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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20240528BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20240528BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240528BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240528BHJP
   H02S 10/10 20140101ALI20240528BHJP
【FI】
H02J9/06
B60L55/00
H01M8/04 Z
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J3/38 170
H02S10/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022056813
(22)【出願日】2022-03-30
(65)【公開番号】P2023148667
(43)【公開日】2023-10-13
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100136353
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 建吾
(72)【発明者】
【氏名】輕部 元喜
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-325392(JP,A)
【文献】特開2012-254009(JP,A)
【文献】特開2014-64351(JP,A)
【文献】特開2021-78266(JP,A)
【文献】特開2021-129331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 55/00
H01M 8/04
H02J 3/38
H02J 9/06
H02S 10/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源を用いた第1給電部と、
車両に搭載された車載バッテリ又は車載発電機を用いた第2給電部と、
燃料電池を用いた第3給電部と、
太陽光発電を用いた第4給電部と、
停電を含む非常時にも稼働が必需である重要機器群に給電を行うための第1給電経路と、
非常時には稼働が必需ではない一般機器群に給電を行うための第2給電経路と、
前記第1乃至第4給電部を入力とし、前記第1及び第2給電経路を出力とする分電盤と、
を備え、
前記分電盤は、
入力として前記第1給電部及び前記第2給電部を切り替える第1開閉器と、
入力として前記第3給電部及び前記第1開閉器の出力を切り替え、出力が前記第1給電経路に接続された、第2開閉器と、
入力として前記第4給電部及び前記第1開閉器の出力を切り替え、出力が前記第2給電経路に接続された、第3開閉器と、
を有する、電力供給システム。
【請求項2】
前記第1乃至第3開閉器の入力の切り替え制御を実行する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、
非常時の制御モードとして第1モードが設定されている場合には、
前記車両が前記第2給電部に接続されているか否かを判定し、
前記車両が前記第2給電部に接続されていない場合には、前記第2開閉器の入力を前記第3給電部に切り替え、前記第3開閉器の入力を前記第4給電部に切り替え、
前記車両が前記第2給電部に接続されている場合には、前記第1開閉器の入力を前記第2給電部に切り替え、前記第2開閉器の入力を前記第1開閉器の出力に切り替え、前記第3開閉器の入力を前記第1開閉器の出力に切り替える、請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記第1乃至第3開閉器の入力の切り替え制御を実行する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、
非常時の制御モードとして第2モードが設定されている場合には、
前記車両が前記第2給電部に接続されているか否かを判定し、
前記車両が前記第2給電部に接続されていない場合には、前記第2開閉器の入力を前記第3給電部に切り替え、前記第3開閉器の入力を前記第4給電部に切り替え、
