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特許7495203分割照明部を備えた自動車用照明および/または信号装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】分割照明部を備えた自動車用照明および/または信号装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/29 20180101AFI20240528BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20240528BHJP
   F21S 41/151 20180101ALI20240528BHJP
   F21S 41/24 20180101ALI20240528BHJP
   F21S 41/43 20180101ALI20240528BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240528BHJP
   F21S 43/15 20180101ALI20240528BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20240528BHJP
   F21S 43/249 20180101ALI20240528BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240528BHJP
   F21S 43/27 20180101ALI20240528BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20240528BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240528BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240528BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240528BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20240528BHJP
【FI】
F21S41/29
F21S41/148
F21S41/151
F21S41/24
F21S41/43
F21S43/14
F21S43/15
F21S43/237
F21S43/249
F21V8/00 360
F21S43/27
F21W102:13
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:40
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018140731
(22)【出願日】2018-07-26
(65)【公開番号】P2019145483
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】102018000002897
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517227895
【氏名又は名称】マレッリ・オートモーティブ・ライティング・イタリー・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】MARELLI AUTOMOTIVE LIGHTING ITALY S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(72)【発明者】
【氏名】ヘルリン ジャン・パスカル
(72)【発明者】
【氏名】スパダッチーニ ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】マンフレダ ジュリオ
(72)【発明者】
【氏名】アントニピエーリ ミケーレ
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-504163(JP,A)
【文献】特開2010-170897(JP,A)
【文献】特表2006-509343(JP,A)
【文献】特開2010-217906(JP,A)
【文献】国際公開第2012/011327(WO,A1)
【文献】特開2016-051512(JP,A)
【文献】特開2011-228028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/29
F21S 41/148
F21S 41/151
F21S 41/24
F21S 41/43
F21S 43/14
