(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】咳嗽検出装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20240528BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
A61B5/08
A61B5/11 100
A61B5/11 200
A61B5/11 310
(21)【出願番号】P 2020122053
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】西村 善博
(72)【発明者】
【氏名】永野 達也
(72)【発明者】
【氏名】和泉 慎太郎
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-514448(JP,A)
【文献】特表2020-511206(JP,A)
【文献】特開2007-125360(JP,A)
【文献】特開2010-194130(JP,A)
【文献】村田 朗, 工藤 翔二,ワイヤレス加速度センサを用いた新しい咳嗽モニタリングシステムの開発,薬理と臨床,2007年09月25日,第17巻第5号(通巻138号),p.11(467)-18(474)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の体表面の所定時間における3次元方向の振動を示す体動データを取得する体動データ取得部と、
前記対象者の首の周囲径の前記所定時間における変動を計測する変動センサと、
機械学習済の識別器であって、前記体動データ
と、前記変動センサにより計測された前記変動とを用いて、前記所定時間内に、咳をしている状態が含まれるか否かを識別する識別器と、を備える、
咳嗽検出装置。
【請求項2】
前記体動データ取得部は、前記対象者に取り付けられ、3次元方向の加速度を計測する加速度計測器から、前記加速度計測器が前記対象者に取り付けられた位置における前記体動データを取得する、
請求項1に記載の咳嗽検出装置。
【請求項3】
前記加速度計測器は、前記対象者の鳩尾近傍に取り付けられる、
請求項2に記載の咳嗽検出装置。
【請求項4】
前記変動センサは、自身が伸縮することで、測定対象曲面の伸び縮みを計測する伸縮センサであり、
前記伸縮センサは、前記対象者の首部に取り付けられ、前記対象者の首の周囲径の伸び縮みを計測することで、前記変動を計測する、
請求項
1~3のいずれか1項に記載の咳嗽検出装置。
【請求項5】
前記識別器は、
畳み込みニューラルネットワークで構成されたモデルであって前記機械学習済のモデルを含み、
前記モデルに、前記体動データ及び前記変動を用いて、前記所定時間内に、咳をしている状態が含まれるか否かを識別させる、
請求項
1~4のいずれか1項に記載の咳嗽検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、咳嗽検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば喘息、咳喘息、アトピー咳嗽、感染後咳嗽など咳に関係する病気は、多い。咳嗽は、通常繰り返して起こる気管、喉頭及び呼吸筋の反射的な収縮運動であり、咳とも称される。
【0003】
従来、病院等では、日常生活中の患者の咳について診断する際、患者からの訴え及び問診などの主観的な評価により行うことが多く、客観的な評価により行うことが望まれている。
【0004】
例えば特許文献1には、客観的な評価を行い得る装置として、マイクロフォンで患者の咳を含む音を録音し、患者の咳特徴情報と照合して患者の咳かどうかを判断することで、咳を記録する咳記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で開示されている咳記録装置では、録音した音を用いて、対象者の咳か否かを判断するため、使用場所で発生したノイズ音を咳と判断したり、対象者以外の者による咳の音を対象者の咳と混同したりしてしまうことがある。つまり、特許文献1で開示されている咳記録装置では、対象者の咳を判断する精度に問題がある。さらに、特許文献1で開示されている咳記録装置では、対象者個人の咳音響特徴量を取得して用いることから、プライバシーの問題も発生し得る。
【0007】
本開示は、上述の事情を鑑みてなされたもので、対象者の咳嗽をより精度よく検出することができる咳嗽検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の一形態に係る咳嗽検出装置は、対象者の体表面の所定時間における3次元方向の振動を示す体動データを取得する体動データ取得部と、前記対象者の首の周囲径の前記所定時間における変動を計測する変動センサと、機械学習済の識別器であって、前記体動データと、前記変動センサにより計測された前記変動とを用いて、前記所定時間内に、咳をしている状態が含まれるか否かを識別する識別器と、を備える。
【0009】
