(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】カーテンフック
(51)【国際特許分類】
A47H 13/04 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
A47H13/04
(21)【出願番号】P 2024042485
(22)【出願日】2024-03-18
【審査請求日】2024-03-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500122570
【氏名又は名称】進弘産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】524104273
【氏名又は名称】株式会社セントレ
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠宣
(72)【発明者】
【氏名】嶋 直己
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-142308(JP,A)
【文献】特開平1-242010(JP,A)
【文献】実開昭63-064287(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0322983(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0132987(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 1/00-23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンの上端タック部に対し上向き挿入可能な挿入杆と、前記挿入杆の下端部に連続し前記挿入杆と並行して上向きに延びた主杆と、前記主杆の長手方向に多段で形成されたラック状の歯部と、当該歯部にラチェット式に係合する爪部を下部に有し上部にはカーテンレールのランナーの吊り輪に係合するフック部を有するフック体と、を有するカーテンフックにおいて、
前記ラック状の歯部を前記主杆の長手方向に複数列で形成すると共に、前記歯部のピッチ間隔を前記複数列間で上下方向に互いにずらしたことを特徴とするカーテンフック。
【請求項2】
前記歯部のピッチ間隔が前記複数列間で上下方向に半ピッチ間隔ずれていることを特徴とする請求項1のカーテンフック。
【請求項3】
前記歯部のピッチ間隔が5mmであり、前記複数列間の半ピッチ間隔のずれが2.5mmであることを特徴とする請求項2のカーテンフック。
【請求項4】
前記主杆の長手方向の第1面と第2面に、前記歯部を構成する第1の歯部と第2の歯部がそれぞれ形成され、前記第1の歯部と前記第2の歯部のピッチ間隔が半ピッチ間隔ずれていることを特徴とする請求項1のカーテンフック。
【請求項5】
前記主杆の第1面が前記主杆の左右両側面に形成され、前記第2面が前記主杆の前面に形成されていることを特徴とする請求項4のカーテンフック。
【請求項6】
高分子樹脂製であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項のカーテンフック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカーテンフックに関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンをカーテンレールに取付けるためにカーテンフックが使用される。カーテンフックの簡単で安価なものは針金製であり、これは1本の針金を屈曲して挿入杆、主杆及びフック部を一体形成したものである。針金製のカーテンフックはフック部の高さ調整ができないので、カーテンの取付け位置(高さ)によって複数種のカーテンフックが必要になる。
【0003】
一方、例えば特許文献1、2のカーテンフックのようにフック高さが調整可能なものも広く使用されている(
図6、
図7参照)。この種のカーテンフックは高分子樹脂製が一般的であり、主杆21と挿入杆22が高分子樹脂でU字状に鋳込み成形され、またフック体23(アジャスターフック)も同様に高分子樹脂で鋳込み成形されている。
【0004】
挿入杆22は
図7のようにカーテンCの上端タック部に対して上向きに挿入される。主杆21の長手方向にはラック状の歯部21aが多段に形成されている。この歯部21aに、フック体23の爪部23bがラチェット式に係合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のカーテンフック20の歯部21aは5mmピッチ間隔で形成されたものが殆どである。5mmピッチ間隔よりも短くすると、カーテンCの重量で歯部21aが弾性変形して強度的にもたないためである。
【0007】
このため、従来のカーテンフック20ではカーテンの高さ調整が5mm単位に限定され(
図6参照)、カーテンCの上端位置と下端位置を5mm未満で細かく調整することができなかった。したがって、冬場にカーテンCの下端から冷気が入ったり、遮光カーテンの場合は上端又は下端から光が漏れたりすることがあった。
【0008】
