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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】回路基板モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20240528BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240528BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
H01L23/36 C
H01L23/36 D
H05K1/02 F
H05K7/20 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022508050
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(86)【国際出願番号】 JP2020043644
(87)【国際公開番号】W WO2021186797
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2020047121
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三木 修
(72)【発明者】
【氏名】細谷 達也
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-083098(JP,U)
【文献】特開2006-093526(JP,A)
【文献】特開2014-029977(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0067057(US,A1)
【文献】特表2009-522761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/12 -23/15
H01L23/29
H01L23/34 -23/36
H01L23/373-23/427
H01L23/44
H01L23/467-23/473
H05K 1/00 - 1/02
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と第2主面とを有し、前記第1主面に発熱を伴う電子部品が実装された第1回路基板と、
第3主面と第4主面とを有し、前記第3主面に前記第1回路基板が実装される第2回路基板と、
前記第1回路基板と前記第2回路基板との間に配置された第1熱伝導用シートと、
を備え、
前記第1回路基板は、
前記第2主面が前記第2回路基板の前記第3主面に対向するように実装され、
前記第1主面から前記第2主面まで貫通し、前記電子部品の実装端子の近傍領域に密集分布して形成され、熱伝導性部材が充填された複数の熱伝導ビアを備え、
前記複数の熱伝導ビアと前記第1熱伝導用シートとは、物理的に接触し、
前記第1熱伝導用シートは、前記第2回路基板の前記第3主面を覆っており、
前記第2回路基板の前記第4主面には、前記第2回路基板に電気的および物理的に接続されるデータ処理用の半導体デバイスと、前記データ処理用の半導体デバイスを放熱する放熱器を備え、
前記第2回路基板の前記第3主面には、バックプレートを備え、
前記バックプレートは、熱伝導性を有する材料からなる
回路基板モジュール。
【請求項2】
前記第1回路基板の前記第2主面は、絶縁膜を備え、
前記絶縁膜は、前記複数の熱伝導ビアに重なる位置に開口を有し、
前記複数の熱伝導ビアと前記第1熱伝導用シートとは、前記開口を通して、物理的かつ電気的に接続している、
請求項1に記載の回路基板モジュール。
【請求項3】
前記第1主面には、前記電子部品に接触して覆う第2熱伝導用シートと、
前記第2熱伝導用シートに対して面状に当接する前記放熱と、
を備える、
請求項1または請求項2に記載の回路基板モジュール。
【請求項4】
前記第1熱伝導用シートは、可撓性を有する、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の回路基板モジュール。
【請求項5】
前記第1熱伝導用シートの面積は、前記第1回路基板の前記発熱を伴う電子部品の実装面積よりも大きい、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の回路基板モジュール。
【請求項6】
前記第1熱伝導用シートは、金属よりも高い熱伝導率を有するグラファイトを含む、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の回路基板モジュール。
【請求項7】
前記第1熱伝導用シートは、シリコーンを含む、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の回路基板モジュール。
【請求項8】
前記電子部品は、パワー半導体であり、
前記電子部品と前記第1回路基板とを用いて、電力変換回路を構成する、