なお、これらのうちの一部の具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体を用いて実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせを用いて実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の咳嗽検出装置によれば、対象者の咳嗽をより精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態1における咳嗽検出装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1における咳嗽検出装置の使用例を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、実施の形態1における体動データ取得部が取得する体動データの時間波形の一例を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、実施の形態1における体動データ取得部が取得する体動データの時間波形の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1における識別器の機能をソフトウェアにより実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1における咳嗽検出装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態1の実施例における咳嗽検出装置の評価結果を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2における咳嗽検出装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2における咳嗽検出装置の使用例を示す図である。
【
図9A】
図9Aは、実施の形態2における体動データ取得部が取得する体動データの時間波形と変動センサにより計測された変動の時間波形との一例を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、実施の形態2における体動データ取得部が取得する体動データの時間波形と変動センサにより計測された変動の時間波形との一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態2における咳嗽検出装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態2の実施例1における咳嗽検出装置の評価結果を示す図である。
【
図12A】
図12Aは、実施の形態2の実施例2における機械学習アルゴリズムにおける
図7に示す識別器の性能評価実験結果を示す図である。
【
図12B】
図12Bは、実施の形態2の実施例2における機械学習アルゴリズムにおける
図1に示す識別器の性能評価実験結果を示す図である。
【
図13A】
図13Aは、実施の形態2の実施例2における機械学習アルゴリズムにおける
図7に示す識別器の性能評価実験結果を示す図である。
【
図13B】
図13Bは、実施の形態2の実施例2における機械学習アルゴリズムにおける
図1に示す識別器の性能評価実験結果を示す図である。
【
図14A】
図14Aは、実施の形態2の実施例2における機械学習アルゴリズムにおける
図7に示す識別器の性能評価実験結果を示す図である。
【
図14B】
図14Bは、実施の形態2の実施例2における機械学習アルゴリズムにおける
図1に示す識別器の性能評価実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一形態に係る咳嗽検出装置は、対象者の体表面の所定時間における3次元方向の振動を示す体動データを取得する体動データ取得部と、機械学習済の識別器であって、前記体動データを用いて、前記所定時間内に、咳をしている状態が含まれるか否かを識別する識別器と、を備える。
【0013】
これにより、機械学習済の識別器を用いて、対象者の体表面の振動を示す体動データから、対象者の咳嗽パターンを検出することができるので、対象者の咳嗽をより精度よく検出することができる。
【0014】
ここで、例えば、前記体動データ取得部は、前記対象者に取り付けられ、3次元方向の加速度を計測する加速度計測器から、前記加速度計測器が前記対象者に取り付けられた位置における前記体動データを取得してもよい。
【0015】
加速度計測器が対象者に取り付けられることで、対象者が咳をしたときの体表面の振動の特徴をより捉えやすくできるので、対象者の咳嗽をより精度よく検出することができる。
【0016】
また、例えば、前記加速度計測器は、前記対象者の鳩尾近傍に取り付けられてもよい。
【0017】
これにより、咳をしたときの体表面の振動の特徴が他の位置と比較して出やすい鳩尾に、加速度計測器が取り付けられているので、対象者の咳嗽をより精度よく検出することができる。
【0018】
