(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】操作者の体と接合するための、機能ユニット用のシステム
(51)【国際特許分類】
A41D 13/05 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
A41D13/05 131
A41D13/05 125
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020200680
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】102020000000751
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】590003342
【氏名又は名称】コマウ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】COMAU SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シニエッロ フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ソラ アンドレア フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】モルビデリ マウロ
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0000212(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110150841(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109333505(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0101656(KR,A)
【文献】独国特許発明第102018123017(DE,B3)
【文献】中国実用新案第209915276(CN,U)
【文献】特表2002-542888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の体に接合するための、機能ユニット用のシステムであって、
前記操作者の胴体の後方側に位置決めされることが意図されるフレームであって、前記システムの着用状態において、前記操作者の長手方向に対して平行に配向される主延在方向を画定する、フレームと、
前記フレームに接続される複数の接触ユニットであって、前記システムの前記着用状態において、前記操作者の胴体および腰部と接触することが意図され、前記複数の接触ユニットが、
前記操作者の胸部領域の前方側に自身を位置決めするように構成された、第1の接触ユニットまたは第1の一連の接触ユニットと、
前記操作者の胸部領域の後方側に自身を位置決めするように構成された、第2の接触ユニットまたは第2の一連の接触ユニットと、
前記操作者の腰部に自身を位置決めするように構成された、第3の接触ユニットまたは第3の一連の接触ユニットと、を含み、
各接触ユニットは、第1および第2の支持体と、前記第1および第2の支持体の間に介在し、前記第1および第2の支持体の間の位置および/または配向の変化を可能にするように変形可能である少なくとも1つの弾性体とを含み、前記第1の支持体が、前記システムの前記着用状態において前記操作者の体と接触することが意図されている、複数の接触ユニットと、
前記フレームに前記第1の接触ユニットまたは前記第1の一連の接触ユニットを接続するための複数の可撓性要素と、を備える、システム。
【請求項2】
前記着用状態において、前記機能ユニットによって生み出された力が、前記接触ユニットにより完全に、またはほぼ完全に前記操作者の体に伝達されるような、前記複数の可撓性要素および前記接触ユニットの配置を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記フレームが、前記操作者の肩甲骨領域の高さに位置決めされることが意図される上部と、前記操作者の腰椎または腰仙部領域の高さに位置決めされることが意図される下部とを含み、
