(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】角芯、ハンドルユニット、ハンドル取付け構造
(51)【国際特許分類】
E05B 3/10 20060101AFI20240528BHJP
E05B 1/00 20060101ALI20240528BHJP
E05B 3/04 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
E05B3/10
E05B1/00 311H
E05B3/04 B
(21)【出願番号】P 2021114481
(22)【出願日】2021-07-09
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】592114703
【氏名又は名称】株式会社ベスト
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真澄
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実公平7-35059(JP,Y2)
【文献】特開2012-62708(JP,A)
【文献】特開2012-67497(JP,A)
【文献】特開2016-211278(JP,A)
【文献】特開平7-217267(JP,A)
【文献】特開平8-13860(JP,A)
【文献】特開平8-170454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠ケースの角孔に挿入され、当該角孔の外側に突出する部分にハンドルが取り付けられる角芯において、
角芯本体と可動体
と止め具を備え、
前記角芯本体は前記可動体が収容される収容溝と第一開口部を備え、
前記可動体は
、第一当接部
と、前記止め具によって押されたときに、角芯本体に設けられた規制部、錠ケースの角孔の内面又はハンドルの挿入孔の内面に当接する第二当接部を備え、
前記第一開口部は前記可動体の押込み方向先方側に設けられ、
前記収容溝内の可動体が第一開口部の開口方向に押されると、当該可動体の第一当接部が当該第一開口部から突出して前記錠ケースの角孔の内面に押し付けられる、
ことを特徴とする角芯。
【請求項2】
請求項
1記載の角芯において、
可動体は押され部を備え、
前記可動体は、押され部が角芯本体の長手方向半分よりも一方側に位置し、第二当接部が当該角芯本体の長手方向半分よりも他方側に位置するように収容溝に収容された、
ことを特徴とする角芯。
【請求項3】
請求項
2記載の角芯において、
可動体は角芯本体の長手方向に長い薄板状であり、
押され部は、前記可動体を収容溝に収容した際に当該収容溝の入口側に位置する側であって、前記薄板状の可動体の長手方向半分よりも一方側の位置に設けられ、
第二当接部は、前記可動体を収容溝に収容した際に当該収容溝の入口側に位置する側であって、当該可動体の長手方向半分よりも他方側に設けられ、
第一当接部は、前記可動体を収容溝に収容した際に当該収容溝の天井側に位置する側であって、前記押され部と前記第二当接部との中間に設けられた、
ことを特徴とする角芯。
【請求項4】
錠ケースの角孔に挿入される角芯と、当該角芯に取り付けられるハンドルを備えたハンドルユニットにおいて、
前記角芯が請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の角芯である、
ことを特徴とするハンドルユニット。
【請求項5】
戸本体に錠ケースが内蔵され、当該錠ケースの角孔に角芯が挿入され、当該角芯にハンドルが取り付けられたハンドル取付け構造において、
前記角芯が請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の角芯である、
ことを特徴とするハンドル取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルの取付けに用いる角芯と、当該角芯を備えたハンドルユニットと、当該角芯を用いたハンドルの取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
戸本体にレバーハンドル等のハンドルを取り付ける際には、角芯が用いられる。角芯は戸本体に内蔵される錠ケースの角孔に挿入され、角孔よりも外側に突出した部分にハンドルが固定される。
