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特許7495173短波赤外焦平面アレイ、ならびにその利用方法および製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】短波赤外焦平面アレイ、ならびにその利用方法および製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20240528BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20240528BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20240528BHJP
   G01J 1/42 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
H01L31/10 A
H01L27/144 K
G01J1/02 B
G01J1/02 Q
G01J1/42 B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023514057
(86)(22)【出願日】2021-08-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 IB2021057514
(87)【国際公開番号】W WO2022043820
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】63/072,249
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519267990
【氏名又は名称】トライアイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ,ウリエル
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-508561(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0273893(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0214428(US,A1)
【文献】国際公開第2019/155435(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0028286(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0161001(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0111579(US,A1)
【文献】特表2017-508295(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0006961(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/0392
H01L 31/08-31/119
H01L 27/14-27/148
G01J 1/00-1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
短波赤外(SWIR)焦平面アレイ(FPA)の製造方法であって、
ゲルマニウム(Ge)層の種々の位置から種々の量のGeを除去し、その結果、前記SWIR焦平面アレイの複数のフォトサイトの各々について、少なくとも0.3μmの高さと少なくとも2の高さ対幅比とを有するGeの複数の近接構造体を備える、Geの少なくとも1つの識別可能な感光性領域が得られるように、シリコン(Si)ウェハ上に実装された前記Ge層をエッチングする工程と、次いで、
少なくともGeの複数の前記近接構造体の平均高さまで、Geの複数の前記近接構造体間の複数のギャップが充填されるように、エッチングされた前記Ge層上にフィラー材料を堆積させる工程と、次いで、
前記Siウェハが読み出し集積回路(ROIC)ウェハと接合できるようになるように、堆積させた前記フィラー材料またはエッチングされた前記Ge層の頂面を研磨する工程と、次いで、
複数の前記フォトサイトの各々について複数の電気接点を作り出して、それぞれの前記フォトサイトによって検出された検出情報が読み出されるように、金属層を堆積させる工程と、
を含み、
エッチングする前記工程は、光が前記SiウェハのSi層から前記Ge層に入った後に前記Ge層の面を通じて前記Geから出る前記Ge層の当該面において前記Ge層をエッチングする工程を含む、方法。
【請求項2】
前記Ge層をエッチングする前記工程は、当該焦平面アレイの各フォトサイトについて、Geの平坦部分を保護する工程を含み、
前記金属層を堆積させる前記工程は、それぞれの識別可能なGeの前記感光性領域から電気データが読み出されるように、それぞれの識別可能なGeの前記感光性領域に接続された金属電気接点を前記平坦部分に作り出す工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
短波赤外(SWIR)焦平面アレイ(FPA)の製造方法であって、
ゲルマニウム(Ge)層の種々の位置から種々の量のGeを除去し、その結果、前記SWIR焦平面アレイの複数のフォトサイトの各々について、少なくとも0.3μmの高さと少なくとも2の高さ対幅比とを有するGeの複数の近接構造体を備える、Geの少なくとも1つの識別可能な感光性領域が得られるように、シリコン(Si)ウェハ上に実装された前記Ge層をエッチングする工程と、次いで、
少なくともGeの複数の前記近接構造体の平均高さまで、Geの複数の前記近接構造体間の複数のギャップが充填されるように、エッチングされた前記Ge層上にフィラー材料を堆積させる工程と、次いで、
前記Siウェハが読み出し集積回路(ROIC)ウェハと接合できるようになるように、堆積させた前記フィラー材料またはエッチングされた前記Ge層の頂面を研磨する工程と、次いで、
複数の前記フォトサイトの各々について複数の電気接点を作り出して、それぞれの前記フォトサイトによって検出された検出情報が読み出されるように、金属層を堆積させる工程と、次いで、
前記SiウェハのSi基板を20μm未満の厚さに研磨する工程と、
を含む、方法。
【請求項4】
前記Si基板を研磨する前記工程に続いて、通過する光の少なくとも1つの光特性を操作する目的のために、前記Si基板の研磨した面に少なくとも1つの誘電体層を接合する工程が実施され、
少なくとも1つの前記光特性は、光の振幅、位相、偏光および/またはスペクトル特性からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記Siウェハの電極が前記ROICウェハの電極に接触するように、前記Ge層がエッチングされた前記Siウェハを前記ROICウェハに接合する工程であって、それによって、前記SiウェハのGeに基づく複数の前記フォトサイトによって捕捉された光子の数に対応する電気信号の前記ROICウェハによる処理を可能にする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記Ge層の厚さは、10μm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記Ge層をエッチングする工程に先立って、前記Ge層を前記Siウェハ上で成長させる工程が実施され、
成長させる前記工程に先立って、前記Geが堆積する前記Si層を処理する工程が実施され、
処理する前記工程は、ドーピング、ウェルリング、パッシベーション、および電気接点堆積からなる複数のウェハ処理ステージの群から選択される少なくとも1つの処理を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記Ge層は、Geの複数の非接続領域から構成されており、
その各々は、以前に堆積した層内に形成された凹部内において、前記Si層上に堆積したものであり、
当該以前に堆積した層は、前記Geの複数の非接続領域が前記Si層上に堆積するのに先立って、当該Si層上に堆積したフィラー材料層、パッシベーション層、または、平坦化層である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
Geの複数の前記近接構造体の前記平均高さは、1μmより大きく、
Geの複数の前記近接構造体の平均高さ対幅比は、少なくとも5である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記フィラー材料を堆積させる前記工程は、当該フィラー材料の化学蒸着および当該フィラー材料のスパッタリングからなる処理の群から選択される少なくとも1つの堆積処理を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
SWIR光の検出ができる、前記Geを含むフォトダイオードが作製されるように、当該Geにドープする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
SWIR光の光検出を目的とするダイオードが前記Si内に作製されるように、当該Siにドープする工程をさらに含み、