前記車両が前記第2給電部に接続されている場合には、前記第1開閉器の入力を前記第2給電部に切り替え、前記第2開閉器の入力を前記第3給電部に切り替え、前記第3開閉器の入力を前記第4給電部に切り替える、請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記車両が前記第2給電部に接続されている場合において、前記第1給電経路の消費電力が第1しきい値以上である場合には、前記第2開閉器の入力を前記第1開閉器の出力に切り替える、請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記車両が前記第2給電部に接続され、前記第2開閉器の入力が前記第1開閉器の出力に切り替えられている場合において、前記車両の燃料残量が所定値未満となった場合、前記第1給電経路の消費電力が前記第1しきい値未満となった場合、又は、前記燃料電池の発電に伴う蓄湯残量が所定値未満となった場合には、前記第2開閉器の入力を前記第3給電部に切り替える、請求項4に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記車両が前記第2給電部に接続されている場合において、前記太陽光発電による発電可能条件を満たさない場合、又は、前記第2給電経路の消費電力が第2しきい値以上である場合には、前記第3開閉器の入力を前記第1開閉器の出力に切り替える、請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記車両が前記第2給電部に接続され、前記第3開閉器の入力が前記第1開閉器の出力に切り替えられている場合において、前記太陽光発電による発電可能条件を満たし、かつ、前記第2給電経路の消費電力が前記第2しきい値未満となった場合は、前記第3開閉器の入力を前記第4給電部に切り替える、請求項6に記載の電力供給システム。
【請求項8】
アラート出力装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記車両が前記第2給電部に接続され、前記第3開閉器の入力が前記第1開閉器の出力に切り替えられている場合において、前記車両の燃料残量が所定値未満となった場合は、前記第2給電経路への給電を停止する旨のアラートを前記アラート出力装置に出力させる、請求項6に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示された電力供給システムは、リチウムイオン電池等によって構成された定置型蓄電装置を備え、停電時には、定置型蓄電装置に充電されている電力を住宅内の電気機器に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-64351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リチウムイオン電池等によって構成された定置型蓄電装置は非常に高価であるため、上記特許文献1に開示された電力供給システムのように定置型蓄電装置の設置を必須とすると、システムの導入コストが増大し、また、定置型蓄電装置の残量が減少した場合には電気機器への給電が不可能となるため、停電等の非常時において自宅避難を行うユーザ等にとって最適な給電制御とはいえない。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、定置型蓄電装置の設置を省略可能にするとともに、停電等の非常時においてユーザにとって最適な給電制御を実行することが可能な電力供給システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電力供給システムは、商用電源を用いた第1給電部と、車両に搭載された車載バッテリ又は車載発電機を用いた第2給電部と、燃料電池を用いた第3給電部と、太陽光発電を用いた第4給電部と、停電を含む非常時にも稼働が必需である重要機器群に給電を行うための第1給電経路と、非常時には稼働が必需ではない一般機器群に給電を行うための第2給電経路と、前記第1乃至第4給電部を入力とし、前記第1及び第2給電経路を出力とする分電盤と、を備え、前記分電盤は、入力として前記第1給電部及び前記第2給電部を切り替える第1開閉器と、入力として前記第3給電部及び前記第1開閉器の出力を切り替え、出力が前記第1給電経路に接続された、第2開閉器と、入力として前記第4給電部及び前記第1開閉器の出力を切り替え、出力が前記第2給電経路に接続された、第3開閉器と、を有する。
【0007】
