(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】シート吊下げ具
(51)【国際特許分類】
A47F 9/04 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
A47F9/04
(21)【出願番号】P 2020130214
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北林 貴知
(72)【発明者】
【氏名】大澤 真一
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3200625(JP,U)
【文献】実開昭50-019496(JP,U)
【文献】実開昭58-105285(JP,U)
【文献】実開昭56-163965(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 9/04
A47G 5/00-29/00
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台の側壁に装着される装着部と、
前記装着部から上方向に延びる
複数の軸部と、
前記
複数の軸部に固定され横方向に延びるとともにシートを吊り下げ可能な吊下げロッド部と、
を備え
、
前記装着部は、
複数の基部と、
前記複数の軸部を支持する支持体をそれぞれ有する複数の腕部であって、前記複数の基部のそれぞれに対して、前記支持体を前記側壁から遠ざかる方向に向けて突出させた第1位置と、前記側壁の近傍に前記支持体を位置させた第2位置と、の間で回動可能に設けられる複数の腕部と、
前記複数の腕部のうちの1つの腕部の前記支持体と、前記複数の腕部のうちの他の1つの腕部の前記支持体と、を接続する線分を、前記複数の腕部の回動時に前記側壁と略平行にするように前記複数の腕部同士を連結する連結部と、
を有し、
1つの前記支持体は、他の1つの前記支持体とは横方向に離間して設けられるシート吊下げ具。
【請求項2】
前記1以上の支持体のそれぞれは、前記上方向に延びる有底の筒状をなすとともに内側に収納部を有し、前記1以上の軸部のそれぞれを前記収納部に受け入れて支持可能である請求項
1に記載のシート吊下げ具。
【請求項3】
前記複数の軸部のそれぞれと、前記複数の支持体のそれぞれと、を固定する複数の固定部を備え、
前記複数の軸部のそれぞれは、前記収納部に差し込まれる位置にナット部を有し、
前記複数の固定部のそれぞれは、ねじ部を有し、前記ねじ部は、前記ナット部と前記固定部との間に前記支持体および前記連結部を挟むように前記ナット部に締結される請求項
1に記載のシート吊下げ具。
【請求項4】
前記装着部は、前記側壁と接着可能なマグネット部材を有する請求項1に記載のシート吊下げ具。
【請求項5】
前記シートは、透光性を有する飛沫遮断シートである請求項1に記載のシート吊下げ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを吊下げることが可能なシート吊下げ具に関する。
【背景技術】
【0002】
卓上POPスタンドが存在する(特許文献1参照)。この卓上POPスタンドは、ベース体と、ベース体から起立した支柱と、支柱の先端に設けられた吊下げ棒と、吊下げ棒の端部に設けられる上部クリップと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記卓上POPスタンドでは、卓上に設置されるために、ベース体によって卓上のスペースを占有してしまう問題がある。
【0005】
従って、本発明の課題の一つは、卓上のスペースを占有しないシート吊下げ具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)のシート吊下げ具は、
基台の側壁に装着される装着部と、
前記装着部から上方向に延びる1以上の軸部と、
前記1以上の軸部に固定され横方向に延びるとともにシートを吊り下げ可能な吊下げロッド部と、
を備える。
【0007】
また、本発明(2)のシート吊下げ具は、(1)記載のシート吊下げ具であって、
前記装着部は、
1以上の基部と、
前記1以上の軸部を支持する支持体をそれぞれ有する1以上の腕部であって、前記1以上の基部のそれぞれに対して、前記支持体を前記側壁から遠ざかる方向に向けて突出させた第1位置と、前記側壁の近傍に前記支持体を位置させた第2位置と、の間で回動可能に設けられる1以上の腕部と、
を有する。
【0008】
また、本発明(3)のシート吊下げ具は、(2)記載のシート吊下げ具であって、
