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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】洗浄制御装置及び洗浄制御方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 24/46 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
B01D29/38 510B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020141621
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2022037470
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】米津 直紀
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-155882(JP,A)
【文献】特開平10-192606(JP,A)
【文献】特開2000-167320(JP,A)
【文献】特開2011-200802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D24/00-37/04
B01D61/00-71/82
C02F1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を濾過する濾過装置の洗浄を制御する洗浄制御装置であって、
前記濾過装置に流入した前記被処理水の流入量と、前記濾過装置から流出した処理水の流出量とを取得し、前記被処理水における物体の第1濃度と、前記処理水における前記物体の第2濃度とを取得し、前記流入量と前記流出量と前記第1濃度と前記第2濃度とに基づいて算出した値を、前記濾過装置において捕捉された前記物体の捕捉量として取得する取得部と、
取得した前記捕捉量が第1閾値を上回っているか否かを判定し、前記捕捉量が前記第1閾値を上回っていると判定した場合、前記第1濃度が第2閾値を上回っているか否かを判定し、前記第1濃度が前記第2閾値を上回っていると判定した場合、前記濾過装置の洗浄を開始する決定部とを、有する、
ことを特徴とする洗浄制御装置。
【請求項2】
請求項において、
前記取得部は、前記流入量と前記第1濃度との積と前記流出量と前記第2濃度との積との差を、前記捕捉量として取得する、
ことを特徴とする洗浄制御装置。
【請求項3】
請求項において、
前記取得部は、前記第1濃度が前記第2閾値を上回っていないと前記決定部が判定した場合、前記捕捉量を再度取得し、
前記決定部は、再度取得した前記捕捉量が前記第1閾値よりも大きい第3閾値を上回っていると判定した場合、前記濾過装置の洗浄を開始する、
ことを特徴とする洗浄制御装置。
【請求項4】
請求項において、
前記取得部は、前記濾過装置の洗浄が開始された後、前記捕捉量を再度取得し、
前記決定部は、再度取得した前記捕捉量が前記第1閾値よりも小さい第4閾値を下回っていると判定した場合、前記濾過装置の洗浄を終了する、
ことを特徴とする洗浄制御装置。
【請求項5】
請求項において、
前記取得部は、前記濾過装置の洗浄が開始された後、第1タイミング及び前記第1タイミングよりも後の第2タイミングにおいて前記捕捉量を再度取得し、さらに、
前記取得部が前記第1及び第2タイミングのそれぞれにおいて再度取得した前記捕捉量が前記第1閾値よりも小さい第4閾値を下回っていない場合、前記第1タイミングにおいて前記取得部が再度取得した前記捕捉量と前記第2タイミングにおいて前記取得部が再度取得した前記捕捉量との差と、前記第1タイミングと前記第2タイミングとの時間差とから、前記濾過装置おける前記捕捉量が前記第4閾値を下回るまでに要する時間を推測する時間推測部と、
推測した前記時間を出力する出力部とを、有する、
ことを特徴とする洗浄制御装置。
【請求項6】
被処理水を濾過する濾過装置の洗浄を制御する洗浄制御方法であって、
前記濾過装置に流入した前記被処理水の流入量と、前記濾過装置から流出した処理水の流出量とを取得し、
前記被処理水における物体の第1濃度と、前記処理水における前記物体の第2濃度とを取得し、
前記流入量と前記流出量と前記第1濃度と前記第2濃度とに基づいて算出した値を、前記濾過装置において捕捉された前記物体の捕捉量として取得し、
取得した前記捕捉量が第1閾値を上回っているか否かを判定し、
前記捕捉量が前記第1閾値を上回っていると判定した場合、前記第1濃度が第2閾値を上回っているか否かを判定し、
前記第1濃度が前記第2閾値を上回っていると判定した場合、前記濾過装置の洗浄を開始する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする洗浄制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄制御装置及び洗浄制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水等の被処理水についての水処理を行う場合、例えば、浮遊物質(SS:Suspended Solid)等の物体(以下、単に物体とも呼ぶ)の除去を行う濾過装置が用いられる。具体的に、濾過装置は、様々な形状の濾材を用いることによって被処理水に含まれる物体の除去を行う。
【0003】
