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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 19/00 20060101AFI20240528BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240528BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20240528BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240528BHJP
   F21Y 105/12 20160101ALN20240528BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240528BHJP
【FI】
F21V19/00 150
F21V5/00 510
F21V7/00 510
F21S2/00 600
F21V19/00 170
F21Y105:12
F21Y115:10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019086775
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020184428
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103241
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】山中 晃
(72)【発明者】
【氏名】中村 辰巳
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-213943(JP,A)
【文献】国際公開第2015/064073(WO,A1)
【文献】特開2017-021934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 19/00
F21V 5/00
F21V 7/00
F21S 2/00
F21Y 105/12
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED照明装置において、
装置本体と、
前記装置本体の長手方向および短手方向と交差する方向に複数の第1のLED素子を配列してなる第1のLED素子列と、
前記第1のLED素子列に対して前記短手方向に隣り合って配置され、前記長手方向および前記短手方向と交差する方向に複数の第2のLED素子を配列してなる第2のLED素子列とを備え、
前記第1および第2のLED素子列をそれぞれ構成する前記複数の第1および第2のLED素子が前記長手方向および前記短手方向のいずれにも整列して配置されておらず、
前記長手方向から見て、
前記複数の第1のLED素子がオーバーラップして配置され、前記複数の第2のLED素子がオーバーラップして配置されており、
前記短手方向から見て、
前記複数の第2のLED素子のうち前記第2のLED素子列の配列方向に隣り合う任意の2つの前記第2のLED素子の間に、前記第1のLED素子列のいずれかの前記第1のLED素子が配置され、かつ、前記いずれかの第1のLED素子が前記2つの第2のLED素子の双方とオーバーラップしており、
前記短手方向から見て、
前記複数の第1のLED素子のうち前記第1のLED素子列の配列方向に隣り合う任意の2つの前記第1のLED素子の間に、前記第2のLED素子列のいずれかの前記第2のLED素子が配置され、かつ、前記いずれかの第2のLED素子が前記2つの第1のLED素子の双方とオーバーラップしている、
ことを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記いずれかの第1のLED素子と、これとオーバーラップする前記2つの第2のLED素子との間の距離が互いに異なっているとともに、
前記いずれかの第2のLED素子と、これとオーバーラップする前記2つの第1のLED素子との間の距離が互いに異なっている、
ことを特徴とするLED照明装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記第2のLED素子列の前記配列方向が、前記第1のLED素子列の配列方向に対して平行になっている、
ことを特徴とするLED照明装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記長手方向および前記短手方向から見たとき、前記複数の第1のLED素子からの出射光と、前記複数の第2のLED素子からの出射光とが互いに重畳している、