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の回路基板モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱を伴う電子部品が実装された回路基板モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板に実装された素子の放熱構造を有する回路部品が記載されている。特許文献1の構成では、基板の実装面に、素子が実装される。基板には、素子の放熱部が露出するように、貫通穴が形成されている。
【0003】
基板の実装面の裏側には、放熱フィンを有する放熱器が実装されている。放熱器は、突出部を有している。突出部は、貫通穴を挿通し、素子の放熱部に面接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-141279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すような従来の構成では、放熱フィンの高さ等のため、回路部品を実装する状態において低背化することが難しい。
【0006】
したがって、本発明の目的は、優れた放熱性を有する低背化の回路基板モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の回路基板モジュールは、第1回路基板、第2回路基板、および、第1熱伝導用シートを備える。第1回路基板は、第1主面と第2主面とを有し、第1主面に発熱を伴う電子部品が実装されている。第2回路基板は、第3主面と第4主面とを有し、第3主面に第1回路基板が実装されている。第1熱伝導用シートは、第1回路基板と第2回路基板との間に配置されている。第1回路基板は、第2主面が第2回路基板の第3主面に対向するように実装され、第1主面から第2主面まで貫通し、電子部品の実装端子の近傍領域に密集分布して形成され、熱伝導性部材が充填された熱伝導ビアを備える。熱伝導ビアと第1熱伝導用シートとは、物理的に接触する。第1熱伝導用シートは、第2回路基板の第3主面を覆っている。
【0008】
この構成では、電子部品の熱は、熱伝導ビア、第1熱伝導用シートを介して、第2回路基板に、高い熱伝導率で伝導される。これにより、電子部品は、効果的に放熱される。この際、従来のような高背な放熱器を用いなくてもよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、優れた放熱性を有する低背化した回路基板モジュールを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る回路基板モジュールの外観斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る回路基板モジュールの分解斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る回路基板モジュールの平面図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る回路基板モジュールの側面断面図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る回路基板モジュールが適用される電源回路モジュールの簡略的な等価回路図である。
図6図6は、図5に示す電源回路モジュールの電力変換部の簡略的な構成を示す等価回路図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る回路基板モジュールを適用した電子機器の一部の構成を示す側面断面図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る回路基板モジュールの側面断面図である。
図9図9は、第3の実施形態に係る回路基板モジュールの側面断面図である。
図10図10は、第3の実施形態に係る回路基板モジュールを適用した電子機器の一部の構成を示す側面断面図である。
図11図11は、第4の実施形態に係る回路基板モジュールの外観斜視図である。
図12図12は、第5の実施形態に係る回路基板モジュールの外観斜視図である。
図13図13は、第6の実施形態に係る回路基板モジュールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る回路基板モジュールについて、図を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る回路基板モジュールの外観斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る回路基板モジュールの分解斜視図である。図3は、第1の実施形態に係る回路基板モジュールの平面図である。図4は、第1の実施形態に係る回路基板モジュールの側面断面図である。なお、図4は、図3に示すA-A断面を模式的に示している。また、図1図2図3図4では、図を見やすくするため、一部の符号を省略している。
【0012】
(回路基板モジュール10の構成)
