(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】電気コネクタ、電気コネクタの製造方法及び電気コネクタの実装方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/506 20060101AFI20240528BHJP
H01R 13/516 20060101ALI20240528BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20240528BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20240528BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20240528BHJP
【FI】
H01R13/506
H01R13/516
H01R43/00 B
H05K1/18 G
H01R12/71
(21)【出願番号】P 2022193782
(22)【出願日】2022-12-02
(62)【分割の表示】P 2022106384の分割
【原出願日】2022-06-30
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182028
【氏名又は名称】多原 伸宜
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】義浦 康夫
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健介
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-515588(JP,A)
【文献】特開2016-12420(JP,A)
【文献】特開2001-196140(JP,A)
【文献】登録実用新案第3016857(JP,U)
【文献】特開2015-103289(JP,A)
【文献】特開平10-214645(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109216980(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0097335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/506
H01R 13/516
H01R 43/00
H01R 12/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の実装面に実装される電気コネクタであって、
ケースと、
前記ケースに保持されるレセプタクルと、
前記ケースに保持されるスライダーと、
を有し、
前記ケースは、
前記実装面に対向する底面に設けられると共に前記レセプタクルを外部に露出した状態で収容する収容部と、前記収容部に前記レセプタクルを保持する保持部と、前記実装面に当接する当接部と、前記収容部より上方に延設されて上端が外部に開口すると共に前記スライダーを上下方向に移動可能に保持する連通孔と、を備え、
前記レセプタクルは、
前記実装面に半田付けされる端子部を備え、前記保持部により前記収容部に保持された状態において、前記端子部が前記当接部と同じ高さ又は前記当接部よりも下方に位置すると共に、上方に移動可能であり、
前記スライダーは、
前記連通孔を下方に移動して前記保持部により前記収容部に保持された前記レセプタクルを下方に押圧可能である、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記ケースは、
前記電気コネクタが前記実装面に実装された際に前記基板より突出する突出部を備え、
前記電気コネクタは、
前記実装面に実装された際に上方から見て前記基板と重なる部分に重心位置を有する、
ことを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
基板の実装面に実装される電気コネクタの製造方法であって、
ケースの前記実装面に対向する底面に設けられる収容部より上方に延設されて上端が外部に開口する連通孔にスライダーを挿入すると共に、前記収容部にレセプタクルを挿入する挿入工程と、
前記挿入工程により前記収容部に挿入される前記レセプタクルを前記ケースの保持部により外部に露出した状態で前記収容部に保持させることにより、前記レセプタクルの前記実装面に半田付けされる端子部を前記ケースの前記実装面に当接する当接部と同じ高さ又は前記当接部よりも下方に位置させると共に、前記レセプタクルを上方に移動可能にし、前記挿入工程により前記連通孔に挿入された前記スライダーを前記連通孔に上下方向に移動可能に保持させることにより、前記保持部により前記収容部に保持された前記レセプタクルを前記連通孔を下方に移動する前記スライダーによって下方に押圧可能にする保持工程と、
を有することを特徴とする電気コネクタの製造方法。
【請求項4】
基板の実装面に実装される電気コネクタの実装方法であって、
ケースの保持部によって前記ケースの前記実装面に対向する底面に設けられる収容部にレセプタクルを外部に露出した状態で保持させることにより、前記レセプタクルの前記実装面に半田付けされる端子部を前記ケースの前記実装面に当接する当接部と同じ高さ又は前記当接部よりも下方に位置させると共に前記レセプタクルを上方に移動可能にし、前記ケースの前記収容部より上方に延設されて上端が外部に開口する連通孔に上下方向に移動可能にスライダーを保持させた状態において、前記スライダーを吸着ノズルによって吸着した状態で前記電気コネクタを前記実装面上に移送して前記当接部を前記実装面に当接させると共に、前記吸着ノズルにより前記スライダーを下方に押圧して下方に移動させることにより前記スライダーによって前記レセプタクルを下方に押圧して前記端子部を前記実装面に押し付けた後に前記実装面に半田付けする、
ことを特徴とする電気コネクタの実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の実装面に実装されるケースとレセプタクルとを有する電気コネクタ、この電気コネクタの製造方法及びこの電気コネクタの実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用途等に用いられる電気コネクタとしては、アウターハウジング等のケースの内部にレセプタクルを保持する構成を有する電気コネクタが知られている。
【0003】
特許文献1は、弾性力によってレセプタクルを挟持する一対のアーム部と、レセプタクルが嵌入される方向に対して直交する平面に平行な係止面を備えると共にアーム部の先端に設けられた係止部と、を有する電気コネクタを開示している。また、特許文献1の電気コネクタは、係止面とアーム部とで形成される角部に、アーム部がレセプタクルを挟持する際にレセプタクルを嵌入方向へ向けて押圧する押圧面を有する。これにより、レセプタクルをガタつくことなくアウターハウジングに保持させることができる。
【0004】