本態様によれば、停電等の非常時において、車両が第2給電部に接続されていない場合には、第2開閉器の入力を第3給電部に切り替えることにより、第3給電部からの電力を重要機器群に供給でき、第3開閉器の入力を第4給電部に切り替えることにより、第4給電部からの電力を一般機器群に供給できる。従って、定置型蓄電装置の設置を省略してシステムの導入コストを削減できるとともに、停電等の非常時においてユーザにとって最適な給電制御を実行することが可能となる。また、燃料電池を用いて第3給電部を構成したため、天気や時間帯によらずに安定して重要機器群に電力を供給できる。また、一般的に燃料電池より大電力を供給可能な太陽光発電を用いて第4給電部を構成したため、多くの一般機器群の稼働を確保できる。さらに、停電等の非常時において、車両が第2給電部に接続されている場合には、第1開閉器の入力を第2給電部に切り替え、第2開閉器及び第3開閉器の各入力を第1開閉器の出力に切り替えることにより、車両からの安定した大電力を重要機器群及び一般機器群に供給できる。従って、住宅の新築当初はユーザがEV又はPHV等の車両を所有していない場合であっても、将来的に車両を購入した場合には車両からの電力供給を可能な構成としたことにより、システムの拡張性を持たせることができ、ユーザにとってより最適な給電制御を実行することが可能となる。
【0008】
上記態様において、前記第1乃至第3開閉器の入力の切り替え制御を実行する制御装置をさらに備え、前記制御装置は、非常時の制御モードとして第1モードが設定されている場合には、前記車両が前記第2給電部に接続されているか否かを判定し、前記車両が前記第2給電部に接続されていない場合には、前記第2開閉器の入力を前記第3給電部に切り替え、前記第3開閉器の入力を前記第4給電部に切り替え、前記車両が前記第2給電部に接続されている場合には、前記第1開閉器の入力を前記第2給電部に切り替え、前記第2開閉器の入力を前記第1開閉器の出力に切り替え、前記第3開閉器の入力を前記第1開閉器の出力に切り替える。
【0009】
本態様によれば、ユーザは第1モードを選択でき、当該第1モードが設定された場合において、車両が第2給電部に接続されている場合には、車両からの安定した大電力を重要機器群及び一般機器群に供給できる。また、車両が第2給電部に接続されていない場合には、燃料電池による安定した電力を重要機器群に供給でき、太陽光発電による大電力を多くの一般機器群に供給できる。
【0010】
上記態様において、前記第1乃至第3開閉器の入力の切り替え制御を実行する制御装置をさらに備え、前記制御装置は、非常時の制御モードとして第2モードが設定されている場合には、前記車両が前記第2給電部に接続されているか否かを判定し、前記車両が前記第2給電部に接続されていない場合には、前記第2開閉器の入力を前記第3給電部に切り替え、前記第3開閉器の入力を前記第4給電部に切り替え、前記車両が前記第2給電部に接続されている場合には、前記第1開閉器の入力を前記第2給電部に切り替え、前記第2開閉器の入力を前記第3給電部に切り替え、前記第3開閉器の入力を前記第4給電部に切り替える。
【0011】
本態様によれば、ユーザは第2モードを選択でき、当該第2モードが設定された場合には、車両が第2給電部に接続されている場合であっても、第2給電部より第3給電部及び第4給電部からの電力供給が優先される。従って、車両における車載バッテリの過放電又は車載発電機を駆動するための燃料の消費を抑制することが可能となる。
【0012】
上記態様において、前記制御装置は、前記車両が前記第2給電部に接続されている場合において、前記第1給電経路の消費電力が第1しきい値以上である場合には、前記第2開閉器の入力を前記第1開閉器の出力に切り替える。
【0013】
本態様によれば、第2モードで燃料電池から重要機器群へ電力供給を行っている場合において、重要機器群の消費電力量が増大した場合には第2開閉器の入力を第1開閉器の出力に切り替えることにより、車両からの安定した大電力の供給によって重要機器群の稼働を確保することが可能となる。
【0014】
上記態様において、前記制御装置は、前記車両が前記第2給電部に接続され、前記第2開閉器の入力が前記第1開閉器の出力に切り替えられている場合において、前記車両の燃料残量が所定値未満となった場合、前記第1給電経路の消費電力が前記第1しきい値未満となった場合、又は、前記燃料電池の発電に伴う蓄湯残量が所定値未満となった場合には、前記第2開閉器の入力を前記第3給電部に切り替える。
【0015】
本態様によれば、第2モードで車両から重要機器群へ電力供給を行っている場合において、車両の燃料残量が所定値未満となった場合に第2開閉器の入力を第3給電部に切り替えることにより、車両における燃料の枯渇を回避できる。また、重要機器群の消費電力量が低下した場合に第2開閉器の入力を第3給電部に切り替えることにより、車両における車載バッテリの過放電又は燃料の消費を抑制できる。また、蓄湯残量が所定値未満となった場合に第2開閉器の入力を第3給電部に切り替えることにより、燃料電池の発電に伴う作湯を行うことができる。
