(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】ピアスホールの清掃具セット
(51)【国際特許分類】
A47K 7/00 20060101AFI20240528BHJP
A44C 7/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
A47K7/00 Z
A44C7/00 Z
(21)【出願番号】P 2020145103
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】398057019
【氏名又は名称】株式会社ワンダーワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100076071
【氏名又は名称】松浦 恵治
(72)【発明者】
【氏名】植本 晋輔
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-230499(JP,A)
【文献】特開平8-70915(JP,A)
【文献】米国特許第4497402(US,A)
【文献】特開2019-181035(JP,A)
【文献】特開2001-178766(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0168685(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 7/00
A44C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状フロスを複数本収納可能なフロス収納ケースと、掃除液貯留部を備えた容器本体と、これらフロス収納ケースと容器本体を立設保持可能なセット基盤体と、携帯時に使用する長筒キャップ体とで構成され、フロス収納ケースは筒状のケースで蓋体を備えており、容器本体は内筒と外筒の二重筒で構成され、この内筒の底部に底板を形成し、この内筒を外側から囲うように配設される外筒を内筒と一体形成し、この内筒の外壁と外筒の内壁とで貯留空間を形成し、この貯留空間の液充填用開口部が、容器本体における内筒の底板の形成位置の反対側である外筒の上端に形成されており、この液充填用開口部には上キャップが水密状になるように着脱自在に冠設され、前記外筒の下端には長筒キャップ体を着脱自在に冠設し、前記内筒の底板と外筒の下端に取り付けられる長筒キャップ体とで囲まれる内部空間領域に携帯時の棒状フロス収納可能空間を形成したことを特徴とするピアスホールの掃除具セット。
【請求項2】
棒状フロスは吸液性と柔軟性のある紙製棒状フロスからなり、この紙製棒状フロスの先端から後端に至る全体をピアスホール内を通過させる構成であることを特徴とする請求項1記載のピアスホールの掃除具セット。
【請求項3】
棒状フロスの液含浸部は掃除液を含侵することにより少なくとも直径方向に膨潤する構成であり、棒状フロスの液含浸部と反対側の端部には着色コーティング部を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のピアスホールの掃除具セット。
【請求項4】
前記貯留空間には掃除液としてミントウォータを充填したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のピアスホールの掃除具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピアスホールの掃除具セットに係り、特に、ピアスを取り付けるために耳朶に開けたピアスホールを手間をかけずに手軽に掃除することができるピアスホールの掃除具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、耳朶に取り付けて使用する装身具としてピアスが知られており、このピアスとして、耳朶に孔(以下、「ピアスホール」という)を開け、このピアスホールにピアスの針(ピアスポスト)を差し込んで装着するタイプのものが知られている。
【0003】
ここでピアスホールは比較的小径の孔であるため掃除がしずらく、多くの場合はピアスホールを掃除しないままにしておくことがあり、時折、ピアスホールを掃除する場合には、濡れナプキン等が使用されていた。
この濡れナプキンを使用しても、ピアスホールの内部を掃除することは困難で、表面付近を掃除することで精いっぱいであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3755874号公報
【文献】特開2019-181035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本人自身が濡れナプキンを使用して鏡を見ながらピアスホールの掃除をする場合には、細かい箇所の掃除であるということから思うような掃除をすることは難しく、手間や時間をかけた割には、ピアスホールの内部をきれいにすることはできなかった。
【0006】
またピアスホールの内部をきれいにするためには、例えば第三者に手助けしてもらうことも考えられるが、その場合はいつでも自由に掃除がでるわけではない点で問題があった。
【0007】
さらにこの清掃具セットを、部屋の中に置いて使用することができるとともに、外出時にはかばんの中などに整然と収めて携帯できるような構成のものが望まれていた。
