(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 33/00 20060101AFI20240528BHJP
A63H 33/42 20060101ALI20240528BHJP
A63H 33/30 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
A63H33/00 301Z
A63H33/42 B
A63H33/30 B
(21)【出願番号】P 2022081333
(22)【出願日】2022-05-18
(62)【分割の表示】P 2019212594の分割
【原出願日】2019-11-25
【審査請求日】2022-11-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】常木 麻衣
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06276986(US,B1)
【文献】特開平07-148358(JP,A)
【文献】特開2019-092789(JP,A)
【文献】特開平07-150453(JP,A)
【文献】特開2003-275476(JP,A)
【文献】登録実用新案第3076648(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00 - 37/00
D04D 1/00 - 11/00
D06Q 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立て前の部品を収容した物品供給装置から供給可能な収容形態と、前記部品を組立てて遊戯可能とした遊戯形態と、を取り得る玩具であって、
前記部品の収容空間を形成し、外形が略球形状の外殻部品と、
前記収容形態及び前記遊戯形態において前記収容空間に収容可能な主部品と、
前記収容形態において前記収容空間に収容可能であり、前記遊戯形態において前記外殻部品の上部に取り付けられ一部が前記主部品に係合可能な第1副部品と、
前記収容形態において、前記玩具を球形に近づけるために前記
外殻部品の下部に取付け可能であり、前記遊戯形態において、前記収容形態のときとは表裏反転させて前記
外殻部品の下部に取付け可能な補助部品と、を含み、
前記主部品は、前記遊戯形態において、一部が前記外殻部品の外側に位置している前記第1副部品の操作に応じて、回転動作可能に構成されている、
玩具。
【請求項2】
請求項1記載の玩具であって、
前記主部品は、前記遊戯形態において、操作可能に構成され、前記収容形態において、操作不可能に構成されている、
玩具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の玩具であって、
前記主部品及び前記第1副部品は、前記収容形態において、非連結状態を成し、前記遊戯形態において、連結状態を成している、
玩具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の玩具であって、
前記外殻部品は、略半球形状の第1外殻部品と、前記第1外殻部品と連結して球形状になる略半球形状の第2外殻部品と、を含み、
前記主部品は、前記遊戯形態において、前記第1外殻部品の中空内部で回転動作可能に構成されている、
玩具。
【請求項5】
請求項4に記載の玩具であって、
前記第2外殻部品には、前記遊戯形態において、前記第1副部品の一部を挿通可能にする貫通孔が形成されている、
玩具。
【請求項6】
請求項5に記載の玩具であって、
前記貫通孔は、前記第2外殻部品の頂部に形成されている、
玩具。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載の玩具であって、
前記主部品は、前記第1外殻部品に対して着脱可能である、
玩具。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の玩具であって、
前記主部品は、前記遊戯形態において、前記第1副部品の操作に応じて、物品を作製可能に構成されている、
玩具。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の玩具であって、
前記収容空間に収容可能な第2副部品をさらに備え、
前記第2副部品は、前記収容形態において、前記収容空間に収容され、前記遊戯形態において、その一部が前記外殻部品の外部に露出している、
玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビーズを糸部材にて連続的に繋いだアクセサリを製作可能な玩具のビーズ糸通し機が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載された玩具は、円筒形の容器内で回転駆動される回転体によって、容器内のビーズを拾い上げながら糸に通していくものである。すなわち、容器内の回転体の底部に孔付きのビーズを載置しておき、また、ビーズの孔を貫通可能な螺旋形の針金状部材を回転体周りに券回して置く。そして、回転体を回すことでこの回転体と一緒にビーズを移動させて、針金状部材にてビーズを貫通し、針金状部材の後端側に接続された糸部材にビーズを通す構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、ビーズを糸部材に通してアクセサリを作るビーズ糸通し機である。したがって、楽しみ方として、アクセサリを作るのみであること。更に、円筒形の本体の上部から操作ハンドルが突出した形状で、全体的に無骨な格好に構成されている。このため、飾り置物としては不向きであり、また、形状が円筒形で操作ハンドルが出っ張っていることからそのままの形状では流通性が良くない。したがって、販売・流通のためには、適当な収納ケースに納めて流通させなければならない。しかし、収納ケースは、販売・流通時のみに使用するだけで、使用時においては不要であり資源の無駄になる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、楽しみ方がアクセサリを製作するだけでなく複数あると共に販売・流通性に優れ資源の無駄を少なくできる玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、組立て前の部品を収容した収容形態と、上記部品を組立てて遊戯可能な状態とした遊戯形態と、を取り得る玩具であって、上記部品の収容空間を形成する外形が略球状の外殻部品と、上記収容空間に収容可能な主部品と、を含み、上記主部品は、遊戯形態において、回動可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アクセサリを製作可能であるだけではなく、販売・流通性が優れており、更に資源の無駄を少なくできる興趣性の高い玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態である玩具の収容形態の外観を示す側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態である玩具の遊戯形態の外観を示す正面図である。
【
図4】
図1に示す玩具の外殻部品を開けた状態の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示す玩具の外殻部品の下側の下半球部(第1外殻部品)を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
【
図6】
図4に示す回転体(主部品)を示し、(a)は一部破断正面図、(b)は平面図である。
【
図7】
図4に示す挿通棒(第2副部品)を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【
図10】
図3に示す玩具の遊戯形態の斜視図である。
【
図11】
図10に示す玩具の操作状態において、第2副部品が第1パーツを貫通するときの概略説明図である。
【
図12】玩具セットを構成するアクセサリの一例を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の一実施形態である玩具1の収容形態の外観の側面図であり、
図2は、玩具1の遊戯形態の外観の正面図であり、
図3は、玩具1の遊戯形態の斜視図である。
【0010】
玩具1は、
図1に示すように、組立て前の部品を収容した収容形態と、
図2に示すように、部品を組立てて遊戯可能な状態とした遊戯形態と、を取り得る玩具1である。すなわち、玩具1は、収容形態においては、外観的に外殻部品10に覆われて略球形状となっている。一方、遊戯形態においては、詳細については後述するが、外観的には、
図2及び
図3に示すように、操作ハンドル31が上部に取り付けられ、また、補助部品13が収容形態とは反転した状態で外殻部品10の下部に取り付けられる。
【0011】
外殻部品10は、収容形態において、後述するように第1外殻部品である下半球部11と第2外殻部品である上半球部12とが組合せられ係止されている。また、補助部品13は、外面が球形になるように下半球部11に取付け固定されている。この収容形態の玩具1は、外殻部品10と補助部品に13によって全体が覆われていることで、梱包物として取り扱うことができる。したがって、