【0003】
錠ケースの角孔は、角芯をスムーズに挿入できるように、角孔と角芯の間に若干の隙間(クリアランス)が確保されるように設計されている。ところが、角孔と角芯の間に隙間があることによって角孔内で角芯ががたつくことがあり、その改善策の提案が求められている。
【0004】
従来、角孔内でのがたつきを防止する角芯として、一対の角軸の間に二枚の板バネが配置されたもの(特許文献1)や、角芯本体に設けられた有底溝内に板状体が回動自在に軸支されたもの(特許文献2)などが知られている。
【0005】
前記特許文献1の角芯は、一対の角軸と両角軸の間に配置される二枚の板バネを備えている。この角芯では、レバーハンドルを固定するセットねじの先端で両折曲片が押し込まれると、両折曲片の間の圧接部が角孔の内周に押し付けられ、角芯のがたつきが防止されるように構成されている。
【0006】
前記特許文献2の角芯は、有底溝を有する角芯本体と有底溝内に収まる板状体を備えている。この角芯では、有底溝から突出した板状体の一端側をネジで押し込んで板状体を回動させると、板状体の他端側が角孔の内周に押し付けられ、角芯のがたつきが防止されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平6-33641号公報
【文献】特開2016-211278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1の角芯については板状体の軸孔と角芯の軸孔の位置合わせが必要である点など、前記特許文献2の角芯については部品点数が多い点など、いずれも依然として改善の余地が残されている。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、角孔内でがたつきにくい角芯と、当該角芯を備えたハンドルユニットと、当該角芯を用いたハンドルの取付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[角芯]
本発明の角芯は、錠ケースの角孔に挿入され、当該角孔の外側に突出する部分にハンドルが取り付けられるものであって、角芯本体と可動体と止め具を備えている。角芯本体は、可動体が収容される収容溝と、収容溝に収容された可動体の一部が突出する第一開口部を備え、可動体は、第一当接部と、止め具によって押されたときに、角芯本体に設けられた規制部、錠ケースの角孔の内面又はハンドルの挿入孔の内面に当接する第二当接部を備えている。第一開口部は、可動体の押込み方向先方側に設けられ、収容溝内の可動体が第一開口部の開口方向に押されると、可動体の第一当接部が第一開口部から突出して錠ケースの角孔の内面に押し付けられるように構成されている。
【0011】
[ハンドルユニット]
本発明のハンドルユニットは、錠ケースの角孔に挿入される角芯と、当該角芯に取り付けられるハンドルを備えたものであって、角芯として本発明の角芯を備えたものである。
【0012】
[ハンドル取付け構造]
本発明のハンドル取付け構造は、戸本体に錠ケースが内蔵され、当該錠ケースの角孔に角芯が挿入され、当該角芯にハンドルが取り付けられた構造であって、角芯として本発明の角芯を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の角芯は、可動体の第一当接面が角孔の内面に押し付けられるように構成されているため、角孔内でがたつきが生じにくい。本発明の角芯を備えたハンドルユニットやハンドル取付け構造についても同様の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明のハンドルユニットと戸本体の一部を示す説明図。
【
図2】(a)は本発明の角芯の一例を示す説明図、(b)は(a)の詳細説明図。
【
図3】(a)は本発明の角芯の一例を示す平面図、(b)は(a)の正面図、(c)は(a)の底面図。
【
図4】(a)は
図2(b)に示す角芯の断面図、(b)は(a)のIVb部拡大図。
【
図5】(a)は本発明の角芯の他例を示す正面図、(b)は(a)の角芯の使用状態を説明する断面図。
【
図6】本発明のハンドルユニットの一例を示す分解説明図。
【
図7】(a)は止め具をねじ込む前の断面説明図、(b)は止め具をねじ込んだ状態の断面説明図。
【
図8】(a)は
図7(a)のVIIIa部拡大図、(b)は
図7(b)のVIIIb部拡大図。
【