F21S 43/15
F21S 43/237
F21S 43/249
F21V 8/00
F21S 43/27
F21W 102/13
F21W 103/10
F21W 103/20
F21W 103/35
F21W 103/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車分野に関する照明および/または信号装置であって、
少なくとも2つのLED光源であって、個別に電力供給および起動が行われ、それぞれが対応する導光部(28´、28´´)の各光入力壁(32´、32´´)に対向している、LED光源(16´、16´´)を含み、
前記導光部(28´、28´´)が、前記LED光源(16´、16´´)の光を少なくとも2つの別個の照明部(36、40)を介して前壁(44)から放射し、前記導光部(28´、28´´)が、前記前壁(44)とは反対側の後壁(52)に配置されたディフューザ要素(48)を備えており、
各導光部(28´、28´´)に結合された少なくとも1つの反射要素であって、各々のディフューザ要素(48)に直接対向しており、これにより、前記光を前記前壁(44)の方向へ反射することができる反射要素(56)を含み、
前記導光部(28´、28´´)が、少なくとも1つの各内壁(64)に並列配置されて互いに隣接しており、
前記導光部(28´、28´´)が障壁要素(68)によって機械的かつ光学的に分離されており、これらの障壁要素により、前記少なくとも1つの内壁(64)において前記導光部(28´、28´´)間を光が通過することが妨げられ、
前記LED光源(16´、16´´)、前記導光部(28´、28´´)、前記反射要素(56)および前記障壁要素(68)が、内側面(76)を備えた容器体(8)内に収容されており、前記内側面が前記反射要素(56)を備えており、
前記前壁(44)側において、レンズ体(20)が、前記導光部(28´、28´´)の前記照明部(36、40)を出て行く光ビームによって横断されるように形成されて貼着されており、
前記障壁要素(68)が、前記レンズ体(20)を閉鎖するように少なくとも部分的に結合された前記容器体(8)と一体成形されている、
照明および/または信号装置(4)。
【請求項2】
前記導光部(28´、28´´)が、前記後壁(52)および前記前壁(44)に対して垂直の方向(Z)に沿って実質的に等しい厚さを有し、前記前壁(44)および前記後壁(52)に対して実質的に垂直である内壁(64)に並列配置されている、請求項1に記載の照明および/または信号装置(4)。
【請求項3】
前記ディフューザ要素(48)がマイクロレンズであり、これらのマイクロレンズが前記光を前記前壁(44)の方向へ拡散させる、請求項1又は2に記載の照明および/または信号装置(4)。
【請求項4】
前記ディフューザ要素(48)が不均質配列計画に従って配置されており、この配列計画は、前記対応するLED光源(16´、16´´)からの距離が前記導光部(28´、28´´)の延在部に沿って大きくなるにつれて密度が増大するという配列計画である、請求項1~3のいずれか一項に記載の照明および/または信号装置(4)。
【請求項5】
前記反射要素(56)が白色フィルムであり、このフィルムが前記導光部(28´、28´´)の後壁(52)から来る光を反射する、請求項1~4のいずれか一項に記載の照明および/または信号装置(4)。
【請求項6】
前記反射要素(56)がミラーである、請求項1~4のいずれか一項に記載の照明および/または信号装置(4)。
【請求項7】
前記反射要素(56)が、前記並列配置されて隣接した導光部(28´、28´´)の間の内壁(64)において障壁要素(68)としても働く、請求項1~6のいずれか一項に記載の照明および/または信号装置(4)。
【請求項8】
前記障壁要素(68)が不透光性のフィルムを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の照明および/または信号装置(4)。
【請求項9】
前記障壁要素(68)が不透光性の分離隔壁(72)である、請求項1~8のいずれか一項に記載の照明および/または信号装置(4)。
【請求項10】
前記障壁要素(68)が前記反射要素(56)と一体成形されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の照明および/または信号装置(4)。
【請求項11】
前記導光部(28´、28´´)および前記各LED光源(16´、16´´)が、該導光部(28´、28´´)を通過する光ビームの内部全反射条件を有するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の照明および/または信号装置(4)。
