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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】歯ブラシ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A46B 5/00 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
A46B5/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023203983
(22)【出願日】2023-12-01
【審査請求日】2023-12-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522259201
【氏名又は名称】合同会社7days ok Habit
(74)【代理人】
【識別番号】100181582
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 直斗
(72)【発明者】
【氏名】白木 典代
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-54209(JP,A)
【文献】特開平09-117325(JP,A)
【文献】中国実用新案第216534276(CN,U)
【文献】中国実用新案第201806152(CN,U)
【文献】特表2005-510330(JP,A)
【文献】特開2005-185649(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0139569(US,A1)
【文献】登録実用新案第3105822(JP,U)
【文献】特開2010-207551(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0106182(KR,A)
【文献】登録実用新案第3205146(JP,U)
【文献】特開平10-42955(JP,A)
【文献】特開2010-259655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 3/00- 9/12
A61C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシであって、
ハンドル部を有する第1の部材と、
ブラシが設けられたヘッド部及びネック部を有する第2の部材と、を備え、
前記第1の部材と前記第2の部材とは、着脱可能に構成され、
前記第1の部材の前記ハンドル部の後端部は、前記ハンドル部の長手方向に直交する断面が三角形状であり、使用者の手の親指、人差し指及び中指でそれぞれ支持するための3つの側面を有し、
前記歯ブラシは、前記第1の部材における前記ハンドル部の後端部の前記3つの側面を、使用者の手の親指、人差し指及び中指の3本の指で保持した状態で歯磨きを行うよう構成され、
前記第1の部材の前記ハンドル部の長さは、所定の間隔で複数設定された前記ハンドル部の設定長さから選定された長さであり、使用者の手のひらの長さが前記ハンドル部の第1の設定長さ超え第2の設定長さ(ただし、第2の設定長さは、第1の設定長さよりも前記所定の間隔長い。)以下の場合に前記第2の設定長さである
歯ブラシ。
【請求項2】
前記第2の部材の前記ネック部の長さは、所定の間隔で複数設定された前記ネック部の設定長さから選定された長さであり、使用者の手の中指の長さが前記ネック部の第1の設定長さ超え第2の設定長さ(ただし、第2の設定長さは、第1の設定長さよりも前記所定の間隔長い。)以下の場合に前記第2の設定長さである、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記第2の部材は、前記ヘッド部を含み、前記ハンドル部の長手方向に対して10°以上30°以下の角度を成すように前記歯ブラシの背面側に傾斜する傾斜部を有する、請求項1又は2に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
歯ブラシの製造方法であって、
前記歯ブラシは、ハンドル部を有する第1の部材と、ブラシが設けられたヘッド部及びネック部を有する第2の部材と、を備え、
前記第1の部材と前記第2の部材とは、着脱可能に構成され、
前記第1の部材の前記ハンドル部の後端部は、前記ハンドル部の長手方向に直交する断面が三角形状であり、使用者の手の親指、人差し指及び中指でそれぞれ支持するための3つの側面を有し、