図9】(a)は止め具をねじ込む前の可動体の位置を示す断面図、(b)は止め具をねじ込んだ状態の可動体の位置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(角芯の実施形態)
本発明の角芯10の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の角芯10は戸本体Dに内蔵された錠ケースCの角孔C1(より具体的には、錠ケースC内に内蔵されたハブC2の角孔C1)に挿入して使用するものであって、角孔C1よりも外側に突出した部分(角芯10の長手方向両端側の部分)にレバーハンドル21、22が取り付けられるように構成されている。
【0016】
図2(a)(b)に示すように、この実施形態の角芯10は、角芯本体11と可動体12を備えている。
図3(a)~(c)に示すように、角芯本体11は第一周面11a、第二周面11b、第三周面11c、第四周面11d、第一端面11e及び第二端面11fを備えた棒状部材である。
【0017】
第一周面11aと第二周面11bの間には第一長辺11gが、第二周面11bと第三周面11cの間には第二長辺11hが、第三周面11cと第四周面11dの間には第三長辺11iが、第四周面11dと第一周面11aの間には第四長辺11jが設けられている。
【0018】
図4(a)に示すように、この実施形態の角芯本体11は、可動体12が収容される収容溝11kと、収容溝11kと連通する第一開口部11mを備えている。収容溝11kは、角芯本体11の第一長辺11gの第一端面11e側から角芯本体11の全長の四分の三程度の位置までの範囲に形成されている。
【0019】
収容溝11kの内部の上方には、平坦天井部11n、第一傾斜天井部11p、第一開口部11m及び第二傾斜天井部11qが設けられている。収容溝11kのうち、平坦天井部11nの部分は可動体12の幅狭部12aが収まる部分(浅溝部)、第一傾斜天井部11p、第一開口部11m及び第二傾斜天井部11qの部分は可動体12の幅広部12bが収まる部分(深溝部)である。
【0020】
この実施形態では、第一周面11aと第二周面11bの一部が加締められ、可動体12の抜けを防止(規制)する規制部11r(
図4(b))が形成されている。規制部11rは収容溝11kの出し入れ口側であって、第一開口部11mと第二傾斜天井部11qの境目の直下付近に形成されている。規制部11rの形成位置はこれ以外であってもよい。
【0021】
第一当接部12eが角孔C1の内面に真っすぐに突き当たらない場合、第二当接部12h側が収容溝11kから抜け出して可動体12の突っ張り力が弱くなる可能性があるが、前述のような規制部11rを設けることで第二当接部12hの収容溝11kからの抜け出しが規制され、角芯10のがたつきが起こらない程度に第一当接部12eの突っ張り力を確保することができる。なお、規制部11rは必須の構成ではなく、不要な場合や他の構成で代替可能な場合には省略することもできる。
【0022】
収容溝11kが形成された第一長辺11gのうち、浅溝部の下側に位置する部分には凹陥部11sが設けられている。この凹陥部11sは、可動体12を第一開口部11m側に向けて押し込む止め具13(
図1)が収まる部分である。
【0023】
この実施形態の止め具13は、一方のレバーハンドル(以下「第一ハンドル」という)21を角芯本体11に固定する際に用いる止め具13と兼用であり、凹陥部11sは第一ハンドル21に形成されたネジ孔21b(
図7(a)(b))と連通する位置に設けられている。なお、角芯本体11には他方のレバーハンドル(以下「第二ハンドル」という)22を固定するための止めピン14を挿入するための角芯側ピン孔11tが設けられている。
【0024】
角芯本体11の凹陥部11sよりも第一端面11e寄りの位置には、収容溝11k内の可動体12の脱落を防止するための抜け落ち防止部11uが設けられている。この実施形態の抜け落ち防止部11uは、角芯本体11(具体的には、角芯本体11の第一周面11aと第二周面11b)を加締めることによって形成されている。抜け落ち防止部11uは加締め以外の方法で形成することもできる。
【0025】
前記可動体12は、角芯本体11の収容溝11k内に収容される部材である。
図2(a)(b)に示すように、この実施形態の可動体12は角芯本体11の長手方向に長い薄板材であり、幅狭部12aと幅広部12bを備えている。幅狭部12aは収容溝11kの浅溝部に、幅広部12bは収容溝11kの深溝部に収容される部分である。