【請求項12】
前記導光部(28´、28´´)の光入力壁(32´、32´´)が、前記対応するLED光源(16´、16´´)に直接対向しており、前記内部全反射条件の下で前記導光部(28´、28´´)内において前記光を伝送するように構成されている、請求項11に記載の照明および/または信号装置(4)。
【請求項13】
前記導光部(28´、28´´)の光入力壁(32´、32´´)が正弦波状レンズ、円柱レンズ、円柱断面レンズまたは角柱断面レンズを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の照明および/または信号装置(4)。
【請求項14】
前記レンズ間のピッチが50μm~2mmである、請求項13に記載の照明および/または信号装置(4)。
【請求項15】
前記LED光源(16´、16´´)が、前記導光部(28´、28´´)を一体化することにより形成された周辺部に沿って配置されており、前記周辺部に付随する1つの電子ボード(80)または複数の電子ボード(80)によって電力供給が行われる、請求項1に記載の照明および/または信号装置(4)。
【請求項16】
前記前壁(44)側において、前記照明部(36、40)に乳白色要素またはエンボス加工要素(96)が配置されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の照明および/または信号装置(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分割照明部を備えた自動車用照明および/または信号装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用照明および/または信号装置という用語は、本書では非常に広い意味で用いられ、自動車用尾灯および前灯を含むものとし、前灯はまたヘッドライトまたはヘッドランプとも呼ばれる。
【0003】
したがって、位置表示灯、方向指示灯、停止灯、リアフォグライト、後退灯、ロービームヘッドランプ、ハイビームヘッドランプなどが含まれる。
【0004】
また、前記用語は、マップライト、計器盤ライトまたはその一部も包むものとする。したがって、自動車用照明および/または信号装置は、車両内部および車両外部のいずれにも配置しておくことができる。
【0005】
周知のように、前記自動車用照明および/または信号装置は、照明用および視覚信号伝達用のどちらにも用いることができる。
【0006】
これらの目的のために、前記諸装置は、様々な色、様々なレベルの(また遵守すべき規制に従った)明るさ等を有する複数の照明部を含む。
【0007】
前記照明部の均質性を確実に高めることで機能上のニーズに加えて外観上のニーズにも応えられる自動車用照明および/または信号装置を作製する必要性が次第に認められつつある。
【0008】
この目的のために、当技術分野では有機発光ダイオードを用いた解決手段があり、これらの解決手段により、前記照明部の均質性の向上が保証される。しかしながら、この種の解決手段はかなり高コストであり、かつ、いずれの場合も、隣接する照明部を相異なるものにするという点において限界があり、しかも、これらの照明部は、互いに独立して照光可能でなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の限界は無視し得るものではない。なぜなら、当技術分野において次第に認められつつあるニーズとして、型式承認要件を満たすための機器として自動車用灯具を用いることによって特定の測光要件を遵守する光ビームを得ることに加えて、当該灯具が用いられる車両に対する特別設計機器としても使用することが求められているからである。
【0010】
したがって、当該灯具により放射される照明パターンは、信号伝達および/または照光を行う機能を担うだけでなく、適切な所望の照明効果を生成する機能も担う。
【0011】
さらに、当該照明および/または信号装置はまた、文字列や図記号等の光信号を送信するために用いることや、照明部を適切な順序に点灯させることで光動画を生成するために用いることもできる。
【0012】
したがって、当技術分野で認められているニーズは、上述の技術的効果が得られる自動車用照明および/または信号装置を提供することであり、これにより照光の均質性が確実に向上され(有機発光ダイオードで得られる均質性に匹敵する)、しかも、有機発光ダイオード技術に伴う欠点を有していないことである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような要件は、請求項1に記載の自動車用照明および/または信号装置によって満たされる。
【0014】
本発明に係るその他の実施形態が従属請求項に記載されている。
【0015】