また、特許文献1の電気コネクタは、レセプタクルの端子部の基板の実装面に対する平坦度(以下、「コプラナリティ」と記載する)を維持させる必要がある。これに加えて、特許文献1の電気コネクタは、ケースに対するレセプタクルの固定位置と、基板に対するケースの接続位置と、の位置精度を考慮してコプラナリティを維持させる必要がある。例えば、レセプタクルの端子ピッチが0.8mmの場合には、0.15mm以下のコプラナリティが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、レセプタクルの端子部のピッチが狭ピッチになるほど要求されるコプラナリティは厳しくなるため、ケースに対するレセプタクルの固定位置と、基板に対するケースの接続位置と、の位置精度を考慮する必要があることにより、要求されるコプラナリティに対応できないという課題を有する。例えば、特許文献1においては、レセプタクルの端子ピッチが0.5mm以下の場合に、レセプタクルに要求されるコプラナリティは0.08mm以下となるため、要求されるコプラナリティに対応できないという課題を有する。
【0007】
本発明の目的は、レセプタクルの端子部のピッチが狭ピッチであっても、レセプタクルの端子部のコプラナリティを良好な状態に維持することができる電気コネクタ、電気コネクタの製造方法及び電気コネクタの実装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気コネクタは、基板の実装面に実装される電気コネクタであって、ケースと、前記ケースに保持されるレセプタクルと、前記ケースに保持されるスライダーと、を有し、前記ケースは、前記実装面に対向する底面に設けられると共に前記レセプタクルを外部に露出した状態で収容する収容部と、前記収容部に前記レセプタクルを保持する保持部と、前記実装面に当接する当接部と、前記収容部より上方に延設されて上端が外部に開口すると共に前記スライダーを上下方向に移動可能に保持する連通孔と、を備え、前記レセプタクルは、前記実装面に半田付けされる端子部を備え、前記保持部により前記収容部に保持された状態において、前記端子部が前記当接部と同じ高さ又は前記当接部よりも下方に位置すると共に、上方に移動可能であり、前記スライダーは、前記連通孔を下方に移動して前記保持部により前記収容部に保持された前記レセプタクルを下方に押圧可能である。
【0009】
本発明に係る電気コネクタの製造方法は、基板の実装面に実装される電気コネクタの製造方法であって、ケースの前記実装面に対向する底面に設けられる収容部より上方に延設されて上端が外部に開口する連通孔にスライダーを挿入すると共に、前記収容部にレセプタクルを挿入する挿入工程と、前記挿入工程により前記収容部に挿入される前記レセプタクルを前記ケースの保持部により外部に露出した状態で前記収容部に保持させることにより、前記レセプタクルの前記実装面に半田付けされる端子部を前記ケースの前記実装面に当接する当接部と同じ高さ又は前記当接部よりも下方に位置させると共に、前記レセプタクルを上方に移動可能にし、前記挿入工程により前記連通孔に挿入された前記スライダーを前記連通孔に上下方向に移動可能に保持させることにより、前記保持部により前記収容部に保持された前記レセプタクルを前記連通孔を下方に移動する前記スライダーによって下方に押圧可能にする保持工程と、を有する。
【0010】
本発明に係る電気コネクタの実装方法は、基板の実装面に実装される電気コネクタの実装方法であって、ケースの保持部によって前記ケースの前記実装面に対向する底面に設けられる収容部にレセプタクルを外部に露出した状態で保持させることにより、前記レセプタクルの前記実装面に半田付けされる端子部を前記ケースの前記実装面に当接する当接部と同じ高さ又は前記当接部よりも下方に位置させると共に前記レセプタクルを上方に移動可能にし、前記ケースの前記収容部より上方に延設されて上端が外部に開口する連通孔に上下方向に移動可能にスライダーを保持させた状態において、前記スライダーを吸着ノズルによって吸着した状態で前記電気コネクタを前記実装面上に移送して前記当接部を前記実装面に当接させると共に、前記吸着ノズルにより前記スライダーを下方に押圧して下方に移動させることにより前記スライダーによって前記レセプタクルを下方に押圧して前記端子部を前記実装面に押し付けた後に前記実装面に半田付けする。
【0011】
基板の実装面に対してレセプタクルの端子部を当接させた後に、ケースに対してレセプタクルを上方に相対移動させながらケースの当接部を実装面に当接させることが可能であり、ケースの影響を受けることなくレセプタクルの端子部を実装面に半田付けする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、レセプタクルの端子部のピッチが狭ピッチであっても、レセプタクルの端子部のコプラナリティを良好な状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの分解斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの後方及び上方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの後方及び下方から見た斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの正面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタのホールドダウンを取り除いた状態の斜視図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタをホールドダウンを取り除いた状態で基板に実装した状態の平面図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタのケースの断面図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタのホールドダウンの右後方及び下方から見た斜視図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタのホールドダウンの左後方及び下方から見た斜視図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタを基板に実装した状態の正面図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタを基板に実装した状態の断面図である。
【
図14】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの一部の基板実装前の拡大断面図である。
【
図15】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの一部の基板実装後の拡大断面図である。
【
図16】本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタの斜視図である。
【
図17】本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタのホールドダウンを取り除いた状態の斜視図である。
