(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】欠点撮像装置およびそこで用いられる詳細撮像装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
G01N21/892 A
(21)【出願番号】P 2023035152
(22)【出願日】2023-03-08
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】591114641
【氏名又は名称】株式会社ヒューテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池太 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真一
(72)【発明者】
【氏名】藤原 力哉
(72)【発明者】
【氏名】平田 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】井関 紗千子
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-240805(JP,A)
【文献】特開2017-152580(JP,A)
【文献】国際公開第2016/121878(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112798298(CN,A)
【文献】国際公開第2016/158873(WO,A1)
【文献】特開2007-218629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
G06T 7/00-G06T 7/90
H01L 21/64-H01L 21/66
H04N 23/00-H04N 23/959
H04N 25/00-H04N 25/79
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ定められた動作方向に動作する被検査対象を撮像する撮像部と、
前記被検査対象の前記動作方向の動作下流側で前記被検査対象を撮像する詳細撮像部と、
前記撮像部の画像から前記被検査対象の欠点を選択し、該欠点の画像に基づいて撮像基準を算出して、前記詳細撮像部が前記撮像基準を含む範囲を撮像するように、前記詳細撮像部に撮像のための撮像信号を送信する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記欠点が2以上選択され、かつ該2以上の欠点が互いに近接していると前記制御装置が判断した場合に、前記2以上の欠点のうち互いに近接していると判断された2以上の欠点の画像に基づいて算出された合成撮像基準を用いた前記撮像信号を、
前記2以上の欠点を同時に撮像するために前記詳細撮像部に送信する、
ことを特徴とする欠点撮像装置。
【請求項2】
前記詳細撮像部の撮像のための照明装置を備え、
前記制御装置は、前記合成撮像基準に基づいて前記照明装置を発光させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の欠点撮像装置。
【請求項3】
前記撮像基準が、前記欠点の外接矩形から求められ、
前記合成撮像基準が、それぞれの前記欠点の前記撮像基準から求められている、
ことを特徴とする請求項1に記載の欠点撮像装置。
【請求項4】
前記撮像基準が、前記欠点の外接矩形から求められており、
前記合成撮像基準が、前記2以上の欠点の外接矩形から求められている、
ことを特徴とする請求項1に記載の欠点撮像装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記2以上の欠点の撮像基準の距離に基づいて、前記2以上の欠点が互いに近接していると判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の欠点撮像装置。
【請求項6】
前記詳細撮像部は、2以上の撮像装置を含んで構成されており、
前記制御装置は、前記撮像部からの前記撮像信号の対象となった前記欠点を、前記詳細撮像部を構成する2以上の撮像装置のうち少なくとも2台を用いてそれぞれ撮像する、
ことを特徴とする請求項1に記載の欠点撮像装置。
【請求項7】
前記詳細撮像部は、2以上の撮像装置を含んで構成されており、
前記制御装置が、
前記2以上の欠点が、前記動作方向にのみ近接し、前記動作方向と垂直な方向にあらかじめ定められた距離だけ離間していると判断した場合、
前記制御装置は、前記2以上の撮像装置のうち、少なくとも2台を用いて、前記合成撮像基準に基づいて、前記2以上の欠点を同時にそれぞれ撮像する、
ことを特徴とする請求項1に記載の欠点撮像装置。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記欠点のうち、あらかじめ定められた長さ以上の欠点を、
前記合成撮像基準を算出するための、前記2以上の欠点には含めない、
ことを特徴とする請求項1に記載の欠点撮像装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記欠点のうち、あらかじめ定められた面積以上の欠点を、
前記合成撮像基準を算出するための、前記2以上の欠点には含めない、
ことを特徴とする請求項1に記載の欠点撮像装置。
【請求項10】
あらかじめ定められた動作方向に動作する被検査対象を撮像する撮像部を備えた欠点撮像装置に用いられる詳細撮像装置であって、
