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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240528BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J29/393 101
B41J29/393 107
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022539944
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(86)【国際出願番号】 JP2020029439
(87)【国際公開番号】W WO2022024347
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】兼子 忠祐
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-132791(JP,A)
【文献】特開2009-51095(JP,A)
【文献】特開2018-187854(JP,A)
【文献】特開2012-254612(JP,A)
【文献】特開2010-76322(JP,A)
【文献】特開2014-104623(JP,A)
【文献】国際公開第2009/157262(WO,A1)
【文献】特開2007-106113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に1以上の色のインクを吐出して画像を形成する画像形成部と、
形成された前記画像にエネルギー線を照射して当該画像を半硬化させるプレ定着部を有し前記画像を前記記録媒体に定着させる定着部と、
過去に実行された、前記インクの種類および前記記録媒体の種類に応じたテスト印刷の印刷結果を、前記インクのメーカー情報ごとに、および、前記記録媒体のメーカー情報ごとに、記憶する記憶部と、
印刷ジョブの実行の際、前記印刷ジョブで使用する前記インクのメーカー情報および前記記録媒体のメーカー情報をユーザーに入力させる処理を行った後、過去に実行されたテスト印刷の印刷結果に基づいて、前記印刷ジョブにおける前記定着部の照射条件を設定する設定部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記印刷ジョブの実行時に前記プレ定着部が照射する前記エネルギー線の照射エネルギー量を、前記照射条件として設定する、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記設定部は、画像形成部によって吐出される前記インクごとに、対応する前記プレ定着部の前記照射条件を設定する、
請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記テスト印刷の印刷結果が入力された値から前記照射条件の値を求めて設定する、
請求項1から3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記テスト印刷において、予め定められた検査用チャートを印刷し、該印刷結果に基づいて前記照射条件を設定する、
請求項1から4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検査用チャートは、前記画像形成部から吐出される前記インクの単体色または混色色からなる画像の濃度を段階的に変化させたチャートである、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記設定部は、ユーザーによって入力された前記印刷結果に基づいて、前記定着部の前記照射条件を設定する、
請求項1から6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記設定部は、前記テスト印刷において、画像読み取り部によって読み取られた画像の読み取り結果に基づいて、前記照射条件を設定する、
請求項1から6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記設定部は、前記印刷ジョブの実行時に、指定された画像特性を満たすように、前記照射条件を設定する、
請求項1から8の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
画像形成条件に応じて前記テスト印刷の実行を促す処理を行う印刷管理部を備える、
請求項1からの何れか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙、布帛等の種々の記録媒体に対して高精細な画像を記録する装置として、インクジェットヘッドからインクを吐出して記録媒体に印字するインクジェット方式による画像形成装置(以下、インクジェット画像形成装置という。)が広く普及している。
【0003】
従来、インクジェット画像形成装置において、インクジェットヘッドから記録媒体に吐出されたインクにエネルギー線を照射して、当該インクを乾燥(記録媒体に定着)させる技術が知られている。例えば、UV照射型インクを使用する場合、記録媒体に吐出されたインクにUV光を照射することによって、当該インクを硬化させて記録媒体に定着させることができる。