【
図18】本発明の第2の実施形態に係るホールドダウンを含む電気コネクタを基板に実装した状態の平面図である。
【
図20】本発明の第3の実施形態に係る電気コネクタの分解斜視図である。
【
図21】本発明の第3の実施形態に係るホールドダウンを含む電気コネクタを基板に実装した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態に係る電気コネクタにつき、詳細に説明する。図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、y軸の正方向を前方向、y軸の負方向を後ろ方向、x軸の正方向を左方向、x軸の負方向を右方向、z軸の正方向を上方向、及びz軸の負方向を下方向として説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の構成につき、
図1から
図14を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0016】
本実施形態に係る電気コネクタ1は、ケース2と、ホールドダウン3と、レセプタクル4と、を有している。
【0017】
ケース2は、樹脂等の絶縁性を有する材料によって形成されており、押圧部18と、前壁部19と、突出壁部20と、収容部21と、係合部22と、当接部23と、嵌合部24と、挿通部25と、突出部26と、平坦部27と、後壁部28と、内天壁部29と、開口部30と、を備えている。前壁部19と、突出壁部20と、係合部22と、は収容部21に収容されるレセプタクル4の前後、左右及び下方への移動を規制してレセプタクル4を収容部21に保持する保持部を構成している。
【0018】
押圧部18は、
図5に示すように、レセプタクル4の後述の突出部412と端子部422との間において、内天壁部29より下方に突出している。押圧部18は、収容部21に保持されているレセプタクル4との間に隙間を有して対向しており、ケース2及びレセプタクル4が基板100の実装面100aに実装された際にレセプタクル4に当接する。
【0019】
前壁部19は、収容部21の前方に設けられており、収容部21に保持されたレセプタクル4の前方への移動を規制している。
【0020】
突出壁部20は、係合部22よりも後方に設けられており、収容部21に収容されるレセプタクル4の後方への移動を規制している。
【0021】
収容部21は、ケース2の基板100の実装面100aに対向する底面である下面に設けられていると共に後端が外部に連通している。収容部21は、レセプタクル4を外部に露出した状態で収容している。
【0022】
弾性部としての係合部22は、収容部21の左右の内壁に一対設けられている。係合部22は、下端に内方に突出した係止爪部221を備えている。係合部22は、挿通部25と収容部21との間で左右方向に弾性変形可能になっている。係合部22は、係止爪部221がレセプタクル4の後述のカバー43の被係合部432と係合してレセプタクル4の下方への移動を規制している。
【0023】
当接部23は、収容部21の前端において左右の側壁の下端に設けられている。当接部23は、ケース2を基板100の実装面100aに実装した際に実装面100aに当接する。
【0024】
嵌合部24は、突出部26に設けられていると共に前端が外部に開放された筒状であり、図示しない相手側コネクタと嵌合可能になっている。
【0025】
挿通部25は、収容部21の周囲において上下方向に貫通する貫通孔であり、ホールドダウン3が挿通されている。
【0026】
突出部26は、ケース2を基板100の実装面100aに実装した際に基板100より外部前方に突出する(
図7参照)。
【0027】
平坦部27は、ケース2の後方の上面に設けられており、前後方向及び左右方向に沿って平坦になっている。
【0028】
後壁部28は、ケース2の後端に設けられており、左右方向の中央が前方に凹んでいる。
【0029】
内天壁部29は、収容部21の上方に設けられている。
【0030】
開口部30は、前壁部19に設けられており、収容部21と嵌合部24とを連通している(
図5参照)。
【0031】
ホールドダウン3は、金属板をプレス加工によって打ち抜いた後に折り曲げて形成されており、ケース2を基板100に固定するためにケース2に装着される装着部材である。ホールドダウン3は、ケース2の挿通部25に挿通されてケース2に取り付けられている。ホールドダウン3は、天面部31と、後面部32と、内部側面部33と、脚部34と、前面部35と、外部側面部36と、を備えている。
【0032】
天面部31は、平坦部27を覆っている。
【0033】
後面部32は、天面部31の後端より下方に折り曲げられて形成されており、後壁部28を覆っている。
【0034】
内部側面部33は、前面部35の左端及び右端より後方に折り曲げられて形成されていると共に天面部31の左右に設けられており、挿通部25に挿入されている。内部側面部33の各々は、一対の脚部34のうちの前方の脚部34の近傍である上方に規制部331を備えている。
【0035】
規制部331は、係止爪部221の左右外方において係止爪部221に対向して設けられている。規制部331は、レセプタクル4を収容部21から下方に脱落させるような係合部22の左右外方への弾性変形を規制する一方、レセプタクル4を収容部21から下方に脱落させない範囲において係合部22の左右外方への弾性変形を許容している。ここで、左右外方は、レセプタクル4を収容部21から下方に脱落させる方向である。
【0036】
半田付け部としての脚部34は、左右の内部側面部33の各々の下端より下方に延設されている。脚部34は、各内部側面部33において前後方向に間隔を有して一対設けられている。脚部34は、挿通部25より下方に突出すると共にケース2の底面よりも上方に位置している。
【0037】
前面部35は、天面部31の前端より下方に折り曲げられて形成されており、挿通部25に挿通されている。
【0038】
外部側面部36は、後面部32の左端及び右端より前方に折り曲げられて形成されており、ケース2の左側面部の後端側と右側面部の後端側とを覆っている。
【0039】
レセプタクル4は、シールドケース41と、コンタクト42と、カバー43と、ハウジング44と、を備えている。
【0040】
シールドケース41は、金属板をプレス加工によって打ち抜いた後に折り曲げて形成されており、前方に開口して図示しない相手側コネクタと嵌合する嵌合部411を備えている。シールドケース41は、底面より下方に突出すると共にレセプタクル4を基板100の実装面100aに実装した際に実装面100aに当接して半田付けされる突出部412を備えている。
【0041】
突出部412は、
図3に示すように、端子部422と当接部23との間に設けられていると共に、シールドケース41を構成する金属板を折り曲げた際の合わせ目を挟んで左右に一対設けられている。なお、突出部412は、実装面100aに半田付けされるが、これに限らず、半田付けされずに実装面100aに当接するのみでもよい。
【0042】