ことを特徴とするLED照明装置。
【請求項5】
請求項において、
前記第1のLED素子列および前記第2のLED素子列からなるLED配列体が複数設けられている、
ことを特徴とするLED照明装置。
【請求項6】
請求項において、
前記LED配列体が、第1のLED配列体と、前記第1のLED配列体から離隔配置された第2のLED配列体とを備え、
前記第2のLED配列体の前記第1のLED素子列と、前記第1のLED配列体の前記第2のLED素子列とが前記配列方向に整列している、
ことを特徴とするLED照明装置。
【請求項7】
請求項において、
前記各LED素子からの出射光を集光させるための複数のレンズをさらに備え、
前記複数のレンズの隣り合う各レンズが一部重なり合って設けられている、
ことを特徴とするLED照明装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記複数のレンズで集光された光を装置外部に向かって反射する反射部が設けられている、
ことを特徴とするLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輝度ムラの発生を防止でき、照度を確保できるLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)照明装置は、たとえば特開2011-233400号公報に示すように、照明管の内部において長手方向に延びる基板の上に複数のLEDを所定の間隔で配列することにより構成されている(同公報の段落[0025]~[0026]および図1図2参照)。このようなLED照明装置の点灯時には、各LEDからそれぞれ光が出射され、これらの出射光により照射面が照射されるようになっている。
【0003】
その一方、工作機械の加工現場においては、これまで蛍光灯による照明が主流であったが、最近LED照明装置が用いられるようになってきている。工作機械の加工現場では、加工対象物である工作物(ワーク)を加工工具である刃物(バイト等)を用いて切削、研削、穴明け等の加工を行うが、その際、工作物の加工面および刃物のとくに刃先部分には、照明による陰影や輝度ムラ(照明ムラ)が生じないようにする必要がある。
【0004】
ところが、上記特開2011-233400号公報に記載のLED照明装置においては、点光源であるLEDを間隔を空けて配置しているため、これをそのまま工作機械の照明として用いると、工作物の加工面に明暗の線が発生して、加工の妨げとなる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、特開2017-21934号公報に記載のLED照明装置では、装置の長手方向に複数のLEDを配列してなるLED列を装置の短手方向に少なくとも3列配置するとともに、各LED列を装置の長手方向に少しずつずらして配置しており(同公報の段落[0042]および図2参照)、同公報には、各LEDからの出射光を重畳させることにより、各LEDによる輝線を解消できると記載されている(段落[0034]~[0035]参照)。
【0006】
上記特開2017-21934号公報に記載のLED照明装置においては、3列のLED列をそれぞれ構成する各LEDが装置の短手方向から見て互いにずれて配置されているため(同公報の図2参照)、同公報の図5に示すように、工作機械の主軸方向に対してLED照明装置を横向きに配置した場合には、同公報に記載されたような効果が得られるものと思われる。
【0007】
しかしながら、3列のLEDをそれぞれ構成する各LEDは装置の長手方向から見るとずれておらず(同公報の図2参照)、そのため、工作機械の主軸方向に対してLED照明装置を縦向きに配置した場合には、工作物の工作面には、各列の各LEDによる輝線が生じ、輝度ムラが生じることになる。したがって、同公報に記載のものでは、LED照明装置を取り付ける向きに制限があり、取付けの向きの自由度が低い。
【0008】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、輝度ムラの発生を防止できるLED照明装置を提供することにある。また、本発明は、LED照明装置の取付けの向きの自由度が高いLED照明装置を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るLED照明装置は、装置本体と、装置本体の長手方向および短手方向と交差する方向に複数の第1のLED素子を配列してなる第1のLED素子列と、第1のLED素子列に対して短手方向に隣り合って配置され、長手方向および短手方向と交差する方向に複数の第2のLED素子を配列してなる第2のLED素子列とを備え、第1および第2のLED素子列をそれぞれ構成する複数の第1および第2のLED素子が長手方向および短手方向のいずれにも整列して配置されていない。