【0016】
上記態様において、前記制御装置は、前記車両が前記第2給電部に接続されている場合において、前記太陽光発電による発電可能条件を満たさない場合、又は、前記第2給電経路の消費電力が第2しきい値以上である場合には、前記第3開閉器の入力を前記第1開閉器の出力に切り替える。
【0017】
本態様によれば、第2モードで太陽光発電から一般機器群へ電力供給を行っている場合において、天気又は時間帯等の影響で太陽光発電による発電可能条件を満たさない場合に第3開閉器の入力を第1開閉器の出力に切り替えることにより、車両からの安定した大電力の供給によって一般機器群の稼働を確保することが可能となる。また、一般機器群の消費電力量が増大した場合に第3開閉器の入力を第1開閉器の出力に切り替えることにより、車両からの安定した大電力の供給によって一般機器群の稼働を確保することが可能となる。
【0018】
上記態様において、前記制御装置は、前記車両が前記第2給電部に接続され、前記第3開閉器の入力が前記第1開閉器の出力に切り替えられている場合において、前記太陽光発電による発電可能条件を満たし、かつ、前記第2給電経路の消費電力が前記第2しきい値未満となった場合は、前記第3開閉器の入力を前記第4給電部に切り替える。
【0019】
本態様によれば、第2モードで車両から一般機器群へ電力供給を行っている場合において、天気又は時間帯等の影響で太陽光発電による発電可能条件を満たす場合に第3開閉器の入力を第4給電部に切り替えることにより、車両における車載バッテリの過放電又は燃料の消費を抑制できる。また、一般機器群の消費電力量が低下した場合に第3開閉器の入力を第4給電部に切り替えることにより、車両における車載バッテリの過放電又は燃料の消費を抑制できる。
【0020】
上記態様において、アラート出力装置をさらに備え、前記制御装置は、前記車両が前記第2給電部に接続され、前記第3開閉器の入力が前記第1開閉器の出力に切り替えられている場合において、前記車両の燃料残量が所定値未満となった場合は、前記第2給電経路への給電を停止する旨のアラートを前記アラート出力装置に出力させる。
【0021】
本態様によれば、第2モードで車両から一般機器群へ電力供給を行っている場合において、車両の燃料残量が所定値未満となった場合には一般機器群への電力供給を停止することにより、車両における燃料の枯渇を回避できる。また、アラート出力装置がアラートを出力することにより、一般機器群への給電を停止することをユーザに報知することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、定置型蓄電装置の設置を省略できるとともに、停電等の非常時においてユーザにとって最適な給電制御を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る電力供給システムの構成を模式的に示す図である。
図2】制御装置が実行する処理内容を示すフローチャートである。
図3】制御装置が実行する処理内容を示すフローチャートである。
図4】制御装置が実行する処理内容を示すフローチャートである。
図5】制御装置が実行する処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る電力供給システム1の構成を模式的に示す図である。本実施形態に係る電力供給システム1は、住宅用給電システムとして、ユーザが居住する住宅内に構築される。なお、住宅用給電システムは電力供給システム1の一例であり、本発明に係る電力供給システム1の適用対象には、工場、商業施設、又は公共施設等も含まれる。
【0026】
住宅内に設置される電気機器は、重要機器群70と一般機器群80とに分類される。
【0027】
重要機器群70は、停電等の非常時にも稼働が必需である電気機器群であり、LDK等に設置されている照明、テレビ、冷蔵庫、又はコンセント等を含む。重要機器群70には、第1給電経路71を介して駆動用の電力が供給される。第1給電経路71には、センサ72が接続されている。センサ72は、電流値又は電圧値等の測定によって重要機器群70の全体の消費電力量を検出する。また、第1給電経路71には、入出力装置73が接続されている。入出力装置73は、LDK等に設置されているタッチパネルディスプレイ等である。但し、入力装置と出力装置とが分離していても良い。入力装置はマウス又はキーボード等であっても良く、出力装置はテレビ又はスピーカ等であっても良い。
【0028】