コンタクト42は、導電性を有する材料によって形成されており、ハウジング44に取り付けられている。コンタクト42は、図示しない相手側コネクタの導電部と接続する接続部421と、基板100の実装面100aに半田付けされる端子部422と、を備えている。端子部422は、係合部22の係止爪部221とカバー43の被係合部432とが係合することによりレセプタクル4が収容部21に保持された状態において、当接部23よりも下方に位置している(
図14参照)。
【0043】
カバー43は、金属板をプレス加工によって打ち抜いた後に折り曲げて形成されており、コンタクト42と絶縁された状態でシールドケース41に取り付けられている。カバー43は、基板100の実装面100aの図示しない導電部に接続される脚部431と、係合部22の係止爪部221と係合する被係合部432と、を備えている。被係合部432は、カバー43を構成する金属板の板厚分の幅を有する切断面である。
【0044】
ハウジング44は、樹脂等の絶縁性を有する材料によって形成されており、シールドケース41によって覆われている。ハウジング44は、シールドケース41及びカバー43と絶縁した状態でコンタクト42を保持している。
【0045】
上記の構成を有するレセプタクル4は、収容部21に保持された状態において、ケース2の押圧部18に対して間隔を有して対向していることにより、ケース2に対して上方に相対移動可能になっている。
【0046】
<電気コネクタの製造方法>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法につき、
図1から
図13を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0047】
まず、予め樹脂材料を用いて射出成型等によってケース2を形成すると共に、金属板をプレス加工してホールドダウン3を形成する。また、既存の方法で製造したレセプタクル4を用意する。この際に、用途に応じた数又はピッチの端子部422を有するレセプタクル4を選択することが可能である。
【0048】
次に、ケース2の収容部21に対して突出壁部20よりも前方且つ下方からレセプタクル4を挿入する挿入工程を実行する。この際に、レセプタクル4のカバー43によってケース2の係合部22を左右外方に弾性変形させながら収容部21にレセプタクル4を挿入する。
【0049】
次に、レセプタクル4のカバー43が被係合部432を通過するまで収容部21にレセプタクル4を下方より挿入することにより、ケース2の係合部22の弾性復帰力によって係合部22の係止爪部221とカバー43の被係合部432とを係合させて、レセプタクル4を収容部21に保持させる保持工程を実行する。この際に、レセプタクル4は、係合部22の係止爪部221によって下方への移動を規制され、突出壁部20によって後方への移動を規制されると共に、前壁部19によって前方への移動を規制された状態で収容部21に保持される。
【0050】
次に、ケース2の挿通部25に対して、ホールドダウン3の脚部34を上方より挿入し、続いて内部側面部33及び前面部35を挿入する。
【0051】
そして、挿通部25に対してホールドダウン3の内部側面部33及び前面部35を更に挿入することにより、天面部31が平坦部27に当接して平坦部27を覆い、後面部32が後壁部28を覆うと共に、外部側面部36がケース2の左側面部の後端側と右側面部の後端側とを覆う。これにより、電気コネクタ1が完成する。
【0052】
電気コネクタ1が完成した状態において、内部側面部33の規制部331により係合部22の左右外方への弾性変形を規制することにより、電気コネクタ1を基板100の実装面100aに実装する前におけるレセプタクル4の収容部21から下方への脱落を防ぐことができる。
【0053】
特に、係止爪部221と係合する被係合部432の係合する幅がカバー43を構成している金属板の板厚分しかなく、係止爪部221と被係合部432とが極めて浅い係合状態であるため、規制部331によって係合部22の左右外方への弾性変形を規制しない場合には、電気コネクタ1を基板100に実装する前において電気コネクタ1に対して衝撃等の外力が加わった際に、係止爪部221と被係合部432との係合が外れ易く、レセプタクル4がケース2から脱落してしまう。
【0054】
これに対して、本実施形態では、ホールドダウン3の規制部331によって係合部22の左右外方への弾性変形を規制することにより、係止爪部221と被係合部432とが極めて浅い係合状態である場合であっても、電気コネクタ1に対して衝撃等の外力が加わった際に、係合部22が左右外方に弾性変形してレセプタクル4がケース2から脱落することを防ぐことができる。
【0055】
<電気コネクタの実装方法>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の実装方法につき、
図1から
図15を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0056】
上記の製造方法により製造した電気コネクタ1の天面部31を図示しない実装機の吸着ノズルによって吸着して、電気コネクタ1を基板100の実装面100aに移送する。この際に、レセプタクル4の端子部422は、係合部22の係止爪部221とカバー43の被係合部432とが係合することにより、
図14に示すように、ケース2の当接部23よりも距離H1だけ下方に位置している。また、レセプタクル4は、ケース2の内天壁部29より下方に突出している押圧部18に対して間隔R1を有して対向している。
【0057】
次に、電気コネクタ1のホールドダウン3の脚部34を基板100のスルーホール100bに上方より挿通する。
【0058】
脚部34をスルーホール100bに挿通することにより、まずレセプタクル4のコンタクト42の端子部422とシールドケース41の突出部412とが実装面100aに当接し、続いてケース2の当接部23が実装面100aに当接する。
【0059】
端子部422及び突出部412が実装面100aに当接する前には、
図14に示すように、当接部23の下端部と係止爪部221の上端部との上下方向の間隔H2がレセプタクル4の被係合部432の下端部と端子部422の半田付け面との上下方向の間隔H3よりも小さく(H2<H3)、端子部422の半田付け面及び突出部412の下端部は当接部23の下端部よりもH1だけ下方に位置している。この状態において端子部422及び突出部412が実装面100aに当接することにより、被係合部432が係止爪部221に対して上方に相対移動することにより係止爪部221より離れると共に、レセプタクル4は、収容部21内においてケース2に対して間隔(H3-H2=H1)の分だけ上方に相対移動する。これにより、レセプタクル4は、ケース2の影響を受けないフリーの状態になる。
【0060】
また、レセプタクル4がケース2に対して上方に相対移動することにより、
図15に示すように、上下方向において端子部422の半田付け面と当接部23の下端部とが略同じ位置になる(H1≒0)。また、レセプタクル4は、間隔R1が距離H1と略同じであるので(R1≒H1)、ケース2に対して上方に相対移動することにより、押圧部18に当接すると共に(R1=0)、押圧部18によって上方より実装面100aに向けて押圧される。