このような濾過装置では、被処理水の流入が連続的に行われる場合、濾材において物体による目詰まりが発生する。そして、濾過装置では、この場合、濾材に捕捉された物体の処理水側への流出や腐敗等によって処理水の水質が悪化し、また、濾過抵抗の上昇によって濾過装置に対する被処理水の流入量が低下する。さらに、濾過装置では、この場合、最終的に濾材の閉塞が発生し、濾過を行うことができなくなる。
【0004】
したがって、濾過装置の管理者(以下、単に管理者とも呼ぶ)は、必要なタイミングにおいて、処理水の水質を良好に保つことを目的とした濾過装置の洗浄を行う(特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-073903号公報
【文献】特開2014-097500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記のような濾過装置の洗浄は、例えば、予め定められた定期的なタイミングにおいて行われる場合がある。具体的に、管理者は、例えば、1日に1回等の定期的なタイミングにおいて濾過装置の洗浄操作を行う。しかしながら、被処理水の性状や流入量等は、天候、季節及び曜日等によって必ずしも一定にならない。そのため、この定期的なタイミングは、濾過装置の洗浄タイミングとして必ずしも適切なタイミングにならない場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、濾過装置の洗浄を適切なタイミングにおいて行うことを可能とする洗浄制御装置及び洗浄制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明における洗浄制御装置は、被処理水を濾過する濾過装置の洗浄を制御する洗浄制御装置であって、前記被処理水の濾過により前記濾過装置において捕捉された物体の捕捉量と、前記被処理水における前記物体の濃度とを取得する取得部と、取得した前記捕捉量と前記濃度とに基づいて、前記濾過装置の洗浄を行うタイミングを決定する決定部とを、有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明における洗浄制御装置及び洗浄制御方法によれば、濾過装置の洗浄を適切なタイミングにおいて行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施の形態における洗浄制御装置1及び濾過装置2の概略構成例を説明する図である。
図2図2は、第1の実施の形態における濾過装置2の構成例を説明する図である。
図3図3は、第1の実施の形態における濾過装置2の構成例を説明する図である。
図4図4は、洗浄制御装置1のハードウエア構成を説明する図である。
図5図5は、洗浄制御装置1の機能のブロック図である。
図6図6は、第1の実施の形態における洗浄制御処理の概略を説明するフローチャート図である
図7図7は、第1の実施の形態における洗浄制御処理の詳細を説明するフローチャート図である。
図8図8は、第1の実施の形態における洗浄制御処理の詳細を説明するフローチャート図である。
図9図9は、第1の実施の形態における洗浄制御処理の詳細を説明するフローチャート図である。
図10図10は、洗浄残り時間136の算出が行われる場合の第1の実施の形態における洗浄制御処理の詳細を説明するフローチャート図である。
図11図11は、洗浄残り時間136の算出が行われる場合の第1の実施の形態における洗浄制御処理の詳細を説明するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
初めに、第1の実施の形態における洗浄制御装置1及び濾過装置2の概略構成例について説明を行う。図1は、第1の実施の形態における洗浄制御装置1及び濾過装置2の概略構成例を説明する図である。
【0013】
濾過装置2には、図1に示すように、水源(図示しない)に貯留されている被処理水(以下、流入水とも呼ぶ)を濾過装置2内に導入する流入管3aが接続している。また、濾過装置2には、濾過を行った処理水(以下、流出水とも呼ぶ)を排出する流出管3bが接続している。そして、濾過装置2は、流入管3aから導入された被処理水に含まれるSS等の物体(例えば、汚染物質)の濾過を行った後、濾過が行われた処理水を流出管3bから排出する。
【0014】
なお、図1に示す例において、流入管3aは、濾過装置2の下部(例えば、下部の壁面)において接続されており、流出管3bは、濾過装置2の上部(例えば、上部の壁面)において接続されている。そのため、図1に示す例における濾過装置2は、下方から導入される被処理水に含まれる物体についての濾過を行う。
【0015】
さらに、流入管3a及び流出管3bのそれぞれには、計測器4a及び計測器4b(以下、これらを総称して計測器4とも呼ぶ)が取り付けられている。計測器4aは、例えば、被処理水の流量(以下、流入量とも呼ぶ)を計測する流量計と、被処理水における物体の濃度(以下、流入濃度または第1濃度とも呼ぶ)を計測する濃度計とを有する。また、計測器4bは、例えば、処理水の流量(以下、流出量とも呼ぶ)を計測する流量計と、処理水における物体の濃度(以下、流出濃度または第2濃度とも呼ぶ)を計測する濃度計とを有する。
【0016】
そして、洗浄制御装置1(以下、コンピュータ1とも呼ぶ)は、図1に示すように、計測器4aにおいて計測された計測値(流入量及び流入濃度)と、計測器4bにおいて計測された計測値(流出量及び流出濃度)とを取得する。その後、洗浄制御装置1は、計測器4a及び計測器4bから取得した各計測値を用いることによって、濾過装置2の洗浄を行うタイミングを決定する。
【0017】
次に、第1の実施の形態における濾過装置2の構成例について説明を行う。図2及び図3は、第1の実施の形態における濾過装置2の構成例を説明する図である。
【0018】
