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特許7495049学習支援装置、学習支援方法、及び学習支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】学習支援装置、学習支援方法、及び学習支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 7/02 20060101AFI20240528BHJP
   G09B 5/02 20060101ALI20240528BHJP
   G09B 7/07 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
G09B7/02
G09B5/02
G09B7/07
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023535062
(86)(22)【出願日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 JP2023004836
(87)【国際公開番号】W WO2023157808
(87)【国際公開日】2023-08-24
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2022024267
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512246950
【氏名又は名称】株式会社CODE7
(73)【特許権者】
【識別番号】521459107
【氏名又は名称】TECH Planning合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】桑原 匠司
(72)【発明者】
【氏名】府川 知之
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特許第5757018(JP,B1)
【文献】特開2017-049529(JP,A)
【文献】特開2017-156822(JP,A)
【文献】特表2011-504612(JP,A)
【文献】ナースプラス編集部,“[アプリ]筋肉 | 骨格 - 解剖学3D アトラス”,NursePlus,日本,株式会社マイナビ,2021年11月11日,pp.1-11,https://kango.mynavi.jp/contents/nurseplus/career_skillup/20181205-11022/,[2023年03月28日検索]
【文献】“人体解剖学クイズゲーム”,Google Play,米国,Google LLC,2022年02月02日,pp.1-3,https://play.google.com/store/apps/details?id=com.human.anatomy.quiz.app.body.organs&hl=ja&gl=US,[2023年03月28日検索]
【文献】森大祐,“肩のお話 肩の構造”,INTERNETARCHIVE waybackmachine,InternetArchive,2016年10月23日,pp.1-11,インターネット<URL: https://web.archive.org/web/20161023065237/http://shoulder-doctor.net/story/story_kouzo.html>,[2023年10月10日検索]
【文献】Appliv編集部,“解剖学 - 3Dアトラス”,Appliv,日本,ナイル株式会社,2020年03月18日,pp.1-5,https://app-liv.jp/2397575/,[2023年03月28日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56,17/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の骨格及び筋肉の構造図の画像と人体の骨格及び筋肉の名称である組織名称を検索用語句として入力するための入力部位を表示する表示部と、学習者からの操作を受け付け前記構造図における人体の筋肉を人体の表皮からの深さに応じて筋肉が付いている状態から骨だけまでの途中の段階に対応する筋肉を表示させるための操作を行う操作部と、前記表示部及び前記操作部を制御する制御部を備える学習支援装置であって、
前記制御部は、
人体の骨格及び筋肉の構造図と前記構造図に対応する組織名称とを同時に前記表示部に表示可能とする表示制御部と、
前記学習者の操作により前記人体の骨格及び筋肉の構造図及び前記組織名称の表示態様を調整し、人体の表皮側の表示から人体の内部側に至るまで順に筋肉を減らす段階的な筋肉の表示を前記表示部に表示し、前記人体の骨格及び筋肉の構造図の表示に際して前記入力部位に入力された組織名称が検索されて当該入力された組織名称と対応する前記構造図に含まれる所定部分の表示色を変更して表示し、前記構造図における所定部分の領域を判別可能に表示する表示調整部と、
前記人体の骨格及び筋肉の構造図または前記組織名称のいずれかもしくは両方について、前記学習者へ回答させるための質問を生成して前記表示部に表示する出題生成部と、
前記学習者からの前記質問に対する回答を前記操作部から受け付ける回答受付部と、
前記質問に対する前記回答と前記質問の正答を比較して正誤判定をする正誤判定部と、
前記質問、前記回答、及び前記正誤判定の結果を記憶する質問回答記憶部と、を備え、