本発明に係るその他の特徴および利点については、非限定的である好ましい実施形態に関する以下の説明によってさらに明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る照明および/または信号装置の分解時の部品を示す斜視図である。
図2図1の照明および/または信号装置の組立時の構成を示す正面図である。
図3a】2つの代替実施形態に係る図1の照明および/または信号装置を示す、図2に示された断面III-IIIに沿った断面図である。
図3b】2つの代替実施形態に係る図1の照明および/または信号装置を示す、図2に示された断面III-IIIに沿った断面図である。
図4図1における照明および/または信号装置の一部の構成要素を示す斜視図である。
図5】可能な一変形態様に係る照明および/または信号装置の導光部を示す正面図である。
図6】本発明の可能な一実施形態に係る2つの導光部を示す組立時の斜視図である。
図7図6に示された導光部の分解時の部品を示す斜視図である。
図8図6の導光部を示す平面図である。
図9図8の導光部を示す、図8に示された断面IX-IXに沿った断面図である。
図10】本発明の別の一実施形態に係る2つの導光部を示す、組立時の構成の斜視図である。
図11図10における導光部の分解時の部品を示す斜視図である。
図12図10の導光部を示す平面図である。
図13図12の導光部を示す、図12の断面XIII-XIIIに沿った断面図である。
図14a図12の導光部を示す、図12の断面XIV-XIVに沿った断面図である。
図14b図10図14aにおける解決手段の別の一変形態様を示す断面図である。
図15】本発明のさらに別の一実施形態に係る2つの導光部を示す組立時の斜視図である。
図16図15における導光部の分解時の部品を示す斜視図である。
図17】本発明の2つの可能な変形態様に係る、図15の導光部を示す平面図である。
図18】本発明の2つの可能な変形態様に係る、図15の導光部を示す平面図である。
図19】本発明の可能な諸実施形態に係る導光部を示す平面図である。
図20】本発明の可能な諸実施形態に係る導光部を示す平面図である。
図21】本発明の可能な諸実施形態に係る導光部を示す平面図である。
図22】本発明のさらに別の諸実施形態に係る照明および/または信号装置を示す、様々な角度から見た斜視図である。
図23】本発明に係る照明および/または信号装置の動作を示す線図である。
図24】本発明に係る照明および/または信号装置の動作を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に説明する諸実施形態に共通である要素または要素部品については、同一の符号を用いて示す。
【0018】
上述の諸図において、符号4が、自動車用灯具などの照明および/または信号装置全体を示しており、上述の諸図を参照しながら下記の開示を進めていくが、これにより何ら限定を加えるものではない。
【0019】
上述のように、照明および/または信号装置という用語は、自動車用尾灯または自動車用前灯を区別することなく意味し得るものとし、また、自動車用前灯はヘッドライトまたはヘッドランプとも呼ばれる。この装置は、照光および/または信号伝達の機能を担う少なくとも1つの車両用外部灯具を含み、このような灯具としては、例えば、位置表示灯、すなわち、方向指示灯の前方、後方、側方の位置表示灯や、停止灯、リアフォグライト、ハイビームヘッドランプ、ロービームヘッドランプなどが挙げられる。
【0020】
さらに、照明および/または信号装置という用語は、マップライト、計器盤ライトまたはその一部、および表示部などを意味するものとする。
【0021】
したがって、以下でさらに詳述するが、本装置の信号伝達機能において、本装置は、任意の種類の光信号、ロゴならびに文字列および光のメッセージを送信することが可能である。
【0022】
照明および/または信号装置4は、通常高分子材料から成る容器体またはハウジング8を含み、この容器体またはハウジングによって、一般に、照明および/または信号装置4を当該車両に締結することが可能となる。
【0023】
本発明の諸目的のために、容器体またはハウジング8は、任意の形状および大きさを有することができ、また任意に位置決めすることができる。例えば、容器体8は、当該車両の本体または他の外部締結具に直接的に結合されていなくてもよい。
【0024】
図示されているように、容器体8はまた、車両内部、例えばダッシュボード、計器盤、パーセルシェルフなどに結合しておくこともできる。
【0025】
容器体8は格納シート12を画定し、この格納シートは、前記照明および/または信号装置の複数の構成要素、特にLED光源16を収容する。
【0026】
