(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】制御方法、プログラム、制御装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240528BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240528BHJP
B60W 30/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
G08G1/09 S
G01C21/26 C
B60W30/00
(21)【出願番号】P 2023201774
(22)【出願日】2023-11-29
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518420813
【氏名又は名称】株式会社Luup
(74)【代理人】
【識別番号】100171321
【氏名又は名称】大野 良
(74)【代理人】
【識別番号】110001759
【氏名又は名称】弁理士法人よつ葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【氏名又は名称】富崎 曜
(74)【代理人】
【識別番号】100166176
【氏名又は名称】加美山 豊
(72)【発明者】
【氏名】岡井 大輝
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-151344(JP,A)
【文献】国際公開第2019/008649(WO,A1)
【文献】特開2021-015380(JP,A)
【文献】特開2022-158792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の制御方法であって、
前記移動体の位置に関する位置情報を取得することと、
前記位置情報に基づいて、前記移動体の上限速度を第1速度以下にすべき第1領域に前記移動体が進入したことを検出することと、
前記移動体が前記第1領域に進入したときに、前記移動体の上限速度を設定する第1制御を実行することと、
前記移動体の速度を検出することと、
を含む制御方法であって、
前記第1制御は、前記第1領域において、前記移動体の上限速度を、前記第1速度よりも大きい第2速度に設定する第1設定を行った後に、前記移動体の上限速度を、前記第1速度以下に設定することを含み、
前記第1制御は、前記第1領域に前記移動体が進入したことを検出した時点における前記移動体の速度が前記第2速度より小さく前記第1速度より大きい場合は、前記移動体の上限速度を、前記第1領域に前記移動体が進入したことを検出した時点に対応する前記移動体の速度とすることを含む、制御方法。
【請求項2】
移動体の制御方法であって、
前記移動体の位置に関する位置情報を取得することと、
前記位置情報に基づいて、前記移動体の上限速度を第1速度以下にすべき第1領域に前記移動体が進入したことを検出することと、
前記移動体が前記第1領域に進入したときに、前記移動体の上限速度を設定する第1制御を実行することと、
前記移動体の速度を検出することと、
を含む制御方法であって、
前記第1領域は、前記移動体の上限速度を前記第1速度よりも小さい第2速度以下にすべき第2領域に隣接して設定される領域であり、
前記第1制御は、前記移動体の上限速度を、前記第1速度以下に設定することを含み、
前記制御方法は、前記移動体が前記第2領域に進入したときに、前記移動体の上限速度を、前記第2速度以下に設定する第2制御を実行することを含み、
前記第1制御は、前記第1領域に前記移動体が進入したことを検出した時点における前記移動体の速度が前記第1速度より小さく前記第2速度より大きい場合は、前記移動体の上限速度を、前記第1領域に前記移動体が進入したことを検出した時点に対応する前記移動体の速度とすることを含む、制御方法。
【請求項3】
移動体の制御装置によって実行されるプログラムであって、
前記移動体の位置に関する位置情報を取得することと、
前記位置情報に基づいて、前記移動体の上限速度を第1速度以下にすべき第1領域に前記移動体が進入したことを検出することと、
前記移動体が前記第1領域に進入したときに、前記移動体の上限速度を設定する第1制御を実行することと、
前記移動体の速度を検出することと、
が前記制御装置によって実行されるプログラムであって、
前記第1制御は、前記第1領域において、前記移動体の上限速度を、前記第1速度よりも大きい第2速度に設定する第1設定を行った後に、前記移動体の上限速度を、前記第1速度以下に設定することを含み、
前記第1制御は、前記第1領域に前記移動体が進入したことを検出した時点における前記移動体の速度が前記第2速度より小さく前記第1速度より大きい場合は、前記移動体の上限速度を、前記第1領域に前記移動体が進入したことを検出した時点に対応する前記移動体の速度とすることを含む、プログラム。
【請求項4】
移動体の制御装置によって実行されるプログラムであって、
前記移動体の位置に関する位置情報を取得することと、
前記位置情報に基づいて、前記移動体の上限速度を第1速度以下にすべき第1領域に前記移動体が進入したことを検出することと、
前記移動体が前記第1領域に進入したときに、前記移動体の上限速度を設定する第1制御を実行することと、
前記移動体の速度を検出することと、
が前記制御装置によって実行されるプログラムであって、
前記第1領域は、前記移動体の上限速度を前記第1速度よりも小さい第2速度以下にすべき第2領域に隣接して設定される領域であり、
前記第1制御は、前記移動体の上限速度を、前記第1速度以下に設定することを含み、
前記移動体が前記第2領域に進入したときに、前記移動体の上限速度を、前記第2速度以下に設定する第2制御が前記制御装置によって実行され、
前記第1制御は、前記第1領域に前記移動体が進入したことを検出した時点における前記移動体の速度が前記第1速度より小さく前記第2速度より大きい場合は、前記移動体の上限速度を、前記第1領域に前記移動体が進入したことを検出した時点に対応する前記移動体の速度とすることを含む、プログラム。
【請求項5】
移動体を制御する制御装置であって、
前記移動体の位置に関する位置情報を取得する制御部を備え、
前記制御部は、
前記位置情報に基づいて、前記移動体の上限速度を第1速度以下にすべき第1領域に前記移動体が進入したかどうかを判断し、
前記移動体が前記第1領域に進入したと判断されたときに、前記移動体の上限速度を設定する第1制御を実行し、
前記第1制御は、前記第1領域において、前記移動体の上限速度を、前記第1速度よりも大きい第2速度に設定する第1設定を行った後に、前記移動体の上限速度を、前記第1速度以下に設定することを含み、
前記制御部は、前記移動体の速度を検出し、
前記第1制御は、前記第1領域に前記移動体が進入したと判断された時点における前記移動体の速度が前記第2速度より小さく前記第1速度より大きい場合は、前記移動体の上限速度を、前記第1領域に前記移動体が進入したことを検出した時点に対応する前記移動体の速度とする、制御装置。
【請求項6】
移動体を制御する制御装置であって、
前記移動体の位置に関する位置情報を取得する制御部を備え、
前記制御部は、
前記位置情報に基づいて、前記移動体の上限速度を第1速度以下にすべき第1領域に前記移動体が進入したかどうかを判断し、
前記移動体が前記第1領域に進入したと判断されたときに、前記移動体の上限速度を設定する第1制御を実行し、
前記第1領域は、前記移動体の上限速度を前記第1速度よりも小さい第2速度以下にすべき第2領域に隣接して設定される領域であり、
前記第1制御は、前記移動体の上限速度を、前記第1速度以下に設定することを含み、
前記制御部は、前記移動体が前記第2領域に進入したと判断されたときに、前記移動体の上限速度を、前記第2速度以下に設定する第2制御を実行し、
前記制御部は、前記移動体の速度を検出し、
前記第1制御は、前記第1領域に前記移動体が進入したと判断された時点における前記移動体の速度が前記第1速度より小さく前記第2速度より大きい場合は、前記移動体の上限速度を、前記第1領域に前記移動体が進入したと判断された時点に対応する前記移動体の速度とする、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の速度を制御するための制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体の安全運転のための制御技術として、例えば、特許文献1には、自車両の速度が最高速度よりも速い場合に、聴覚的または視覚的な報知を自車両の乗員におこなう速度警報装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年は、電動キックボード等のマイクロモビリティが普及してきており、様々な場所で利用されるようになっている。マイクロモビリティは、例えば歩行者の近くで利用される頻度が高いため、安全を考慮すると、これが利用される場所に応じた上限速度が適用されることが望ましい。
【0005】