また、例えば、さらに、前記対象者の首の周囲径の前記所定時間における変動を計測する変動センサを備え、前記識別器は、前記体動データと、前記変動センサにより計測された前記変動とを用いて、前記所定時間内に、咳をしている状態が含まれるか否かを識別してもよい。
【0019】
機械学習済の識別器を用いて、対象者の体表面の振動を示す体動データに加えて、対象者の首の周囲径の変動から、対象者の咳嗽を検出することができるので、対象者の咳嗽をより精度よく検出することができる。
【0020】
ここで、例えば、前記変動センサは、自身が伸縮することで、測定対象曲面の伸び縮みを計測する伸縮センサであり、前記伸縮センサは、前記対象者の首部に取り付けられ、前記対象者の首の周囲径の伸び縮みを計測することで、前記変動を計測してもよい。
【0021】
また、例えば、前記識別器は、畳み込みニューラルネットワークで構成されたモデルであって前記機械学習済のモデルを含み、前記モデルに、前記体動データを用いて、前記所定時間内に、咳をしている状態が含まれるか否かを識別させてもよい。
【0022】
以下、本開示の一態様に係る咳嗽検出装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0023】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1における咳嗽検出装置10の構成等の説明を行う。
【0024】
[咳嗽検出装置10]
図1は、本実施の形態における咳嗽検出装置10の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
本実施の形態における咳嗽検出装置10は、生体計測技術と機械学習技術とを用いて対象者の咳嗽を検出する。なお、対象者は人物である。本実施の形態における咳嗽検出装置10は、
図1に示すように、体動データ取得部11と、識別器13とを備える。以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0026】
[体動データ取得部11]
体動データ取得部11は、対象者の体表面の所定時間における3次元方向の振動を示す体動データを取得する。ここで、所定時間は、例えば5秒であるが、これに限らない。対象者のすべての咳が検出できる時間であれば5秒よりも長くても短くてもよい。また、体動データ取得部11は、生体計測技術を用いて体動データを取得すればよい。すなわち、体動データ取得部11は、対象者に取り付けられた加速度計測器から体動データを取得してもよいし、対象者を撮影した距離画像から体動データを取得してもよいし、マイクロドプラセンサから体動データを取得してもよい。なお、距離画像は、赤外線帯域または可視光帯域で対象者を所定時間撮影した複数の距離画像であってもよく、複数の距離画像から、体動データを取得することができる。
【0027】
本実施の形態では、体動データ取得部11は、対象者50に取り付けられた加速度計測器11aから体動データを取得するとして説明する。
【0028】
図2は、本実施の形態における咳嗽検出装置10の使用例を示す図である。
図2では、加速度計測器11aは、対象者50の鳩尾近傍に取り付けられており、計測結果を体動データ取得部11に、無線で送信する様子が示されている。
【0029】
すなわち、本実施の形態では、体動データ取得部11は、対象者50に取り付けられ、3次元方向の加速度を計測する加速度計測器11aから、加速度計測器11aが対象者50に取り付けられた位置における体動データを取得する。加速度計測器11aは、対象者50の鳩尾近傍に取り付けられる。
【0030】
なお、
図2に示す例では、加速度計測器11aは、対象者50の鳩尾近傍に取り付けられているが、これに限らない。加速度計測器11aは、対象者50の横隔膜または肺の動きに伴う体表面の振動が計測できる位置であれば、対象者50の肩近傍または胸部に取り付けられていてもよい。また、加速度計測器11aは、計測結果を無線で、体動データ取得部11に送信する場合に限らず、計測結果を、加速度計測器11aと有線で接続された体動データ取得部11に送信してもよい。
【0031】
図3A及び
図3Bは、本実施の形態における体動データ取得部11が取得する体動データの時間波形の一例を示す図である。
図3Aには所定時間内で咳が発生している場合における加速度値の時間波形の一例が示されており、
図3Bには所定時間内で咳が発生していない(正常である場合)場合における加速度値の時間波形の一例が示されている。なお、
図3A及び
図3Bにおいて上部の時間波形は、X、Y及びZで示される3次元方向の加速度値すなわち加速度3軸の値をMaxサンプリングし、ハイパスフィルタで重力成分を除去した後に正規化した時間波形の一例である。下部の時間波形は、加速度3軸の値をMinサンプリングし、ハイパスフィルタで重力成分を除去した後に正規化した時間波形の一例である。
図3A及び
図3Bでは、上部及び下部のいずれか一方の時間波形を用いるとしてもよい。
【0032】
図3A及び