一般機器群80は、停電等の非常時には稼働が必需ではない電気機器群であり、寝室又は廊下等に設置されている照明、テレビ、又はコンセント等を含む。一般機器群80には、第2給電経路81を介して駆動用の電力が供給される。第2給電経路81には、センサ82が接続されている。センサ82は、電流値又は電圧値等の測定によって一般機器群80の全体の消費電力量を検出する。また、第2給電経路81には、非常用のコンセント83が接続されている。大容量のモバイルバッテリ84の出力端子をコンセント83に接続することによって、モバイルバッテリ84から第2給電経路81を介して一般機器群80に電力を供給することができる。
【0029】
電力供給システム1は、商用電源11を用いた第1給電部10と、車両21に搭載された車載バッテリ22又は車載発電機23を用いた第2給電部20と、燃料電池を用いた第3給電部30と、太陽光発電を用いた第4給電部40とを備えている。車両21は、EV又はPHV等である。本実施形態の例では、各給電部からの出力電力は、第2給電部20>第4給電部40>第3給電部30であるものとする。
【0030】
電力供給システム1は、分電盤50を備えている。分電盤50は、入力端子A,B及び出力端子Cを有する第1開閉器51と、入力端子D,E及び出力端子Fを有する第2開閉器52と、入力端子G,H及び出力端子Iを有する第3開閉器53とを備えている。
【0031】
分電盤50は、第1給電部10、第2給電部20、第3給電部30、及び第4給電部40を入力とし、第1給電経路71及び第2給電経路81を出力とする。
【0032】
第1開閉器51の入力端子Aは第1給電部10に接続されており、入力端子Bは第2給電部20に接続されている。第1開閉器51は、入力として第1給電部10及び第2給電部20を切り替える。
【0033】
第2開閉器52の入力端子Dは第3給電部30に接続されており、入力端子Eは第1開閉器51の出力端子Cに接続されており、出力端子Fは第1給電経路71に接続されている。第2開閉器52は、入力として第3給電部30及び第1開閉器51の出力端子Cを切り替える。
【0034】
第3開閉器53の入力端子Gは第1開閉器51の出力端子Cに接続されており、入力端子Hは第4給電部40に接続されており、出力端子Iは第2給電経路81に接続されている。第3開閉器53は、入力として第4給電部40及び第1開閉器51の出力端子Cを切り替える。
【0035】
第1給電部10は、一般分電盤等を用いて構成されており、商用電源11からの電力を第1開閉器51の入力端子Aに供給する。
【0036】
第2給電部20は、宅外の防水コンセント等を用いて構成されており、車両21からの電力を第1開閉器51の入力端子Bに供給する。
【0037】
第3給電部30は、天然ガス等を用いた燃料電池発電装置を備えて構成されており、発電した電力を第2開閉器52の入力端子Dに供給する。また、第3給電部30は、燃料電池発電装置の発電時の発熱を利用して作湯した蓄湯タンクの蓄湯残量を検出するセンサ31を備えている。なお、停電等の非常時ではない通常時において、第3給電部30からの電力を第1給電部10に供給しても良い。
【0038】
第4給電部40は、ソーラーパネル等を用いた太陽光発電装置を備えて構成されており、発電した電力を第3開閉器53の入力端子Hに供給する。なお、停電等の非常時ではない通常時において、第4給電部40からの電力を第1給電部10に供給しても良い。
【0039】
電力供給システム1は、分電盤50に接続された制御装置60を備えている。制御装置60は、マイコン等を用いて構成されており、第1開閉器51、第2開閉器52、及び第3開閉器53の入力の切り替え制御を実行する。また、制御装置60は、有線又は無線の任意の通信ネットワークを介して、第1給電部10、第2給電部20、第3給電部30、第4給電部40、センサ31,72,82、及び入出力装置73と相互通信可能である。なお、制御装置60は、無停電電源又は乾電池等によって駆動する。また、第1開閉器51、第2開閉器52、及び第3開閉器53の入力の切り替えは、制御装置60による自動制御ではなく、分電盤50上のディップスイッチ等の物理スイッチを用いたユーザによる手動切り替えであっても良い。
【0040】
図2~5は、制御装置60が実行する処理内容を示すフローチャートである。
【0041】
図2を参照して、まずステップS11において制御装置60は、停電を検出したか否かを判定する。制御装置60は、第1給電部10から受信した商用電源11の電圧の測定結果に基づいて、停電の発生の有無を判定する。
【0042】
停電を検出しない場合(ステップS11:NO)は、次にステップS12において制御装置60は、通常時モードを実行する。通常時モードにおいて、制御装置60は、第1開閉器51の入力を第1給電部10に切り替え、第2開閉器52の入力を第1開閉器51の出力に切り替え、第3開閉器53の入力を第1開閉器51の出力に切り替える。これにより、商用電源11からの電力が重要機器群70及び一般機器群80に供給される。