本発明は、このような背景のもとになされたものであり、周辺の環境を考慮して移動体の安全運転に寄与する制御技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、移動体の制御方法は、移動体の位置に関する位置情報を取得することと、位置情報に基づいて、移動体の上限速度を第1速度以下にすべき第1領域に移動体が進入したことを検出することと、移動体が第1領域に進入したときに、移動体の上限速度を設定する第1制御を実行することと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動体が利用される場所に応じた上限速度を設定することにより、移動体の安全運転に寄与する制御技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るシステムのシステム構成の一例を示す図。
【
図2】第1実施例に係るマイクロモビリティの制御の概要を示す図。
【
図3】第1実施例に係る情報処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図4】第1実施例に係る情報処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図5】第1実施例に係る上限速度の設定例を示す図。
【
図6】第1実施例に係る上限速度の設定例を示す図。
【
図7】第2実施例に係るマイクロモビリティの制御の概要を示す図。
【
図8】第2実施例に係る情報処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図9】第2実施例に係る情報処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図10】第2実施例に係る上限速度の設定例を示す図。
【
図11】第2実施例に係る上限速度の設定例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例について図面を参照して説明する。
なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。また、これらの実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
【0010】
[実施形態]
以下、本発明の情報処理技術を実現するための実施形態について説明する。
本実施形態に記載の内容は、他の各実施例や各変形例のいずれにも適用可能である。
【0011】
以下では、移動体がマイクロモビリティ(「MM」と略することがある。)である例について説明する。なお、本実施形態における移動体とは、人が乗車して移動可能である装置であればその種類を問わず任意のものであってよく、例えば、ヘリコプター、ボート、自動車、自動二輪車、自転車、キックスケーターであってよい。また、マイクロモビリティとは、自動車よりコンパクトで機動性が高く地域の手軽な移動の足となる1人または2人乗り程度の車両である。マイクロモビリティにおいては動力源に電池が利用されていてもよく、この点、環境性能の面で利点がある。マイクロモビリティとして、例えば、乗用車よりも小型で少人数(例えば、1~2人)が乗車可能な短距離走行向け乗物であってよく、例えば、電動キックボードやマイクロカー、電動バイクや電動自転車等であってもよい。
【0012】
なお、本実施形態においては、MMが電動キックボードである場合が含まれる。電動キックボードは小型であるため、自転車等と比較しても省スペースで設置できるといったメリットがある。例えば、電動キックボードが、道路交通法上の特定小型原動機付自転車に該当する場合には、車道、普通自動車専用通行帯、自転車道、及び、走行可能な標識のある一方通行路については、20km/hの速度制限が課され、路側帯、及び、走行可能な標識がある場合の歩道については、6km/hの速度制限が課されるものとしてもよい。
【0013】
図1は、MMに関する情報を処理し、MMを制御するための制御システム1の構成の一例を示す図である。例えば、制御システム1では、ネットワークNW(例えば、インターネット)を介して、1以上のマイクロモビリティ装置10(MM10A、MM10B、MM10C、・・・)と、1以上の端末30(端末30A,端末30B,端末30C,・・・)と、サーバ20とが通信可能に接続される。
【0014】
マイクロモビリティ装置10は、MMに設置され、MMを制御するための制御装置の一例である。端末30は、ユーザのアカウントとそのユーザが利用するMMとを関連付けるために用いられる。例えば、端末30のユーザが、MMのシェアリングサービスを利用する場合、そのシェアリングサービスにおける自分のアカウントを介してMMを予約し、MMのロックを解除して利用することができる。また、利用料金の決済も行うことができる。なお、端末30のユーザが、シェアリングサービスを利用することなく、個人が所有するMMを運転することも可能である。本形態では、MMがシェアリングサービスにより貸出されたものであるか否かによらず、後述するように、端末30のユーザのアカウントに関連付けられた情報に基づいて、MMの速度を制御することが可能である。サーバ20は、複数のサーバで構成されるサーバシステムとしてもよい。ネットワークNWは、各装置間を有線接続あるいは無線接続、あるいはその両方で接続する通信網としてよい。
【0015】
サーバ20は、例えば、地図情報と関連付けて、MMを利用可能な範囲を記憶している。また、地図情報と関連付けて、後述する上限速度が設定された各領域の範囲(輪郭)を記憶している。また、MMの位置及び稼働状況を管理している。シェアリングサービスの場合、サーバ20は、端末30のユーザからの要求に応じてMMの貸出・返却を管理等する機能を有する。また、サーバ20は、例えば、MMの貸出に応じた利用料金を算出する機能を有する。
【0016】
図1に、サーバ20の機能構成の一例を示す。
サーバ20は、例えば単一のサーバとして、あるいは機能ごとに別々のサーバから構成される分散サーバとして構成されるようにしてよい。クラウドサーバと呼ばれるクラウド環境に作られた分散型の仮想サーバとしてサーバ20を構成してもよい。サーバ20は、例えば、制御部21と、記憶部25と、通信部24と、時計部29と、入出力部22等を備えて構成される。
【0017】
制御部21は、記憶部25に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従ってサーバ20の各部を統括的に制御し、情報処理に係る各種の処理を行う処理装置であり、CPUやGPU、DSP等のプロセッサーやASIC等の集積回路を有して構成される。記憶部25は、ROMやEEPROM、フラッシュメモリ、RAM等の揮発性又は不揮発性のメモリや、ハードディスク装置等を有して構成される記憶装置である。記憶部25には、地図情報に関連付けて、後述する上限速度が設定された各領域の範囲(輪郭)を特定するためのベクトルデータが記憶されている。
【0018】
入出力部22は、サーバ20に対する各種操作を入力する装置や、サーバ20で処理された処理結果を出力する装置等を含む。入出力部22は、入力部と出力部が一体化していてもよいし、分離していてもよい。入力部は、例えば、キーボードやタッチパネル等で実現され、ユーザからの入力を受け付けて、入力に係る情報を制御部21に伝達する機能を有する。出力部は、例えば、ディスプレイ、スピーカ等で実現され、制御部21で処理された処理結果を出力する機能を有する。ここでは、入出力部22は、例えば、表示部23を備える。表示部23は、LCD(Liquid Crystal Display)やOELD(Organic Electro-luminescence Display)等を有して構成される表示装置であり、制御部21から出力される表示信号に基づいた各種の表示を行う。
【0019】
通信部24は、サーバ20内部で利用される情報を外部の装置との間でネットワークを介して送受信するための通信装置である。通信部24の通信方式としては、イーサネットやUSB(Universal Serial Bus)等所定の通信規格に準拠したケーブルを介して有線接続する形式や、Wi-Fi(登録商標)や5G(第5世代移動通信システム)等所定の通信規格に準拠した無線通信技術を用いて無線接続する形式、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を利用して接続する形式等、種々の方式を適用可能である。
【0020】
時計部29は、サーバ20の内蔵時計であり、例えば、水晶発振器を利用したクロックに基づいて取得した時刻情報(計時情報)を出力する。なお、時計部29は、NITZ(Network Identity and Time Zone)規格等に準じて、通信部24とネットワークNWとを介して時刻情報を取得するようにしてもよい。
【0021】
マイクロモビリティ装置10は、例えば、
図2等に示されるように、共有される電動キックボードに搭載される、乗物管理用の車載装置である。なお、マイクロモビリティ装置10は、乗物機構と一体化され、乗物そのもの(MM)としてもよい。マイクロモビリティ装置10は、MM装置10、あるいはMMと表記することがある。
【0022】
図1に、マイクロモビリティ装置10の機能構成の一例を示す。
マイクロモビリティ装置10は、例えば、制御部11と、記憶部15と、入出力部12と、通信部14と、時計部19Aと、位置算出用情報検出部19Bと、モータ16とを備えて構成される。なお、図示は省略するが、マイクロモビリティ装置10は、上記の他、例えば、ロック装置、マイクロモビリティ装置10の動作モードを設定するために用いられる入力装置の一種であるスイッチ、ランプ、報知装置等を備えて構成されるようにしてよい。