濾過装置2は、図2に示すように、濾材充填部21と、空気ポンプ22と、空気導入管23と、ノズル24と、上部スクリーン25と、下部スクリーン26とを有する。
【0019】
濾材充填部21には、複数の濾材(図示しない)が充填されており、流入管3aを介して濾過装置2内に導入された被処理水に含まれる物体についての濾過を行う。複数の濾材のそれぞれは、例えば、中空円筒形状等を有するものであってよい。
【0020】
空気ポンプ22は、濾過装置2(濾材充填部21)の洗浄(逆洗)が行われる際に、空気導入管23を介して濾過装置2内に空気を導入する。そして、空気導入管23に取り付けられたノズル24のそれぞれは、空気導入管23を介して濾過装置2内に導入された空気を濾材充填部21に対して噴射することによって、濾材に捕捉された物体を濾材から分離させる。その後、濾過装置2は、この場合、濾材から分離した物体を含む処理水(以下、洗浄排水とも呼ぶ)を流出管3bから排出する。これにより、濾過装置2は、濾過装置2の洗浄を行うことが可能になる。
【0021】
なお、濾過装置2は、濾過装置2の洗浄が行われる前に、例えば、流出管3bを介して濾過装置2から排出される洗浄排水が処理水と異なる排出先(図示しない)に排出されるように、流出管3bの取り付けられたバルブ5の切り替えを行うものであってよい。
【0022】
上部スクリーン25は、例えば、濾材充填部21に充填された濾材の大きさよりも網目が小さい網によって構成されたスクリーンであり、濾材充填部21における濾材が上部スクリーン25よりも上方に移動することを防止する。また、下部スクリーン26は、例えば、濾材充填部21に充填された濾材の大きさよりも網目が小さい網によって構成されたスクリーンであり、濾材充填部21における濾材が下部スクリーン26よりも下方に移動することを防止する。
【0023】
ここで、上記のような濾過装置2の洗浄は、例えば、予め定められた定期的なタイミングにおいて行われる場合がある。具体的に、管理者は、例えば、1日に1回等の定期的なタイミングにおいて濾過装置2の洗浄操作を行う。しかしながら、被処理水の性状や流入量等は、天候、季節及び曜日等によって必ずしも一定にならない。そのため、この定期的なタイミングは、濾過装置2の洗浄タイミングとして必ずしも適切なタイミングにならない。したがって、管理者は、濾過装置2の洗浄を適切なタイミングにおいて行うことが困難である場合がある。
【0024】
そこで、発明者は、濾過装置2の洗浄の適切なタイミングを自動的に決定するための各種研究を行い、濾過装置2における物体の捕捉量から洗浄タイミングを決定する方法を考案した。
【0025】
さらに、発明者は、濾過装置2の洗浄タイミングを決定する場合に、濾過装置2における物体の捕捉のされ方についても考慮するための知見を得た。
【0026】
具体的に、発明者は、濾過装置2に流入する被処理水における物体の濃度(流入濃度)が低い場合(以下、第1の場合とも呼ぶ)、図3(A)に示すように、物体が濾材充填部21における広い範囲の濾材(図3(A)における濾材21a)で捕捉されることを認識した。また、発明者は、濾過装置2に流入する被処理水における物体の濃度(流入濃度)が高い場合(以下、第2の場合とも呼ぶ)、図3(B)に示すように、物体が濾材充填部21における被処理水の入口付近に位置する狭い範囲の濾材(図3(B)における濾材21b)において集中的に捕捉されることを認識した。すなわち、発明者は、物体の捕捉量が同じ場合であっても、第2の場合の方が第1の場合よりも目詰まりを起こしやすいことを認識した。
【0027】
そして、図3(A)に示す第1の場合、濾過装置2における広い範囲の濾材において物体が捕捉されるので、濾過装置2の濾過抵抗が上昇しにくくなる。そのため、第1の場合は、濾過装置2の洗浄頻度を高くする必要がない場合であると判断できる。また、図3(B)に示す第2の場合、濾過装置2における狭い範囲の濾材において物体が集中的に捕捉されるので、濾過装置2の濾過抵抗が上昇しやすくなる。そのため、第2の場合は、濾過装置2の洗浄頻度を高くする必要がある場合であると判断できる。すなわち、濾過装置2の洗浄を行うことが好ましいタイミングは、物体の流入濃度によって異なるものと判断できる。
【0028】
そこで、本実施の形態における洗浄制御装置1は、例えば、濾過装置2の洗浄を行う必要があるか否かの判定を行う際の基準となる物体の捕捉量に加え、計測器4aから取得した流入濃度についても考慮することによって、濾過装置2(濾材充填部21)が洗浄を要する状態にあるか否かについての判定を行う。そして、洗浄制御装置1は、濾過装置2の洗浄タイミングを、濾過装置2が洗浄を要する状態にあるか否かの判定結果に従って決定する。
【0029】
すなわち、本実施の形態における洗浄制御装置1は、被処理水の濾過を行うことによって濾過装置2において捕捉された物体の捕捉量と、被処理水における物体の濃度とを取得する。そして、洗浄制御装置1は、取得した捕捉量と物体の濃度とに基づいて、濾過装置2の洗浄を行うタイミングを決定する。
【0030】
これにより、本実施の形態における洗浄制御装置1は、被処理水の流入量及び物体の流入濃度の変動(すなわち、流入負荷の変動)が考慮された適切なタイミングにおいて、濾過装置2の洗浄を行うことが可能になる。
【0031】
[洗浄制御装置のハードウエア構成]
次に、洗浄制御装置1のハードウエア構成について説明する。図4は、洗浄制御装置1のハードウエア構成を説明する図である。
【0032】
洗浄制御装置1は、図4に示すように、プロセッサであるCPU101と、メモリ102と、通信装置103と、記憶媒体104とを有する。各部は、バス105を介して互いに接続される。
