載の時計において、
前記検出装置は、時計ケースの裏面に取り付けられた裏蓋に設けられていることを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脈拍や酸素飽和度などの生体情報を検出する検出装置、およびそれを備えた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、腕時計においては、特許文献1に記載されているように、腕時計ケースの上側開口部に時計ガラスが取り付けられ、内部に時計モジュールが設けられ、腕時計ケースの裏面に裏蓋が設けられ、この裏蓋に脈拍を検出する検出装置が設けられた構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-147746号公報
【0004】
この場合、検出装置は、裏蓋の中央部に円形状の受光窓部を設け、この受光窓部の外周にリング形状の発光窓部を設け、このリング形状の発光窓部から発光素子の光を放出させて腕の皮膚に照射させ、この照射された光の反射光を円形状の受光窓部から取り込んで受光素子で受光することにより、その受光量の変化に応じて脈拍を検出するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような腕時計では、防水性を検査する際に、通常、時計ガラスの内面に発生する曇り状態によって防水性の検査をしている。このため、このような腕時計では、時計ガラスの内面にシート状の表示装置などが設けられていると、防水検査ができないという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、良好に防水検査ができる検出装置、およびそれを備えた時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、装置本体と、前記装置本体に設けられて受光素子が対応する受光窓部と、前記装置本体に設けられて発光素子が対応する少なくとも2つの発光窓部と、を備え、前記発光窓部のうち第1発光窓部は、前記受光窓部及び他の発光窓部よりも表面の面積が大きく形成されており、前記第発光窓部は、防水検査を行うことが可能であることを特徴とする検出装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、良好に防水検査をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明を腕時計に適用した一実施形態を示した拡大正面図である。
図2図1に示された腕時計の拡大裏面図である。
図3図2に示された腕時計の裏蓋のA―A矢視において上下反転させて示した要部の拡大断面図である。
図4図2に示された腕時計の裏蓋のB―B矢視において上下反転させて示した要部の拡大断面図である。
図5図2に示された腕時計の検出装置を示した要部の拡大図である。
図6図3および図4に示された裏蓋の内面を示した拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図6を参照して、この発明を腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この腕時計は、図1および図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の12時側と6時側とには、時計バンド(図示せず)が取り付けられるバンド取付部2がそれぞれ設けられている。この腕時計ケース1の2時側、4時側、8時側、9時側、および10時側には、スイッチ部3がそれぞれ設けられている。
【0011】
また、この腕時計ケース1の上側開口部には、図1に示すように、時計ガラス4がガラスパッキン(図示せず)を介して設けられている。この腕時計ケース1の下側(裏面)には、図2に示すように、装置本体である裏蓋5が防水リング(図示せず)を介して複数のビス5aによって取り付けられている。この裏蓋5は、ガラス繊維または炭素繊維をポリアミド樹脂に混入させた剛性の高い合成樹脂、またはステンレスやチタン合金などの剛性の高い金属によって形成されている。
【0012】
この腕時計ケース1の内部つまり裏蓋5の上側には、時計モジュール(図示せず)が設けられている。この時計モジュールは、図示しないが、指針を運針させて時刻を指示表示する時計ムーブメント、時刻や日付、曜日などの情報を電気光学的に表示する平面型やシート状などの表示部である表示装置、これら時計ムーブメントおよび表示装置を駆動させて制御する回路部など、時計機能に必要な各種の部品が搭載されている。
【0013】