図1図2図3図4に示すように、回路基板モジュール10は、回路基板20、回路基板30、および、熱伝導用シート40を備える。
【0013】
回路基板20は、絶縁性の基材からなる。回路基板20は、第1主面201と第2主面202とを有する平板である。図示を省略しているが、回路基板20には、後述する電力変換回路を実現するための導体パターンが形成されている。回路基板20が、本発明の「第1回路基板」に対応する。
【0014】
回路基板20の第1主面201には、複数のスイッチングIC21および複数のインダクタ22が実装されている。複数のスイッチングIC21が、主として、本発明の「発熱を伴う電子機器」である。なお、複数のインダクタ22も、本発明の「発熱を伴う電子機器」に含んでもよい。なお、本発明の「発熱を伴う電子機器」は、パワー半導体であってもよい。
【0015】
複数のスイッチングIC21は、所定の配列で、回路基板20に実装されている。複数のインダクタ22は、複数のスイッチングIC21の実装領域を挟むように、所定の配列で、回路基板20に実装されている。この際、複数のスイッチングIC21と複数のインダクタ22とは、それぞれに構成する電力変換部(図4図5参照)毎に近接して配置される。これら複数のスイッチングIC21および複数のインダクタ22は、例えば、図1図2図3に示すように、回路基板20を平面視した中央領域に実装されている。なお、複数のスイッチングIC21および複数のインダクタ22の実装領域は、これに限らない。
【0016】
回路基板20には、複数の外部端子導体24が形成されている。複数の外部端子導体24は、例えば、略円形や矩形等の導体パターンであり、回路基板20の第2主面202に形成されている。複数の外部端子導体24は、回路基板20の平面視において、複数のスイッチングIC21の実装領域および複数のインダクタ22の実装領域とは異なる領域に配置されている。例えば、複数の外部端子導体24は、回路基板20の側面付近に、所定のパターンで配置されている。
【0017】
回路基板20には、複数の熱伝導ビア25が形成されている。複数の熱伝導ビア25は、回路基板20の第1主面201から第2主面202までを貫通する。複数の熱伝導ビア25は、所定の金属等、熱伝導性の高い材料からなる。具体的には、複数の熱伝導ビア25は、回路基板20の第1主面201から第2主面202までを貫通する貫通孔に、高い熱伝導率を有する熱伝導性部材を充填することによって、実現可能である。複数の熱伝導ビア25は、例えば、回路基板20に回路を形成するためのビア導体を兼ねてもよい。複数の熱伝導ビア25は、回路を形成するためのビア導体よりも大きな断面積を有することが好ましい。
【0018】
複数の熱伝導ビア25は、複数のスイッチングIC21が実装される実装端子(導体パターン)の近傍領域に密集分布して形成されている。ここで、熱伝導ビア25が実装端子の近傍にあるとは、例えば、この熱伝導ビア25と実装端子との間に、熱伝導ビア25の寸法程度の間隔がなかったり、熱伝導ビア25と実装端子との間に他の導体パターンが形成されていない状態によって定義が可能である。なお、この定義は一例であり、複数のスイッチングIC21から実装端子に伝搬する熱が回路用の導体パターンや回路用のビア導体を介して他に伝搬するよりも高い効率で熱伝導ビア25に伝搬する位置であれば、熱伝導ビア25が実装端子の近傍に形成されていると定義できる。
【0019】
また、複数の熱伝導ビア25は、複数のインダクタ22が実装される実装端子(導体パターン)の近傍領域に密集分布して形成されている。この複数のインダクタ22の実装端子に対する近傍の定義も、上述の複数のスイッチングIC21の実装端子に対する近傍の定義と同様であり、説明は省略する。
【0020】
回路基板30は、絶縁性の基材からなる。回路基板30は、第3主面301と第4主面302とを有する平板である。回路基板30は、例えば、パソコン等の電子機器のマザーボードである。回路基板30の平面面積は、回路基板20の平面面積よりも大きく、さらに大幅に大きい方が好ましい。回路基板30が、本発明の「第2回路基板」に対応する。
【0021】
回路基板30の第3主面301には、複数のランド導体311が形成されてる。
【0022】
熱伝導用シート40は、高い熱伝導率を有する膜である。熱伝導用シート40は、可撓性を有することが好ましい。熱伝導用シート40の面積は、回路基板20の面積(第2主面202の面積)と略同じである。熱伝導用シート40は、例えば、グラファイトシートやシリコーンシートによって実現される。熱伝導用シート40が、本発明の「第1熱伝導用シート」に対応する。なお、グラファイトシートを用いる場合、金属よりも高い熱伝導率を有するグラファイトシートを用いるとよりよい。これにより、後述の放熱効率はさらに向上する。
【0023】
以上のような構成において、回路基板モジュール10では、回路基板20は、第2主面202が回路基板30の第3主面301と対向するように、回路基板30に対して配置される。回路基板30の複数のランド導体311は、はんだ等の導電性接合材を介して、回路基板20の複数の外部端子導体24に接合される。これにより、回路基板20と回路基板30とは、電気的および物理的に接合される。