前記出題生成部は回答毎の前記正誤判定の結果について機械学習を用いて回答の傾向を推定して質問を生成する
ことを特徴とする学習支援装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記人体の骨格及び筋肉の構造図の表示部分に前記組織名称を重ねて表示する請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、
人体の骨格及び筋肉の構造図と前記構造図に対応する人体の骨格及び筋肉の名称である組織名称とを同時に前記表示部に表示可能とし、前記表示部において一方の筋肉が付いている状態から他方の骨格だけまでの途中の段階に対応する筋肉の表示を、前記表示部の操作画面のアイコンを通じて直線上に前記アイコンを操作することにより、筋肉が多い表皮側から筋肉が少ない内部側まで、前記構造図における人体の筋肉を人体の表皮からの深さに応じて表示する、請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項4】
前記操作部における前記回答の受け付けは、前記表示部に表示される前記質問に対応する回答選択肢の選択、または前記表示部への文字入力である請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記操作部への前記組織名称の入力に基づいて当該入力された組織名称と対応する構造図を表示する請求項に記載の学習支援装置。
【請求項6】
前記操作部はマイク部を備え、
前記操作部における前記回答の受け付けは、前記マイク部への発音である請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記マイク部への前記組織名称の発音に基づいて当該発音された組織名称に対応する構造図を表示する請求項に記載の学習支援装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記構造図における人体の筋肉を、人体の表皮からの深さに応じて表示する請求項に記載の学習支援装置。
【請求項9】
人体の骨格及び筋肉の構造図の画像と人体の骨格及び筋肉の名称である組織名称を検索用語句として入力するための入力部位を表示する表示部と、学習者からの操作を受け付け前記構造図における人体の筋肉を人体の表皮からの深さに応じて筋肉が付いている状態から骨だけまでの途中の段階に対応する筋肉を表示させるための操作を行う操作部と、前記表示部及び前記操作部を制御する制御部を備える学習支援装置における学習支援方法であって、
前記制御部は、
人体の骨格及び筋肉の構造図と前記構造図に対応する組織名称とを同時に前記表示部に表示可能とする表示制御ステップと、
前記学習者の操作により前記人体の骨格及び筋肉の構造図及び前記組織名称の表示態様を調整し、人体の表皮側の表示から人体の内部側に至るまで順に筋肉を減らす段階的な筋肉の表示を前記表示部に表示し、前記人体の骨格及び筋肉の構造図の表示に際して前記入力部位に入力された組織名称が検索されて当該入力された組織名称と対応する前記構造図に含まれる所定部分の表示色を変更して表示し、前記構造図における所定部分の領域を判別可能に表示する表示調整ステップと、
前記人体の骨格及び筋肉の構造図または前記組織名称のいずれかもしくは両方について、前記学習者へ回答させるための質問を生成して前記表示部に表示する出題生成ステップと、
前記学習者からの前記質問に対する回答を前記操作部から受け付ける回答受付ステップと、
前記質問に対する前記回答と前記質問の正答を比較して正誤判定をする正誤判定ステップと、
前記質問、前記回答、及び前記正誤判定の結果を記憶する質問回答記憶ステップと、を実行し、
前記出題生成ステップは回答毎の前記正誤判定の結果について機械学習を用いて回答の傾向を推定して質問を生成する
ことを特徴とする学習支援装置。
【請求項10】
人体の骨格及び筋肉の構造図の画像と人体の骨格及び筋肉の名称である組織名称を検索用語句として入力するための入力部位を表示する表示部と、学習者からの操作を受け付け前記構造図における人体の筋肉を人体の表皮からの深さに応じて筋肉が付いている状態から骨だけまでの途中の段階に対応する筋肉を表示させるための操作を行う操作部と、前記表示部及び前記操作部を制御する制御部を備える学習支援装置における学習支援プログラムであって、
前記制御部に、
人体の骨格及び筋肉の構造図と前記構造図に対応する組織名称とを同時に前記表示部に表示可能とする表示制御機能と、
前記学習者の操作により前記人体の骨格及び筋肉の構造図及び前記組織名称の表示態様を調整し、人体の表皮側の表示から人体の内部側に至るまで順に筋肉を減らす段階的な筋肉の表示を前記表示部に表示し、前記人体の骨格及び筋肉の構造図の表示に際して前記入力部位に入力された組織名称が検索されて当該入力された組織名称と対応する前記構造図に含まれる所定部分の表示色を変更して表示し、前記構造図における所定部分の領域を判別可能に表示する表示調整機能と、
前記人体の骨格及び筋肉の構造図または前記組織名称のいずれかもしくは両方について、前記学習者へ回答させるための質問を生成して前記表示部に表示する出題生成機能と、
前記学習者からの前記質問に対する回答を前記操作部から受け付ける回答受付機能と、
前記質問に対する前記回答と前記質問の正答を比較して正誤判定をする正誤判定部機能と、
前記質問、前記回答、及び前記正誤判定の結果を記憶する質問回答記憶機能と、を実行させ、