【0061】
なお、電気コネクタ1を基板100に実装する前において、レセプタクル4の端子部422の半田付け面がケース2の当接部23の下端部よりも下方に位置するようにしたが、これに限らず、端子部422の半田付け面と当接部23の下端部とが上下方向において同じ高さ(H1=0及びH2=H3)であってもよい。この場合において、端子部422及び突出部412が基板100に当接した後に、係止爪部221と被係合部432とが完全に離れなくても、レセプタクル4の自重が被係合部432を通じて係止爪部221にかかっていない状態であれば、同じようにレセプタクル4はケース2の影響を受けないフリーの状態になる。
【0062】
更に、ホールドダウン3の規制部331はレセプタクル4を収容部21から下方に脱落させない範囲において係合部22の左右外方への弾性変形を許容しているため、実装面100aの半田付け位置に対して端子部422を左右方向において位置調整しながら確実に当接させることができる。
【0063】
次に、レセプタクル4の端子部422及び突出部412を基板100の実装面100aの図示しない導電部に半田付けすると共に、ホールドダウン3の脚部34を基板100のスルーホール100bの図示しない導電部に半田付けすることにより、基板100に対する電気コネクタ1の実装が完了する。この際に、レセプタクル4は、上記の通り、被係合部432が係止爪部221との係合を解除された状態になっているため、ケース2の影響を受けることなく、基板100の実装面100aに対する端子部422のコプラナリティを良好な状態に維持することができる。
【0064】
また、レセプタクル4は、押圧部18によって上方より実装面100aに押圧されているため、端子部422及び突出部412が実装面100aより浮き上がってしまうことを防ぐことができる。この際に、レセプタクル4は、実装面100aに当接する端子部422と実装面100aに当接する突出部412との間を押圧部18によって上方より実装面100aに向けて押圧されているため、実装面100aに対して前後方向において傾くことなく平行な状態で実装することができる。
【0065】
上記の実装方法によって基板100に実装された電気コネクタ1は、
図7に示すように、ケース2の突出部26が基板100より外部に突出している。この状態において、電気コネクタ1は、ホールドダウン3を設けることにより、上方から見て(
図7に示す状態において)基板100と重なった部分に重心位置を有する。これにより、電気コネクタ1を基板100に安定した状態で実装することができる。
【0066】
また、スルーホール100bの導電部に半田付けされる脚部34の上方に規制部331を設けることにより、電気コネクタ1を基板100の実装面100aに実装した状態において、規制部331が係合部22より左右外方に押圧された場合であっても、係合部22の左右外方への弾性変形を規制部331によって確実に規制することができる。
【0067】
このように、本実施形態によれば、基板100の実装面100aに実装されるケース2とレセプタクル4とを有する電気コネクタ1において、ケース2は、実装面100aに対向する底面に設けられると共にレセプタクル4を外部に露出した状態で収容する収容部21と、収容部21にレセプタクル4を保持する前壁部19、突出壁部20及び係合部22と、実装面100aに当接する当接部23と、を備え、レセプタクル4は、実装面100aに半田付けされる端子部422を備え、前壁部19、突出壁部20及び係合部22により収容部21に保持された状態において、端子部422が当接部23と同じ高さ又は当接部23よりも下方に位置すると共に、上方に移動可能であることにより、レセプタクル4の端子部422のピッチが狭ピッチであっても、レセプタクル4の端子部422のコプラナリティを良好な状態に維持することができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、基板100の実装面100aに実装されるケース2と、ケース2に収容された状態で実装面100aに実装されるレセプタクル4と、ケース2に装着されるホールドダウン3と、を有し、ケース2は、レセプタクル4を収容する収容部21と、収容部21にレセプタクル4を保持する前壁部19、突出壁部20及び係合部22と、を備え、保持部は、レセプタクル4を弾性力によって収容部21に保持する弾性変形可能な係合部22を備え、ホールドダウン3は、係合部22におけるレセプタクル4を収容部21から脱落させる方向への弾性変形を規制する規制部331を備えることにより、ケース2からレセプタクル4が脱落することを防ぐことができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、ケース2を基板100に固定するホールドダウン3によって、係合部22におけるレセプタクル4を収容部21から脱落させる方向への弾性変形を規制することにより、基板100に対してケース2を固定する部材と、係合部22におけるレセプタクル4を収容部21から脱落させる方向への弾性変形を規制する部材と、をホールドダウン3によって兼用することができ、部品数の増加を抑制することができる。
【0070】
なお、本実施形態において、ホールドダウン3によって係合部22におけるレセプタクル4を収容部21から脱落させる方向への弾性変形を規制したが、これに限らず、ホールドダウン3以外の装着部材をケース2に装着し、この装着部材によって係合部22におけるレセプタクル4を収容部21から脱落させる方向への弾性変形を規制してもよい。
【0071】
(第2の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタ11の構成につき、
図16から
図19を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0072】
【0073】
本実施形態に係る電気コネクタ11は、レセプタクル4と、ケース5と、ホールドダウン6と、を有している。
【0074】
ケース5は、樹脂等の絶縁性を有する材料によって形成されており、前壁部19と、突出壁部20と、収容部21と、係合部22と、当接部23と、嵌合部24と、挿通部25と、突出部26と、内天壁部29と、開口部30と、ばね部51と、可動部52と、後壁部53と、を備えている。ばね部51と可動部52とは、押圧ばね部を構成している。
【0075】
収容部21は、ケース5の底面である下面に凹設されていると共に後端が外部に連通している。
【0076】
挿通部25は、収容部21の周囲において上下方向に貫通する貫通孔であり、ホールドダウン6が挿通されている。
【0077】
突出部26は、ケース5を基板100の実装面100aに実装した際に基板100より外部前方に突出する。
【0078】
内天壁部29は、収容部21の上方に設けられており、収容部21に保持されているレセプタクル4に対して間隔を有して対向している。
【0079】
ばね部51は、可動部52と後壁部53とを接続している。ばね部51は、可動部52が下方に押圧された際に弾性変形して可動部52の下方への移動を可能にし、可動部52に対する下方への押圧力が解除された際に弾性復帰力によって可動部52を上方へ移動させる。