前記1以上の支持体のそれぞれは、前記上方向に延びる有底の筒状をなすとともに内側に収納部を有し、前記1以上の軸部のそれぞれを前記収納部に受け入れて支持可能である。
【0009】
また、本発明(4)のシート吊下げ具は、(3)記載のシート吊下げ具であって、
前記1以上の軸部は、複数であり、
前記1以上の腕部は、複数であり、
前記装着部は、連結部を有し、
前記連結部は、前記複数の腕部のうちの1つの腕部の前記支持体と、前記複数の腕部のうちの他の1つの腕部の前記支持体と、を接続する線分を、前記複数の腕部の回動時に前記側壁と略平行にするように前記複数の腕部同士を連結する。
【0010】
また、本発明(5)のシート吊下げ具は、(4)記載のシート吊下げ具であって、
前記複数の軸部のそれぞれと、前記複数の支持体のそれぞれと、を固定する複数の固定部を備え、
前記複数の軸部のそれぞれは、前記収納部に差し込まれる位置にナット部を有し、
前記複数の固定部のそれぞれは、ねじ部を有し、前記ねじ部は、前記ナット部と前記固定部との間に前記支持体および前記連結部を挟むように前記ナット部に締結される。
【0011】
また、本発明(6)のシート吊下げ具は、(1)記載のシート吊下げ具であって、
前記装着部は、前記側壁と接着可能なマグネット部材を有する。
【0012】
また、本発明(7)のシート吊下げ具は、(1)記載のシート吊下げ具であって、
前記シートは、透光性を有する飛沫遮断シートである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、卓上のスペースを占有しないシート吊下げ具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態のシート吊下げ具を前方から示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すシート吊下げ具の装着部の周囲を拡大して示し、腕部が第1位置にある状態を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す装着部を後方から示す斜視図である。
【
図4】
図2に示す装着部を分解して示す分解斜視図である。
【
図5】
図2に示すシート吊下げ具の装着部を示し、腕部が第2位置にある状態を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示す装着部を後方から示す斜視図である。
【
図7】
図2に示すシート吊下げ具を支持体の高さ位置で横方向に切断して示す断面図であり、腕部が第1位置にある状態を示す断面図である。
【
図8】
図7に示すシート吊下げ具において、腕部を第1位置から第2位置に移動させた後の状態を示す断面図である。
【
図9】
図7に示すシート吊下げ具のF9-F9線の位置に沿った断面図である。
【
図10】
図8に示すシート吊下げ具のF10-F10線の位置に沿った断面図である。
【
図11】第2実施形態のシート吊下げ具を前方から示す斜視図である。
【
図12】第3実施形態のシート吊下げ具を前方から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面を参照して、シート吊下げ具の実施形態について説明する。シート吊下げ具は、例えば、飛沫遮断シートを吊り下げた状態で商店のレジ前に設置されることで、レジ内側の従業員のスペースと、レジ外の顧客のスペースと、を物理的に仕切る。これによって、空気感染が疑われる感染症が商店内で蔓延することを防止できるものである。また、シート吊下げ具は、商店に置かれたレジ台等の基台の上部位置においてシートを吊り下げ可能であるが、基台頂面のスペースを占有しないものである。或いは、シート吊下げ具は、飛沫防止シートだけでなく、例えば、商品の販促のためのPOPを吊り下げることが可能なものである。
[第1実施形態]
【0016】
図1から
図4に示すように、シート吊下げ具11は、基台12の側壁12Aに対して着脱可能に装着される装着部13と、装着部13から上方向に向けて延びる1以上の軸部14と、1以上の軸部14の先端側に固定される吊下げロッド部15と、吊下げロッド部15に吊り下げられるシート16と、を備える。本実施形態において、1以上の軸部14は、複数で構成される。シート吊下げ具11が設置される基台12は、その一例として、商店のレジ(POS端末)が設置されるレジ基台である。基台12は、頂部に位置する天板12Bと、側面に位置する側壁12Aと、を有する。
【0017】