【0033】
記憶媒体104は、例えば、濾過装置2の洗浄を行うタイミングを決定する処理(以下、洗浄制御処理とも呼ぶ)を行うためのプログラム(図示しない)を記憶するプログラム格納領域(図示しない)を有する。また、記憶媒体104は、例えば、洗浄制御処理を行う際に用いられる情報を記憶する情報格納領域130を有する。なお、記憶媒体104は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)であってよい。
【0034】
CPU101は、記憶媒体104からメモリ102にロードされたプログラムを実行することによって洗浄制御処理を行う。
【0035】
また、通信装置103は、例えば、ネットワークNWを介して計測器4とアクセスを行う。
【0036】
[洗浄制御装置の機能]
次に、洗浄制御装置1の機能について説明を行う。図5は、洗浄制御装置1の機能のブロック図である。
【0037】
洗浄制御装置1は、図5に示すように、例えば、CPU101やメモリ102等のハードウエアとプログラムとが有機的に協働することにより、情報取得部111と、捕捉量算出部112と、タイミング決定部113と、洗浄指示部114と、時間推測部115と、情報出力部116とを含む各種機能を実現する。なお、以下、情報取得部111と捕捉量算出部112とを総称して単に取得部とも呼び、タイミング決定部113を単に決定部とも呼ぶ。
【0038】
また、洗浄制御装置1は、例えば、図5に示すように、流入量131と、流出量132と、流入濃度133と、流出濃度134と、捕捉量135と、洗浄残り時間136とを情報格納領域130に記憶する。
【0039】
情報取得部111は、計測器4aから流入量131と流入濃度133とを取得する。また、情報取得部111は、計測器4bから流出量132と流出濃度134とを取得する。そして、情報取得部111は、例えば、計測器4から取得した流入量131、流出量132、流入濃度133及び流出濃度134のそれぞれを情報格納領域130に記憶する。
【0040】
なお、情報取得部111は、例えば、10分や1時間等の所定時間ごとに、計測器4から流入量131等の取得を行うものであってよい。
【0041】
捕捉量算出部112は、情報取得部111が取得した流入量131と流出量132と流入濃度133と流出濃度134とから物体の捕捉量135を算出する。そして、捕捉量算出部112は、例えば、算出した捕捉量135を情報格納領域130に記憶する。
【0042】
なお、捕捉量算出部112は、例えば、情報取得部111が流入量131等の取得を行うごとに、捕捉量135の算出を行うものであってよい。
【0043】
タイミング決定部113は、例えば、捕捉量算出部112が算出した捕捉量135と、情報取得部111が取得した流入濃度133とに基づいて、濾過装置2の洗浄を開始するタイミング(以下、洗浄開始タイミングとも呼ぶ)と洗浄を終了するタイミング(以下、洗浄終了タイミングとも呼ぶ)とを決定する。
【0044】
具体的に、タイミング決定部113は、例えば、捕捉量算出部112が算出した捕捉量135が第1閾値を上回っている場合であって、情報取得部111が取得した流入濃度133が第2閾値を上回っている場合、現在のタイミングを濾過装置2の洗浄開始タイミングとして決定する。第2閾値は、例えば、所定期間内における流入濃度133の平均値または中央値であってよい。
【0045】
また、タイミング決定部113は、例えば、情報取得部111が取得した流入濃度133が第2閾値を上回っていない場合であっても、捕捉量算出部112が算出した捕捉量135が第1閾値よりも大きい第3閾値を上回っている場合、現在のタイミングを洗浄開始タイミングとして決定する。
【0046】
また、タイミング決定部113は、例えば、濾過装置2の洗浄開始後、捕捉量算出部112が算出した捕捉量135が第1閾値よりも小さい第4閾値を下回った場合、現在のタイミングを洗浄終了タイミングとして決定する。
【0047】
なお、タイミング決定部113は、捕捉量算出部112が捕捉量135の算出を行うごとに、洗浄開始タイミングまたは洗浄終了タイミングの決定を行うものであってよい。
【0048】
洗浄指示部114は、タイミング決定部113が現在のタイミングを洗浄開始タイミングとして決定した場合、濾過装置2に対して洗浄の開始指示を行う。また、洗浄指示部114は、タイミング決定部113が現在のタイミングを洗浄終了タイミングとして決定した場合、濾過装置2に対して洗浄の終了指示を行う。
【0049】
時間推測部115は、例えば、濾過装置2の洗浄が行われている場合、捕捉量算出部112が算出した捕捉量135が第4閾値を下回るまでに要する時間(すなわち、洗浄終了タイミングになるまでに要する時間)を示す洗浄残り時間136を推測する。
【0050】
情報出力部116は、例えば、時間推測部115が推測した洗浄残り時間136を管理者が閲覧する操作端末(図示しない)に出力する。
【0051】
[第1の実施の形態の概略]
次に、第1の実施の形態の概略について説明する。図6は、第1の実施の形態における洗浄制御処理の概略を説明するフローチャート図である。
【0052】
洗浄制御装置1は、図6に示すように、例えば、情報取得タイミングになるまで待機する(S11のNO)。情報取得タイミングは、例えば、10分や1時間等の所定時間ごとのタイミングであってよい。
【0053】
そして、情報取得タイミングになった場合(S11のYES)、洗浄制御装置1は、濾過装置2において捕捉された物体の捕捉量135と、濾過装置2に流入した被処理水における物体の流入濃度133とを計測器4から取得する(S12)。
【0054】