【0004】
さらに、画質の向上を図るため、カラー印刷を行うシングルパス方式のインクジェット画像形成装置において、各々の色のインクが記録媒体に吐出(着弾)された直後にUV光を照射して当該色のインクをピニング(半硬化)させる技術が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1記載の技術では、記録媒体の種類ごとにインクの吐出量およびUV照射量を調整し、インクドットの径と厚みを調整することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-182062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載の技術を用いて上記ピニング(半硬化)の処理を行う場合、画像の品質が十分に確保できず、例えば高濃度の部分でスジが発生する、或いは画像に滲みが生じる問題がある。
【0008】
かかる問題の原因は、インクの物性またはインクが記録媒体に吐出され接触される接触面の物性が、使用するインクの色毎または記録媒体の種類毎に異なることを考慮していないことにあると考えられる。
【0009】
具体的には、複数の色のインクでカラー印刷を行うインクジェット方式の画像形成装置では、使用するインクの色(顔料または着色剤)毎に光エネルギーの吸収特性が異なる。
【0010】
このため、同一の記録媒体に複数色のインクを着弾させてカラー印刷を行う場合、たとえ各色間でピンニングの条件(インクの単位吐出量に対するUVの照射出力および照射時間等)を同一にしても、色毎(たとえばインクの製品毎)にピニング(半硬化)状態のむらが発生する問題があった。
【0011】
かかるピニング(半硬化)状態のむら発生の問題は、異なる種類の記録媒体に同一のインクを吐出する場合も同様に発生する。すなわち、インクが記録媒体に吐出され接触される接触面の物性は、使用する記録媒体毎に異なるからである。
【0012】
かかる色毎のピニング状態のむらに対し、従来技術では何ら解決策が示されておらず、新たな種類の記録媒体やインクを扱うたびに、サンプル印刷を行ってピニング条件の検討(試行錯誤)や設定を行う必要があった。
【0013】
しかしながら、上記のような作業は煩雑で手間を要するものであり、かかる作業時間が長引くほど印刷の生産性が妨げられることになる。また、作業者毎の判断でサンプル条件を設定すると、作業者ごとに(例えば熟練度によって)画像品質の差が発生してしまう可能性があった。
【0014】
本発明の目的は、客観的な基準に基づいた定着条件の設定を行うことにより、色毎のピニング状態のむらを防止ないし抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、
記録媒体に1以上の色のインクを吐出して画像を形成する画像形成部と、
形成された前記画像にエネルギー線を照射して当該画像を半硬化させるプレ定着部を有し前記画像を前記記録媒体に定着させる定着部と、
過去に実行された、前記インクの種類および前記記録媒体の種類に応じたテスト印刷の印刷結果を、前記インクのメーカー情報ごとに、および、前記記録媒体のメーカー情報ごとに、記憶する記憶部と、
印刷ジョブの実行の際、前記印刷ジョブで使用する前記インクのメーカー情報および前記記録媒体のメーカー情報をユーザーに入力させる処理を行った後、過去に実行されたテスト印刷の印刷結果に基づいて、前記印刷ジョブにおける前記定着部の照射条件を設定する設定部と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、客観的な基準に基づいた定着条件の設定を行うことにより、ピニング状態のむらを防止ないし抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態における画像形成装置の概要構成を示す側面図である。
図2図1の画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
図3図3Aおよび図3Bは、ピニング処理におけるUV照射量およびインク硬化時間を変更した際の画質変化の例を示す表である。
図4】テスト印刷時に印刷されるグラデーションチャートの一具体例を示す図である。
図5】ユーザーにより入力された濃度の臨界値の一具体例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す側面図である。また、図2は、画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
【0019】
画像形成装置1は、図1に示すように、記録媒体Pを搬送経路の搬送方向に沿って搬送する搬送部2と、インクジェット方式で記録媒体Pにインク像(以下「画像」という)を形成する画像形成部としての複数(この例ではW、K、C、M、Yの5色用)のヘッドユニット10と、後述する第1UV照射部25および第2UV照射部28と、を備える。
【0020】
搬送部2は、搬送経路の最上流に配置された給送ローラー21、給送ローラー21の下流かつヘッドユニット10の上流に配置された従動ローラー22、第2UV照射部28の下流に配置された従動ローラー24、および搬送経路の最下流に配置された巻取りローラー23を備える。