前記出題生成機能に回答毎の前記正誤判定の結果について機械学習を用いて回答の傾向を推定して質問を生成させる
ことを特徴とする学習支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習支援装置、学習支援方法、及び学習支援プログラムに関し、特に人体の構造の学習を支援するための学習支援装置とその方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
学習者が各種の学習項目を習得する場合、従来の書籍に加えて電子機器の活用により、効率良く学習対象を理解し知識習得に役立てることが可能となっている(特許文献1、2、3、4等参照)。さらに、電子機器では、学習事項の表示に留まらず学習事項の習得確認のための出題とその回答も可能である。そのため、学習習得の効率化が高められる。また、電子機器の学習支援装置の場合、書籍と異なり表示される画像を通じて学習者の理解は向上される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-49529号公報
【文献】特表2011-504612号公報
【文献】特開2012-220777号公報
【文献】特許第5757018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、人体の組織、解剖学等を学習する場合、医学部学生等が対象となるため、学習内容及び範囲は極めて専門的であり複雑かつ広範な内容となる。従前の電子機器の学習支援装置の場合、人体の組織、解剖学の書籍の内容をほぼそのままデータ化した教材が一般的である。例えば、整体、理学療法等の学習者のように、学習対象、分野が限られる者であっても医学部学生等向けの教材を使用するため、一律に必要量以上の学習が必要となる。
【0005】
また、書籍の内容をデータ化した教材であるため、従前の電子機器の学習支援装置は必ずしも理解力向上に寄与する構成とは言えなかった。具体的には、図示される組織、器官とそれに対応する名称が示されてはいるものの、どの範囲を指し示しているのかについては学習者自身が類推するほか無かった。
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、専門的な内容について要点を簡素化して表示し、さらに、図示される画像の表示態様を学習者にとってわかりやすくして、学習効果を高めることのできる学習支援装置、学習支援方法、及び学習支援プログラムとその方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、実施形態は画像を表示する表示部と、学習者からの操作を受け付ける操作部と、表示部及び操作部を制御する制御部を備える学習支援装置であって、制御部は、人体の構造図と構造図に対応する組織名称とを同時に表示部に表示可能とする表示制御部と、学習者の操作により構造図及び組織名称の表示態様を調整して表示部に表示する表示調整部と、構造図または組織名称のいずれかもしくは両方について、学習者へ回答させるための質問を生成して表示部に表示する出題生成部と、学習者からの質問に対する回答を操作部から受け付ける回答受付部と、質問に対する回答と質問の正答を比較して正誤判定をする正誤判定部とを備えることを特徴とする。
【0008】
さらに、学習支援装置の表示制御部は、構造図の表示部分に組織名称を重ねて表示することとしてもよい。
【0009】
さらに、学習支援装置の表示調整部は、構造図の表示に際して構造図に含まれる所定部分の表示色を変更して表示し、構造図における所定部分の領域を判別可能に表示することとしてもよい。
【0010】
さらに、学習支援装置の制御部は、質問、回答、及び正誤判定の結果を記憶する質問回答記憶部を備え、正誤判定の結果に基づいて出題生成部は質問を生成することとしてもよい。
【0011】
さらに、学習支援装置の操作部における回答の受け付けは、表示部に表示される質問に対応する回答選択肢の選択、または表示部への文字入力であることとしてもよい。
【0012】
さらに、学習支援装置の表示制御部は、操作部への組織名称の入力に基づいて当該入力された組織名称と対応する構造図を表示することとしてもよい。
【0013】
さらに、学習支援装置の操作部はマイク部を備え、操作部における回答の受け付けは、マイク部への発音であることとしてもよい。
【0014】
さらに、学習支援装置の表示制御部は、マイク部への組織名称の発音に基づいて当該発音された組織名称に対応する構造図を表示することとしてもよい。
【0015】
さらに、学習支援装置において、構造図は人体の骨格及び筋肉の構造図であり、組織名称は人体の骨格及び筋肉の名称であることとしてもよい。
【0016】
さらに、学習支援装置の表示制御部は、構造図における人体の筋肉を、人体の表皮からの深さに応じて表示することとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の学習支援装置によると、画像を表示する表示部と、学習者からの操作を受け付ける操作部と、表示部及び操作部を制御する制御部を備えていて、制御部は、人体の構造図と構造図に対応する組織名称とを同時に表示部に表示可能とする表示制御部と、学習者の操作により構造図及び組織名称の表示態様を調整して表示部に表示する表示調整部と、構造図または組織名称のいずれかもしくは両方について、学習者へ回答させるための質問を生成して表示部に表示する出題生成部と、学習者からの質問に対する回答を操作部から受け付ける回答受付部と、質問に対する回答と質問の正答を比較して正誤判定をする正誤判定部とを備えるため、専門的な内容について要点を簡素化して表示し、さらに、図示される画像の表示態様を学習者にとってわかりやすくして、学習効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態の学習支援装置及び同装置の周辺の構成を示す概要図である。