当該SWIR光は、前記Geに吸収されてキャリアを生成し、
当該キャリアは、前記Si層に移動される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
複数の感光性フォトサイトを有する短波赤外(SWIR)焦平面アレイ(FPA)であって、
前記FPAによって検出可能な光がシリコン(Si)ウェハのSi層を通じて前記FPAの複数のフォトダイオードに到達する、20μm未満の厚さを有する当該Si層と、
複数の識別可能な感光性領域を含む、少なくとも1つのゲルマニウム(Ge)層であって、複数の識別可能な前記感光性領域が、複数の前記感光性フォトサイトの各々において少なくとも1つの感光性領域を含み、複数の識別可能な前記感光性領域の各々が、少なくとも0.5μmの高さと少なくとも2の高さ対幅比とを有するGeの複数の近接構造体を備える、少なくとも1つのGe層と、
複数の識別可能な前記感光性領域を覆うパッシベーション層であって、少なくともGeの複数の前記近接構造体の平均高さまで、Geの複数の前記近接構造体間のギャップを充填する、パッシベーション層と、
読み出し集積回路(ROIC)ウェハ接合させることができる研磨された頂面と、
Geの種々の識別可能な前記感光性領域によって吸収された光子の数を示す複数の電気信号を前記ROICウェハに伝送するための複数の金属電極と、
を備える、SWIR FPA。
【請求項14】
前記FPAの各フォトサイトは、
それぞれの前記フォトサイトのGeの複数の前記近接構造体に結合した前記Ge層における平坦部分と、
前記平坦部分に結合した少なくとも1つの金属電極と、
を備える、請求項13に記載のSWIR FPA。
【請求項15】
前記Si層は、前記頂面と反対側に形成されて研磨された底面を備え、
前記Si層の研磨された前記面に接合された少なくとも1つの光有効層をさらに備える、請求項13に記載のSWIR FPA。
【請求項16】
前記Ge層の厚さは、5μm未満である、請求項13に記載のSWIR FPA。
【請求項17】
Geの複数の前記近接構造体の前記平均高さは、1μmよりも大きく、
Geの複数の前記近接構造体の平均高さ対幅比は、少なくとも5である、請求項13に記載のSWIR FPA。
【請求項18】
Geの実質的に平坦な複数のパッチを含む、第2の複数の第2フォトサイトをさらに備え、
複数の前記第2フォトサイトの各々は、前記ROICウェハに接続可能な少なくとも1つの電極を備える、請求項13に記載のSWIR FPA。
【請求項19】
電気光学(EO)検出システムであって、
請求項1318のいずれか一項に記載のSWIR FPAと、
前記EO検出システムの視野からの光を前記SWIR FPA上へ向けるための、少なくとも1つの光学インターフェースと、
当該FPAの前記シリコン(Si)ウェハに接合された、前記ROICウェハであって、前記Siウェハの金属電極が、前記ROICウェハの金属電極に接触しており、それによって、前記SiウェハのGeに基づく複数の当該フォトサイトによって捕捉された光子の数に対応する電気信号の前記ROICウェハによる処理が可能になっており、前記ROICウェハは、種々のフォトサイトによって検出された光子の前記数を示す検出データを外部システムに提供するための少なくとも1つの出力インターフェースを備える、ROICウェハと、
前記視野のIR画像が提供されるように、前記ROICウェハによって提供された前記検出データを処理するよう動作可能なプロセッサと、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2020年8月31日に出願された米国仮特許出願第63/072,249号の優先権を主張するものである。その全体が、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
〔分野〕
本開示は、短波赤外(short wave infrared:SWIR)焦平面アレイ(focal plane array:FPA)に関し、その利用方法および製造方法に関する。特に、本開示は、感光性ピクセルの一部としてゲルマニウム(Ge)構成要素(コンポーネント)を含むSWIR FPAに関する。
【0003】
〔背景〕
ディープエッチングされたGeの反射率、透過率、および吸光度は、Steglich、Martinらによって研究されており、Appl. Phys. A (2016) 122:836, DOI 10.1007/s00339-016-0318-yに公表された彼らの論文“Black Ge Fabricated by Reactive Ion Etching”において論じられている。シリコン(Si)基板上にゲルマニウム(Ge)感光性構成要素を備える、経済的かつ効率的な焦平面アレイ(FPA)センサを製造および利用する技術が、産業界において必要とされている。
【0004】
従来のアプローチ、伝統的なアプローチ、および提案されてきたアプローチのさらなる制限および欠点は、これらのアプローチと、本出願の残りの部分に図面を参照しつつ記載された本出願に係る主題との比較を通じて、当業者に明らかとなるだろう。
【0005】
〔概要〕
様々な実施形態において、SWIR FPAの製造方法であって、Ge層の種々の位置から種々の量のGeを除去し、その結果、前記SWIR焦平面アレイの複数のフォトサイトの各々について、少なくとも0.3μmの高さと少なくとも2の高さ対幅比とを有するGeの複数の近接構造体(proximate structures)を備える、Geの少なくとも1つの識別可能な(distinct)感光性領域が得られるように、Siウェハ上に実装された前記Ge層をエッチングする工程と、少なくともGeの複数の前記近接構造体の平均高さまで、Geの複数の前記近接構造体間の複数のギャップが充填されるように、エッチングされた前記Ge層上にフィラー材料を堆積(depositing)させる工程と、前記Siウェハが感光性検出アレイの他のウェハと接合できるようになるように、前記Siウェハの頂面を研磨する工程と、複数の前記フォトサイトの各々について複数の電気接点を作り出して、それぞれの前記フォトサイトによって検出された検出情報が読み出されるように、金属層を堆積させる工程と、を含む、方法が提供される。
【0006】
一部の実施形態において、前記Ge層をエッチングする前記工程は、当該焦平面アレイの各フォトサイトについて、Geの平坦部分を保護する工程を含み、前記金属層を堆積させる前記工程は、それぞれの識別可能なGeの前記感光性領域から電気データが読み出されるように、それぞれの識別可能なGeの前記感光性領域に接続された金属電気接点を前記平坦部分に作り出す工程を含む。
【0007】
一部の実施形態において、エッチングする前記工程は、光が当該Si層から前記Ge層に入った後に前記Ge層の面を通じて前記Geから出る前記Ge層の当該面において前記Ge層をエッチングする工程を含む。
【0008】
一部の実施形態において、方法は、前記SiウェハのSi基板を20μm未満の厚さに研磨する工程をさらに含む。一部の実施形態において、前記Si基板を研磨する前記工程に続いて、通過する光の少なくとも1つの光特性を操作する目的のために、前記Si基板の研磨した面に少なくとも1つの誘電体層を接合する工程が実施され、少なくとも1つの前記光特性は、光の振幅、位相、偏光および/またはスペクトル特性からなる群から選択される。
【0009】
一部の実施形態において、方法は、前記Siウェハの電極が読み出し集積回路(Readout Integrated Circuit:ROIC)ウェハの電極に接触するように、前記Ge層がエッチングされた前記Siウェハを前記ROICウェハに接合する工程であって、それによって、前記SiウェハのGeに基づく複数の前記フォトサイトによって捕捉された光子の数に対応する電気信号の前記ROICウェハによる処理を可能にする工程をさらに含む。
【0010】
一部の実施形態において、前記Ge層の厚さは、10μm未満である。
【0011】
一部の実施形態において、前記Ge層をエッチングする工程に先立って、前記Ge層を前記Siウェハ上で成長させる工程が実施され、成長させる前記工程に先立って、前記Geが堆積するSi層を処理する工程が実施され、処理する前記工程は、ドーピング、ウェルリング(welling)、パッシベーション、および電気接点堆積からなる複数のウェハ処理ステージの群から選択される少なくとも1つの処理を含む。
【0012】
一部の実施形態において、前記Ge層は、Geの複数の非接続領域から構成されており、その各々は、以前に堆積した層内に形成された凹部内において、Si層上に堆積したものであり、当該以前に堆積した層は、前記Geが成長する前記Si層上に堆積したものである。
【0013】
一部の実施形態において、Geの複数の前記近接構造体の前記平均高さは、1μmより大きく、Geの複数の前記近接構造体の平均高さ対幅比は、少なくとも5である。
【0014】
一部の実施形態において、堆積させる前記工程は、当該フィラーの化学蒸着および当該フィラーのスパッタリングからなる処理の群から選択される少なくとも1つの堆積処理を含む。
【0015】
一部の実施形態において、方法は、SWIR光の検出ができる、前記Geを含むフォトダイオードが作製されるように、当該Geにドープする工程をさらに含む。