【0021】
図1に示す構成例では、記録媒体Pとして布やロール紙などの長尺状の媒体を使用し、かかる媒体を給送ローラー21に予め巻いておき、上記の従動ローラー22、24を介して巻取りローラー23で巻き取る構成となっている。
【0022】
給送ローラー21および巻取りローラー23の回転駆動は、図2で後述する制御部40の制御の下、搬送駆動部51の図示しない第1駆動モーターおよび第2駆動モーターの駆動力が伝達されることによって実行される。
【0023】
なお、搬送部2の構成例はこれに限定されるものではなく、例えばカット紙を一枚ずつ搬送するためのピックアップローラーや搬送ローラー、或いは搬送ベルトなどを回転させる構成であってもよい。
【0024】
ヘッドユニット10は、記録媒体Pに対向するインク吐出面に設けられたノズル開口部から、搬送部2によって搬送される記録媒体Pに対してインクを吐出して、画像を記録媒体P上に形成する。
【0025】
図1に示す一具体例では、記録媒体Pの搬送方向に沿った上流側から、ホワイト(W)、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の5色のインクにそれぞれ対応する5つのヘッドユニット10が順に所定の間隔で並ぶように配列されている。
【0026】
各ヘッドユニット10は、インクジェットヘッド102(図2を参照)を備える。インクジェットヘッド102には、インクを貯留する圧力室と、圧力室の壁面に設けられた圧電素子と、ノズルとを各々有する複数の記録素子が設けられている。この記録素子は、圧電素子を変形動作させる駆動信号が入力されると、圧電素子の変形により圧力室が変形して圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズルからインクを吐出する。
【0027】
インクジェットヘッド102に含まれるノズルの図1の図面に垂直な方向(以下、「直交方向」と称する)についての配置範囲は、搬送部2により搬送される記録媒体Pのうち画像が形成される領域の直交方向の幅をカバーしている。
【0028】
ヘッドユニット10は、画像形成時には給送ローラー21または巻取りローラー23の回転軸に対して位置が固定されて用いられる。すなわち、この画像形成装置1は、シングルパス方式のインクジェット画像形成装置である。
【0029】
この例では、インクジェットヘッド102から記録媒体Pに吐出されるインクとして、記録媒体Pに供給されるエネルギー量(この例では後述する第1UV照射部25および第2UV照射部28から供給される紫外線(UV:UltraViolet)の光量)に応じて粘度が変化するUV硬化性インクが用いられる。
【0030】
また、記録媒体Pとしては、普通紙や塗工紙といった紙のほか、布帛またはシート状の樹脂等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。
【0031】
次に、主として図2を参照して、画像形成装置1における他の主要な機能構成を説明する。画像形成装置1は、ヘッドユニット10が有するヘッド駆動部101およびインクジェットヘッド102と、第1UV照射部25と第2UV照射部28と、操作表示部34と、制御部40と、搬送駆動部51と、入出力インターフェース52などを備える。
【0032】
ヘッド駆動部101は、制御部40の制御に基づいてインクジェットヘッド102の記録素子に対して適切なタイミングで画像データに応じて圧電素子を変形動作させる駆動信号を出力することにより、インクジェットヘッド102のノズルから画像データの画素値に応じた量のインクを吐出させる。
【0033】
制御部40は、CPU41(Central Processing Unit)、RAM42(Random Access Memory)、ROM43(Read Only Memory)および記憶部44を有する。
【0034】
CPU41は、ROM43に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM42に記憶させ、当該プログラムを実行して各種の演算処理を行う。また、CPU41は、画像形成装置1の全体動作を統括制御する。
【0035】
RAM42は、CPU41に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。なお、RAM42は、不揮発性メモリーを含んでいてもよい。
【0036】
ROM43は、CPU41により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM43に代えて、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0037】
記憶部44には、入出力インターフェース52を介して外部装置200から入力された印刷ジョブ(印刷枚数などの種々のユーザー設定情報を含む画像形成指示)および当該印刷ジョブに係る画像データが記憶される。記憶部44としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などが併用されてもよい。