シート16は、透光性・可撓性を有する合成樹脂製の飛沫遮断シートで構成されている。シート16は、複数の貫通孔21を有し、当該複数の貫通孔21に後述する吊下げロッド部のJ字状のフック22が通される。これによって、シート16は、吊下げロッド部15に対して吊り下げられる。シート16は、例えば、商店のレジ基台等の基台12の上部に設置され、店員のいる空間と顧客がいる空間とを物理的に仕切ることができる。これによって、コロナウイルス等の空気感染が疑われる感染症が商店内で蔓延することが防止される。
【0018】
本実施形態において、1以上の軸部14は複数で構成される。1以上の軸部14のそれぞれは、スチール等の金属材料によって、円筒形の中空パイプ状に形成されている。
図1~
図4に示すように、軸部14は、上方にある一方の端部で吊下げロッド部15に溶接等で固定されている。軸部14は、円柱形の軸部本体23と、軸部本体23の先端側に設けられ軸部本体23よりも外径が小さく形成された円柱形の差込部24と、差込部24の先端部に設けられたナット部25と、を有する。ナット部25は、差込部24の先端に例えば溶接等で固定されている。差込部24は、支持体34の内側の収納部53に対して差し込み可能である。
【0019】
吊下げロッド部15は、横方向に延びている。吊下げロッド部15は、その長手方向に沿ってシートを吊り下げ可能である。吊下げロッド部15は、スチール等の金属材料によって、円筒形の中空パイプ状に形成されている。吊下げロッド部15は、複数のフック22を有する。複数のフック22は、吊下げロッド部15の長手方向に関して離散的に配置され、互いに一定の間隔をあけて配置されている。複数のフック22のそれぞれは、例えば、J字状をなしており、先端にシート16を引っ掛けることができる。
【0020】
図1から
図4に示すように、装着部13は、1以上の基部31と、1以上の基部31同士を接続する接続部材32と、1以上の基部31に対して回動可能に設けられた1以上の腕部33と、1以上の腕部33のそれぞれに設けられた1以上の支持体34と、1以上の腕部33同士を連結する連結部35と、1以上の軸部14のそれぞれと1以上の支持体34のそれぞれとを固定する1以上の固定部36と、を有する。
【0021】
本実施形態において1以上の基部31は、複数(例えば、2個)で構成される。複数の基部31のそれぞれは、基部本体41と、基部本体41から突出した隆起部42と、基部本体41の背面に設けられたマグネット部材43と、隆起部42の頂面に設けられ接続部材32の枢軸44が通される孔部45と、を有する。基部31は、例えば、スチール等の金属材料や合成樹脂材料等によって形成されている。マグネット部材43は、基部31を構成している枠状のケースの内側に嵌め込まれるように基部31に取り付けられており、基部31から脱落しないようになっている。マグネット部材43は、両面テープ等で基部31に取り付けられていてもよい。マグネット部材43は、例えば、平板状のマグネットシートで構成されている。マグネット部材43は、例えば、強力な磁力を有するネオジムマグネットシート等で構成されている。マグネット部材43は、金属製の基台12の側壁12Aに対して、磁力によって基部31を接着することできる。なお、基部31は、マグネット部材43を有しなくてもよく、両面テープ等によって直接的に基台12の側壁12Aに接着されていてもよい。
【0022】
図1から
図4に示すように、接続部材32は、2個の基部31に対して係合可能な一対の係合部32Aと、一対の係合部32A同士を接続する接続棒32Bと、一対の係合部32Aにそれぞれ設けられ上下方向に延びる枢軸44と、を有する。接続部材32は、スチール等の金属材料によって一体に形成されている。係合部32Aは、プレス加工によって「C」字状に折り曲げられている。接続棒32Bは、丸棒状に形成されている。枢軸44は、円筒のパイプ状をなしている。係合部32A、接続棒32B、および枢軸44は、溶接等によって一体に固定されている。
【0023】
1以上の腕部33は、複数(例えば、2個)で構成される。複数の腕部33のそれぞれは、腕部本体51と、腕部本体51の基部31側に上下一対に設けられた通孔52と、腕部本体51の先端部側に設けられた支持体34と、を有する。腕部33は、スチール等の金属材料によって一体的に形成されている。腕部本体51は、プレス加工によって断面「C」字状に折り曲げられている。支持体34は、下側に底部34Aを有するとともに、上方向に延びる円筒形に形成されており、内側に軸部14の差込部24を受容可能な収納部53を有する。支持体34の底部34Aは、固定部36の後述するねじ部36Cを通すための図示しない貫通孔を有する。支持体34は、腕部本体51に対して溶接等で固定されている。支持体34の収納部53に対して、上方から1以上の軸部14を着脱することができる。支持体34は、収納部53に差し込まれた1以上の軸部14を安定的に支持可能である。