図3Bに示すように、所定時間内で対象者50が咳をした場合と咳をしない場合とで、取得する体動データの時間波形(時間波形のパターン)が異なるのがわかる。このため、以下に説明する機械学習済の識別器13を用いて、対象者50の体表面の所定時間の振動を示す体動データに、咳嗽(咳をしている状態)を示す時間波形のパターン(咳嗽パターン)があるかを識別させることができる。
【0033】
[識別器13]
識別器13は、機械学習済であり、体動データ取得部11が取得した体動データを用いて、所定時間内に、咳をしている状態が含まれるか否かを識別する。
【0034】
本実施の形態では、識別器13は、畳み込みニューラルネットワークで構成されたモデルであって機械学習済のモデルを含むとしてもよい。この場合、識別器13は、当該モデルに、体動データ取得部11が取得した体動データを用いて、所定時間内に、咳をしている状態が含まれるか否かを識別させればよい。なお、当該畳み込みニューラルネットワークは、複数の畳み込み層と、1以上の全結合層を少なくとも備えればよい。
【0035】
より詳細には、識別器13は、体動データ取得部11が取得した体動データから、体動データごとすなわち所定時間ごとの時間波形に咳嗽パターン(咳嗽を示す時間波形のパターン)が含まれているかを識別(分類)する。つまり、識別器13は、所定時間ごとの体動データから、所定時間ごとに患者が咳をしたか否かを分類することができる。したがって、識別器13は、複数の所定時間から構成される一定期間の体動データから、患者が咳をした回数を検出することができる。
【0036】
なお、識別器13は、畳み込みニューラルネットワークで構成されたモデルを用いなくてもよく、機械学習アルゴリズムとしてランダムフォレストまたはSVM(Support Vector Machine;サポートベクターマシン)で学習されているとしてもよい。ここで、ランダムフォレストは、機械学習のアルゴリズムのひとつであり、主に分類(判別)または回帰(予測)の用途に用いられる。サポートベクターマシンは、教師あり学習を用いるパターン認識モデルの一つであり、 分類または回帰の用途に適用できる。サポートベクターマシンは、2クラスのパターン識別器としては優秀な性能を持つ。
【0037】
[識別器13のハードウェア構成]
次に、本実施の形態における識別器13のハードウェア構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施の形態における識別器13の機能をソフトウェアにより実現するコンピュータ1000のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0038】
コンピュータ1000は、
図4に示すように、入力装置1001、出力装置1002、CPU1003、内蔵ストレージ1004、RAM1005、読取装置1007、送受信装置1008及びバス1009を備えるコンピュータである。入力装置1001、出力装置1002、CPU1003、内蔵ストレージ1004、RAM1005、読取装置1007及び送受信装置1008は、バス1009により接続される。
【0039】
入力装置1001は入力ボタン、タッチパッド、タッチパネルディスプレイなどといったユーザインタフェースとなる装置であり、ユーザの操作を受け付ける。なお、入力装置1001は、ユーザの接触操作を受け付ける他、音声での操作、リモコン等での遠隔操作を受け付ける構成であってもよい。
【0040】
内蔵ストレージ1004は、フラッシュメモリなどである。また、内蔵ストレージ1004は、識別器13の機能を実現するためのプログラム、及び、識別器13の機能構成を利用したアプリケーションの少なくとも一方が、予め記憶されていてもよい。
【0041】
RAM1005は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory)であり、プログラム又はアプリケーションの実行に際してデータ等の記憶に利用される。
【0042】
読取装置1007は、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体から情報を読み取る。読取装置1007は、上記のようなプログラムやアプリケーションが記録された記録媒体からそのプログラムやアプリケーションを読み取り、内蔵ストレージ1004に記憶させる。
【0043】
送受信装置1008は、無線又は有線で通信を行うための通信回路である。送受信装置1008は、例えばネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置から上記のようなプログラムやアプリケーションをダウンロードして内蔵ストレージ1004に記憶させる。
【0044】
CPU1003は、中央演算処理装置(Central Processing Unit)であり、内蔵ストレージ1004に記憶されたプログラム、アプリケーションをRAM1005にコピーし、そのプログラムやアプリケーションに含まれる命令をRAM1005から順次読み出して実行する。
【0045】
[咳嗽検出装置10の動作等]
次に、以上のように構成される咳嗽検出装置10の動作等について説明する。
【0046】