ところで、この腕時計ケース1の裏蓋5には、図3図5に示すように、脈拍や酸素飽和度などの生体情報を検出する検出装置6と充電端子部7とが設けられている。検出装置6は、脈拍と酸素飽和度とを測定するものであり、受光部8と発光部である第1発光部10と発光部である第2発光部11とを備え、裏蓋5の中央部における円形領域E内に設けられている。充電端子部7は、複数の充電端子7aを有するものであり、裏蓋5の中央部の円形領域Eにおける6時側の外部に設けられている。
【0014】
検出装置6は、図3図5に示すように、受光部8と第1発光部10とで脈拍を検出し、受光部8と第2発光部11とで酸素飽和度を検出するように構成されている。この場合、受光部8は、裏蓋5の中央部の円形領域E内における3時側に対応する箇所に設けられている。この受光部8は、裏蓋5の内面における中央部の円形領域E内に設けられた回路基板12の3時側に対応して設けられた受光素子13と、裏蓋5の中央部における円形領域E内の3時側の箇所に設けられて受光素子13が対応する受光窓部14と、を備えている。
【0015】
受光窓部14は、図3図5に示すように、裏蓋5に設けられた円形状の受光孔14aと、この受光孔14aに配置される受光ガラス14bと、この受光ガラス14bの外周面と受光孔14aの内周面との間に嵌め込まれる第1防水部材である第1防水パッキン14cと、を備えている。この受光窓部14は、円形状の外周の大きさが、時計ガラス4の外周の大きさより小さく、且つ裏蓋5の中央部の円形領域Eの外周の大きさよりも小さい大きさ、例えば円形領域Eの直径のほぼ1/4程度の大きさで形成されている。
【0016】
これにより、受光窓部14は、図3図5に示すように、外周の大きさが裏蓋5の中央部の円形領域Eの外周の大きさよりも小さく形成され、この状態で受光ガラス14bの外周面と受光孔14aの内周面との間に第1防水パッキン14cが嵌め込まれているため、受光ガラス14bの外周面と受光孔14aの内周面との間の防水性が確保されて、高気圧防水が図れるように構成されている。
【0017】
第1発光部10は、図3および図5に示すように、裏蓋5の中央部の円形領域E内における1時側と5時側とに対応する2か所に設けられている。これら第1発光部10は、裏蓋5の内面に設けられた回路基板12の1時側と5時側との2か所にそれぞれ設けられた2つの発光素子15と、裏蓋5の中央部の円形領域E内における1時側と5時側との2か所に設けられて2つの発光素子15がそれぞれ対応する発光窓部である2つの第1発光窓部16と、を備えている。
【0018】
この場合、回路基板12の1時側と5時側との2か所にそれぞれ設けられた2つの発光素子15それぞれは、図3および図5に示すように、緑波長(G)の光を発光するものであり、受光部8の受光素子13から等距離で配置されている。第1発光窓部16は、裏蓋5の中央部における円形領域E内の1時側と5時側との2か所にそれぞれ設けられた2つの円形状の第1発光孔16aと、これら2つの第1発光孔16aそれぞれに配置される2つの第1発光ガラス16bと、を備えている。
【0019】
また、これら第1発光窓部16は、図3および図5に示すように、2つの第1発光ガラス16bの各外周面と2つの第1発光孔16aの各内周面との間にそれぞれ嵌め込まれる各第2防水部材である第2防水パッキン16cを更に備えている。これら第1発光窓部16は、その円形の外周の大きさが裏蓋5の中央部における円形領域Eの外周の大きさよりも小さく、且つ受光窓部14の外周の大きさと同じ大きさで形成されている。
【0020】
これにより、第1発光窓部16それぞれは、図3および図5に示すように、円形の外周の大きさが裏蓋5の中央部における円形領域Eの外周の大きさよりも小さく、且つ受光窓部14の外周の大きさと同じ大きさに形成され、この状態で第1発光ガラス16bの外周面と第1発光孔16aの内周面との間に第2防水パッキン16cが嵌め込まれているため、第1発光ガラス16bの外周面と第1発光孔16aの内周面との間の防水性が確保されて、高気圧防水が図れるように構成されている。
【0021】
この場合、この検出装置6は、図3および図5に示すように、受光部8と2つの第1発光部10とを備えていることにより、2つの第1発光部10の各発光素子15で発光した緑波長(G)の光が2つの第1発光窓部16の各第1発光ガラス16bをそれぞれ透して腕の2か所の皮膚に照射され、これら2か所の皮膚に照射された光の反射光が受光窓部14の受光ガラス14bを透して受光素子13に受光された際に、その受光量の変化に応じて脈拍を検出するように構成されている。
【0022】