【0038】
搬送駆動部51は、制御部40から供給される制御信号に基づいて上述した第1駆動モーター、第2駆動モーター等に駆動信号を供給して給送ローラー21および巻取りローラー23を所定の速度およびタイミングで回転させる。
【0039】
入出力インターフェース52は、外部装置200と制御部40との間のデータの送受信を媒介する。入出力インターフェース52は、例えば各種シリアルインターフェース、各種パラレルインターフェースのいずれか、または、これらの組み合わせで構成される。
【0040】
外部装置200は、例えばパーソナルコンピューター(PC)であり、入出力インターフェース52を介して印刷ジョブおよび画像データ等を制御部40に供給する。
【0041】
第1UV照射部25は、制御部40の制御の下、画像形成部すなわちヘッドユニット10のインクジェットヘッド102によって画像が形成(すなわちインクが着弾)された記録媒体PにUV光(紫外線)を照射することにより、記録媒体P上の(画像)を部分的に硬化(半硬化ないしプレ硬化)させて記録媒体Pにプレ定着させる役割を担う。このプレ定着の工程は、「ピニング」と呼ばれることもある。
【0042】
具体的には、図1および図2に示すように、第1UV照射部25は、記録媒体Pの搬送方向に沿った上流側から、ホワイト(W)、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)の4色のインクに対応するヘッドユニット10の各々の下流側近傍に、4つの第1UV照射部25w、25k、25c、および25mが配置されている。
【0043】
本実施の形態において、第1UV照射部25(25w、25k、25c、および25m)は、本発明の「プレ定着部」に対応する。
【0044】
なお、イエロー(Y)のインクに対応するヘッドユニット10の下流側近傍には、第1UV照射部25(25y)は設けられていない。この理由は、イエロー(Y)の画像は最下流であることから、プレ硬化の処理を行う必要がなく、第2UV照射部28で一度に本硬化処理を行えば足りるからである。
【0045】
第2UV照射部28は、制御部40の制御の下、イエロー(Y)のインクを吐出するヘッドユニット10の位置を通過した記録媒体PにUV光(紫外線)を照射することにより、記録媒体P上の(画像)を完全に硬化(本硬化)させて記録媒体Pへの定着を完了させる役割を担う。
【0046】
かくして、本実施の形態において、第1UV照射部25(25w、25k、25c、および25m)および第2UV照射部28は、本発明の「定着部」に対応する。
【0047】
操作表示部34は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部および操作部として機能する。表示部は、制御部40から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部40に出力する。
【0048】
本実施の形態において、操作表示部34および制御部40、特に制御部40は、本発明における「設定部」としての機能を有しており、かかる設定部の詳細は後述する。
【0049】
次に、印刷ジョブの実行時における画像形成装置1の概略的な動作を説明する。上述した外部装置(PC)200から入出力インターフェース52を介して印刷ジョブを取得した場合、画像形成装置1は、制御部40の制御の下、以下のような動作を行う。
【0050】
まず、制御部40は、記録媒体Pの給紙および搬送動作を開始するように、搬送部2の搬送駆動部51を制御し、記録媒体Pの搬送を開始する。
【0051】
続いて、制御部40は、ヘッドユニット10の対応する色のインクジェットヘッド102からインクを吐出させる制御を行う。かかる動作により、印刷ジョブで規定された色および形状の画像が記録媒体P上に形成される。
【0052】
さらに、制御部40は、第1UV照射部25および第2UV照射部28を制御することにより、画像が形成された記録媒体Pにピニング用および本硬化用のUV光を照射し、記録媒体P上の画像のピニング(プレ定着)および本硬化の工程を実行する。
【0053】
かかるピニングおよび本硬化のプロセスが完了した記録媒体Pは、従動ローラー24を介して巻取りローラー23に巻き取られる。そして、印刷ジョブに規定された分の画像形成が実行された場合、上述した一連の処理が終了する。
【0054】
ところで、上述のような複数の色のインクでカラー印刷を行うインクジェット方式の画像形成装置1では、使用するインクの色(着色剤)毎に光エネルギーの吸収特性が異なることに起因して、例えば高濃度の部分でスジが発生する、或いは画像に滲みが生じる等の画質劣化が発生する場合があった。
【0055】
具体的には、複数の色のインクでカラー印刷を行う画像形成装置1では、使用するインクの色(着色剤)毎に光エネルギーの吸収特性が異なる。加えて、実際のインク製品では、例えばノズルのつまり等を防止するための乾燥防止剤など、着色剤以外にも種々の含有物質(いわば不純物)が含まれている。
【0056】
このため、同一の記録媒体Pに複数色のインクを着弾させてカラー印刷を行う場合、各色間で第1UV照射部25(25w~25m)におけるピニングの条件(インクの単位吐出量に対するUVの照射出力および照射時間等)を同一にしても、色毎(たとえばインクの製品毎)にピニング(半硬化)状態のむらが発生する問題があった。