長手方向から見て、複数の第1のLED素子がオーバーラップして配置され、複数の第2のLED素子がオーバーラップして配置されている。短手方向から見て、複数の第2のLED素子のうち第2のLED素子列の配列方向に隣り合う任意の2つの第2のLED素子の間に、第1のLED素子列のいずれかの第1のLED素子が配置され、かつ、いずれかの第1のLED素子が、隣り合う2つの第2のLED素子の双方とオーバーラップしている。さらに、短手方向から見て、複数の第1のLED素子のうち第1のLED素子列の配列方向に隣り合う任意の2つの第1のLED素子の間に、第2のLED素子列のいずれかの第2のLED素子が配置され、かつ、いずれかの第2のLED素子が、隣り合う2つの第1のLED素子の双方とオーバーラップしている。
【0010】
本発明においては、隣り合って配置された第1および第2のLED素子列をそれぞれ構成する複数の第1および第2のLED素子がいずれも装置本体の長手方向および短手方向と交差する方向に配列されるとともに、第1および第2のLED素子が長手方向および短手方向のいずれにも整列して配置されていない。また、長手方向から見て、複数の第1のLED素子がオーバーラップして配置され、複数の第2のLED素子がオーバーラップして配置されており、短手方向から見て、複数の第2(第1)のLED素子のうち第2(第1)のLED素子列の配列方向に隣り合う任意の2つの第2(第1)のLED素子の間に、第1(第2)のLED素子列のいずれかの第1(第2)のLED素子が配置され、かつ、いずれかの第1(第2)のLED素子が、隣り合う2つの第2(第1)のLED素子の双方とオーバーラップしている。これにより、装置本体の長手方向および短手方向のいずれの方向から見た場合でも、各LED素子による輝線が生じることなく、輝度ムラの発生を防止でき、照射面において所望の照度を確保できるようになる。したがって、本発明によれば、LED照明装置の取付けの向きに関して、装置本体が照射面に対して横向きに配置されるようにしても、また縦向きに配置されるようにしても、LED照明装置の各LED素子による輝度ムラが発生しないようにすることができるので、LED照明装置の取付けの向きの自由度を向上できる。
【0011】
本発明においては、いずれかの第1のLED素子と、これとオーバーラップする2つの第2のLED素子との間の距離が互いに異なっているとともに、いずれかの第2のLED素子と、これとオーバーラップする2つの第1のLED素子との間の距離が互いに異なっている。また、本発明では、第2のLED素子列の配列方向が、第1のLED素子列の配列方向に対して平行になっている。
【0012】
本発明においては、長手方向および短手方向から見たとき、複数の第1のLED素子からの出射光と、複数の第2のLED素子からの出射光互いに重畳している。
【0013】
本発明では、装置本体を長手方向および短手方向のいずれに配置した場合においても、各LED素子からの出射光が重畳しているので、各LED素子による輝線の発生を確実に防止できる。
【0014】
本発明では、第1および第2のLED素子列からなるLED配列体が複数設けられている。本発明によれば、このようなLED配列体を装置本体のたとえば長手方向に複数設けるようにすれば、装置本体の長手方向全体にわたって、輝度ムラの発生を防止でき、照射面において所望の照度を確保できる。また、当該LED配列体を装置本体のたとえば短手方向に複数設けるようにすれば、装置本体の短手方向全体にわたって、輝度ムラの発生をより確実に防止できるようになる。
【0015】
本発明では、LED配列体が、第1のLED配列体と、第1のLED配列体から離隔配置された第2のLED配列体とを備え、第2のLED配列体の第1のLED素子列と、第1のLED配列体の第2のLED素子列とが配列方向に整列している。本発明によれば、LED配列が、第1のLED配列体の第1のLED配列、第1のLED配列体の第2のLED配列および第2のLED配列体の第1のLED配列、第2のLED配列体の第2のLED配列という3つのLED配列から構成されることになって、配列パターンをシンプルにすることができる。
【0016】
本発明では、各LED素子からの出射光を集光させるための複数のレンズをさらに備え、複数のレンズの隣り合う各レンズが一部重なり合って設けられている。これにより、各LED素子からの出射光が各レンズの重なり部分を通って外部に出射できるようになるので、レンズ発光面が各レンズの境界領域で相対的に暗くなるのを防止でき、レンズ発光面全体の輝度差を低減できる。これに対して、各レンズが離れて配置されている場合には、隣り合う各レンズの境界領域でLED素子からの出射光が外部に出射できなくなる事象が発生し、その結果、レンズ発光面が各レンズの境界領域で相対的に暗くなって、レンズ発光面全体の輝度差が大きくなることになる。
