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特許7495024特に化学流体および食品関連流体用の多層管
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  • 特許-特に化学流体および食品関連流体用の多層管 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】特に化学流体および食品関連流体用の多層管
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/10 20060101AFI20240528BHJP
   F16L 11/08 20060101ALI20240528BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20240528BHJP
   B32B 3/28 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
F16L11/10 A
F16L11/08 A
B32B1/08 B
B32B3/28 Z
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019208021
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2020085244
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】102018000010636
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519411700
【氏名又は名称】トゥビゴンマ ドラジビュス エス. アール. エル.
(73)【特許権者】
【識別番号】519411711
【氏名又は名称】フルーアチュービング ビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ジェイ.エー. ソーターブルク
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア デレギブス
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭64-048487(JP,U)
【文献】登録実用新案第3194884(JP,U)
【文献】特開昭49-038213(JP,A)
【文献】特開昭62-171581(JP,A)
【文献】特公昭52-009712(JP,B1)
【文献】特開2006-090424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/10
F16L 11/08
B32B 1/08
B32B 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に化学流体および食品関連流体用の多層管であって、当該多層管が、内側から外側に向かって連続して、
少なくとも外側が波形であり、かつ流体用ダクトを画定する管状シースで構成される第1の層(11)と、
前記第1の層(11)上に配置されたゴム引布および織物補強材を含むエラストマー材料から選択された内層(13)、および前記内層(13)上に配置された外側カバー(14)を含む少なくとも1つの第2の層(12)と
を備え、
前記第1の層(11)が、外側がねじ状に波形を付けられて螺旋状の山部および谷部を画定する管状シースで構成され、前記第2の層(12)が、内側において、当該多層管の軸線に沿った、前記第1の層(11)と前記内層(13)との間の相対摺動を防止するために雌ねじ状に成形されている、多層管。
【請求項2】
前記第1の層(11)を構成する前記管状シースが、前記流体の通過のために内側が滑らかであることを特徴とする、請求項1に記載の多層管。
【請求項3】
前記第1の層(11)が、FEP、MFA、PFA、PVDF、ECTFEおよびPTFEの中から選択されるフッ素化ポリマーで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の多層管。
【請求項4】
前記第1の層(11)が透明であることを特徴とする、請求項1に記載の多層管。
【請求項5】
前記第1の層(11)が白色であることを特徴とする、請求項1に記載の多層管。
【請求項6】
前記第1の層(11)が着色されることを特徴とする、請求項1に記載の多層管。
【請求項7】
前記内層(13)の前記ゴム引布が、アラミド、ガラス繊維、ポリエステル、レーヨンおよびナイロンから選択された材料で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の多層管。
【請求項8】
前記内層(13)の前記ゴム引布が、前記第1の層(11)を包み込むスリーブ状の管状構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の多層管。
【請求項9】
前記外側カバー(14)が、エラストマー材料(15)で作られた少なくとも1つの層と、交互に重なった層における少なくとも1つの織物補強層(16)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の多層管。
【請求項10】
前記外側カバー(14)が、前記外側カバー(14)の内側に螺旋状に巻かれた金属もしくは熱可塑性のワイヤ(17)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の多層管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層管、特に化学流体や食品関連流体用の多層管に関する。
【背景技術】
【0002】
このような管は機械で使用され、かつ、可撓性があり、特に化学/薬剤形態などであるがこれらに限らない製品との接触に適した接続要素が必要とされる他の用途で使用される。
【0003】
それらの管は、内層と、流体の通過ダクトを画定する管状シースと、内層に重なって一体化された1つ以上の外層で構成されている。
【0004】
内層は、FEP、MFA、PFA、PVDF、ECTFE、PTFEなどのフッ素化ポリマーで作られており、特に化学/製薬業界では、好ましくは透明もしくは白色である。