【0057】
かかるピニング(半硬化)状態のむら発生の問題は、異なる種類の記録媒体Pに同一のインクを吐出する場合も同様に発生する。すなわち、インクが記録媒体Pに吐出され接触される接触面の物性は、使用する記録媒体P毎に異なるからである。
【0058】
かかる色毎のピニング状態のむらに対し、従来技術では何ら解決策が示されておらず、新たな種類の記録媒体やインクを扱うたびに、サンプル印刷を行ってピニング条件の検討(試行錯誤)や設定を行う必要があった。
【0059】
図3Aおよび図3Bに、インクの特性に関連したピニング条件の設定例の概略を表にして示す。ここで、図3Aは、インクの濡れ広がり方を調整する場合のピニング条件(UV照射光量の強弱)の一般的な設定例を示す表である。
【0060】
図3Aの表に示すように、一般に、第1UV照射部25(25w~25m)から出力されるUVの照射光量を強く(多く)するほど、ピニング工程におけるインクの濡れ広がり方が小さくなり、逆に、出力されるUVの照射光量を弱く(少なく)するほど、ピニング工程におけるインクの濡れ広がり方が大きくなる。
【0061】
一方、図3Bは、インクの光沢性、インクの細部再現性を調整する場合のピニング条件(プレ硬化までの時間)の一般的な設定例を示す表である。
【0062】
図3Bの表に示すように、一般に、インクの光沢性を弱めたい場合、インクの硬化時間が早くなるように第1UV照射部25(25w~25m)から出力されるUVの照射光量を強く(多く)する。この場合、インクの細部再現性も比較的良好になる。
【0063】
これに対し、インクの光沢性を強めたい場合、インクの硬化時間が遅くなるように第1UV照射部25(25w~25m)から出力されるUVの照射光量を弱く(少なく)する。一方、このような設定とした場合、インクの硬化時間が早い場合に比べてインクの細部再現性が比較的悪くなる。
【0064】
総じて従来、画像形成装置1のユーザー(作業者)は、新たな種類の記録媒体Pやインクを扱うたびに、第1UV照射部25(25w~25m)のピニング条件を検討し、目的とする品質の画像が得られるように、サンプル印刷および設定変更を試行錯誤的に繰り返し行って、本印刷で使用する最終的な設定内容を決定する作業を行っていた。
【0065】
しかしながら、上記のような作業は煩雑で手間を要するものであり、かかる作業時間が長引くほど印刷の生産性が妨げられることになる。また、作業者毎の判断で本印刷におけるピニング条件を設定すると、作業者ごとに(例えば熟練度によって)画像品質の差が発生してしまう可能性があった。
【0066】
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意研究を行った結果、画像形成装置1に以下のような構成ないし機能を設けることとした。
【0067】
すなわち、本実施の形態の画像形成装置1は、印刷ジョブの実行時に、過去に実行されたテスト印刷の印刷結果に基づいて、定着部(第1UV照射部25(25w~25m)および第2UV照射部28)における照射条件(出力、時間等)を設定(選択ないし変更)する設定部を備える構成とする。
【0068】
一具体例では、図2中の操作表示部34および制御部40が上記「設定部」として機能する。
【0069】
具体的には、制御部40は、上記の「テスト印刷」を実行するための処理を実行する。また、制御部40は、実行したテスト印刷の印刷結果を、主として第1UV照射部25(25w~25m)におけるピニングの照射条件(出力、時間など)に反映させる処理を行う。
【0070】
一具体例では、制御部40は、印刷ジョブの実行時に第1UV照射部25(25w~25m)が照射するUV光の照射エネルギー量を、定着部の照射条件として設定する。
【0071】
なお、設定される定着部の照射条件としては、各々の第1UV照射部25w、25k、25c、および25mにおけるUV光の照射の有無および照射エネルギー量の設定を含む。例えば、印刷ジョブの実行時(本印刷時)に白色(W)のインクを吐出しない画像を印刷する場合、制御部40は、第1UV照射部25wからはUV光の照射を行わない(照射エネルギーをゼロとする)設定を行う。
【0072】
かくして、制御部40は、ヘッドユニット(画像形成部)10から吐出されるインクごとに、対応する第1UV照射部25(25w~25m)が照射するUV光の照射エネルギー量を設定する。
【0073】
一方、操作表示部34は、テスト印刷の実行時あるいは印刷ジョブ(すなわち本印刷)の実行時における種々の設定(選択ないし変更)をユーザーに行わせるための設定画面または入力画面を表示して、ユーザーの便宜を図る役割を担う。
【0074】
また、操作表示部34は、第1UV照射部25(25w~25m)におけるピニングの照射条件に関するデータベース(蓄積ないし更新されるデータ内容)の表示等を行う。かかるデータベースは、例えば図2中の記憶部44に格納することができる。また、テスト印刷時に印刷される画像(検査用チャート)のデータも、記憶部44に格納することができる。
【0075】
図4に、本実施の形態におけるテスト印刷時に印刷されるテスト画像(グラデーションチャート)の一具体例を示す。