そこで本発明の課題は、歯部の強度を維持しつつ、フック体の高さ調整を従来のピッチ間隔よりも低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のカーテンフックは前記課題を解決するために、カーテンの上端タック部に対し上向き挿入可能な挿入杆と、前記挿入杆の下端部に連続し前記挿入杆と並行して上向きに延びた主杆と、前記主杆の長手方向に多段で形成されたラック状の歯部と、当該歯部にラチェット式に係合する爪部を下部に有し上部にはカーテンレールのランナーの吊り輪に係合するフック部を有するフック体と、を有するカーテンフックにおいて、前記ラック状の歯部を前記主杆の長手方向に複数列で形成すると共に、前記歯部のピッチ間隔を前記複数列間で上下方向に互いにずらしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のカーテンフックによれば、歯部の強度を維持しつつ、フック体の高さ調整を従来のピッチ間隔よりも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本発明の実施形態に係るカーテンフックの斜視図である。
【
図1B】本発明の実施形態に係るカーテンフックの斜視図である。
【
図1C】本発明の実施形態に係るカーテンフックの側面図である。
【
図3A】カーテンフックの本体部分の斜視図である。
【
図3B】カーテンフックの本体部分の斜視図である。
【
図3C】カーテンフックの本体部分の部分拡大図である。
【
図5】アジャスターフックの高さ位置を(a)~(c)と段階的に下げた状態を示す斜視図である。
【
図7】従来のカーテンフックでカーテンをカーテンレールに取付けた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のカーテンフックの実施形態を図面を参照して説明する。
図1A-
図1Cはカーテンフック10を異なる方向から見た斜視図である。また、
図2Aは
図1Cの2A-2A矢視平面図、
図2Bは2B-2B矢視底面図である。
【0013】
●主杆と挿入杆
カーテンフック10は、高分子樹脂により鋳込み成形された主杆11と挿入杆12から成る本体部分(
図1A-
図1Cの白地部分)を有する。主杆11と挿入杆12は下部のU字状連結部14で相互連結されて一体化されている。
【0014】
挿入杆12の上端部12aは外側に円弧状に屈曲され、カーテンの上端タック部の入口に対して上向きに挿入しやすくされている。主杆11は挿入杆12と並行して上向きに延び、主杆11と挿入杆12の上端部はほぼ同じ高さである。
【0015】
●主杆の歯部
主杆11の水平断面はほぼ矩形状であり、主杆の長手方向に第1面と第2面が形成されている。すなわち、「第1面」は
図1A、
図1Bで左右両側面であり、
図1Cでは図の手前側と後ろ側の前後一対の側面である。この第1面に第1の歯部11aが形成されている。
【0016】
また、第2面は
図1A、
図1Bで手前側の側面(前面)であり、この第2面に第2の歯部11bが形成されている。第1の歯部11aと第2の歯部11bは、下方に向かって次第に厚肉となる傾斜面で構成されている。
【0017】
第1の歯部11aと第2の歯部11bは、主杆11の長手方向に多段にラック状に形成されている。第1の歯部11aと第2の歯部11bに、フック体であるアジャスターフック13の爪部13b、13cがラチェット式に係合するように構成されている。
【0018】
すなわち、アジャスターフック13は主杆11の上端部から下端部に向けて移動させるときに爪部13b、13cが弾性変形して第1の歯部11aと第2の歯部11bを乗り越えることができる。これに対して、アジャスターフック13を主杆11に沿って上方に移動させようとしても、アジャスターフック13の爪部13b、13cが主杆11の第1の歯部11a又は第2の歯部11bに係合するので移動させることはできない。
【0019】
第1の歯部11aと第2の歯部11bの横幅H1、H2の比は1/2であり(
図1A、
図1C参照)、第2の歯部11bの横幅H2が第1の歯部11aの横幅H1の2倍ある。これは、第1の歯部11aが2列で形成されているのに対し、第2の歯部11bが1列で形成されているためである。すなわち、カーテンの重量が第1の歯部11aと第2の歯部11bに対して、同程度の大きさで作用するようにしている。
【0020】
主杆11の第1の歯部11aが形成されている第1面に、主杆11の長手方向に延びるガイド溝11cが形成されている。このガイド溝11cに、アジャスターフック13の板状凸部13dが摺動自在に嵌合するように構成されている。
【0021】
●アジャスターフック
アジャスターフック13は、
図4A-4Cに示すように逆U字状に形成され、その先端部13eがカーテンレールのランナーの吊り環に挿入される。アジャスターフック13の先端部13eは、ランナーの吊り環に挿入しやすいように若干外方に屈曲されているとともに、先端になるにしたがって径小に形成されている。
【0022】
アジャスターフック13は、下端部に箱形フレーム状の基端部13aを有する。この基端部13aは平面視でコ字状に形成され、主杆11の上端部から装着される。この装着のとき、基端部13aの板状凸部13dが主杆11のガイド溝11cに摺動自在に嵌合される。