【0026】
図2(b)及び
図4(a)に示すように、可動体12の一方の辺(以下「可動体上側辺」という)は、平坦上辺部12c、第一傾斜上辺部12d、第一当接部12e及び第二傾斜上辺部12fを備えている。
【0027】
平坦上辺部12cは収容溝11k内の平坦天井部11nに突き当たる部分、第一傾斜上辺部12dは収容溝11k内の第一傾斜天井部11pに対向する部分、第一当接部12eは第一開口部11mから突出して錠ケースCの角孔C1の内面(より具体的には、ハブC2の内面)に突き当たる部分、第二傾斜上辺部12fは収容溝11k内の第二傾斜天井部11qに対向する部分である。
【0028】
可動体12の下側の辺(以下「可動体下側辺」という)は、押され部12gと第二当接部12hを備えている。第二当接部12hには規制部11rが収まる嵌合溝12iが形成されている。押され部12gは止め具13の先端が当接する部分、第二当接部12hは規制部11rに当接する部分である。
【0029】
この実施形態では、押され部12gは、可動体12を収容溝11kに収容した際に収容溝11kの入口側に位置する側であって、可動体12の長手方向半分よりも一方側(
図4(a)の左側)に、第二当接部12hは、可動体12を収容溝11kに収容した際に収容溝11kの入口側に位置する側であって、可動体12の長手方向半分よりも他方側(
図4(a)の右側)に、第一当接部12eは、可動体12を収容溝11kに収容した際に収容溝11kの天井側に位置する側であって、押され部12gと第二当接部12hとの中間に設けられている。
【0030】
以上のように構成された角芯10は、止め具13によって収容溝11k内の可動体12が第一開口部11mの開口方向に押されると、可動体12の第一当接部12eが第一開口部11mから突出して錠ケースCの角孔C1の内面に押し付けられる。これにより、角芯本体11の第一周面11a及び第二周面11b、並びに第一当接部12eが角孔C1の内面に当接し、角芯10が角孔C1内の所定位置に固定される。
【0031】
なお、止め具13の締め付けによって押され部12gが押し上げられた際に、可動体12の他端側(第二当接部12h側)が収容溝11kの出し入れ口側に傾くことがあるが、この場合も、第二当接部12h側の傾きが規制部11rで規制され、第一当接部12eが角孔C1の内面に突っ張る力は確保されるため、角芯10ががたつくことなく、角孔C1内の所定位置に固定される。
【0032】
(角芯のその他の実施形態)
前記実施形態では、第二当接部12hが角孔C1の内面に当接する場合を一例としているが、可動体12の形状を
図5(a)(b)のように変更し、第二当接部12hが第二ハンドル22の挿入孔(以下「第二挿入孔」という)22aの内面に当接するようにすることもできる。この場合、第一当接部12eが角孔C1の上側の内面に、第二当接部12hが第二ハンドル22の第二挿入孔22aの内面に突き当たり、その突っ張り力によって角芯10のがたつきが防止される。
【0033】
前記実施形態の角芯10は一例であり、本発明の角芯10の構成は前記実施形態の構成に限定されるものではない。本発明の角芯10は、所期の目的を達成できる範囲で、構成の追加、省略、入れ替え等の変更を加えることができる。
【0034】
(ハンドルユニットの実施形態)
次に、本発明のハンドルユニットの実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明のハンドルユニットは、錠ケースC内に内蔵されたハブC2(
図8(a)(b))の角孔C1に挿入される角芯10と、角芯10に取り付けられるレバーハンドル21、22を備えたものである。
【0035】
この実施形態では、角芯10として本発明の角芯10を用いている。角芯10については、前記角芯の実施形態で説明済みであるため、その説明を省略する。
【0036】
角芯10の長手方向一端側に取り付けられるレバーハンドル(第一ハンドル21)は、角芯10を挿入するための挿入孔(以下「第一挿入孔」という)21aと、角芯10に第一ハンドル21を固定するための止め具13用のネジ孔21bを備えている。ネジ孔21bは角芯本体11に形成された凹陥部11sと連通する位置に設けられている。
【0037】