【0023】
制御部11は、記憶部15に記憶されているマイクロモビリティ管理プログラム等の各種プログラムに従ってマイクロモビリティ装置10の各部を統括的に制御し、情報処理に係る各種の処理を行う処理装置であり、CPUやGPU、DSP等のプロセッサーやASIC等の集積回路を有して構成される。制御部11は、例えば、MMのハンドル部に設けられたスロットルの回転角度に応じてモータ16を制御するモータ制御部111を有し、例えば、モータ16からの動力の車輪の駆動機構への伝達制御、モータ16の回転速度の制御、モータ16と車輪とのギア比を制御するなどして、マイクロモビリティ装置10の速度(走行速度)を制御可能に構成されてよい。MMのハンドル部にはブレーキレバーが設けられており、運転者はブレーキレバーを操作することにより、車輪にブレーキをかけて減速させることができる。なお、後述する例では、スロットルの操作によらず制御プログラムに基づいてモータ16の回転速度を大きくすることによっても、MMを加速させることが可能であり、ブレーキレバーの操作によらず制御プログラムに基づいてモータ16の回転速度を小さくすることによっても、MMを減速させることが可能である。なお、制御プログラムに基づいてMMを減速させる方法はこれに限られず任意であってよいが、例えば、モータの内部抵抗により新たに設定された上限速度まで自然減速させる方法や、電子ブレーキをかけて速度を落とすといった方法が挙げられる。
【0024】
記憶部15は、記憶部25と同様にROMやEEPROM、フラッシュメモリ、RAM等の揮発性又は不揮発性のメモリや、ハードディスク装置等を有して構成される記憶装置である。記憶部15には、例えば、本実施形態にて行われる各処理に対応する制御プログラムやシステムプログラム等の各種プログラムや、サーバ20等から受信した情報及び各種プログラムによる処理結果等が記憶される。
【0025】
入出力部12は、制御部11に対する各種操作を入力する装置や、制御部11で処理された処理結果を出力する装置等を含む。入力部は、ボタン等のユーザがマイクロモビリティ装置10の制御部11に対する各種の操作入力を行うための入力装置を有して構成される。出力部は、例えば、ディスプレイ、スピーカ等で実現され、制御部11で処理された処理結果を出力する機能を有する。ここでは、入出力部12は、例えば、表示部13を備える。表示部13は、例えば、LEDランプ等としてもよいし、表示部23と同様に構成するようにしてもよい。また、出力部は、乗物に備えられる各種アクチェーター(例えば、乗物ロックシステム)に対する制御信号を出力するようにしてもよい。
【0026】
通信部14は、マイクロモビリティ装置10内部で利用される情報を外部の装置との間でネットワークNWを介して送受信するための通信装置である。通信部14の構成は、例えば、通信部24と同様に構成してもよい。
【0027】
時計部19Aは、例えば、サーバ20の時計部29と同様に構成してもよい。位置算出用情報検出部19Bは、例えば、GNSS衛星(例えばGPS衛星)から送信される衛星信号を受信し、受信した衛星信号に基づいて、マイクロモビリティ装置10の位置情報を算出するための各種の情報を検出するGNSSユニット等を有するようにしてよい。この場合、例えば、制御部11が、位置算出用情報検出部19Bによって検出された情報を用いて所定の位置算出演算(測位演算)を行って位置情報を算出するようにしてよい。
【0028】
なお、位置算出用情報検出部19Bが、例えば、加速度センサやジャイロセンサ等の慣性センサやIMU(Inertial Measurement Unit)等を有するようにしてもよい。そして、制御部11が、検出された加速度情報や角速度情報等を用いた慣性航法演算を行って位置情報を算出するようにしてもよい。また、位置算出用情報検出部19Bは、例えば、各ポートに設置されるビーコンや擬似衛星等の装置との間で近接通信を行うことで、マイクロモビリティ装置10がどのポートに駐車(駐輪)されているかを判定可能な位置情報を取得するようにしてもよい。
【0029】
また、制御部11は、例えば、位置算出用情報検出部19Bから出力される情報に基づいて、速度情報を算出・取得するようにしてもよい。例えば、衛星信号に基づくドップラー測位演算を行って位置情報の他に速度情報を算出するようにしてもよい。また、慣性航法演算を行って速度情報を算出するようにしてもよい。また、位置情報や速度情報の他、加速度情報、角速度情報、姿勢情報(向きの情報)等の情報を直接的に取得したり、算出するようにしてもよい。
【0030】
また、制御部11が上記の各種の情報を算出するのではなく、上記の各種の情報を算出して出力する取得部を機能部として構成してもよい。例えば、GNSSユニットのベースバンド処理回路部の処理部が位置算出演算や速度算出演算を行って位置情報や速度情報を算出して出力するようにしてもよい。また、これらの情報を算出して出力するINS(Inertial Navigation System)等の装置やシステムを構成してもよい。
【0031】
また、上記の各種の手法で取得された位置情報を平均するなどして、マイクロモビリティ装置10の位置情報を算出するようにしてもよい。速度情報等、他の情報についても同様としてよい。
【0032】
これらの各種の情報は、例えば、時系列の情報として記憶部15に記憶されるようにしてよい。また、上記の各種の情報を取得する方法としては、上記の他、任意の手法を適用してよい。
【0033】
また、マイクロモビリティ装置10に、例えば、現在位置を含む地域等における現在や過去、将来における環境情報を取得する環境情報取得部を構成し、環境情報取得部が、サーバ20等から環境情報を取得して記憶部15に記憶するようにしてもよい。
【0034】
端末30は、MMを利用するユーザが利用する装置であり、本形態では携帯端末である。なお、以下では、ユーザXが利用する端末を端末30Xと表現する。また、MMを利用するためのユーザのアカウントに関連付けられた、そのユーザに関する情報(例えば、ユーザの年齢、体重、住所、サービス利用履歴等)をユーザ情報とする。
【0035】
図1に、端末30の機能構成の一例を示す。端末30は、例えば、制御部31と、記憶部38と、入出力部33と、通信部32と、時計部39Aと、位置算出用情報検出部39B等を備えて構成される。
【0036】
制御部31は、記憶部38に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従って端末30の各部を統括的に制御し、情報処理に係る各種の処理を行う処理装置であり、CPUやGPU、DSP等のプロセッサーやASIC等の集積回路を有して構成される。記憶部38は、記憶部25と同様にROMやEEPROM、フラッシュメモリ、RAM等の揮発性又は不揮発性のメモリや、ハードディスク装置等を有して構成される記憶装置である。
【0037】
入出力部33は、端末30の制御部31に対する各種操作を入力する装置や、端末30の制御部31で処理された処理結果を出力する装置等を含む。入出力部33は、入力部と出力部が一体化していてもよいし、分離していてもよい。入力部は、例えば、キーボードやタッチパネル等で実現され、ユーザからの入力を受け付けて、入力に係る情報を制御部31に伝達する機能を有する。出力部は、例えば、ディスプレイ、スピーカ等で実現され、制御部31で処理された処理結果を出力する機能を有する。ここでは、入出力部33は、例えば、表示部34と、音入力部35と、音出力部36と、撮像部37とを備える。
【0038】
表示部34は、LCD(Liquid Crystal Display)やOELD(Organic Electro-luminescence Display)等を有して構成される表示装置であり、制御部31から出力される表示信号に基づいた各種の表示を行う。なお、入出力部33は、表示部34と一体的に構成された不図示のタッチパネルを有し、このタッチパネルは、ユーザと端末30との間の入力インターフェースとして機能するようにしてもよい。
【0039】
音入力部35は、マイクロフォンやA/Dコンバータ等を有して構成される音入力装置であり、制御部31へ入力される音入力信号に基づいた各種の音入力を行う。音出力部36は、D/Aコンバータやスピーカ等を有して構成される音出力装置であり、制御部31から出力される音出力信号に基づいた各種の音出力を行う。撮像部37は、カメラ等で構成される撮像装置であり、制御部31へ入力される画像データ(静止画像・動画像)の取得を行う。
【0040】
通信部32は、端末30内部で利用される情報を外部の装置との間でネットワークNWを介して送受信するための通信装置である。通信部32の構成は、例えば、通信部14と同様に構成可能であるため、その詳細説明は省略する。
【0041】
時計部39Aは、例えば、サーバ20の時計部29と同様に構成可能である。位置算出用情報検出部39Bは、端末30の位置情報を算出するための情報を検出する。この構成としては、位置算出用情報検出部19Bと同様に各種の構成を適用してよい。また、直接的に位置情報を算出する位置情報算出部を構成してもよい。速度情報、加速度情報、角速度情報、姿勢情報(向きの情報)等の情報についても同様としてよい。これら各種の情報は、例えば、時系列の情報として記憶部38に記憶されるようにしてよい。
【0042】
なお、端末30に、例えば、現在位置が含まれる地域等における現在や過去、将来における環境情報を取得する環境情報取得部を構成し、環境情報取得部が、サーバ20等から環境情報を取得して記憶部38に記憶するようにしてもよい。