前記第2の接触ユニットまたは前記第2の一連の接触ユニットは、前記フレームの前記上部に搭載され、前記第3の接触ユニットまたは前記第3の一連の接触ユニットは、前記フレームの前記下部に搭載される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第3の接触ユニットまたは前記第3の一連の接触ユニットは、回転軸の周りで回転可能な様式で前記下部に接続され、前記システムの前記着用状態において、前記操作者の矢状面で、かつ前記操作者の腰椎または腰仙部領域の高さで水平に位置決めされることが意図される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第3の接触ユニットまたは前記第3の一連の接触ユニットがさらに、前記第3の接触ユニットまたは前記第3の一連の接触ユニットと前記第2の接触ユニットまたは前記第2の一連の接触ユニットとの間の距離の制御を可能にするように、前記主延在方向に沿って位置を調整可能である、請求項3または4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第3の一連の接触ユニットが、前記システムの前記着用状態において前記操作者の腰部の周りに巻き付けられることが意図されるベルトを形成し、前記第3の一連の接触ユニットの各々が、前記第3の一連の接触ユニットに対する自身の配向を変化させるように、回転可能な様式で隣接するユニットに接続される、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第3の一連の接触ユニットが、2つの後部接触ユニットを含み、前記2つの後部接触ユニットは、前記フレームの前記主延在方向に対して対称的に位置決めされ、かつ、腰仙部領域を空けたまま前記操作者の体の腸腰骨領域に位置決めされるように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第3の一連の接触ユニットが、2つの前部接触ユニットを含み、前記2つの前部接触ユニットは、前記フレームの前記主延在方向に対して対称的に位置決めされ、かつ、腹部の下方領域の高さに位置決めされるように構成されている、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
各接触ユニットにおいて、前記第1および第2の支持体はプラスチック製であり、
前記第1の支持体は、
半剛性プレートで構成され、
前記第2の支持体が、剛性または半剛性プレートで構成され、前記剛性または半剛性プレートが、前記接触ユニットを前記フレーム、または前記複数の可撓性要素のうちの1つに接続するための1つまたは複数の接続点を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記フレームがさらに、前記主延在方向に対して平行に延在し、かつ前記上部と前記下部とを共に接合する2つの側部を含み、前記2つの側部が、前記システムの前記着用状態において、体の脊柱領域を空けたまま、前記操作者の脊柱の両側に自身を位置決めするように、前記主延在方向を横断する方向に沿って互いに距離を置いて設置されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の一連の接触ユニットが、前記操作者の胸郭の前方側に
自身を位置決めするように構成された2つの接触ユニットのみを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の一連の接触ユニットが、前記操作者の肩甲骨領域に
自身を位置決めするように構成された2つの接触ユニットのみを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記フレームが金属製
、剛塑性材料
製、
または炭素添加材料製である、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の可撓性要素が、前記第1の接触ユニットまたは前記第1の一連の接触ユニットを前記フレームの前記上部に接続する1つまたは複数の要素(6I)と、前記第1の接触ユニットまたは前記第1の一連の接触ユニットを前記フレームの前記下部に接続する1つまたは複数の要素(6II)とを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項15】
前記操作者の胴体上に前記システムを固定するために、解放可能な接続部材により前記第1の一連の接触ユニットの前記接触ユニットを互いに接続する1つまたは複数の追加の要素を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の可撓性要素が、ベルトまたはバンドで構成されている、請求項1から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記フレームが、前記操作者の肩甲骨領域の高さに位置決めされることが意図される上部と、前記操作者の腰椎または腰仙部領域の高さに位置決めされることが意図される下部とを含み、前記システムが、前記フレーム上に提供され、かつ前記複数の可撓性要素の対応する可撓性要素(6I、6II)に接続される1つまたは複数のスペーサ要素を備え、前記1つまたは複数のスペーサ要素は、少なくとも部分的に前記主延在方向に沿って延在し、その結果、前記システムの前記着用状態において、前記1つまたは複数のスペーサ要素に接続される前記複数の可撓性要素が前記操作者の僧帽筋および鎖骨領域の上に上昇し、前記操作者の僧帽筋および鎖骨領域から距離を保つ、請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者の体と接合するための、機能ユニット用のシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