【0043】
停電を検出した場合(ステップS11:YES)は、制御装置60は、安全確保のため第1給電部10の内部において商用電源11との接続を遮断した後、次にステップS13において制御装置60は、停電時の制御モードが第1モード及び第2モードのいずれに設定されているかを判定する。第1モードは、車両21からの電力供給を優先するモードであり、第2モードは、燃料電池及び太陽光発電からの電力供給を優先するモードである。ユーザは、入出力装置73を用いてモード選択情報を予め入力する。制御装置60は、入出力装置73から受信したモード選択情報を内部メモリに保存する。
【0044】
停電時の制御モードが第1モードに設定されている場合には、次にステップS14において制御装置60は、図3に示す第1モード制御を実行する。
【0045】
停電時の制御モードが第2モードに設定されている場合には、次にステップS15において制御装置60は、図4,5に示す第2モード制御を実行する。図4には、第2モード制御のうち燃料電池(FC:fuel cell)に関連する第2モードFC制御を示しており、図5には、第2モード制御のうち太陽光発電(PV:photovoltaic)に関連する第2モードPV制御を示している。
【0046】
制御装置60は、図2に示した処理を所定の微小時間間隔で繰り返し実行する。
【0047】
図3を参照して、停電時の制御モードとして第1モードが設定されている場合には、まずステップS21において制御装置60は、車両21が第2給電部20に接続されているか否かを判定する。制御装置60は、第2給電部20から受信した第2給電部20の所定の内部電圧の測定結果に基づいて、車両21の接続の有無を判定する。
【0048】
車両21が第2給電部20に接続されていない場合(ステップS21:NO)には、次にステップS22において制御装置60は、安全確保のため第1開閉器51の入力を入力端子A(第1給電部10)に切り替える。また、制御装置60は、第2開閉器52の入力を入力端子D(第3給電部30)に切り替え、第3開閉器53の入力を入力端子H(第4給電部40)に切り替える。これにより、燃料電池による安定した電力を第3給電部30から重要機器群70に供給でき、太陽光発電による大電力を第4給電部40から多くの一般機器群80に供給できる。
【0049】
一方、車両21が第2給電部20に接続されている場合(ステップS21:YES)には、次にステップS23において制御装置60は、第1開閉器51の入力を入力端子B(第2給電部20)に切り替え、第2開閉器52の入力を入力端子E(第1開閉器51の出力端子C)に切り替え、第3開閉器53の入力を入力端子G(第1開閉器51の出力端子C)に切り替える。これにより、車両21からの安定した大電力を重要機器群70及び一般機器群80に供給できる。
【0050】
図4を参照して、停電時の制御モードとして第2モードが設定されている場合には、まずステップS31において制御装置60は、車両21が第2給電部20に接続されているか否かを判定する。制御装置60は、第2給電部20から受信した第2給電部20の所定の内部電圧の測定結果に基づいて、車両21の接続の有無を判定する。
【0051】
車両21が第2給電部20に接続されていない場合(ステップS31:NO)には、次にステップS32において制御装置60は、安全確保のため第1開閉器51の入力を入力端子A(第1給電部10)に切り替える。また、制御装置60は、第2開閉器52の入力を入力端子D(第3給電部30)に切り替える。これにより、燃料電池による安定した電力を第3給電部30から重要機器群70に供給できる。
【0052】
車両21が第2給電部20に接続されている場合(ステップS31:YES)には、次にステップS33において制御装置60は、センサ72から受信した第1給電経路71(重要機器群70)の消費電力P1が第1しきい値Th1以上であるか否かを判定する。第1しきい値Th1は、例えば、第3給電部30からの最大出力電力よりも若干小さい値に設定される。また、第1しきい値Th1は、停電等の非常時ではない通常時における重要機器群70のユーザの日常的な使用電力量に基づいて、その数値が設定されても良い。なお、ステップS33の処理を実行する前に、消費電力P1が増加傾向にあるか否かを判定し、増加傾向にあると判定されたことを条件としてステップS33の処理に進む構成としても良い。
【0053】