【0080】
可動部52は、収容部21の上方に設けられており、収容部21に保持されているレセプタクル4に対して間隔を有して対向している。可動部52は、下方に押圧された際に下方に移動して、収容部21に保持されているレセプタクル4を下方に押圧し、下方への押圧力が解除された際に上方に移動して、収容部21に保持されているレセプタクル4の下方への押圧を解除する。
【0081】
後壁部53は、ケース5の後端において可動部52の左右に設けられていると共に、可動部52に向かって前方に凹んでいる。
【0082】
ホールドダウン6は、金属板をプレス加工によって打ち抜いた後に折り曲げて形成されており、ケース5を基板100に固定するためにケース5に装着される装着部材である。ホールドダウン6は、ケース5の挿通部25に挿通されてケース5に取り付けられている。ホールドダウン6は、後面部32と、内部側面部33と、脚部34と、前面部35と、天面部61と、窓孔部62と、を備えている。
【0083】
後面部32は、天面部61の後端より下方に折り曲げられて形成されており、可動部52の後端及び後壁部53を覆っている。
【0084】
内部側面部33は、前面部35の左端及び右端より後方に折り曲げられて形成されていると共に天面部61の左右に設けられており、挿通部25に挿通されている。
【0085】
脚部34は、挿通部25より下方に突出すると共にケース5の底面よりも上方に位置している。
【0086】
前面部35は、天面部61の前端より下方に折り曲げられて形成されており、挿通部25に挿通されている。
【0087】
天面部61は、ばね部51及び可動部52の上端を覆っている。
【0088】
窓孔部62は、天面部61の略中央に設けられた板厚方向に貫通する貫通孔であり、可動部52の一部を外部に露出させている。
【0089】
上記の構成を有する電気コネクタ11において、内部側面部33の規制部331により係合部22の左右外方への弾性変形を規制することにより、電気コネクタ11を基板100に実装する前におけるレセプタクル4の収容部21から下方への脱落を防ぐことができる。
【0090】
なお、本実施形態に係る電気コネクタ11の製造方法は電気コネクタ1の製造方法と同一方法であるので、その説明を省略する。
【0091】
<電気コネクタの実装方法>
本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタ11の実装方法につき、
図16から
図19を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0092】
電気コネクタ11のホールドダウン6の窓孔62より外部に露出しているケース5の可動部52の上面を、実装機の吸着ノズル200によって吸着して、電気コネクタ11を基板100の実装面100aに移送する。この際に、レセプタクル4の端子部422は、係合部22の係止爪部221とカバー43の被係合部432とが係合することにより、ケース5の当接部23よりも下方に位置している。また、レセプタクル4は、ケース5の内天壁部29及び可動部52に対して間隔を有して対向している。
【0093】
次に、電気コネクタ11のホールドダウン6の脚部34を基板100のスルーホール100bに上方より挿通する。
【0094】
脚部34をスルーホール100bに挿通することにより、まずレセプタクル4のコンタクト42の端子部422とシールドケース41の突出部412とが実装面100aに当接し、続いてケース5の当接部23が実装面100aに当接する。
【0095】
端子部422及び突出部412が実装面100aに当接する前には、当接部23の下端部と係止爪部221の上端部との上下方向の間隔がレセプタクル4の被係合部432の下端部と端子部422の半田付け面との上下方向の間隔よりも小さく、端子部422の半田付け面及び突出部412の下端部は当接部23の下端部よりも下方に位置している。この状態において端子部422及び突出部412が実装面100aに当接することにより、被係合部432が係止爪部221に対して上方に相対移動することにより係止爪部221より離れると共に、レセプタクル4は、収容部21内においてケース5に対して上方に相対移動する。これにより、レセプタクル4は、ケース5の影響を受けないフリーの状態になる。
【0096】
また、レセプタクル4の端子部422は、レセプタクル4がケース5に対して上方に相対移動することにより、上下方向においてケース5の当接部23と略同じ位置になる。また、レセプタクル4は、ケース5に対して上方に相対移動することにより、実装面100aへの実装前に比べてケース5の内天壁部29及び可動部52に接近して対向する。
【0097】
なお、電気コネクタ11を基板100に実装する前において、レセプタクル4の端子部422の半田付け面がケース5の当接部23の下端部よりも下方に位置するようにしたが、これに限らず、端子部422の半田付け面と当接部23の下端部とが上下方向において同じ高さであってもよい。この場合において、端子部422が基板100に当接した後に、係止爪部221と被係合部432とが完全に離れなくても、レセプタクル4の自重が被係合部432を通じて係止爪部221にかかっていない状態であれば、同じようにレセプタクル4はケース5の影響を受けないフリーの状態になる。
【0098】
更に、ホールドダウン6の規制部331はレセプタクル4を収容部21から下方に脱落させない範囲において係合部22の左右外方への弾性変形を許容しているため、実装面100aの半田付け位置に対して端子部422を左右方向において位置調整しながら確実に当接させることができる。
【0099】
次に、ケース5の可動部52は、吸着ノズル200によって下方に押圧されることによりばね部51が弾性変形して下方に移動して、レセプタクル4を下方に押圧する。これにより、レセプタクル4の端子部422は、基板100の実装面100aの図示しない導電部に押圧されるため、導電部に安定して接続することができる。
【0100】
次に、レセプタクル4の端子部422及び突出部412を基板100の実装面100aの図示しない導電部に半田付けすると共に、ホールドダウン6の脚部34を基板100のスルーホール100bの図示しない導電部に半田付けすることにより、基板100に対する電気コネクタ11の実装が完了する。この際に、レセプタクル4は、上記の通り、ケース5に対してフリーの状態になっているため、ケース5の影響を受けることなく、基板100の実装面100aに対する端子部422のコプラナリティを良好な状態に維持することができる。
【0101】
上記の実装方法によって基板100に実装された電気コネクタ11は、
図18に示すように、ケース5の突出部26が基板100より外部に突出している。この状態において、電気コネクタ11は、ホールドダウン6を設けることにより、上方から見て(
図18に示す状態において)基板100と重なった部分に重心位置を有する。これにより、電気コネクタ11を基板100に安定した状態で実装することができる。
【0102】
また、スルーホール100bの導電部に半田付けされる脚部34の上方に規制部331を設けることにより、電気コネクタ11を基板100の実装面100aに実装した状態において、係合部22の左右外方への弾性変形を規制部331によって確実に規制することができる。