これらのシステムは、一般的な機能ユニット、例えば、機器、搬送ユニットなどと結合されることが意図され、ユニットにより生み出された力を操作者の体に対して解放する機能を実行するために操作者によって着用され、これは通常、作業の一部の操作者の腕を楽にさせる。
【0003】
作業者の作業状態のより一層厳格な要件を提供するという、しばらく前からの傾向に従い、このタイプの接合システムは、様々な作業域において、例えば、産業界、建設現場、農業分野などにおいて、ますます普及している。
【0004】
しかしながら、既知の接合システムは様々な欠点を有する。本議論の目的となる主な欠点を挙げると、これには概して、それらの接合システムが心地よくないこと、長時間の使用後に不快さ、またはさらには痛みを引き起こすこと、操作者に汗をかかせること、およびそれらが複数人による使用に適さないことが含まれる。
【0005】
このコンテキストにおいて、本発明は、既知のシステムに対して改善された接合システム、特に、上記の欠点のうちの1つまたは複数を克服するものを提供することを目的とする。
【0006】
この目的は、請求項1に言及される特徴を有する接合システムによって達成される。
【0007】
特許請求の範囲は、本発明に関連して本明細書に提供される技術的開示に不可欠な部分をなす。
【0008】
本発明のさらなる特徴および利点は、純粋に非限定的な例として提供する添付の図面を参照して、以下の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】前面視による、本明細書に記載の接合システムの好ましい実施形態を表す。
【
図1B】後方視による、本明細書に記載の接合システムの好ましい実施形態を表す。
【
図4A】
図3A、3B、および3Cの構成要素の変形例を表す。
【
図4B】
図3A、3B、および3Cの構成要素の変形例を表す。
【
図7A】本明細書に記載のシステムが異なる姿勢および体格の操作者により着用される例を示す。
【
図7B】本明細書に記載のシステムが異なる姿勢および体格の操作者により着用される例を示す。
【
図7C】本明細書に記載のシステムが異なる姿勢および体格の操作者により着用される例を示す。
【
図7D】本明細書に記載のシステムが異なる姿勢および体格の操作者により着用される例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において、実施形態の完全な理解を目的として様々な具体的な詳細が示される。実施形態は、具体的な詳細のうちの1つまたは複数を伴わずに実装されてもよいし、または他の方法、構成要素、材料などと共に実装されてもよい。他の場合では、実施形態の様々な態様が不明瞭となることを避けるべく、既知の構造、材料、または動作は詳細に示されないまたは説明されない。
【0011】
本明細書で使用される参照符号は便宜上のためのみに使用されるため、保護の分野または実施形態の範囲を規定するものではない。
【0012】
本明細書に記載の解決策は、操作者の体と接合するための、機能ユニット用のシステムに関する。この用語は、本明細書では、所与の機能または操作を実行するために配置される任意のユニットを指す。例えば、ツール、機器、装置、デバイスなどであってよい。機能または操作は任意のタイプのものであってよく、任意の活動域、例えば、産業界、建設現場、農業分野、貿易などのためのものであってもよい。
【0013】
当該接合システムは、特に、機能ユニットが操作者によって運ばれるように配置され、ユニットにより生み出される力を操作者の体に対して解放する機能を実行する用途が意図されている。
【0014】
概して、図面において参照符号10で示される、本明細書に記載の接合システムは、操作者の胴体の後方側に位置決めされることが意図され、システムの着用状態において、操作者の長手方向に対して平行に配向される主延在方向Kを画定するフレーム2と、フレーム2に接続され、操作者の胴体および腰部と接触することが意図される複数の接触ユニット4であって、この複数の接触ユニットが、操作者の胸部領域の前方側に自身を位置決めするように構成された第1の一連の接触ユニット4Iと、操作者の胸部領域の後方側に自身を位置決めするように構成された第2の一連の接触ユニット4IIと、操作者の腰部に自身を位置決めするように構成された第3の一連の接触ユニット4IIIと、を含み、各接触ユニット4は、第1および第2の支持体41、42と、第1および第2の支持体の間に介在し、第1の支持体41および第2の支持体42の間の位置および/または配向の変化を可能にするように変形可能である少なくとも1つの弾性体43とを含み、第1の支持体41が、接合システムの着用状態において操作者の体と接触することが意図されている、複数の接触ユニット4と、フレーム2に第1の接触ユニット4Iを接続するための複数の可撓性要素6と、を含む。