図2】学習支援装置の構成を示すブロック図である。
図3】表示部に表示される人体の骨格の構造図及び組織名称の模式図である。
図4】表示部に表示される人体の骨格及び筋肉の構造図の模式図であり、(A)は第1模式図、(B)は第2模式図、(C)は第3模式図、(D)は第4模式図である。
図5】表示態様を調整して表示部に表示している模式図であり、(A)は正面斜視模式図、(B)は拡大右側面模式図、(C)は右側面模式図である。
図6】構造図における所定部分の領域を判別可能に表示部に表示している模式図であり、(A)は第1模式図、(B)は第2模式図である。
図7】構造図における人体の筋肉を人体の表皮からの深さに応じて表示するための操作画面である。
図8】構造図における人体の筋肉を人体の表皮からの深さに応じて表示している模式図であり、(A)は第1模式図、(B)は第2模式図、(C)は第3模式図、(D)は第4模式図である。
図9】表示部に表示される質問を説明する模式図であり、(A)は出題時の模式図、(B)は回答時の模式図である。
図10】質問に対する回答の入力を説明する他の態様の模式図である。
図11】表示部に表示される質問を説明するさらに他の模式図であり、(A)は出題時の模式図、(B)は回答時の模式図である。
図12】学習者の理解度の分析結果を示す表示の模式図である。
図13】起始及び停止の学習に用いる構造図の模式図である。
図14】起始及び停止の学習に用いる構造図の拡大模式図である。
図15】起始及び停止の学習に関し表示部に表示される質問の模式図である。
図16】実施形態の学習支援方法を説明する第1フローチャートである。
図17】実施形態の学習支援方法を説明する第2フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施形態の学習支援装置は、後述する電子機器を使用して学習者が学習対象を学習するための機器である。学習支援装置は、書籍では表現できないより多様な表現を駆使して学習者の理解力を高めるとともに、学習者に質問の出題と回答を繰り返して学習対象の習熟度の確認、向上までも可能とする装置である。実施形態の学習支援装置は、主に人体の骨格及び筋肉の組織の構造、形状、それらの動き、名称の習得を目的とする機器である。特には、人体解剖学の教科書、解説書ほど広範な内容ではなく、血管、リンパ管を除いて専ら人体の骨格及び筋肉に特化して習得量が軽減されている。
【0020】
そこで、学習支援装置は、医師、医学部生ほどの専門性は要求されないものの、所定の範囲においては正確な知識の要求される医療、介護、リハビリテーションの臨床に従事する理学療法士、介護士、整体師等の養成教育を想定する。むろん、医学部生等の初学者が使用することとしてもよい。そして、学習者は、これらの養成教育の課程を履修する者である。
【0021】
図1は実施形態の学習支援装置1の構成を示す模式図である。学習支援装置1は、学習者(ユーザ)U1の使用機器となるタブレット端末、スマートフォン、または学習者(ユーザ)U2の使用機器となるパーソナルコンピュータである。各学習者(ユーザ)の端末機器は、機器自体が独立したスタンドアロン方式としてもよく、また、図示のように、各学習者(ユーザ)の端末機器はネットワーク3に接続されてもよい。そして、実施形態ではサーバ9がネットワーク3に接続されている。サーバ9には、学習内容の更新のデータが蓄積され、随時配信されることに加え、各学習者の端末機器(学習支援装置1)における回答を集約して、各学習支援装置1を用いる学習者の学習の進捗を管理することも可能である。
【0022】
以降の実施形態の説明において、学習支援装置1がタブレット端末である態様を例に説明する。学習支援装置1は、画像を表示する表示部4を備える。表示部4は、学習者からの操作を受け付ける操作部5と兼用する構成である。そして、学習支援装置1は表示部4および操作部5を制御する制御部10を備える。また、学習支援装置1は操作部5としてマイク部6を備える。なお、学習支援装置1がパーソナルコンピュータ(PC)の場合、図1のように操作部5はキーボード7、マウス8である。
【0023】
図2は学習支援装置1の制御部10の構成を示すブロック図である。制御部10は表示部4(操作部5と兼用)、マイク部6からの信号受信、演算実行、記憶等の等の各種の動作制御に必要なマイクロコンピュータ等のハードウェアからなり、CPU11、ROM12、RAM13、記憶部14、I/O15(インプット/アウトプットインターフェイス)等を実装する。
【0024】
制御部10(コンピュータ)の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、制御部10は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行することで実現される。このプログラムを格納する記録媒体は、「一時的でない有形の媒体」、例えば、CD、DVD、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、このプログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(図1のネットワーク3、その他の通信ネットワーク、放送波等)を介して学習支援装置1の制御部10に供給されてもよい。