【0103】
このように、本実施形態によれば、ケース5は、収容部21の上方に設けられると共に係合部22により収容部21に保持されたレセプタクル4を弾性変形することにより下方に押圧可能なばね部51及び可動部52を備えることにより、上記の第1の実施形態の効果に加えて、レセプタクル4を基板100の実装面100aに対して安定して実装することができる。
【0104】
なお、本実施形態において、電気コネクタ11を実装面100aに実装する際に、可動部52を吸着ノズル200によって下方に押圧したが、これに限らず、吸着ノズル200以外の治具等によって可動部52を下方に押圧してもよい。
【0105】
また、本実施形態において、ホールドダウン6に外部側面部36を設けない構成にしたが、これに限らず、ホールドダウン6に外部側面部36を設けてもよい。
【0106】
また、本実施形態において、ホールドダウン6によって係合部22におけるレセプタクル4を収容部21から脱落させる方向への弾性変形を規制したが、これに限らず、ホールドダウン6以外の装着部材をケース5に装着し、この装着部材によって係合部22におけるレセプタクル4を収容部21から脱落させる方向への弾性変形を規制してもよい。
【0107】
(第3の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第3の実施形態に係る電気コネクタ12の構成につき、
図20から
図22を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0108】
【0109】
本実施形態に係る電気コネクタ12は、レセプタクル4と、ケース7と、ホールドダウン8と、スライダー9と、を有している。
【0110】
ケース7は、樹脂等の絶縁性を有する材料によって形成されており、前壁部19と、突出壁部20と、収容部21と、係合部22と、当接部23と、嵌合部24と、挿通部25と、突出部26と、後壁部28と、内天壁部29と、開口部30と、連通孔71と、平坦部72と、を備えている。
【0111】
収容部21は、ケース7の底面である下面に凹設されていると共に後端が外部に連通している。
【0112】
当接部23は、ケース7を基板100の実装面100aに実装した際に実装面100aに当接する。
【0113】
挿通部25は、収容部21の周囲において上下方向に貫通する貫通孔であり、ホールドダウン8が挿通されている。
【0114】
突出部26は、ケース7を基板100の実装面100aに実装した際に基板100より外部前方に突出する(
図17参照)。
【0115】
後壁部28は、ケース7の後端に設けられており、左右方向の中央が前方に凹んでいる。
【0116】
内天壁部29は、収容部21の上方に設けられており、収容部21に保持されているレセプタクル4に対して間隔を有して対向している。
【0117】
連通孔71は、収容部21より上方に延設されて上端が外部に開口すると共に、スライダー9を上下方向に移動可能に保持している。
【0118】
平坦部72は、ケース7の後方の上面の連通孔71の周囲に設けられており、前後方向及び左右方向に沿って平坦になっている。
【0119】
ホールドダウン8は、金属板をプレス加工によって打ち抜いた後に折り曲げて形成されており、ケース7を基板100に固定するためにケース7に装着される装着部材である。ホールドダウン8は、ケース7の挿通部25に挿通されてケース7に取り付けられている。ホールドダウン8は、後面部32と、内部側面部33と、脚部34と、前面部35と、天面部81と、窓孔部82と、を備えている。
【0120】
後面部32は、天面部81の後端より下方に折り曲げられて形成されており、後壁部28を覆っている。
【0121】
内部側面部33は、前面部35の左端及び右端より後方に折り曲げられて形成されていると共に天面部81の左右に設けられており、挿通部25に挿通されている。
【0122】
脚部34は、挿通部25より下方に突出すると共にケース7の底面よりも上方に位置している。
【0123】
前面部35は、天面部81の前端より下方に折り曲げられて形成されており、挿通部25に挿通されている。
【0124】
天面部81は、平坦部72を覆っている。
【0125】
窓孔部82は、天面部81の略中央に設けられて板厚方向に貫通する貫通孔であり、連通孔71に保持されているスライダー9の上端を外部に露出させている。
【0126】
スライダー9は、円筒状であり、上下方向に移動自在に連通孔71に保持されている。スライダー9は、下方に移動することによりレセプタクル4を下方に押圧可能になっている。
【0127】
<電気コネクタの製造方法>
本発明の第3の実施形態に係る電気コネクタ12の製造方法につき、
図16から
図18を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0128】
まず、予め樹脂材料を用いて射出成型等によってケース7を形成すると共に、金属板をプレス加工してホールドダウン8を形成する。また、既存の方法で製造したレセプタクル4を用意する。
【0129】
次に、ケース7の連通孔71に対して下方よりスライダー9を挿入し、続いてケース7の収容部21に対して突出壁部20よりも前方且つ下方からレセプタクル4を挿入する挿入工程を実行する。この際に、レセプタクル4のカバー43によってケース7の係合部22を外方に弾性変形させながら収容部21にレセプタクル4を挿入する。なお、この後の製造方法は、電気コネクタ1の製造方法と同一方法であるので、その説明を省略する。
【0130】
電気コネクタ12が完成した状態において、内部側面部33の規制部331により係合部22の左右外方への弾性変形を規制することにより、電気コネクタ12を基板100に実装する前におけるレセプタクル4の収容部21から下方への脱落を防ぐことができる。
【0131】
<電気コネクタの実装方法>
本発明の第3の実施形態に係る電気コネクタ12の実装方法につき、
図16から
図18を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0132】
上記の製造方法により製造した電気コネクタ12のホールドダウン8の窓孔部82より外部に露出しているスライダー9を、実装機の吸着ノズル200によって吸着して、電気コネクタ12を基板100の実装面100aに移送する。この際に、レセプタクル4の端子部422は、係合部22の係止爪部221とカバー43の被係合部432とが係合することにより、ケース7の当接部23よりも下方に位置している。また、レセプタクル4は、ケース7の内天壁部29に対して間隔を有して対向している。
【0133】
次に、電気コネクタ12のホールドダウン8の脚部34を基板100のスルーホール100bに上方より挿通する。
【0134】
脚部34をスルーホール100bに挿通することにより、まずレセプタクル4のコンタクト42の端子部422とシールドケース41の突出部412とが実装面100aに当接し、続いてケース7の当接部23が実装面100aに当接する。
【0135】