【0015】
フレーム2は、機能ユニットが接続され、機能ユニットにより生み出される力が伝達される、システムの構成要素を構成する一方、接触ユニット4は、機能ユニットからフレーム2へと伝達される力がそれを通して操作者の体に対して解放される、システムの構成要素を構成する。
【0016】
これらの接触ユニットは、主にフレーム2に伝達される角度モーメントを解放するために操作者の胸郭の前方側および後方側に、ならびに主にフレーム2に伝達される垂直方向の力を排出するために腰部に位置決めされるように設計されている。
【0017】
全体として、機能ユニットにより生み出される力は、接触ユニット4によって操作者の体に完全に、またはほぼ完全に伝達される。
【0018】
したがって、ユニット4と接触していない操作者の体の領域は、機能ユニットによって生み出される負荷および力の支持に(少なくとも直接的には)関与しない。
【0019】
上に示されるように、各接触ユニットは、少なくとも2つの相互に移動可能かつ弾力的に接続された支持体によって形成されており、その結果、一方では異なる操作者の体の形状に適合しながら、他方では、操作者の体の動きに従ってフレーム2に伝達される力を弾力的に抑制させることを可能にする。
【0020】
上記に示される特徴のおかげで、接合システム10は概して、着用が心地よく、長時間の行使に対して極めて過敏な部分である操作者の首、僧帽筋領域、肩、および腹部領域の負荷を緩和することができる。
【0021】
本明細書に記載のシステムの好ましい実施形態をここで参照すると、フレーム2は、操作者の肩甲骨領域に位置決めされることが意図される上部21と、操作者の腰椎または腰仙部領域に位置決めされることが意図される下部22とを含む。
【0022】
例示されるもののような好ましい実施形態では、フレーム2はまた、主方向Kに対して平行に延在し、上部21および下部22を互いに接続する2つの側部23を含む。
【0023】
2つの部分23は、自身を操作者の脊柱の両側に配置することで体のこの領域を空けたままにするように、方向Kに対して横断する方向に沿って間隔が空けられている。
【0024】
フレーム2は剛性構造を有し、金属製、例えばアルミニウム製であってよく、または剛塑性材料製、例えば、任意に炭素を添加したPLA(ポリ乳酸)製、またはさらには木製であってもよい。
【0025】
図3A~3Bを参照すると、接触ユニット4の2つの支持体41、42は、プラスチック材料、例えばナイロン、PET、またはPLA製であってよい。
【0026】
好ましい実施形態、および例示される実施形態では、操作者の体と接触することが意図される支持体41は、延在している広い面積にわたって半剛性の有孔プレートで形成されている。支持体41の上に得られる穴は、プレートの弾性的挙動を強調し、他方で、プレートが接触する操作者の体の部分が呼吸することを可能にする機能を有する。
【0027】
接触ユニット4の支持体42はまた、構造が剛性であっても半剛性であってもよいプレートで形成されている。このプレート42には、ユニット4をフレーム2または可撓性要素6に接続するための1つまたは複数の取り付け点42Aが配置されている。
【0028】
当該取り付け点は、様々なタイプのものであってよい。例えば、
図3A~3Cに示されるように、可撓性要素6への接続のために、プレート42は、これらの要素を締結するための1つまたは複数のスロット42Aを有してよい。
【0029】
フレーム2への接続のために、プレート42は代わりに、ねじまたは同等のタイプの他の締結部材によりフレーム2を固定するための1つまたは複数の穴(図示せず)を有してもよい。
【0030】
好ましい実施形態、および例示される実施形態では、弾性体43は、実質的に管状の本体からなり、好ましくはゴム製であり、それらの軸が支持体41および42に対して横向きに配向されるように配置されている。これらの本体は、2つの支持体41および42の間の位置および/または配向の変化に起因して圧迫され、それらの延在状態に戻るように、弾性作用を用いてそれらに対して動作するように設計されている。2つの支持体41および42の間のこれらの本体の数および分配は、支持体42に伝達される負荷が支持体41の拡大面積にわたって、かつその結果、操作者の体の同等の拡大面積にわたって解放されるように選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、本体43はまた、それらの弾性的挙動を強調するために加圧気体を含有してもよい。