容器体8は、例えば、レンズ体20を閉鎖するように少なくとも部分的に結合されており、これにより、少なくとも1つのLED光源16を収容する前記格納シート12を閉鎖することができる。
【0027】
本発明の諸目的のために、レンズ体20は照明および/または信号装置4の外部に配置しておくことができ、これにより、照明および/または信号装置の壁部のうち外部環境に直接曝される少なくとも1つの外壁を画成することができる。
【0028】
レンズ体20は格納シート12を閉鎖し、また、LED光源16により生成される光ビームが横断するのに適しており、この光ビームは格納シート12の外部に伝送される。
【0029】
この目的のために、レンズ体20は、少なくとも部分的に透明または半透明あるいは透光性の材料を用いて作製され、さらに、1つまたは複数の不透明な部分を含むことができ、これにより、いずれの場合においても、前記光源により生成された光ビームが少なくとも部分的に横断することが可能となる。
【0030】
可能な諸実施形態において、レンズ体20の材料は樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などである。
【0031】
また、照明および/または信号装置4の発光部を好都合に画定するためのマスク24をレンズ体20に貼着しておくこともできる。これについては後に詳述する。
【0032】
照明および/または信号装置4は少なくとも2つのLED光源16´、16´´を含み、これらの光源は個別に電力供給および起動が行われ、それぞれが導光部28´、28´´に対向している。
【0033】
詳細には、LED光源16´、16´´はそれぞれが対応する導光部28´、28´´の各光入力壁32´、32´´に対向しており、生成された光ビームは、この光入力壁を介して導光部28´、28´´内へ導かれ、さらに導光部によって伝送される。
【0034】
したがって、明らかなように、LED光源16は各導光部28の縁部に配設されている。
【0035】
特に、前記導光部28´、28´´は、前記各光源16´、16´´の前壁44における少なくとも2つの各々別個の照明部36、40を介してLED光源16´、16´´の光を放射する。
【0036】
導光部28´、28´´および各LED光源16´、16´´は、当該導光部自体を通過する光ビームの内部全反射条件を満たすように構成されていることが好ましい。
【0037】
典型的には、導光部28´、28´´と各LED光源16´、16´´との間の連結部の構成は、このような導光部28´、28´´内を伝搬される光ビームが主伝搬方向X-Xにおける導光部28´、28´´の対向面の間で内部全反射条件を満たすような構成であり、同時にまた、前記光ビームが、このような主伝搬方向Xに対して垂直である方向Yに上記導光部の縁部へ向かって拡散するような構成である(図24)。
【0038】
したがって、導光部28´、28´´の光入力壁32´、32´´は対応するLED光源16´、16´´に直接対向しているが、一方で、内部全反射条件の下で導光部28´、28´´内において光を伝送できるように構成されている。
【0039】
導光部28´、28´´の光入力壁32´、32´´は、主伝搬方向X-Xに対して垂直の前記方向Y-Yに沿って光ビームを広げられるように、レンズ60、例えば、正弦波状レンズ、円柱レンズを、あるいは角柱断面の溝または突起部を含むができる。
【0040】
前記レンズ60間のピッチは50μm~2mmであることが好ましい。
【0041】
次に、導光部28´、28´´はディフューザ要素48を備えていて、これらのディフューザ要素は前壁44とは反対側の後壁52に配置されており、この種の導光部28´、28´´内を伝搬される光ビームを取り出すことができる。
【0042】
換言すれば、図23および図24に示されているように、各光源16により生成された光ビームは、光入力壁32を介して導光部に進入して導光部28内で反射され、その結果、光ビームはディフューザ要素48に当たり、ディフューザ要素によって導光部の外部に反射される。
【0043】
すなわち、光ビームは、後壁52に配設されたディフューザ要素48によって拡散され、これにより、前壁44の方向へ送られて前壁から出て行く。
【0044】
しかしながら、光ビームの一部は、ディフューザ要素48によって反対方向、すなわち前壁44とは反対側にも拡散される。
【0045】
したがって、各導光部28´、28´´は少なくとも1つの反射要素56を備えていて、この反射要素は各導光部28´、28´´に結合されて各々のディフューザ要素48に直接対向しており、これにより、導光部28から出て行こうとする光を再び導き入れ、その光を前壁44の方向へ反射する。
【0046】
したがって、反射要素56はディフューザ要素48の後部に配置されている。
【0047】