消費電力P1が第1しきい値Th1未満である場合(ステップS33:NO)は、次にステップS34において制御装置60は、第1開閉器51の入力を入力端子B(第2給電部20)に切り替え、第2開閉器52の入力を入力端子D(第3給電部30)に切り替える。これにより、燃料電池による安定した電力を第3給電部30から重要機器群70に供給できる。また、重要機器群70の消費電力量が低下した場合に第2開閉器52の入力を第1開閉器51の出力端子Cから第3給電部30に切り替えることにより、車両21における車載バッテリ22の過放電又は燃料の消費を抑制できる。
【0054】
消費電力P1が第1しきい値Th1以上である場合(ステップS33:YES)は、次にステップS35において制御装置60は、車両21の燃料残量Qが所定値X1以上であるか否かを判定する。燃料残量Qを示す情報は車両21から第2給電部20に送信され、制御装置60は第2給電部20から当該情報を受信する。所定値X1は、例えば、数十kmの走行距離に相当する値に設定される。
【0055】
燃料残量Qが所定値X1以上である場合(ステップS35:YES)は、次にステップS36において制御装置60は、センサ31から受信した蓄湯残量Rが所定値X2以上であるか否かを判定する。所定値X2は、例えば、数回分のシャワー入浴で使用される湯量に相当する値に設定される。
【0056】
蓄湯残量Rが所定値X2以上である場合(ステップS36:YES)は、次にステップS37において制御装置60は、第1開閉器51の入力を入力端子B(第2給電部20)に切り替え、第2開閉器52の入力を入力端子E(第1開閉器51の出力端子C)に切り替える。これにより、車両21からの安定した大電力の供給によって重要機器群70の稼働を確保することが可能となる。
【0057】
燃料残量Qが所定値X1未満である場合(ステップS35:NO)は、次にステップS34において制御装置60は、第1開閉器51の入力を入力端子B(第2給電部20)に切り替え、第2開閉器52の入力を入力端子D(第3給電部30)に切り替える。これにより、車両21における燃料の枯渇を回避できる。
【0058】
また、蓄湯残量Rが所定値X2未満である場合(ステップS36:NO)は、次にステップS34において制御装置60は、第1開閉器51の入力を入力端子B(第2給電部20)に切り替え、第2開閉器52の入力を入力端子D(第3給電部30)に切り替える。これにより、燃料電池の発電に伴う作湯を行うことができる。
【0059】
図5を参照して、停電時の制御モードとして第2モードが設定されている場合には、まずステップS41において制御装置60は、車両21が第2給電部20に接続されているか否かを判定する。制御装置60は、第2給電部20から受信した第2給電部20の所定の内部電圧の測定結果に基づいて、車両21の接続の有無を判定する。
【0060】
車両21が第2給電部20に接続されていない場合(ステップS41:NO)には、次にステップS42において制御装置60は、太陽光発電による発電可能条件を満たしているか否かを判定する。制御装置60は、サーバ装置等から通信ネットワークを介して受信した天気情報及び時刻情報等に基づいて、太陽光発電による発電が可能か否かを判定する。
【0061】
太陽光発電による発電可能条件を満たさない場合(ステップS42:NO)は、次にステップS43において制御装置60は、入出力装置73にアラート命令を送信することにより、第2給電経路81(一般機器群80)への給電を停止する旨のアラートを入出力装置73に出力させる。出力の態様は、画面への文字又は図形等の表示であっても良いし、スピーカからの音声出力であっても良い。アラートには、住宅内における重要機器群70の設置エリア(例えばLDK)への移動を促すメッセージを含んでも良い。また、アラートには、コンセント83へのモバイルバッテリ84の接続を促すメッセージを含んでも良い。
【0062】
太陽光発電による発電可能条件を満たす場合(ステップS42:YES)は、次にステップS44において制御装置60は、安全確保のため第1開閉器51の入力を入力端子A(第1給電部10)に切り替える。また、制御装置60は、第3開閉器53の入力を入力端子H(第4給電部40)に切り替える。これにより、太陽光発電による大電力を第4給電部40から一般機器群80に供給できる。
【0063】
車両21が第2給電部20に接続されている場合(ステップS41:YES)には、次にステップS45において制御装置60は、太陽光発電による発電可能条件を満たしているか否かを判定する。制御装置60は、サーバ装置等から通信ネットワークを介して受信した天気情報及び時刻情報等に基づいて、太陽光発電による発電が可能か否かを判定する。
【0064】