前記歯ブラシは、前記第1の部材における前記ハンドル部の後端部の前記3つの側面を、使用者の手の親指、人差し指及び中指の3本の指で保持した状態で歯磨きを行うよう構成され、
使用者の手のひらの長さを測定する測定工程と、
前記第1の部材を準備する第1の準備工程と、
前記第2の部材を準備する第2の準備工程と、
前記第1の部材と前記第2の部材とを取り付ける取り付け工程と、を含み、
前記第1の準備工程において準備する前記第1の部材の前記ハンドル部の長さは、所定の間隔で複数設定された前記ハンドル部の設定長さから選定された長さとし、使用者の手のひらの長さが前記ハンドル部の第1の設定長さ超え第2の設定長さ(ただし、第2の設定長さは、第1の設定長さよりも前記所定の間隔長い。)以下の場合に前記第2の設定長さとする
歯ブラシの製造方法。
【請求項5】
前記測定工程では、さらに、使用者の手の中指の長さを測定し、前記第2の準備工程において準備する前記第2の部材の前記ネック部の長さは、所定の間隔で複数設定された前記ネック部の設定長さから選定された長さとし、使用者の手の中指の長さが前記ネック部の第1の設定長さ超え第2の設定長さ(ただし、第2の設定長さは、第1の設定長さよりも前記所定の間隔長い。)以下の場合に前記第2の設定長さとする請求項4に記載の歯ブラシの製造方法。
【請求項6】
前記第2の部材は、前記ヘッド部を含み、前記ハンドル部の長手方向に対して10°以上30°以下の角度を成すように前記歯ブラシの背面側に傾斜する傾斜部を有する、請求項4又は5に記載の歯ブラシの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口腔内の歯肉炎、歯周炎等の症状を予防するため、使用時の過度なブラッシング圧を抑制する様々な歯ブラシがある。例えば、特許文献1には、ヘッド部材と柄部材との間に、両者に対して着脱可能に構成され、弾性変形可能なバネ部材を備えた歯ブラシが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3227573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、歯ブラシは、使用者が手で持って使用するものであるが、使用者の性別、年齢、身長等によって手の大きさが異なる。しかしながら、従来の歯ブラシは、例えば子供用や大人用というように大きく種類が分かれているだけであった。そのため、使用者に合わせた歯ブラシとはなっておらず、使用時の過度なブラッシング圧を十分に抑制できているとは言えなかった。
【0005】
本発明は、使用時において、過度なブラッシング圧を抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールできる、使用者に合わせた歯ブラシ及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様である歯ブラシは、ハンドル部を有する第1の部材と、ブラシが設けられたヘッド部及びネック部を有する第2の部材と、を備えている。第1の部材と第2の部材とは、着脱可能に構成されている。第1の部材のハンドル部の長さは、使用者の手のひらの長さに基づいて設定された長さである。
【0007】
上記歯ブラシによれば、使用者が手で持つ部分である第1の部材のハンドル部の長さは、使用者の手のひらの長さに基づいて設定された長さである。そのため、ハンドル部の長さが使用者に合わせた長さとなり、使用者が持ちやすいものとなる。これにより、使用時(歯磨き時)において、過度なブラッシング圧を抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールできる。
【0008】
また、第1の部材と第2の部材とは、着脱可能に構成されている。そのため、使用者に合わせてカスタマイズしたハンドル部を有する第1の部材を、第2の部材に取り付けることができる。また、使用者に合わせて第1の部材や第2の部材を付け替えたりすることができる。これにより、使用者に合わせたカスタマイズが容易となる。
【0009】
上記歯ブラシにおいて、第1の部材のハンドル部の後端部は、ハンドル部の長手方向に直交する断面が三角形状であってもよい。この場合には、ハンドル部の後端部を親指、人差し指及び中指の3本の指で保持することができる。これにより、使用時において、過度なブラッシング圧をさらに抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールしやすくなる。