該詳細撮像装置は、
詳細撮像部と、
前記撮像部の画像に基づいて欠点の撮像基準を含む範囲を撮像するための撮像信号を受信する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記欠点が2以上選択され、かつ該2以上の欠点が互いに近接していると前記制御装置が判断した場合に、前記2以上の欠点のうち互いに近接していると判断された2以上の欠点の画像に基づいて算出された合成撮像基準を用いた前記撮像信号を、
前記2以上の欠点を同時に撮像するために前記詳細撮像部に送信する、
ことを特徴とする詳細撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠点撮像装置およびそこで用いられる詳細撮像装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、下流側の撮像装置により欠点を詳細に撮像する欠点撮像装置およびそこで用いられる詳細撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、連続鋳造スラブなどの移動する被検査対象を撮像する一次元ラインカメラと、その移動する物体の動作方向の下流側において、その物体の欠点を撮像する二次元カメラと、を含む表面欠陥検査装置が開示されている。このような構成とすることで、一次元ラインカメラで長尺の被検査対象の全体を撮像して検査を行うことができると共に、一次元ラインカメラで撮像された画像に欠点が存在した場合、その欠点を高解像度の二次元カメラで撮像することができる。これにより被検査対象の全体を撮像しながら、欠点については高解像度の画像で詳細な情報を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、上記の表面欠陥検査装置の下流側のカメラでは、被検査対象を詳細にとらえる必要があるため、下流側のカメラのシャッタを開けた状態を保持し、その上で下流側のカメラの視野を通る際に光量の大きな検査光を照明装置から短時間だけ照射する。そうすると欠点が、被検査対象の動作方向の軸を基準として近接している場合、シャッタを開けた状態が保持され、連続して照明装置から検査光が照射されることとなり、この場合、同じ欠点の画像が2度取り込まれるという問題がある。また、短時間に大きな電流を流すことから、このような光量の大きな検査光を高速に連続照射することは困難である。さらには、仮に実現できたとしても、装置コストが大幅に増加してしまう。
【0005】
また、表面欠陥検査装置では、下流側のカメラは高解像度となるためデータ量が大きくなり、撮影をしたあと、そのデータを伝送、保存等するのに所定の時間を要する。欠点同士が被検査対象の動作方向の軸だけでなく、動作方向に垂直な軸を基準として近接している場合は、理想的には下流側の同じカメラで撮影することとなるが、データを伝送、保存等している間、下流側のカメラは次の撮影を行うことができない。すなわち、2以上の欠点が被検査対象に存在し、その欠点が、被検査対象の動作方向の軸と、その動作方向に垂直な軸の両方を基準として、それぞれに近接していた場合、下流側のカメラの撮像位置に、最初に到達した欠点については、問題なく撮像することができるが、次に到達した欠点については、撮影を行うことができず、詳細な画像データを取得できないという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、詳細撮像をすべき欠点が近接していた場合でも、それらの欠点の撮像を確実に行うことができる欠点撮像装置および詳細撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の欠点撮像装置は、あらかじめ定められた動作方向に動作する被検査対象を撮像する撮像部と、前記被検査対象の前記動作方向の動作下流側で前記被検査対象を撮像する詳細撮像部と、前記撮像部の画像から前記被検査対象の欠点を選択し、該欠点の撮像基準を算出して、前記詳細撮像部が前記撮像基準を含む範囲を撮像するように、前記詳細撮像部に撮像のための撮像信号を送信する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記欠点が2以上選択され、かつ該2以上の欠点が互いに近接していると前記制御装置が判断した場合に、前記2以上の欠点のうち互いに近接していると判断された2以上の欠点の画像に基づいて算出された合成撮像基準を用いた前記撮像信号を、前記2以上の欠点を同時に撮像するために前記詳細撮像部に送信することを特徴とする。
第2発明の欠点撮像装置は、第1発明において、前記詳細撮像部の撮像のための照明装置を備え、前記制御装置は、前記合成撮像基準に基づいて前記照明装置を発光させることを特徴とする。
第3発明の欠点撮像装置は、第1発明において、前記撮像基準が、前記欠点の外接矩形から求められ、前記合成撮像基準が、それぞれの前記欠点の前記撮像基準から求められていることを特徴とする。
第4発明の欠点撮像装置は、第1発明において、前記撮像基準が、前記欠点の外接矩形から求められており、前記合成撮像基準が、前記2以上の欠点の外接矩形から求められていることを特徴とする。
第5発明の欠点撮像装置は、第1発明において、前記制御装置は、前記2以上の欠点の撮像基準の距離に基づいて、前記2以上の欠点が互いに近接していると判断することを特徴とする。