その結果、明らかなように、照明部36、40は、実際、導光部28によって形成された照明表面となっており、この導光部は、該導光部の一側面に配設された光入力壁32によって電力供給される。
【0048】
可能な一実施形態において、ディフューザ要素48はマイクロレンズ、例えば、点状の微小凹部であり、これらのマイクロレンズが光を前壁44の方向へ拡散させる。
【0049】
ディフューザ要素48は、不均質配列計画に従って配置しておくことが好ましく、この配列計画は、当該光源16からの距離が導光部28´、28´´の延在部に沿って大きくなるにつれて密度が増大するという配列計画である。このような不均質配列計画の一例が図4に示されている。
【0050】
可能な一実施形態では、反射要素56が白色フィルムであり、このフィルムが導光部28´、28´´の後壁52から来る光を反射する。
【0051】
反射要素56はまたミラーを含むことができる。
【0052】
前記導光部28´、28´´が該導光部の少なくとも1つの各内壁64に並列配置されて互いに隣接していることが有利である。
【0053】
さらに、導光部28´、28´´は障壁要素68によって機械的かつ光学的に分離されており、これらの障壁要素により、前記少なくとも1つの内壁64において前記導光部28´、28´´間を光が通過することが妨げられる。
【0054】
障壁要素68は様々な方法で作製/実現することができる。例えば、並列配置されて隣接した導光部28´、28´´間の内壁60における障壁要素68として反射要素56を用いることも可能である(図6図16)。
【0055】
実際、反射要素56は光を反射することで光ビームの横断を阻止し、したがって、隣接する導光部28´、28´´の間を光が直接通過することが妨げられる。
【0056】
障壁要素68はまた不透光性のフィルムを含むこともできる。
【0057】
また、障壁要素68として働く不透光性の分離隔壁72(図1図3)を作製することも可能である。
【0058】
障壁要素68は、例えば、分離隔壁72を実現する場合のように、反射要素56と一体成形することもできる(図3а)。
【0059】
障壁要素68および/または反射要素56を容器体8と一体成形することも可能であり、これが全体としてLED光源16、導光部28´、28´´、反射要素56および障壁要素68を収容する。
【0060】
また、容器体8は、光反射要素56を備えた内側面76を有することが好ましい。
【0061】
例えば、内側面76は、該内側面76に沿って一体成形された白色フィルムによって反射性を有する。
【0062】
LED光源16´、16´´は、導光部28´、28´´を一体化することにより形成された周辺部に沿って配置されており、該周辺部に付随する1つまたは複数の電子ボード80によって電力供給/収容が行われる。電子ボード80は剛性タイプでも可撓性タイプでもよく、より良好に前記周辺部に適合できればよい。
【0063】
導光部28は容器体8内において様々な形状および構造を有することが可能である。
【0064】
可能な一実施形態(図1~5)では、導光部28´、28´´は、後壁52および前壁44に対して垂直である方向Zに沿って実質的に等しい厚さを有し、前壁44および後壁52に対して実質的に垂直である内壁64に並列配置されている。
【0065】
換言すれば、導光部28´、28´´は、それぞれの光入力壁32に正接する横方向Tに沿って互いに並列配置されている。
【0066】
このような構成において、各導光部は実質的に同一平面上にあり、全体として、照明および/または信号装置4の厚さは著しく低減されている。
【0067】
導光部28´、28´´の形状および寸法は様々であり得る。導光部の数は3つ以上であり得、導光部28´、28´´は、任意の形状と延在部とを有する照明部36、40を形成するように配置することが可能であり、このような配置が例えば図5に示されている。
【0068】
これによって、様々な照明部を点灯させることができ、また、その数を増大させること(2個よりも遥かに多くの数にすること)も可能であり、これにより、前記照明部を用いることで可能な限りの視覚的効果を生み出すことができ、あるいはまた、文字列、ロゴ、メッセージを生成することもでき、これらの照明部は、照明の従来の機能を上回る諸機能を有し得る。
【0069】
したがって、照明装置4は信号装置ともなる。この目的のために、様々な幾何学的配列計画に従って照明部を配置できるように導光部28を形成および配置することが可能である。これにより、数字とアルファベット文字の両方を含む英数字コードを作り出すこともできる(例えば図21を参照)。
【0070】
可能な一実施形態(図6図20)では、導光部28´、28´´は、前壁44および後壁52に対して実質的に平行である内壁64において、前壁44および後壁52に対して垂直の方向Z-Zに沿って並列配置されており、かつ少なくとも部分的に重なり合っている。
