(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20240528BHJP
G09F 23/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B62B5/00 L
B62B5/00 Z
G09F23/00 Z
(21)【出願番号】P 2020160598
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 龍己
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202013002128(DE,U1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0113395(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第4002740(DE,A1)
【文献】特表2005-537168(JP,A)
【文献】中国実用新案第205092040(CN,U)
【文献】登録実用新案第3055455(JP,U)
【文献】米国特許第5794953(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102007060983(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0042175(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00- 19/04
G09F 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が載置される載置面と、前記載置面に隣接した外周面と、を有する台車本体と、
前記外周面に設けられシート状の広告を支持可能なクリップ部材と、
を備え、
前記台車本体は、前記クリップ部材の近傍で、前記載置面から上方に突出するように設けられ、前記載置面に載置された物品の1つの面と当接可能な当接片を有する台車。
【請求項2】
物品が載置される載置面と、前記載置面に隣接した外周面と、を有する台車本体と、
前記外周面に設けられシート状の広告を支持可能なクリップ部材と、
を備え、
前記クリップ部材は、透光性を
有する台車。
【請求項3】
前記クリップ部材に直接的に支持される透光性のシートケースであって、前記シート状の広告を内側に収納可能な平板状のシートケースを備える
請求項1又は請求項2に記載の台車。
【請求項4】
物品が載置される載置面と、前記載置面に隣接した外周面と、を有する台車本体と、
前記外周面に設けられシート状の広告を支持可能なクリップ部材と、
を備え、
前記クリップ部材は、前記載置面に引っかかるためのフック部を
有する台車。
【請求項5】
物品が載置される載置面と、前記載置面に隣接した外周面と、を有する台車本体と、
前記外周面に設けられシート状の広告を支持可能なクリップ部材と、
を備え、
前記クリップ部材は、前記台車本体の前記載置面とは反対側の裏面の凹部に対して差し込み可能な凸部を
有する台車。
【請求項6】
前記台車本体は、前記裏面の凹部内に設けられ前記外周面と交差する方向に延びた第1リブ部を有し、
前記凸部は、前記第1リブ部を差し込み可能な溝部を有する請求項
5に記載の台車。
【請求項7】
前記台車本体は、前記裏面の凹部内に設けられた第2リブ部であって、前記第1リブ部と交差する方向に延びる第2リブ部を有し、
前記凸部は、前記第2リブ部の先端に係合する爪部を有する請求項
6に記載の台車。
【請求項8】
前記外周面は、第1側面と、前記第1側面よりも面積の大きい第2側面と、を有し、
前記クリップ部材は、前記第1側面に設けられる請求項
1~7のいずれか1項に記載の台車。
【請求項9】
前記クリップ部材は、前記外周面に対して着脱可能である請求項1~8のいずれか1項に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告を支持するためのクリップ部材を備えた台車に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場等で使用される台車の手押しアームに、広告を表示した台車用広告・情報伝達装置が開示されている(特許文献1参照)。手押しアームは、荷台の後側端部に穿設される一対のアーム挿入孔に差し込み接合されて荷台上に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、台車は、遊技場での使用のみならず、トラック等の運送車両から商店のバックヤードに物品(商品)を運搬したり、あるいは、商店内においてバックヤードから陳列棚に物品を品出ししたりする作業にも用いられていた。一方、従来の台車では、店舗管理者等の作業負担の低減が十分でないという問題があり、店舗管理者等に対するさらなる負担低減の要請があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、店舗管理者等の作業負担低減のため、運搬のみならず物品の陳列にも用いることができる台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の台車は、物品が載置される載置面と、前記載置面に隣接した外周面と、を有する台車本体と、