【0043】
[第1実施例]
第1実施例は、MMの速度を段階的に制御することに関する実施例であって、サーバ20において、予めMMの運転に際して特に注意が必要な注意領域(例えば、育児施設の近辺や小学校の近辺であり、本実施例中では領域1とする)を設定しておき、注意領域にMMが進入したときに、上限速度を段階的に小さくしてMMを安全に減速させる実施例である。例えば、注意領域は、その近辺では運転に特に注意を払うべき施設の座標と、その座標に関連付けられた領域(境界)を特定するためのベクトルデータの組み合わせとして、サーバ20にの記憶部25に、地図情報に関連付けて記憶されている。
【0044】
例えば、第1実施例では、
図2に示すように、MMが、上限速度P1の領域から、上限速度S(P1>S)の領域1に進入したときに、一旦、上限速度をQ1(P1>Q1>S)に設定した後、所定時間経過してから、上限速度Sに設定する。
【0045】
図3は、MM装置10の制御部11によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図3、並びに、後述する
図4、
図8、及び
図9に示される各処理は、MM装置10の記憶部15に記憶されている制御プログラムが、制御部11によって実行されることによって、実行される。なお、一部又は全部の処理が、サーバ20から提供された情報又は端末30から提供された情報に基づいて実行されるようにしてもよい。また、一部又は全部の処理が、MM装置10の通信部14に接続された端末30の制御部31によって実行されてもよい。例えば、端末30がサーバ20からダウンロードした制御プログラムを実行することによって、各処理が実行されてもよい。
【0046】
制御部11は、通常時の上限速度P1(例えば、20km/h)よりも小さい上限速度S(例えば、5km/h)が設定されている領域1にMMが進入したか否かを判定し(S110:Y又はN)、進入したと判定した場合には(S110:Y)、MMの上限速度を、P1よりも小さくSよりも大きいQ1(例えば、15km/h)に設定する(S120)。MMが、Q1より大きい速度で領域1に進入した場合には、Q1まで減速することになる。上限速度の設定は、例えば、モータ制御部111が、モータ16の回転速度が、設定する上限速度に相当する回転速度より大きくなるような制御信号をモータ16に供給しないことによって行われる。
【0047】
制御部11は、MMの上限速度をQ1に設定してから第1所定時間(例えば10秒)が経過したか否かを判定し(S130:Y又はN)、経過したと判定した場合には(S130:Y)、MMの上限速度を、Q1よりも小さくSよりも大きいR1(例えば、10km/h)に設定する(S140)。MMの速度が、R1より大きかった場合、R1まで減速することになる。
【0048】
制御部11は、MMの上限速度をR1に設定してから第2所定時間(例えば10秒)が経過したか否かを判定し(S150:Y又はN)、経過したと判定した場合には(S150:Y)、MMの上限速度を、Sに設定する(S160)。MMの速度が、Sより大きかった場合、Sまで減速することになる。
【0049】
制御部11は、MMが領域1を離脱したか否かを判定し(S170:Y又はN)、離脱したと判定した場合には(S170:Y)、離脱時制御に移行する(S200)。
【0050】
本実施例では、MMが領域1に進入したときに、上限速度として、最終的には領域1の上限速度であるSが設定されることにより、MMを上限速度Sまで適切に減速させることが可能である。また、本形態では、領域1への進入直後に直ちに上限速度をSに設定することを行わず、一旦は、Sよりも大きいQ1又はR1を、減速過程での上限速度として設定することにより、減速段階を増やして急激な減速を回避し、より安全にMMが運転されるように補助している。また、本形態では、上限速度がSに設定される前に、Q1、R1という2段階の上限速度を設定することにより(P1>Q1>R1>S)、1段階のみの上限速度を設定する場合と比較して、より減速度合を緩やかにして、安全性を高めることができる。
【0051】
なお、本実施例のように、Q1及びR1の2段階で上限速度を設定することをせず、1段階のみとしてもよく、例えば、R1の設定(S140~S150)を行わずに、Q1の設定(S120~S130)を行った後に、Sの設定(S160)を行ってもよい。
【0052】
また、後述するように、所定条件の成立に応じて、R1の設定(S140~S150)を追加で行ってもよい。また、所定条件の成立に応じて、Q1の設定からR1の設定までの減速期間(第1所定時間)、又は、R1の設定からSの設定までの減速期間(第2所定時間)を可変としてもよく、Q1、又は、R1の大きさを可変としてもよい。
【0053】
図4は、離脱時制御の一例を示すフローチャートである。なお、本実施例では、注意領域である領域1に隣接して領域2が存在するものとして説明するが、領域2は、注意領域以外のMMが走行可能な全領域としてもよく、注意領域に隣接して設けられる、MMを段階的に加速させるための領域としてもよい。制御部11は、MMが上限速度Sの領域1から上限速度P2の領域2に離脱したことに基づいて、MMの上限速度を、S(例えば、5km/h)よりも大きくP2よりも小さいR2(例えば、10km/h)に設定する(S220)。MMが、R2より小さい速度で領域2に進入した場合には、R2まで加速することになる。
【0054】
制御部11は、MMの上限速度をR2に設定してから第3所定時間(例えば10秒)が経過したか否かを判定し(S230:Y又はN)、経過したと判定した場合には(S230:Y)、MMの上限速度を、R2よりも大きくP2よりも小さいQ2(例えば、15km/h)に設定する(S240)。MMの速度が、Q2より小さかった場合、Q2まで加速することになる。
【0055】
制御部11は、MMの上限速度をQ2に設定してから第4所定時間(例えば10秒)が経過したか否かを判定し(S250:Y又はN)、経過したと判定した場合には(S250:Y)、MMの上限速度を、P2(例えば20km/h)に設定する(S260)。MMの速度が、P2より小さかった場合、P2まで加速することになる。
【0056】
本実施例では、MMが領域1から離脱して領域2に進入したときに、上限速度として、最終的には領域2の上限速度であるP2が設定されることにより、MMを上限速度P2まで適切に加速させることが可能である。また、本形態では、領域2への進入直後に直ちに上限速度をP2に設定することを行わず、一旦は、P2よりも小さいR2又はQ2を、加速過程での上限速度として設定することにより、加速段階を増やして急激な加速を回避し、より安全にMMが運転されるように補助している。また、本形態では、上限速度がP2に設定される前に、R2、Q2という2段階の上限速度を設定することにより(S<R2<Q2<P2)、1段階のみの上限速度を設定する場合と比較して、より加速度合を緩やかにして、安全性を高めることができる。
【0057】
なお、本実施例のように、R2及びQ2の2段階で上限速度を設定することをせず、1段階のみとしてもよく、例えば、Q2の設定(S240~S250)を行わずに、R2の設定(S220~S230)を行った後に、P2の設定(S260)を行ってもよい。
【0058】
また、後述するように、所定条件の成立に応じて、Q2の設定(S240~S250)を追加で行ってもよい。また、所定条件の成立に応じて、R2の設定からQ2の設定までの加速期間(第3所定時間)、又は、Q2の設定からP2の設定までの加速期間(第4所定時間)を可変としてもよく、R2、又は、Q2の大きさを可変としてもよい。
【0059】
(所定条件)
所定条件とは、MMをより安全に減速又は加速させるために設けられた条件であり、所定条件が成立した場合には、成立していない場合と比較して、上限速度の設定回数(減速段階、加速段階)を増やす、MMが設定された上限速度になるまでの猶予期間(減速期間、加速期間)を長くする、上限速度自体を変更する(大きくする、小さくする)、等を行うようにしてもよい。所定条件として、例えば、以下のうちの1以上の情報(項目)に基づく条件を適用してよい。なお、閾値以上は閾値超としてもよく、閾値未満は閾値以下としてもよい。
【0060】
(1)移動体の種別
この条件は、例えば、MMの種別に関する条件である。例えば、MMが二輪の装置である場合は、所定条件が成立したとしてよい。これは、二輪の装置は、三輪や四輪の装置よりも安定性が悪いため、急減速が危険な場合があり得るためである。制御部11は、例えば、あらかじめ記憶部15に記憶されたMMの種別の情報に基づいて、条件の成否を判定するようにしてよい。MMの種別の情報が、サーバ20からMMに送信されるようにしてもよい。なお、三輪の場合は延長する期間を二輪よりも短くし、四輪の場合は延長する期間を三輪よりも短くするように条件を設定するなどしてもよい。また例えば、立って運転する形態のMMと座って運転する形態のMMとがありうるが、立って運転する形態のMMである場合は、所定条件が成立したとして、座って運転する形態のMMよりも安全な運転を行うようにしてもよい。これは、上記の二輪とそれ以外との比較と同様に、立って運転する形態のMMである場合は、座って運転する形態のMMよりも安定性が悪いためである。
【0061】
(2)移動体の重量