【0010】
また、第2の部材のネック部の長さは、使用者の手の中指の長さに基づいて設定された長さであってもよい。この場合には、ネック部の長さが使用者に合わせた長さとなり、使用者が使いやすいものとなる。これにより、使用時において、過度なブラッシング圧をさらに抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールしやすくなる。
【0011】
また、第2の部材は、ヘッド部を含み、ハンドル部の長手方向に対して10°以上30°以下の角度を成すように歯ブラシの背面側に傾斜する傾斜部を有していてもよい。この場合には、ハンドル部に対して、ブラシが設けられたヘッド部を傾斜させることができる。これにより、使用時において、過度なブラッシング圧をさらに抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールしやすくなる。
【0012】
また、第2の部材のヘッド部のブラシの長さは、使用者の口腔内の症状に基づいて設定された長さであってもよい。この場合には、ヘッド部のブラシが使用者の口腔内の症状に合わせたものとなる。これにより、第1の部材に加えて、第2の部材も使用者に合わせてカスタマイズすることができる。また、使用時において、過度なブラッシング圧を抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールできるという効果をより一層発揮できる。
【0013】
また、第2の部材のヘッド部のブラシの硬さは、使用者の口腔内の症状に基づいて設定された硬さであってもよい。この場合には、ヘッド部のブラシが使用者の口腔内の症状に合わせたものとなる。これにより、第1の部材に加えて、第2の部材も使用者に合わせてカスタマイズすることができる。また、使用時において、過度なブラッシング圧を抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールできるという効果をより一層発揮できる。
【0014】
本発明の他の態様である歯ブラシの製造方法は、使用者の手のひらの長さを測定する測定工程と、ハンドル部を有する第1の部材を準備する第1の準備工程と、ブラシが設けられたヘッド部及びネック部を有する第2の部材を準備する第2の準備工程と、第1の部材と第2の部材とを取り付ける取り付け工程と、を含む。第1の準備工程において準備する第1の部材のハンドル部の長さは、測定工程において測定した使用者の手のひらの長さに基づいて設定された長さとする。
【0015】
上記歯ブラシの製造方法によれば、第1の準備工程では、使用者が手で持つ部分であるハンドル部を有する第1の部材を準備する。このとき、ハンドル部の長さは、測定工程において測定した使用者の手のひらの長さに基づいて設定された長さとする。そのため、ハンドル部の長さが使用者に合わせた長さとなり、使用者が持ちやすいものとなる。これにより、使用時において、過度なブラッシング圧を抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールできる歯ブラシが得られる。
【0016】
また、第1の準備工程では、使用者に合わせてハンドル部を有する第1の部材を容易にカスタマイズすることができる。そして、取り付け工程では、使用者に合わせてカスタマイズした第1の部材を、第2の部材に取り付ける。これにより、使用者に合わせてカスタマイズした歯ブラシが容易に得られる。
【0017】
上記歯ブラシの製造方法において、第1の部材のハンドル部の後端部は、ハンドル部の長手方向に直交する断面が三角形状であってもよい。この場合には、上述したとおり、使用時において、過度なブラッシング圧をさらに抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールしやすくなる歯ブラシが得られる。
【0018】
また、測定工程では、さらに、使用者の手の中指の長さを測定し、第2の準備工程において準備する第2の部材のネック部の長さは、測定工程において測定した使用者の手の中指の長さに基づいて設定された長さとしてもよい。この場合には、ネック部の長さが使用者に合わせた長さとなり、使用者が使いやすいものとなる。これにより、使用時において、過度なブラッシング圧をさらに抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールしやすくなる歯ブラシが得られる。
【0019】