【0024】
熱伝導用シート40は、回路基板20と回路基板30との間に配置され、回路基板20および回路基板30と面接触する。言い換えれば、熱伝導用シート40は、回路基板20の第2主面202、および、回路基板30の第3主面301における第2主面202との対向部を覆っている。この際、熱伝導用シート40は、回路基板20の複数の熱伝導ビア25に、物理的に接触する。
【0025】
このような構成によって、回路基板モジュール10は、複数のスイッチングIC21から生じた熱を、回路基板20の基材、回路用の導体パターン、および、熱伝導用シート40を通じて、回路基板30に伝導できる。さらに、回路基板モジュール10は、複数のスイッチングIC21から生じた熱を、複数の熱伝導ビア25、および、熱伝導用シート40を通じて、回路基板30に伝導できる。回路基板30は、回路基板20よりも大きな面積であるので、伝搬された熱は、効果的に放熱される。
【0026】
特に、回路基板モジュール10は、複数の熱伝導ビア25を備えることによって、複数のスイッチングIC21から生じた熱を、熱伝導用シート40へ、より効果的に伝導できる。そして、熱伝導用シート40は、複数の熱伝導ビア25の総面積よりも大きく、複数のスイッチングIC21が実装される面積、さらには、複数のインダクタ22が実装される面積よりも大きいので、伝導した熱を、さらに面状に拡散して、回路基板30に伝導できる。そして、熱伝導用シート40よりも大面積の回路基板30によって、熱はさらに拡散して、さらに効率的な放熱を実現できる。
【0027】
このように、上述の構成を備えることによって、回路基板モジュール10は、発熱を伴う電子部品を、より効果的に放熱できる。さらに、回路基板モジュール10は、従来構成に示すような放熱フィンを用いないので、低背化を実現できる。すなわち、回路基板モジュール10は、優れた放熱性と低背化とを実現できる。
【0028】
また、上述の構成において、熱伝導用シート40が可撓性を有する場合、回路基板20と回路基板30とで、所定の押圧が係るように挟みこむとよい。可撓性を有するとは、外力等によって容易に変形することを意味する。これにより、熱伝導用シート40と回路基板20および回路基板30との密着性が向上する。さらに、熱伝導用シート40と複数の熱伝導ビア25との密着性が向上する。これにより、回路基板モジュール10は、さらに高い放熱性を実現できる。
【0029】
また、熱伝導用シート40は、回路基板20と回路基板30との不要な短絡を防止する目的があれば、シリコーンシートを用いればよい。この場合、回路基板20の第2主面202や回路基板30の第3主面301における互いに対向する部分に設ける絶縁性のレジスト膜を、省略することも可能である。また、絶縁性のレジスト膜がある態様であっても、回路基板20と回路基板30との不要な短絡は、さらに確実に防止できる。
【0030】
一方、熱伝導用シート40は、このような短絡の防止を目的とする必要が無い場合、もしくは、後述の第2の実施形態に示すように、積極的に熱伝導用シート40を導通させたければ、グラファイトシートを用いるとよい。グラファイトシートを用いる場合、回路基板20の第2主面202や回路基板30の第3主面301における互いに対向する部分において、必要な箇所に絶縁性のレジスト膜を設けることで、回路基板20と回路基板30との不要な短絡は防止できる。
【0031】
また、熱伝導用シート40は、回路基板20における複数の外部端子導体24の形成領域には配置されていない。これにより、熱伝導用シート40が導電性のシート(例えば、グラファイトシート)であれば、不要な短絡を抑制でき、熱伝導用シート40が絶縁性のシート(例えば、シリコーンシート)であれば、不要な断線を抑制できる。
【0032】
(適する回路モジュール例)
このような構成からならなる回路基板モジュール10は、例えば、次に示すような電子部品に適用できる。図5は、第1の実施形態に係る回路基板モジュールが適用される電源回路モジュールの簡略的な等価回路図である。図6は、図5に示す電源回路モジュールの電力変換部の簡略的な構成を示す等価回路図である。なお、電源回路モジュールの具体的な構成および動作については、説明を省略する。
【0033】
図5に示すように、電源回路モジュール2は、MPU901、複数の電力変換部911-917、電圧検出回路902、複数の入力コンデンサCi1-Ci7を備える。複数の電力変換部911-917は、入力端子Pinに接続され、外部から入力電圧Viの供給を受けている。複数の電力変換部911-917の入力端には、それぞれ、入力コンデンサCi1-Ci7が接続されている。複数の電力変換部911-917は、出力端子Pout+および出力端子Pout-からなる対の端子に接続されている。出力端子Pout+と出力端子Pout-との間には、出力コンデンサCoが接続されている。
【0034】
MPU901は、入力端子Pinに接続され、入力電圧Viの供給を受けている。MPU901は、複数の電力変換部911-917に接続する。