その後、洗浄制御装置1は、S12の処理で取得した捕捉量135と流入濃度133とに基づいて、濾過装置2の洗浄を行うタイミングを決定する(S13)。
【0055】
すなわち、本実施の形態における洗浄制御装置1は、例えば、計測器4a及び計測器4bから取得した各計測値から、濾過装置2において捕捉された物体の捕捉量135を算出する。そして、洗浄制御装置1は、例えば、算出した物体の捕捉量135と、計測器4aから取得した流入濃度133とが各閾値を上回っているか否かを判定し、濾過装置2が洗浄を要する状態にあるか否かについての判定を行う。
【0056】
これにより、本実施の形態における洗浄制御装置1は、S13の処理で決定したタイミングに従うことで、濾過装置2の洗浄を、被処理水の流入量131及び物体の流入濃度133の変化が考慮された適切なタイミングにおいて行うことが可能になる。
【0057】
[第1の実施の形態の詳細]
次に、第1の実施の形態の詳細について説明する。図7から図11は、第1の実施の形態における洗浄制御処理の詳細を説明するフローチャート図である。
【0058】
[洗浄開始処理]
初めに、洗浄制御処理のうち、洗浄開始タイミングを決定する処理(以下、洗浄開始処理とも呼ぶ)について説明を行う。図7及び図8は、洗浄開始処理を説明するフローチャート図である。具体的に、洗浄開始処理は、濾過装置2の洗浄が行われていない時間帯に行われる処理である。
【0059】
洗浄制御装置1の情報取得部111は、図7に示すように、情報取得タイミングになるまで待機する(S21のNO)。
【0060】
そして、情報取得タイミングになった場合(S21のYES)、情報取得部111は、直前の単位時間内において濾過装置2に流入した被処理水の流入量131と、直前の単位時間内において濾過装置2から流出した処理水の流出量132とを計測器4から取得して情報格納領域130に記憶する(S22)。直前の単位時間は、例えば、前回の情報取得タイミングから今回の情報取得タイミングまでの時間であり、例えば、1分や10分等の時間であってよい。
【0061】
なお、情報取得部111は、この場合、例えば、直前の単位時間内のいずれかのタイミングにおける被処理水の流入速度を流入量131として取得するものであってもよい。また、情報取得部111は、この場合、例えば、直前の単位時間内のいずれかのタイミングにおける処理水の流出速度を流出量132として取得するものであってもよい。
【0062】
また、情報取得部111は、情報取得タイミングになった場合(S21のYES)、直前の単位時間内において濾過装置2に流入した被処理水における物体の流入濃度133と、直前の単位時間内において濾過装置2から流出した処理水における物体の流出濃度134とを計測器4から取得して情報格納領域130に記憶する(S23)。
【0063】
具体的に、情報取得部111は、例えば、直前の単位時間内のいずれかのタイミングにおける流入濃度133を取得する。また、情報取得部111は、例えば、直前の単位時間内のいずれかのタイミングにおける流出濃度134を取得する。
【0064】
そして、洗浄制御装置1の捕捉量算出部112は、S22の処理及びS23の処理で取得した流入量131と流出量132と流入濃度133と流出濃度134とから、濾過装置2が捕捉した物体の捕捉量135を算出して情報格納領域130に記憶する(S24)。
【0065】
具体的に、捕捉量算出部112は、例えば、S22の処理で取得した流入量131とS23の処理で取得した流入濃度133との積から、S22の処理で取得した流出量132とS23の処理で取得した流出濃度134との積を減算することによって算出した値を、直前の単位時間内において濾過装置2(濾材充填部21)が新たに捕捉した物体の量として算出する。そして、捕捉量算出部112は、例えば、取得した物体の量を、情報格納領域130に記憶されている捕捉量135(前回のS24の処理で算出した捕捉量135)に加算することによって、物体の最新の捕捉量135を算出する。以下、S24の処理の具体例について説明を行う。
【0066】
[S24の処理の具体例]
例えば、S22の処理で取得した流入量131が「3(m)」であり、S23の処理で取得した流入濃度133が「25(mg/L)」である場合、捕捉量算出部112は、これらの積である「0.075(kg)」を、直前の単位時間内において濾過装置2に流入した汚染物資の量として算出する。
【0067】
また、例えば、S22の処理で取得した流出量132が「3(m)」であり、S23の処理で取得した流出濃度134が「5(mg/L)」である場合、捕捉量算出部112は、これらの積である「0.015(kg)」を、直前の単位時間内において濾過装置2から流出した汚染物資の量として算出する。
【0068】
そして、捕捉量算出部112は、「0.075(kg)」から「0.015(kg)」を減算することによって算出される「0.06(kg)」を、直前の単位時間内において濾過装置2(濾材充填部21)が新たに捕捉した物体の量として特定する。
【0069】
その後、捕捉量算出部112は、特定した「0.06(kg)」を、情報格納領域130に記憶されている捕捉量135に加算する。
【0070】
なお、捕捉量算出部112は、S24の処理において、例えば、濾材充填部21における1mあたりの濾材が捕捉している物体の量を、捕捉量135として算出するものであってもよい。
【0071】
図7に戻り、洗浄制御装置1のタイミング決定部113は、S24の処理で算出した捕捉量135が予め定められた第1閾値よりも大きいか否かについての判定を行う(S25)。
【0072】