また、第2の部材は、ヘッド部を含み、ハンドル部の長手方向に対して10°以上30°以下の角度を成すように歯ブラシの背面側に傾斜する傾斜部を有していてもよい。この場合には、上述したとおり、使用時において、過度なブラッシング圧を抑制し、適切なブラッシング圧に制御できるという効果を有効に発揮できる歯ブラシが得られる。
【0020】
また、第2の準備工程において準備する第2の部材のヘッド部のブラシの長さは、使用者の口腔内の症状に基づいて設定された長さとしてもよい。この場合には、ヘッド部のブラシが使用者の口腔内の症状に合わせたものとなる。これにより、第1の部材に加えて、第2の部材も使用者に合わせて容易にカスタマイズすることができる。
【0021】
また、第2の準備工程において準備する第2の部材のヘッド部のブラシの硬さは、使用者の口腔内の症状に基づいて設定された硬さとしてもよい。この場合には、ヘッド部のブラシが使用者の口腔内の症状に合わせたものとなる。これにより、第1の部材に加えて、第2の部材も使用者に合わせて容易にカスタマイズすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態の歯ブラシの正面図である。
図2】本実施形態の歯ブラシの背面図である。
図3】本実施形態の歯ブラシの側面図である。
図4図1のA-A線断面図である。
図5】本実施形態の歯ブラシの第1の部材と第2の部材とを分離した状態を示す説明図である。
図6】本実施形態の歯ブラシの使用方法を示す説明図である。
図7】本実施形態の歯ブラシの製造方法において、測定工程の測定対象である使用者の手のひらの長さ及び手の中指の長さを示す説明図である。
図8】その他の実施形態の歯ブラシの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1図3に示すように、本実施形態の歯ブラシ1は、歯を磨く時に使用するものであり、第1の部材11及び第2の部材12の2つの部材で構成されている。第1の部材11及び第2の部材12の材質としては、各種の合成樹脂、木材等を用いることができる。
【0024】
第1の部材11は、歯ブラシ1の後側部分を構成している。第1の部材11の材質としては、各種の合成樹脂、木材等を用いることができる。第1の部材11は、歯ブラシ1の柄の部分となるハンドル部2を有する。ハンドル部2は、使用者が歯ブラシ1を手で持つ部分である。本実施形態において、第1の部材11は、ハンドル部2のみで構成されている。ハンドル部2の先端部201は、第2の部材12に連結されている。
【0025】
ハンドル部2は、三角柱状に形成されている。ハンドル部2は、第1の側面211、第2の側面212及び第3の側面213の3つの側面を有する。このうち、第3の側面213は、歯ブラシ1の背面側に形成されている。ここで、歯ブラシ1の背面側とは、後述するヘッド部3のブラシ31が設けられている側(正面側)とは反対側である。
【0026】
図4に示すように、ハンドル部2は、後端部202を含む全体において、ハンドル部2の長手方向(軸方向)Bに直交する断面が三角形状である。本実施形態において、ハンドル部2は、ハンドル部2の長手方向Bに直交する断面が正三角形状である。ハンドル部2の3つの側面(第1の側面211、第2の側面212及び第3の側面213)によって形成された3つの角部は、面取りされたR面(曲面)となっている。
【0027】
図3に示すように、ハンドル部2の長さCは、ハンドル部2の長手方向(軸方向)Bの長さである。ハンドル部2の長さCは、使用者の手のひらの長さに基づいて設定された長さである。すなわち、ハンドル部2は、使用者の手のひらの長さに合わせた長さに調整されている。なお、ハンドル部2の長さCの設定については後述する。
【0028】
図1図3に示すように、第2の部材12は、歯ブラシ1の先側部分を構成している。第2の部材12の材質としては、各種の合成樹脂、木材等を用いることができる。第2の部材12は、ヘッド部3及びネック部4を有する。本実施形態において、第2の部材12は、ヘッド部3とネック部4とを一体的に構成している。ヘッド部3は、第2の部材12の先端部分に設けられている。ネック部4は、ヘッド部3と第1の部材11(ハンドル部2)との間に設けられている。ネック部4の後端部401は、第1の部材11に連結されている。
【0029】
第2の部材12は、ハンドル部2の長手方向Bに対して歯ブラシ1の背面側に傾斜する傾斜部121を有する。傾斜部121は、第2の部材12のうちネック部4の後端部401を除く部分により構成されている。すなわち、傾斜部121は、ヘッド部3及びネック部4のうち後端部401を除く部分を含んで構成されている。