【0035】
電圧検出回路902は、出力端子Pout+に接続し、検出される電圧は、複数の電力変換部911-917に与えられる。
【0036】
MPU901は、入力電圧Viから得られる駆動電圧によって駆動し、電圧検出回路902で検出した電圧に基づいて、複数の電力変換部911-917のオンオフを制御する。すなわち、MPU901は、出力端子Poutに接続される負荷の状態に応じて、複数の電力変換部911-917における動作させる電力変換器の個数を制御する。具体的には、例えば、MPU901は、負荷に供給する電流を大きくしたければ、動作させる電力変換部の個数を増加させ、負荷に供給する電流が過剰であれば、動作させる電力変換部の個数を減少させる。
【0037】
これにより、電源回路モジュール2は、負荷の状態に応じた電流供給を行うことができる。また、この構成では、複数の電力変換部911-917が、負荷に対して、並列に接続されることで、電源回路モジュール2は、負荷に対して、低電圧でありながら、大電流を供給することができる。
【0038】
このような構成において、複数の電力変換部911-917は、同じ構成を備え、概略的には、図6に示す構成を備える。なお、以下では、図6を参照して、電力変換部911を例に説明する。
【0039】
電力変換部911は、スイッチングIC21、インダクタ22、フィードバック信号生成回路921、および、出力コンデンサCoを備える。
【0040】
スイッチングIC21は、内部に複数のスイッチング素子と、スイッチング素子の制御部とを備える。スイッチングIC21は、MPU901からクロック信号を受けて動作する。
【0041】
スイッチングIC21は、インダクタ22に接続され、インダクタ22は、出力端子Poutに接続される。インダクタ22の出力端子Pout側には、出力コンデンサCoが接続される。フィードバック信号生成回路921は、出力電流、出力電圧に応じたSense信号と、インダクタ電流とを用いて、フィードバック信号を生成し、スイッチングIC21に与える。
【0042】
スイッチングIC21は、フィードバック信号に基づいて、出力電流、出力電圧を制御する。
【0043】
この構成において、スイッチングIC21は、複数のスイッチング素子のオンオフを高速で切り替える。これにより、スイッチングIC21は、発熱を伴う。すなわち、スイッチングIC21は、本願の発熱を伴う電子機器に相当する。したがって、本願の回路基板モジュール10の構成は、より有効に作用する。
【0044】
また、上述のように、複数の電力変換部911-917は、大電流を供給するものであるので、当該電流によるスイッチングIC21およびインダクタ22での発熱も大きくなり易い。すなわち、スイッチングIC21およびインダクタ22は、本願の発熱を伴う電子機器に相当する。したがって、本願の回路基板モジュール10の構成は、さらに有効に作用する。
【0045】
(回路基板モジュール10の適用される電子機器の構成)
上述の構成を備える回路基板モジュール10は、例えば、図7に一部を示すような電子機器に適用すると、より有効である。図7は、第1の実施形態に係る回路基板モジュールを適用した電子機器の一部の構成を示す側面断面図である。
【0046】
図7に示すように、電子機器は、回路基板モジュール10の構成を備えるとともに、ソケット60を備える。ソケット60は、回路基板30の第4主面302に実装されている。ソケット60は、平面視において、回路基板20に重なっている。ソケット60には、放熱器としての機能が取り付けられていてもよい。
【0047】
ソケット60は、CPU、MPU等のデータ処理用の半導体デバイスが装着される。ソケット60に装着された半導体デバイスは、回路基板20によって実現される電源回路モジュール(例えば、上述の図5図6に示す電源回路モジュール2)から電力供給を受けて駆動する。
【0048】
CPU、MPU等は、現在、低電圧、大電流を必要とする仕様のものが多く、この場合、上述のように、電源回路モジュールの発熱量は、大きくなり易い。しかしながら、上述のように、回路基板モジュール10の構成を備えることによって、効果的な放熱が可能になる。したがって、半導体デバイスへの悪影響を抑制し、電子機器の信頼性は、向上する。また、この構成では、回路基板モジュール10が低背であるので、電源回路モジュールを、半導体デバイスの裏面に配置しても、電子機器を高背化を抑制できる。
【0049】
また、このような半導体デバイスも発熱を伴うため、例えば、ソケット60に放熱器が装着されることがある。このような場合、回路基板20にも同様に放熱器を備えると、電子機器がさらに高背化してしまう。しかしながら、回路基板モジュール10の構成では、回路基板20に高背な放熱器を必要としないので、電子機器の高背化を抑制できる。
【0050】
また、電源回路モジュールを実現する回路基板20が半導体デバイスに重なって配置されることで、電源回路モジュールと半導体デバイスとの距離が短くなる。したがって、電源回路モジュールから半導体デバイスへの電力供給効率は、高く、半導体デバイスへの供給電圧の精度、安定性も向上する。