【0016】
一部の実施形態において、方法は、SWIR光の光検出を目的とするダイオードが前記Si内に作製されるように、当該Siにドープする工程をさらに含み、当該SWIR光は、前記Geに吸収されてキャリアを生成し、当該キャリアは、前記Si層に移動される。
【0017】
様々な実施形態において、複数の感光性フォトサイトを有するSWIR FPAであって、前記FPAによって検出可能な光がSi層を通じて前記FPAの複数のフォトダイオードに到達する、当該Si層と、複数の識別可能な感光性領域を含む、少なくとも1つのGe層であって、複数の識別可能な前記感光性領域が、複数の前記感光性フォトサイトの各々において少なくとも1つの感光性領域を含み、複数の識別可能な前記感光性領域の各々が、少なくとも0.5μmの高さと少なくとも2の高さ対幅比とを有するGeの複数の近接構造体を備える、少なくとも1つのGe層と、複数の識別可能な前記感光性領域を覆うパッシベーション層であって、少なくともGeの複数の前記近接構造体の平均高さまで、Geの複数の前記近接構造体間のギャップを充填する、パッシベーション層と、感光性検出アレイの他のウェハが接合され得る研磨した頂面と、Geの種々の識別可能な前記感光性領域によって吸収された光子の数を示す複数の電気信号を前記他のウェハに伝送するための複数の金属電極と、を備えるSWIR FPAが提供される。
【0018】
一部の実施形態において、前記FPAの各フォトサイトは、それぞれの前記フォトサイトの複数の前記近接構造体に結合したGeの平坦部分と、前記平坦部分に結合した少なくとも1つの金属電極と、を備える。
【0019】
一部の実施形態において、前記Si層の厚さは、20μm未満である。
【0020】
一部の実施形態において、SWIR FPAは、前記Si層の研磨した面に接合された、少なくとも1つの光有効層(photo effective layer)をさらに備える。
【0021】
一部の実施形態において、前記Ge層の厚さは、5μm未満である。
【0022】
一部の実施形態において、Geの複数の前記近接構造体の前記平均高さは、1μmよりも大きく、Geの複数の前記近接構造体の平均高さ対幅比は、少なくとも5である。
【0023】
一部の実施形態において、SWIR FPAは、Geの実質的に平坦な複数のパッチ(patch)を含む、第2の複数の第2フォトサイトをさらに備え、複数の前記第2フォトサイトの各々は、前記他のウェハに接続可能な少なくとも1つの電極を備える。
【0024】
様々な実施形態において、電気光学(electro-optical:EO)検出システムであって、前述または後述のSWIR FPAを備え、さらに、前記EO検出システムの視野からの光を前記SWIR FPA上へ向けるための、少なくとも1つの光学インターフェースと、当該FPAの前記Siウェハに接合された、ROICウェハであって、前記Siウェハの金属電極が、前記ROICウェハの金属電極に接触しており、それによって、前記SiウェハのGeに基づく複数の当該フォトサイトによって捕捉された光子の数に対応する電気信号の前記ROICウェハによる処理が可能になっており、前記ROICウェハは、種々のフォトサイトによって検出された光子の前記数を示す検出データを外部システムに提供するための少なくとも1つの出力インターフェースを備える、ROICウェハと、前記視野のIR画像が提供されるように、前記ROICウェハによって提供された前記検出データを処理するよう動作可能なプロセッサと、を備えるシステムが提供される。
【0025】
〔図面の簡単な説明〕
本明細書に開示された実施形態の非限定的な例は、このパラグラフに続いて列挙される本明細書に添付の図面を参照しつつ、以下に記載される。2つ以上の図に現れる同一の構造、要素または部分は、それらが現れる全ての図において、同じ符号によってラベル付けされ得る。図面および説明は、本明細書に開示された実施形態を明瞭かつ明確にすることを意図したものであり、いかなる点においても、限定性を有するものと見なされるべきではない。すべての図面は、本開示に係る主題の実施例による、装置またはフローチャートを示す。図面に関して、
図1A図1Jは、本開示に係る主題の実施例による、短波赤外焦平面アレイ(FPA)センサの実施例を示す、概略機能断面図である;
図2は、本開示に係る主題の実施例による、FPAの製造方法の一実施形態を示す;
図3Aは、本開示に係る主題の実施例による、例示的なFPAセンサの製造方法における種々のステージを示す、概略機能断面図を含む;
図3Bは、本開示に係る主題の実施例による、例示的なFPAセンサの製造方法における種々のステージを示す、概略機能断面図を含む;
図4は、本開示に係る主題の実施例による、電気光学(EO)検出システムの一実施形態を示す。
【0026】
〔詳細な説明〕
以下の詳細な説明では、本開示についての十分な理解が提供されるように、多数の特定の詳細が開示されている。ただし、これらの特定の詳細が無くとも本開示を実施し得ることが、当業者によって理解されるだろう。他の例では、周知の方法、手順、およびコンポーネントについては、本開示を不明瞭としないよう、詳細に説明していない。
【0027】
開示された図面および説明において、同一の参照番号は、異なる実施形態または構成に共通するコンポーネントを示す。
【0028】
別段の定めが無い限り、以下の議論から明らかである通り、明細書の全体にわたって、「処理する(processing)」、「計算する(calculating)」、「演算する(computing)」、「決定する(determining)」、「生成する(generating)」、「セット(設定)する(setting)」、「設定(構成)する(configuring)」、「選択する(selecting)」、「定義する(defining)」等の用語(ターム)を利用する議論には、データを操作する、および/または、当該データを他のデータへと変換する、コンピュータの働きおよび/または処理が含まれることが理解される。そして、当該データは、例えば電子的な諸量等の物理量として表され、および/または、当該データは、物理的対象を表すことが理解される。
【0029】
「コンピュータ(computer)」、「プロセッサ(processor)」、および「コントローラ(controller)」という用語は、非限定的な例として、パーソナルコンピュータ、サーバ、コンピューティングシステム、通信デバイス、プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor:DSP)、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array:FPGA)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)等)、他の任意の電子コンピューティングデバイス、および/または、これらの任意の組合せを含む、データ処理能力を有する任意の種類の電子デバイスを包含するものと、広範に解釈されるべきである。
【0030】
本明細書における教示に係る動作は、所望の目的のために特別に作成されたコンピュータによって実行されてもよいし、あるいは、コンピュータ可読記憶媒体に格納されたコンピュータプログラムによって所望の目的のために特別に構成された汎用コンピュータによって実行されてもよい。
【0031】
本明細書において使用されている通り、「例えば(for example)」、「等(such)」、「例として(for instance)」というフレーズおよびそれらの変形語は、本明細書において開示されている主題についての非限定的な実施形態を説明している。本明細書において、「ある場合(one case)」、「一部の場合(some cases)」、「他の場合(other case)」、またはそれらの変形語への言及は、(1つ以上の)実施形態に関連して説明されている特定の構成、構造、または特性が、本明細書において開示されている主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味している。このため、「ある場合」、「一部の場合」、「他の場合」というフレーズまたはそれらの変形語の出現は、必ずしも同じ(1つ以上の)実施形態を指しているわけではない。
【0032】
明瞭化のために、個別の実施形態の文脈において説明されている、本明細書において開示されている主題についての特定の構成は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔化のために、単一の実施形態の文脈において説明されている、本明細書において開示されている主題の様々な構成は、個別に提供されてもよいし、あるいは、任意の適切なサブコンビネーション(副次的な組み合わせ)として提供されてもよい。
【0033】
本開示の主題についての実施形態では、図示されている1つ以上のステージ(段階)は、異なる順序によって実行されてよく、および/または、当該ステージの1つ以上のグループが同時に実行されてもよい。その逆も然りである。各図は、本開示の主題についての実施形態に係るシステムアーキテクチャの一般的な模式図を示す。本明細書において定義および説明されている通り、図中の各モジュールは、機能を実行するソフトウェア、ハードウェア、および/またはファームウェアの任意の組み合わせによって構成されてよい。図中の各モジュールは、1つの位置に集中的に配置されていてもよいし、あるいは、2つ以上の位置に分散して配置されていてもよい。