第6発明の欠点撮像装置は、第1発明において、前記詳細撮像部は、2以上の撮像装置を含んで構成されており、前記制御装置は、前記撮像部からの前記撮像信号の対象となった前記欠点を、前記詳細撮像部を構成する2以上の撮像装置のうち少なくとも2台を用いてそれぞれ撮像することを特徴とする。
第7発明の欠点撮像装置は、第1発明において、前記詳細撮像部は、2以上の撮像装置を含んで構成されており、前記制御装置が、前記2以上の欠点が、前記動作方向にのみ近接し、前記動作方向と垂直な方向にあらかじめ定められた距離だけ離間していると判断した場合、前記制御装置は、前記2以上の撮像装置のうち、少なくとも2台を用いて、前記合成撮像基準に基づいて、前記2以上の欠点を同時にそれぞれ撮像することを特徴とする。
第8発明の欠点撮像装置は、第1発明において、前記制御装置は、前記欠点のうち、あらかじめ定められた長さ以上の欠点を、前記合成撮像基準を算出するための、前記2以上の欠点には含めないことを特徴とする。
第9発明の欠点撮像装置は、第1発明において、前記制御装置は、前記欠点のうち、あらかじめ定められた面積以上の欠点を、前記合成撮像基準を算出するための、前記2以上の欠点には含めないことを特徴とする。
第10発明の詳細撮像装置は、あらかじめ定められた動作方向に動作する被検査対象を撮像する撮像部を備えた欠点撮像装置に用いられる詳細撮像装置であって、該詳細撮像装置は、詳細撮像部と、前記撮像部の画像に基づいて欠点の撮像基準を含む範囲を撮像するための撮像信号を受信する制御装置を備え、前記制御装置は、前記欠点が2以上選択され、かつ該2以上の欠点が互いに近接していると前記制御装置が判断した場合に、前記2以上の欠点のうち互いに近接していると判断された2以上の欠点の画像に基づいて算出された合成撮像基準を用いた前記撮像信号を、前記2以上の欠点を同時に撮像するために前記詳細撮像部に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、2以上の欠点が互いに近接していると制御装置が判断した場合に、それらの欠点の画像に基づいて算出された合成撮像基準を用いた撮像信号を、詳細撮像部に送信することにより、詳細撮像部は、その合成撮像基準に基づいて、近接した欠点全体を撮像することができるので、シャッタが開いている状態で、2度検査光が照射される事態を防止することができるとともに、詳細撮像部による欠点の撮像ができない場合を回避でき、詳細撮像をすべき欠点の撮像を確実に行うことができる。
第3発明によれば、合成撮像基準が、それぞれの欠点の撮像基準から求められていることにより、容易に合成撮像基準を求めるための計算負荷を低減できる。
第4発明によれば、合成撮像基準が、2以上の欠点の外接矩形から求められていることにより、外接矩形から中心を求めることは容易にできるので、制御装置の計算負荷を低減できる。
第5発明によれば、制御装置が、2以上の欠点の撮像基準に基づいて、2以上の欠点が互いに近接していると判断することにより、近接の基準がばらつくことを抑制でき、さらに詳細撮像をすべき欠点の撮像を確実に行うことができる。
第6発明によれば、詳細撮像部を構成する2以上の撮像装置により、欠点をそれぞれ撮像することにより、それらから得られた画像データを平均化等の処理を行って欠点の画像を鮮明にすることができ、欠点の種類がわかりやすくなる。
第7発明によれば、制御装置が、2以上の欠点が、動作方向にのみ近接し、動作方向と垂直な方向にあらかじめ定められた距離だけ離間していると判断した場合、合成撮像基準に基づいて、2以上の欠点を同時にそれぞれ撮像することにより、2以上の欠点を一回の照明装置の発光で行うことができ、シャッタが開いている状態で2度検査光が照射される事態を防止できる。
第8発明によれば、制御装置は、欠点のうちあらかじめ定められた長さ以上の欠点を、合成撮像基準を算出するための、前記2以上の欠点に含めないことにより、所定の長さ以上の欠点について、詳細な画像を撮像することを抑制でき、制御装置の計算負荷を低減できる。
第9発明によれば、制御装置は、欠点のうちあらかじめ定められた面積以上の欠点を、合成撮像基準を算出するための、前記2以上の欠点に含めないことにより、所定の面積以上の欠点について、詳細な画像を撮像することを抑制でき、制御装置の計算負荷を低減できる。
第10発明によれば、欠点撮像装置に用いられる詳細撮像装置の制御装置が、2以上の欠点が互いに近接していると判断した場合に、それらの欠点の画像に基づいて算出された合成撮像基準を用いた撮像信号を詳細撮像部に送信することにより、詳細撮像部は、その合成撮像基準に基づいて、近接した欠点全体を撮像することができるので、詳細撮像部による欠点の撮像ができない場合を回避でき、詳細撮像をすべき欠点の撮像を確実に行うことができる。また、1つの撮像部のみを有する欠点撮像装置に、本願の詳細撮像装置は用いることができるので、すでに稼働している装置に、後から機能を追加できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(A)従来の欠点撮像装置において欠点が近接した場合の説明図である。(B)本発明の実施形態に係る欠点撮像装置において、合成撮像基準を用いた場合の説明図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る欠点撮像装置の概略の構成を示す正面図である。
【
図3】
図2の欠点撮像装置の概略の構成を示す平面図である。
【
図4】
図2の欠点撮像装置のIV-断面における側面図である。
【
図5】