【0051】
また、図7に示すように、回路基板20に対して、導電性のピン240を装着し、回路基板30を貫通させて、ソケット60に接続するとよい。これにより、回路基板20から半導体デバイスへの電力供給効率は、さらに高くなる。
【0052】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る回路基板モジュールについて、図を参照して説明する。図8は、第2の実施形態に係る回路基板モジュールの側面断面図である。
【0053】
図8に示すように、第2の実施形態に係る回路基板モジュール10Aは、第1の実施形態に係る回路基板モジュール10に対して、回路基板20にグランド導体26、および、絶縁性のレジスト膜27を備える点、および、これに関係する部分で異なる。回路基板モジュール10Aの他の構成は、回路基板モジュール10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0054】
回路基板モジュール10Aは、平膜状のグランド導体26、および、絶縁性のレジスト膜27を備える。グランド導体26は、回路基板20の第2主面202に形成されている。グランド導体26は、複数の熱伝導ビア25に接続する。
【0055】
レジスト膜27は、グランド導体26を覆うように形成されている。レジスト膜27には、開口部270が形成されている。開口部270によって、グランド導体26は、回路基板30側に、部分的に露出している。
【0056】
熱伝導用シート40は、グラファイトシート等の導電性を有する材料からなる。熱伝導用シート40は、上述のように押しつけられることによって、グランド導体26に当接し、密着している。すなわち、熱伝導用シート40とグランド導体26とは、開口部270を通して、物理的かつ電気的に接触している。
【0057】
このような構成では、複数の熱伝導ビア25、グランド導体26、および、熱伝導用シート40を通じて、複数のスイッチングIC21および複数のインダクタ22の熱は、放熱される。
【0058】
さらに、この構成では、熱伝導用シート40が、ノイズの遮蔽膜として機能する。これにより、回路基板モジュール10Aは、複数のスイッチングIC21から発生するノイズ等の、回路基板20に実装される電子部品から発生するノイズが回路基板30側に伝搬することを抑制できる。例えば、上述のように、回路基板30の半導体デバイスを実装する態様では、回路基板モジュール10Aは、回路基板20に実装される電子部品から発生するノイズが半導体デバイスに伝搬することを抑制できる。
【0059】
特に、この構成では、熱伝導用シート40は、回路基板20の略全面に広がる形状であるので、回路基板モジュール10Aは、広範囲において、ノイズを遮蔽できる。
【0060】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る回路基板モジュールについて、図を参照して説明する。図9は、第3の実施形態に係る回路基板モジュールの側面断面図である。
【0061】
図9に示すように、第3の実施形態に係る回路基板モジュール10Bは、第1の実施形態に係る回路基板モジュール10に対して、熱伝導用シート41、および、放熱板51をさらに備える点で異なる。回路基板モジュール10Bの他の構成は、回路基板モジュール10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0062】
回路基板モジュール10Bは、熱伝導用シート41、および、放熱板51を備える。熱伝導用シート41は、シリコーンゴム等の絶縁性のシートである。熱伝導用シート41は、複数のスイッチングIC21および複数のインダクタ22の実装面側と反対側の面に当接する。放熱板51は、熱伝導用シート41における複数のスイッチングIC21および複数のインダクタ22への当接面と反対側の面に当接する。熱伝導用シート41が、本発明の「第2熱伝導用シート」に対応する。
【0063】
このような構成によって、回路基板モジュール10Bは、熱伝導用シート40から回路基板30へ通じる放熱に追加して、放熱板51を通じて放熱することができる。
【0064】
なお、放熱板51の面積は、複数のスイッチングIC21の総面積と、複数のインダクタ22の総面積とを加算した面積よりも大きいことが好ましい。これにより、放熱効率は、さらに向上する。
【0065】
このような構成の回路基板モジュール10Bは、例えば、図10に一部を示すような電子機器に適用できる。図10は、第3の実施形態に係る回路基板モジュールを適用した電子機器の一部の構成を示す側面断面図である。
【0066】
図10に示す電子機器は、図7に示した第1の実施形態の電子機器に対して、ソケット用のバックプレート51B、および、上述の熱伝導用シート41を備える点で異なる。図10に示す電子機器の他の構成は、図7に示した電子機器と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0067】