前記外周面に設けられシート状の広告を支持可能なクリップ部材と、
を備える。
【0007】
また、本発明(2)の台車は、(1)記載の台車であって、
前記台車本体は、前記クリップ部材の近傍で、前記載置面から上方に突出するように設けられ、前記載置面に載置された物品の1つの面と当接可能な当接片を有する。
【0008】
また、本発明(3)の台車は、(1)又は(2)記載の台車であって、
前記クリップ部材は、前記外周面に対して着脱可能である。
【0009】
また、本発明(4)の台車は、(1)~(3)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記クリップ部材は、透光性を有する。
【0010】
また、本発明(5)の台車は、(1)~(4)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記クリップ部材に直接的に支持される透光性のシートケースであって、前記シート状の広告を内側に収納可能な平板状のシートケースを備える。
【0011】
また、本発明(6)の台車は、(1)~(5)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記クリップ部材は、前記載置面に引っかかるためのフック部を有する。
【0012】
また、本発明(7)の台車は、(1)~(6)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記クリップ部材は、前記台車本体の前記載置面とは反対側の裏面の凹部に対して差し込み可能な凸部を有する。
【0013】
また、本発明(8)の台車は、(7)記載の台車であって、
前記台車本体は、前記裏面の凹部内に設けられ前記外周面と交差する方向に延びた第1リブ部を有し、
前記凸部は、前記第1リブ部を差し込み可能な溝部を有する。
【0014】
また、本発明(9)の台車は、(8)記載の台車であって、
前記台車本体は、前記裏面の凹部内に設けられた第2リブ部であって、前記第1リブ部と交差する方向に延びる第2リブ部を有し、
前記凸部は、前記第2リブ部の先端に係合する爪部を有する。
【0015】
また、本発明(10)の台車は、(1)~(9)のいずれか1項に記載の台車であって、
前記外周面は、第1側面と、前記第1側面よりも面積の大きい第2側面と、を有し、
前記クリップ部材は、前記第1側面に設けられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、店舗管理者等の作業負担低減のため、運搬のみならず物品の陳列にも用いることができる台車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態の台車を前方から示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す台車を後方から示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す台車の台車本体を上方向から示した上面図である。
【
図4】
図1に示す台車を側方向から示した側面図である。
【
図5】
図1に示す台車を下方向から示した下面図である。
【
図6】
図1に示す台車のシートケースおよびその内部に収納される広告のシートを示す斜視図である。
【
図7】
図1に示す台車のクリップ部材をクランプアーム側(前方)から示す斜視図である。
【
図8】
図7に示すクリップ部材を凸部側(後方)から示す斜視図である。
【
図9】
図7に示すクリップ部材を凸部側(後方)から示す背面図である。
【
図10】
図7に示すクリップ部材を側方向から示す側面図である。
【
図11】
図7に示すクリップ部材の凸部を台車本体の裏面の凹部に差し込む工程を示す斜視図である。
【
図12】
図1に示す台車の載置面に物品を載置した状態を示す斜視図である。
【
図13】
図1に示す台車のF13-F13線の位置に沿った断面図である。
【
図14】第2実施形態に係る台車を示す斜視図である。
【
図15】第3実施形態に係る台車を第2側面に沿う面(台車の長手方向に沿う面)で切断して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下
図1~
図15を参照して、本発明の台車の実施形態について説明する。本発明の台車は、商店のバックヤードから陳列棚までの物品の運搬のみならず、商店内の陳列スペースにおいて物品の陳列台としても用いることができるものである。