【0005】
一般に外層は、可撓性を改善し、かつ折曲げ中に管が崩壊する危険性を制限するように適合された補強および保護のための織物補強材、エラストマー、および金属もしくは熱可塑性の螺旋を含むことができる。
【0006】
シースの外層は、管の使用目的、巻付けもしくは編組、または、管の押出しおよびその後の加硫によって規定される要件に基づいて連続して適用される。
【0007】
市場には2つの主要な可撓管技術があり、押し出されたフルオロポリマー製シースで構成される最内層とこの最内層を覆う全ての最外部との間に存在する接着の形態に応じて区別することができる。
【0008】
第1の形態は、第1の層として押し出されたシースで作られた可撓性ホースであり、「拡散浸透法」として知られる化学工程を外部から施され、その目的は、別の層上の接着を容易にするためにシースの外面の接着性を高めることである。
【0009】
第2の形態は、押し出されたシースを含む可撓性ホースであるが、外部からの拡散浸透法は施されない。この場合、フルオロポリマー製シースは管の完成構造に組み込まれるが、シースが拡散浸透法を施される外層との接着能力は同じではない。
【0010】
セクタ内で広く使用され、記載した第2の型に属する管の中には、PTFEで作られた内層を含む管が存在し、この内層は、外側のみねじ状に波形を付けられたために内面が滑らかな管で構成される。実質的に、外面は螺旋状の輪郭を有し、内層を覆うカバーの内面は対応して相補的に成形されている。輪郭は、管の縦軸線に対して略垂直な側壁を含む螺旋状の山部および谷部を画定する螺旋溝を構成し、螺旋状に巻かれた金属ワイヤを管の内側に収容することができる。
【0011】
これらの管はまた、金属もしくは織物材料で作られた布地のスリーブと、エラストマー材料もしくはプラスチック材料で作られ、かつスリーブに貼着されたスリーブの外側の外側カバーとで構成される補強層を含む。
【0012】
波形の内層により、管は、滑らかな内層よりもかなり可撓性が増す。
【0013】
補強層は、管の折曲げに対する抵抗力を高め、管の崩壊を防止する。
【0014】
上記の利点を挙げたが、このような管には欠点がないわけではない。
【0015】
金属部品の存在により、かなりの重量が管に加えられるため、設置および維持管理中に取り扱うのが困難になる。
【0016】
さらに、管が切断された場合、金属巻線の最後の数ターンが内層から分離して谷部から出る傾向がある。
【0017】
また、別の管と接続している間、管の設置態様は非常に複雑である。実際、一方の管を他方の管に接続するために、設置技術者は管を必要な大きさに切断し、切断された端部のカバーの外層を、設置したいコネクタに適合した長さだけ取り除く必要がある。
【0018】
外層を除去する操作は手間がかかる場合が多く、部品についての操作者の技能が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、1つ以上の上述の態様において既知の技術を改善することが可能な多層管を提供することである。
【0020】
この目的の範囲内で、本発明の目的は、容易にかつ迅速に接続することができる多層管を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、容易に曲げることができると同時に頑丈な多層管を提供することである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、比較的軽量の多層管を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、任意の既存の解決策に代わる方法で既知の技術の欠点を克服することである。
【0024】
本発明の別の目的は、信頼性が高く、実施が容易であり、かつ低コストの多層管を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
この目標や以降でさらに明らかになるこれらの目的および他の目的は、特に化学流体や食品関連流体用の多層管によって達成され、この多層管は内側から外側に向かって連続して、
少なくとも外側が波形であり、かつ流体用ダクトを画定する管状シースで構成される第1の層と、
前記第1の層上に配置されたゴム引布および織物補強材を含むエラストマー材料から選択される内層、および前記内層上に配置された外側カバーを含む少なくとも1つの第2の層と
を含む。
【0026】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面において非限定的な例を目的として示される、本発明による多層管の好ましいが排他的ではない実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明による多層管の斜視図である。
図2】多層管の一部の縦断面図である。
図3】変形形態における多層管の一部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面を参照して、参照番号10で一般的に示された本発明による多層管は、内側から外側に向かって連続して、
少なくとも外側が波形であり、かつ流体用ダクトを画定する管状シースで構成される第1の層11と、
第1の層11上に配置されたゴム引布および織物補強材を含むエラストマー材料から選択される内層13、および内層13上に配置された外側カバー14を含む少なくとも1つの第2の層12とを含む。
【0029】
第1の層は、好ましくはPTFE、またはいずれの場合でも、FEP、MFA、PFA、PVDF、ECTFEおよびPTFEの中から選択されるフッ素化ポリマーで構成される。
【0030】
加えて、第1の層11が、流体の通過のために内側が滑らかであり、かつ外側がねじ状に波形を付けられて螺旋状の山部および谷部を画定する管状シースで構成される一方で、第2の層12の内側は雌ねじ状に成形されており、これにより、第1の層11に対して螺合したり螺合解除したりすることができ、2つの隣接する層間の軸方向の相対運動に対する機械的結合およびシールを保証する。
【0031】
第1の層11は、好ましくは透明または白色である。あるいは、異なる色で作成することもできる。
【0032】
内層13の布地は、好ましくはアラミド、ガラス繊維、ケブラー、ポリエステル、レーヨンおよびナイロンから選択されるが、これに限定されない材料で構成される。