【0032】
代替的な実施形態では、接触ユニット4は、他方で、独立気泡フォームまたは可撓性網状構造からなる1つまたは複数の弾性体を含んでよい。これに関して、
図4Aおよび4Bは、接触ユニット4が平行六面体の形状の単一の弾性体を含む2つの例を示し、
図4Aの例では弾性体は独立気泡体からなり、
図4Bの例では弾性体は可撓性網状構造からなる。使用される材料はポリマ材料、例えばゴム、ポリウレタン、ポリアミドなどであってよい。
【0033】
次に
図5を参照すると、好ましい実施形態、および例示される実施形態では、接触ユニット4IIIは、操作者の腰部の周りに巻き付けられるように構成される、チェーン型構造を有するベルトを構成する。特に、異なるユニット4IIIは、回転して隣接するユニットに対する自身の配向を変化させることができるように、それぞれのプレート42を介して互いに接続される。好ましい実施形態、および例示される実施形態では、この接続は、例えばテープなどの可撓性要素52によってなされてもよい。
【0034】
代替的には、各接触ユニット4IIIは、2つの接触ユニットのそれぞれのプレート42を回転可能に接続するヒンジによって隣接するユニットに接続されてもよい。
【0035】
好ましい実施形態、および例示される実施形態では、接触ユニット4IIIは、接触することが意図される腰部の部分に応じて互いに異なっている。
【0036】
一連の接触ユニット4IIIは、特に、脊柱に対して対称的な位置で、かつ好ましくは腸骨・腰部領域の高さで、腰部の後方側に位置決めされることが意図される2つの接触ユニット4III(1)を含む。
【0037】
当該一連の接触ユニット4IIIはまた、代わりに、常に脊柱に対して対称的な位置で、かつ下腹部の高さで、腰部の前方側に位置決めされることが意図される2つの接触ユニット4III(2)を含む。
【0038】
接触ユニット4III(2)は、各々が、2つの支持体41に共通の単一の支持体42を提供する点で接触ユニット4III(1)とは区別され、2つの支持体41の各々は、それぞれの弾性体43によって支持体42に接続される。支持体42は、操作者の腰部の周囲に沿って自身を配向するように意図される長手方向の延在を有し、操作者の体の形状に適合して曲がることができるように半剛性構造を備える。
【0039】
好ましくは、脊柱の各側部には、対応する接触ユニット4III(1)および4III(2)が骨盤の腸骨稜の上に配置される。
【0040】
図5Aの変形例に示されるように、単一の支持体42に保持される支持体41のサイズおよび数は、特定の用途の接触ユニット4III(1)および接触ユニット4III(2)の両方に関する要件に応じて変化してもよい。 代替的な実施形態では、代わりに、接触ユニット4IIIはすべて、各支持体42が単一の支持体41を保持する同じ構造を有する。この場合、好ましくは、個々の接触ユニットは、操作者の体の制限区域に係合するために小さい寸法を有する。他方で、複数の接触ユニットで構成される一連の接触ユニットは、例示される実施形態よりもはるかに多い数を有し、その結果、すべてのユニットが共に、離散した様式で、依然として操作者の腰部の周囲の広い部分を覆う。
【0041】
概して、一連の接触ユニット4IIIは、異なる操作者の腰部の形状に適合し、常にその腰部の周りに巻き付けられて付着したままであるように設計され、腰部の周囲の拡大した広い部分に沿って負荷を分配するように設計されている。
【0042】
好ましくは、異なる接触ユニット4III(1)および4III(2)の支持体42を接続する一連の可撓性要素52はまた、操作者の腰部上でシステム10を閉じるための解放可能な接続部材53(例えば、バックパックに使用されるタイプのクリップファスナ)を含む。
【0043】
図1Aおよび
図1Bに戻ると、好ましい実施形態、および例示される実施形態では、一連の接触ユニット4Iは、操作者の胸郭の前方側に、好ましくは脊柱に対して対称的な位置で位置決めされるように配置される2つの接触ユニットのみを含む。また、
図2は
図1Aおよび
図1Bの接合システムの側面図を表し、
図6は
図1Aおよび
図1Bのシステムの詳細を表す。
【0044】
好ましい実施形態、および例示される実施形態では、一連の接触ユニット4IIは、フレーム2に固定され、かつ操作者の肩甲骨領域上で常に脊柱に対して対称的な位置で位置決めされるように配置される2つの接触ユニットのみを含む。
【0045】
代替的な実施形態では、接触ユニット4Iおよび4IIは代わりに、特定の用途の要件に基づき、単一であってもよいし、3つ以上の数からなってもよい。
【0046】
着用されたシステム10は、操作者の胴体の後方側で脊柱に沿った領域を空けたままにするように設計されることに留意すべきである。これは、見られるように、接触ユニット4IIおよび4III(1)、ならびにフレーム2の側部23がすべてこの領域の両側に対称的に位置決めされるためである。