【0025】
制御部10(コンピュータ)の記憶部14は、HDDまたはSSD等の公知の記憶装置である。記憶部14は外部のサーバ9(図1参照)としても良い。記憶部14は、各種のデータ、情報、質問、回答、正誤判定、学習支援プログラム、同プログラムの実行に必要な各種のデータ等を記憶する。また、各種の算出、演算等の演算実行する各機能部はCPU11等の演算素子である。表示部4(ディスプレイ等の表示装置)、マイク部6等はI/O15に接続される。なお、学習支援装置1がパーソナルコンピュータ(PC)の場合、操作部となるキーボード7、マウス8はI/O15に接続される(図示せず)。
【0026】
制御部10のCPU11における各機能部は、図2のブロック図のとおり示される。各機能部は、表示制御部110、表示調整部120、出題生成部130、回答受付部140、正誤判定部150、質問回答記憶部160等を備える。制御部10のCPU11の動作、実行は、ソフトウェア的に、メインメモリにロードされた学習支援プログラム等により実現される。
【0027】
表示制御部110は、人体の構造図と、当該構造図に対応する組織名称とを同時に表示部4に表示可能に制御する。
【0028】
図3の模式図は、学習支援装置1の表示部4における人体の構造図500の表示例であり、人体の右肩及び上腕の骨格を示す。表示制御部110は、構造図500が表示されている部分に組織名称(骨格名)が重ねられ、組織名称が対応する箇所に重畳して表示する。併せて、組織名称と併せて読み仮名(振り仮名)が振られるようにしてもよい。図3では図示していないものの、筋肉の場合も同様に、構造図が表示されている部分に組織名称(筋肉名)が重ねられ、組織名称が対応する箇所に重畳して表示される。併せて、組織名称と併せて読み仮名(振り仮名)が振られるようにしてもよい。
【0029】
図3の例では、人体の右肩及び上腕の骨格の構造図500が示され、当該骨格の位置に骨の名称である上腕頭骨(じょうわんとうこつ)等の組織名称が表示され、さらに細部の組織名称も表示される。同様に、当該骨格の位置に骨の名称である上腕骨(上腕骨)等の組織名称が表示され、さらに細部の組織名称も表示される。図3では、骨格の組織名称510として大結節、小結節、結節間溝、上腕頭骨、関節上結節、肩甲骨関節窩の骨格の組織名称が骨格の位置(構造図の表示部分)に重ねて表示されている。むろん、図3の組織名称の表示は例示であり、組織名称の表示量は学習内容等に応じて加減可能である。
【0030】
表示調整部120は、学習者の操作により構造図及び組織名称の表示態様を調整して学習支援装置1の表示部4に表示する。図4の表示例の構造図500では、人体の骨格とともに骨格に結合している筋肉が表示されている。
【0031】
学習者は、表示部4に表示されている構造図及び組織名称について表示されている画像について見やすいように自在に見る角度を変化させて、細部を詳しく見ることができる。表示態様の調整としては、操作部5自体が表示部4と兼用されているため、表示部4に表示される操作用のアイコン(図示せず)等を通じて表示態様は適宜調整されてもよい。また、タブレット端末、スマートフォン等の場合、直接画面に触れて回転、拡大縮小が行われるようにしてもよい。始めに、図4(A)の背面模式図では、人体の背中側の全体の骨格とともに、同骨格と結合している2種類の筋肉が表示されている。図示では、三角筋及び広背筋に焦点を当てた表示である。こうして、まず背中側の全体の骨格の構成と、学習対象の筋肉を抽出して骨格の広域において把握することができる。
【0032】
続いて図4(B)の背面斜視模式図では、右肩を手前に向けることにより、学習対象の三角筋及び広背筋の斜視における位置が分かりやすく表示されている。図4(C)の拡大背面模式図では、拡大表示されることにより筋肉と骨格との結合部位、筋肉、骨格の詳細な構造の把握が可能となる。図4(D)の右腕側面模式図では、側面の腕部及び胸部の骨格と筋肉の構造の把握が可能となる。
【0033】
加えて、図5の模式図も学習支援装置1の表示部4における表示例である。図5(A)の正面斜視模式図では主に胸部の骨格として胸骨、肋骨等が示される。図中の組織名称の表示は不鮮明であり便宜上である。図5(B)の拡大右側面模式図では、さらに腕部の骨格が強調されている。図5(A)及び(B)に共通して、各部の骨(構造図)に骨の名称(組織名称)が重ねて表示される。図5(C)の右側面模式図では、図5(B)の拡大表示が解除され上半身の骨格が表示される。また、表示の向きが正面から側面へ旋回可能である。つまり、学習支援装置1は、学習者からの入力に応じて、骨格、筋肉の構造図を回転させて、所望の向きから骨格、筋肉を表示することが可能である
【0034】
図5の表示部4の左側画面には、タッチ式の表示選択の操作ボタン400が備えられている。図5(A)ないし(C)に共通して、上から順に「骨格表示」、「筋肉表示」、「回転表示」、「前に戻る表示」の4種類に対応する図形(アイコン、指示ボタン)である。表示調整部120は、学習者の操作により構造図及び組織名称の表示態様を調整して学習支援装置1の表示部4に表示する。学習者(ユーザ)は表示選択のボタン操作により、図5(A)、(B)、(C)のそれぞれへの表示の切り替えが可能である。また、図5(C)では、表示部4の下方に表示角度、方向等を選択するための操作ボタン400が複数備えられている。