【0030】
傾斜部121は、ハンドル部2の長手方向Bに延びるネック部4の後端部401から歯ブラシ1の背面側に折れ曲がって延びている。傾斜部121は、所定の厚みを有する細板状に形成されている。傾斜部121は、ハンドル部2の長手方向Bに対して角度Dを成すように歯ブラシ1の背面側に傾斜している。本実施形態において、傾斜部121の傾斜の角度Dは20°である。また、傾斜部121の傾斜の角度Dは、傾斜部121全体において一定である。なお、傾斜部121の傾斜の角度Dは、10°以上30°以下の範囲内とすることができる。
【0031】
ヘッド部3には、ブラシ面301が設けられている。ブラシ面301は、歯ブラシ1の正面側に形成されている。ブラシ面301は、傾斜部121と同様に、ハンドル部2の長手方向Bに対して角度Dを成すように傾斜している。
【0032】
ヘッド部3のブラシ面301には、ブラシ31が設けられている。ブラシ31は、複数の毛束311により構成されている。複数の毛束311は、ブラシ面301に設けられた複数の円形状の凹部に植毛されている。毛束311は、所定の太さを有する複数の毛を束にして構成されている。本実施形態では、ヘッド部3のブラシ面301の全体の領域において、ブラシ31が設けられている(毛束311が植毛されている)。ブラシ31の材質としては、ナイロン、飽和ポリエステル樹脂(PBT)等を用いることができる。
【0033】
図3に示すように、ネック部4の長さEは、使用者の手の中指の長さに基づいて設定された長さである。すなわち、ネック部4は、使用者の手の中指の長さに合わせた長さに調整されている。なお、ネック部4の長さEの設定については後述する。
【0034】
本実施形態において、ネック部4の長さEは、ネック部4の後端部401の軸方向の長さe1と、傾斜部121のうちネック部4の部分の軸方向の長さe2とを合わせた長さ(E=e1+e2)である。
【0035】
また、ヘッド部3のブラシ31の長さFは、使用者の口腔内の症状に基づいて設定された長さである。ブラシ31の長さFは、ヘッド部3のブラシ面301からの長さである。すなわち、ブラシ31の長さFは、ヘッド部3のブラシ面301から露出している部分の長さ(高さ)をいう。
【0036】
また、ヘッド部3のブラシ31の硬さは、使用者の口腔内の症状に基づいて設定された硬さである。ブラシ31の硬さは、ブラシ31の毛の太さによって調整することができる。ブラシ31の毛の太さを細くすることでブラシ31の硬さが柔らかくなり、ブラシ31の毛の太さを太くすることでブラシ31の硬さが硬くなる。
【0037】
すなわち、ヘッド部3のブラシ31の長さF及び硬さは、使用者の口腔内の症状に合わせた長さ及び硬さに調整されている。なお、ブラシ31の長さF及び硬さの設定については後述する。
【0038】
図5に示すように、第1の部材11のハンドル部2の先端部201には、第2の部材12を連結するための連結凹部22が設けられている。連結凹部22は、ハンドル部2の先端部201の先端面から凹むように設けられている。
【0039】
第2の部材12のネック部4の後端部401には、第1の部材11を連結するための連結凸部41が設けられている。連結凸部41は、ネック部4の後端部401の後端面から突出するように設けられている。
【0040】
第1の部材11のハンドル部2の連結凹部22に第2の部材12のネック部4の連結凸部41を差し込んだり、第1の部材11のハンドル部2の連結凹部22から第2の部材12のネック部4の連結凸部41を引き抜いたりすることにより、第1の部材11と第2の部材12との取り付け及び取り外しができる。すなわち、第1の部材11と第2の部材12とは、着脱可能に構成されている。なお、第1の部材11と第2の部材12との連結機構及び着脱機構については、従来公知の他の機構等を用いてもよい。
【0041】
次に、本実施形態の歯ブラシ1の使用方法について説明する。
図6に示すように、使用者は、利き手(図6では右手)で歯ブラシ1のハンドル部2の後端部202を持った状態で歯磨きを行う。
【0042】
具体的には、歯ブラシ1のハンドル部2の後端部202において、利き手の親指で第1の側面211、人差し指で第3の側面213、中指で第2の側面212を支持する。そして、歯ブラシ1のハンドル部2の後端部202を、利き手の親指、人差し指及び中指の3本の指で保持した状態で歯磨きを行う。
【0043】
次に、本実施形態の歯ブラシ1の製造方法(カスタマイズ方法)について説明する。