【0047】
可撓性要素6は、接触ユニット4Iをフレーム2に接続し、概して、操作者の体に対するシステム10全体の締結を生み出すように配置される。
【0048】
好ましい実施形態、および例示される実施形態では、一連の要素6は、2つの接触ユニット4Iをフレーム2の上部21に接続する2つの要素6Iと、同じ接触ユニットをフレーム2の下部22と接続する2つの要素6IIとを含む。全体として、要素6Iおよび6IIはショルダーストラップを構成する。
【0049】
要素6Iおよび6IIは、接触ユニット4Iに、およびフレーム2に接続されてもよく、システムの調整を提供して、当該システムを操作者の体格に適合させるために、これらのユニットと、フレーム2の上部および下部21、22との間でそれらの長さを変化させる可能性を有する。任意で、要素6IIは、システムの着脱を容易にするためにそれらの開きを決定するための解放可能な接続部材54を含んでもよい。
【0050】
2つの追加の要素6IIIは各々、それぞれの接触ユニット4Iに接続され、2つの要素6IIIを接続し、そのようにして操作者の胴体上でシステム10を閉じるための解放可能な接続部材55(例えば、バックパックに使用されるタイプのクリップファスナ、フック、ベルクロ(登録商標)など)と共に配置される。
【0051】
可撓性要素6I、6II、および6IIIは、例えば、布製または不織布製のベルトまたはテープで構成されてよい。
【0052】
好ましい実施形態、および例示される実施形態では、システム10は、フレーム2の上部21に取り付けられて、それを越えて側部23に対して反対方向に延在する2つのスペーサ要素30を含み、その結果、システムの着用状態において、これらの要素が操作者の僧帽筋の領域および鎖骨領域の上に上昇し、それらの端部30'はこれらの領域から距離を置いて位置決めされる。
【0053】
可撓性要素6Iは、フレーム2の上部21に直接接続されるのではなく、要素30の端部30'に接続される。
【0054】
このように、可撓性要素6Iは僧帽筋または鎖骨に対して押圧しないため、このシステムの着用を特に心地よいものとする。
【0055】
スペーサ要素30は、フレーム2と同様に、金属性であってもよいしプラスチック材料製であってもよい。
【0056】
代替的な実施形態では、スペーサ要素30は、同じフレーム2の付属物で形成されてもよい。
【0057】
一連の接触ユニット4IIIは、フレーム2の下部22に接続され、その結果、フレームにより伝達される垂直方向の力は、操作者の腰部に対して解放される。
【0058】
好ましくは、この接続は、下部22と、腸骨・腰部領域上に位置決めされるように配置された2つの接触ユニット4III(1)との間でなされる。
【0059】
好ましい実施形態、および例示される実施形態では、2つのユニット4III(1)は、接触ユニットが操作者の腰部の配向に応じてそれらの配向を変化させることを可能にするように、システム10の着用状態において、操作者の矢状面で水平に位置決めされることが意図される回転軸Iを画定するヒンジ70を介して下部22に接続される。これに関して、
図7A~7Dは、操作者の骨盤の異なる姿勢に応じて、2つの接触ユニット4III(1)が回転軸Iの周りでどのように異なって位置決めされるかを概略的に示す。特に、これらの図面は、操作者の長手方向軸に対して平行な方向と、2つの接触ユニット4III(1)を保持するブラケット72が配置される方向との間で画定される角度δの変形例を示す。
【0060】
好ましい実施形態、および例示される実施形態では、2つのユニット4III(1)は、ヒンジ70を介してフレーム2の下部22に接続される中央部分72Aを有するブラケット72に保持され、側部タブ72Bがそこから突出し(方向Kに対して両側で)、当該タブ72Bに接触ユニット4III(I)の支持体42が、例えばねじによって固定される。
【0061】
好ましい実施形態では、ヒンジ70は、ヒンジの動きをブロックし、それにより、操作者が接合システムを着用して自身の体のサイズに合うように調整を行った後に、2つの接触ユニット4III(1)を操作者により選択された配向に固定するように設計されたシステムを備える。好ましくは、このシステムは、操作者によるヒンジ位置の調整を容易にするための調整部材、例えば、例示される実施形態のようなねじ75を含む。
【0062】
代替的な実施形態では、ヒンジ70は代わりに、操作者がシステムを着用して作業しているときでさえも、2つのユニット4III(1)が操作者の腰部の動きに従うことができるように可動性のままである。
【0063】
好ましい実施形態、および例示される実施形態では、2つの接触ユニット4III(1)はまた、操作者の身長の関数として一連の接触ユニット4IIIと一連の接触ユニット4IIとの間の距離を調整する可能性を提供するために、フレーム2の方向Kに沿って位置を調整可能である。