この実施形態の止め具13は、角芯10の可動体12を押し込むためのネジと兼用であり、当該ネジ孔21bにねじ込んだ止め具13によって、可動体12が第一開口部11m側に押されるようにしてある。
【0038】
第一ハンドル21と同様、他方のレバーハンドル(第二ハンドル22)も、角芯10を挿入するための第二挿入孔22aと、角芯10に第二ハンドル22を固定するための止めピン14用のハンドル側ピン孔(図示しない)を備えている。角芯10に第二ハンドル22を被せた状態で止めピン14をハンドル側ピン孔及び角芯側ピン孔11tに挿入することによって、第二ハンドル22が角芯10に固定される。
【0039】
なお、この実施形態の第一ハンドル21と第二ハンドル22は、それぞれの根元側に配置される取付け座21c、22cを介して戸本体Dに取り付けられる。
【0040】
(ハンドルユニットのその他の実施形態)
前記実施形態では、ハンドルがレバーハンドルの場合を一例としているが、ハンドルはレバーハンドル以外であってもよい。
【0041】
前記実施形態では、角芯10の長手方向両端側にハンドルが取り付けられる場合を一例としているが、ハンドルは角芯10の長手方向一端側にのみ取り付けられるようにすることもできる。
【0042】
前記実施形態では、角芯側ピン孔11t及びハンドル側ピン孔に止めピン14を差し込んで第二ハンドル22を角芯10に固定する場合を一例としているが、第二ハンドル22は止めピン以外の手段で角芯10に固定することもできる。
【0043】
前記実施形態のハンドルユニットは一例であり、本発明のハンドルユニットの構成は前記実施形態の構成に限定されるものではない。本発明のハンドルユニットは、所期の目的を達成できる範囲で、構成の追加、省略、入れ替え等の変更を加えることができる。
【0044】
(ハンドルユニットの取付け手順)
次に、本実施形態のハンドルユニットの取付け手順について説明する。
(1)第二ハンドル22の第二挿入孔22a内に角芯10の第二端面11f側を差し込んだのち、止めピン14をハンドル側ピン孔及び角芯側ピン孔11tに差し込み、角芯10に第二ハンドル22を固定する。
(2)第二ハンドル22と一体になった角芯10を錠ケースCの角孔C1の一端側から挿入し他端側に突出させる。
(3)他端側に突出した角芯C1の第一端面11e側に第一ハンドル21を被せ、その状態で止め具13をネジ孔21bに螺合する。このとき、止め具13を奥までねじ込んで可動体12の押され部12gを押込み、可動体12の第一当接部12eを第一開口部11mから突出させて角孔C1の内面に当接させる。
(4)以上の工程によって、錠ケースCの角孔C1内に角芯10が固定されると共に、当該角芯10の長手方向両端側に第一ハンドル21及び第二ハンドル22が固定される。
【0045】
上記(1)~(4)では説明を省略しているが、第一ハンドル21及び第二ハンドル22は、各ハンドルの根元側に配置された取付け座21c、22cを介して戸本体Dに固定される。
【0046】
上記(1)~(4)の取付け手順は一例であり、本実施形態のハンドルユニットは、これ以外の手順で取り付けることもできる。いずれの場合も、止め具13によって可動体12を押し込み、第一当接部12eを第一開口部11mから突出させて角孔C1の内面に当接させることで、角孔C1内での角芯10のがたつきを防止することができる。
【0047】
(ハンドル取付け構造の実施形態)
最後に、本発明のハンドル取付け構造の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。一例として
図7(a)(b)及び
図8(a)(b)に示すハンドル取付け構造は、戸本体Dに錠ケースCが内蔵され、錠ケースCの角孔C1(より詳細には、錠ケースCに内蔵されたハブC2の角孔C1)に角芯10が挿入され、その角芯10の長手方向両端側にレバーハンドル21、22が取り付けられたものである。
【0048】
この実施形態では、戸本体Dとして木製のものを用いている。戸本体Dは、木製のほか、アルミ製やステンレス製、樹脂製、スチール製、ポリ合板製等、各種材質製のものとすることもできる。戸本体Dの大きさや形状は特に限定されない。
【0049】
図7(a)(b)及び
図8(a)(b)に示すように、戸本体Dの内部には錠ケースCが内蔵されている。錠ケースCは、錠前の機構が内蔵された薄型の箱部材である。この実施形態の錠ケースC内には、角孔C1を備えたハブC2が内蔵されている。ハブC2に形成された角孔C1は、角芯本体11が収まる広さの菱形孔であり、角部が上下及び左右に位置するようにしてある。錠ケースCには、既存の錠ケースCを用いることができる。