図2の欠点撮像装置において、合成撮像基準の算出に用いられた2以上の欠点が、被検査対象の動作方向にのみ近接した場合の説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る詳細撮像装置の概略の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための欠点撮像装置および詳細撮像装置を例示するものであって、本発明は欠点撮像装置および詳細撮像装置を以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさまたは位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。また、本明細書において、単に「欠点同士が近接する」との記載があった場合は、「欠点同士が被検査対象の動作方向の軸を基準として近接している場合」、すなわち「欠点同士が、動作方向にのみ近接し、動作方向と垂直な方向にあらかじめ定められた距離だけ離間している」と、「欠点同士が被検査対象の動作方向の軸、および動作方向に垂直な軸を基準として近接している場合」の両方を意味する。
【0011】
(被検査対象)
本発明に係る欠点撮像装置で検査される対象は、例えば長尺の被検査対象である。「長尺」とは、平面状の物体を考えたときに、その平面に平行でありかつ互いに直交する2つの座標について、一方の座標方向の長さが、他方の座標方向の長さの数倍以上である状態を言う。「長尺の被検査対象」は、検査する場所において、平面状であることが好ましい。具体的に長尺の被検査対象としては、フィルム11、金属、紙、フレキシブル基板などが該当する。以下の実施形態の説明では、
図2等に示すように、被検査対象はフィルム11であり、巻き出しロール12から巻き戻しロール13へ、連続的に移動するとして説明している。なお、被検査対象は、長尺である必要はない。例えば段ボールまたはシールなど矩形状のものも含まれる。さらには矩形以外の多角形、丸、楕円などの形状のものも被検査対象となり得る。
【0012】
(本発明の実施形態に係る欠点撮像装置10の構成)
図2には本発明の実施形態に係る欠点撮像装置10の概略の構成を示す正面図を、
図3にはその平面図を、
図4にはIV-断面における側面図を示す。これらの図面は、欠点撮像装置10のメイン部材のみを記載した概略図であり、他の詳細部分は省略している。また部材の間の実線は、電気的にこれらの部材が接続されていることを示し、破線は撮像部18、および詳細撮像部15の撮像装置16の撮像範囲を模式的に表している。
【0013】
本実施形態に係る欠点撮像装置10は、長尺の被検査対象を撮像する。そして好ましくは、その画像により欠点を抽出する。本実施形態では、長尺の被検査対象はフィルム11であり、このフィルム11は、巻き出しロール12から巻き戻しロール13へ連続的に移動している。なお、被検査対象の搬送方法はこれに限定されない。例えば、ベルトコンベア等で、枚葉方式で搬送される場合もある。
【0014】
本実施形態に係る欠点撮像装置10は、被検査対象を撮像する撮像部18を有する。この撮像部18は、長尺の被検査対象の幅方向の全てを撮像できることが好ましい。例えば撮像部18は、一次元ラインカメラであることが好ましい。被検査対象は、長尺の方向に動作しているので、撮像部18が長尺の被検査対象の幅方向の全てを撮像できることにより、撮像部18は被検査対象の全面を撮像することが可能となる。
【0015】
本実施形態に係る欠点撮像装置10は、被検査対象を撮像する詳細撮像部15を有する。この詳細撮像部15は、被検査対象の長尺の方向の動作下流側に位置している。例えば本実施形態では、被検査対象であるフィルム11は、巻き出しロール12から巻き戻しロール13へ動作する。この際に巻き出しロール12が位置する、動作の元側が動作上流側であり、巻き戻しロールが位置する、動作の先側が動作下流側である。
【0016】
図3および
図4に示すように、本実施形態に係る欠点撮像装置10では、詳細撮像部15は、7つの撮像装置16を含んでいる。この7つの撮像装置16は、被検査対象の幅方向に、同じ間隔で配置されている。そしてこれら7つの撮像装置16により被検査対象の幅方向の全てが撮像され得る。また
図4に示すように、撮像装置16それぞれの被検査対象の幅方向の撮像範囲は比較的広いので、隣接する撮像装置16により、被検査対象の全面にわたり、複数の撮像装置16により被検査対象を撮像することが可能である。すなわち、隣接する撮像装置16の視野は、相互に全領域でオーバーラップしている。なお、視野はその全領域がオーバーラップする場合に限定されない。例えばその一部がオーバーラップしていることもある。なお撮像装置16の個数または配置は本実施形態に示す方法に限定されない。例えば撮像装置16は2個以上であれば十分である場合がある。また、隣接する撮像装置16を互いに流れ方向に異なる位置、例えば千鳥配置にすることも可能である。
【0017】
撮像装置16は、エリアカメラであることが好ましい。また、撮像装置16は、撮像部18よりも詳細に被検査対象を撮像できることが好ましい。例えば撮像部18の分解能が数百μmであった場合、撮像装置16の分解能を数十μmなど、分解能を10倍程度小さくすることが好ましい。撮像装置16の分解能が小さい場合、下流側で被検査対象の欠点を、詳細に撮像することができる。なお、撮像装置16には被写体を拡大するためのズームレンズが用いられることがある。
【0018】
図2~