【0064】
特に、好ましい実施形態、および例示される実施形態では、ブラケット72はさらに、位置調整システムを介して、方向Kに沿った異なる位置において下部22に固定され得る支持体74によって保持される。このシステムは様々なタイプのものであってよく、特に、連続的または個別の位置調整のために配置されてよい。例えば、このシステムは、方向Kに沿った異なる相対位置で結合され得る2つの歯部74A、22Aと、締め付けレバー76、またはそれを用いて2つの部分が操作者により選択される相対位置に固定され得る同等のタイプの任意の他の固定部材とを提供してもよい。
【0065】
上記を鑑みて、本明細書に記載の接合システムが、一方では操作者の胸郭の後方側のみに存在するフレーム2が機能ユニットによりシステムに伝達される応力に耐えるのに必要な剛性を提供し、他方で接触ユニット4は、それを通してシステムが操作者の体から力の負荷を外す点のみを提供するという、いかに単純で本質的な構造を有するかが明らかである。
【0066】
見られるように、当該ユニットは、弾力的に共に接続される2つの支持体からなり、かつ、代わりに、逆に先行技術において非常に普及しているパッド材料(例えば、スポンジ、ゴムなど)を完全に含まない。
【0067】
上記ですでに論じた利点以外にも、吸収性材料を完全に含まない接触ユニット4のこの構造は、操作者の汗を吸収しないこと、容易に洗濯可能であること、およびシステムが屋外での使用に好適であることなどの一連のさらなる利点をもたらす。
【0068】
このように作られた接触ユニットはさらに、経時的に永久的に変形しやすいパッド要素に対して、より丈夫である。さらに、必要に応じて、接触ユニット4の支持体41は、どのような場合でも、例えば使い捨てタイプの、軟性材料で作られたキャップで覆うことができる。
【0069】
全体として、本明細書に記載の接合システムはまた、極めて軽い。
【0070】
上述のように、接合システム10は、任意の機能ユニットと組み合わせて使用されてもよい。
【0071】
本明細書に記載のシステムが特に有利となり得る特定の用途は、作業の行使の補助のためのシステム(「エクソスケルトン」とも呼ばれる)の分野に関係する。これに関して、本明細書に記載の接合システムは、PCT出願第WO2019016629号に記載されるタイプの、作業の行使の補助のためのシステム用に有利に使用されてよい。
【0072】
もちろん、本発明の原理に影響することなく、構造の詳細および実施形態は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、純粋に非限定的な例として本明細書に例示されるものに対して大きく変化してもよい。
本明細書によれば、以下の各項目もまた開示される。
[項目1]
操作者の体に接合するための、機能ユニット用のシステムであって、
前記操作者の胴体の後方側に位置決めされることが意図されるフレームであって、前記システムの着用状態において、前記操作者の長手方向に対して平行に配向される主延在方向を画定する、フレームと、
前記フレームに接続される複数の接触ユニットであって、前記システムの前記着用状態において、前記操作者の胴体および腰部と接触することが意図され、前記複数の接触ユニットが、
前記操作者の胸部領域の前方側に自身を位置決めするように構成された、第1の接触ユニットまたは第1の一連の接触ユニットと、
前記操作者の胸部領域の後方側に自身を位置決めするように構成された、第2の接触ユニットまたは第2の一連の接触ユニットと、
前記操作者の腰部に自身を位置決めするように構成された、第3の接触ユニットまたは第3の一連の接触ユニットと、を含み、
各接触ユニットは、第1および第2の支持体と、前記第1および第2の支持体の間に介在し、前記第1および第2の支持体の間の位置および/または配向の変化を可能にするように変形可能である少なくとも1つの弾性体とを含み、前記第1の支持体が、前記システムの前記着用状態において前記操作者の体と接触することが意図されている、複数の接触ユニットと、
前記フレームに前記第1の接触ユニットまたは前記第1の一連の接触ユニットを接続するための複数の可撓性要素と、を備える、システム。
[項目2]
前記着用状態において、前記機能ユニットによって生み出された力が、前記接触ユニットにより完全に、またはほぼ完全に前記操作者の体に伝達されるような、前記複数の可撓性要素および前記接触ユニットの配置を有する、項目1に記載のシステム。
[項目3]
前記フレームが、前記操作者の肩甲骨領域の高さに位置決めされることが意図される上部と、前記操作者の腰椎または腰仙部領域の高さに位置決めされることが意図される下部とを含み、
前記第2の接触ユニットまたは前記第2の一連の接触ユニットは、前記フレームの前記上部に搭載され、前記第3の接触ユニットまたは前記第3の一連の接触ユニットは、前記フレームの前記下部に搭載される、項目1または2に記載のシステム。