【0050】
錠ケースCの角孔C1には、角芯10として本発明の角芯10が挿入されている。角芯10については、前記角芯の実施形態で説明済みであるため説明を省略する。
【0051】
図9(a)(b)に示すように、角芯10は収容溝11kが下側に位置する向きで挿入されている。角孔C1に挿入された角芯10は、その長手方向両端側が戸本体Dの前面及び背面に突出し、その突出部分にレバーハンドル21、22が取り付けられている。
【0052】
この実施形態では、角芯10のうち戸本体Dの一方に突出した部分に第一ハンドル21が、他方に突出した部分に第二ハンドル22が固定されている。この実施形態では、第一ハンドル21及び第二ハンドル22として、L字状のレバーハンドルが固定されている。第一ハンドル21及び第二ハンドル22は、根元側に配置された取付け座21c、22cを介して戸本体Dに固定されている。第一ハンドル21及び第二ハンドル22の構成は、前記ハンドルユニットの実施形態で説明済みであるため説明を省略する。
【0053】
第一ハンドル21は止め具13がネジ孔21bに螺合されることによって角芯10に固定され、第二ハンドル22は第二ハンドル22のハンドル側ピン孔と角芯本体11の双方の角芯側ピン孔11tに止めピン14が挿入されることによって角芯10に固定されている。
【0054】
図9(a)(b)に示すように、この実施形態では、第一当接部12eが第一開口部11mから突出して角孔C1の内面に突き当たると共に、角芯本体11の第一周面11a及び第二周面11bが角孔C1の下側の内面に当接することで、角芯本体11と可動体12が角孔C1の内面に突っ張り、がたつきがなくなる。
【0055】
仮に可動体12が真っすぐに押し込まれず、第一当接部12eが角孔C1の内面に真っすぐに突き当たらない場合でも、第一当接部12eの一部が角孔C1の内面に突き当たると共に、第二当接部12hが規制部11rに突き当たることで、角芯10が角孔C1の内面に突っ張り、がたつきがなくなる。この場合、押され部12gが力点、第二当接部12hと規制部11rの当接部分が支点、第一当接部12eと角孔C1の内面の当接部分が作用点となる。
【0056】
(ハンドル取付け構造のその他の実施形態)
前記実施形態では、
図2(a)(b)及び
図3(a)~(c)に示す角芯10を用いる場合を一例としているが、
図5(a)に示す可動体12を備えた角芯10を用いる場合、
図5(b)のように、第一当接部12eが角孔C1の上面側に突き当たると共に、第二当接部12hが第二ハンドル22の第二挿入孔22aの内面に突き当たることで、角芯10が角孔C1の内面に突っ張り、がたつきがなくなる。
【0057】
この場合、押され部12gが力点、第二当接部12hと第二挿入孔22aの当接部分が支点、第一当接部12eと角孔C1の内面の当接部分が作用点となる。
【0058】
前記実施形態のハンドル取付け構造は一例であり、本発明のハンドル取付け構造の構成は、前記実施形態の構成に限定されるものではない。本発明のハンドル取付け構造は、所期の目的を達成できる範囲で、構成の追加、省略、入れ替え等の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0059】
10 角芯
11 角芯本体
11a 第一周面
11b 第二周面
11c 第三周面
11d 第四周面
11e 第一端面
11f 第二端面
11g 第一長辺
11h 第二長辺
11i 第三長辺
11j 第四長辺
11k 収容溝
11m 第一開口部
11n 平坦天井部
11p 第一傾斜天井部
11q 第二傾斜天井部
11r 規制部
11s 凹陥部
11t 角芯側ピン孔
11u 抜け落ち防止部
12 可動体
12a 幅狭部
12b 幅広部
12c 平坦上辺部
12d 第一傾斜上辺部
12e 第一当接部
12f 第二傾斜上辺部
12g 押され部
12h 第二当接部
12i 嵌合溝
13 止め具
14 止めピン
21 レバーハンドル(第一ハンドル)
21a 挿入孔(第一挿入孔)
21b ネジ孔
21c 取付け座
22 レバーハンドル(第二ハンドル)
22a 挿入孔(第二挿入孔)
22c 取付け座
C 錠ケース
C1 角孔
C2 ハブ
D 戸本体