まず、測定工程を行う。測定工程では、図7に示すように、使用者の利き手(歯ブラシ1を持つ手であり、図7では右手)の手のひらの長さg1及び手の中指の長さg2を測定する。使用者の手のひらの長さg1は、使用者の手の長さ(いわゆる手長)Gから手の中指の長さg2を引いた長さ(g1=G-g2)である。言い換えれば、使用者の手の長さGは、使用者の手の長さg1と、使用者の手の中指の長さg2とを合わせた長さ(G=g1+g2)である。なお、使用者の手の長さGとは、中指の先端から手首のしわまでの距離である。
【0044】
次いで、第1の部材11を準備する第1の準備工程を行う。第1の準備工程において準備する第1の部材11のハンドル部2の長さCは、測定工程において測定した使用者の手のひらの長さg1に基づいて設定された長さとする。すなわち、ハンドル部2の長さを使用者の手のひらの長さに合わせて選定し、その選定した長さのハンドル部2を有する第1の部材11を準備する。これにより、第1の部材11を使用者に合わせてカスタマイズする。
【0045】
ここで、ハンドル部2の長さCは、使用者の手のひらの長さg1と同じであることが好ましい。ハンドル部2の長さCは、使用者の手のひらの長さg1と同じ長さとしてもよいし、使用者の手のひらの長さg1に基づいて段階的に長さを調整してもよい。
【0046】
本実施形態において、ハンドル部2の長さCは、使用者の手のひらの長さg1が70mm超え75mm以下の場合には75mm、75mm超え80mm以下の場合には80mm、80mm超え85mm以下の場合には85mm、85mm超え90mm以下の場合には90mm、90mm超え95mm以下の場合には95mm、95mm超え100mm以下の場合には100mm、100mm超え105mm以下の場合には105mmとする。
【0047】
次いで、第2の部材12を準備する第2の準備工程を行う。第2の準備工程において準備する第2の部材12のネック部4の長さE(=e1+e2)は、測定工程において測定した使用者の手の中指の長さg2に基づいて設定された長さとする。すなわち、ネック部4の長さを使用者の手の中指の長さに合わせて選定し、その選定した長さのネック部4を有する第2の部材12を準備する。これにより、第2の部材12を使用者に合わせてカスタマイズする。
【0048】
ここで、ネック部4の長さEは、使用者の手の中指の長さg2と同じであることが好ましい。ネック部4の長さEは、使用者の手の中指の長さg2と同じ長さとしてもよいし、使用者の手の中指の長さg2に基づいて段階的に長さを調整してもよい。
【0049】
本実施形態において、ネック部4の長さEは、使用者の手の中指の長さg2が50mm超え55mm以下の場合には55mm、55mm超え60mm以下の場合には60mm、60mm超え65mm以下の場合には65mm、65mm超え70mm以下の場合には70mm、70mm超え75mm以下の場合には75mm、75mm超え80mm以下の場合には80mm、80mm超え85mm以下の場合には85mmとする。
【0050】
また、第2の準備工程において準備する第2の部材12のヘッド部3のブラシ31の長さFは、使用者の口腔内の症状に基づいて設定された長さとする。また、第2の準備工程において準備する第2の部材12のヘッド部3のブラシ31の硬さは、使用者の口腔内の症状に基づいて設定された硬さとする。ブラシ31の硬さは、ブラシ31の毛の太さで調整する。
【0051】
すなわち、第2の準備工程では、第2の部材12のヘッド部3のブラシ31の長さ及び硬さを使用者の口腔内の症状に合わせて選定し、その選定したブラシ31の長さ及び硬さの第2の部材12を準備する。これにより、第2の部材12を使用者に合わせてカスタマイズする。
【0052】
ここで、使用者の口腔内の症状とは、例えば、萌出性歯肉炎、思春期性歯肉炎、若年性歯周炎、軽度歯周炎、中等度歯周炎、高等度歯周炎、外科処置後(抜歯等)、智歯周囲炎、知覚過敏等が挙げられる。
【0053】
本実施形態において、ブラシ31の長さFは、使用者の口腔内の症状が萌出性歯肉炎の場合には9mm、高等度歯周炎や外科処置後(抜歯等)の場合には8mmとする。また、ブラシ31の硬さは、使用者の口腔内の症状が萌出性歯肉炎の場合にはブラシ31の毛の太さを5ミルとして硬めに、外科処置後(抜歯等)、高等度歯周炎、知覚過敏の場合にはブラシ31の毛の太さを4ミルとして柔らかめにする。
【0054】
次いで、第1の部材11と第2の部材12とを取り付ける取り付け工程を行う。取り付け工程では、第1の部材11のハンドル部2の連結凹部22に、第2の部材12のネック部4の連結凸部41を差し込み、第1の部材11と第2の部材12とを取り付ける。これにより、使用者に合わせてカスタマイズした歯ブラシ1が得られる。