具体的に、タイミング決定部113は、例えば、第1閾値として「6(kg)」が予め定められている場合、S24の処理で算出した捕捉量135が「6(kg)」よりも大きいか否かについての判定を行う。
【0073】
その結果、S24の処理で算出した捕捉量135が第1閾値よりも大きくないと判定した場合(S25のNO)、洗浄制御装置1は、洗浄開始処理を終了する。
【0074】
すなわち、洗浄制御装置1は、この場合、濾過装置2の濾材において捕捉されている物体の量がまだ少ない状況にあり、濾過装置2の洗浄を直ちに行う必要がないと判定する。
【0075】
一方、S24の処理で算出した捕捉量135が第1閾値よりも大きいと判定した場合(S25のYES)、タイミング決定部113は、S23の処理で取得した流入濃度133が予め定められた第2閾値よりも大きいか否かについての判定を行う(S26)。
【0076】
具体的に、タイミング決定部113は、例えば、第2閾値として「25(mg/L)」が予め定められている場合、S23の処理で取得した流入濃度133が「25(mg/L)」よりも大きいか否かについての判定を行う。
【0077】
その結果、S23の処理で取得した流入濃度133が第2閾値よりも大きいと判定した場合(S26のYES)、洗浄指示部114は、図8に示すように、濾過装置2に対して洗浄を開始する旨の指示を行う(S36)。
【0078】
すなわち、洗浄制御装置1は、この場合、濾過装置2の濾材において捕捉されている物体の量がまだ少ない状況にあるが、濾材充填部21における狭い範囲の濾材(濾材充填部21の下端部付近に位置する濾材)において物体の捕捉が集中的に行われていると判定し、濾過装置2の洗浄を直ちに行う必要があると判定する。
【0079】
なお、濾過装置2は、この場合、濾過装置2の洗浄を開始する前に、洗浄排水の排水が行われるようにバルブ5の切り替えを行う。そして、濾過装置2は、バルブ5の切り替えを行った後、濾過装置2内に対する被処理水の流入を継続させながら空気ポンプ22を作動させることによって、濾過装置2(濾材充填部21)の洗浄を開始する。
【0080】
また、S23の処理で取得した流入濃度133が第2閾値よりも大きくないと判定した場合(S26のNO)、情報取得部111は、図8に示すように、情報再取得タイミングになるまで待機する(S31のNO)。情報再取得タイミングは、例えば、10分や1時間等の所定時間ごとのタイミングであってよい。
【0081】
なお、洗浄制御装置1は、S31からS35の処理が行われている間、S21からS26の処理の実行を中止するものであってよい。
【0082】
そして、情報再取得タイミングになった場合(S31のYES)、情報取得部111は、S22の処理と同様に、直前の単位時間内において濾過装置2に流入した被処理水の流入量131と、直前の単位時間内において濾過装置2から流出した処理水の流出量132とを計測器4から取得して情報格納領域130に記憶する(S32)。また、情報取得部111は、この場合、S23の処理と同様に、直前の単位時間内において濾過装置2に流入した被処理水における物体の流入濃度133と、直前の単位時間内において濾過装置2から流出した処理水における物体の流出濃度134とを計測器4から取得して情報格納領域130に記憶する(S33)。
【0083】
さらに、捕捉量算出部112は、S24の処理と同様に、S32の処理及びS33の処理で取得した流入量131と流出量132と流入濃度133と流出濃度134とから、濾過装置2が捕捉した物体の捕捉量135を算出して情報格納領域130に記憶する(S34)。
【0084】
続いて、タイミング決定部113は、S34の処理で算出した捕捉量135が予め定められた第3閾値よりも大きいか否かについての判定を行う(S35)。
【0085】
具体的に、タイミング決定部113は、例えば、第3閾値として「12(kg)」が予め定められている場合、S34の処理で算出した捕捉量135が「12(kg)」よりも大きいか否かについての判定を行う。
【0086】
その結果、S34の処理で算出した捕捉量135が第3閾値よりも大きくないと判定した場合(S35のNO)、情報取得部111は、S31以降の処理を再度行う。
【0087】
すなわち、洗浄制御装置1は、この場合、濾過装置2の濾材において捕捉されている物体の量がまだ過剰ではないと判定し、濾過装置2の洗浄を直ちに行う必要がないと判定する。
【0088】
一方、S34の処理で算出した捕捉量135が第3閾値よりも大きいと判定した場合(S35のYES)、洗浄指示部114は、濾過装置2に対して洗浄を開始する旨の指示を行う(S36)。
【0089】
すなわち、洗浄制御装置1は、この場合、濾過装置2の濾材において捕捉されている物体の量が過剰になりつつあると判定し、濾過装置2の洗浄を直ちに行う必要があると判定する。
【0090】
これにより、本実施の形態における洗浄制御装置1は、タイミング決定部113が決定した洗浄開始タイミングに従って濾過装置2の洗浄を行うことで、濾過装置2の洗浄を適切なタイミングで行うことが可能になる。
【0091】
[洗浄終了処理(1)]
次に、洗浄制御処理のうち、洗浄終了タイミングを決定する処理(以下、洗浄終了処理とも呼ぶ)について説明を行う。図9は、洗浄終了処理を説明するフローチャート図である。具体的に、洗浄終了処理は、濾過装置2の洗浄が行われている時間帯に行われる処理である。
【0092】
情報取得部111は、図9に示すように、情報取得タイミングになるまで待機する(S41のNO)。
【0093】
そして、情報取得タイミングになった場合(S41のYES)、情報取得部111は、S22の処理と同様に、直前の単位時間内において濾過装置2に流入した被処理水の流入量131と、直前の単位時間内において濾過装置2から流出した処理水の流出量132とを計測器4から取得して情報格納領域130に記憶する(S42)。