【0034】
本明細書における方法へのいかなる言及も、(i)当該方法を実行できるシステムに準用(必要な変更を加えたうえで適用)されるべきであり、かつ、(ii)コンピュータによって一旦実行されると、当該方法を実行する結果を生じさせる命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体にも準用されるべきである。
【0035】
本明細書におけるシステムへのいかなる言及も、(i)当該システムによって実行され得る方法に準用されるべきであり、かつ、(ii)当該システムによって実行され得る命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体にも準用されるべきである。
【0036】
図1A図1Eは、本開示に係る主題の実施例による、短波赤外焦平面アレイ(FPA)センサ100(FPA100とも称される)の実施例を示す、概略機能断面図である。これらの図の各々には、簡略化のため、FPA100の3つのフォトサイト(photosite:PS)102(「ピクセル」とも称される)が示されている。しかしながら、実際のFPA100には、かなり多数のPSを実装することができ、例えば、1次元(1D)として、または、2次元(2D)アレイとして、配置することができる。種々のPSは、任意の好適な方法(例えば、トレンチ(trench))により互いに分離され得るが、簡略化のため、かかる分離は、図1A図1Eには示されていない。種々の図において、FPA100に使用される参照番号には、識別文字が含まれる(例えば、100A、100B...100E)。
【0037】
FPA100の各PS102は、少なくとも1つのGeパッチ104を含む。これは、任意選択的に(optionally)、半導体フォトダイオードに対するアノードまたはカソードとして機能し得る。当該半導体フォトダイオードもまた、対応するカソードまたはアノードとしてのSiを含む。少なくとも1つのGeパッチ104は、酸化Si(SiO)の層106または別の材料(例えば、窒化Si(Si))の層106に接触している。この層は、パッシベーション層として実装することができ、かつ/または、平坦化層(planarization layer)等の別の機能性を有する層として実装することができる。種々の形状のGeパッチ104が、種々のPS102に示されている。しかしながら、必ずしもそうである必要はなく、単一のFPA100に、(例えば、箱形、切頭角錐形、および切頭レンズ形等の均一な全形を有する)単一のタイプの複数のGeパッチ104が含まれてもよいことに留意されたい。関連する図における種々の形状は、少数の非限定的な実施例として提供されたものである。また、各PS102は、フォトダイオードに衝突する(当たる)光が電荷へ変換することから生じる検出信号をPS102から読み出すための、1または複数の電極108を含む。好都合には、電極108は、金属、または、他の任意の適切な伝導性材料から作製されてもよい。複数の読み出し電極108のうちの少なくとも1つの読み出し電極108は、各PS102のSiまたはGeのいずれかに接続されるはずである。その他の電極108は、各PS102に接続されてもよく、または、複数のPS102に対して、さらにはアレイ全体に対して、共通に使用することができる。電極108のいくつかの可能な配置が、種々の図1A図1Eにおいて、それぞれのFPA100の他の要素(例えば、Geパッチ104の形状)と無関係に、非限定的に例示されている。なお、効率を向上させるために、Ge104の1または複数の部分がドープされ得ることに留意されたい。Geの種々の領域は、異なるように(例えば、異なるドーパントを使用して、かつ/または、異なるドーピングの程度で)ドープされてもよい。
【0038】
加えて、FPA100には、GeおよびFPA100のその他の材料が接続される、連続シリコン(Si)層110が含まれている。連続Si層110は、Geが実装される基板Siウェハ、または、所望の特性を有するように成長したエピタキシャル層であってもよい。任意選択的に、Si層110は、例えば、数マイクロメートルまたは数十マイクロメートル(例えば、4μm、8μm、15μm、30μm)までその厚さが減少されるように、製造中に研磨されてもよい。連続Si層は、それが1つのPS102から別のPS102へと連続しており、場合によっては、FPA100全体にわたって連続しているという点において、連続的である。
【0039】
図1Aには、Geの複数の急峻な構造体(例えば、ニードル、角錐、リッジ(ridge))が作り出されるようにGeが処理された、FPAセンサ100の一実施形態が例示されている。エッチングされていないGeパッチと比較して、より多くの光子が、当該急峻な構造体によって吸収され得る。実装されるGeの物理的特性に応じて、処理後のGeによって捕捉される光子のパーセントの、同様の凸包絡(convex envelope)を有する均質なGeバルクによって捕捉される光子のパーセントに対する比率は、異なるものであり得、異なる比率(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、またはそれ以上)だけ、より大きなものであり得る。Geを複数の急峻な構造体112の密集した配置へ処理することで、様々な理由によって、その吸収レベルが改善され得る。当該様々な理由とは、例えば、(a)Geの表面の増大、(b)急峻な構造体112による有効な(effective)媒質の生成(この媒質内において、フレネル反射の低減をもたらす屈折率の連続的な変化がある)、および(c)反射した光子がGeと複数回相互作用し得る光捕捉機構(light trapping mechanism)(これにより、吸収の実効的な確率が高められる)である。ただし、当該様々な理由は、これらに限定されるものではない。
【0040】
「急峻な構造体(steep structure)」という語は、マイクロメートルスケールおよびナノメートルスケールの構造体であって、少なくとも1つの幅アスペクト(width aspect)にわたって、その高さがその幅の少なくとも2倍の長さであるマイクロメートルスケールおよびナノメートルスケールの構造体を指すために使用される。一部の実施形態において、ナノメートルスケールの構造体が実装されてもよい。一部の実施形態において、マイクロメートルスケールの構造体が実装されてもよい。急峻な構造体112の高さは、当該急峻な構造体がウェハ上に製造される当該ウェハの平面に対して、垂直に測定される。また、幅は、当該ウェハの平面に対して、平行に測定される。図1F図1A図1Eおよび図1G図1Hにも関連する)に与えられた座標を参照すると、当該ウェハの平面は、図示の座標系のx-y平面であり、急峻な構造体(112)の高さは、z軸に沿って測定される。場合によっては、(例えば、当該急峻な構造体がニードル形状である場合に、)急峻な構造体112の最も広い幅は、それぞれの急峻な構造体112の高さの2倍の大きさよりも小さくてもよいが、これは必ずしもそうである必要はない。本開示に係る種々の実施形態において、また、単一のFPAセンサ内においてさえ、急峻な構造体の高さは変動し得る。一例では、所与のFPA100の複数の急峻な構造体112のうちの少なくとも80%の急峻な構造体の高さは、1μm~2μmであってもよい。一例では、所与のFPA100の複数の急峻な構造体112のうちの少なくとも80%の急峻な構造体の高さは、1μm~1.5μmであってもよい。一例では、所与のFPA100の複数の急峻な構造体112のうちの少なくとも80%の急峻な構造体の高さは、1.2μm~1.5μmであってもよい。
【0041】
FPA100は、SWIR範囲内における電磁放射に対して感受性を有する(sensitive)SWIR FPAであってもよいことに留意されたい。例えば、FPA100は、以下の複数のスペクトル範囲のうちの任意の1または複数のスペクトル範囲の任意の組合せ内における衝突光に対して、感受性を有してもよい:900nm~1,000nm、1,000nm~1,100nm、1,100nm~1,200nm、1,200nm~1,300nm、1,300nm~1,400nm、1,400nm~1,500nm、1,500nm~1,600nm、1,600nm~1,700nm。また、FPA100は、電磁スペクトルのその他の部分(例えば、可視範囲、またはその一部)において感受性を有してもよい。FPA100は、光学フィルタ(例えば、クロマティックバンドパスフィルタ、クロマティックバンドパスブロッカ、クロマティックローパスフィルタ、クロマティックハイパスフィルタ、偏光子等)と共に実装されてもよい。本明細書に使用される、用語「短波赤外センサ(short-wave infrared sensor)」および同様の用語(例えば、「短波赤外FPAセンサ」、「短波赤外FPA」)は、衝突する短波赤外放射(すなわち、波長が1,000nm~1,700nmの放射)を吸収および検出できる感光性センサに関する。SWIRスペクトルの少なくとも一部において、FPA100の量子効率は、(可視スペクトル内におけるセンシングにより適した)Siベースの(Si based)フォトセンサによって達成可能な量子効率よりも高い。任意選択的に、本明細書に開示されたSWIRセンサは、(本開示の目的に関して、1,000nm~1,700nmであると定められる)短波IRスペクトルのサブセクション内の衝突照射(impinging illumination)に対して感受性を有してもよく、より具体的には、1,200nm~1,550nmの衝突照射に対して感受性を有してもよい。本開示の文脈内における所与の波長について、その波長に対するセンサの量子効率が5%よりも大きい場合に、センサは感受性を有すると定義される。