【0017】
本発明では、複数のレンズで集光された光を装置外部に向かって反射する反射部が設けられている。これにより、照射面で照射ムラが生じるのを一層確実に防止できる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、短手方向に隣り合って配置された第1および第2のLED素子列をそれぞれ構成する複数の第1および第2のLED素子をいずれも装置本体の長手方向および短手方向と交差する方向に配列するとともに、各LED素子を長手方向および短手方向のいずれにも整列して配置されないようにしたので、装置本体の長手方向および短手方向のいずれの方向から見た場合でも、各LED素子による輝線が生じることなく、輝度ムラの発生を防止でき、照射面において所望の照度を確保できるようになる。また、LED照明装置の取付けの向きに関して、装置本体が照射面に対して横向きに配置されるようにしても、また縦向きに配置されるようにしても、LED照明装置の各LEDによる輝度ムラが発生しないようにすることができるので、LED照明装置の取付けの向きの自由度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例によるLED照明装置の全体斜視図である。
図2】前記LED照明装置(図1)の平面図である。
図3】前記LED照明装置(図2)のIII-III線断面概略図である。
図4】前記LED照明装置(図3)を構成するレンズを斜め上方から見た平面図である。
図5】前記レンズ(図4)を斜め上方から見た正面図である。
図6】前記レンズ(図4)を斜め下方から見た底面図である。
図7】前記レンズ(図4)の底面図である。
図8】前記LED照明装置(図2)を構成するLED基板の平面図であって、LED配列を示す図である。
図9】前記LED配列(図8)を説明するための図である。
図10】前記LED配列(図8)を説明するための図である。
図11】前記LED照明装置(図2)において図8のXI-XI線断面に相当する図である。
図12】前記LED照明装置(図2)において図8のXII-XII線断面に相当する図である。
図13】前記LED照明装置(図2)において図8のXIII-XIII線断面に相当する図である。
図14】前記LED照明装置(図2)の輝度分布を説明するための図であって、(a)は図2に対応しており、(b)は(a)のLED照明装置の輝度分布図、(c)は(b)の輝度分布を縦軸に輝度値を用いて表したグラフ、(d)は(a)のLED照明装置からの出射光が照射された照射面の状態を示す図である。
図15図14(c)の拡大図である。
図16】従来のLED照明装置の輝度分布を説明するための図であって、図14に対応しており、(a)はLED照明装置の平面図、(b)は(a)のLED照明装置の輝度分布図、(c)は(b)の輝度分布を縦軸に輝度値を用いて表したグラフ、(d)は(a)のLED照明装置からの出射光が照射された照射面の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図15は、本発明の一実施例によるLED照明装置を説明するための図である。ここでは、工作機械の加工現場で採用されるLED照明装置を例にとる。なお、以下の説明文においては、説明の便宜上、上側(上、上方)とは、LED照明装置の発光面側を指し、下側(下、下方)とは、LED照明装置の発光面と逆側を指すことにする。すなわち、たとえば図2を例にとると、上側(上、上方)は同図紙面手前側を、下側(下、下方)は同図紙面奥側を指している。また、装置本体の長手方向とは図2の左右方向を、短手方向とは図2の上下方向を指している。また、図3図11ないし図13の各断面図では、断面領域を黒のドットで表示している。
【0021】
図1および図2に示すように、LED照明装置1は、長手方向延びるたとえば金属製のケース(装置本体)2を有しており、ケース2の内部に複数のLED(Light Emitting Diode)素子(図示せず)が搭載された基板3が収容されている。ケース2は、この例では、平面視矩形状の部材である。ケース2には、発光面側に窓孔2aが貫通形成されており、窓孔2aには透明な(または透光性を有する)プレート状のガラス製または樹脂製の窓部4が装着されている。また、ケース2の一端には、内部の機器に電源電流を供給するための電源ケーブル5が接続されている。
【0022】