【0055】
上述したように、本実施形態の歯ブラシ1の製造方法によれば、使用者に合わせてカスタマイズした歯ブラシ1が得られる。例えば、子供が混合歯列期にあるとき、乳歯と永久歯が混在するため、その状態によって本人磨き用と保護者仕上げ磨き用の歯ブラシ1をカスタマイズすることができる。
【0056】
例えば、本人磨き用の歯ブラシ1について、ハンドル部2の長さCは、使用者(子供本人)の手のひらの長さg1に基づいて85mm、ネック部4の長さEは、使用者の手の中指の長さg2に基づいて65mmとする。ブラシ31の長さF及び毛の太さ(硬さ)は、9mm及び5ミルとする。また、保護者仕上げ磨き用の歯ブラシ1について、ハンドル部2の長さCは、使用者(保護者)の手のひらの長さg1に基づいて90mm、ネック部4の長さEは、使用者の手の中指の長さg2に基づいて70mmとする。ブラシ31の長さF及び毛の太さ(硬さ)は、8mm及び4ミルとする。
【0057】
次に、本実施形態の歯ブラシ1及びその製造方法(カスタマイズ方法)の作用効果を説明する。
本実施形態の歯ブラシ1によれば、使用者が手で持つ部分である第1の部材11のハンドル部2の長さCは、使用者の手のひらの長さg1に基づいて設定された長さである。そのため、ハンドル部2の長さCが使用者に合わせた長さとなり、使用者が持ちやすいものとなる。これにより、使用時(歯磨き時)において、過度なブラッシング圧を抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールできる。
【0058】
また、第1の部材11と第2の部材12とは、着脱可能に構成されている。そのため、使用者に合わせてカスタマイズしたハンドル部2を有する第1の部材11を、第2の部材12に取り付けることができる。また、使用者に合わせて第1の部材11や第2の部材12を付け替えたりすることができる。これにより、使用者に合わせたカスタマイズが容易となる。
【0059】
また、本実施形態の歯ブラシ1において、第1の部材11のハンドル部2の後端部202は、ハンドル部2の長手方向Bに直交する断面が三角形状である。そのため、ハンドル部2の後端部202を親指、人差し指及び中指の3本の指で保持することができる。これにより、使用時において、過度なブラッシング圧をさらに抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールしやすくなる。
【0060】
また、第2の部材12は、ヘッド部3を含み、ハンドル部2の長手方向Bに対して20°の角度(角度D)を成すように歯ブラシ1の背面側に傾斜する傾斜部121を有する。そのため、ハンドル部2に対して、ブラシ31が設けられたヘッド部3を傾斜させることができる。これにより、使用時において、過度なブラッシング圧をさらに抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールしやすくなる。
【0061】
また、第2の部材12のネック部4の長さEは、使用者の手の中指の長さg2に基づいて設定された長さである。そのため、ネック部4の長さEが使用者に合わせた長さとなり、使用者が使いやすいものとなる。これにより、使用時において、過度なブラッシング圧をさらに抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールしやすくなる。
【0062】
また、第2の部材12のヘッド部3のブラシ31の長さF及び硬さ(毛の太さ)は、使用者の口腔内の症状に基づいて設定された長さ及び硬さである。そのため、ヘッド部3のブラシ31が使用者の口腔内の症状に合わせたものとなる。これにより、第1の部材11に加えて、第2の部材12も使用者に合わせてカスタマイズすることができる。また、使用時において、過度なブラッシング圧を抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールできるという効果をより一層発揮できる。
【0063】
さらに、本実施形態の歯ブラシ1の製造方法によれば、第1の準備工程では、使用者が手で持つ部分であるハンドル部2を有する第1の部材11を準備する。このとき、ハンドル部2の長さCは、測定工程において測定した使用者の手のひらの長さg1に基づいて設定された長さとする。そのため、ハンドル部2の長さCが使用者に合わせた長さとなり、使用者が持ちやすいものとなる。これにより、使用時において、過度なブラッシング圧を抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールできる歯ブラシ1が得られる。