図5は、本実施の形態における咳嗽検出装置10の動作例を示すフローチャートである。
【0047】
まず、咳嗽検出装置10は、対象者の体表面の所定時間における3次元方向の振動を示す体動データを取得する(S11)。
【0048】
次に、咳嗽検出装置10は、ステップS11で取得した体動データを用いて、所定時間内に咳をしている状態が含まれているか否かを識別する(S12)。
【0049】
このように、咳嗽検出装置10は、ステップS11及びS12を行うことで、対象者の体表面の振動(体動データ)から、時間波形の特徴(咳嗽パターン)を識別することで、使用環境等に依存せずに、対象者の咳嗽を検出することができる。
【0050】
[効果等]
以上のように、本実施の形態における咳嗽検出装置10によれば、機械学習済の識別器13を用いて、対象者の体表面の振動を示す体動データから、対象者の咳嗽パターンを識別する。これにより、使用環境等に依存せず、対象者の咳嗽をより精度よく検出することができる。
【0051】
ここで、咳嗽検出装置10が対象者に取り付けられた加速度計測器11aから体動データを取得してもよい。この場合、加速度計測器11aが対象者に取り付けられることで、対象者が咳をしたときの体表面の振動の特徴をより捉えやすくできるので、本実施の形態における咳嗽検出装置10は、対象者の咳嗽をより精度よく検出することができる。
【0052】
また、加速度計測器11aは、対象者が咳をしたときの体表面の振動の特徴が他の位置と比較して出やすい対象者の鳩尾近傍に取り付けられてもよい。これにより、対象者の咳嗽をより精度よく検出することができる。
【0053】
なお、本実施の形態における咳嗽検出装置10は、機械学習済の識別器を用いて対象者の咳嗽を検出するので、対象者個人の特徴量などの情報を予め取得しておく必要もないので、プライバシーの問題を考慮しなくてよい。
【0054】
さらに、本実施の形態における咳嗽検出装置10は、複数の所定時間から構成される一定期間の体動データを用いて所定時間ごとに患者が咳をしたか否かを検出することで、患者が咳をした所定時間をカウントできる。つまり、本実施の形態における咳嗽検出装置10は、一定期間に患者が咳をした回数を検出することができる。
【0055】
(実施例)
以下、実施の形態1における咳嗽検出装置10の性能評価実験の結果について説明する。
【0056】
本実施例では、30分間の計測期間に取得した4人の被験者それぞれの加速度値のデータからなるデータセットを用いて、上述した
図1に示す識別器13に対して学習と評価(テスト)とを行った。
【0057】
本実施例では、当該データセットのうちすなわち30分間の計測期間に取得した加速度値のデータのうち、前半6割(18分間)のデータを、学習用データセットに用い、後半4割(12分間)のデータをテスト用データセットとして用いた。当該データセットは、5秒(所定時間)ごとに区切られており、被験者の体の動きが多い所定時間のデータは除外されている。また、当該データセットに含まれる加速度値のデータは、ハイパスフィルタで重力成分を除去した後に正規化されている。正規化は、被験者の個人差を減らす目的で行われている。また、当該データセットでは、それぞれの被験者に対して、所定時間すなわち5秒分の時間波形からなるデータを1つのデータとして取り扱った。なお、5秒分の時間波形からなるデータは、上述した所定時間における体動データに相当する。
【0058】
より詳細には、学習用データセットは、被験者の咳が発生していないデータを示す「咳なし(正常)」のデータが767個と、被験者の咳が発生しているデータを示す「咳あり」のデータが43個とで構成される810個のデータからなる。テスト用データセットは、「咳なし(正常)」のデータが519個と、「咳あり」のデータが24個とで構成される543個のデータからなる。
【0059】
図6は、実施の形態1の実施例における咳嗽検出装置10の評価結果を示す図である。
図6に示すように、「咳なし(正常)」のデータを、「咳なし(正常)」と正しく識別したデータ数は505であり、「咳なし(正常)」のデータを、「咳あり」と誤って識別したデータ数は14であった。また、「咳あり」のデータを、「咳なし(正常)」と誤って識別したデータ数は5であり、「咳あり」のデータを、「咳あり」と正しく識別したデータ数は19であった。
【0060】
図6から、咳嗽検出装置10の咳嗽検出精度は、96.5%(正解/全体×100)であり、対象者の咳嗽を精度よく検出できるのがわかる。
【0061】
(実施の形態2)
実施の形態1では、咳嗽検出装置10は、体動データを用いて、対象者の咳嗽を検出するとして説明したが、これに限らない。対象者の咳嗽をより精度よく検出するために、体動データに加えて、対象者の首の周囲径の変動を用いてもよい。
【0062】
以下、実施の形態2として、対象者の体動データと、対象者の首の周囲径の変動とを用いて、対象者の咳嗽を検出する咳嗽検出装置20について説明する。なお、以下では、実施の形態1と異なるところを中心に説明する。
【0063】
[咳嗽検出装置20]
図7は、本実施の形態における咳嗽検出装置20の構成の一例を示すブロック図である。