図3図2のIII-III線横断面を示しているが、ケース2および窓部4は図示が省略されている。図3に示すように、基板3の上には、LED素子30が配置されている。LED素子30の上方には、たとえば透明樹脂製のレンズ6が配置されている。レンズ6は、LED素子30からの出射光を反射させ集光させつつ、装置外部に向かって照射するための部材である。レンズ6は、上側(つまり窓部4の直近下方)に配置された板状の平面部60と、平面部60の下面から下方に延びるとともに、平面部60と一体に形成された複数の凸状部61とを有している。レンズ6は、平面部60に下方から当接するリフレクタ(反射部)7により下方から保持されている。リフレクタ7には、平面部60を収容する凹所が形成され、当該凹所の立壁部7aはたとえば白色に着色されており、これにより、立壁部7aは、凸状部61で集光された光を装置外部に向かって反射することで照射ムラの発生を防止している。
【0023】
平面部60の上面には、図4および図5に示すように、多数の微小マイクロレンズ60aを平面内でハニカム状に配設してなるマイクロレンズアレイが設けられている。各マイクロレンズ60aは、上面が凸円弧状面を有している。各凸状部61は、図3図5ないし図7に示すように、平面部60の下面から下方にそれぞれ凸状に膨出しており、下方の先端側に向かうに従い、徐々に外径が小さくなっている。各凸状部61の下面には、穴61aが形成されている。凸状部61は、LED素子30に一対一に対応して設けられており、凸状部61の穴61aの下方に、対応するLED素子30が配置されている。この例では、一つのレンズ6に6個×2列つまり12個の凸状部6が設けられている。図7に示すように、各凸状部6は、これと隣り合う各凸状部6に対して一部重なり合って設けられている。すなわち、同図中、凸状部61Aは、その周囲の各凸状部61B、61C、61D、61Eと一部重なり合っている。図3では、LED素子30に対応する凸状部61の横断面と、これと重なり合う隣りの凸状部61の一部の横断面とが示されている。
【0024】
本実施例では、図2に示すように、5個のレンズ6が装置本体2の長手方向に沿って並設されている。また、同図では、レンズ6の各凸状部61が、窓部4および平面部60を通して透けて見えている状態が示されている。
【0025】
次に、本実施例によるLED配列について図8を用いて説明する。
図8は、長手方向に延びる基板3の上にLED素子30のみが配置された状態を示している。同図中、矢印Lは図2の装置本体2の長手方向を、矢印Sは装置本体2の短手方向をそれぞれ示している。同図に示すように、基板3の図示左端側に配置されたLED配列体30Aは、複数(この例では6個)のLED素子30を所定の間隔で長手方向Lに対して斜めに配設してなる第1のLED列30Aと、第1のLED列30Aから離隔配置され、同様に、複数(この例では6個)のLED素子30を所定の間隔で長手方向Lに対して斜めに配設してなる第2のLED列30Aとから構成されている。また、基板3上においてLED配列体30Aの図示右方には、LED配列体30Aと同様の構成のLED配列体30B、30C、30D、30Eが配置されている。なお、基板3の外周面の複数個所には、基板3をケース2(図2)内の取付面に固定するための取付ねじ(図示せず)が係合する切欠き3cが形成されている。
【0026】
図8のLED配列体30Aの詳細を図9を用いて説明する。
図9は、LED配列体30Aを横向きに配置した状態を示している。同図に示すように、第1のLED列30Aの中心線(つまり各LED素子30の中心を通る線)CAが長手方向Lに対して反時計回りになす角度(つまり傾斜角)をαとすると、
0<α<90° 好ましくは 0<α<45°
である。角度αの大きさは、装置本体2の長手方向長さ、短手方向長さ、配置するLED素子30の個数および間隔等に応じて適宜設定される。
【0027】
同様に、第2のLED列30Aの中心線(つまり各LED素子30の中心を通る線)CAが長手方向Lに対して反時計回りになす角度(つまり傾斜角)をα’とすると、
0<α’<90° 好ましくは 0<α’<45°
である。角度α’の大きさは、装置本体2の長手方向長さ、短手方向長さ、配置するLED素子30の個数および間隔等に応じて適宜設定される。
この例では、α=α’である。よって、第1、第2のLED列30A、30Aは互いに平行に配置されている。
【0028】
図9に示すように、第1のLED列30Aを構成する各LED素子30をLED素子30、30、30、30、30、30とし、これらがいずれも一辺aの平面視正方形状を有しているとし、長手方向Lに隣り合う各LED素子の相対する辺の間の長手方向の間隔をeとし、各LED素子の短手方向の中心線をcとする。同様に、第2のLED列30Aを構成する各LED素子30をLED素子30’、30’、30’、30’、30’、30’とし、これらがいずれも一辺aの平面視正方形状を有しているとし、長手方向Lに隣り合う各LED素子の相対する辺の間の長手方向の距離をe’とし、各LED素子の短手方向の中心線をcとする。この例では、e=e’である。よって、第1、第2のLED列30A、30Aの各LED素子30はいずれも長手方向に等間隔(等ピッチ)で配置されている。また、この例では、a=aであって、すべてのLED素子30は同じ大きさを有している。