【0076】
図4に示すグラデーションチャートは、制御部40の制御の下、YMCK色のインクを吐出するヘッドユニット10を駆動して、YMCKの各色のベタ画像および補色(混色)となるRGBの各色の画像を、各々5%刻みの濃度で100%の濃度になるまで連続的に形成した例を示す。
【0077】
かかるグラデーションチャートは、画像形成部(ヘッドユニット10のインクジェットヘッド102)から吐出されるインクの単体色または混色色からなる画像の濃度を段階的に変化させたチャートであり、本発明の「検査用チャート」に対応する。
【0078】
このように、テスト印刷時に、予め定められた検査用チャート(グラデーションチャート)を印刷することにより、画像不良や画像品質の劣化等に関する判断を定量的に判断することができ、作業の効率化を図ることができる。
【0079】
なお、図4に示す例では、本印刷で使用される記録媒体Pの色が白(W)色の場合を想定しており、このため白(W)色のインクを吐出するヘッドユニット10は稼働させていない。他の例として、本印刷で使用される記録媒体Pの色が白(W)以外の色の場合、制御部40は、上述した5色のインクを吐出する全てのヘッドユニット10を稼働させて検査用チャート(グラデーションチャート)を印刷することができる。
【0080】
上述したグラデーションチャートの出力時において、制御部40は、第1UV照射部25(25w~25m)におけるピニングの照射条件を、予め定められた標準的な値(例えば50%の出力)に設定する。
【0081】
次に、作業者は、記録媒体Pに印刷されたテスト画像(この例では、Y、M、C、K、R、G、およびBの7色のグラデーションチャート)を視認して、滲みやスジなどの画像劣化、あるいは光沢の強弱といった画質の状態を確認し、確認した結果を操作表示部34に表示された入力画面を通じて入力する。入力された結果は、画像形成装置1の上述した記憶部44に格納され、データベースとして蓄積される。
【0082】
図5に、入力画面を通じて作業者によって入力された確認結果が画像形成装置1の記憶部44内に格納(蓄積)されたデータベースの一例を示す。
【0083】
なお、図示の例では、同一メーカーのY,M,C,およびK色のインクを用いて形成した上記7色のグラデーションチャートを、異なる4つの記録媒体Pすなわち、A社製のPET用紙、B社製のPET用紙、C社製のPP用紙、およびD社製のコート紙に各々印刷した場合の結果を示している。
【0084】
一具体例では、制御部40は、図4で上述したグラデーションチャートの印刷が行われた後、上記7色の各色に関して画像のスジが発生した濃度、および使用した記録媒体Pの種類(紙種や布などの別)およびメーカーや製品名などを作業者が入力できるように、操作表示部34に入力画面を表示させる。
【0085】
図5に示す例では、記録媒体PとしてA社製のPET用紙を使用した場合、Y(Ye)色、K(Bk)色、およびG(Green)色では各々濃度80%の画像でスジが発生し、M(Mg)色およびB(Blue)では各々濃度60%の画像でスジが発生し、R(Red)色では濃度50%の画像でスジが発生し、C(Cy)色ではいずれの濃度(5~100%)の画像でもスジが発生していないことが分かる。
【0086】
また、図5に示す例では、記録媒体PとしてB社製のPET用紙を使用した場合、Y(Ye)色およびC(Cy)色では各々濃度90%の画像でスジが発生し、G(Green)色では濃度80%の画像でスジが発生し、M(Mg)色、K(Bk)色、およびR(Red)色では濃度70%の画像でスジが発生し、B(Blue)では濃度60%の画像でスジが発生していることが分かる。
【0087】
さらに、図5に示す例では、記録媒体PとしてC社製のPP用紙を使用した場合、R(Red)色では濃度100%の画像でスジが発生したが、他の6色はいずれの濃度(5~100%)の画像でもスジが発生していないことが分かる。
【0088】
さらにまた、図5に示す例では、記録媒体PとしてD社製のコート紙を使用した場合、M(Mg)色およびB(Blue)では各々濃度100%の画像でスジが発生し、K(Bk)色では濃度90%の画像でスジが発生し、他の4色はいずれの濃度(5~100%)の画像でもスジが発生していないことが分かる。
【0089】
この後、制御部40は、印刷ジョブすなわち本印刷の設定操作時に、操作表示部34に表示される設定画面を通じて、使用する記録媒体Pの種類やメーカーとともに本印刷で所望する画像品質(画像の光沢や尖鋭性など)をユーザー(作業者)に選択させるように促すメッセージを表示する処理を行う。
【0090】
そして、制御部40は、操作表示部34を通じてユーザー(作業者)が選択した画像品質(指定された画像特性)を実現するように、第1UV照射部25(25w~25m)におけるピニングの照射条件に関する最適な値(出力等)を計算し、かかる最適値を設定する。
【0091】
例えば、使用する記録媒体Pが図5で説明したA社のPET用紙の場合、かつ、ユーザーにより指定された画像品質が細部再現性(先鋭性)を重視する場合、制御部40は、インクがより早く硬化するように、第1UV照射部25および第2UV照射部28の出力を高め(例えば通常時の1.1倍)に設定する。このとき、制御部40は、比較的低い濃度で画像不良が生じたマゼンタ(M)色用の第1UV照射部25m(適宜、図2を参照)の出力をより高めに(例えば通常時の1.4倍)に設定する。