【0064】
本実施の形態における咳嗽検出装置20は、
図7に示すように、体動データ取得部21と、変動センサ22と、識別器23とを備える。以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0065】
[体動データ取得部21]
体動データ取得部21は、対象者の体表面の所定時間における3次元方向の振動を示す体動データを取得する。その他については、実施の形態1で説明した内容と同様であるので説明を省略する。
【0066】
本実施の形態では、体動データ取得部21は、対象者50に取り付けられた加速度計測器と一体である場合について説明する。すなわち、本実施の形態では、体動データ取得部21は、3次元方向の加速度を計測する。体動データ取得部21は、対象者50に取り付けられており、対象者50に取り付けられた位置における体動データを取得する。体動データ取得部21は、例えば、対象者50の鳩尾近傍に取り付けられるが、これに限らない。体動データ取得部21は、対象者50の横隔膜の動きに伴う体表面の振動が計測できる位置であれば、対象者50の肩近傍または胸部に取り付けられていてもよい。
【0067】
図8は、本実施の形態における咳嗽検出装置20の使用例を示す図である。
図8では、体動データ取得部21は、対象者50の鳩尾近傍に取り付けられており、取得した体動データを、無線で識別器23に送信する様子が示されている。
【0068】
[変動センサ22]
変動センサ22は、対象者の首の周囲径の所定時間における変動を計測する。より具体的には、変動センサ22は、自身が伸縮することで、測定対象曲面の伸び縮みを計測する伸縮センサ(歪センサ)である。
【0069】
本実施の形態では、変動センサ22は、対象者の首部に取り付けられ、対象者の首の周囲径の伸び縮みを計測することで、対象者の首の周囲径の所定時間における変動を計測する。なお、ここでの所定時間は、上述した所定時間に該当するので、説明を省略する。
【0070】
図8に示す使用例では、変動センサ22は、対象者50の首部に巻かれることで、当該首部に取り付けられている。変動センサ22は、計測した変動を、無線で識別器23に送信する。なお、また、変動センサ22は、計測した変動を無線で、識別器23に送信する場合に限らず、計測した変動を、変動センサ22と有線で接続された識別器23に送信してもよい。
【0071】
なお、変動センサ22は、
図8に示される対象者の首部に取り付けられる場合に限らない。変動センサ22は、咳に伴う喉の動きを対象者50の首の周囲径の伸び縮みで計測できる位置であれば、対象者50の首部のいずれの位置に取り付けられていてもよい。
【0072】
[識別器23]
識別器23は、機械学習済であり、体動データ取得部21が取得した体動データと、変動センサ22により計測された変動とを用いて、所定時間内に、咳をしている状態が含まれるか否かを識別する。
【0073】
本実施の形態では、識別器23は、畳み込みニューラルネットワークで構成されたモデルであって機械学習済のモデルを含む。そして、識別器23は、当該モデルに、体動データ取得部11が取得した体動データと、変動センサ22により計測された変動とを用いて、所定時間内に、咳をしている状態が含まれるか否かを識別させてもよい。
【0074】
なお、識別器23は、実施の形態1と同様に、畳み込みニューラルネットワークで構成されたモデルを用いなくてもよく、機械学習アルゴリズムとしてランダムフォレストまたはサポートベクターマシンで学習されているとしてもよい。また、本実施の形態における識別器23のハードウェア構成は、実施の形態1で
図4を用いて説明したため、説明を省略する。
【0075】
図9A及び
図9Bは、本実施の形態における体動データ取得部11が取得する体動データの時間波形と変動センサ22により計測された変動の時間波形との一例を示す図である。
図9Aには咳が発生している場合における加速度値の時間波形と首の周囲径の変動の時間波形との一例が示されており、
図9Bには咳が発生していない(正常である場合)場合における加速度値の時間波形と首の周囲径の変動の時間波形との一例が示されている。
【0076】
図9A及び
図9Bにおいて最下部の時間波形は、首の周囲径の変動値をサンプリングし、ハイパスフィルタで重力成分を除去した後に正規化した時間波形の一例である。なお、
図9A及び
図9Bにおける加速度値の時間波形(図で最上部と中央部のグラフ)は、実施の形態1で説明した
図3A及び
図3Bにおける加速度値の時間波形と同様であるので、説明を省略する。
【0077】
図9A及び
図9Bに示すように、対象者50が咳をした場合と咳をしない場合とで、取得する体動データの時間波形と首の周囲径の変動の時間波形と(すなわち時間波形のパターン)が異なるのがわかる。このため、識別器23は、対象者50の体表面の所定時間における振動を示す体動データと首の周囲径の変動とから、所定時間ごとの時間波形に咳嗽パターンが含まれているかを識別(分類)することができる。つまり、識別器23は、所定時間ごとの体動データ及び変動から、所定時間ごとに患者が咳をしたか否かを識別(分類)することができる。これにより、識別器23は、複数の所定時間から構成される一定期間の体動データ及び変動から、患者が咳をした回数を検出することもできる。