【0029】
このとき、第2のLED列30Aの各LED素子30の各中心線cは、第1のLED列30Aの隣り合う各LED素子30の間の間隔e(より詳細には間隔eの中点)を通っている。同様に、第1のLED列30Aの各LED素子30の各中心線cは、第2のLED列30Aの隣り合う各LED素子30の間の間隔e’(より詳細には間隔e’の中点)を通っている。したがって、この例では、第2のLED列30Aの各LED素子30は、第1のLED列30Aの隣り合う各LED素子30の間の位置に対応する位置に配置されているといえる。この場合、第2のLED列30Aの各LED素子30は、第1のLED列30Aの対応する各LED素子30に対してずれて配置されている。
【0030】
別の言い方をすると、第2のLED列30Aの各LED素子30は、短手方向Sから見て、第1のLED列30Aの各LED素子30と整列していない。同様に、第1のLED列30Aの各LED素子30は、短手方向Sから見て、第2のLED列30Aの各LED素子30と整列していない。ここで、双方のLED素子30が整列している状態とは、短手方向Sから見て対応する各LED素子30の中心線c、cが完全に一致している状態をいう。
【0031】
また、この例では、第1のLED列30Aの各LED素子30の短手方向の辺aを短手方向に投影すると(図9中の点線参照)、第2のLED列30Aの各LED素子30の短手方向の辺aと重なる。同様に、第2のLED列30Aの各LED素子30の短手方向の辺aを短手方向に投影すると(同図中の点線参照)、第1のLED列30Aの各LED素子30の短手方向の辺aと重なる。よって、第2のLED列30Aの各LED素子30は、第1のLED列30Aの各LED素子30に対して、短手方向から見て一部オーバラップしているといえる。なお、図9において、第2のLED列30AのLED素子30の中心線cと第1のLED列30AのLED素子30の中心線cとの間の間隔dは、
d=a/2+a/2=a/2+a/2=a=a[∵a=a
である。
【0032】
次に、図10は、図9のLED配列体30Aを縦向きに配置した状態を示している。
図10において、図9と同一符号は同一部分を示している。図10に示すように、第1のLED列30Aの中心線CAおよび第2のLED列30Aの中心線CAは、長手方向Lに対して傾斜して配置されており、第1、第2のLED列30A、30Aは互いに平行に配置されている。
【0033】
図10に示すように、第1のLED列30Aを構成する各LED素子30、30、30、30、30、30は、各々一辺aの平面視正方形状を有しており、同様に、第2のLED列30Aを構成する各LED素子30’、30’、30’、30’、30’、30’は、各々一辺a(=a)の平面視正方形状を有している。第1、第2のLED列30A、30Aの各LED素子30はいずれも長手方向に等間隔(等ピッチ)で配置されている。
【0034】
このとき、第1のLED列30AのLED素子30の長手方向の一方の辺aを長手方向に投影すると(図10中の点線参照)、当該LED素子30と長手方向に隣り合うLED素子30を通る。すなわち、LED素子30の図示右側の辺aを長手方向に投影すると、LED素子30の略中心を通り、LED素子30の図示右側の辺aを長手方向に投影すると、LED素子30の略中心を通り、LED素子30の図示右側の辺aを長手方向に投影すると、LED素子30の略中心を通り、以下同様にして、LED素子30の図示右側の辺aを長手方向に投影すると、LED素子30の略中心を通る。よって、第1のLED列30Aの各LED素子30は、長手方向にオーバラップしている。
【0035】
一方、第2のLED列30AのLED素子30の長手方向の一方の辺a を長手方向に投影すると(図10中の点線参照)、当該LED素子30と長手方向に隣り合うLED素子30の略中心を通る。すなわち、LED素子30’の図示右側の辺a を長手方向に投影すると、LED素子30’の略中心を通り、LED素子30’の図示右側の辺a を長手方向に投影すると、LED素子30’の略中心を通り、LED素子30’の図示右側の辺a を長手方向に投影すると、LED素子30’の略中心を通り、以下同様にして、LED素子30’の図示右側の辺a を長手方向に投影すると、LED素子30’の略中心を通る。よって、第2のLED列30Aの各LED素子30は、長手方向にオーバラップしている。
【0036】