特許文献1の発明は、このような要望に応えるために本件出願人が先に提案したピアスホールの清掃具セットであり、ピアスホールを清掃する棒状フロスと、掃除液とを使いやすいように携帯して持ち運ぶのに便利な工夫を施したものである。
しかしながら、このピアスホールの掃除具セットは、持ち運びには便利であるが、これをそのまま部屋の中に置いて使用するには、外出時の使用形態と同じ状態で使用せざるを得ず、少々不便なことも起きていた。
【0008】
すなわち、棒状フロス収納容器と掃除液収納容器を垂直状に立設して立てかけるように保持することができず、常に片手で棒状フロス収納容器や掃除液収納容器を倒れないように把持する必要があり、そのために手がふさがってしまうという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点を全て解消して、部屋の中に置いて使用する際にも、使い勝手を向上させることができるピアスホールの掃除具セットを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、棒状フロスを複数本収納可能なフロス収納ケースと、掃除液貯留部を備えた容器本体と、これらフロス収納ケースと容器本体を立設保持可能なセット基盤体と、携帯時に使用する長筒キャップ体とで構成され、フロス収納ケースは筒状のケースで蓋体を備えており、容器本体は内筒と外筒の二重筒で構成され、この内筒の底部に底板を形成し、この内筒を外側から囲うように配設される外筒を内筒と一体形成し、この内筒の外壁と外筒の内壁とで貯留空間を形成し、この貯留空間の液充填用開口部が、容器本体における内筒の底板の形成位置の反対側である外筒の上端に形成されており、この液充填用開口部には上キャップが水密状になるように着脱自在に冠設され、前記外筒の下端には長筒キャップ体を着脱自在に冠設し、前記内筒の底板と外筒の下端に取り付けられる長筒キャップ体とで囲まれる内部空間領域に携帯時の棒状フロス収納可能空間を形成したことを特徴とするピアスホールの掃除具セットである。
【0011】
請求項2は、棒状フロスは吸液性と柔軟性のある紙製棒状フロスからなり、この紙製棒状フロスの先端から後端に至る全体をピアスホール内を通過させる構成であることを特徴とする請求項1記載のピアスホールの掃除具セットである。
【0012】
請求項3は、棒状フロスの液含浸部は掃除液を含侵することにより少なくとも直径方向に膨潤する構成であり、棒状フロスの液含浸部と反対側の端部には着色コーティング部を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のピアスホールの掃除具セットである。
【0013】
請求項4は、前記貯留空間には掃除液としてミントウォータを充填したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のピアスホールの掃除具セットである。
【発明の効果】
【0014】
上記した請求項1乃至4に係るピアスホールの掃除具セットは、外出時に携帯する際には、フロス収納ケース内の棒状フロスを容器本体の棒状フロス収納可能空間に複数本セットし、長筒キャップ体を容器本体の外筒にかぶせて棒状フロスを棒状フロス収納可能空間に入れて使用することとなる。
【0015】
また、自室に戻ってくつろぐ状態でピアスホールの掃除具セットを使用する際には、フロス収納ケースに棒状フロスを収納し、容器本体の外筒にかぶせた長筒キャップ体を容器本体から取り外し、セット基盤体の所定位置にフロス収納ケースと容器本体とを立設保持させることでテーブルや机の上にピアスホールの掃除具セットを手で持つことなく使用できるため、外出時の使用状態と比較して極めて簡単な取り扱いが可能となる優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るピアスホールの掃除具セットの分離状態の斜視図である。
【
図2】セット基盤体にフロス収納ケースと容器本体を立設した状態の斜視図である。
【
図4】フロス収納ケースとその内部に収納される棒状フロスの斜視図である。
【
図5】容器本体と長筒キャップ体との正面図である。
【
図6】容器本体と長筒キャップ体との携帯時の棒状フロスの使用状態を示す縦断面図である。
【
図7】容器本体と長筒キャップ体との組立状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下添付図面に基づいて、本発明に係るピアスホールの掃除具セットの一実施の形態を詳説する。
まず本発明に係るピアスホールの掃除具セット20は、フロス収納ケース1と、容器本体2と、セット基盤体3と、携帯時の長筒キャップ体11とで構成される。
フロス収納ケース1は筒状のケースで、その中にはピアスホール内に挿通される棒状フロス4が複数本収納され、蓋体5をかぶせてフロス収納ケース1を封ずることができる。
【0018】
また容器本体2は、内筒6と外筒7の二重筒で構成され、内筒6の底部には底板8が形成されている。
内筒6を外側から囲うように配設される外筒7は、内筒6と一体形成されている。
この内筒6の外壁と外筒7の内壁とで貯留空間14が形成され、この貯留空間14内には掃除液が充填される。