この条件は、移動体の重量に関する条件であり、例えば、MMの重量が所定の閾値重量以上である場合には、所定条件が成立したとしてよい。これは、移動体の重量が大きい場合、制動が効きづらく、危険な場合があり得るためである。制御部11は、例えば、あらかじめ記憶部15に記憶されたMMの重量に基づいて、条件の成否を判定するようにしてよい。MMの重量の情報が、サーバ20からMMに送信されるようにしてもよい。なお、MMの重量に対する段階的な閾値を設定しておき、設定された段階的な閾値に基づいて、移動体の重量が大きいほど、上限速度の設定回数を多くする、猶予期間(減速期間、加速期間)を長くする、上限速度の変化幅を小さくする、等してもよい。
【0062】
(3)移動体の利用者の重量
この条件は、移動体を利用するユーザの重量に関する条件であり、例えば、MMを利用するユーザの重量が所定の閾値重量(例えば80kg)以上である場合には、所定条件が成立したとしてよい。これは、移動体の利用者の重量が大きい場合、制動が効きづらく、危険な場合があり得るためである。この場合、1つの手法として、MMに重量センサを設ける。そして、制御部11が、ユーザがMMに乗った状態で重量センサによって計測されたユーザの重量に基づいて、条件の成否を判定するようにしてよい。
【0063】
この他にも、例えば、ユーザがMMの利用時に、端末30で実行されるアプリケーションで自身の重量(体重)の情報を入力する。端末30は、入力された重量の情報をサーバ20に送信する。そして、サーバ20は、受信した重量の情報をMMに送信するようにしてもよい。なお、利用時ではなく、ユーザが、あらかじめ端末30で実行されるアプリケーションで自身の重量の情報を入力してもよく、定期的なタイミングで自身の重量の情報を更新するようにしてもよい。または、健康管理に関する外部アプリケーションなどと連動して、ユーザの重量(体重)の情報を取得してもよい。また、例えば、MMが、走行中の加速度を加速度センサ等によって検出し、検出した加速度に基づいて、MMの重量とユーザの重量との和(以下、「総重量」と称する。)を推定する。そして、推定した総重量からMMの重量を減算することでユーザの重量を推定するようにしてもよい。また、MMの入力部を用いて、ユーザがMMに自身の重量の情報を入力するようにしてもよい。
【0064】
なお、ユーザが別途の荷物を保持しつつMMに乗車することもありうる。このような場合に鑑みて、ユーザのMMについての過去の使用履歴に照らし合わせ、モータ16の回転速度と加速度情報との組み合わせを、過去とその時点とのもので比較することで、条件の成否を判定するようにしてよい。例えば、同一の回転速度によってデフォルトの上限速度(例えば、20km/h)に達するまでの時間が、過去のケースと比較して閾値以上の追加時間が掛かっている場合は、所定条件が成立していると判断してもよい。
【0065】
なお、ユーザの重量に対する段階的な閾値を設定しておき、設定された段階的な閾値に基づいて、ユーザの重量が大きいほど、上限速度の設定回数を多くする、猶予期間(減速期間、加速期間)を長くする、上限速度の変化幅を小さくする、等してもよい。なお、(2)の条件と(3)の条件とを組み合わせて、例えば、総重量が所定の閾値重量以上であることを条件としてもよく、段階的な閾値を設定してもよい。
【0066】
(4)移動体の利用者の年齢
この条件は、移動体を利用するユーザの年齢に関する条件であり、例えば、MMを利用するユーザの年齢が所定の閾値年齢(例えば60歳)以上である場合、所定条件が成立したとしてよい。これは、例えば移動体の利用者が高齢者である場合、急減速に対応できず、危険な場合があり得るためである。年齢の情報は、例えば、ユーザが端末30でアプリケーションによって入力し、サーバ20がMMに送信するようにしてよい。また、MMに入力部を用いて、ユーザがMMに自身の年齢の情報を入力するようにしてもよい。なお、ユーザの年齢に対する段階的な閾値を設定しておき、設定された段階的な閾値に基づいて、ユーザの年齢が高いほど、上限速度の設定回数を多くする、猶予期間(減速期間、加速期間)を長くする、上限速度の変化幅を小さくする、等してもよい。
【0067】
(5)利用者による移動体の利用履歴
この条件は、移動体を利用するユーザの移動体の利用履歴に関する条件であり、例えば、ユーザのマイクロモビリティ装置10の利用回数が所定の閾値回数(例えば5回)未満である場合、所定条件が成立したとしてよい。これは、ユーザがMMの操作に慣れていない場合、急減速に対応できず、危険な場合があり得るためである。利用回数ではなく利用頻度に対する条件としてもよい。利用履歴の情報は、例えば、サーバ20がユーザごとに情報を記憶・管理しておき、サーバ20がMMに送信するようにしてよい。また、MMの入力部を用いて、ユーザがMMに利用回数等の情報を入力するようにしてもよい。
【0068】
なお、ユーザによる移動体の利用履歴として、過去の乗車履歴の情報を用いるようにしてもよい。例えば、ユーザの過去の事故の履歴や違反の履歴の情報を取得し、事故を起こしたことのあるユーザや違反をしたことのあるユーザは、延長する期間を長くするようにしてよい。事故や違反の回数等の情報を用いてもよい。なお、ユーザの利用回数や利用頻度に対する段階的な閾値を設定しておき、設定された段階的な閾値に基づいて、利用回数が少ないほど(利用頻度が低いほど)、上限速度の設定回数を多くする、猶予期間(減速期間、加速期間)を長くする、上限速度の変化幅を小さくする、等してもよい。
【0069】
(6)移動体が走行する道路の道幅
この条件は、移動体が走行する道路の道幅に関する条件であり、例えば、道幅が所定の閾値幅以上である場合、所定条件が成立したとしてよい。これは、大通り(車道)などでは、衝突の危険性はあるものの、どちらかと言えば、ゆっくり減速をした方が安全な場合があると考えられるためである。この場合、1つの手法として、サーバ20が、MMの位置情報を取得し、取得した位置情報と、地図情報とに基づいて、MMが走行している道路の道幅の情報をMMに送信するようにしてよい。また、後述する第2実施例を適用する場合においては、道幅に応じた領域を設定することとしてもよい。
【0070】
なお、路地など道幅の狭い道路では衝突の危険性があるため、上記とは逆に、早めに走行速度を落とすことが望ましいとも考えられる。こちらを重視するような制御とする場合、例えば、道幅が所定の閾値幅未満である場合、所定条件が成立したとしてよい。
【0071】
(7)移動体が走行する道路の傾斜
この条件は、移動体が走行する道路の傾斜に関する条件であり、例えば、道路が下り坂であり傾斜角度が所定の閾値角度以上である場合、所定条件が成立したとしてよい。これは、傾斜が急な下り坂では、急減速が危険な場合があり得るためである。この場合、1つの手法として、MMに傾斜角度センサを設ける。そして、制御部11が、MMの検出結果に基づいて、条件の成否を判定するようにしてよい。IMU等によって検出された加速度情報や角速度情報に基づいて、条件の成否を判定するようにしてもよい。
【0072】
また、サーバ20が、MMの位置情報を取得し、取得した位置情報と、地図情報とに基づいて、MMが走行している道路の傾斜角度の情報をMMに送信するようにしてよい。なお、傾斜角度に対する段階的な閾値を設定しておき、設定された段階的な閾値に基づいて、傾斜角度が大きいほど、上限速度の設定回数を多くする、猶予期間(減速期間、加速期間)を長くする、上限速度の変化幅を小さくする、等してもよい。また、後述する第2実施例を適用する場合においては、傾斜角度に応じた領域を設定することとしてもよい。
【0073】
(8)移動体が走行する道路の混雑状況
この条件は、MMが走行する道路の混雑状況に関する条件であり、例えば、道路が渋滞等によって混雑している場合、所定条件が成立したとしてよい。これは、渋滞等で道路が混雑している場合は、うしろに車両がいると、急な減速によりMMとの間隔が急に狭まり、危険性があると考えられるためである。この場合、1つの手法として、サーバ20が、MMの位置情報を取得し、取得した位置情報と、道路交通情報とに基づいて、MMが走行している道路の混雑状況の情報をMMに送信するようにしてよい。また、例えば、サーバ20が、その時間帯におけるMMのその地域における稼働状況の情報を取得し、取得した稼働状況の情報に基づき、例えば稼働台数が閾値台数以上であることを条件としてもよい。稼働台数が多いということは、その地域において道路が混雑している可能性があるためである。また、後述する第2実施例を適用する場合においては、渋滞状況に応じた領域を設定することとしてもよい。
【0074】
なお、上記の条件を逆にしてもよい。つまり、道路が混雑していないことを条件成立としてもよい。道路が混雑していない場合は、歩行者や車両が少ないため、段階的に時間をかけて走行速度を落としても歩行者や他の車両の邪魔にならず問題ないと考えることもできるためである。
【0075】
(9)移動体が利用される期間帯
この条件は、MMが利用される時間帯に関する条件であり、例えば、朝(7時~10時)や夕方(17時~20時)の時間帯である場合、所定条件が成立したとしてよい。これは、例えば朝(7時~10時)や夕方(17時~20時)の時間帯は通勤通学時間帯であり人通りが多く、うしろに歩行者や車両がいると、急な減速によりMMとの間隔が急に狭まるためである。1つの手法として、MMに時計部を設ける。そして、制御部11が、時計部の計時情報に基づいて時間帯を判定して、条件の成否を判定するようにしてよい。なお、サーバ20や端末30に設けられる時計部の計時情報に基づき、サーバ20を介して時刻情報がMMに送信されるようにしてもよい。