【0078】
[咳嗽検出装置20の動作等]
次に、以上のように構成される咳嗽検出装置20の動作等について説明する。
【0079】
図10は、本実施の形態における咳嗽検出装置20の動作例を示すフローチャートである。
【0080】
まず、咳嗽検出装置20は、対象者の体表面の所定時間における3次元方向の振動を示す体動データを取得するとともに(S21)、対象者の首の周囲径の所定時間における変動を計測する(S22)。なお、ステップS21とステップS22とは同じ所定時間に実行されるので、
図10に示す順序は便宜上の順序である。
【0081】
次に、咳嗽検出装置20は、ステップS21で取得した体動データとステップS22で計測された変動とを用いて、所定時間内に咳をしている状態が含まれているか否かを識別する(S23)。
【0082】
このようにして、咳嗽検出装置20は、機械学習済の識別器23を用いて、対象者の体表面の振動を示す体動データ(時間波形)と対象者の首の周囲径の変動(時間波形)とから、対象者の咳嗽パターンを識別することで、対象者の咳嗽を検出することができる。
【0083】
[効果等]
以上のように、本実施の形態における咳嗽検出装置20によれば、機械学習済の識別器23を用いて対象者の体表面の振動と対象者の首の周囲径の変動とから、対象者の咳嗽パターンを識別する。これにより、使用環境等に依存せず、対象者の咳嗽をより精度よく検出することができる。
【0084】
なお、本実施の形態における咳嗽検出装置20も、複数の所定時間から構成される一定期間の体動データ及び変動を用いて所定時間ごとに患者が咳をしたか否かを検出することで、患者が咳をした所定時間をカウントできる。つまり、本実施の形態における咳嗽検出装置20は、一定期間に患者が咳をした回数を検出することができる。
【0085】
(実施例1)
以下、実施の形態2における咳嗽検出装置20の性能評価実験の結果について説明する。
【0086】
本実施例では、30分間の計測期間に取得した11人の被験者それぞれの加速度値及び上述した変動(変動値)のデータからなるデータセットを用いて、上述した
図7に示す識別器23に対して学習と評価(テスト)とを行った。
【0087】
本実施例では、当該データセットのうちすなわち30分間の計測期間に取得した加速度値及び変動値のデータのうち、前半6割(18分間)のデータを、学習用データセットに用い、後半4割(12分間)のデータをテスト用データセットとして用いた。当該データセットは、5秒(所定時間)ごとに区切られており、被験者の体の動きが多い所定時間のデータは除外されている。また、当該データセットに含まれる加速度値と変動値とは、ハイパスフィルタで重力成分を除去した後に正規化されている。また、当該データセットでは、実施の形態1の実施例と同様に、それぞれの被験者に対して、所定時間すなわち5秒分の時間波形からなるデータを1つのデータとして取り扱った。なお、加速度値の5秒分の時間波形からなるデータは、上述した所定時間における体動データに相当し、変動値の5秒分の時間波形からなるデータは、上述した所定時間における変動に相当する。
【0088】
より詳細には、学習用データセットは、被験者の咳が発生していないデータを示す「咳なし(正常)」のデータが4360個と、被験者の咳が発生しているデータを示す「咳あり」のデータが81個とで構成される4441個のデータからなる。テスト用データセットは、「咳なし(正常)」のデータが2917個と、「咳あり」のデータが51個とで構成される2968個のデータからなる。
【0089】
図11は、実施の形態2の実施例1における咳嗽検出装置20の評価結果を示す図である。
図11に示すように、「咳なし(正常)」のデータを、「咳なし(正常)」と正しく識別したデータ数は2887であり、「咳なし(正常)」のデータを、「咳あり」と誤って識別したデータ数は30であった。また、「咳あり」のデータを、「咳なし(正常)」と誤って識別したデータ数は11であり、「咳あり」のデータを、「咳あり」と正しく識別したデータ数は40であった。
【0090】
図11から、咳嗽検出装置10の咳嗽検出精度は、98.6%(正解/全体×100)であり、対象者の咳嗽を精度よく検出できるのがわかる。また、
図11から、咳嗽検出装置20は、テスト用データセットに含まれる52個の「咳あり」のデータのうち、40個を識別できたことがわかる。
【0091】
(実施例2)
識別器23は、畳み込みニューラルネットワークで構成されたモデルを機械学習して用いるとして説明したが、上述したようにランダムフォレストまたはサポートベクターマシンで機械学習されたモデルを用いてもよい。
【0092】
本実施例では、畳み込みニューラルネットワークで構成されたモデルを機械学習した場合と、ランダムフォレストまたはサポートベクターマシンで機械学習した場合と(すなわち機械学習アルゴリズムの違い)における識別器23の性能評価実験の結果について説明する。なお、本実施例では、データセットとして、実施例1で挙げたデータセットを用いて、