[第1実施形態]
【0019】
図1から
図13を参照して、台車の第1実施形態について説明する。
図1、
図2に示すように、台車11は、台車本体12と、台車本体12の外周面13に対して着脱可能に設けられる1以上のクリップ部材14と、クリップ部材14によって起立状態で支持される平板状のシートケース15と、を備える。
【0020】
図3~
図5に示すように、台車本体12は、合成樹脂材料によって平板状をなすように一体成形された板状部16と、板状部16の裏面24側に設けられた複数のキャスター部21と、板状部16の載置面23に設けられた当接片22と、を有する。
【0021】
板状部16は、頂部に設けられた平坦な載置面23と、載置面23に隣接した外周面13と、載置面23とは反対側の裏面24と、裏面24に設けられた凹部25と、凹部25の底から隆起するように設けられた複数の第1リブ部26および複数の第2リブ部27と、を有する。
図1、
図2に示すように、外周面13は、第1側面13Aと、第1側面13Aよりも面積の大きい第2側面13Bと、を含む。第1側面13Aは、板状部の短辺に対応する位置に設けられている。第2側面13Bは、板状部16の長辺に対応する位置に設けられている。
【0022】
複数のキャスター部21のそれぞれは、進行方向に沿って回転軸回りに回転可能であることはいうまでもなく、縦方向に延びる支軸を中心に水平面内で360°旋回可能に構成されることが好ましい。
【0023】
図1~
図4に示すように、当接片22は、クリップ部材14の近傍で、載置面23から上方に突出するように設けられている。当接片22は、板状部16と一体に成形されている。当接片22は、断面四角形であり、外周面13(第1側面13A)と略平行になるように細長く形成されている。当接片22は、載置面23に載置された物品31の1つの面と当接することができる。店舗管理者は、当接片22に対して物品31の1つの面を当接させることで、台車11の第1側面13Aと平行になるように載置面23に物品31を載置・陳列することができる。
【0024】
図5、
図11に示すように、第1リブ部26は、外周面13、特に第1側面13Aと交差する方向に直線的に延びている。第2リブ部27は、第1リブ部26と交差する方向に直線的に延びている。
【0025】
図6に示すように、シートケース15(カードケース)は、透光性のある合成樹脂材料、例えばPET等によって中空の平板状に形成される。シートケース15は、可撓性を有するものの、内部に収納されたシート状の広告32が折れ曲がらない程度の剛性を有する。シートケース15は、その内側に収納部15Aを有する。収納部15Aには、物品31(商品)の価格や性質を説明するためのシート状の広告32(POP広告)を収納できる。シート状の広告32は、コピー用紙等の比較的に薄手の紙であってもよいし、比較的に厚手の紙であってもよい。なお、本実施形態では、シートケース15をクリップ部材14に装着するようにしているが、シートケース15を用いることは必須ではない。例えば、厚紙や段ボール等の厚手の台紙の表面に広告32(POP広告)を添付して、台紙を直接的にクリップ部材14に差し込んで装着しても当然によい。
【0026】
図1、
図2に示すように、本実施形態において、台車11は、一対のクリップ部材14を有している。クリップ部材14の数は、任意であり、台車11の大きさやシートケース15や広告32を貼付した台紙の大きさ等に応じて、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。
【0027】
クリップ部材14は、外周面13の第1側面13Aに対して着脱可能に設けられることが好ましい。あるいは、クリップ部材14は、外周面13の第1側面13A又は第2側面13Bに対して固定的に設けられていてもよい。
【0028】
クリップ部材14は、透光性・可撓性を有する合成樹脂材料、例えば、ポリカーボネート等で一体に成形されている。
図7~
図10に示すように、クリップ部材14は、外周面13に沿って延びるクリップ本体33と、クリップ本体33の一方の端部から分岐し且つ台車本体12側とは反対側でクリップ本体33と対向するように設けられるクランプアーム部34と、クリップ本体33の一方の端部とは反対側の他方の端部から台車本体12に向けて延びるフック部35と、クリップ本体33の一方の端部から台車本体12に向けて延びた凸部36と、凸部36の中央部に設けられる溝部37と、凸部36のクリップ本体33と接続している端部とは反対側の端部に設けられる爪部38と、を有する。
【0029】
クリップ本体33は、略平板状に形成され、外周面13と略平行になるように台車本体12の高さ方向Hに沿って延びている。クリップ本体33は、一方の端部の近傍に、シートケース15ないし厚手の台紙に貼付された広告32をクランプアーム部34側に向けて押し付けるように隆起した隆起部33Aを有する。