バックプレート51Bは、回路基板30の第3主面301に固定される。バックプレート51Bは、回路基板20を囲むように配置されている。バックプレート51Bは、熱伝導用シート41を介して、複数のスイッチングIC21および複数のインダクタ22に接触する。バックプレート51Bは、上述の放熱板51と同様の熱伝導性を有する材料からなる。
【0068】
このような構成によって、図10に示す電子機器は、バックプレート51Bも用いて放熱できる。また、バックプレート51Bは、回路基板30に固定されているので、バックプレート51Bから回路基板30への熱の伝導も可能であり、これにより、さらに効果的な放熱が可能になる。
【0069】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る回路基板モジュールについて、図を参照して説明する。図11は、第4の実施形態に係る回路基板モジュールの外観斜視図である。
【0070】
図11に示すように、第4の実施形態に係る回路基板モジュール10Cは、第1の実施形態に係る回路基板モジュール10に対して、熱伝導用シート40Cの形状において異なる。回路基板モジュール10Cの他の構成は、回路基板モジュール10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0071】
回路基板モジュール10Cは、熱伝導用シート40Cを備える。熱伝導用シート40Cの面積は、回路基板20の面積よりも小さい。この際、熱伝導用シート40Cの面積は、複数のスイッチングIC21の実装領域の面積と複数のインダクタ22の実装領域の面積との合計面積よりも大きい。さらに、熱伝導用シート40Cは、平面視して、複数の熱伝導ビア25の全てと重なっている。
【0072】
このような構成により、回路基板モジュール10Cは、優れた放熱性と低背化とを実現できる。
【0073】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る回路基板モジュールについて、図を参照して説明する。図12は、第5の実施形態に係る回路基板モジュールの外観斜視図である。
【0074】
図12に示すように、第5の実施形態に係る回路基板モジュール10Dは、第1の実施形態に係る回路基板モジュール10に対して、熱伝導用シート40Dの形状において異なる。回路基板モジュール10Dの他の構成は、回路基板モジュール10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0075】
回路基板モジュール10Dは、熱伝導用シート40Dを備える。熱伝導用シート40Dの面積は、回路基板20の面積よりも大きい。
【0076】
このような構成により、回路基板モジュール10Dは、回路基板モジュール10と比較して、更なる優れた放熱性を実現でき、低背化を実現できる。
【0077】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係る回路基板モジュールについて、図を参照して説明する。図13は、第6の実施形態に係る回路基板モジュールの平面図である。
【0078】
図13に示すように、第6の実施形態に係る回路基板モジュール10Eは、第1の実施形態に係る回路基板モジュール10に対して、複数の熱伝導ビア25の配置個数、配置パターンにおいて異なる。回路基板モジュール10Eの他の構成は、回路基板モジュール10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0079】
回路基板モジュール10Eでは、複数の熱伝導ビア25は、複数のスイッチングIC21の周辺に、より多く形成されている。このような構成によって、回路基板モジュール10Eは、主たる発熱源である複数のスイッチングIC21の放熱効率を、さらに向上できる。
【0080】
なお、本実施形態では、複数の熱伝導ビア25の個数によって、部分的な放熱効率を向上させる態様を示したが、複数の熱伝導ビア25の断面積を変化させることによって、部分的な放熱効率を向上させることも可能である。さらには、個数と断面積とを組み合わせて、部分的な放熱効率を向上させることも可能である。
【0081】
また、上述の各実施形態の構成は、適宜組み合わせることができ、それぞれの組合せに応じた作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0082】
2:電源回路モジュール
10、10A、10B、10C、10D、10E:回路基板モジュール
20:回路基板
22:インダクタ
24:外部端子導体
25:熱伝導ビア
26:グランド導体
27:レジスト膜
30:回路基板
40、40C、40D、41:熱伝導用シート
51:放熱板
51B:バックプレート
60:ソケット
201:第1主面
202:第2主面
240:ピン
270:開口部
301:第3主面
302:第4主面
311:ランド導体
901:MPU
902:電圧検出回路
911:電力変換部
921:フィードバック信号生成回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13