図1に示すような収容形態で、流通・販売が可能な物品として構成できる。
【0012】
また、玩具1は、
図1に示す収容形態で、流通・販売を行うことができるが、必要に応じて、例えばシュリンクフィルム等の包装手段を用いて玩具1全体を包み込むように保護する形態を採用しても良い。
【0013】
図4は、玩具1の外殻部品10を開けた状態の一例を示す斜視図である。
外殻部品10は、
図4に示すように、外観が略球形で遊戯時に使用する部品をその収容空間SPに収容できる中空の構造となっている。すなわち、収容空間SP内には、例えば、
図4に示すように、主部品である回転体20、第1副部品である操作ハンドル31、第2副部品である挿通棒32が収容されている。また、下半球部11の下側外面には、補助部品13が取り付けられている。
【0014】
回転体20は、
図4に示すように、収容状態において、下半球部11の軸支持部11b(
図5参照)に回動可能に予め組み込まれている。操作ハンドル31は、収容状態において、
図4に示しように収容空間SP内に入れられており、遊戯形態においては、回転体20の上端側(
図2参照)に取付ける。また、挿通棒32は、収容形態において、
図4に示すように、支柱部22の周囲を取り囲むように組み込まれている。また、挿通棒32の後端部32tは、後述する第1切欠き部10hdから外部に露出するように配置されているが、露出しないように収容されていても良い。
【0015】
上半球部12は、下半球部11と着脱可能に構成されているが、下半球部11との連結部分である組合せ上面12sには、その内周側が高くなった嵌入段差部12cが形成されている。また、組合せ上面12sには、係止突起12dが所定間隔で例えば3個形成されており、この係止突起12dは、下半球部11の係止凹部11cに嵌合する。また、組合せ上面12sには、後述する開口部10hの上半分を構成する第2切欠き部10huが形成されている。また、上半球部12の上端部分(
図4では下側)には、貫通孔12hが形成されている。
【0016】
ここで、アクセサリ80について説明する。
アクセサリ80は、
図12に示すように、挿通孔81hが形成されている複数の第1パーツであるビーズ81と、第2パーツである紐部材82と、から構成されている。したがって、玩具1とアクセサリ80とを組み合わせた玩具セットとする場合には、収容空間SP内に、複数のビーズ81と紐部材82とが収容される。
【0017】
図5(a)は、玩具1の下半球部11の正面図であり、
図5(b)は下半球部11の斜視図である。
下半球部11は、
図5(a)に示すように、下側外面が扁平に形成された非球形部11dを有する形状であり、球面形状が若干崩れた形状となっている。しかし、非球形部11dには、例えば横断面が6角形の連結突部11gが設けられており、この連結突部11gに補助部品13が嵌合して取り付けられる。したがって、補助部品13が球状表面部13s(
図1参照)を外側にして取り付けられることで、非球形部11dを球面形状に近づけることができる。
【0018】
下半球部11の内側の底部には、
図5(b)に示すように、連結突部11gとは反対側に延出された円筒状の軸支持部11bが設けられている。この軸支持部11bの基部側(非球形部側)には、軸支持部11bを取り囲むように放射状に延びる複数の底リブ11iが設けられ、軸支持部11bの基部側が補強されている。なお、この軸支持部11bは、回転体20を回転可能に支持する。
【0019】
また、下半球部11の組合せ下面11sには、上半球部12の第2切欠き部10huとの組合せで開口部10hを構成する下半分の第1切欠き部10hdが形成されている。また、組合せ下面11sの内周側には、上半球部12の係止突起12dと嵌合可能な係止凹部11cが所定間隔で例えば3個形成されている。
【0020】
図6(a)は、回転体20を一部破断した正面図であり、
図6(b)は回転体20の平面図である。
回転体20は、
図6(a)(b)に示すように、一端側(図中下側)が皿のように広がった形状でビーズ81(本実施形態では略球形のビーズ)を載置可能な載置部21と、載置部21の中央部で回転軸線CLに沿って他端側(
図6(a)の上方側)に向って延出された支柱部22と、を備えている。
【0021】
載置部21は、
図6(a)に示すように、支柱部22の径方向外側において下方に膨らむように湾曲(垂直断面が円弧状に湾曲)した底面21bと、底面21bの外縁部から支柱部22に沿って立ち上がる(
図6(a)において上方に立ち上がる)外縁壁21aとで形成される環状の形状である。そして、底面21bには、