【0024】
図2、
図3に示すように、腕部33は、基部31に対して、支持体34を側壁12Aから遠ざかる方向に向けて突出させた第1位置P1と、
図5、
図6に示すように側壁12Aの近傍に支持体34を位置させた第2位置P2と、の間で回動可能である。ここで、第1位置P1は、支持体34が側壁12Aから最も遠くなる位置である。第2位置P2は、支持体34が側壁12Aに対して最も近くなる位置である。腕部33は、第1位置P1および第2位置P2だけでなく、第1位置P1と第2位置P2との間の位置に固定することも当然にできる。
【0025】
図1から
図4に示すように、連結部35は、正面から見て長方形をなし、且つ側方から見て「C」字状をなしている。連結部35は、金属製の平板をプレス加工で「C」字状に折り曲げられて形成されている。連結部35は、鉛直方向に延び且つ横方向に細長く延びた連結部本体54と、上側に設けられ連結部35の長手方向に細長く延びた第1片55と、連結部本体54の両端部かつ下側に設けられた小片状の一対の第2片56と、を有する。第2片56は、固定部36のねじ部36Cが通される固定孔57を有する。連結部35は、スチール等の金属材料によって一体的に形成されている。
【0026】
図7、
図8に示すように、連結部35は、腕部33の回動(第1位置P1から第2位置P2への回動、第2位置P2から第1位置P1への回動)の際に、複数の腕部33のうちの1つの腕部33の支持体34と、複数の腕部33のうちの他の1つの腕部33の支持体34と、を接続する線分61を、側壁12Aと略平行にするように腕部33同士を連結する。このように第1位置P1および第2位置P2において、当該線分61を側壁12Aと略平行な関係を維持するために、腕部33同士を連結する手法は種々の方法を取り得る。本実施形態では、連結部35は、一方の腕部33の支持体34と、他方の腕部33の支持体34と、を連結している。このとき、一方の腕部33における枢軸44から支持体34までの距離Aは、他方の腕部33における枢軸44から支持体34までの距離A´と等しい。連結部35は、腕部33同士の他の位置を連結する方式であってもよい。
【0027】
例えば、連結部35は、一方の腕部33の長手方向におけるいずれかの支点(一例として、一方の腕部33の長手方向における略中間部)と、他方の腕部33の長手方向におけるいずれかの支点(一例として、他方の腕部の長手方向における略中間部)と、を連結する方式であってもよい。このような連結方式であっても、一方の腕部33における枢軸44から支点までの距離Aと、他方の腕部33における枢軸44から支点までの距離A´と、が等しければよい。このような連結方式によっても、連結部35は、腕部33の回動(第1位置P1から第2位置P2への回動、第2位置P2から第1位置P1への回動)の際に、複数の腕部33のうちの1つの腕部33の支持体34と、複数の腕部33のうちの他の1つの腕部33の支持体34と、を接続する線分61を、側壁12Aと略平行にするように腕部33同士を連結できる。
【0028】
図4に示すように、本実施形態において、1以上の固定部36は、複数(例えば、2個)で構成される。複数の固定部36のそれぞれは、複数の軸部14のそれぞれと、複数の支持体34のそれぞれと、を固定することができる。複数の固定部36は、指掛け部36Aと、指掛け部36Aから突出する段部36Bと、段部36Bの頂面から突出するねじ部36Cと、を有する。
【0029】
固定部36のねじ部36Cは、軸部14のナット部25に対して締結することができる。作業者が指掛け部36Aを把持して、ナット部25に対して固定部36を強固に締結することで、ナット部25と固定部36(段部36B)との間に連結部35および支持体34(腕部33)が挟まれた状態になる。このようにナット部25に対して固定部36が強固に締結された締結状態では、連結部35と腕部33(支持体34)との間に摩擦力が働いており、腕部33はロック状態となって自由に動かすことができない。一方、ナット部25に対する固定部36の強化な締結を解除すると、腕部33は、基部31に対して自由に回動することができる。
【0030】
図4を参照して、本実施形態のシート吊下げ具11の組み立て方法について説明する。作業者は、一方の腕部33の通孔52に一方の枢軸44を通し、他方の腕部33の通孔52に他方の枢軸44を通す。この状態で、作業者は、接続部材32の一対の係合部32Aを基部31(基部本体41)の外周面に係合させつつ、枢軸44を隆起部42の頂面の孔部45に対して差し込む。これによって、腕部33は、枢軸44を中心に回動可能に基部31に固定される。また、基部31の裏面には、予めマグネット部材43が取り付けられている。