【0042】
図1Bの実施例に示すように、FPAセンサ100は、任意選択的に、1または複数の光有効層114であって、それを通過する照射を操作する1または複数の光有効層114を含んでもよい。例えば、光有効層114は、クロマティックフィルタとして、偏光フィルタとして、他の任意のタイプの光学フィルタとして、リターダ(retarder)として、回折格子として、または層を通過する光放射に影響を及ぼす他の任意のタイプの層として、機能してもよい。
【0043】
図1Cの実施例に示すように、FPAセンサ100は、(図示された別のタイプの光有効層114に加えて、あるいは、唯一の光有効層として)FPAセンサ100に追加することができる、複数のマイクロレンズ116(例えば、マイクロレンズアレイ)の層を含んでもよい。
【0044】
図1Dの実施例に示すように、FPAセンサ100は、2つのウェハを含んでもよく、感光性ウェハに結合した第2ウェハ120を含んでもよい。ウェハ120は、読み出し集積回路(ROIC)を含むため、ROICウェハと称され得る。ROICウェハは、例えば、相補型金属酸化膜半導体(complementary metal-oxide-semiconductor:CMOS)ベースの(based)読み出し回路、1または複数のバックエンドオブライン(back-end-of-line:BEOL)層、および、任意選択的に、処理回路を含んでもよい。
【0045】
FPA100は、前述した構成要素の任意の組合せを含んでもよい。例えば、図1Eの実施例に示すように、FPAセンサ100は、1または複数の光有効層114、マイクロレンズ116、および第2ウェハ120を含んでもよい。
【0046】
なお、図1A図1Eには、(FOV(field of view)からの光が、金属読み出し層を通過することなく、感光部に直接到達する)裏面照射(backside illumination)SWIR FPAセンサが示されている。一方で、FPA100は、必要な変更を加えたうえで、(FOVからの光が、金属読み出し層を通過した後、感光部に到達する)前面照射(front side illumination)SWIR FPAセンサのために実装されてもよいことに留意されたい。
【0047】
図1F図1Hは、本開示に係る主題の実施例による、短波赤外焦平面アレイ(FPA)センサ100の実施例を示す、概略機能断面図である。図1F図1Hに示す実施例において示すように、任意選択的に、FPA100の連続Si層110は、複数の急峻な構造体を含んでもよい。例えば、複数の当該急峻な構造体は、Geの急峻な構造体に関して上に定めた基準に適合している。かかる場合において、Si層は、図に122で示されている。例えば、種々の入射角においてFPAに到達する衝突光の吸収率が増加するように、Si層122における複数の急峻な構造体(Siの急峻な構造体)が用いられてもよい。必ずしもそうである必要はないが、(例えば、当該急峻な構造体の先端からGeパッチ104の基部まで測定した)Si層122の厚さは、数マイクロメートル~数十マイクロメートル(例えば、4μm、8μm、15μm、30μm)であってもよい。任意選択的な(optional)層124が、Si層122の上に実装されてもよい。任意選択的な層124は、例えば、パッシベーション層として機能し、かつ/または、平坦化層等の別の機能性を有する層として機能する。層124は、任意の適切な材料から作り出されてもよい。当該任意の適切な材料は、例えば、酸化Si(SiO)、窒化Si(Si)等であるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
図1Iは、本開示に係る主題の実施例による、FPA100のようなFPAの一例の概略斜視図である。図示の実施例では、FPA100(例示としてFPA100Jを示す)には、3×3のフォトサイト190のアレイが含まれる。しかしながら、明らかに、異なる任意の数のフォトサイトが実装されてもよい。例えば、1、1×10、2×2、32×32、224×144、320×224、640×480、800×600、1024×768、1440×900、2048×1152、3200×2048、8192×8192、15360×8640のフォトサイト、および他の任意の数のフォトサイトが実装されてもよい。
【0049】
図1Jは、本開示に係る主題の実施例による、FPA100のようなFPAの別の実施例の概略上面図である。図示の実施例では、FPA100(例示としてFPA100Kを示す)の種々のフォトサイトが、長方形のグリッドに配置されている。しかしながら、他の任意の適切な幾何学的配置またはタイリング(例えば、ハニカムグリッド、円形グリッド等)が実装されてもよい。
【0050】
図2は、本開示に係る主題の実施例による、焦平面アレイの製造方法の一実施形態200を示す。任意選択的に、方法200は、図1A図1Jに示され、図1A図1Jを参照して説明されたFPA等のFPA(または、その部分)の製造に用いられてもよく、特に、SWIR FPAの製造に用いられてもよいが、これは必ずしもその通りである必要はない。図3Aおよび図3Bにおいて、FPA(SWIR FPA等)の製造工程に関して、2つの非限定的な実施例が提供されている。これにより、方法200およびその種々のステージの理解が容易になり得る。
【0051】
方法200のステージ202は、Ge層の種々の位置から種々の量のGeを除去し、その結果、SWIR焦平面アレイの複数のPSの各々について、少なくとも0.3μmの高さと少なくとも2の高さ対幅比とを有するGeの複数の近接構造体(例えば、上記の「Geの急峻な構造体」)を備える、Geの少なくとも1つの識別可能な感光性領域が得られるように、Siウェハ上に実装されたGe層をエッチングする工程を含む。図1Fに与えられた座標系を参照すると、幅は、x-y平面内で測定され、高さは、z軸に沿って測定される。また、より急峻な高さ対幅比(例えば、>3、>4、>5、>10)が実施されてもよい。なお、Geのそれぞれの識別可能な感光性領域は、例えば製造工程から生じる、より急峻でない構造体(例えば、より短いニードル)を含んでもよい。しかしながら、急峻な構造体のうちの大部分は、前述した閾値よりも大きな高さ対幅比(例えば、2、3、等)を有することに留意されたい。また、(例えば、図面に例示するように)Geの複数の近接構造体は、複数の当該構造体の底部において、互いに接続していてもよいことに留意されたい。必ずしもそうである必要はないが、種々の構造体を接続するGeの層の厚さは、急峻な構造体の高さよりも薄くてもよい(例えば、1μm)。添付図面の実施例を参照すると、Ge層は、Ge層104であってもよい。
【0052】
ステージ202によって、識別可能なGe領域に衝突する光の吸収率が大幅に向上する。図3Aの実施例を参照すると、ステージ202は、ダイアグラム302に示す状態とダイアグラム304に示す状態との間の遷移において、実施され得る。図3Bの実施例を参照すると、ステージ202は、ダイアグラム322に示す状態とダイアグラム324に示す状態との間の遷移において、実施され得る。なお、図1A図1Jと同様に、図示された3つのPSは、単に例示を目的として、種々の形状を有することに留意されたい。用語「Geの識別可能な感光性領域(distinct photosensitive area of Ge)」は、広義には、少なくとも1つのGeの無いゾーンによって他のGe領域から分離されたGeの領域を含む。ウェハの平面に対して平行なGeの各々の識別可能な感光性領域の断面は、実質的に正方形、実質的に長方形、実質的に円形、実質的に楕円形、または他の任意の閉じた形状であってもよい。かかる断面の直径は、例えば、1μm~5μm(ただし、これに限られない)等の、種々のサイズであってもよい。
【0053】
ステージ202のエッチングは、例えば、反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)によって、実施されてもよい。例えば、塩素に基づくRIEやフッ素に基づくRIEを用いてもよい。例えば、非パルスRIEを用いてもよい。別の例では、Ge層のエッチングにメタルエンハンストエッチング(metal enhanced etching)を用いて、急峻な構造体が提供されてもよい。任意選択的に、急峻なGe構造体の生成は、レーザ加工等の、エッチング以外の処理によって達成されてもよい。
【0054】
任意選択的に、ステージ202のエッチングは、(光がSi層からGe層に入った後にGe層の裏面を通じてGeから出る)Ge層の当該裏面において当該Ge層をエッチングする工程を含んでもよい。Geの急峻な構造体は、光が吸収される前にGeを去る当該光の量を制限するために使用される。あるいは、Ge層の(光が他方の面を通じてGe層に入射する)当該他方の面をエッチングしてもよい。