【0030】
クランプアーム部34は、全体として略「L」字形に折れ曲がった平板状をなしている。クランプアーム部34は、台車本体の載置面23と略平行な方向に延びた第1部分41と、第1部分41の先端から第1部分41と交差する方向に延びてクリップ本体33と対向している第2部分42と、を有する。第2部分42は、クリップ本体33に向けて凸になるように緩やかな「V」字状をなしている。第2部分42は、V字の底の部分に設けられクリップ本体33と当接している当接部42Aと、当接部42Aよりも先端側に設けられ作業者(店舗管理者)の指が掛けられる指掛部42Bと、を有する。クリップ部材14は、クリップ本体33の隆起部33Aとクランプアーム部34の当接部42Aとの間でシートケース15又は広告32を貼付した台紙を挟んで保持することができる(
図13参照)。
【0031】
フック部35は、台車本体12の載置面23又は当接片22に当接するように、載置面23と略平行に延びている。フック部35は、先端に行くにつれて厚さが小さくなるように先細り形状に形成されている。フック部35は、台車本体12の載置面23又は当接片22と係合し、クリップ部材14が外周面13から脱落することを防止できる。
【0032】
図10に示すように、凸部36は、クリップ本体33の一方の端部(下部)から台車本体12側に張り出すように形成されている。すなわち、凸部36は、クリップ本体33の一方の端部から上方に向けて略逆「U」字状に突出している。台車本体12に装着された際に、凸部36は、台車本体12の裏面24に設けられた凹部25内に差し込まれて保持される。
【0033】
図9に示すように、溝部37は、台車本体12の高さ方向Hに沿って延び、クリップ部材14の幅方向Wにおける中間部で凸部36を分断するように設けられている。溝部37は、その溝底とは反対側の端近部に面取部37Aを有する。溝部37は、これに差し込まれた第1リブ部26を内側に保持することができる。
【0034】
図10に示すように、爪部38は、凸部36の端部から台車本体12の内側に近づく方向に突出している。
図13に示すように、爪部38は、第2リブ部27の先端と係合することができる。爪部38は、外部からの衝撃等に起因して、クリップ部材14が上方向に浮き上がってしまうことを防止できる。
【0035】
続いて、
図11を参照して、台車本体12に対してクリップ部材14を着脱する方法について説明する。作業者(店舗管理者)は、台車本体12の裏面24側から、矢印で示すように上方に向けてクリップ部材14を差し込むことで、クリップ部材14をワンタッチで台車本体12に固定することができる。すなわち、作業者は、クリップ部材14の凸部36を台車本体12の凹部25に差し込むようにする。その際、溝部37の内側に第1リブ部26が配置されるようにクリップ部材14を差し込む。このとき、面取部37Aの作用によって、溝部37の内側に第1リブ部26が滑らかに案内され、クリップ部材14の差込みが円滑になされる。作業者がクリップ部材14の差込みを継続すると、フック部35が当接片22又は載置面23に係合し、爪部38が第2リブ部27の先端に係合する。これによって、台車本体12に対するクリップ部材14の装着が簡単に完了する。
【0036】
一方、台車本体12からクリップ部材14を取り外したい場合には、作業者は、フック部35を把持してクリップ本体33を台車本体12から引き離す方向に撓ませ、フック部35と当接片22又は載置面23との係合を解除し、その状態で台車本体12の凹部25から凸部36を引き抜くようにすることでクリップ部材14を台車本体12から簡単に取り外すことができる。
【0037】
続いて、
図12、
図13を参照して、本実施形態の台車11の作用について説明する。商店のバックヤードでは、台車11の載置面23に載置され、物品31同士が積み重ねられた状態で物品31(商品)がストックされている。物品31は、台車11上に3個以上積み重ねられていてもよい。バックヤードでは、クリップ部材14の破損を防止するために、必要に応じて台車本体12からクリップ部材14を取り外しておいてもよい。本実施形態の台車11に設置される物品31として好適なものは、ビール又は清涼飲料水等の飲料の缶又はボトルを複数収納した箱や、洗剤を複数収納した箱など、重量の大きな物品である。また、必要に応じて、トラック等の運搬車両から商店のバックヤードへの物品31の運搬に、本実施形態の台車11を用いてもよい。
【0038】
作業者(店舗管理者)は、このように物品31を載置した台車11をそのままバックヤードから商店内の陳列スペースに移動することで、物品31の品出しを極めて簡単にすることができる。なお、台車11の移動中には、物品31の1つの面が台車本体12の当接片22に当接するため、移動中に台車11上で物品31の位置がずれてしまうような不具合を生じることが極力防止される。
【0039】