【0092】
上記のような設定を行うことにより、特定の記録媒体Pに吐出されたインクの半硬化(プレ定着)の状態の均一化を図ることができる。
【0093】
続いて、制御部40は、印刷ジョブすなわち本印刷の実行時に、以下のように各部を制御する。
【0094】
まず、制御部40は、従前と同様に、記録媒体Pの給紙および搬送動作を開始するように、搬送部2の搬送駆動部51を制御し、記録媒体Pの搬送を開始する。
【0095】
続いて、制御部40は、ヘッドユニット10の対応する色のインクジェットヘッド102からインクを吐出させる制御を行う。かかる動作により、印刷ジョブで規定された色および形状の画像が記録媒体P上に形成される。
【0096】
さらに、制御部40は、第1UV照射部25および第2UV照射部28を制御することにより、画像が形成された記録媒体Pにピニング用および本硬化用のUV光を照射し、記録媒体P上の画像のピニング(プレ定着)および本硬化の工程を実行する。
【0097】
このとき、制御部40は、設定された最適値に従った条件(出力やUV光量など)で各々の第1UV照射部25k、25c、25m(および必要により25w)によるUV照射を行うように、第1UV照射部25を制御する。
【0098】
また、制御部40は、必要により、搬送部2(この例では巻取りローラー23等)による記録媒体Pの搬送速度を変更するように搬送駆動部51を制御してもよい。例えば、記録媒体Pの搬送速度を低くした場合、通常の搬送速度の場合と比べて、第1UV照射部25から照射されるUV光の光量を増やすことができる。
【0099】
かかるピニングおよび本硬化のプロセスが完了した記録媒体Pは、従動ローラー24を介して巻取りローラー23に巻き取られる。そして、印刷ジョブに規定された分の画像形成が実行された場合、上述した一連の処理が終了する。
【0100】
なお、図5に示す例の他にも、例えば同一メーカーの同一紙種の記録媒体Pに異なるメーカーのインクを色毎に組み合わせてテスト画像(複数色のグラデーションチャート)を印刷した場合の結果など、種々の観点から結果を入力しデータベース化することができる。
【0101】
この場合、制御部40は、印刷ジョブすなわち本印刷の設定操作時に、操作表示部34に表示される設定画面を通じて、使用するインクのメーカーや製品名、使用する記録媒体Pの種類やメーカーなどをユーザー(作業者)に選択させるように促す処理を行った後、上述と同様の処理を行う。
【0102】
かくして、本実施の形態によれば、出力されたテスト画像(複数色のグラデーションチャート)の印刷結果について一度入力をすれば、再度同一のインクおよび記録媒体Pを使って本印刷を行う際に、従来のような煩雑なピニング条件の設定作業を行うことなく、所望の画像特性を再現することができる。
【0103】
また、本実施の形態の画像形成装置1によれば、特定のインクおよび記録媒体Pを用いて予め定められた共通の検査用チャート(グラデーションチャート)を印刷した際に画像不良が発生する濃度、という客観的な基準および結果に基づいて定着条件の設定が行われることから、作業者毎に異なったピニング条件の設定内容になることを有効に防止することができる。
【0104】
さらに、本実施の形態によれば、印刷ジョブの実行時に、過去に実行されたテスト印刷用の画像(複数色のグラデーションチャート)の印刷結果に基づいて、指定された画像特性(光沢や先鋭性などの画像品質品質)を満たすように、色毎に、第1UV照射部25(この例では25w~25m)の照射条件が算出および設定されるので、色毎のピニング状態のむらを防止ないし抑制することができる。加えて、本実施の形態によれば、印刷ジョブの実行時に、顧客からの画像品質の要望(光沢重視、尖鋭性重視など)に応じたきめ細かい対応が、少ない工程でできるようになる。
【0105】
なお、上述した構成例では、出力されたテスト画像(複数色のグラデーションチャート)の印刷物の評価を作業者が行って、画像劣化(この例ではスジ)が発生した色およびその画像の濃度を作業者が手作業で入力する構成とした。
【0106】
他の構成例として、例えば第2UV照射部28の下流側かつ巻取りローラー23の上流側の搬送経路に図示しない画像読み取り部(CCDスキャナなど)を配置し、かかる画像読み取り部による読み取り結果に基づいて、上述した各色のグラデーションチャートを構成する各濃度毎の画像に対するスジの発生の有無などの評価(判断)を制御部40が行い、評価結果を自動で入力する構成としてもよい。
【0107】
また、上述した構成例では、出力されたテスト画像(複数色のグラデーションチャート)の印刷物の評価を、操作表示部34に表示される入力画面を通じて、作業者が入力する構成について説明した。
【0108】
他の構成例として、上述した入力画面さらには設定画面を、画像形成装置1に接続されている外部端末200(図2の例ではPC)に表示させ、出力されたテスト画像(複数色のグラデーションチャート)の印刷物の評価を、かかる外部端末に表示された入力画面を通じて、作業者が入力する構成としてもよい。
【0109】