一方、第2発光部11は、図4および図5に示すように、裏蓋5の中央部における円形領域E内の9時側に対応する箇所に設けられている。この第2発光部11は、裏蓋5の内面に設けられた回路基板12の9時側の箇所にそれぞれ設けられた発光素子である第1、第2の発光素子17、18と、裏蓋5の中央部における円形領域E内の9時側の箇所に設けられて第1、第2の発光素子17、18が対応する発光窓部(窓)である第2発光窓部20と、を備えている。
【0023】
この場合、第1、第2の発光素子17、18のうち、第1の発光素子17は、酸化ヘモクロビン(HbO2)に吸収されやすい赤波長(R)の光を発光する。第2の発光素子18は、還元ヘモクロビン(Hb)に吸収されやすい赤外波長(IR)の光を発光する。これら第1、第2の発光素子17、18は、図4および図5に示すように、回路基板12の9時側に受光部8の受光素子13から等距離で並んで配置されている。
【0024】
第2発光窓部20は、図4および図5に示すように、裏蓋5の中央部における円形領域E内の9時側の箇所に設けられた円形状の第2発光孔20aと、この第2発光孔20aに配置される第2発光ガラス20bと、この第2発光ガラス20bの外周面と第2発光孔20aの内周面との間に嵌め込まれる第2防水部材である第3防水パッキン20cと、を備えている。この第2発光窓部20は、その円形の外周の大きさが裏蓋5の中央部における円形領域Eの外周の大きさよりも小さく、且つ受光窓部14の外周の大きさよりも大きい大きさ、例えば円形領域Eの直径の半分(1/2)程度の大きさで形成されている。
【0025】
これにより、第2発光窓部20は、図4および図5に示すように、円形の外周の大きさが裏蓋5の中央部における円形領域Eの外周の大きさよりも小さく、且つ受光窓部14よりも大きい大きさで形成され、この状態で第2発光ガラス20bの外周面と第2発光孔20aの内周面との間に第3防水パッキン20cが嵌め込まれているため、第2発光ガラス20bの外周面と第2発光孔20aの内周面との間の防水性が確保されて、高気圧防水が図れるように構成されている。
【0026】
この場合、第2発光窓部20は、図4および図5に示すように、第1、第2の発光素子17、18に対して受光部8の受光素子13と反対側つまり9時側に向けて延びる方向に表面の面積が大きく形成されている。すなわち、この第2発光窓部20は、第2発光ガラス20bが第1、第2の発光素子17、18に対して受光部8の受光素子13と反対側に延びて突出するように偏った状態で配置されている。
【0027】
これにより、第2発光窓部20は、図4および図5に示すように、腕時計ケース1の防水性を検査する検査窓つまり第2発光窓部20の曇り状態を検査する検査窓として使用するように構成されている。すなわち、腕時計ケース1の防水性の検査は、通常、腕時計ケース1の上側開口部に設けられた時計ガラス4によって行われるのであるが、時計ガラス4の内面にシート状の表示装置などが設けられていると、時計ガラス4によって防水性の検査ができない。このため、外径が比較的に大きい第2発光窓部20を利用して防水性の検査が行われることになる。
【0028】
また、この検出装置6は、図4および図5に示すように、受光部8と第2発光部11とを備えていることにより、第2発光部11の第1、第2の発光素子17、18で発光した赤波長(R)と赤外波長(IR)との光が第2発光窓部20の第2発光ガラス20bを透して腕の皮膚に照射され、この照射された光の反射光が受光窓部14の受光ガラス14bを透して受光素子13に受光された際に、赤波長(R)と赤外波長(IR)との受光量の比率から酸素飽和度を算出するように構成されている。
【0029】
ところで、裏蓋5の内面における中央部の円形領域E内には、図5および図6に示すように、検出凹部5bが検出装置6に対応して設けられている。この検出凹部5b内には、受光部8、2つの第1発光部10、第2発光部11が設けられている。また、この裏蓋5の内面における検出凹部5b内には、受光部8の受光素子13を囲う枠状の第1遮光部21と、第2発光部11の第1、第2の発光素子17、18を囲う枠状の第2遮光部22と、が設けられている。
【0030】
第1遮光部21は、図6に示すように、受光窓部14の受光孔14aをその内周から離れて大きく囲うほぼ四角形の枠状に形成されている。これにより、受光部8の受光素子13は、受光窓部14を透して第1遮光部21の枠状内に入射した光のみを受光し、それ以外の光が第1遮光部21によって遮光されるように構成されている。
【0031】