図4に示すように、本実施形態に係る欠点撮像装置10では、詳細撮像部15は、2つの照明装置17を含んでいる。この2つの照明装置17は、撮像部分を異なる方向から検査光を照射する。本実施形態では、この2つの照明装置17は、被検査対象における撮像装置16の撮像部分を挟み、撮像部分が均一に照射されるように、その撮像部分の上流側と下流側とに、撮像部分を対称軸として対称に設けられている。なお、本実施形態では、2つの照明装置17が配置されているが、個数はこれに限定されない。また、照明装置17の形状は、バー形状またはドーム状、フラット照明またはカメラと同じ向きから照明する同軸照明などが用いられる場合もある。また、照明装置17には、色・輝度・偏光などの光の条件を変更するためのフィルタ、または光の分布状況変更するための部分的な遮蔽器具とすることも可能である。さらに照明の位置または角度は被検査対象に応じた構成とすることができる。例えば、反射光または透過光が撮影される位置に設置することも可能である。加えて、詳細撮像部15とは異なる側(裏面)に反射板を設置することも可能である。この反射板の色または模様は特に限定されないが、被検査対象または欠点に応じて変更することが可能である。
【0019】
また、本実施形態に係る欠点撮像装置10では、撮像部18と併せて照明装置17が設けられている。撮像部18と併せて設けられている照明装置17は、詳細撮像部15に含まれている照明装置17と同等の構成である。
【0020】
本実施形態に係る欠点撮像装置10は、制御装置14を有している。この制御装置14は、撮像部18、詳細撮像部15を構成する撮像装置16、詳細撮像部15を構成する照明装置17、撮像部18と併せて設けられている照明装置17と電気的に接続されている。また図示していないが、制御装置14は、被検査対象の動作速度の信号を得ることが可能である。被検査対象の動作速度は、例えば、被検査対象の表面に設けられたマークを検知し、そのマークが現れる時間から算出したり、巻き出しロール12の軸に設けられたレゾルバなどからの信号により算出したりすることができる。
【0021】
また本実施形態では、制御装置14は、撮像部18により撮像された画像から欠点を選択することができる。ここで欠点とは、例えば穴、凹み、傷、汚れ、成型不良、印刷ミス、異物混入、虫などの欠陥を意味する。撮像部18が、被検査対象を白黒で撮像する場合、例えば欠点でない部分は白色、欠点である部分が黒色で表される場合がある。この場合、制御装置14は、黒色の部分を欠点として選択する。また撮像部18が、被検査対象をカラーで撮像する場合、例えば欠点でない部分は白色、欠点である部分は白色以外の色で表される場合がある。この場合、制御装置14は、白色以外の部分を欠点として選択する。なお、欠点の識別方法は特に限定されない。例えば、特開2007-7329に記載されているパターン認識による判定、特開2010-34441に記載されている各画素の光学的数値による判定を、識別方法として用いることができる。
【0022】
また本実施形態では、制御装置14は、撮像部18により撮像された欠点の画像に基づいて撮像基準を算出することができる。この撮像基準は、欠点を表す特徴量から求められる基準である。本実施形態では、撮像基準は、欠点の画像に基づいて求められるものであり、欠点の外接矩形から求められる画像中心である。すなわち、本実施形態では、撮像基準は、欠点の画像に対し、それに外接する矩形を選択し、その矩形の対角線の交点を画像中心とする。その際、矩形の辺の一組は、被検査対象の動作方向と平行であることが好ましい。なお、画像中心の算出方法は、特に限定されない。例えば、外接円の中心を画像中心とすることも可能であるし、欠点に一様に質量が分布していると仮定した場合の質量中心とすることも可能である。また、外接矩形の4つの頂点のいずれかを画像中心としたり、欠点中の最も離れた点同士を結んだ線分の中点を画像中心としたりすることも可能である。
【0023】
また、欠点の形状に基づいて画像中心を算出することも可能である。例えば、欠点中の最も離れた点同士を結んだ線分の、被検査対象の動作方向に対する角度が、あらかじめ定められた角度よりも小さく、かつその線分の長さがあらかじめ定められた長さよりも長い場合、すなわち欠点の形状が、被検査対象の動作方向に沿って長い筋状であった場合、その欠点の一方の端部を画像中心とすることも可能である。欠点の端部は、解像度の比較的低い撮像部18による撮像では、ぼやけた画像になる場合がある。このような場合にその端部を画像中心とすることで、その端部を確実に含んだ画像を詳細撮像部15で撮像することができるように、その端部を画像中心とする場合がある。
【0024】
また、撮像基準は、所定の画像中心以外であっても問題ない。例えば、欠点の輝度、彩度、色彩、面積について、欠点の画素に重みを付けて、その重みを考慮して算出したものであっても問題ない。
【0025】
また本実施形態では、制御装置14は、算出された撮像基準と被検査対象の速度から、詳細撮像部15を構成する撮像装置16が、欠点の撮像基準を含む範囲を撮像するように、詳細撮像部15を構成する撮像装置16に撮像のための撮像信号を送信する。このとき、詳細撮像部15は撮像装置16の有効撮影範囲を考慮する。撮像装置16の有効撮影範囲は、撮像装置16の視野の中でも照明光の映り込み等が無く鮮明に撮像可能な範囲とする。この撮像信号は、被検査対象の幅方向においては、撮像基準の位置を意味し、被検査対象の長尺の方向、すなわち動作方向においては、撮像基準が撮像装置16の撮像位置に到達するタイミングを意味する。詳細撮像部15で撮影された画像は保存することもできる。1つの画像に複数の欠点が撮影されている場合、それぞれを個別に切り抜いて1つの画像に1つの欠点とすることもできる。なお、撮像装置16は、撮像した画像の信号を送信する送信機能を有することがある。この送信機能により送信された信号は、映像モニタ、または他の装置の制御部に送信される場合がある。