【0035】
図5(A)と(B)の表示部4では、両図の右上部分に、操作部としての検索用語句の入力部位410が表示されている。学習者(ユーザ)は入力部位410に、所望の組織名称を入力(文字入力等)すると、表示調整部120は当該入力された組織名称に対応する構造図を表示部4に表示する。そこで、図5(A)、(B)、(C)のとおり組織名称に対応した構造図(図示では骨格)が表示される。すなわち、表示部4(操作部5と兼用)の入力部位410への組織名称の入力に基づいて当該入力された組織名称と対応する構造図が表示される。
【0036】
図6は構造図における所定部分の領域を判別可能に表示部に表示している模式図である。図6(A)は主に右肩部分の正面斜視の模式図である。例えば、前出の図5(A)と(B)の表示部4の入力部位410から所望の組織名称を入力すると、前出の図4または図5の全体の構造図、組織名称が表示されることに加え、図6(A)のように、表示調整部120を通じて、学習者の操作により構造図500の表示に際して同構造図500に含まれる所定部分の表示色が変更して変更表示部位501として表示される。結果、構造図500における所定部分の領域(変更表示部位501)は他の領域と比較して一目で判別可能に表示される。図6(A)の変更表示部位501は上腕頭骨の領域表示である。
【0037】
図6(B)は、表示部4にさらに操作ボタン400と入力部位410が表示されている模式図である。同図では、具体的に操作ボタン400(表示部4における操作部5)の組織名称の入力の操作に基づいて、入力された組織名称と対応する構造図が表示される。そして、入力部位410と連動する検索機能により入力された組織名称と対応する構造図が表示される。例えば、入力部位410に「上腕骨」が入力される。すると、図示では、上腕骨に相当する構造図中の骨格の色が変化、点滅して、構造図における検索したい組織名称とともに他の領域と比較して一目で判別可能に表示される。
【0038】
なお、入力部位410への文字入力に代えて、学習者(ユーザ)はマイク部6(図1参照)に検索したい組織名称を話しかける(音声入力する)ことができる。そこで、マイク部6への組織名称の発音に基づく音声認識により、当該発音された組織名称に対応する構造図(骨格、筋肉)が表示部4に表示される。学習者(ユーザ)から発音によっても組織名称に対応する構造図の検索、表示が可能であり、利便性が良くなる。
【0039】
人体の構造図において、筋肉の場合、体表面(皮膚)から身体の内部へと深部になるに伴い、異なる種類の筋肉が複数重なる。そのため、筋肉の理解に際しては、組織名称とともに、人体における深さを考慮した配置、構造等を理解する必要がある。しかしながら、初学者の場合、筋肉について立体的に理解することが困難であることが多い。そこで、実施形態の学習支援装置1は、筋肉の名称に加えて配置、積層を容易に理解できるように段階的な筋肉の表示を可能としている。
【0040】
図7は、構造図における人体の筋肉を人体の表皮からの深さに応じて表示するための操作画面の例となる。一方の端の「筋肉が付いている状態」から他方の端の「骨だけ」までの途中の段階に対応する筋肉の表示が可能としている。具体的には、図中の丸い図形(アイコン、指示ボタン)を直線上にて動かすことにより、筋肉が多い(表皮側)表示から筋肉が少ない(内部側、骨に近い側)まで、自在に表示態様が制御される。
【0041】
図8は筋肉の増減を示している構造図の模式図である。図8(A)、(B)、(C)の順に、人体の表皮側の表示から人体の内部側(骨に近い側)に至るまで、順に筋肉が減らされて表示される。なお、図8(A)、(B)、(C)を逆順にして筋肉が徐々に重なる様子も表示可能である。図示の筋肉の表示から理解されるように、筋肉自体の組織名称に加えて、人体における表皮から骨格に至るまでの深さ応じての筋肉の形状、配置、骨格との関係(筋肉の付き方)が学習可能となる。図示では、明確ではないものの、各筋肉には対応する組織名称(筋肉名)も重ねて表示されている。また、図8(D)のように、人体の構造図の向きを自在に変化させて表示上の死角を無くすことができる。
【0042】
続いて、出題生成部130は、構造図または組織名称のいずれかもしくは両方について、学習者へ回答させるための質問を生成して表示部4に表示する。回答受付部140は、学習者からの質問に対する回答を操作部5(表示部4)から受け付ける。
【0043】
正誤判定部150は、質問に対する回答と質問の正答を比較して正誤判定をする。また、制御部10には質問回答記憶部160が備えられ、質問回答記憶部160は、質問、回答、及び正誤判定の結果を記憶する。そして、出題生成部130は正誤判定の結果に基づいて質問を生成する。これより、図9ないし図11の模式図を用い、表示部4への表示態様を説明する。
【0044】
図9(A)の模式図では操作部5(表示部4)に構造図または組織名称のいずれかもしくは両方について、学習者へ回答させるための質問425が表示されている。また、学習者からの質問に対する回答を受け付けるための回答選択肢420が操作部5(表示部4)に表示されている。図示では、回答選択肢420は4個示されている。
【0045】