第2遮光部22は、図6に示すように、第2発光窓部20の第2発光孔20aをその内周に接近して囲うほぼ半円形状の枠状に形成されている。これにより、第2発光部11の第1、第2の発光素子17、18は、発光した光が第2発光窓部20のみを透して裏蓋5の外部に放射され、発光した光が第2遮光部22によって遮光されて受光部8に直接照射されないように構成されている。
【0032】
また、受光部8の受光素子13は、図3に示すように、受光領域を除いて、遮光部材23によって囲われている。この遮光部材23は、合成樹脂によってほぼ四角形の枠状に形成されている。この遮光部材23は、第1遮光部21で囲われた領域内に配置され、受光素子13の受光領域つまり受光窓部14に対応する箇所を除いて受光素子13を囲うように構成されている。これにより、受光素子13は、受光窓部14を透過した光のみを受光し、それ以外の光が遮光されるように構成されている。
【0033】
一方、この検出装置6は、図2図5に示すように、受光ガラス14b、2つの第1発光ガラス16b、および第2発光ガラス20bに対応する箇所を除いて、裏蓋5の外面を覆うカバー部材24を備えている。このカバー部材24は、ポリアミドなどの吸湿性を有する合成樹脂によって全体がほぼ円形状に形成されている。このカバー部材24には、受光ガラス14bに対応する第1カバー孔25と、2つの第1発光ガラス16bに対応する2つの第2カバー孔26と、第2発光ガラス20bに対応する第3カバー孔27と、が設けられている。
【0034】
この場合、第1カバー孔25の内周部には、図3および図4に示すように、受光ガラス14bの有効領域以外の非有効領域である外周の縁部を覆って押える第1押え部28が設けられている。この第1押え部28は、受光ガラス14bの外周の縁部に設けられた面取り部を押え付けることにより、受光ガラス14bが受光孔14aから裏蓋5の外部に向けて脱落するのを防ぐように構成されている。
【0035】
また、2つの第2カバー孔26の各内周部には、図3に示すように、2つの第1発光ガラス16bの有効領域以外の非有効領域である各外周の各縁部をそれぞれ覆って押える第2押え部である2つの第2押え部29が設けられている。これら2つの押え部29それぞれは、第1発光ガラス16bの外周の縁部に設けられた面取り部を押え付けることにより、第1発光ガラス16bが第1発光孔16aから裏蓋5の外部に向けて脱落するのを防ぐように構成されている。
【0036】
さらに、第3カバー孔27の内周部には、図4に示すように、第2発光ガラス20bの有効領域以外の非有効領域である外周の縁部を覆って押える第2押え部である第3押え部30が設けられている。この第3押え部30は、第2発光ガラス20bの外周の縁部に設けられた面取り部を押え付けることにより、第2発光ガラス20bが第2発光孔20aから裏蓋5の外部に向けて脱落するのを防ぐように構成されている。
【0037】
また、このカバー部材24の外周部には、図3および図4に示すように、裏蓋5の中央部の円形領域Eにおける外面の外周部に環状に設けられた取付凹部31に嵌め込まれる取付凸部32が設けられている。また、このカバー部材24の内面には、両面粘着テープ33が設けられている。これにより、カバー部材24は、裏蓋5の中央部における円形領域Eの外面に配置されて、外周部の取付凸部32が裏蓋5の外面に環状に設けられた取付凹部31に嵌め込まれた際に、両面粘着テープ33によって裏蓋5の中央部における外面に接着されるように構成されている。
【0038】
次に、この腕時計を使用する場合について説明する。
この腕時計は、通常、腕時計ケース1を腕に取り付けて使用する。このときには、時計ガラス4を透して腕時計ケース1内の時計モジュール(図示せず)によって時刻や曜日、日付などを視認することができる。この状態で、脈拍や酸素飽和度を検出する際には、まず、複数のスイッチ部3を選択してスイッチ操作することにより、腕時計を検出モードに設定する。
【0039】
この状態で、検出装置6が検出を開始ると、検出装置6の2つの第1発光部10の各発光素子15が緑波長(G)の光を発光し、この発光した緑波長(G)の光が2つの第1発光窓部16の各第1発光ガラス16bを透して腕の2か所の皮膚に照射される。これら2か所の皮膚に照射された光の反射光が受光窓部14の受光ガラス14bを透して受光部8の受光素子13に受光される。これにより、検出装置6は、受光素子13が受光した受光量の変化に基づいて脈拍を算出する。
【0040】
この場合、2つの第1発光部10の各発光素子15がそれぞれ緑波長(G)の光を発光した際には、その発光した光が受光部8の第1遮光部21および遮光部材23によって遮光されるので、各発光素子15でそれぞれ発光した緑波長(G)の光が受光部8の受光素子13に直接照射されることはない。このため、腕の皮膚で反射されて受光部8の受光窓部14を透過した光のみを受光素子13が受光することになるので、検出装置6による脈拍の検出性能が高められる。