【0076】
なお、上記の条件を逆にしてもよい。つまり、朝や夕方の時間帯以外の時間帯であることを条件成立としてもよい。朝や夕方の時間帯以外の時間帯は、朝や夕方の時間帯と比べて歩行者や車両が少ないため、段階的に時間をかけて走行速度を落としても歩行者や他の車両の邪魔にならず問題ないと考えることもできるためである。
【0077】
(10)移動体が利用されるときの天気
この条件は、MMが利用されるときの天気に関する条件であり、例えば、その日やその時間帯の天気が雨や雪である場合、所定条件が成立したとしてよい。これは、雨や雪のときには路面が滑り易く、急減速が危険な場合があり得るためである。この場合、1つの手法として、MMに環境情報検出部(例えば気象情報検出部)を設ける。そして、制御部11が、環境情報検出部によって検出された環境情報に基づいて、条件の成否を判定するようにしてよい。なお、サーバ20や端末30に設けられる環境情報検出部の検出結果に基づき、サーバ20を介して環境情報がMMに送信されるようにしてもよい。または、外部サービス等により提供されている天気に関する情報を位置情報に対応する地域について取得することで、条件の成否を判定してもよい。
【0078】
(所定条件成立時の制御)
次に、第1実施例に係る所定条件成立時の制御について、
図5、
図6を用いて説明する。
図5(A)は、所定条件が成立していないときの状態であり、MMが領域1に進入すると、上限速度が、P1(20km/h)からQ1(15km/h)に変更され(第1段階)、T1(10秒)経過後に、領域1の上限速度であるS(5km/h)に変更されている。減速過程における上限速度の設定は1段階のみである。
【0079】
所定条件が成立した場合、例えば、(B1)に示すように、上限速度としてR1(10km/h)が追加されており、MMが領域1に進入すると、上限速度が、P1(20km/h)からQ1(15km/h)に変更され(第1段階)、T1(10秒)経過後に、Q1からR1(10km/h)に変更され(第2段階)、T2(10秒)経過後に、領域1の上限速度であるS(5km/h)に変更されている。減速過程における上限速度の設定は2段階となっている。なお、所定条件が成立していない場合に、(B1)の制御であってもよい。
【0080】
そして、所定条件が成立していないときに(A)又は(B1)の制御である場合、所定条件が成立したときに、(B2)の制御を行ってもよい。例えば、(B2)に示すように、上限速度としてR1(10km/h)が追加されており、MMが領域1に進入すると、上限速度が、P1(20km/h)からQ1(15km/h)に変更され(第1段階)、T1’(15秒)経過後に、Q1からR1(10km/h)に変更され(第2段階)、T2’(15秒)経過後に、領域1の上限速度であるS(5km/h)に変更されている。減速過程における上限速度の設定は2段階となっており、第1所定期間、第2所定期間が長くなることにより、減速するための猶予期間がより長くなる。
【0081】
そして、所定条件が成立していないときに(A)又は(B1)の制御である場合、所定条件が成立したときに、(B3)の制御を行ってもよい。例えば、(B3)に示すように、上限速度としてR1(10km/h)が追加されており、MMが領域1に進入すると、上限速度が、P1(20km/h)からQ1’(17km/h)に変更され(第1段階)、T1(10秒)経過後に、Q1’からR1’(12km/h)に変更され(第2段階)、T2’(15秒)経過後に、領域1の上限速度であるS(5km/h)に変更されている。減速過程における上限速度の設定は2段階となっており、第1段階の上限速度が15km/hから17km/hに変更されて大きくなり、第2段階の上限速度が10km/hから12km/hに変更されて大きくなることにより、減速度合が緩和される。ここで、R1’(12km/h)からS(5km/h)までの減速幅は大きくなるが、これに関しては、第2所定期間を10秒から15秒に長くすることで、減速するための猶予期間を長くして、安全性を確保している。
【0082】
図6(A)は、所定条件が成立していないときの状態であり、MMが領域1から領域2に進入すると、上限速度が、S(5km/h)からR2(10km/h)に変更され(第1段階)、T1(10秒)経過後に、領域2の上限速度であるP2(20km/h)に変更されている。加速過程における上限速度の設定は1段階のみである。
【0083】
所定条件が成立した場合、例えば、(B1)に示すように、上限速度としてQ2(15km/h)が追加されており、MMが領域2に進入すると、上限速度が、S(5km/h)からR2(10km/h)に変更され(第1段階)、T1(10秒)経過後に、R2からQ2(15km/h)に変更され(第2段階)、T2(10秒)経過後に、領域2の上限速度であるP2(20km/h)に変更されている。加速過程における上限速度の設定は2段階となっている。なお、所定条件が成立していない場合に、(B1)の制御であってもよい。
【0084】
そして、所定条件が成立していないときに(A)又は(B1)の制御である場合、所定条件が成立したときに、(B2)の制御を行ってもよい。例えば、(B2)に示すように、上限速度としてQ2(15km/h)が追加されており、MMが領域2に進入すると、上限速度が、S(5km/h)からR2(10km/h)に変更され(第1段階)、T1’(15秒)経過後に、R2からQ2(15km/h)に変更され(第2段階)、T2’(15秒)経過後に、領域2の上限速度であるP2(20km/h)に変更されている。加速過程における上限速度の設定は2段階となっており、第1所定期間、第2所定期間が長くなることにより、加速するための猶予期間がより長くなる。
【0085】
そして、所定条件が成立していないときに(A)又は(B1)の制御である場合、所定条件が成立したときに、(B3)の制御を行ってもよい。例えば、(B3)に示すように、上限速度としてQ2(15km/h)が追加されており、MMが領域2に進入すると、上限速度が、S(5km/h)からR2’(8km/h)に変更され(第1段階)、T1(10秒)経過後に、R2’からQ2’(12km/h)に変更され(第2段階)、T2’(15秒)経過後に、領域2の上限速度であるP2(20km/h)に変更されている。加速過程における上限速度の設定は2段階となっており、第1段階の上限速度が10km/hから8km/hに変更されて小さくなり、第2段階の上限速度が15km/hから12km/hに変更されて小さくなることにより、加速度合が緩和される。ここで、Q2’(12km/h)からP2(20km/h)までの加速幅は大きくなるが、これに関しては、第2所定期間を10秒から15秒に長くすることで、加速するための猶予期間を長くして、安全性を確保している。
【0086】
[第2実施例]
第2実施例は、MMの速度を段階的に制御することに関する実施例であって、サーバ20において、予めMMの運転に際して特に注意が必要な注意領域(例えば、育児施設の近辺や小学校の近辺であり、本実施例中では領域2とする)を設定し、その周囲に、注意領域よりも大きな上限速度が設定された減速用の領域を設定することにより、注意領域にMMが進入する前の段階で、MMの上限速度を小さくしてMMを安全に減速させる実施例である。
【0087】
例えば、第2実施例では、
図7に示すように、上限速度Q1(P1>Q1>S)の領域1が、上限速度Sの領域2の周囲に設けられており、MMが上限速度P1の領域から領域1に進入したときに、上限速度をQ1に設定し、MMが領域2に進入したときに、上限速度をSに設定する。
【0088】
図8は、MM装置10の制御部11によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、本例では、注意領域である上限速度S(例えば、5km/m)の領域2に隣接して、その進入経路上に、領域2よりも上限速度が大きい上限速度R1(例えば、10km/h)の領域1aが存在しており、領域1aに隣接して、その進入経路上に、領域1aよりも上限速度が大きい上限速度Q1(例えば、15km/h)の領域1が存在するものとして説明する。制御部11は、領域2の上限速度Sよりも大きい上限速度Q1の領域1にMMが進入したか否かを判定し(S310:Y又はN)、進入したと判定した場合には(S310:Y)、MMの上限速度を、通常時の上限速度P1(例えば、20km/h)よりも小さいQ1に設定する(S320)。MMが、Q1より大きい速度で領域1に進入した場合には、Q1まで 減速することになる。
【0089】
制御部11は、領域2に隣接して設定された、Sよりも大きくQ1より小さい上限速度R1の領域1aにMMが進入したか否かを判定し(S330:Y又はN)、進入したと判定した場合には(S330:Y)、MMの上限速度を、R1に設定する(S340)。MMの速度が、R1より大きかった場合、R1まで 減速することになる。
【0090】
制御部11は、上限速度Sの領域2にMMが侵入したか否かを判定し(S350:Y又はN)、侵入したと判定した場合には(S350:Y)、MMの上限速度を、Sに設定する(S360)。MMの速度が、Sより大きかった場合、Sまで 減速することになる。
【0091】
制御部11は、MMが領域2を離脱したか否かを判定し(S370:Y又はN)、離脱したと判定した場合には(S370:Y)、離脱時制御に移行する(S400)。
【0092】