掃除液としてはミント系の香料を配したアルコール液などが使用され、棒状フロス4の液含浸部4aが掃除液に浸されることで、棒状フロスの液含浸部4aが直径方向に膨潤する構成である。
【0019】
ピアスホールの掃除をする際には、棒状フロスの液含浸部4aの反対側の先端(細く形成されている)から、棒状フロス4をピアスホールに挿通し、ピアスホールの内面を膨潤した液含浸部4aでふき取り、棒状フロス4を引き抜くことで完了する。
【0020】
容器本体2の貯留空間14の液充填用開口部9が、容器本体2における内筒6の底板8の形成位置側に形成されており、この液充填用開口部9(すなわち容器本体の上端)には上キャップ10が水密状になるように着脱自在に冠設されている。
【0021】
容器本体の上キャップ10の冠設位置の反対側端部(すなわち容器本体の下端)には小径部2aが形成されており、この小径部2aには、携帯時に使用される長筒キャップ体がかぶせられる。
【0022】
また本発明のピアスホールの掃除具セット20を、携帯せず、自宅の室内などで使用する際には、上記の長筒キャップ体11を容器本体2から取り外し、容器本体2の小径部2aをセット基盤体3の容器本体立て13に差し込み、棒状フロス4はフロス収納ケース1に収納し、そのフロス収納ケース1をセット基盤体3のフロス収納ケース立て12に差し込む。
【0023】
フロス収納ケース1とフロス収納ケース立て12とは、隙間の無い状態で差し込みできる寸法に形成されているため、差し込み状態時には安定した立設状態が確保され、同様に容器本体2の小径部2aと容器本体立て13とは、隙間の無い状態で差し込みできる寸法に形成されているため、差し込み状態時には安定した立設状態が確保される。
【0024】
つぎに棒状フロス4について説明すると、吸液性と柔軟性のある製紙の棒状フロスで形成され、特に和紙を使用することが好ましい。この棒状フロス4は掃除液(消毒液)を含浸すると直径方向に膨潤する構成で、掃除液の含浸前はピアスホールの孔径より小寸であるが、含浸後の直径はピアスホールの孔径よりも大寸となる。このため、使用前は嵩張らず取り扱い易く、使用の直前に棒状フロス4の液含浸部4aに掃除液を浸すことにより、ピアスホールの内周壁に程よく圧接することになる。
【0025】
また、この棒状フロス4の一端には着色コーティング部が形成されており、この着色コーティング部は棒状フロス4の上下方向を明確にする目印となるほか、コーティング樹脂の作用で棒状フロス4が膨潤しないので、指でこの部分を摘んでも手を汚すことがなく、さらにピアスホールのこの着色コーティング部の側を挿通するのに大変便利となる。
【0026】
ついで
図6に示す容器本体2は、内筒6の頂部に棒状フロスを差し込むための差込み用開口を形成し、内筒6の底部には底板8を備えている。この内筒6を囲うように外筒7を内筒6と一体形成することで、内筒6の外壁と外筒7の内壁とで貯留空間14が形成され、この貯留空間14の液充填用開口9が外筒7の底部に形成されている。
外筒7の上端には上キャップ10が水密状態で着脱自在に冠設されている。
差込み用開口から内筒6内に、ピアスホールの掃除具として使用される棒状フロス4が収納され、一方貯留空間14には掃除液として使用するミントウォータが充填されている。
【0027】
容器本体2の内筒6は円筒状に形成され、その頂部の近傍には、外筒7の上端が一体形状で連結されている。外筒7は、内筒6と同様に円筒状に形成され、外筒7の上端には上キャップ10を嵌め込まれる。
内筒6の外側には外筒7が形成され、この外筒7で内筒6を囲うことで、外筒7の内壁と内筒6の外壁とで貯留空間14を形成している。このように、内筒6を外筒7で囲うことで貯留空間14を形成し、容器本体2の全体の長さを抑えた状態で、貯留空間14の深さ寸法を十分に深く確保することができ、容器本体2のコンパクト化を図ることができる。
【0028】
また、貯留空間14の深さ寸法を十分に深く確保することで、この貯留空間14にミントウォータを蓄えた際に、ミントウォータの層の深さを十分に確保することができ、棒状フロス4の液含浸部4aを効率よくミントウォータの中に浸けることができる。
【0029】
この掃除具セット20はコンパクトに形成されているので鏡台の前に置いても邪魔になることはなく、またハンドバッグなどの中にも簡単に入れることができるので、携帯にも適している。
特に本発明のピアスホールの掃除具セット20は、携帯時にはセット基盤体を除いた状態で持ち運びすることができ、自室内などで使用する際には、長筒キャップ体を取り外し、セット基盤体にフロス収納ケースと容器本体とを安定保持させた状態で使用することができ、掃除セットをテーブル上に置いたままで手で保持する必要がなく使用可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、ピアスホールの掃除具セットを製造したりする産業において利用される。
【符号の説明】
【0031】
1…フロス収納ケース
2…容器本体
2a…容器本体の小径部
3…セット基盤体
4…棒状フロス
4a…棒状フロスの液含浸部
5…蓋体
6…容器本体の内筒
7…容器本体の外筒
8…内筒の底板
9…液充填用開口部
10…上キャップ
11…携帯時の長筒キャップ体
12…セット基盤体のフロス収納ケース立て
13…セット基盤体の容器本体立て
14…貯留空間
20…ピアスホールの掃除具セット