【0041】
また、このときには、検出装置6の第2発光部11の第1の発光素子17が赤波長(R)の光を発光し、第2の発光素子18が赤外波長(IR)を発光し、これら発光した赤波長(R)および赤外波長(IR)の各光が第2発光窓部20の第2発光ガラス20bを透して腕の皮膚に照射される。この照射された各光の反射光が受光窓部14の受光ガラス14bを透して受光部8の受光素子13にそれぞれ受光される。これにより、検出装置6は、受光素子13が赤波長(R)および赤外波長(IR)の各反射光を受光した受光量の比率から酸素飽和度を算出する。
【0042】
この場合にも、第2発光部11の第1、第2の発光素子17、18が赤波長(R)および赤外波長(IR)の各光を発光した際には、第2発光部11の第2遮光部22によって遮光されると共に、受光部8の第1遮光部21および遮光部材23によって遮光される。このため、第1、第2の発光素子17、18で発光した赤波長(R)および赤外波長(IR)の各光が受光部8の受光素子13に直接照射されることはない。これにより、腕の皮膚で反射されて受光部8の受光窓部14を透過した光のみを受光素子13が受光することになるので、検出装置6による酸素飽和度の検出性能が高められる。
【0043】
次に、このような腕時計の防水検査について説明する。
この防水検査は、通常、腕時計ケース1を水没させた後に時計ガラス4の内面の曇り状態を検査する方法である。曇る場合は水が入っていることがわかります。しかし、時計ガラス4で曇り状態を検査することができない場合、例えば、時計ガラス4の内面にシート状の表示装置などが直接設けられている場合には、検出装置6の第2発光ガラス20bによって防水検査をする。
【0044】
この場合、第2発光窓部20の第2発光ガラス20bは、その外周の大きさが、受光窓部14の受光ガラス14bおよび第1発光窓部16の第1発光ガラス16bの各外周の大きさよりも大きい。このため、この第2発光ガラス20bによって防水検査を行うことができる。すなわち、この第2発光窓部20は、第1、第2の発光素子17、18に対して受光部8の受光素子13と反対側つまり9時側に向けて延びる方向に突出するように表面の面積が大きく形成されている。
【0045】
このため、この第2発光窓部20は、第2発光ガラス20bが第1、第2の発光素子17、18に対して受光部8の受光素子13と反対側に延びて偏った状態で配置されている。これにより、第2発光窓部20は、その外径が大きく形成されているので、腕時計ケース1の防水性を検査する検査窓、つまり第2発光窓部20の曇り状態を検査する検査窓として使用することができる。
【0046】
このように、この腕時計の検出装置6によれば、装置本体である裏蓋5と、この裏蓋5の上側に設けられた表示部である時計モジュールの表示装置(いずれも図示せず)と、を備え、裏蓋5には防水検査を行う窓である第2発光窓部20が設けられていることにより、時計ガラス4が防水検査の制約を受けずに、第2発光窓部20によって良好に防水検査をすることができる。
【0047】
この場合、この腕時計の検出装置6によれば、裏蓋5に設けられて受光素子13が対応する受光窓部14と、裏蓋5に設けられて発光素子である第1、第2の発光素子17、18が対応する第2発光窓部20と、を備え、第2発光窓部20は、受光窓部14よりも表面の面積が大きく形成されていることにより、第2発光窓部20の表面の面積よりも大きい時計ガラス4で防水検査をする必要がないため、時計ガラス4が防水検査の制約を受けずに、第2発光窓部20によって良好に防水検査をすることができる。
【0048】
すなわち、この腕時計の検出装置6では、第2発光窓部20の表面の面積が受光窓部14の表面の面積よりも大きく形成されているので、この大きさの大きい第2発光窓部20によって効率良く良好に防水検査をすることができる。これにより、時計ガラス4で防水検査をする必要がないため、時計ガラス4が防水検査の制約を受けることがなく、第2発光窓部20によって良好に防水検査を行うことができる。
【0049】
この場合、この腕時計の検出装置6では、第2発光窓部20が第1、第2の発光素子17、18に対して受光素子13と反対側に向けて延びるように大きく形成されているので、第1、第2の発光素子17、18と受光素子13との距離を一定に保った状態で、第2発光窓部20を大きく形成することができ、これにより第2受光窓部14によって効率良く防水検査をすることができる。
【0050】