図6(b)に示すように、支柱部22を取り囲むように、回転軸線CLを中心にして等間隔に放射状に延びる区画壁21wが複数(本実施形態では12個の区画壁)形成されている。この区画壁21wと底面21bとによって囲まれた各領域が保持区画21dとして構成されている。保持区画21dは、ビーズ81を載置するときに、ビーズ81を一つ一つ個別に位置規制するように保持することができる。
【0022】
支柱部22は、載置部21の中央部から上方に向って延出されているが、下方側が太く上方側が細い段付の空洞円筒形を成している。そして、支柱部22の上端側(他端側)には、操作ハンドル31を取付け可能とする横断面六角形の凹状の取付部20dが設けられている。支柱部22の内側は、載置部21側に向って解放された筒状の空洞の被支持部20bとして構成されている。すなわち、被支持部20bは、下半球部11の軸支持部11b(
図5参照)に回転可能に支持される。したがって、操作ハンドル31を取付部20dに取り付けて回転操作されることで、回転体20は、回転軸線CLを中心に回転駆動される。
【0023】
また、支柱部22の下方側の太い部分の外周面には、回転軸線CLに沿ように突出した凸条部22cが円周方向に複数(本実施形態においては12個)形成されている。この複数の凸条部22cのうち、1つだけその突出高さが大きい高凸条部22ctとして設けられている。この凸条部22c及び高凸条部22ctは、遊戯形態において、その詳細については後述するが、ビーズ81に接触することで、回転体20の回転力を挿通棒32に挿通されたビーズ81に付与することができる。
なお、回転体20は、収容形態(
図1参照)においては、外殻部品10から露出する部分が無く全体が外殻部品10内に収まるように収容されていることで、回転操作を行うことができない。
【0024】
また、回転体20は、軸支持部11bに回転可能に支持されるが、軸支持部11bに対してその先端側から被せるように嵌合する構造であり、下半球部11に対して着脱可能である。
【0025】
図7(a)は挿通棒32の平面図であり、
図7(b)は正面図である。
挿通棒32は、ビーズ81を挿通する棒状部材であって、上面から見ると、
図7(a)に示すように、例えば、「クエスチョンマーク」のような形状に湾曲した形状に形成されている。また、正面から見ると、
図7(b)に示すように、一方の先端部32eが下方側に位置し、他方の後端部32tが上方側に位置するように両端が上下にずれた形状となっている。そして、この挿通棒32は、組み込み状態においては、支柱部22を巻回するように装着されるが、支柱部22の表面とは所定間隔離れることができるように装着される。そして、遊戯形態においては、詳細は後述するが、挿通棒32は、挿通したビーズ81を支柱部22に接触させて後端部32tに移動させる。また、先端部32eは、保持区画21dを形成する区画壁21wの上端面21wuに接触(
図11参照)するように配置され、後端部32tは外殻部品10の開口部10hから外部に露出するように配置される。
【0026】
また、挿通棒32の先端部32eは、先細り形状に形成されている。また、後端部32tには、該後端部32tを太さ方向(径方向)に貫通する後端孔32thが形成されている。この後端孔32thは、紐部材82を通しやすい大径部32twと、大径部32twから連続して後端方向に延びるスリット部32tsと、を備えている。すなわち、大径部32twに紐部材82を通してから、該紐部材82をスリット部32ts側に移動することで、紐部材82をスリット部32tsによって係止することができる。なお、挿通棒32は、ある程度の弾性を有することが望ましく、素材としては、特に制限されるものではないが、例えば合成樹脂や金属等で形成することができる。
【0027】
操作ハンドル31は、
図2(
図8も参照)に示すように、回転体20の取付部20dに取り付け可能な一端部である連結端31eと、連結端31eの回転軸線CLから直角方向に延出されたアーム部31aと、このアーム部31aから連結端31eとは離れた位置で反対向きに延出された他端部である操作端31tと、からなる部材である。このように構成されていることで、操作ハンドル31は、外殻部品10の外部から貫通孔12hを介して回転体20を回転することができる。
【0028】
補助部品13は、収容形態(
図1参照)において、その球状表面部13sを外側にして取り付けられている。しかし、組み立てる際(
図8参照)には、後述するように、収容形態のときとは表裏反転させた状態で取り付けられる。
【0029】
図8は、玩具1の分解斜視図である。以下、
図8を参照して、玩具1の組み立てについて説明する。