端子部422及び突出部412が実装面100aに当接する前には、当接部23の下端部と係止爪部221の上端部との上下方向の間隔がレセプタクル4の被係合部432の下端部と端子部422の半田付け面との上下方向の間隔よりも小さく、端子部422の半田付け面及び突出部412の下端部は当接部23の下端部よりも下方に位置している。この状態において端子部422及び突出部412が実装面100aに当接することにより、被係合部432が係止爪部221に対して上方に相対移動することにより係止爪部221より離れると共に、レセプタクル4は、収容部21内においてケース7に対して上方に相対移動する。これにより、レセプタクル4は、ケース7の影響を受けないフリーの状態になる。
【0136】
また、レセプタクル4の端子部422は、レセプタクル4がケース7に対して上方に相対移動することにより、上下方向においてケース7の当接部23と略同じ位置になる。また、レセプタクル4は、ケース7に対して上方に相対移動することにより、実装面100aへの実装前に比べてケース7の内天壁部29に接近して対向すると共にスライダー9を上方に押し上げる。
【0137】
なお、電気コネクタ12を基板100に実装する前において、レセプタクル4の端子部422の半田付け面がケース7の当接部23の下端部よりも下方に位置するようにしたが、これに限らず、端子部422の半田付け面と当接部23の下端部とが上下方向において同じ高さであってもよい。この場合において、端子部422が基板100に当接した後に、係止爪部221と被係合部432とが完全に離れなくても、レセプタクル4の自重が被係合部432を通じて係止爪部221にかかっていない状態であれば、同じようにレセプタクル4はケース7の影響を受けないフリーの状態になる。
【0138】
更に、ホールドダウン8の規制部331はレセプタクル4を収容部21から下方に脱落させない範囲において係合部22の左右外方への弾性変形を許容しているため、実装面100aの半田付け位置に対して端子部422を左右方向において位置調整しながら確実に当接させることができる。
【0139】
次に、スライダー9は、吸着ノズル200によって下方に押圧されることにより連通孔71内において下方に移動して、レセプタクル4を下方に押圧する。これにより、レセプタクル4の端子部422は、基板100の実装面100aの図示しない導電部に押圧されるため、導電部に安定して接続することができる。
【0140】
次に、レセプタクル4の端子部422及び突出部412を基板100の実装面100aの図示しない導電部に半田付けすると共に、ホールドダウン8の脚部34を基板100のスルーホール100bの図示しない導電部に半田付けすることにより、基板100に対する電気コネクタ12の実装が完了する。この際に、レセプタクル4は、上記の通り、ケース7に対してフリーの状態になっているため、ケース7の影響を受けることなく、基板100の実装面100aに対する端子部422のコプラナリティを良好な状態に維持することができる。
【0141】
上記の実装方法によって基板100に実装された電気コネクタ12は、
図21に示すように、ケース7の突出部26が基板100より外部に突出している。この状態において、電気コネクタ12は、ホールドダウン8を設けることにより、上方から見て(
図21に示す状態において)基板100と重なった部分に重心位置を有する。これにより、電気コネクタ12を基板100に安定した状態で実装することができる。
【0142】
また、スルーホール100bの導電部に半田付けされる脚部34の上方に規制部331を設けることにより、電気コネクタ12を基板100の実装面100aに実装した状態において、係合部22の左右外方への弾性変形を規制部331によって確実に規制することができる。
【0143】
このように、本実施形態によれば、ケース7は、収容部21より上方に延設されて上端が外部に開口すると共にスライダー9を上下方向に移動可能に保持する連通孔71を備え、スライダー9は、連通孔71を下方に移動して係合部22により収容部21に保持されたレセプタクル4を下方に押圧可能であることにより、上記の第1の実施形態の効果に加えて、レセプタクル4を基板100の実装面100aに対して安定して実装することができる。
【0144】
なお、本実施形態において、電気コネクタ12を実装面100aに実装する際に、スライダー9を吸着ノズル200によって下方に押圧したが、これに限らず、吸着ノズル200以外の治具等によってスライダー9を下方に押圧してもよい。
【0145】
また、本実施形態において、ホールドダウン8によって係合部22におけるレセプタクル4を収容部21から脱落させる方向への弾性変形を規制したが、これに限らず、ホールドダウン8以外の装着部材をケース7に装着し、この装着部材によって係合部22におけるレセプタクル4を収容部21から脱落させる方向への弾性変形を規制してもよい。
【0146】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【0147】
具体的には、上記の第1の実施形態から第3の実施形態において、収容部21にレセプタクル4を保持したが、これに限らず、レセプタクル4と異なる構成のコネクタを収容部21に保持してもよい。
【0148】
また、上記の第1の実施形態から第3の実施形態において、収容部21に保持されたレセプタクル4を上方向及び左右方向に移動可能にしたが、これに限らず、収容部21に保持されたレセプタクル4を上方向及び左右方向に加えて前後方向に移動可能にしてもよい。この場合には、収容部21に保持されるレセプタクル4をケース2、ケース5又はケース7の内部においてセルフアライメントすることができる。
【0149】
また、上記の第1の実施形態から第3の実施形態において、規制部311を脚部34の上方に設けたが、これに限らず、規制部311を一対の脚部34の間等の脚部34の上方以外の脚部34の近傍に設けることができる。この場合であっても、係合部22の左右外方への弾性変形を規制部331によって確実に規制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、基板の実装面に実装されるケースとレセプタクルとを有する電気コネクタに好適である。
【符号の説明】
【0151】
1 電気コネクタ
2 ケース
3 ホールドダウン
4 レセプタクル
5 ケース
6 ホールドダウン
7 ケース
8 ホールドダウン
9 スライダー
11 電気コネクタ
12 電気コネクタ
18 押圧部
19 前壁部
20 突出壁部
21 収容部
22 係合部
23 当接部
24 嵌合部
25 挿通部
26 突出部
27 平坦部
28 後壁部
29 内天壁部
30 開口部
31 天面部
32 後面部
33 内部側面部
34 脚部
35 前面部
36 外部側面部
41 シールドケース
42 コンタクト
43 カバー
44 ハウジング
51 ばね部
52 可動部
53 後壁部
61 天面部
62 窓孔部
71 連通孔
72 平坦部
81 天面部
82 窓孔部
100 基板
100a 実装面
100b スルーホール
200 吸着ノズル
221 係止爪部
331 規制部
411 嵌合部
412 突出部
421 接続部
422 端子部
431 脚部
432 被係合部