本実施例では、MMが領域2に進入したときに、上限速度として領域2の上限速度であるSが設定されることにより、MMを上限速度Sまで適切に減速させることが可能である。また、本形態では、領域2の周囲にSよりも大きい上限速度(Q1,R1)の領域(1,1a)を設定していることにより、上限速度と1対1に対応した領域の介在によって、上限速度P1からSへの急激な減速が回避され、より安全にMMが運転されるように補助している。また、本形態では、MMが領域2に到達する前に、領域1、1aという上限速度が異なる複数領域を経由することにより(P1>Q1>R1>S)、1領域のみを経由する場合と比較して、より減速度合を緩やかにして、安全性を高めることができる。
【0093】
なお、本実施例のように、領域1、1aの複数領域を介在させることをせず、1領域のみの介在としてもよく、例えば、領域1aに関する判定及び上限速度設定(S330~S340)を行わずに、領域1に関する判定及び上限速度設定(S310~S320)のみを行った後に、領域2に関する判定及び上限速度設定(S360~S370)を行ってもよい。この場合には、領域1aが設けられていないため、領域2に隣接して領域1が設定されているものとする。
【0094】
また、後述するように、所定条件の成立に応じて、領域1aの設定を追加により行ってもよい。すなわち、所定条件の成立に応じて、領域1と領域2との間に領域1aを追加してもよく、領域1aの設定(領域1と領域2の間への挿入)により、領域1aの設定前よりも領域1が領域2から離れた位置に移動するようにしてもよい。すなわち、減速領域全体を拡大したうえで領域数を増加させてもよい。また、領域1の一部(領域2に隣接する部分)及び/又は領域2の一部(領域1に隣接する部分)を、領域1aに変化させることにより、領域1aが設定されるようにしてもよい。すなわち、減速領域全体は拡大しないが領域数は増加させてもよい。また、領域1の大きさ、又は、領域1aの大きさを可変としてもよく、Q1、又は、R1の大きさを可変としてもよい。
【0095】
なお、本実施例における領域2は、施設のみに対応して設定された領域に限らず、例えば、道路が混雑することが想定される期間においてのみ設定されるような変動的な領域であってもよい。例えば、イベント会場を含むその周辺の領域について、イベントが開催されていない期間は領域2として設定されておらず、イベント開催期間中のみ領域2として設定されるようにしてもよい。また、河川敷等、通常はそれほど混雑しておらず領域2として設定されていない領域であっても、花火大会が開催される日のみ、領域2として設定されるようにしてもよい。
【0096】
図9は、離脱時制御の一例を示すフローチャートである。なお、本例では、注意領域である上限速度S(例えば、5km/m)の領域2に隣接して、その離脱経路上に、領域2よりも上限速度が大きい上限速度R2(例えば、10km/h)の領域3が存在しており、領域3に隣接して、その離脱経路上に、領域3よりも上限速度が大きい上限速度Q2(例えば、15km/h)の領域3aが存在しており、領域3aに隣接して、その離脱経路上に、領域3aよりも上限速度が大きい上限速度P2(例えば、20km/h)の領域4が存在するものとして説明する。ここで、領域3は前述の領域1aと同じ領域(区分されておらず上限速度が同じ領域)であってもよく、領域3aは前述の領域1と同じ領域(区分されておらず上限速度が同じ領域)であってもよい。また、領域3の上限速度と領域1aの上限速度とを異ならせてもよく、領域3aの上限速度と領域1の上限速度とを異ならせてもよい。
【0097】
制御部11は、MMが、上限速度Sの領域2から上限速度R2の領域3に離脱したこと基づいて、MMの上限速度をR2に設定する(S420)。MMが、R1より小さい速度で領域3に進入した場合には、R2まで加速することになる。
【0098】
制御部11は、領域3に隣接して設定された、P2よりも小さくR2より大きい上限速度Q2の領域3aにMMが進入したか否かを判定し(S430:Y又はN)、進入したと判定した場合には(S430:Y)、MMの上限速度を、Q2に設定する(S440)。MMの速度が、Q2より小さかった場合、Q2まで加速することになる。
【0099】
制御部11は、上限速度P2の領域4にMMが侵入したか否かを判定し(S450:Y又はN)、侵入したと判定した場合には(S450:Y)、MMの上限速度を、P2に設定する(S460)。MMの速度が、P2より小さかった場合、P2まで加速することになる。
【0100】
本実施例では、MMが領域4に進入したときに、上限速度として領域4の上限速度であるP2が設定されることにより、MMを上限速度P2まで適切に加速させることが可能である。また、本形態では、領域2の周囲にSよりも大きい上限速度(R2,Q2)の領域(3,3a)を設定していることにより、上限速度と1対1に対応した領域の介在によって、上限速度SからP2への急激な加速が回避され、より安全にMMが運転されるように補助している。また、本形態では、MMが領域4に到達する前に、領域3、3aという上限速度が異なる複数領域を経由することにより(S<R2<Q2<P2)、1領域のみを経由する場合と比較して、より加速度合を緩やかにして、安全性を高めることができる。
【0101】
なお、本実施例のように、領域3、3aの複数領域を介在させることをせず、1領域のみの介在としてもよく、例えば、領域3aに関する判定及び上限速度設定(S430~S440)を行わずに、領域3に関する上限速度設定(S420)のみを行った後に、領域4に関する判定及び上限速度設定(S450~S460)を行ってもよい。この場合には、領域3aが設けられていないため、領域4に隣接して領域3が設定されているものとする。
【0102】
また、後述するように、所定条件の成立に応じて、領域3aの設定を追加により行ってもよい。すなわち、所定条件の成立に応じて、領域3と領域4との間に領域3aを追加してもよく、領域3aの設定(領域3と領域4の間への挿入)により、領域3aの設定前よりも領域3が領域4から離れた位置に移動するようにしてもよい。すなわち、加速領域全体を拡大したうえで領域数を増加させてもよい。また、領域3の一部(領域4に隣接する部分)及び/又は領域4の一部(領域3に隣接する部分)を、領域3aに変化させることにより、領域3aが設定されるようにしてもよい。すなわち、加速領域全体は拡大しないが領域数は増加させてもよい。また、領域3の大きさ、又は、領域3aの大きさを可変としてもよく、R2、又は、Q2の大きさを可変としてもよい。
【0103】
(所定条件成立時の制御)
次に、第2実施例に係る所定条件成立時の制御について、
図10、
図11を用いて説明する。
図10(A)は、所定条件が成立していないときの状態であり、MMが領域1に進入すると、上限速度が、P1(20km/h)からQ1(15km/h)に変更され(第1段階)、MMが領域2に進入すると、領域2の上限速度であるS(5km/h)に変更されている。減速過程における上限速度の設定は1段階のみである。
【0104】
所定条件が成立した場合、例えば、(B1)に示すように、上限速度がR1(10km/h)である領域1aが追加されており、MMが領域1に進入すると、上限速度が、P1(20km/h)からQ1(15km/h)に変更され(第1段階)、MMが領域1aに進入すると、上限速度が、Q1からR1(10km/h)に変更され(第2段階)、MMが領域2に進入すると、領域1の上限速度であるS(5km/h)に変更されている。減速過程における上限速度の設定は2段階となっている。なお、所定条件が成立していない場合に、(B1)の制御であってもよい。
【0105】
そして、所定条件が成立していないときに(A)又は(B1)の制御である場合、所定条件が成立したときに、(B2)の制御を行ってもよい。例えば、(B2)に示すように、上限速度がR1(10km/h)である領域1a’が追加されており、MMが領域1から拡大された領域1’に進入すると、上限速度が、P1(20km/h)からQ1(15km/h)に変更され(第1段階)、MMが領域1aから拡大された領域1a’に進入すると、上限速度が、Q1からR1(10km/h)に変更され(第2段階)、MMが領域2に進入すると、領域2の上限速度であるS(5km/h)に変更されている。減速過程における上限速度の設定は2段階となっており、領域1、領域1aが拡大されることにより、減速するための猶予期間がより長くなる。
【0106】
そして、所定条件が成立していないときに(A)又は(B1)の制御である場合、所定条件が成立したときに、(B3)の制御を行ってもよい。例えば、(B3)に示すように、上限速度がR1(10km/h)である領域1a’が追加されており、MMが領域1に進入すると、上限速度が、P1(20km/h)からQ1’(17km/h)に変更され(第1段階)、MMが領域1aから拡大された領域1a’に進入すると、上限速度が、Q1’からR1(10km/h)に変更され(第2段階)、MMが領域2に進入すると、領域2の上限速度であるS(5km/h)に変更されている。減速過程における上限速度の設定は2段階となっており、第1段階の上限速度が15km/hから17km/hに変更されて大きくなることにより減速度合が緩和される。ここで、Q1’(17km/h)からR1(10km/h)までの減速幅は大きくなるが、これに関しては、領域1aを拡大することで、減速するための猶予期間(減速が可能な距離)を長くして、安全性を確保している。
【0107】