図8に示すように、外殻部品10は、前述のように、下半球部11と、上半球部12と、の組合せにて構成されている。下半球部11と上半球部12を組み合わせる前に、下半球部11に回転体20を嵌め込むと共に挿通棒32を回転体20に装着する。しかし、この回転体20及び挿通棒32が予め装着されている場合(
図4に示す状態)においては、その装着状態、例えば回転体20が回動可能か、更には挿通棒32の後端部32tが第1切欠き部10hd内に位置しているか否か等を確認する。そして、複数のビーズ81を載置部21に入れる。その後、上半球部12側の嵌入段差部12cを下半球部11側の組合せ下面11sの内側に嵌め込むように合わせると共に係止突起12dを係止凹部11cに嵌め込むことで外殻部品10の組合せが完了する。なお、上下半球部の組合せに際しては、開口部10hを形成する第1切欠き10hdと第2切欠き10huとを合わせるようにすることで、その位置合わせを容易に行うことができる。
【0030】
なお、組合せで完成された開口部10hには、挿通棒32の後端部32t(
図3参照)が貫通するように配置されることで、この後端部32tは、開口部10hの大きさの範囲で動きが規制される。
【0031】
外殻部品10の組み立て後か或いはそれ以前に、補助部品13を取付け直す。すなわち、収容形態(
図1参照)において、非球形部11dを球面形状に近づけるように取り付けられていた補助部品13を、
図8に示すように、表裏反転させ、非球面部11dの連結突部11gに連結部13bを嵌め込むようにして取り付ける。
【0032】
また、例えば最後に、操作ハンドル31を取り付けるが、その取付は、連結端31eを、上半球部12の貫通孔12hから回転体20の取付部20dに嵌め込むように挿入する。
【0033】
以上のようにして玩具1を組み上げることで、
図9に示すように、挿通棒32を巻付けた回転体20が操作ハンドル31によって回転可能な状態となっている。なお、ここでは、アクセサリ80のビーズ81は図示していないが、前述の如くアクセサリ80が付属している玩具セットにおいては、遊戯を開始する前に、ビーズ81を収容空間SP内に多数入れておくか、操作途中で追加投入する。また、紐部材82については、所望の長さのものを、挿通棒32の後端部32tに取り付けておく。
【0034】
以下、
図10及び
図11を参照して玩具1の遊戯状態について説明する。
図10は、玩具1の遊戯形態の外観を示す斜視図であり、
図11は、玩具1の遊戯形態において、挿通棒32がビーズ81を貫通するときの状態を示す概略説明図である。
玩具1を操作するときは、
図10に示すように、玩具1を所定の台やテーブル上に置き、片手で外殻部品10をつかむようにして固定すると共に、他方の手で操作ハンドル31の摘まみ回転操作する。
【0035】
操作ハンドル31の回転操作によって、回転体20が回転すると、載置部21上に置かれたビーズ81は、載置部21と共に回転移動する。すなわち、ビーズ81は、保持区画21dに保持された状態で回転移動する。このとき、例えば、
図11に示すように、ビーズ81の挿通孔81hが区画壁21wの上に出ている状態であると共に回転方向に向いていると、区画壁21wの上端面21wuに接している挿通棒32の先端部32eが挿通孔81hに入り込む。そして、回転体20の回転移動が進むにつれて、ビーズ81は保持区画21dから引き上げられ挿通棒32の奥側に送られる。
【0036】
その後、ビーズ81は支柱部22に接触する。この接触によってビーズ81は支柱部22の回転力を受ける。このときの回転力の付与は、凸条部22cがビーズ81を引っ掛けるような状態で行われる。したがって、複数の凸条部22cのうちの1つの凸条部22cがビーズ81に当接した状態で該ビーズ81を押していくことになる。これにより、ビーズ81は凸条部22cに押された状態で挿通棒32に沿って上昇しながら挿通棒32の後端部32t側に送られる。
【0037】
挿通棒32の後方側に送られたビーズ81は、後端部32tに導入されることで凸条部22cから離れる。ここで、ビーズ81は、突出高さが高い高凸条部22ctによって更に後方へ押し出される。なお、高凸条部22ctは、ビーズ81の径が小さい場合や、挿通棒32と支柱部22とが所定距離以上離れている場合において、突出高さの小さい凸条部22cではビーズ81を後端部側にうまく送れない場合でも送ることができる。
このようにして、ビーズ81が挿通棒32を介して次々に挿通されてことにより、ビーズ81が開口部10hから外に出て、
図12に示すように、紐部材82に挿通されたアクセサリ80を作ることができる。
【0038】