図9(B)の模式図では、学習者(ユーザ)による回答の段階である。図示では、学習者(ユーザ)は指Fで操作部5(表示部4)に表示されている回答選択肢420に触れる(タッチする)と、選ばれた回答選択肢420の表示色が変化して、当該回答選択肢420が選択され回答として受け付けられたことが示される。このようにして、学習者へ回答させるための複数の質問と、それらの質問に対する回答の選択を繰り返すことにより、学習者(ユーザ)の習熟度は高められる。
【0046】
質問に対する回答の仕方は、図9の選択枝の形式に加えて筆記とすることも可能である。図10の模式図では、操作部5(表示部4)に、構造図または組織名称のいずれかもしくは両方についての学習者へ回答させるための質問425、回答形式の選択ボタン431、筆記回答欄433が表示される。
【0047】
図10の例では、学習者(ユーザ)は質問425に対し筆記による回答としているため、回答形式の選択ボタン431より「筆記」が選択されている。そして、質問425への回答として、操作部5(表示部4)に表示されている筆記回答欄433中に指先、またはタッチペン等により筆記している。
【0048】
加えて、回答形式の選択ボタン431より「音声」が選択される場合、学習者(ユーザ)は質問425に対する回答をマイク部6(図1参照)に発音する(音声入力、話しかける)ことができる。この場合、回答を受け付けるための操作部はマイク部6となる。
【0049】
さらに図11(A)の模式図のとおり、人体の構造図(骨格の例)と文章からなる質問425が操作部5(表示部4)に表示される。そして、4個の回答選択肢420が表示される。このように、出題の仕方、出題の作り方は、一般的な書籍の学習のように、文字だけ、または図だけにとらわれず、画像(動画)を踏まえ、理解し安さと学習効果の向上の両面を考慮した出題、回答が可能となっている。
【0050】
次に、実際に学習者(ユーザ)から選択肢または筆記、さらには音声による回答が受け付けられた後、正誤判定部150により、質問と受け付けられた回答とが比較され正誤判定が行われる。単に回答したままではなく、回答の直後に、回答の正誤判定が可能となっている。
【0051】
実施形態では、図11(B)のように、学習者(ユーザ)の選択した回答選択肢420が正解であるならば、「○」(まる)が表示され。回答の正誤が判明する。また、誤答であれば「×」(不正解)の表示(図示せず)は表示される。むろん、学習支援装置1(タブレット端末)のスピーカ(図示せず)から、「正解」または「不正解」の音声を発する構成とすることができる。
【0052】
図12は学習者(ユーザ)の理解度の分析結果を示す表示の模式図である。図示の例では、紙面左側に項目毎に回答の正誤(正解率)を示すレーダーチャートが表示され、紙面右側に項目毎の評価が表示される。各分野の質問と回答を繰り返すことにより、学習者(ユーザ)は、学習対象(骨格、筋肉、それらの動作、機能等)に関する自己の理解度、さらには、苦手分野を客観的に把握することができる。
【0053】
図13ないし図15の模式図は、骨格筋の起始と停止の学習に供する画像例である。ここで、起始(骨格筋の起始)とは、骨格筋の端が骨に接続していて体の中心に近い方(近位)をいう。そして、停止(骨格筋の停止)とは、骨格筋の端が骨に接続していて体の中心から遠い方(遠位)をいう。このように、骨格筋を学習するにあたり、人体における骨格との位置、配置、体表面からの深さ、つながり方等を網羅的に理解する必要がある。特に、骨格筋の起始と停止は立体的かつ複雑であるため、書籍のみによる理解は容易ではない。そこで、学習者(ユーザ)は、実施形態の学習支援装置1の表示部4に表示される構造図500を見ながら、操作部5(表示部4にて兼用)を通じて構造図500を動かして、動きのある画像を通じて理解を深めることができる。
【0054】
具体的には、学習者(ユーザ)は図13及び図14の模式図に示される操作ボタン400(表示部4における操作部5)を選択して、骨格と筋肉との分解、拡大及び縮小、回転、繰り返し等の操作が可能となる。図13の構造図500は、主に胸部の筋肉を中心とする骨格筋の起始と停止を示す画像例であり、骨格表示515に関係する筋肉表示516が加えられて表示される。併せて、表示部4の右方には解説欄520が表示され、現在学習するべき内容、起始と停止に関する骨格の名称、機能等が順に解説欄520に表示される。
【0055】
図14の模式図は図13の大胸筋及び上腕部付近の拡大図の例である。解説欄520には機能の続きが表示されている。図14の模式図のように拡大図とすることにより、細分化した筋肉の形状、骨格との結合状態の確認、理解が深化する。
【0056】
図15の模式図は、図13及び図14等の骨格筋に関する起始と停止の学習を終えた後、学習者(ユーザ)へ出題される質問425である。操作部5(表示部4)の左側に4枚の選択肢となる画像図が表示され、同操作部5(表示部4)の下側に4箇所の回答選択肢420が表示される。こうして、図示と文言(用語)との一致の理解が試され、結果的に効率よく学習が進められる。むろん、図13ないし図15の模式図は一例に過ぎず、図示以外の骨格及び筋肉の人体の部位の表示態様は当然に存在する。図15の模式図の選択式の出題に加えて、前述のように、筆記、さらには音声による回答としてもよい(図示せず)。
【0057】
実施形態の学習支援装置1にあっては、質問とその回答を受け付けて学習を補助するに留まらず、質問回答記憶部160を通じて質問とその回答、そして正誤判定の結果を記憶することができる。そこで、回答毎の正誤判定の結果に基づいて、出題生成部130は正答率の低い分野についての質問を重点的に生成して出題する。学習支援装置1は、いわゆるアダプティブラーニングの手法を取り入れている。学習者(ユーザ)毎に、得意・不得意の分野、項目にはばらつきが生じる。そこで、個別の学習者(ユーザ)に対応させるためには、学習者(ユーザ)毎に繰り返して出題する質問を異ならせる必要があるためである。こうすると、学習者(ユーザ)の個性、特性に応じつつも、所定期間で一定水準の学習内容を得ることができる。