また、この腕時計の検出装置6では、装置本体である裏蓋5に受光素子13を囲う枠状の第1遮光部21と、第2発光部11の第1、第2の発光素子17、18を囲う枠状の第2遮光部22と、が設けられていることにより、第1遮光部21と第2遮光部22とによって酸素飽和度などの生体情報の検出性能を向上させることができる。
【0051】
すなわち、第1遮光部21は、第2発光部11の第1、第2の発光素子17、18とで発光した光が直接、受光部8の受光素子13で受光されないように確実に遮光することができると共に、受光窓部14を透して入射した光のみを受光部8の受光素子13で受光することができるので、酸素飽和度などの生体情報の検出性能を高めることができる。
【0052】
また、第2遮光部22は、第2発光部11の第1、第2の発光素子17、18で発光した光が受光部8の受光素子13で直接受光されないように確実に遮光することができると共に、第2発光部11の第1、第2の発光素子17、18で発光した光を第2発光窓部20のみを透して裏蓋5の外部に放射させることができるので、これによっても酸素飽和度などの生体情報の検出性能を高めることができる。
【0053】
また、この腕時計の検出装置6では、受光素子13が受光領域を除いて遮光部材23によって囲われていることにより、受光領域に対応する受光窓部14を透過した光のみを受光することができ、これ以外の不要な光を遮光部材23によって確実に遮光することができるので、これによっても検出性能を高めることができる。
【0054】
また、この腕時計の検出装置6では、第2発光部11の第1の発光素子17が赤波長(R)を発光し、第2の発光素子18が赤外線波長(IR)を発光することにより、酸素飽和度を正確に且つ確実に検出することができる。すなわち、この検出装置6では、第1の発光素子17で発光した赤波長(R)が酸化ヘモクロビンに吸収されやすく、第2の発光素子18で発光した赤外線波長(IR)が還元ヘモクロビンに吸収されやすいので、これら赤波長(R)と赤外線波長(IR)との反射光の受光量の比率から酸素飽和度を正確に且つ良好に検出することができる。
【0055】
また、この腕時計の検出装置6では、第1、第2の発光素子17、18が受光素子13から等距離で並んで配置されていることにより、第2発光窓部20が第1、第2の発光素子17、18に対して受光素子13と反対側に向けて延びるように大きく形成されていても、第1、第2の発光素子17、18と受光素子13との距離を一定に保つことができるので、第1、第2の発光素子17、18と受光素子13とによって良好に酸素飽和度を検出することができる。
【0056】
また、この腕時計の検出装置6では、第1発光部10の発光素子15が緑波長(G)の光を発光することにより、発光素子15で発光した緑波長(G)の光を腕の皮膚に照射させることができ、この腕の皮膚に照射された緑波長(G)の光の反射光を受光することにより、その受光量の変化に応じて脈拍を正確に且つ良好に検出することができる。
【0057】
また、この腕時計の検出装置6では、第2発光窓部20と受光窓部14とが3時9時方向に配置されていることにより、第2発光窓部20と受光窓部14とを腕の長さ方向に沿って配置させることができ、これにより第2発光窓部20と受光窓部14とを腕の皮膚に確実に押し当てることができる。このため、腕時計ケース1の外部の光の影響を受けることがなく、酸素飽和度を正確にかる良好に検出することができる。
【0058】
さらに、この腕時計では、腕時計ケース1の裏面に取り付けられた裏蓋5に検出装置6が設けられているので、腕時計ケース1を腕に取り付けた際に、裏蓋5に設けられた検出装置6を腕に配置させることができ、これにより検出装置6によって脈拍や酸素飽和度などの生体情報を検出することができるので、取り扱いが簡単で、且つ使い勝手の良いものを提供することができる。
【0059】
なお、上述した実施形態では、検出装置6が第1発光部10と第2発光部11とを備えている場合について述べたが、この発明は、必ずしも検出装置6が第1発光部10と第2発光部11との両方を備えている必要はなく、第1発光部10と第2発光部11とのいずれか一方のみを備えた構造であっても良い。
【0060】
また、上述した実施形態では、第2発光部11の第2発光窓部20を受光窓部14の大きさよりも大きく形成して防水検査用の窓部として使用する場合について述べたが、この発明は、これに限らず、受光部8の受光窓部14と第1発光部10の第1発光窓部16とを第2発光窓部20と同じ大きさに形成して、防水検査用の窓部として使用するようにしても良い。この場合にも、第1発光窓部16は、発光素子15に対して受光部8の受光素子13と反対側に向けて延びるように大きく形成すれば良い。