以上述べたように、本実施形態の玩具1によれば、玩具1は、組立て前の部品を収容した収容形態と、部品を組立てて遊戯可能な状態とした遊戯形態と、を取り得るので、収容形態において、外殻部品10によって主部品の回転体20を収容するので、収容形態の省スペース化ができ取扱い性が良い。また、収容形態では外観が略球状であることから、例えば、カプセル入りおもちゃの自動販売機等の商品としても適用でき、販売形態を多様化できるなど流通性・汎用性に優れている。また、収容空間SPを形成する外殻部品10は、部品収容機能を有する梱包部材として利用できるだけでなく、遊戯形態時においては、玩具1の本体外壁部を構成するので、玩具1の部品を無駄なく有効に利用することができる。
【0039】
また、玩具1では、遊戯形態で楽しむだけでなく、収容形態から遊戯ができる状態に組立を行うことで、組み立てを楽しむことができる。
【0040】
また、玩具1では、回転体20は、収容形態において、全体が外殻部品10内に収容されているので、外殻部品10内の回転体20を回転操作することができない。この結果、収容形態における外殻部品10内の内装部品である回転体20及び他の部品の保護ができる。
【0041】
また、玩具1では、遊戯形態では外殻部品10の外部に張り出すように取り付けて使用する操作ハンドル31が、外殻部品10内に収容されるので、玩具1として収容形態がコンパクトに構成できる。
【0042】
また、玩具1では、回転体20は、遊戯形態において、外殻部品10内にて一端側で回転可能に支持されているので、他端側に係合した操作ハンドル31によって、外殻部品10の外側から回転体20の回転操作することができる。
【0043】
また、玩具1では、回転体20は、一端側が軸支持部11bに回転可能に確実に支持されているので、他端側に連結した操作ハンドル31によって、回転軸線CLを中心に回転体20の円滑に回転することができる。
【0044】
また、玩具1では、外殻部品10は、下半球部11と上半球部12とで構成され、回転体20が下半球部11内に回転可能に支持されるので、下半球部11に上半球部12を組み合わせるときに、回転体20を下半球部11に保持した状態で組み合わせることができる。この結果、上下半球部同士の組付け作業が容易になり、また、回転体20周りに装着する挿通棒32の組み込みを容易になり、玩具1の組立て性がよい。
【0045】
また、玩具1では、上半球部12には、回転体20の取付部20dに対応する位置に貫通孔12hが形成されているので、操作ハンドル31を、取付部20d対して容易に連結することができる。
【0046】
また、玩具1では、回転体20は、下半球部11に対して着脱可能であるので、回転体20の組み込み性に優れている。この結果、例えば、保持区画21dの大きさの異なる他の回転体(ビーズ81のサイズや形状が異なる場合などに適応する回転体)の組み込みも可能となり、他のアクセサリ80の製作も容易になり、玩具1の汎用性を高めることができる。
【0047】
また、玩具1では、回転体20は、ビーズ81の載置部21と、この載置部21の中央に一体に形成された支柱部22と、を含む構造であるので、支柱部22の回転によって、ビーズ81を支柱部22の周りに載置した状態で回転移動させることができ、ビーズ81を挿通棒32に対して相対移動させることができる。
【0048】
また、玩具1では、載置部21に設けた保持区画21dが、ビーズ81を一個ずつ個別に位置規制して保持できるので、ビーズ81を保持区画21dで保持して確実に移動させることができ、挿通棒32によるビーズ81の挿通性能を高めることができる。
【0049】
また、玩具1では、収容形態において、収容空間SPにビーズ81を貫通できる挿通棒32を備えているので、玩具1として収納形態がコンパクトに構成できる。また、挿通棒32は、予め支柱部22を囲む湾曲形状に形成されているので、支柱部22への組み込み性が良い。更に、収容形態において、挿通棒32が支柱部22を囲むように予め収容(
図4に示す状態)されている場合には、組み込み作業が楽になり、玩具1の組立て性を良くすることができる。
【0050】
また、玩具1では、遊戯形態において、挿通棒32は、先端部32eが保持区画21dの上端面21wuに接触しているので、先端部32eの位置が安定する。これにより、挿通棒32によるビーズ81に対して安定した挿通操作が可能になる。また、挿通棒32の後端部32tは、開口部10hから出る(露出する)ように配置されているので、挿通されたビーズ81を外殻部品10の外部に案内することができる。
【0051】
また、玩具1では、遊戯形態において、挿通棒32の後端部32tが外殻部品10の開口部10hにより移動が規制されているので、挿通棒32は、回転体20が回転したときに回転体20の回転に連動することなく係止される。これにより、移動するビーズ81に対して、先端部32eを当接することができ、挿通棒32の先端部32eによってビーズ81の挿通が可能になる。