【0094】
また、情報取得部111は、この場合、S23の処理と同様に、直前の単位時間内において濾過装置2に流入した被処理水における物体の流入濃度133と、直前の単位時間内において濾過装置2から流出した処理水における物体の流出濃度134とを計測器4から取得して情報格納領域130に記憶する(S43)。
【0095】
そして、洗浄制御装置1の捕捉量算出部112は、S24の処理と同様に、S42の処理及びS43の処理で取得した流入量131と流出量132と流入濃度133と流出濃度134とから、濾過装置2が捕捉した物体の捕捉量135を算出する(S44)。
【0096】
続いて、時間推測部115は、S44の処理で算出した捕捉量135が予め定められた第4閾値よりも小さいか否かについての判定を行う(S45)。
【0097】
具体的に、タイミング決定部113は、例えば、第4閾値として「0.5(kg)」が予め定められている場合、S44の処理で算出した捕捉量135が「0.5(kg)」よりも大きいか否かについての判定を行う。
【0098】
その結果、S44の処理で算出した捕捉量135が第4閾値よりも小さいと判定した場合(S45のYES)、洗浄指示部114は、濾過装置2に対して洗浄を終了する旨の指示を行う(S46)。
【0099】
すなわち、濾過装置2の洗浄が行われている場合、S44の処理で算出される捕捉量135は徐々に小さくなる。そのため、洗浄制御装置1は、S44の処理で算出した捕捉量135が第4閾値よりも小さいと判定した場合、濾過装置2(濾材充填部21)において捕捉されている物体の量が十分に少なくなったものと判定し、濾過装置2の洗浄を終了する。
【0100】
なお、濾過装置2は、この場合、例えば、空気ポンプ22を停止させることによって濾過装置2の洗浄を終了した後、所定時間待機することによって濾過装置2内に残存する洗浄排水の排出を行うものであってよい。そして、濾過装置2は、所定時間が待機した後、処理水の排水が行われるようにバルブ5の切り替えを行うものであってよい。
【0101】
一方、S44の処理で算出した捕捉量135が第4閾値よりも小さくないと判定した場合(S45のNO)、洗浄制御装置1は、S46の処理を行わない。
【0102】
これにより、洗浄制御装置1は、濾過装置2の洗浄を、濾材に捕捉されている物体の洗浄が十分に行われてから終了することが可能になる。
【0103】
なお、濾材充填部21の空隙率が大きい場合、濾過装置2では、処理水に含まれる物体が濾材充填部21において十分に捕捉されない可能性(濾材充填部21における物体の除去率が低下する可能性)がある。そのため、管理者は、例えば、濾過装置2の洗浄が濾材充填部21の空隙率が必要以上に大きくならないように、第4閾値の決定を行うものであってもよい。すなわち、管理者は、例えば、濾材充填部21に捕捉されている物体の一部が残る程度の洗浄が行われるように、第4閾値の設定を行うものであってもよい。
【0104】
これにより、洗浄制御装置1は、濾過装置2(濾材充填部21)における物体の除去率の低下を防止しつつ、濾過装置2の洗浄を行うことが可能になる。
【0105】
[洗浄終了処理(2)]
次に、洗浄残り時間136の算出が行われる場合の洗浄終了処理について説明を行う。図10及び図11は、洗浄残り時間136の算出が行われる場合の洗浄終了処理を説明するフローチャート図である。
【0106】
情報取得部111は、図10に示すように、情報取得タイミングになるまで待機する(S51のNO)。
【0107】
そして、情報取得タイミングになった場合(S51のYES)、情報取得部111は、S22の処理と同様に、直前の単位時間内において濾過装置2に流入した被処理水の流入量131と、直前の単位時間内において濾過装置2から流出した処理水の流出量132とを計測器4から取得して情報格納領域130に記憶する(S52)。
【0108】
また、情報取得部111は、この場合、S23の処理と同様に、直前の単位時間内において濾過装置2に流入した被処理水における物体の流入濃度133と、直前の単位時間内において濾過装置2から流出した処理水における物体の流出濃度134とを計測器4から取得して情報格納領域130に記憶する(S53)。
【0109】
そして、洗浄制御装置1の捕捉量算出部112は、S24の処理と同様に、S52の処理及びS53の処理で取得した流入量131と流出量132と流入濃度133と流出濃度134とから、濾過装置2が捕捉した物体の捕捉量135を算出する(S54)。
【0110】
続いて、時間推測部115は、S54の処理で算出した捕捉量135が第4閾値よりも小さいか否かについての判定を行う(S55)。
【0111】
その結果、S54の処理で算出した捕捉量135が第4閾値よりも小さいと判定した場合(S55のYES)、洗浄指示部114は、濾過装置2に対して洗浄を終了する旨の指示を行う(S56)。
【0112】
一方、S54の処理で算出した捕捉量135が第4閾値よりも小さくないと判定した場合(S55のNO)、洗浄制御装置1の時間推測部115は、図11に示すように、過去に行われたS54の処理で算出した捕捉量135のそれぞれを情報格納領域130から取得する(S61)。
【0113】
具体的に、時間推測部115は、この場合、例えば、S54の処理で算出した捕捉量135のうち、算出されたタイミングが2番目に新しい捕捉量135(以下、第1捕捉量135aとも呼ぶ)と、算出されたタイミングが最も新しい捕捉量135(以下、第2捕捉量135bとも呼ぶ)とを取得する。
【0114】