【0026】
図1(A)は、従来の欠点撮像装置において欠点が近接した場合の説明図である。この図により、「欠点の撮像基準を含む範囲」を説明する。なお、この
図1では、紙面の左右方向が、被検査対象の幅方向であり、紙面の上下方向が、被検査対象の長尺の方向、すなわち動作方向である。この
図1(A)において第1欠点F1の第1撮像基準C1を含む第1範囲S1は、
図1(A)で示すように、あらかじめ定められた長さの対角線およびあらかじめ定められた対角線の交点の角度を有する長方形である。ここでの「長方形」は、上記に述べた有効撮影範囲を基準に決定することができる。対角線の長さは、撮像基準から最も遠い位置にある、欠点と判断された画素と撮像基準との間の距離に基づいて算出された長さである。また対角線の交点の角度は、欠点と判断された画像の被検査対象の長尺の方向の長さに基づいて算出された長さである。また、「欠点の撮像基準を含む範囲」は、欠点撮像装置の使用者があらかじめ対角線の長さまたは角度の少なくとも1つを入力しておくことも可能である。加えて、「欠点の撮像基準を含む範囲」の形状は、矩形に限らない。例えば円形、楕円形とすることも可能である。
【0027】
図1(A)により、従来の欠点撮像装置における問題点を説明する。
図1(A)は、「欠点同士が被検査対象の動作方向の軸、および動作方向に垂直な軸を基準として近接している場合」の説明図である。被検査対象において、
図1(A)に示すように欠点が、非常に近接している場合がある。この場合、撮像部18は、被検査対象の全体を撮像できるように設定されているので、第1欠点F1の第1撮像基準C1と、第2欠点F2の第2撮像基準C2とは、制御装置14で算出される。そして、制御装置14は、これらの撮像基準に基づいて、2つの撮像信号を詳細撮像部15に送信する。
【0028】
ここで、詳細撮像部15を構成する撮像装置16は、欠点を詳細に撮像するために設けられているため、高解像度となり、その画像データのデータ量は大きくなる。そして、撮像装置16により撮像した後、その画像データを伝送、保存等するのに所定の時間を要することとなり、このデータを伝送、保存等している間、撮像装置16は次の撮影を行うことができない。このため、従来は、第2欠点F2の第2撮像基準C2に基づいて送信された撮像信号は無視され、
図1(A)の点線で示された第2範囲S2の撮影は行われないという問題があった。この場合、
図1(A)の紙面において、第2欠点F2の右側は撮像装置16で撮像できなかった。
【0029】
本実施形態に係る欠点撮像装置では、制御装置14は、欠点が2以上選択され、かつ2以上の欠点が互いに近接していると、制御装置14が判断した場合、2以上の欠点のうち互いに近接していると判断された2以上の欠点の画像に基づいて算出された合成撮像基準、すなわち第3撮像基準C3を用いた撮像信号を、詳細撮像部15に送信する。具体的に説明すると、
図1(B)に示すように、欠点が近接している場合があり、制御装置14が、これらの欠点が近接していると判断した場合、制御装置14は、第1欠点F1と第2欠点F2のそれぞれの第1撮像基準C1および第2撮像基準C2に対して第3撮像基準C3、すなわち合成撮像基準を算出し、この合成撮像基準に基づいた撮像信号を詳細撮像部15に送信する。そして制御装置14は、詳細撮像部15を構成する撮像装置16により、第3範囲S3の撮像を行う。具体的に第3撮像基準C3は、第1撮像基準C1と第2撮像基準C2を結ぶ線分の中点とすることができる。
【0030】
また、第1欠点F1と第2欠点F2の位置関係から互いに最も遠い画素をそれぞれ、第1欠点F1の第1撮像基準C1、第2欠点F2の第2撮像基準C2とし、この第1撮像基準C1と第2撮像基準C2を結ぶ線分の中点を、合成撮像基準、すなわち第3撮像基準C3とすることもできる。
【0031】
合成撮像基準が、それぞれの欠点の撮像基準から求められていることにより、容易に合成撮像基準を求めるための計算負荷を低減できる。
【0032】
2以上の欠点が互いに近接していると制御装置14が判断した場合に、それらの欠点の画像に基づいて算出された合成撮像基準を用いた撮像信号を、詳細撮像部15に送信することにより、詳細撮像部15は、その合成撮像基準に基づいて、近接した欠点全体を撮像することができるので、詳細撮像部による欠点の撮像ができない場合を回避でき、詳細撮像をすべき欠点の撮像を確実に行うことができる。
【0033】
本実施形態において、制御装置14が、「2以上の欠点が近接していると判断する場合」とは、例えば、2以上の欠点の撮像基準があらかじめ定められた距離以下になった場合など2以上の欠点の撮像基準の距離に基づいて判断する場合が該当する。ただし、これに限定されない。例えば「2以上の欠点が近接していると判断する場合」としては、2以上の欠点を表す画素の最も近接している画素同士があらかじめ定められた距離以下になった場合、または2以上の欠点を表す画素の最も遠い画素同士があらかじめ定められた距離以下になった場合も該当する。また、2以上の欠点の撮像基準について、被検査対象の動作方向の座標と、その動作方向に垂直な方向の座標を考えた際に、被検査対象の動作方向の距離について、あらかじめ定められた距離以下になった場合とすることも可能である。この場合、撮像装置16の有効撮影範囲を考慮して、有効撮影範囲に入るように合成撮像基準が算出されるのが好ましい。