【0055】
方法200のステージ204は、少なくともGeの複数の近接構造体の平均高さまで、Geの複数の近接構造体間の複数のギャップが充填されるように、エッチングされたGe上にフィラー材料を堆積させる工程を含む。任意選択的に、当該フィラー材料は、Ge層を完全に覆ってもよい。図3Aおよび図3Bの実施例を参照すると、ステージ204は、それぞれ、ダイアグラム304に示す状態とダイアグラム306に示す状態との間の遷移、および、ダイアグラム324に示す状態とダイアグラム326に示す状態との間の遷移において、実施され得る。また、(例えば、図面に例示するように)堆積したフィラー材料は、例えば、電極、金属層構成要素、パッシベーション層構成要素等の、製造されたウェハの他の構成要素を覆ってもよい。なお、ウェハの1または複数の処理ステージによって、ステージ202のエッチング工程とステージ204のフィラー材料の堆積工程とが分離されてもよいことに留意されたい。かかる一部のステージの例として、ドーピング工程、トレンチング(trenching)工程、研磨工程、金属層の積層(laying)工程等が挙げられる(かかるステージの各々は、任意選択的に、複数のサブステージを含んでもよい)。ステージ204における、フィラー材料を堆積させる工程には、種々の技術が用いられてもよい。例えば、フィラー材料の堆積工程には、フィラーの化学蒸着(Chemical Vapor Deposition:CVD)、フィラー材料のスパッタリング、または当技術分野において知られるその他の方法が含まれてもよい。
【0056】
ステージ204におけるフィラー材料の堆積工程は、他の可能な目的の中でも、とりわけ、構造的目的、幾何学的目的、および電気的目的に役立ち得、フィラー材料は、かかる目的の間において所望するバランスに最も役立つように選択されてもよい。フィラー材料のいくつかの非限定的な例としては、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)、および様々なポリマーが挙げられる。かかる材料によって、ウェハのSi層とGeパッチとの両方が良好に接合し得、Geのための(そして、場合によっては、下にあるSiのための)電気的パッシベーションが提供され得る。任意選択的に、各PSにおけるGeの複数の急峻な構造体の配置によって、光の反射が低減し、SWIR放射の吸収が増大するように、フィラー材料として選択される材料の屈折率は、Geと比べて相対的に小さくてもよい。例えば、フィラー材料の屈折率は、関連する波長(例えば、1μm~1.5μm、または、そのスペクトルの一部)に関して、2よりも小さくてもよい。例えば、フィラー材料の屈折率は、関連する波長(例えば、1μm~1.5μm、または、そのスペクトルの一部)に関して、1.75よりも低くてもよい。
【0057】
方法200のステージ206は、Siウェハの頂面を研磨する工程を含む。例えば、ステージ206の研磨工程は、関連する実施形態において、シリコンウェハが感光性検出アレイの他のウェハと接合できるようになるように(例えば、図5に例示する、システム400の感光性検出アレイ450のウェハ420と接合できるようになるように)、実施されてもよい。例えば図1Dに例示するように、当該他のウェハは、読み出し集積回路(ROIC)であってもよい。なお、ウェハの前述した頂面には、フィラー材料が含まれ、場合によっては、Geも含まれることに留意されたい。一部の実施形態において、Geは、例えばフィラー材料がパッシベーションを目的として用いられる場合に、ステージ206の研磨工程の後に、当該フィラー材料によって完全に覆われている。一部の実施形態において、Geの部分は、例えば、Geへの電極の接続が可能となるように、露出したままであってもよい。しかしながら、これは必ずしもそうである必要はない。任意選択的に、(もし必要であれば、)Geをフィラー材料で覆った後に形成された専用の穴を介して、電極がGeに到達してもよい。図3Aおよび図3Bの実施例を参照すると、ステージ206は、ダイアグラム306に示す状態とダイアグラム308に示す状態との間の遷移において、(および、ダイアグラム326に示す状態とダイアグラム328に示す状態との間の遷移において、それぞれ)実施され得る。なお、ステージ206の研磨工程は、ステージ208の金属の堆積工程よりも前に実施されてもよいし、ステージ208の金属の堆積工程に続いて実施されてもよいことに留意されたい。ステージ206の研磨工程は、例えば、化学機械研磨(chemical mechanical polishing:CMP)(ただし、これに限定されるものではない)等の、任意の適切な方法で実施されてもよい。
【0058】
方法200のステージ208は、複数のPSの各々について複数の電気接点を作り出して、それぞれのPSによって検出された検出情報が読み出されるように、金属層を堆積させる工程を含む。図3Aおよび図3Bの実施例を参照すると、ステージ208は、ダイアグラム310に示す状態とダイアグラム312に示す状態との間の遷移において、(および、ダイアグラム330に示す状態とダイアグラム332に示す状態との間の遷移において、それぞれ)、実施され得る。さらに、必ずしもそうする必要はないが、一部の実施形態において、ステージ208は、任意選択的に、ステージ204のフィラー材料の堆積工程よりも前に、実施されてもよい。
【0059】
ステージ208において堆積した電気接点は、任意選択的に、Geに接触するか、または、Geに十分に近接するかのいずれかによって、Geの複数のパッチ(Geの複数の識別可能な感光性領域)から電気情報を読み出すために使用されてもよい。Geパッチからの読み出しは、Geのドープされた部分からであってもよく、または、Geのドープされていない部分からであってもよい。電気接点は、PSの他の部分(例えば、Si部分)からの電気信号を読み取るように実装されてもよい。単一のPSに結び付けられていないSiウェハの部分(例えば、複数の隣り合うPSのグループに用いられる部分、すべてのPSに用いられる部分、等。かかる部分には、Siが含まれてもよく、または、ウェハのその他の部分が含まれてもよい)から電気データを読み出すために、他のタイプの電極を実装してもよい。
【0060】
Geを金属電極に接続するための準備は、(それが妥当である場合には、)ステージ202の一部とみなしてもよい。任意選択的に、Ge層をエッチングする工程は、焦平面アレイの各PSについて、Geの平坦部分を保護する工程を含んでもよく、金属層を堆積させる工程は、それぞれの識別可能なGeの感光性領域から電気データが読み出されるように、それぞれの識別可能なGeの感光性領域に接続された金属電気接点を当該平坦部分に作り出す工程を含んでもよい。
【0061】
図3Aおよび図3Bを参照すると、図2に関して記載された製造プロセス(「ステージ」とも称される)以外の製造プロセスも示されていること、また、(他の複数の任意選択的なステージの中でも)かかるステージは、明示的に詳述されていなかったとしても、方法200の一部であり得ることに留意されたい。図3Aを参照すると、特にダイアグラム302を参照すると、Ge層には、平坦な基板において成長したか、あるいは、ポケット内において成長した、隔離した複数のGeのパッチが含まれてもよい。方法200には、Ge層をかかる複数のパッチに成長させる工程、または、Geのかかる複数のパッチをすでに含むウェハを処理する工程が含まれてもよい。方法200を全体として参照すると、任意選択的に、Ge層は、Geの複数の非接続領域を含んでいてもよく、その各々は、以前に堆積した層内に形成された凹部内において、Si層上に堆積している。当該以前に堆積した層は、当該Si層上に堆積したものである。当該前に堆積した層には、ステージ204に係る充填(filling)に関して使用されたものと同じフィラー材料が含まれてもよく、または、別の材料(例えば、別のパッシベーション材料)が含まれてもよい。任意選択的に、方法200は、Geが堆積層において成長する、前述した当該堆積層を含んでもよい。方法200には、任意選択的に、(例えば、エッチングによって、)ポケットが形成されるようにその層を処理する工程が含まれてもよい。なお、Geのより高品質の結晶が生成されるように、ポケット内においてGeのパッチを成長させる工程が実施されてもよいことに留意されたい。ここで、当該ポケットの底部は、Siで作られているが、当該ポケットの壁は、別の材料から作られている。また、Geは、当該別の材料上において、同程度に容易には成長しない。
【0062】
図3Bを参照すると、特にダイアグラム322を参照すると、Ge層は連続層であってもよく、当該連続層が種々のPSとして機能する複数の非接続領域へと分離するように処理されてもよいことに留意されたい。方法200には、任意選択的に、Geのスタンドアロンの(独立した:stand-alone)パッチが製造されるように、(例えば、ダイアグラム320に示すように)連続Ge層を成長させる工程、および/または、(例えば、エッチングによって)Geを処理する工程が含まれてもよい。Si上においてGeを成長させるための方法は、当技術分野において知られている。
【0063】