作業者は、さらに、このように陳列スペースに移動した台車11(台車本体12)に対して、クリップ部材14が未装着である場合には、クリップ部材14を装着する。台車本体12にクリップ部材14がすでに装着されている場合には、その作業は不要となる。
【0040】
このクリップ部材14に対して、物品31の価格、商品名、性質等を記載したシート状の広告32を差し込んだシートケース15を装着することで、
図12に示すような状態にすることができる。このように、物品31を載置した台車11を商店内の希望の陳列スペースに置き、シートケース15を装着することで極めて簡単且つ短時間に物品31の陳列が完了する。これによって、品出しをする作業者(店舗管理者)の作業負担が著しく低減される。
【0041】
また、
図13に示すように、フック部35が当接片22又は載置面23のいずれかに係合しているために、意図せずにクリップ部材14が台車本体12の外周面13から脱落してしまうことが防止される。また、凸部36が凹部25の底に当接し、爪部38が第2リブ部27の先端に係合している。このため、外部からの衝撃等によってクリップ部材14が上方に持ち上げられることで台車本体12の外周面13から脱落してしまうような事態が防止される。
【0042】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。台車11は、物品31が載置される載置面23と、載置面23に隣接した外周面13と、を有する台車本体12と、外周面13に設けられシート状の広告32を支持可能なクリップ部材14と、を備える。
【0043】
この構成によれば、物品31の運搬に用いた台車11をそのまま陳列台として用いることができるため、店舗管理者の作業負担を著しく低減できる。特に、物品31が重量物である場合に、物品を台車から陳列棚に移し替える作業を省略でき、店舗管理者の作業負担の低減に著しい効果がある。また、外周面13に設けられたクリップ部材14によってシート状の広告32を支持できる。このため、載置面23に物品31を載置して商店内で物品31を陳列するに際し、物品31とともに広告の吊下げ具を載置面23に乗せ込んで使用する必要がない。このため、物品31を陳列するために、載置面23上に十分に広いスペースを確保することができる。
【0044】
台車本体12は、クリップ部材14の近傍で、載置面23から上方に突出するように設けられ、載置面23に載置された物品31の1つの面と当接可能な当接片22を有する。当接片22は、クリップ部材14が設けられた外周面13に沿って直線的に延びていることが好ましい。
【0045】
この構成によれば、持ち手のない台車11とともに物品31を運搬する際には、店舗管理者は、物品31を押すことで台車11を前進させることとなる。この構成によれば、当接片22を介して物品31を前方に押す力を台車11にも伝達することができる。これによって、店舗管理者が物品31を押した際に、台車11がついてこないために物品31が台車から落下するという不具合を生じることを防止できる。また、陳列スペースに台車11を設置している状態で、何らかの外的要因によって、載置面23に載置された物品31がシート状の広告32に向けて移動しようとする際に、当接片22によって移動する物品31からシート状の広告32を保護することができる。これによって、載置面23上を動く物品31によってシート状の広告32を破損してしまう不具合を生じることを防止できる。さらに、外周面13に沿って直線的に延びた当接片22を設けた場合には、店舗管理者は、載置面23上の物品31を台車本体12の外周面13に沿って並べることができる。これによって、台車11上に物品31を整然と並べることができ、陳列された物品31の体裁を良好にできる。
【0046】
クリップ部材14は、外周面13に対して着脱可能である。この構成によれば、クリップ部材14を設置する必要がないときに、クリップ部材14を台車本体12から取り外すことができる。これによって、例えば、台車11を移動中に誤ってこの台車11を他の台車や商店内の構造物(壁等)にぶつけてしまった際に、クリップ部材14を破損してしまう不具合を生じることを防止できる。
【0047】
クリップ部材14は、透光性を有する。この構成によれば、クリップ部材14によってシート状の広告32の一部を隠してしまう不具合を防止できる。
【0048】
クリップ部材14に直接的に支持される透光性のシートケース15であって、シート状の広告32を内側に収納可能な平板状のシートケース15を備える。
【0049】
この構成によれば、シートケース15によって広告32が折れ曲がらないように保持できる。また、外的な要因(商店内を移動するカートやその他の物品との衝突等)によって広告32が破損してしまうことを防止できる。
【0050】
クリップ部材14は、載置面23に引っかかるためのフック部35を有する。この構成によれば、クリップ部材14が台車本体12の外周面13から落下してしまうことを防止できる。
【0051】