[項目4]
前記第3の接触ユニットまたは前記第3の一連の接触ユニットは、回転軸の周りで回転可能な様式で前記下部に接続され、前記システムの前記着用状態において、前記操作者の矢状面で、かつ前記操作者の腰椎または腰仙部領域の高さで水平に位置決めされることが意図される、項目3に記載のシステム。
[項目5]
前記第3の接触ユニットまたは前記第3の一連の接触ユニットがさらに、前記第3の接触ユニットまたは前記第3の一連の接触ユニットと前記第2の接触ユニットまたは前記第2の一連の接触ユニットとの間の距離の制御を可能にするように、前記主延在方向に沿って位置を調整可能である、項目3または4に記載のシステム。
[項目6]
前記第3の一連の接触ユニットが、前記システムの前記着用状態において前記操作者の腰部の周りに巻き付けられることが意図されるベルトを形成し、前記第3の一連の接触ユニットの各々が、前記第3の一連の接触ユニットに対する自身の配向を変化させるように、回転可能な様式で隣接するユニットに接続される、項目1から5のいずれか一項に記載のシステム。
[項目7]
前記第3の一連の接触ユニットが、2つの後部接触ユニットを含み、前記2つの後部接触ユニットは、前記フレームの前記主延在方向に対して対称的に位置決めされ、かつ、腰仙部領域を空けたまま前記操作者の体の腸腰骨領域に位置決めされるように構成されている、項目6に記載のシステム。
[項目8]
前記第3の一連の接触ユニットが、2つの前部接触ユニットを含み、前記2つの前部接触ユニットは、前記フレームの前記主延在方向に対して対称的に位置決めされ、かつ、腹部の下方領域の高さに位置決めされるように構成されている、項目6または7に記載のシステム。
[項目9]
各接触ユニットにおいて、前記第1および第2の支持体はプラスチック製であり、
前記第1の支持体は、延在しているほとんどの面積にわたって、好ましくは孔を有する半剛性プレートで構成され、
前記第2の支持体が、剛性または半剛性プレートで構成され、前記剛性または半剛性プレートが、前記接触ユニットを前記フレーム、または前記複数の可撓性要素のうちの1つに接続するための1つまたは複数の接続点を含む、項目1から8のいずれか一項に記載のシステム。
[項目10]
前記フレームがさらに、前記主延在方向に対して平行に延在し、かつ前記上部と前記下部とを共に接合する2つの側部を含み、前記2つの側部が、前記システムの前記着用状態において、体の脊柱領域を空けたまま、前記操作者の脊柱の両側に自身を位置決めするように、前記主延在方向を横断する方向に沿って互いに距離を置いて設置されている、項目3に記載のシステム。
[項目11]
前記第1の一連の接触ユニットが、前記操作者の胸郭の前方側に、好ましくは脊柱に対して対称的な位置に自身を位置決めするように構成された2つの接触ユニットのみを含む、項目1から10のいずれか一項に記載のシステム。
[項目12]
前記第2の一連の接触ユニットが、前記操作者の肩甲骨領域に、好ましくは脊柱に対して対称的な位置に自身を位置決めするように構成された2つの接触ユニットのみを含む、項目1から11のいずれか一項に記載のシステム。
[項目13]
前記フレームが金属製、好ましくはアルミニウム製であり、または剛塑性材料、あるいは炭素添加材料製である、項目1から12のいずれか一項に記載のシステム。
[項目14]
前記複数の可撓性要素が、前記第1の接触ユニットまたは前記第1の一連の接触ユニットを前記フレームの前記上部に接続する1つまたは複数の要素(6I)と、前記第1の接触ユニットまたは前記第1の一連の接触ユニットを前記フレームの前記下部に接続する1つまたは複数の要素(6II)とを含む、項目3に記載のシステム。
[項目15]
前記操作者の胴体上に前記システムを固定するために、解放可能な接続部材により前記第1の一連の接触ユニットの前記接触ユニットを互いに接続する1つまたは複数の追加の要素を備える、項目12に記載のシステム。
[項目16]
前記複数の可撓性要素が、ベルトまたはバンドで構成されている、項目1から15のいずれか一項に記載のシステム。
[項目17]
前記フレームが、前記操作者の肩甲骨領域の高さに位置決めされることが意図される上部と、前記操作者の腰椎または腰仙部領域の高さに位置決めされることが意図される下部とを含み、前記システムが、前記フレーム上に提供され、かつ前記複数の可撓性要素の対応する可撓性要素(6I、6II)に接続される1つまたは複数のスペーサ要素を備え、前記1つまたは複数のスペーサ要素は、少なくとも部分的に前記主延在方向に沿って延在し、その結果、前記システムの前記着用状態において、前記1つまたは複数のスペーサ要素に接続される前記複数の可撓性要素が前記操作者の僧帽筋および鎖骨領域の上に上昇し、前記操作者の僧帽筋および鎖骨領域から距離を保つ、項目1から16のいずれか一項に記載のシステム。