(連続的であるにせよ、パッチ状であるにせよ、ポケット状であるにせよ、等)Geの層は、エッチング工程よりも前に、予備厚さ(preliminary thickness)を有してもよく、ステージ202のエッチング工程の後に、(急峻な構造体の頂部に向かって測定された)異なるエッチング後厚さを有してもよい。例えば、Ge層の予備厚さは、10μm未満であってもよい。例えば、Ge層の予備厚さは、7μm未満であってもよい。例えば、Ge層の予備厚さは、5μm未満であってもよい。例えば、Ge層の予備厚さは、4μm未満であってもよい。例えば、Ge層の予備厚さは、3μm未満であってもよい。Geの層のエッチング後厚さは、予備厚さ以下であってもよい。例えば、エッチング後厚さは、予備厚さよりも0μm~0.5μm小さくてもよい。例えば、エッチング後厚さは、予備厚さよりも0.5μm~1μm小さくてもよい。例えば、エッチング後厚さは、予備厚さよりも1μm~1.5μm小さくてもよい。例えば、エッチング後厚さは、予備厚さよりも1.5μm~2μm小さくてもよい。例えば、エッチング後厚さは、予備厚さよりも2μm~2.5μm小さくてもよい。例えば、エッチング後厚さは、予備厚さよりも2.5μm~3μm小さくてもよい。
【0064】
また、方法200には、種々のPSのGe層の厚さの間でより高い均一性が達成されるように、ステージ202のエッチング工程の前もしくは後に、または、エッチング工程の前と後との両方において、Geの層を研磨する工程が含まれてもよい。
【0065】
ステージ202のエッチング工程に戻ると、Geの複数の近接構造体の平均高さは、1μmより大きくてもよく、Geの複数の近接構造体の平均高さ対幅比は、5以上(例えば、約6、約7、約8)であってもよい。
【0066】
図3Aおよび図3Bのダイアグラム310およびダイアグラム330をそれぞれ参照すると、任意選択的に、種々のPSを互いに分離する工程が、Si層において、フィラー材料層において、(例えば、図示のように)Geがパッシベーション層内に堆積する当該パッシベーション層において、または、前述した層のうちの2つ以上の層の任意の組合せの層において、実施されてもよいことに留意されたい。PSのかかる分離工程は、トレンチング(例えば、ディープトレンチアイソレーション、シャロートレンチアイソレーション)、ドーピング、または他の任意の適切な処理工程を含んでもよい。方法200の実行におけるかかる分離工程のタイミングは、分離が実行される1または複数の層に依存する。例えば、(例えば、トレンチングによる、ドーピングによる)PSを分離するかかる工程は、Ge層を堆積する工程の前および/または後に、実行されてもよい。任意選択的に、(Ge層を成長させる工程が方法200の一部である場合に、)Ge層を成長させる当該工程に先立って、Geが堆積するSi層を処理する工程が実施される。この処理工程は、ドーピング、ウェルリング、パッシベーション、および電気接点堆積からなる複数のウェハ処理ステージの群から選択される少なくとも1つの処理を含む。PSを分離する工程に加えて、Si層(または、FPAのその他の層)を(例えば、前述したタイプの複数の処理のうちのいずれかの処理によって)処理する工程が、例えば、ドープ領域(N領域および/またはP領域)を形成する目的、接点を形成する目的等の、他の目的のために用いられてもよい。特に、FPAの1または複数の材料(例えば、Si、酸化Si、窒化Si、Ge)にドープする工程には、種々のドーピングの程度で、かつ/または、種々のドーパントによって、それぞれの材料(例えば、Si、Ge等)の種々の部分にドープする工程が含まれてもよい。任意選択的に、方法200には、より長い波長においても検出がなされるように、Geに高度に(highly)ドープする工程が含まれてもよい。任意選択的に、方法200には、SWIR光の光検出を目的とするダイオードがSi内に作製されるように、当該Siにドープする工程が含まれてもよい。このとき、当該SWIR光は、Geに吸収されてキャリアを生成し、当該キャリアは、Si層へ移動されることとなる。
【0067】
例えば、図3Aおよび図3Bのダイアグラム314およびダイアグラム334をそれぞれ参照すると、方法200には、任意選択的に、SiウェハのSi基板を20μm未満の厚さに研磨する工程が含まれてもよいことに留意されたい。例えば、当該Si基板層の初めの厚さは、約800μmであってもよい。Si層を研磨する工程(または、Si基板層の厚さを減少させるための任意の適切な代替的な処理)によって、Si層の厚さを、10μm未満、5μm未満等に減少させてもよい。Si層の厚さを減少させる工程は、例えば、隣り合うフォトサイト間における光の漏れ等の幾何光学的な考慮事項を低減させるために、用いられてもよい。必ずしもそうである必要はないが、(ダイアグラム314およびダイアグラム334に例示するように)Si層を研磨する工程が、全ての上層の処理が完了した後に(例えば、構造的支持がもはや必要でなくなったときに)、実行されてもよい。任意選択的に、Si層を(例えば、数マイクロメートルの厚さに)研磨する工程が、構造的支持を提供する別のウェハ(例えば、ROICウェハ)にSiウェハを接合した後に、実行されてもよい。
【0068】
方法200には、Si層の底面に1または複数の層を接続(例えば、接合)する工程が、(Si層を研磨する工程の後に、あるいは、Si層を研磨する工程無しに)続いてもよい。(例えば、図1B図1Cに関して示し、論じたように、)かかる他の層には、光学フィルタ、マイクロレンズアレイ等が含まれてもよい。方法200は、Si基板を研磨する工程に続いて、Si基板の研磨した面に、少なくとも1つの光有効層(例えば、マイクロレンズ、偏光子、クロマティックフィルタ)を含んでもよい。
【0069】
例えば図1F図1Hに関して前述したように、任意選択的に、方法200には、複数のSiの急峻な構造体が提供されるようにSi層を処理する工程が、(Si層を研磨する工程の後に、あるいは、Si層を研磨する工程無しに)続いてもよい。
【0070】
図1Dの実施例を参照すると、方法200には、(金属電極であるにせよ、または、他の任意の適切なタイプの電極であるにせよ)Siウェハの電極がROICウェハの電極に接触するように、(Ge層がSiウェハ上においてエッチングされた)当該SiウェハをROICウェハ(または、ステージ206に関連して述べたウェハ等の、他の任意のウェハ)に接合する工程がさらに含まれてもよい。それによって、SiウェハのGeに基づく複数のPSによって捕捉された光子の数に対応する電気信号の、ROICウェハによる処理が可能となる。
【0071】
図1A図1Jの非限定的な実施例に戻ると、複数の感光性PSを含む焦平面アレイ(FPA)が開示されている。任意選択的に、FPAは、SWIR FPAであってもよい。必ずしもそうである必要はないが、かかるFPAは、方法200に従って製造されてもよい。製造工程にかかわらず、方法200に関して論じた任意のバリエーションが、必要な変更を加えたうえで、本開示に係るFPAに適用され得る。本開示に係るSWIR FPAは、少なくとも以下のものを備える:
(a)FPAによって検出可能な光がSi層を通じてFPAの複数のフォトダイオードに到達する、当該Si層;
(b)複数の識別可能な感光性領域を含む、少なくとも1つのGe層であって、複数の識別可能な当該感光性領域が、複数の感光性PSの各々において少なくとも1つの感光性領域を含み、複数の識別可能な感光性領域の各々が、少なくとも0.3μmの高さと少なくとも2の高さ対幅比とを有するGeの複数の近接構造体を備える、少なくとも1つのGe層;
(c)複数の識別可能な感光性領域を覆う、少なくとも1つのパッシベーション層であって、少なくともGeの複数の近接構造体の平均高さまで、Geの複数の近接構造体間のギャップを充填する、パッシベーション層;
(d)感光性検出アレイの他のウェハが接合され得る研磨した頂面;および、
(e)Geの種々の識別可能な感光性領域によって吸収された光子の数を示す複数の電気信号を他のウェハに伝送するための複数の電極(例えば、金属電極)。
【0072】
開示されたFPAは、FPA100であってもよいが、これは必ずしもそうである必要はない。任意選択的に、FPAの各PSは、それぞれのPSの複数の近接構造体に結合したGeの平坦部分と、当該平坦部分に結合した少なくとも1つの金属電極と、を備える。任意選択的に、Si層の厚さは、20μm未満である。任意選択的に、FPAは、Si層の研磨した面に接合された、少なくとも1つの追加の層をさらに備え、当該少なくとも1つの追加の層によって、光の振幅、位相、偏光、またはスペクトル応答を操作することができる。
【0073】