そして、時間推測部115は、S61の処理で取得した捕捉量135のそれぞれから、濾過装置2における物体の捕捉量135の減少率を算出する(S62)。
【0115】
具体的に、時間推測部115は、例えば、S61の処理で取得した第1捕捉量135aからS61の処理で取得した第2捕捉量135bを減算することによって、捕捉量135の減少量(濾過装置2の洗浄による捕捉量135の減少量)を算出する。そして、時間推測部115は、例えば、算出した捕捉量135の減少量を、第1捕捉量135aが算出されたタイミング(以下、第1タイミングとも呼ぶ)と第2捕捉量135bが算出されたタイミング(以下、第2タイミングとも呼ぶ)との時間差で除算することによって、濾過装置2における捕捉量135の減少率を算出する。
【0116】
続いて、時間推測部115は、S62の処理で算出した減少率から、濾過装置2における物体の捕捉量135が第4閾値を下回るまでに要する洗浄残り時間136を推測する(S63)。
【0117】
具体的に、時間推測部115は、例えば、濾過装置2における捕捉量135の減少率が一定であるとした場合に、濾過装置2における捕捉量135が第4閾値を下回るまでに要する洗浄残り時間136を算出する。
【0118】
そして、洗浄制御装置1の情報出力部116は、S63の処理で推測した洗浄残り時間136を操作端末(図示しない)に出力する(S64)。
【0119】
これにより、管理者は、例えば、操作端末に出力された洗浄残り時間136を閲覧することで、濾過装置2の洗浄が終了するまでに要する時間を把握することが可能になる。
【0120】
このように、本実施の形態における洗浄制御装置1は、被処理水の濾過を行うことによって濾過装置2において捕捉された物体の捕捉量135と、被処理水における物体の流入濃度133とを取得する。そして、洗浄制御装置1は、取得した捕捉量135と物体の流入濃度133とに基づいて、濾過装置2の洗浄を行うタイミングを決定する。
【0121】
すなわち、濾過装置2に流入する被処理水における物体の濃度(流入濃度133)が低い場合、物体の捕捉は、濾過装置2における広い範囲の濾材において行われるものと推測できる。また、濾過装置2に流入する被処理水における物体の濃度(流入濃度133)が高い場合、物体の捕捉が被処理水の入口付近に位置する狭い範囲の濾材において集中的に行われるものと推測できる。
【0122】
そのため、物体の流入濃度が低い被処理水が濾過装置2に流入している場合、濾過装置2の濾過抵抗が上昇しにくい状況にあるため、濾過装置2の洗浄頻度を高くする必要がないと判断できる。また、物体の流入濃度が高い被処理水が濾過装置2に流入している場合、濾過装置2の濾過抵抗が上昇しやすい状況にあるため、濾過装置2の洗浄頻度を高くする必要があると判断できる。
【0123】
そこで、本実施の形態における洗浄制御装置1は、例えば、濾過装置2の洗浄を行う必要があるか否かの判定を行う際の基準となる物体の捕捉量135に加え、計測器4aから取得した流入濃度133についても考慮することによって、濾過装置2が洗浄を要する状態にあるか否かについての判定を行う。そして、洗浄制御装置1は、濾過装置2の洗浄タイミングを、濾過装置2が洗浄を要する状態にあるか否かの判定結果に従って決定する。
【0124】
これにより、本実施の形態における洗浄制御装置1は、被処理水の流入量131及び物体の流入濃度133の変動(すなわち、流入負荷の変動)が考慮された適切なタイミングにおいて、濾過装置2の洗浄を行うことが可能になる。
【0125】
具体的に、濾過装置2において物体が過剰に捕捉されている場合、濾過装置2では、濾材に捕捉された物体の処理水側への流出や腐敗等によって、処理水の水質が悪化する可能性がある。また、この場合、濾過装置2では、濾過抵抗の上昇に伴って、濾過装置2における被処理水の水位が発生する可能性がある。
【0126】
これに対し、本実施の形態における洗浄制御装置1は、濾過装置2の洗浄を物体が過剰に捕捉される前に行う。そのため、洗浄制御装置1は、濾過装置2において物体が過剰に捕捉されることに伴う各問題の発生を防止することが可能になる。
【0127】
また、本実施の形態における洗浄制御装置1は、濾過装置2において物体が十分に捕捉されていない場合、濾過装置2の洗浄が行われないように制御することで、非効率な洗浄が行われることを防止することが可能になる。
【0128】
また、本実施の形態における洗浄制御装置1は、濾過装置2における物体の捕捉量135と濾過装置2に対する被処理水の流入濃度133とに基づいて洗浄タイミングの決定を行うことで、濾過装置2の洗浄タイミングを決定する際に、濾材における物体の詰まり方や物体の性状及び流量等の様々な要因によって値が変化する濾過抵抗を用いる必要がなくなる。そのため、本実施の形態における洗浄制御装置1は、濾過装置2の洗浄タイミングを容易に決定することが可能になる。
【0129】
さらに、本実施の形態における洗浄制御装置1は、濾過装置2における物体の捕捉量135を随時算出することで、例えば、濾過装置2における現在の物体の捕捉量135を操作端末に出力することが可能になる。そのため、管理者は、例えば、濾過装置2の最適な洗浄方法(最適な曝気風量、曝気時間及びリンス時間等を採用した洗浄方法)の決定を行う際に、操作端末に出力された捕捉量135を閲覧することが可能になる。
【符号の説明】
【0130】
1:洗浄制御装置 2:濾過装置
3a:流入管 3b:流出管
4a:計測器 4b:計測器
5:バルブ 21:濾材充填部
22:空気ポンプ 23:空気管
24:ノズル 25:上部スクリーン
26:下部スクリーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11