【0071】
導光部28´、28´´の照明部36、40は実質的に間断なく隣接しており、内壁64は、第1の照明部36の延在部全体にわたって、第1の導光部28´の後壁52に配設された反射要素56を含む。
【0072】
一実施形態(図6図9)では、第2の導光部28´´は、第1の導光部28´の第1の照明部36の下方に配設された光入力壁32´´と、内壁64の突出部84において第1の照明部36に隣接する第2の照明部40とを含む。
【0073】
前記突出部84は種々の幾何学的形状を有し得る。例えば、突出部84は、導光部28内を伝搬する光ビームの後方反射、すなわちLED光源16の方向への反射を防ぐように寸法設定された傾斜形状を有する。
【0074】
2つの導光部28´、28´´のディフューザ要素48は同一の不均質配列計画に従って配置されており、この配列計画は、各光源16´、16´´からの距離が導光部28´、28´´に沿って大きくなるにつれて密度が増大するという配列計画であり、この場合、第2の導光部28´´の配列計画は、第1の導光部28´と重なり合わない、第2の導光部28´´の照明部を起点として適用される。
【0075】
一実施形態(図6および図7)では、LED光源16´、16´´は、互いに重なり合った導光部28´、28´´の光入力壁32´、32´´に、該光入力壁32´、32´´に正接する横方向Tに沿って交互に配置されている。
【0076】
障壁要素68は、第2の導光部28´´の第1の区域を横断する光が第1の導光部28を横断して当該の第1の照明部36内に進入することを妨げるが、この障壁要素は、ディフューザ要素48および反射要素56を備えた第1の導光部28の後壁と、第2の導光部28´´の前壁44との間に配設されている。障壁要素68はまた前記突出部84にも延在している。
【0077】
前記障壁要素68は、第2の導光部28´´から来る光に対する障壁としての機能と、第1の導光部28´の後壁52から来る光を反射する機能とを有するフィルムの形態で作製されていることが好ましい。
【0078】
当然ながら、第2の導光部28´´も、該導光部の後壁52の側にディフューザ要素48と該ディフューザ要素48の背後に配設された反射要素56とを備えており、これにより、光を反射して照明部40を介して前壁44から該光を取り出すことができる。
【0079】
また別の可能な一実施形態(図10図14a)では、2つの導光部28´、28´´の光入力壁32´、32´´は並列配置されており、互いに同一平面上にある。各導光部28´、28´´のLED光源16´、16´´は、各導光部28´、28´´の最大横幅よりも小さい幅にわたって横方向Tに沿って延在しており、該横方向Tは光入力壁32に正接している。
【0080】
第1および第2の導光部28´、28´´は、前記内壁64において光入力壁32の側にそれぞれ逆突出部84´、84´´を有する。
【0081】
例えば、前記突出部84´、84´´は勾配構造または斜面構造を有し、互いに逆向きの傾きを備えている。
【0082】
前記突出部84は、前記導光部28´、28´´内での光ビームの反射を容易化するように形成されている。
【0083】
このために、導光部28´、28´´は誘導反射部88を含むことができ、これにより、各導光部28´、28´´内での内部全反射を容易化することができる(図14b)。
【0084】
障壁要素68は、第2の導光部28´´の第1の区域を横断する光が第1の導光部28を横断して当該の第1の照明部36内に進入することを妨げるが、この障壁要素は、ディフューザ要素48および反射要素56を備えた第1の導光部28´の後壁52と、第2の導光部28´´の前壁44との間に配設されている。障壁要素68はまた前記逆突出部84´、84´´にも延在している。
【0085】
前記障壁要素68は、第2の導光部28´´から来る光に対する障壁としての機能と、第1の導光部28´の後壁52から来る光を反射する機能とを有するフィルムの形態で作製されていることが好ましい。
【0086】
当然ながら、第2の導光部28´´も、該導光部の後壁52の側にディフューザ要素48と該ディフューザ要素48の背後に配設された反射要素56とを備えており、これにより、光を反射して照明部40を介して前壁44から該光を取り出すことができる。
【0087】
さらに別の可能な一実施形態(図15図18)では、光源16´、16´´は互いに同一平面上に配置されている。2つの導光部28´、28´´の光入力壁32は互い違いに並列配置されており、少なくとも部分的に相互に入り込んでいる。
【0088】