図11(A)は、所定条件が成立していないときの状態であり、MMが領域2から領域3に進入すると、上限速度が、S(5km/h)からR2(10km/h)に変更され(第1段階)、MMが領域4に進入すると、領域4の上限速度であるP2(20km/h)に変更されている。加速過程における上限速度の設定は1段階のみである。
【0108】
所定条件が成立した場合、例えば、(B1)に示すように、上限速度がQ2(15km/h)である領域3aが追加されており、MMが領域3に進入すると、上限速度が、S(5km/h)からR2(10km/h)に変更され(第1段階)、MMが領域3aに進入すると、上限速度が、R2からQ2(15km/h)に変更され(第2段階)、MMが領域4に進入すると、領域4の上限速度であるP2(20km/h)に変更されている。加速過程における上限速度の設定は2段階となっている。なお、所定条件が成立していない場合に、(B1)の制御であってもよい。
【0109】
そして、所定条件が成立していないときに(A)又は(B1)の制御である場合、所定条件が成立したときに、(B2)の制御を行ってもよい。例えば、(B2)に示すように、上限速度がQ2(15km/h)である領域3a’が追加されており、MMが領域3から拡大された領域3’に進入すると、上限速度が、S(5km/h)からR2(10km/h)に変更され(第1段階)、MMが領域3aから拡大された領域3a’に進入すると、上限速度が、R2からQ2(15km/h)に変更され(第2段階)、MMが領域4に進入すると、領域4の上限速度であるP2(20km/h)に変更されている。加速過程における上限速度の設定は2段階となっており、領域3、領域3aが拡大されることにより、加速するための猶予期間がより長くなる。
【0110】
そして、所定条件が成立していないときに(A)又は(B1)の制御である場合、所定条件が成立したときに、(B3)の制御を行ってもよい。例えば、(B3)に示すように、上限速度がQ2(15km/h)である領域3a’が追加されており、MMが領域3に進入すると、上限速度が、S(5km/h)からR2’(8km/h)に変更され(第1段階)、MMが領域3aから拡大された領域3a’に進入すると、上限速度が、R2’からQ2(15km/h)に変更され(第2段階)、MMが領域4に進入すると、領域4の上限速度であるP2(20km/h)に変更されている。加速過程における上限速度の設定は2段階となっており、第1段階の上限速度が10km/hから8km/hに変更されて小さくなることにより加速度合が緩和される。ここで、R2’(8km/h)からQ2(15km/h)までの加速幅は大きくなるが、これに関しては、領域3aを拡大することで、加速するための猶予期間(加速が可能な距離)を長くして、安全性を確保している。
【0111】
なお、第2実施例についても、第1実施例について挙げた所定条件の各例(1)?(10)を適用可能である。その他にも、第1実施例と、第2実施例とに関して、例として、以下の所定条件を適用することが可能である。
【0112】
(11)特定の施設の入り口付近
この条件は、MMが走行する位置が学校等の注意が必要な特定の施設の入り口付近である場合の条件であり、例えば、育児施設、小学校、公園等の入り口付近については所定条件が成立したとしてよい反面、これら施設の近辺ではあるが入り口付近ではない領域については所定条件が成立しないとしてよい。これは、これら施設の入り口前は通らないが近辺の道路を通り抜けたいだけの人の存在も考慮して、施設の近辺であるからと一律で速度制限を適用すると利便を損なうためである。
【0113】
[変形例]
本実施形態の変形例について説明する。
【0114】
上記の実施形態において、MMが設定された上限速度以下となるように、モータ制御部111による制御が実行される例について説明したが、例えば、MMの入力部として、自動減速を回避するためのボタンを入出力部12(例えばハンドル部の近く)に設けておき、そのボタンを操作することで、自動的な減速が回避されるようにしてもよい。例えば、交通量が少なく過度な減速が必要ない場合や、周囲の状況等により減速させることがかえって危険であると判断されるような場合には、そのボタンを操作することによって、減速過程又は加速過程における上限速度の設定が解除され、自動的な減速が回避されてもよい。あるいは、減速過程又は加速過程における上限速度の設定は解除されずそのままであるものの、モータ制御部111が、設定されている上限速度相当の回転速度よりも速い回転速度でモータ16を回転させる制御信号を出力可能とすることにより、自動的な減速が回避されてもよい。
【0115】
上記の実施形態に示したように、MMは、特定小型原動機付自転車であってもよく、この場合、一方通行の道路を逆方向に走行することが可能な場合がある。この場合には、一方通行の順方向について設定している上限速度(例えば20km/h)よりも、逆方向について設定している上限速度(例えば10km/h)が小さくなるように上限速度を設定してもよい。つまり、一方通行の道路を順方向に走行している場合には、上記の所定条件が成立しないが、逆方向に走行している場合には上記の所定条件が成立するとしてよい。これにより、順方向から追ってきている車に対しては、急激に距離が縮まることによる危険を回避することができ、逆方向から迫ってきた車に対しては、すれ違うまでの時間的な猶予を確保することができるため、一方通行の道路での安全性を確保できる。
【0116】
上記の実施形態において、設定される上限速度の切り替えに関しては、速度が急激に変化することで危険が生じる領域、例えば、交差点や踏切内で行わないように各領域を設定することが好ましい。すなわち、第1実施例、第2実施例に示した領域間の境界が、交差点領域内や踏切領域内にならないように各領域を設定することが好ましい。
【0117】
上記の実施形態において、位置算出用情報検出部19Bが、GNSS衛星(例えばGPS衛星)から送信される衛星信号の受信状況が良好ではないこと等により、MMの位置が適切に算出されない場合には、減速過程又は加速過程における上限速度の設定が解除され、通常の上限速度(例えば20km/h)のみが上限となるようにしてもよい。また同様の背景から、衛星信号の受信状況が良好ではない場合、位置算出用情報検出部19Bにより算出される位置情報に基づいて第2実施例に示した領域(所定の上限速度が設定された領域)内に位置していると判断されていても、実態としてはかかる領域内に位置していない状況もありうる。このような状況に鑑みて、実際にはかかる領域の外部に位置しているにもかかわらず、かかる領域に対応する上限速度を適用して急激に速度を変化させるのではなく、中間的な上限速度(例えば17km/h)を一旦適用することで、移動体の安全性を確保できる。
【0118】
上記の実施形態において、例えば、何らかのトリガー(例えば、第1実施例又は第2実施例における、MMの領域1への進入)により新たに低い上限速度が設定された(例えば、上限速度が20km/hから15km/hに変更される)時点において、その上限速度よりも最終的な目標上限速度(例えば、5km/h)に近い速度でMMが運転されていたとき(例えば、12km/hで運転されていたとき)は、新たに設定された上限速度まで速度の上昇を許容するのではなく、そのときの速度以下のみの運転を許容する(例えば、12km/h以下のみでの運転を許容する)よう、モータ16を制御することとしてもよい。すなわち、トリガー発生時におけるMMの速度が、設定されるべき上限速度より小さい時は、トリガー発生時に対応する(トリガー発生時における速度でもよいし、トリガー発生時から前後にある程度ずらした時点における速度でもよい)MMの速度を、新たな上限速度としてもよい。
【0119】
なお、この場合において、トリガー発生時点でのMMの速度が最終的な目標上限速度(例えば、第1実施例では第1領域における最終的な上限速度、第2実施例では第1領域に隣接する第2領域の上限速度)以下であった場合においては、最終的な目標上限速度を新たな上限速度としてよい。このようにすることにより、その状況に対応した最終的な目標上限速度に近い速度で運転することになるので、より安全な移動体の運転とすることができる。
【0120】
上記の実施形態においては、設定される上限速度の切り替えに関しては、目標となる上限速度に徐々に近づくように減速を行う例を示したが、これに限られない。例えば、MMが進入可能な公園等に進入しようとするときは、進入にあたって徐々に減速するのではなく、入り口付近に速度を0にする領域(上限速度が0である領域)を設定して、一旦速度を0にしてから公園等に進入させることが好ましい。これは、公園等入り口においても目標となる上限速度まで減速されていない状態であると、進入の際に危険であるためである。
【符号の説明】
【0121】
1 制御システム
10 マイクロモビリティ
20 サーバ
30 端末
NW ネットワーク
【要約】
【課題】移動体の安全運転に寄与する制御技術を提供する。
【解決手段】移動体の制御方法は、移動体の位置に関する位置情報を取得することと、位置情報に基づいて、移動体の上限速度を第1速度以下にすべき第1領域に移動体が進入したことを検出することと、移動体が第1領域に進入したときに、移動体の上限速度を設定する第1制御を実行することと、を含み、第1制御は、第1領域において、移動体の上限速度を、第1速度よりも大きい第2速度に設定する第1設定を行った後に、移動体の上限速度を、第1速度以下に設定することを含む。
【選択図】
図1