太陽光発電による発電可能条件を満たす場合(ステップS45:YES)は、次にステップS46において制御装置60は、センサ82から受信した第2給電経路81(一般機器群80)の消費電力P2が第2しきい値Th2以上であるか否かを判定する。第2しきい値Th2は、例えば、第4給電部40からの最大出力電力よりも若干小さい値に設定される。また、第2しきい値Th2は、停電等の非常時ではない通常時における一般機器群80のユーザの日常的な使用電力量に基づいて、その数値が設定されても良い。
【0065】
消費電力P2が第2しきい値Th2未満である場合(ステップS46:NO)は、次にステップS47において制御装置60は、第1開閉器51の入力を入力端子B(第2給電部20)に切り替え、第3開閉器53の入力を入力端子H(第4給電部40)に切り替える。これにより、太陽光発電による大電力を第4給電部40から一般機器群80に供給できる。また、一般機器群80の消費電力量が低下した場合に第3開閉器53の入力を第1開閉器51の出力端子Cから第4給電部40に切り替えることにより、車両21における車載バッテリ22の過放電又は燃料の消費を抑制できる。
【0066】
太陽光発電による発電可能条件を満たさない場合(ステップS45:NO)、又は、消費電力P2が第2しきい値Th2以上である場合(ステップS46:YES)は、次にステップS48において制御装置60は、車両21の燃料残量Qが所定値X1以上であるか否かを判定する。燃料残量Qを示す情報は車両21から第2給電部20に送信され、制御装置60は第2給電部20から当該情報を受信する。所定値X1は、例えば、数十kmの走行距離に相当する値に設定される。
【0067】
燃料残量Qが所定値X1以上である場合(ステップS48:YES)は、次にステップS49において制御装置60は、第1開閉器51の入力を入力端子B(第2給電部20)に切り替え、第3開閉器53の入力を入力端子G(第1開閉器51の出力端子C)に切り替える。これにより、車両21からの安定した大電力の供給によって一般機器群80の稼働を確保することが可能となる。
【0068】
燃料残量Qが所定値X1未満である場合(ステップS48:NO)は、次にステップS43において制御装置60は、入出力装置73にアラート命令を送信することにより、第2給電経路81(一般機器群80)への給電を停止する旨のアラートを入出力装置73に出力させる。出力の態様は、画面への文字又は図形等の表示であっても良いし、スピーカからの音声出力であっても良い。アラートには、住宅内における重要機器群70の設置エリア(例えばLDK)への移動を促すメッセージを含んでも良い。また、アラートには、コンセント83へのモバイルバッテリ84の接続を促すメッセージを含んでも良い。
【0069】
本実施形態に係る電力供給システム1によれば、停電等の非常時において、車両21が第2給電部20に接続されていない場合には、第2開閉器52の入力を第3給電部30に切り替えることにより、第3給電部30からの電力を重要機器群70に供給でき、第3開閉器53の入力を第4給電部40に切り替えることにより、第4給電部40からの電力を一般機器群80に供給できる。従って、定置型蓄電装置の設置を省略してシステムの導入コストを削減できるとともに、停電等の非常時においてユーザにとって最適な給電制御を実行することが可能となる。
【0070】
また、燃料電池を用いて第3給電部30を構成したため、天気や時間帯によらずに安定して重要機器群70に電力を供給できる。また、一般的に燃料電池より大電力を供給可能な太陽光発電を用いて第4給電部40を構成したため、多くの一般機器群80の稼働を確保できる。
【0071】
さらに、停電等の非常時において、車両21が第2給電部20に接続されている場合には、第1開閉器51の入力を第2給電部20に切り替え、第2開閉器52及び第3開閉器53の各入力を第1開閉器51の出力端子Cに切り替えることにより、車両21からの安定した大電力を重要機器群70及び一般機器群80に供給できる。従って、住宅の新築当初はユーザがEV又はPHV等の車両21を所有していない場合であっても、将来的に車両21を購入した場合には車両21からの電力供給を可能な構成としたことにより、システムの拡張性を持たせることができ、ユーザにとってより最適な給電制御を実行することが可能となる。
【符号の説明】
【0072】
1 電力供給システム
10 第1給電部
11 商用電源
20 第2給電部
21 車両
22 車載バッテリ
23 車載発電機
30 第3給電部
40 第4給電部
50 分電盤
51 第1開閉器
52 第2開閉器
53 第3開閉器
60 制御装置
70 重要機器群
71 第1給電経路
73 入出力装置
80 一般機器群
81 第2給電経路
図1
図2
図3
図4
図5