任意選択的に、FPAは、Geの複数の近接構造体を含むSiウェハに接合された読み出し集積回路(ROIC)ウェハをさらに備えてもよい。ここで、Siウェハの金属電極は、ROICウェハの金属電極に接触しており、それによって、SiウェハのGeに基づく複数のPSによって捕捉された光子の数に対応する電気信号のROICウェハによる処理が可能になる。かかる場合において、当該ROICウェハは、種々のPSによって検出された光子の数を示す検出データを外部システムに提供するための少なくとも1つの出力インターフェースを備えてもよい。任意選択的に、Ge層の厚さは、5μm未満である。任意選択的に、Ge層の厚さは、10μm未満である。任意選択的に、Geの複数の近接構造体の平均高さは、1μmよりも大きく、Geの複数の近接構造体の平均高さ対幅比は、少なくとも5である。任意選択的に、SWIR FPAは、Geの実質的に平坦な複数のパッチ(例えば、Geの複数のエッチングされていないパッチ)を含む、第2の複数の第2PSを備え、複数の第2PSの各々は、ROICウェハに接続可能な少なくとも1つの金属電極を備える。例えば、種々のタイプのPSが、当該種々のタイプのPSの種々の特性(例えば、吸収率、暗電流、信号対雑音比)によって、FPAにおける他のタイプのPSを、種々の状況(例えば、検出される光の量、動作温度等)において凌ぐことが可能である当該FPAが作り出されるように、2つ以上のタイプのGeに基づく感光性PSの実装が用いられてもよい。任意選択的に、(エッチング工程の前および/またはエッチング工程の後における)種々のタイプのPSに関するGe層の厚さは、異なっていてもよい。
【0074】
図4は、本開示に係る主題の実施例による、電気光学(EO)検出システム400を示す。EO検出システム400は、少なくとも以下のものを備える:
(a)図中に410で示された、前述した複数の焦平面アレイのうちのいずれか1の焦平面アレイ(SWIR FPAか、あるいは、別のタイプのFPAかのいずれか);
(b)EO検出システムの視野(field of view:FOV)からの光をFPA上へ向けるための、少なくとも1つの光学インターフェース430(図では、レンズが示されている;ミラー、レンズ、プリズム、光ファイバ、スペクトルフィルタ、偏光子、その他のフィルタ、窓、リターダ等の、適切な光学コンポーネントの任意の組合せが含まれ得る);
(c)Siウェハの金属電極が、ROICウェハの金属電極に接触するように、FPA410のSiウェハに接合された、読み出し集積回路(ROIC)ウェハ420であって、それによって、SiウェハのGeに基づく複数のPSによって捕捉された光子の数に対応する電気信号のROICウェハによる処理が可能になっている、ROICウェハ420。ROICウェハ420は、種々のPSによって検出された光子の数を示す検出データを外部システムに提供するための少なくとも1つの出力インターフェースを備える;および、
(d)前記視野の画像(例えば、IR画像、SWIR画像、VIS画像、VIS+SWIR画像)が提供されるように、ROICウェハによって提供された検出データを処理するよう動作可能な、プロセッサ440。FOVのSWIR画像は、各PSの信号(あるいは、他の何らかの方法で表されたPS強度)が、画像内でFOVの或る部分からそれぞれのPSへ到達するSWIR光の量に対応する、当該画像である。VISという用語は、電磁画像の可視部分、またはその一部に関する。
【0075】
システム400には、電源、能動光源(例えば、レーザー、LED)、筐体、通信モジュール、システムレベルフィルタ等の、図には示されていないその他の構成要素が含まれてもよい。多数のかかる構成要素は、当技術分野において知られているが、簡潔かつ明確にするために、含まれていない。
【0076】
FOVの1もしくは複数のSWIR画像が生成されるように検出データを処理することに加えて(または、そのように検出データを処理する代わりに)、プロセッサは、任意選択的に、視野内における少なくとも1つの物体の存在が決定されるように、検出データを処理するよう構成されてもよい。かかる物体には、人間、車両、道路、建築物、土、岩、植物および動物等の天然の物体、人工の物体、星、等々が含まれ得る。また、プロセッサは、その他の方法でFPAの検出データを処理してもよい。当該その他の方法のうちの多くの方法は、従来技術に係るセンサに関して、当技術分野で知られており、本開示に係るFPAセンサの検出データを処理するように修正することができる。例えば、プロセッサは、システム400からのFOV内における種々の物体の距離が評価されるよう、FPAによって取得したデータを処理してもよい。
【0077】
本明細書に記載された接続は、例えば中間デバイスを介して、それぞれのノード、ユニットもしくはデバイスから信号を伝送するのに適した、または、それぞれのノード、ユニットもしくはデバイスへ信号を伝送するのに適した、任意のタイプの接続であってもよい。したがって、別段の暗示または明示がない限り、接続は、例えば、直接接続または間接接続であってもよい。接続は、単一の接続、複数の接続、単方向接続、または双方向接続であることに関して、図示または説明され得る。しかしながら、種々の実施形態において、接続の実施形態が変更されてもよい。例えば、双方向接続ではなく、別々の単方向接続が使用されてもよい。その逆もまた然りである。また、複数の接続は、複数の信号を直列にまたは時間多重化方式で伝送する、単一の接続に置き換えられてもよい。同様に、複数の信号を伝える単一の接続は、これらの信号のサブセットを伝える様々な異なる接続に分割され得る。それゆえ、信号を伝送するための多くの選択肢が存在する。その他の修正形態、変形形態および代替形態も可能である。このように、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味として見なされるべきである。
【0078】
特許請求の範囲において、括弧内に配置された任意の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解されるべきではない。「含む(備える)(comprising)」という語は、請求項に列挙された要素または工程以外の、他の要素または工程の存在を除外するものではない。さらに、本明細書に使用される語「a」または「an」は、1つ、または2つ以上として定義される。また、特許請求の範囲における「少なくとも1つの(at least one)」および「1または複数の(one or more)」等の導入句の使用は、同じ請求項が導入句「1または複数の(one or more)」または「少なくとも1つの(at least one)」、および、「a」または「an」等の不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による別の請求項要素の導入が、かかる導入された請求項要素を含む任意の特定の請求項を、1つのかかる要素のみを含む開示に限定することを意味するものと解されるべきではない。同じことが、定冠詞の使用についても当てはまる。別段の定めのない限り、「第1(first)」および「第2(second)」等の語は、かかる語が示す要素を、任意に(arbitrarily)区別するために用いられる。このため、これらの語は必ずしも、かかる要素間における時間的優先付けまたはその他の優先付けを示すことを意図するものではない。或る手段が互いに異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に用いることができないことを示すものではない。
【0079】
本開示についての特定の構成が本明細書において例示および説明されているが、多くの修正、置換、変更、および均等物が当業者によって想起されるだろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の精神の範囲内に含まれる全ての修正および変更をカバーすることを意図していることを理解されたい。上述の実施形態は、例として挙示されており、その様々な構成およびこれらの構成の組み合わせは変更および修正され得ることが理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1A】本開示に係る主題の実施例による、短波赤外焦平面アレイ(FPA)センサの実施例を示す概略機能断面図である。
図1B】本開示に係る主題の実施例による、短波赤外焦平面アレイ(FPA)センサの実施例を示す概略機能断面図である。
図1C】本開示に係る主題の実施例による、短波赤外焦平面アレイ(FPA)センサの実施例を示す概略機能断面図である。
図1D】本開示に係る主題の実施例による、短波赤外焦平面アレイ(FPA)センサの実施例を示す概略機能断面図である。
図1E】本開示に係る主題の実施例による、短波赤外焦平面アレイ(FPA)センサの実施例を示す概略機能断面図である。
図1F】本開示に係る主題の実施例による、短波赤外焦平面アレイ(FPA)センサの実施例を示す概略機能断面図である。
図1G】本開示に係る主題の実施例による、短波赤外焦平面アレイ(FPA)センサの実施例を示す概略機能断面図である。
図1H】本開示に係る主題の実施例による、短波赤外焦平面アレイ(FPA)センサの実施例を示す概略機能断面図である。
図1I】本開示に係る主題の実施例による、短波赤外焦平面アレイ(FPA)センサの実施例を示す概略機能断面図である。
図1J】本開示に係る主題の実施例による、短波赤外焦平面アレイ(FPA)センサの実施例を示す概略機能断面図である。
図2】本開示に係る主題の実施例による、FPAの製造方法の一実施形態を示す。
図3A】本開示に係る主題の実施例による、例示的なFPAセンサの製造方法における種々のステージを示す、概略機能断面図を含む。
図3B】本開示に係る主題の実施例による、例示的なFPAセンサの製造方法における種々のステージを示す、概略機能断面図を含む。
図4】本開示に係る主題の実施例による、電気光学(EO)検出システムの一実施形態を示す。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2
図3A
図3B
図4