【0064】
また、第1の準備工程では、使用者に合わせてハンドル部2を有する第1の部材11を容易にカスタマイズすることができる。そして、取り付け工程では、使用者に合わせてカスタマイズした第1の部材11を、第2の部材12に取り付ける。これにより、使用者に合わせてカスタマイズした歯ブラシ1が容易に得られる。
【0065】
また、本実施形態の歯ブラシ1の製造方法において、第2の準備工程において準備する第2の部材12のネック部4の長さEは、測定工程において測定した使用者の手の中指の長さg2に基づいて設定された長さとする。そのため、ネック部4の長さEが使用者に合わせた長さとなり、使用者が使いやすいものとなる。これにより、使用時において、過度なブラッシング圧をさらに抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールしやすくなる歯ブラシ1が得られる。
【0066】
また、第2の準備工程において準備する第2の部材12のヘッド部3のブラシ31の長さF及び硬さ(毛の太さ)は、使用者の口腔内の症状に基づいて設定された長さ及び硬さとする。そのため、ヘッド部3のブラシ31が使用者の口腔内の症状に合わせたものとなる。これにより、第1の部材11に加えて、第2の部材12も使用者に合わせて容易にカスタマイズすることができる。
【0067】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0068】
(1)上記実施形態では、第1の部材11のハンドル部2は、後端部202を含む全体において、ハンドル部2の長手方向Bに直交する断面が三角形状であるが、ハンドル部のうち、少なくとも後端部についてハンドル部の長手方向に直交する断面が三角形状であればよい。
【0069】
(2)上記実施形態では、第2の部材12に傾斜部121を設けたが、例えば、図8に示すように、第2の部材12に傾斜部を設けず、ヘッド部3及びネック部4をハンドル部2の長手方向Bにおいて直線状に延びるように設けた構成としてもよい。この場合、ネック部4の長さEは、そのネック部4の軸方向の長さとなる。
【0070】
(3)上記実施形態では、第2の部材12の一部、具体的には第2の部材12のうちネック部4の後端部401を除く部分を傾斜部121として構成しているが、第2の部材全体を傾斜部として構成してもよい。
【0071】
(4)上記実施形態では、第2の部材12の傾斜部121の傾斜の角度Dが傾斜部121全体において一定であるが、傾斜部の傾斜の角度を部分的、段階的に変化させてもよい。例えば、ヘッド部(ブラシ面)とネック部とで傾斜の角度を変えてもよい。
【0072】
(5)上記実施形態では、第2の部材12のヘッド部3とネック部4とを一体的に構成しているが、ヘッド部とネック部とを別々の部材で構成してもよい。また、ヘッド部とネック部とを別々の部材で構成した場合、ヘッド部とネック部とを脱着可能に構成してもよい。
【0073】
(6)上記実施形態では、ヘッド部3のブラシ面301の全体の領域においてブラシ31が設けられているが、ヘッド部のブラシ面の一部の領域においてブラシが設けられていてもよい。また、ブラシ面に設けるブラシの形状、種類、材質等を種々変更してもよい。このとき、使用者の口腔内の症状に基づいて変更してもよい。
【0074】
(7)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【符号の説明】
【0075】
1…歯ブラシ、2…ハンドル部、3…ヘッド部、4…ネック部、11…第1の部材、12…第2の部材、31…ブラシ
【要約】
【課題】使用時において過度なブラッシング圧を抑制し、適切なブラッシング圧にコントロールできる、使用者に合わせた歯ブラシ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】歯ブラシ1は、ハンドル部2を有する第1の部材11と、ブラシ31が設けられたヘッド部3及びネック部4を有する第2の部材12とを備えている。第1の部材11と第2の部材12とは、着脱可能に構成されている。第1の部材11のハンドル部2の長さCは、使用者の手のひらの長さに基づいて設定された長さである。
【選択図】図3

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8