図7に示す識別器23に対して学習とテスト(評価)とを行った。なお、比較例として、実施例1で挙げたデータセットのうち加速度値のデータのみを用いて、上述した
図1に示す識別器13に対して学習とテストとを行った。学習率及びエポック数は、畳み込みニューラルネットワークで構成されたモデルを機械学習して正しく識別できた場合のものを共通して用いている。
【0093】
図12A、
図13A及び
図14Aは、実施の形態2の実施例2における機械学習アルゴリズムにおける
図7に示す識別器23の性能評価実験結果を示す図である。
図12B、
図13B及び
図14Bは、実施の形態2の実施例2における機械学習アルゴリズムにおける
図1に示す識別器13の性能評価実験結果を示す図である。図中、RFはランダムフォレストである場合、SVMはサポートベクターマシンである場合、CNNは、畳み込みニューラルネットワークである場合を示す。また、Recall(再現率)は、「咳あり」のデータの総数のうち「咳あり」と正しく識別したデータ数の割合を意味している。Precison(適合率)は、「咳あり」と識別したデータ数のうち、正しく「咳あり」と識別できたデータ数の割合を意味している。換言すると、(1-Precison)は、偽陽性の割合を意味する。accuracy(精度)は、正しく識別できた割合(正解/全体×100)を意味している。
【0094】
図12A、
図13A及び
図14Aからわかるように、識別器23の性能評価実験に、機械学習アルゴリズムとして畳み込みニューラルネットワークを用いる場合、Recallが0.78431、Precisonが0.57143、accuracyが0.98619となっている。つまり、識別器23の性能評価実験に、機械学習アルゴリズムとして畳み込みニューラルネットワークを用いる場合、RF及びSVMの他の機械学習アルゴリズムと比較して最もよい結果が得られていることがわかる。なお、RF及びSVMの他の機械学習アルゴリズムを用いた場合でも、accuracy(精度)は、特許文献1で開示されている咳記録装置での0.60程度と比較するとよりよい結果を得ることができる。
【0095】
同様に、
図12B、
図13B及び
図14Bからわかるように、識別器13の性能評価実験に、機械学習アルゴリズムとして畳み込みニューラルネットワークを用いる場合、Recallが0.62745、Precisonが0.51613、accuracyが0.98349となっている。つまり、識別器23の性能評価実験に、機械学習アルゴリズムとして畳み込みニューラルネットワークを用いる場合、RF及びSVMの他の機械学習アルゴリズムと比較して最もよい結果が得られていることがわかる。さらに、識別器13の性能は、識別器23の性能には至らないものの良好な結果を得ることができるのがわかる。なお、識別器13の性能評価実験に、RF及びSVMの他の機械学習アルゴリズムを用いた場合でも、accuracy(精度)は、特許文献1で開示されている咳記録装置での0.60程度と比較するとよりよい結果を得ることができる。
【0096】
(他の実施態様の可能性)
なお、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本開示の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本開示の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
【0097】
本開示は、さらに、以下のような場合も含まれる。
【0098】
(1)上記の装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0099】
(2)上記の装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0100】
(3)上記の装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0101】
(4)また、本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0102】
(5)また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0103】
また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0104】
また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0105】
また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本開示は、咳嗽検出装置に利用でき、特に咳嗽患者の診断または治療補助に用いる医療機器開発に用いられる咳嗽検出装置に利用できる。
【符号の説明】
【0107】
10、20 咳嗽検出装置
11、21 体動データ取得部
11a 加速度計測器
13、23 識別器
22 変動センサ
50 対象者