【0052】
また、玩具1では、開口部10hは、第1切欠き部10hdと、第2切欠き部10huとの組み合わせで構成されるので、その形成が容易である。また、下半球部11と上半球部12を連結して組立てるときに組合せの位置合わせとしての機能を有し、組み立て性を良くすることができる。また、開口部10hに対して挿通棒32の後端部32tを貫通させるように配置する際には、第1切欠き部10hd内に配置すれば良く、挿通棒32の組み込み性を良くすることができる。
【0053】
また、玩具1では、遊戯形態において、挿通棒32は、先端部32eから後端部32tにわたって支柱部22周りに湾曲して配置されているので、載置部21の回転動によって先端部32eから挿通・保持されたビーズ81を、支柱部22に接触させることができ、支柱部22の回転動によってビーズ81を後端部32tに移動させることができる。
【0054】
また、玩具1では、支柱部22の外周面の凸条部22cは、挿通棒32に挿通されたビーズ81に対して単に接触するだけでなくビーズ外面を引っ掛けるように当接する。この結果、ビーズ81を支柱部22の回転方向(挿通棒32の後端部32t側)へより確実に移動させることができる。
【0055】
また、玩具1では、挿通棒32は、先端部32eが先細り形状となっていることで、ビーズ81の挿通孔81hに進入しやすくなる。また、挿通棒32の後端部32tに、紐部材82を連結できる後端孔32thが形成されていることで、ビーズ81を挿通棒32から連続して紐部材82に通すことができる。
【0056】
また、玩具1では、下半球部11に非球形部11dが形成されていても、収容形態において、非球形部11dを球面形状に近づける補助部品13が設けられるので、玩具1を球形に近づけることができる。
【0057】
また、玩具1では、補助部品13は、下半球部11の非球形部11dに対して表裏何れの向きにも取付け可能であるので、収容形態においては、外殻部品10を球形に近づける部材として取付ける一方、遊戯形態においては、玩具1の下面形状が設置安定性の強化と共に操作性を向上させることができる。また、補助部品13を組付けた玩具1は、置物としても置き易くできる。
【0058】
また、玩具1とアクセサリ80との玩具セットでは、玩具1を組立てる楽しみ方、遊戯形態において玩具1を操作してアクセサリ80を製作する楽しみ方ができる興趣性の高い玩具セットを提供することができる。
【0059】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、上記実施形態においては、回転体20の外周面に回転軸線CLに沿うような凸条部22cを設けた構成としたが、凸条部22cではなく、例えば表面がザラザラした凹凸形状であっても良い。すなわち、本発明においては、挿通棒32で挿通したビーズ81を挿通棒32の後方端32t側へ移動させる力を付与できる構造であればよい。
また、上記実施形態においては、玩具1の収容形態において、開口部10hを閉じる部材を設けない構造を図示したが、開口部10hを閉じる部材を設けるようにしても良い。
また、上記実施形態においては、ビーズ81を略球形の形状としたが、ビーズ形状は球形に限るものではなく、例えば楕円球や円筒状など適宜変更することができる。なお、保持区画21dの形状や大きさについても、ビーズ81の形状や大きさに合わせて適宜変更することができる。
また、上記実施形態においては、挿通棒32は、その後端部32tが開口部10hから露出するように組み込んだ形態を図示したが、これに限るものではなく、後端部32tを収容空間SP内に入るようにして、外殻部品10から露出しないようにしても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 玩具
10 外殻部品
10h 開口部
10hd 第1切欠き部
10hu 第2切欠き部
11 下半球部(第1外殻部品)
11b 軸支持部
11d 非球形部
12 上半球部(第2外殻部品)
13 補助部品
13b 連結部
20 回転体(主部品)
20b 被支持部
20d 取付部
21 載置部
21d 保持区画
21w 区画壁
21wu 上端面
22 支柱部
22c 凸条部
31 操作ハンドル(第1副部品)
31e 連結端(一端部)
31t 操作端(他端部)
32 挿通棒(第2副部品)
32e 先端部
32t 後端部
32th 後端孔
80 アクセサリ
81 ビーズ(第1パーツ)
81h 挿通孔
82 紐部材(第2パーツ)
CL 回転軸線
SP 収容空間