【0023】
基端部13aの内側空間に向けて、上向きの爪部13b、13cが突設されている。すなわち、1つの爪部13cが左右一対の爪部13bの間に向けて延びている。
【0024】
左右の爪部13bは、主杆11の第1の歯部11aにラチェット式に係合するように構成されている。また、手前側の爪部13cは、主杆11の第2の歯部11bにラチェット式に係合するように構成されている。
【0025】
●歯部のピッチ間隔
第1の歯部11aと第2の歯部11bは、
図3A-
図3Cに示すように、ピッチ間隔P1、P2で上下方向に等間隔に形成されている。第1の歯部11aのピッチ間隔P1と、第2の歯部11bのピッチ間隔P2は、同じである。但し、ピッチ間隔P1とピッチ間隔P2は、互いに半ピッチずれて形成されている。
【0026】
すなわち、第1の歯部11aのピッチ間隔P1の上下方向中央部に、第2の歯部11bが位置している。このため、アジャスターフック13を主杆11の上端部から下端部に移動させていくと、アジャスターフック13の爪部13b、13cが第1の歯部11aと第2の歯部11bに交互に乗り上げる。
【0027】
本実施形態ではピッチ間隔P1、P2を従来のカーテンフックと同様に5mmに設定している。しかし、ピッチ間隔P1、P2を上下方向に半ピッチずらしているので、
図5(a)(b)(c)に示すように、アジャスターフック13の高さ位置を2.5mm単位で調節することが可能である。したがって、冬場にカーテンの下端から冷気が入ったり、遮光カーテンの場合は上端又は下端から光が漏れたりするのを防止することができる。
【0028】
また、カーテンの高さを2.5mm単位で細かく調節することができるので、例えばカーテンをA吊りして閉じた場合に、カーテンレールの見え方を水平方向で一定化することができる。また、カーテンを
図7のようにB吊りして閉じた場合に、カーテン上端部を水平方向に一直線にしてカーテンレール30を確実に隠すことができる。このように、本実施形態のカーテンフックによれば、室内側から見たカーテンの体裁を向上することができる。
【0029】
●まとめ
以上、本発明の実施形態について説明したが、前記実施形態は本発明の典型的なものを例示したものであって、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱することなく種々の変形が可能である。例えば、前記実施形態では第1の歯部11aを主杆11の長手方向に2列で形成し、第2の歯部11bを1列で形成したが、両方の歯部11a、11bを2列で構成することも可能である。すなわち、前記実施形態で第2の歯部11bを幅方向で二分割して2列に構成することも可能である。この場合、2列の第2の歯部11bの中間に補強用のリブを主杆11の長手方向に直線状に形成することができる。
【0030】
また、両方の歯部11a、11bの横幅H1、H2を十分に確保することにより、第1の歯部11aと第2の歯部11bをどちらも1列で構成することも可能である。この場合、1列の歯部11a、11bを主杆11の左右両側面に対向状に形成したり、或いは両方の歯部11a、11bを主杆11の前面に並列状に形成したりすることができる。
【0031】
また、前記実施形態では第1の歯部11aと第2の歯部11bを5mmピッチ間隔で形成したが、カーテンフック10の材料である高分子樹脂の強度を従来よりも強化することができれば、当該ピッチ間隔を5mm未満に縮小することも可能である。或いは、第1の歯部11aと第2の歯部11bの複列数を増加することで荷重分散を図ることにより、前記ピッチ間隔を5mm未満に縮小することも可能である。
【0032】
さらに、主杆11の長手方向に3列で歯部を形成して各列の歯部のピッチ間隔を互いに三分の一ずつずらしたり、4列で歯部を形成して各列の歯部のピッチ間隔を互いに四分の一ずつずらしたりすることも可能である。こうすることで、フック体の高さ調整をより細かく行うことができる。
【符号の説明】
【0033】
10:カーテンフック 11:主杆
11a:第1の歯部 11b:第2の歯部
11c:ガイド溝 12:挿入杆
12a:上端部 13:アジャスターフック(フック体)
13a:基端部 13b、13c:爪部
13d:板状凸部 13e:フック部
14:連結部 H1、H2:歯部の横幅
P1、P2:歯部のピッチ間隔
【要約】
【課題】歯部の強度を維持しつつ、フック体の高さ調整を従来のピッチ間隔よりも低減する。
【解決手段】本発明のカーテンフック10は、カーテンの上端タック部に対し上向き挿入可能な挿入杆12と、挿入杆12の下端部に連続し挿入杆12と並行して上向きに延びた主杆11と、主杆11の長手方向に多段で形成されたラック状の歯部11a、11bと、当該歯部にラチェット式に係合する爪部13b、13cを下部に有し上部にはカーテンレールのランナーの吊り輪に係合するフック部13eを有するフック体(アジャスターフック13)と、を有するカーテンフックにおいて、ラック状の歯部11a、11bを主杆11の長手方向に複数列で形成すると共に、歯部11a、11bのピッチ間隔を複数列間で上下方向に互いにずらしたことを特徴とする。
【選択図】
図3C