各光入力壁32´、32´´には発散光学要素92が設けられており、これにより、同一の導光部28´、28´´に属する隣接し合う光源16´、16´´間で放射される光円錐をできる限り光源16´、16´´の近傍で互いに混合させることが可能となる。
【0089】
実際、同一の導光部に電力供給する光源16´、16´´の光円錐は、このような発散光学要素92が設けられていない場合に比べて、LED光源16´、16´´のより近傍で交差することになるであろう。
【0090】
可能な諸実施形態では、前記発散光学要素88は、レーザ切断または射出成形により設けられた穴を含む。
【0091】
一変形態様に係る上記照明および/または信号装置4は全て、前壁44側において、照明部36、40に乳白色要素またはエンボス加工要素96を含むことができる。
【0092】
前記乳白色要素またはエンボス加工要素96はフィルムの形態で照明部36、40に貼着することができる。
【0093】
前記乳白色要素またはエンボス加工要素96はまた、レンズ体20に直接貼着することも可能である。
【0094】
このような乳白色要素またはエンボス加工要素96の技術的効果は、照明および/または信号装置の照明部により放射される光ビームをさらに均質化するという効果であり、これにより、有機発光ダイオード技術で得られる均一性と全く同等の照明均一性を得ることができる。
【0095】
上記事項は、少なくとも2つの並列配置された導光部28´、28´´に関係する。当然ながら、導光部28の数およびそれぞれの照明部36、40の数は制限されない。したがって、モジュールを作製する際、例えば、それぞれが少なくとも2つの照明部36、40を有する2つの導光部28´、28´´を含み、これらの導光部を並列配置することで複合的照明構造体を形成することができ、このような照明構造体は、任意の種類の特定の光信号、記号、ロゴ、文字列およびメッセージを生成することが可能である。このことが、例えば図5、19、20、21から見て取れる。
【0096】
当然ながら、各LED光源を個別に制御することで前記様々な照明部を適切な順序で点灯し、使用者のニーズに応じて特定のグラフィック効果、文字列および様々な種類の動画を実現することが可能となる。
【0097】
上述したことから明らかなように、本発明によって、公知の技術に存在した欠点を克服することができる。
【0098】
特に、本発明に係る自動車用照明および/または信号装置によって、任意の明るさレベルを有する諸部分を備えた任意の所定配光パターンを得ることができ、この装置は灯具のあらゆる測光仕様による制限を取り除くだけでなく、任意の種類の光やグラフィック信号を放射することが可能となり、これにより、本装置は、光信号用および照明用機器であることに加えて、情報伝達用機器ともなる。
【0099】
さらに、本発明に係る照明および/または信号装置によって、導光部の照明部を所定の順序に従って制御しながら起動することで任意の動画を得ることが可能となる。
【0100】
また、前記様々な照明部が有する均質性のレベルは、有機発光ダイオード技術で得られるレベルに完全に匹敵し、一方、複雑さおよびコストは有機発光ダイオード技術に比べて明らかに低減される。
【0101】
さらにまた、本発明に係る照明および/または信号装置は奥行きサイズが非常に低減されており、これにより、車両の内部および外部の両方で使用することに適している。しかも、本装置は厚さが低減されているために、本装置が配設される構造体を変更する必要がなく、また、特に奥行きのあるハウジングを必要とするわけでもないので、様々な位置に容易に配設することができる。
【0102】
本発明に係る照明および/または信号装置は平面状であっても曲線状であってもよく、したがって、車両本体および/またはダッシュボードの曲線に困難なく容易に組み込むことができるので、任意の位置に配設することに適している。
【0103】
実際、実現可能な照明部に関して幾何学的配置、パターン、形状に制限はない。
【0104】
さらに照明パターンは、装置外に拡散される光ビームが著しい均一性および均質性を有していることを特徴とする。
【0105】
したがって、本発明によって、任意の幾何学的形状を有する配光パターン、すなわち任意の照明表面を実現することができ、その一方で、配光パターン自体のエネルギー効率と照明均質性との向上が維持できる。
【0106】
本解決手段は作製が容易であり、コスト、重量、体積も抑制される。
【0107】
当業者は、偶発的かつ特定のニーズを満たすために、上記の各照明および/または信号装置に幾つかの変更および変形を加えることが可能であり、また、これらの変更等は全て、以下の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14a
図14b
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24