【0033】
内層13の同じ布地は、第1の層11上に螺旋状に巻き付けることができ、あるいは、管状編組構造を有して第1の層11を覆うスリーブを形成することができる。このような場合、布地を編むことができる。
【0034】
外側カバー14は、エラストマー材料15で作られた少なくとも1つの層と、交互に重なった層における少なくとも1つの織物補強層16とを含む。図示の例では、エラストマー材料15の3つの層があり、2つの織物補強層16と交互に重なっている。織物補強層16は、単糸、布地または補強メッシュの組合せで構成することができる。これらは、重なり合う領域で内層13に螺旋状に巻かれ、エラストマー層15は、単一片のカバー14を得るためにオートクレーブで加硫される。
【0035】
第1の層11は、好ましくは表面に対して拡散浸透法が施されず、またはいずれの場合でも、接着を容易にするために全く処理されない。したがってこの場合、第1の層11は内層13に接着せず、内層13から独立したままである。
【0036】
管の製造中に内層が第1の層11上に配置される場合、内層は、螺旋状の山部および谷部によって決定される形状に適合する。このようにして、第2の層12の内部形状は雌ねじ状となり、それにより、第1の層11のねじ状の外部形状に適合する。
【0037】
図3および図4に示す変形形態では、外側カバー14はまた、外側カバー14の内側に螺旋状に巻かれた金属もしくは熱可塑性のワイヤ17(他の場合には2つ以上であり得る)を含む。
【0038】
このようなワイヤ17により、管は折曲げに対してより抵抗力が増し、したがって管が崩壊するのを防止する。
【0039】
本発明による多層管の使用は以下の通りである。
【0040】
管の設置中、操作者は、コネクタを挿入するのに必要な管の部分に等しい端部から距離を置いた切断機によって、第2の層12を円形状に容易に切断することができる。
【0041】
コネクタを挿入するのに有用な長さに等しい第2の層12の切断部分は、摩擦が低く切断片が比較的短いため、第1の層11から容易に螺合解除される。
【0042】
第2の層12のカバーを含まない第1の層11の部分は、最内層11を管接続孔の内側に通すことによってコネクタを容易に螺合することができるねじ状の外部形状を有する。
【0043】
実際には、本発明は、容易かつ迅速に接続することができ、かつ可撓性および強度の水準が優れた多層管を提供することによって、意図した目標および目的を完全に達成することが見出されている。
【0044】
実際、内層は、外側がねじ状であるという事実により、雌ねじ状に成形された第2の層に完全に結合されることで第2の層とのメカニカルシールがもたらされるので、管の軸線に沿った2つの層間の相対摺動を防止し、内層および第2の層はまた、単に第2の層の一部を螺合解除することによって、端部での接続および任意のトリミングの操作の間に容易に分離することができる。
【0045】
さらに、第1の層の滑らかな内面により、キャビティ内の流体の通過が最適化され、したがって流体の成分が表面で停止し、および/または、内部で乱流を生じる可能性が制限される。
【0046】
さらに、管内に金属織物が存在しなければ、管の重量はかなり抑制される。
【0047】
このように着想された本発明は、多数の変更および変形が可能であり、それらは全て添付の特許請求の範囲内にある。また、全ての詳細を他の技術的に同等な要素に置き換えてもよい。
【0048】
実際には、使用される材料は、特定の用途に適合し、かつ条件付きの寸法および形状であれば、要件および最新技術に応じて任意のものであってもよい。
[発明の項目]
[項目1]
特に化学流体および食品関連流体用の多層管であって、当該多層管が、内側から外側に向かって連続して、
少なくとも外側が波形であり、かつ流体用ダクトを画定する管状シースで構成される第1の層(11)と、
前記第1の層(11)上に配置されたゴム引布および織物補強材を含むエラストマー材料から選択された内層(13)、および前記内層(13)上に配置された外側カバー(14)を含む少なくとも1つの第2の層(12)と
を備える、多層管。
[項目2]
前記第1の層(11)が、外側がねじ状に波形を付けられて螺旋状の山部および谷部を画定する管状シースで構成され、前記第2の層(12)の内側が雌ねじ状に成形されることを特徴とする、項目1に記載の多層管。
[項目3]
前記第1の層(11)を構成する前記管状シースが、前記流体の通過のために内側が滑らかであることを特徴とする、項目1または2に記載の多層管。
[項目4]
前記第1の層(11)が、FEP、MFA、PFA、PVDF、ECTFEおよびPTFEの中から選択されるフッ素化ポリマーで構成されることを特徴とする、項目1~3のいずれか一項に記載の多層管。
[項目5]
前記第1の層(11)が透明であることを特徴とする、項目1~4のいずれか一項に記載の多層管。
[項目6]
前記第1の層(11)が白色であることを特徴とする、項目1~5のいずれか一項に記載の多層管。
[項目7]
前記第1の層(11)が着色されることを特徴とする、項目1~6のいずれか一項に記載の多層管。
[項目8]
前記第1の層(11)が導電性であることを特徴とする、項目1~7のいずれか一項に記載の多層管。
[項目9]
前記内層(13)の前記ゴム引布が、アラミド、ガラス繊維、ケブラー、ポリエステル、レーヨンおよびナイロンから選択された材料で構成されることを特徴とする、項目1~8のいずれか一項に記載の多層管。
[項目10]
前記内層(13)の前記ゴム引布が、前記第1の層(11)を包み込むスリーブ状の管状構造を有することを特徴とする、項目1~9のいずれか一項に記載の多層管。
[項目11]
前記外側カバー(14)が、エラストマー材料(15)で作られた少なくとも1つの層と、交互に重なった層における少なくとも1つの織物補強層(16)とを含むことを特徴とする、項目1~10のいずれか一項に記載の多層管。
[項目12]
前記外側カバー(14)が、前記外側カバー(14)の内側に螺旋状に巻かれた金属もしくは熱可塑性のワイヤ(17)を含むことを特徴とする、項目1~11のいずれか一項に記載の多層管。
【符号の説明】
【0049】
10…多層管、11…第1の層、最内層、12…第2の層、13…内層、14…外側カバー、15…エラストマー材料、エラストマー層、16…織物補強層、17…ワイヤ
図1
図2
図3