【0031】
続いて、支持体34の内側の収納部53に対して軸部14の差込部24を上方から差し込む。この支持体34に対して、固定部36を用いて下方から連結部35を固定する。すなわち、支持体34の収納部53に収納された軸部14の先端に位置するナット部25に対して、固定部36のねじ部36Cを下側から締結するようにする。その際、ナット部25と固定部36との間に支持体34および連結部35を挟むように、ナット部25に対して固定部36を強固に締結する。固定部36を締結した状態において、固定部36のねじ部36Cは、連結部35の固定孔57と支持体34の底部34Aの貫通孔とを貫通している。ナット部25に対して固定部36を締結することで、シート吊下げ具11の組み立てが完了する。
【0032】
組み立てが完了したシート吊下げ具11は、マグネット部材43を用いて一対の基部31を基台12の側壁12Aに固定することができる。基台12の側壁12Aに固定されたシート吊下げ具11の複数のフック22に対して、シート16の貫通孔21を引っ掛けることで、シート吊下げ具11に対してシート16を吊り下げることができる。これによって、シート16の設置が完了する。
【0033】
続いて、
図1~
図10を参照して、複数の腕部33の作用について説明する。本実施形態のシート吊下げ具11は、基台12の天板12Bの側方への張り出し長さ(側壁12Aの蹴込みの深さ)に応じて、腕部33の突出量を調整できる。これによって、商店を訪れる顧客の通行を軸部14等で妨げないようにできる。
【0034】
複数の腕部33は、
図2、
図3に示すように支持体34を側壁12Aから遠ざかる方向に向けて突出させた第1位置P1と、
図1、
図5、
図6に示すように側壁12Aの近傍に支持体34を位置させた第2位置P2と、の間で回動可能であり、且つそれらの位置で固定可能である。また、複数の腕部33は、第1位置P1と第2位置P2の間の任意の位置に回動可能且つその位置で固定可能である。
【0035】
説明上、シート吊下げ具11の初期位置を第1位置P1とする。基台12の天板12Bの側方への張り出し長さ(側壁12Aの蹴込みの深さ)に応じて、作業者が腕部33の突出量を調整したい場合には、固定部36を回転させて、固定部36の締結を緩くする。これによって、軸部14のナット部25と固定部36による挟み込み状態が解除され、腕部33と連結部35との間で働く摩擦力がなくなる。これによって、腕部33は、基部31に対して自由に回動することができる。
【0036】
作業者は、
図2、
図3、
図7に示す第1位置P1から、
図5、
図6、
図8に示す第2位置P2に腕部33を回動させることができる。これによって、
図10に示すように、基台12の天板12Bの外縁に沿うように、軸部14を配置することができる。この位置で、作業者が固定部36を軸部14のナット部25に対して強固に締結することで、ナット部25と固定部36の間に挟まれた連結部35と支持体34との間に摩擦力を発生させることができる。これによって、腕部33を第2位置P2で固定することができる。このため、比較的に基台12の天板12Bの側方への張り出し長さ(側壁12Aの蹴込みの深さ)が小さい場合でも、天板12Bの外縁に対して軸部14を沿わせることができる。これによって、軸部14が側壁12Aから離間した位置に突出することを防止して、軸部14等が商店等を訪れる顧客の通行の妨げとなることが防止される。また、店舗管理者が意図しないときに、腕部33が回動してしまうことがなく、軸部14がぐらついてしまうことがない。
【0037】
図7、
図8に示すように、腕部33が第1位置P1から第2位置P2に回動する際に、複数の腕部33のうちの1つの腕部33の支持体34と、複数の腕部33のうちの他の1つの腕部33の支持体34と、を接続する線分61は、第1位置P1と、第2位置P2と、第1位置P1と第2位置P2の間の位置、のいずれの状態であっても、側壁12Aと略平行になっている。したがって、本実施形態のシート吊下げ具11によって吊り下げられるシート16は、基台12の側壁12Aに対して常に略平行な状態を維持することができる。このため、シート16の体裁は常に良好な状態に保たれる。
【0038】