【0034】
制御装置14が、2以上の欠点の撮像基準に基づいて、2以上の欠点が互いに近接していると判断することにより、近接の基準がばらつくことを抑制でき、さらに詳細撮像をすべき欠点の撮像を確実に行うことができる。
【0035】
なお、
図1では2つの欠点が近接している場合について説明したが、これに限定されない。3つ以上の欠点が近接している場合についても、2つの場合と同様にして3つ以上の欠点の画素に基づいて、合成撮像基準が算出される。
【0036】
また、合成撮像基準を算出する場合、制御装置14は、欠点のうちあらかじめ定められた長さ以上の欠点を、合成撮像基準を算出するための、2以上の欠点には含めないことが好ましい。この場合、欠点の長さは、上記したのと同じように、例えば、欠点中の最も離れた点同士を結んだ線分を、欠点の長さとすることが可能である。
【0037】
制御装置14は、欠点のうちあらかじめ定められた長さ以上の欠点を、合成撮像基準を算出するための、2以上の欠点に含めないことにより、所定の長さ以上の欠点について、詳細な画像を撮像することを抑制でき、制御装置14の計算負荷を低減できる。
【0038】
また、合成撮像基準を算出する場合、制御装置14は、欠点のうちあらかじめ定められた面積以上の欠点を、合成撮像基準を算出するための、2以上の欠点には含めないことが好ましい。この場合、欠点の面積は、あらかじめ定められた閾値以上もしくは以下の輝度情報を持つ画素の個数とすることが可能である。面積の大きい欠点は、被検査対象の上流部の撮像部18で十分に撮像することが可能であるため、詳細撮像部15での再度の撮像の必要性が高くない。このため、合成撮像基準の算出に、この欠点を含まないことが好ましい。
【0039】
制御装置14は、欠点のうちあらかじめ定められた面積以上の欠点を、合成撮像基準を算出するための、前記2以上の欠点に含めないことにより、所定の面積以上の欠点について、詳細な画像を撮像することを抑制でき、制御装置の計算負荷を低減できる。
【0040】
また、制御装置14は、詳細撮像部15を構成する、2以上の撮像装置16を用いて、そのうちの少なくとも2台を用いて同じ欠点を撮像することも可能である。例えば、
図4に示すように、撮像装置16が隣接しており、隣接する撮像装置16のいずれでも欠点が撮像できる場合、制御装置14は、その隣接する撮像装置16のいずれでも、欠点の撮像を行ったうえで、その画像を用いて、より鮮明な欠点画像を作成することも可能である。また、撮像装置16が千鳥配置されている場合でも、同様に隣接する撮像装置16により、同じ欠点を撮像することが可能である。これら2以上の撮像装置16の撮像するタイミングは、欠点の形状等に応じて、相互にずらすことも可能である。
【0041】
詳細撮像部15を構成する2以上の撮像装置16により、欠点をそれぞれ撮像することにより、それらから得られた画像データを平均化またはHDR(ハイダイナミックレンジ)等の処理を行って、欠点の画像を鮮明にすることができ、欠点の種類がわかりやすくなる。その処理の際には、各カメラの設置位置による誤差、レンズ収差、または明度差などの前処理を行うことでより鮮明な画像を得ることが可能になる。
【0042】
なお、撮像装置16の撮影時間と、照明装置17の発光時間とを比較すると、照明装置17の発光時間が短いことがある。この場合、制御装置14は、撮像装置16の撮影開始のタイミングを、照明装置17の発光のタイミングよりも早くするとともに、撮像基準が撮像装置16の視野の中心にくるタイミングで、照明装置17を発光させることが好ましい。
【0043】
上記の2以上の欠点の撮像基準について、被検査対象の動作方向の座標と、その動作方向に垂直な方向の座標を考えた際に、被検査対象の動作方向の距離について、あらかじめ定められた距離以下になった場合、すなわち2以上の欠点が、動作方向にのみ近接し、動作方向に垂直な方向にあらかじめ定められた距離だけ離間していると、制御装置14が判断した場合、制御装置は、2以上の撮像装置のうち、少なくとも2台を用いて、合成撮像基準に基づいて、2以上の欠点を同時にそれぞれ撮像することも可能である。
【0044】
図5には、本実施形態の欠点撮像装置10において、合成撮像基準の算出に用いられた2以上の欠点が、被検査対象の動作方向にのみ近接した場合の説明図を示す。
図5は、
図3と同じように、本実施形態の欠点撮像装置10の平面図を示している。符号20a~20eは、詳細撮像部15を構成する撮像装置16の撮像範囲を示している。この図では、5台の撮像装置16が、被検査対象の面に平行であり、かつその動作方向に垂直に設けられている。そして
図5の紙面において、被検査対象は右から左に動作している。
【0045】
被検査対象には、2以上の第20欠点F20~第23欠点F23が存在している場合がある。これらの欠点が、被検査対象の動作方向の距離について、あらかじめ定められた距離以下になったときに、制御装置14は、これらの欠点を近接していると判断する場合がある。これは、例えば
図3において、第23欠点F23と第20欠点F20とは、異なる撮像装置16で撮像する必要があるが、このように、異なる撮像装置16で撮像する必要がある場合、言い換えるとあらかじめ定められた距離だけ離間していると制御装置14が判断する場合であっても、制御装置14は、2以上の欠点が近接していると判断する場合がある。