上述した構成例では、テスト画像(複数色のグラデーションチャート)の印刷物の出力および評価を、画像形成装置1で使用するインクが変わった場合、あるいは使用する記録媒体Pの種類が変わった場合に行うことを前提とした。
【0110】
一方、テスト画像(複数色のグラデーションチャート)の出力および評価の実行の時機(タイミング)は上記に制限されるものではなく、例えばユーザーの指示に基づき任意の時機に実行されるようにするとよい。
【0111】
例えば、耐久により、上述したヘッドユニット10の構成部品、特にインクジェットヘッド102の劣化が進んでいる場合、スジ等の画像劣化が発生しやすくなるため、ユーザーの指示(入力操作)により、テスト画像(複数色のグラデーションチャート)の出力および評価の処理を行うことが望ましい。
【0112】
上記のように、任意の時機にテスト画像(複数色のグラデーションチャート)の出力および評価の処理を行うことにより、制御部40は、第1UV照射部25(25w~25m)におけるピニングの照射条件に関し、現在の装置の耐久度に応じたより最適な値(出力等)を算出し、かかる最適値を設定することができる。
【0113】
なお、このようにして算出された新たなピニングの照射条件の値は、既存の設定内容を上書きして更新することができる。或いは、新たなピニングの照射条件の値は、既存の設定内容とは別の名前で登録(記憶部44に保存)してもよく、この場合、既存の設定内容(例えばヘッドユニット10の構成部品が新しい状態での設定値)を保存しておくことができる。
【0114】
他の例として、温度環境が変化した場合もピニング時のドットの広がりに影響を及ぼす場合がある。例えば、画像形成装置1が工場内の別の場所に移設される場合、季節が変わった場合、設置場所での空調装置の状況が変わった場合など、様々な時機に温度環境が変化し得る。
【0115】
これに対し、上記のように任意の時機にテスト画像(複数色のグラデーションチャート)の出力および評価の処理を実行できる構成とすることにより、制御部40は、第1UV照射部25(25w~25m)におけるピニングの照射条件に関し、現在温度環境に応じたより最適な値(出力等)を算出し、かかる最適値を設定することができる。
【0116】
さらに付加的な構成として、画像形成条件あるいは画像形成装置1の周囲の環境が変化した場合、上述したテスト画像(複数色のグラデーションチャート)の印刷および印刷結果の入力を促す処理を行う印刷管理部を備える構成としてもよい。
【0117】
一具体例では、画像形成装置1の制御部40に上記の印刷管理部としての機能を設ける。この場合、制御部40は、例えば画像形成装置1内の図示しない温湿度センサーの検出値を監視し、上述したテスト印刷の実行時に、上記テスト結果の内容(適宜、図5を参照)とともに、温湿度センサーの検出値に応じた周囲の温度および湿度の値を付加情報として記憶する。
【0118】
そして、制御部40は、印刷ジョブの設定段階において、記憶部44に格納されている上述したデータベースを参照ないし検索して、当該印刷ジョブで使用される記録媒体Pおよびインクが、過去に実行されたテスト印刷で使用されているか否かを判定する。
【0119】
このとき、制御部40は、当該印刷ジョブで使用される記録媒体Pおよびインク過去に実行されたテスト印刷で使用されていない場合、第1UV照射部25の正確な照射条件を算出できないおそれがあると判断して、テスト印刷を行うべき旨のメッセージを操作表示部34に表示させる。
【0120】
一方、制御部40は、当該印刷ジョブで使用される記録媒体Pおよびインク過去に実行されたテスト印刷で使用されている場合、温湿度センサーの検出値から、現在の画像形成装置1の周囲の温度および湿度を取得する。
【0121】
そして、制御部40は、現在の画像形成装置1の周囲の温度(または湿度)が閾値を越えている場合、例えば、過去に行われたテスト印刷の実行時の温度に対する差分が10度を越えた場合、当該過去のテスト印刷の印刷結果では第1UV照射部25の正確な照射条件を算出できないおそれがあると判断して、再度のテスト印刷を行うべき旨のメッセージを操作表示部34に表示させる。
【0122】
上記のような管理およびユーザーへの警告等の報知を行う構成を設けることにより、種々の画像形成条件の変化に対応して、第1UV照射部25のより正確かつ最適な照射条件を設定することができる。
【0123】
上述した実施の形態では、UV硬化型のインクを使用し、プレ定着部としてUV光を照射する構成の場合を説明したが、これに限定されない。他の例として、電子線照射により硬化するインクを使用し、プレ定着部として電子線を照射する構成としてもよい。
【0124】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 画像形成装置
2 搬送部
10 ヘッドユニット(画像形成部)
21 給送ローラー
22,24 従動ローラー
23 巻取りローラー
25(25w,25k,25c,25m) 第1UV照射部(プレ定着部)
28 第2UV照射部(定着部)
34 操作表示部
40 制御部(設定部、印刷管理部)
51 搬送駆動部51
102 インクジェットヘッド(画像形成部)
200 外部装置
P 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5