一方、作業者がシート吊下げ具11において腕部33の位置を第2位置P2から他の位置に変更したい場合には、固定部36のナット部25に対する締結を解除する。これによって、連結部35と支持体34との間で摩擦力が働かなくなる。この状態で、作業者は、腕部33を第2位置P2から第1位置P1に移動させてもよいし、あるいは、腕部33を第1位置P1と第2位置P2の間の任意の位置に移動させてもよい。作業者は、腕部33を固定したい位置で保持して、固定部36をナット部25に対して強固に締結する。これによって、ナット部25と固定部36の間に挟まれた連結部35と支持体34との間に摩擦力を発生させることができる。この状態で、マグネット部材43を介して基部31を基台12の側壁12Aに固定する。これによって、
図9に示すように、比較的に基台12の天板12Bの側方への張り出し長さ(側壁12Aの蹴込みの深さ)が大きい場合でも、天板12Bの外縁に対して軸部14を沿わせることができる。
図9は、腕部33を第1位置P1に移動させた状態を示す。なお、このような腕部33の位置の調整は、基部31を基台12の側壁12Aに接着させた状態のまま行っても当然によい。
【0039】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。シート吊下げ具11は、基台12の側壁12Aに装着される装着部13と、装着部13から上方向に延びる1以上の軸部14と、1以上の軸部14に固定され横方向に延びるとともにシート16を吊り下げ可能な吊下げロッド部15と、を備える。
【0040】
この構成によれば、装着部13が基台12の側壁12Aに装着されるために、基台12上のスペースを装着部13が占有してしまうことがなく、基台12上を本来の目的で使用することができる。特に商店のレジ基台の前面の側壁12Aに設置することで、従業員がいるスペースと、商店を訪れる顧客が並ぶスペースをシート16によって物理的に仕切ることができる。これによって、空気感染が疑われる感染症が商店内で蔓延してしまうことを有効に防止できる。
【0041】
装着部13は、1以上の基部31と、1以上の軸部14を支持する支持体34をそれぞれ有する1以上の腕部33であって、1以上の基部31のそれぞれに対して、支持体34を側壁12Aから遠ざかる方向に向けて突出させた第1位置P1と、側壁12Aの近傍に支持体34を位置させた第2位置P2と、の間で回動可能に設けられる1以上の腕部33と、を有する。
【0042】
基台12の天板12Bが側壁12Aよりも外側に張り出す長さ(側壁12Aの蹴込みの深さ)は、基台12のメーカーによって様々であり、張り出す長さが大きい基台もあれば、張り出す長さが小さい基台12も存在している。この構成によれば、1以上の腕部33の位置を調整することで、1以上の軸部14の位置を調整することができる。これによって、天板12Bの張り出す長さが大きい基台12と、天板12Bの張り出す長さが小さい基台12と、の両方の側壁12Aに対して装着部13を装着させることができる。
【0043】
1以上の支持体34のそれぞれは、前記上方向に延びる有底の筒状をなすとともに内側に収納部53を有し、上方から着脱される1以上の軸部14のそれぞれを収納部53に受け入れて支持可能である。
【0044】
この構成によれば、筒状の支持体34を用いた支持によって軸部14の姿勢が安定し、軸部14および吊下げロッド部15を介して吊り下げられるシート16がガタついてしまうことを防止できる。
【0045】
1以上の軸部14は、複数であり、1以上の腕部33は、複数であり、装着部13は、連結部35を有し、連結部35は、複数の腕部33のうちの1つの腕部33の支持体34と、複数の腕部33のうちの他の1つの腕部33の支持体34と、を接続する線分61を、複数の腕部33の回動時に側壁12Aと略平行にするように複数の腕部33同士を連結する。
【0046】
この構成によれば、複数の腕部33が第1位置P1および第2位置P2のいずれの位置にある場合であっても、側壁12Aに対して複数の軸部14および吊下げロッド部15に吊り下げられるシート16を常に略平行な状態にすることができる。これによって、吊下げられたシート16を基台12の側壁12Aに沿わせることができ、シート16の体裁を良好にすることができる。
【0047】
シート吊下げ具11は、複数の軸部14のそれぞれと、複数の支持体34のそれぞれと、を固定する複数の固定部36を備え、複数の軸部14のそれぞれは、収納部53に差し込まれる位置にナット部25を有し、複数の固定部36のそれぞれは、ねじ部36Cを有し、ねじ部36Cは、ナット部25と固定部36との間に支持体34および連結部35を挟むようにナット部25に締結される。
【0048】