【0046】
そして制御装置14が、2以上の欠点が、前記動作方向にのみ近接し、動作方向と垂直な方向にあらかじめ定められた距離だけ離間していると判断した場合、制御装置14は、2以上の撮像装置のうち、少なくとも2台を用いて、合成撮像基準に基づいて、2以上の欠点を同時にそれぞれ撮像することが好ましい。例えば
図5においては、第20欠点F20~第23欠点F23が近接していると、制御装置14が判断すると、制御装置14は、第20欠点F20~第23欠点F23の撮像基準に基づいて第4撮像基準C4を、合成撮像基準として算出する。このとき制御装置14は、それぞれの第20欠点F20~第23欠点F23に対応する撮像装置16を用いて、同時にそれぞれの欠点を撮像することができる。この場合、同時に撮像するので、照明装置17が、撮像装置16のシャッタが開いている状態で複数回発光することを防止できる。
【0047】
制御装置14が、2以上の欠点が、動作方向にのみ近接し、動作方向と垂直な方向にあらかじめ定められた距離だけ離間していると判断した場合、合成撮像基準に基づいて、2以上の欠点を同時にそれぞれ撮像することにより、2以上の欠点を一回の照明装置17の発光で行うことができ、シャッタが開いている状態で2度検査光が照射される事態を防止できる。これにより、同じ欠点について撮像装置16に2度取り込まれることを防止できる。また、撮像するカメラについては各欠点の撮像基準に基づいて決定することが可能である。
【0048】
なお、本実施形態では、合成撮像基準、すなわち第3撮像基準C3は、それぞれの欠点の撮像基準(
図1(A)では第1撮像基準C1および第2撮像基準C2)から求められたが、これに限定されない。例えば合成撮像基準を、第1欠点F1を表すための画素、および第2欠点F2を表すための画素の全てに基づいて、その外接矩形から制御装置14は合成撮像基準を算出することも可能である。
【0049】
合成撮像基準が、2以上の欠点の外接矩形から求められていることにより、外接矩形から中心を求めることは容易にできるので、制御装置の計算負荷を低減できる。
【0050】
(本発明の実施形態に係る詳細撮像装置30の構成)
図6には、本発明の実施形態に係る詳細撮像装置30の概略の構成を示す正面図を示す。
図6では、詳細撮像装置30を構成する構成要素は実線で表し、既設の欠点撮像装置10部分は、一点鎖線で表示する。この詳細撮像装置30は、長尺の被検査対象を撮像する撮像部18を備えた欠点撮像装置10に用いられる。すなわち、長尺の被検査対象を撮像する欠点撮像装置10に対して、本願の実施形態に係る詳細撮像装置30が用いられることにより、所定の効果を得ることが可能となる。なお、詳細撮像装置30を構成する詳細撮像部15の構成は、本願の実施形態に係る欠点撮像装置10の構成と同じであるので、同じ構成については説明を省略する。
【0051】
欠点撮像装置10には、既設制御装置14bが設けられている。また本実施形態に係る詳細撮像装置30には、詳細撮像装置用制御装置14aが設けられている。既設制御装置14bと詳細撮像装置用制御装置14aとは、電気的に接続されている。
【0052】
詳細撮像装置用制御装置14aは、撮像部18の画像に基づいて欠点の撮像基準を含む範囲を撮像するための撮像信号を受信する。この撮像信号は、既設制御装置14bにより算出され、送信される。そして詳細撮像装置用制御装置14aは、欠点が2以上選択され、かつ2以上の欠点が互いに近接していると、詳細撮像装置用制御装置14aが判断した場合、2以上の欠点のうち互いに近接していると判断された2以上の欠点の画像に基づいて算出された合成撮像基準を用いた撮像信号を、詳細撮像部15に送信する。
【0053】
欠点撮像装置10に用いられる詳細撮像装置30の制御装置が、2以上の欠点が互いに近接していると判断した場合に、それらの欠点の画像に基づいて算出された合成撮像基準を用いた撮像信号を詳細撮像部15に送信することにより、詳細撮像部15は、その合成撮像基準に基づいて、近接した欠点全体を撮像することができるので、詳細撮像部15による欠点の撮像ができない場合を回避でき、詳細撮像をすべき欠点の撮像を確実に行うことができる。また、1つの撮像部18のみを有する欠点撮像装置10に、本願の詳細撮像装置30は用いることができるので、すでに稼働している装置に、後から機能を追加できる。
【符号の説明】
【0054】
10 欠点撮像装置
14 制御装置
15 詳細撮像部
16 撮像装置
17 照明装置
18 撮像部
30 詳細撮像装置
【要約】
【課題】詳細撮像をすべき欠点が近接していた場合でも、それらの欠点の撮像を確実に行うことができる欠点撮像装置および詳細撮像装置を提供する。
【解決手段】欠点撮像装置10は、長尺の方向に動作する被検査対象を撮像する撮像部18と、動作下流側で被検査対象を撮像する詳細撮像部15と、詳細撮像部15に撮像のための撮像信号を送信する制御装置14と、を備えている。制御装置14は、2以上の欠点のうち互いに近接していると判断された2以上の欠点の画像に基づいて算出された合成撮像基準を用いた撮像信号を、詳細撮像部15に送信する。この構成により、詳細撮像部15は、その合成撮像基準に基づいて、近接した欠点全体を撮像することができるので、シャッタが開いている状態で、2度検査光が照射される事態を防止することができる等により詳細撮像をすべき欠点の撮像を確実に行うことができる。
【選択図】
図1