【0058】
さらに加えると、質問回答記憶部160において、質問とその回答、そして正誤判定の結果について機械学習が用いられ、個別の学習者(ユーザ)の回答の傾向、不得意(苦手)な分野、項目の推定が行われるようにすることもできる。例えば、或る学習者(ユーザ)について、筋肉の名称の質問についての回答の正答率は高いものの、筋肉の動作の質問についての回答の正答率が低い結果が得られたとする。この場合、当該学習者(ユーザ)については、組織名称の理解は得意ではあるものの、筋肉の動作の理解は不得意である。すると、おそらく骨格の動作についても不得意であると推定可能である。そこで、通常の質問の設定から、筋肉、骨格の動作に関する質問の出題が増やされる。
【0059】
例えば、質問に対する得意分野の正答率と苦手分野の正答率(得意分野との相対比較)による推定に際し、サポートベクター(Support Vector Machine:SVM)、モデルツリー、決定ツリー、ニューラルネットワーク、多重線形回帰、局部的重み付け回帰、確立サーチ方法等の機械学習の手法が用いられる。むろん、解析手法は列記に限られず適宜である。
【0060】
これより、図16図17のフローチャートを用い、実施形態の学習支援装置1における学習支援方法と学習支援プログラムをともに説明する。学習支援方法は、学習支援プログラムに基づいて、制御部10のCPU11により実行される。学習支援プログラムは、図1の制御部10(いわゆるコンピュータ)に対して、表示制御機能、表示調整機能、出題生成機能、回答受付機能、正誤判定機能等の各種機能を実行させる。さらには、学習支援プログラムは、図1の制御部10(いわゆるコンピュータ)に対して、表示制御機能、表示調整機能、出題生成機能、回答受付機能、正誤判定機能、質問回答記憶機能等の各種機能を実行させる。なお、各機能は前述の学習支援装置1の説明と重複するため、詳細は省略する。むろん、各機能については、単独で作動させることが可能である。例えば、質問とその回答を省略して、単に人体の構造図を閲覧するような場合も許容される。
【0061】
図16のフローチャートより、制御部10の処理は、表示制御ステップ(S110)、表示調整ステップ(S120)、出題生成ステップ(S130)、回答受付ステップ(S140)、正誤判定ステップ(S150)の各種ステップを備える。むろん、制御部10自体の可動に必要な各種ステップは当然に含まれる。
【0062】
表示制御機能は、人体の構造図と構造図に対応する組織名称とを同時に表示部4に表示可能とする(S110;表示制御ステップ)。表示調整機能は、学習者の操作により、構造図及び前組織名称の表示態様を調整して表示部4に表示する(S120;表示調整ステップ)。出題生成機能は、構造図または組織名称のいずれかもしくは両方について、学習者へ回答させるための質問を生成して表示部4に表示する(S130;出題生成ステップ)。回答受付機能は、学習者からの質問に対する回答を操作部5から受け付ける(S140;回答受付ステップ)。正誤判定機能は、質問に対する回答と質問の正答を比較して正誤判定をする(S150;正誤判定ステップ)。列記の各機能は、制御部10のCPU11により実行される。また、正誤判定機能には、前出の図11(B)のような正解の表示、または不正解の表示、正答の表示、正答の音声による発音等の正誤の判定の結果を表示(報知)するための表示(報知)のステップも含められる。
【0063】
図17のフローチャートにおける制御部10の処理では、表示制御ステップ(S110)、表示調整ステップ(S120)、出題生成ステップ(S130)、回答受付ステップ(S140)、正誤判定ステップ(S150)の各種ステップは共通であり、質問回答記ステップ(S160)がさらに含まれる。質問回答記機能は、質問、回答、及び正誤判定の結果を記憶する(S160;質問回答記ステップ)。質問回答記機能も制御部10のCPU11により実行される。
【0064】
上述した本発明のコンピュータプログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。
【0065】
なお、上記コンピュータプログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。
【符号の説明】
【0066】
1 学習支援装置
3 ネットワーク
4 表示部
5 操作部
6 マイク部
9 サーバ
10 制御部
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 記憶部
15 I/O
110 表示制御部
120 表示調整部
130 出題生成部
140 回答受付部
150 正誤判定部
160 質問回答記憶部
400 操作ボタン
410 入力部位
420 回答選択肢
425 質問
431 選択ボタン
433 筆記回答欄
500 構造図
501 変更表示部位
510 組織名称
515 骨格表示
516 筋肉表示
520 解説欄
U1,U2 学習者(ユーザ)
F 学習者(ユーザ)の指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17