この構成によれば、ねじ部36Cとナット部25とによる挟み込みによる摩擦力によって、連結部35に対して腕部33を回転不能にすることができる。これによって、複数の腕部33の設置角度を固定することができる。これによって、使用中に意図せずに複数の腕部33が回動してしまうことがない。このため、腕部33および軸部14の姿勢が安定し、軸部14および吊下げロッド部15を介して吊り下げられるシート16がグラついてしまうことをより一層防止できる。
【0049】
装着部13は、側壁12Aと接着可能なマグネット部材43を有する。この構成によれば、基台12の側壁12Aに対して装着部13を簡単に装着することができる。
【0050】
シート16は、透光性を有する飛沫遮断シートである。この構成によれば、例えば、商店のレジ台として用いられる基台12の前面側壁にシート吊下げ具11を設置することで、店員と顧客の間を飛沫遮断シート16で物理的に仕切ることができる。これによって、空気感染が疑われる感染症が店舗内で蔓延してしまうことを有効に防止できる。
【0051】
以下の実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第2実施形態]
【0052】
図11を参照して、第2実施形態のシート吊下げ具11について説明する。第2実施形態のシート吊下げ具11に吊り下げられるシート16は、飛沫遮断シートではなく、商品の販促のためのPOPや広告である。
【0053】
シート16は、布によって作られたのれん状をなしており、一例として「おでん」の文字が付されている。シート16は、上端に筒状部16Aを有し、筒状部16Aの内側に吊下げロッド部15が通されている。
【0054】
吊下げロッド部15は、一対の軸部14から突出した部分の一方が長く、一対の軸部14から突出した部分の他方が短く、設置されている。本実施形態において、シート吊下げ具11は、軸部14と吊下げロッド部15との接続位置にジョイント部材62を有し、当該ジョイント部材62によって一対の軸部14に対する吊下げロッド部15の設置位置を変更できる。吊下げロッド部15は、複数のフック22を有しない。
【0055】
本実施形態において、基部31は、レジ(POS端末)が載置されたレジ基台である基台12の前面の側壁12Aに固定されている。商店のレジ前のスペースには、例えば、商品となるおでんが陳列されていてもよい。
【0056】
本実施形態によれば、シート吊下げ具11は、飛沫遮断シートのみならず、販促のためのPOPや広告を吊り下げることができる。これによって、レジ前のスペースを有効に活用することができる。
[第3実施形態]
【0057】
図12を参照して、第3実施形態のシート吊下げ具11について説明する。第3実施形態のシート吊下げ具11は、連結部35が設けられていない。基部31は、1個で構成されている。腕部33は、1個で構成されている。軸部14は、1個で構成される。接続部材32は、1個の係合部32Aおよび1個の枢軸44を有する。接続部材32は、接続棒32Bを有しない。
【0058】
本実施形態においても、腕部33は、基部31のそれぞれに対して、支持体34を側壁12Aから遠ざかる方向に向けて突出させた第1位置P1と、側壁12Aの近傍に支持体34を位置させた第2位置P2と、の間で回動可能であることは上記実施形態と同様である。本実施形態のシート吊下げ具11は、連結部35が設けられていないために、腕部33を所定の位置で確実に固定することができない。しかしながら、枢軸44と腕部33との間で発生する摩擦力を高めに設定することで、腕部33がある程度元の位置を保持するようにすることができる。
【0059】
本実施形態のシート吊下げ具11によれば、連結部35がなく、かつ軸部14、腕部33、および基部31が1個で構成される場合であっても、基台12の天板12Bの張り出し長さ(側壁12Aの蹴込みの深さ)に応じて、腕部33および軸部14の突出長さを適宜に調整しつつ、吊下げロッド部15によってシート16を吊下げることができる。これによって、軸部14が側壁12Aから離間した位置に突出することを防止して、商店等を訪れる顧客の通行の妨げとなることが防止できる。
【0060】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。また、上記実施形態同士を適宜に組み合わせて発明を実現することも当然にできる。
【符号の説明】
【0061】
11 シート吊下げ具
12 基台
12A 側壁
13 装着部
14 軸部
15 吊下げロッド部
16 シート
25 ナット部
31 基部
33 腕部
34 支持体
34A 底部
35 連結部
36 固定部
36C ねじ部
44 枢軸
45 孔部
53 収納部
61 線分
P1 第1位置
P2 第2位置