クリップ部材14は、台車本体12の載置面23とは反対側の裏面24の凹部25に対して差し込み可能な凸部36を有する。この構成によれば、外周面13に設けたクリップ部材14が、外周面13から脱落し難い構造を実現できる。
【0052】
台車本体12は、裏面24の凹部25内に設けられ外周面13と交差する方向に延びた第1リブ部26を有し、凸部36は、第1リブ部26を差し込み可能な溝部37を有する。この構成によれば、溝部37に対して第1リブ部26が差し込まれる構造によって、外周面13に沿ってクリップ部材14が移動してしまうことを防止できる。これによって、クリップ部材14から広告32が脱落してしまうような不具合を生じることを極力防止できる。
【0053】
台車本体12は、裏面24の凹部25内に設けられた第2リブ部27であって、第1リブ部26と交差する方向に延びる第2リブ部27を有し、凸部36は、第2リブ部27の先端に係合する爪部38を有する。この構成によれば、外的要因によってクリップ部材14が上方に持ち上げられてしまうことを防止できる。このため、クリップ部材14の持ち上がりに起因してクリップ部材14が台車本体12から脱落したり、クリップ部材14から広告32が脱落したりしてしまうような不具合を生じることを防止できる。
【0054】
外周面13は、第1側面13Aと、第1側面13Aよりも面積の大きい第2側面13Bと、を有し、クリップ部材14は、第1側面13Aに設けられる。この構成によれば、外周面13のうち、いわゆる短辺側にクリップ部材14を配置することができる。これによって、台車11の間口を小さくするように、広告32を配置することができる。このため、スペースに限りがある商店内において、多数の物品31を台車11に乗せて陳列することができる。
【0055】
以下の実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第2実施形態]
【0056】
図14を参照して、第2実施形態の台車11について説明する。
【0057】
クリップ部材14は、外周面13の第2側面13Bに対して着脱可能に設けられている。クリップ部材14は、キャスター部21から外れた位置で、第2側面13Bに対して取り付けられている。クリップ部材14の構造は、第1実施形態と同様である。クリップ部材14のフック部35は、台車本体12の載置面23と係合している。クリップ部材14の凸部36は、台車本体12の裏面24の凹部25に対して差し込まれている。溝部37の内側に、第1実施形態の台車本体12に追加するように設けた第1リブ部26が差し込まれている。クリップ部材14の爪部38は、第2リブ部27の先端と係合している。
【0058】
シートケース15(カードケース)は、第2側面13Bに取り付けられたクリップ部材14に対して装着されている。
【0059】
本実施形態によれば、間口の広い第2側面13Bに広告を収納したシートケース15を固定することができる。このため、広告32(POP広告)を目立つように設置することができ、顧客に対する訴求力の大きな広告32の設置手法を実現できる。
[第3実施形態]
【0060】
図15を参照して、第3実施形態の台車11について説明する。
【0061】
台車本体12は、当接片22を有していない。クリップ部材14の構造は、第1実施形態と同様である。クリップ部材14のフック部35は、台車本体12の載置面23と係合している。クリップ部材14の凸部36は、台車本体12の裏面24の凹部25に対して差し込まれている。クリップ部材14の凸部36と、台車本体12の裏面24の凹部25の底との間には、隙間が形成されている。クリップ部材14の爪部38は、第2リブ部27の先端と係合している。
【0062】
本実施形態の台車11の作用について説明する。本実施形態のように、凸部36と凹部25の底との間に隙間が形成されている場合でも、爪部38が第2リブ部27の先端に係合しているために、衝撃等の外的な要因によってフック部35が持ち上げられ、その結果、フック部35が台車本体12から脱落してしまうような不具合を生じることを防止できる。
【0063】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。また、上記実施形態同士を適宜に組み合わせて発明を実現することも当然にできる。例えば、第1実施形態のクリップ部材14およびシートケース15に加えて、第2実施形態のクリップ部材14およびシートケース15を採用し、台車本体12の第1側面13Aと第2側面13Bとの両方に広告32を設置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
11 台車
12 台車本体
13 外周面
13A 第1側面
13B 第2側面
14 クリップ部材
15 シートケース
22 当接片
23 載置面
24 裏面
25 凹部
26 第1リブ部
27 第2リブ部
31 物品
32 広告
35 フック部
36 凸部
37 溝部
38 爪部