【0061】
また、上述した実施形態では、受光部8と第2発光部11とを3時9時方向に設けた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、12時6時方向に設けても良く、またこれに限らず、対角線上に設けられていてれば、どのような方向に設けられていても良い。
【0062】
さらに、上述した実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、この発明は、必ずしも時計である必要はなく、携帯端末などの電子機器にも適用することができる。
【0063】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0064】
(付記)
請求項1に記載の発明は、装置本体と、前記装置本体の上側に設けられた表示部と、を備え、前記装置本体には防水検査を行う窓が設けられていることを特徴とする検出装置。
【0065】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検出装置において、前記装置本体に設けられて受光素子が対応する受光窓部と、前記装置本体に設けられて発光素子が対応する発光窓部と、を備え、前記発光窓部は、前記受光窓部よりも表面の面積が大きく形成されていることを特徴とする検出装置である。
【0066】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の検出装置において、前記発光窓部は、前記発光素子に対して前記受光素子と反対側に向けて延びるように大きく形成されていることを特徴とする検出装置である。
【0067】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の検出装置において、前記装置本体には、前記受光素子を囲う枠状の第1遮光部と、前記発光素子を囲う枠状の第2遮光部と、が設けられていることを特徴とする検出装置である。
【0068】
請求項5に記載の発明は、請求項2~請求項4のいずれかに記載の検出装置において、前記受光素子は、受光領域を除いて、遮光部材によって覆われていることを特徴とする検出装置である。
【0069】
請求項6に記載の発明は、請求項2~請求項5のいずれかに記載の検出装置において、前記発光素子は、赤波長を発光する第1の発光素子と、赤外波長を発光する第2の発光素子と、を備えていることを特徴とする検出装置である。
【0070】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の検出装置において、前記第1、第2の発光素子は、前記受光素子から等距離で並んで配置されていることを特徴とする検出装置である。
【0071】
請求項8に記載の発明は、請求項2~請求項7のいずれかに記載の検出装置において、前記発光素子は、緑波長を発光することを特徴とする検出装置である。
【0072】
請求項9に記載の発明は、請求項2~請求項8のいずれかに記載された検出装置において、前記発光窓部と前記受光窓部とは、3時9時方向に配置されていることを特徴とする検出装置である。
【0073】
請求項10に記載の発明は、請求項1~請求項9のいずれかに記載された検出装置を備えていることを特徴とする時計である。
【0074】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の時計において、前記検出装置は、時計ケースの裏面に取り付けられた裏蓋に設けられていることを特徴とする時計である。
【符号の説明】
【0075】
1 腕時計ケース
2 バンド取付部
3 スイッチ部
4 時計ガラス
5 裏蓋
5a ビス
5b 検出凹部
6 検出装置
7 充電端子部
7a 充電端子
8 受光部
10 第1発光部
11 第2発光部
12 回路基板
13 受光素子
14 受光窓部
14a 受光孔
14b 受光ガラス
14c 第1防水パッキン
15 発光素子
16 第1発光窓部
16a 第1発光孔
16b 第1発光ガラス
16c 第2防水パッキン
17、18 第1、第2の発光素子
20 第2発光窓部
20a 第2発光孔
20b 第2発光ガラス
20c 第3防水パッキン
21 第1遮光部
22 第2遮光部
23 遮光部材
24 カバー部材
25 第1カバー孔
26 第2カバー孔
27 第3カバー孔
28 第1押え部
29 第2押え部
30 第3押え部
31 取付凹部
32 取付凸部
33 両面粘着テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6