また、第2のLED列30AのLED素子30’の図示左側の辺a を長手方向に投影すると、第1のLED列30AのLED素子30を通り、第2のLED列30AのLED素子30’の図示左側の辺a を長手方向に投影すると、第1のLED列30AのLED素子30を通る。よって、第2のLED列30Aの各LED素子30は、第1のLED列30Aの各LED素子30に対して、長手方向Lから見て一部オーバラップしている。また、別の言い方をすると、第2のLED列30Aの各LED素子30は、長手方向Lから見て、第1のLED列30Aの各LED素子30と整列していない。同様に、第1のLED列30Aの各LED素子30は、長手方向Lから見て、第2のLED列30Aの各LED素子30と整列していない。ここで、双方のLED素子30が整列している状態とは、長手方向Lから見て対応する各LED素子30の長手方向の各中心線が完全に一致している状態をいう
【0037】
上述したように、図8には、LED配列体30Aの図示右方に、LED配列体30Aと同様の構成のLED配列体30B、30C、30D、30Eが順に配置されている状態が示されているが、このとき、LED配列体30Bの第1のLED列30Bの各LED素子30の中心線CBは、LED配列体30Aの第2のLED列30Aの各LED素子30の中心線CAと一致しており、両中心線は同一直線上に配置されている。他のLED配列体30B、30C、30D、30Eについても同様であって、たとえば、LED配列体30Dの第1のLED列30Dの各LED素子30の中心線は、LED配列体30Cの第2のLED列30Cの各LED素子30の中心線と一致しており、両中心線は同一直線上に配置されている。
【0038】
したがって、図8に示すLED配列は、LED配列体30Aにおいて6個のLED素子30からなる第1のLED列30Aと、LED配列体30Aにおいて6個のLED素子30からなる第2のLED列30AおよびLED配列体30Bにおいて6個のLED素子30からなる第1のLED列30Bと、LED配列体30Bにおいて6個のLED素子30からなる第2のLED列30Bという3つのLED配列(LED素子30が6個、12個、6個の配列パターン)から構成されているともいえる。本実施例のLED照明装置におけるLED配列パターンは、このような3つのLED配列を装置本体の長手方向に繰り返している。これにより、配列パターンをシンプルにすることができるので、製造性(製造のしやすさ)および組立性(組立てのしやすさ)を向上できる。
【0039】
また、図8に示す例では、LED配列体30Aの第2のLED列30Aにおける最後尾のLED素子30と、LED配列体30Bの第1のLED列30Bにおける先頭のLED素子30との間の間隔が、製作上の理由等により、各LED素子30の間隔(ピッチ)よりも若干広くなっているが(他のLED配列体についても同様)、その場合でも、LED配列体30Bの第2のLED列30Bにおける先頭のLED素子30が、LED配列体30Aの第1のLED列30Aにおける最後尾のLED素子30と一部オーバラップしているので、実用上の問題はない。なお、上記間隔は各LED素子30の間隔と等しくしてもよい。
【0040】
次に、図8のXI-XI線断面、XII-XII線断面およびXIII-XIII線断面をそれぞれ図11図12図13に示す。図8においては、基板3およびLED素子30のみが示されているが、図11ないし図13の断面図では、これらに加えて、レンズ6およびリフレクタ7を含む内部部品も示されている。すなわち、図11ないし図13は、LED照明装置1の装置本体2からケース2および窓部4を省略した断面図に相当している。よって、同様の断面図である図3は、図8中のIII-III線断面に相当している。図11ないし図13に示すように、いずれの断面をとっても、レンズ6の凸状部61は、これと隣り合うレンズ6の凸状部61と一部重なり合っている。
【0041】
次に、本実施例の作用効果について、図14および図15を用いて説明する。
図14(a)は本実施例によるLED照明装置の平面図、(b)はLED照明装置の輝度分布図、(c)は(b)の輝度分布を縦軸に輝度値を用いて表したグラフ、(d)はLED照明装置からの出射光が照射された照射面の状態を示す図、図15図14(c)の拡大図である。なお、図14(d)では、照射面に対してLED照明装置を横向きに配置している。
【0042】
図14(c)および図15中のグラフ1、2、3は、図14(b)中のLED列1、2、3にそれぞれ対応している。すなわち、図8中のLED列との対応関係を示すと、グラフ1はLED配列体30Aの第1のLED列30Aに対応し、グラフ2は、LED配列体30Bの第2のLED列30BおよびLED配列体30Cの第1のLED列30Cに対応し、グラフ3は、LED配列体30Aの第2のLED列30AおよびLED配列体30Bの第1のLED列30Bに対応している。
【0043】
図15に示すように、各LED列30A、30A、30B、30B、30Cにおける輝度値の上限Imaxおよび下限Iminは、概ね同図中の領域Dに存在している。また、同図中の左側に位置するグラフ1に着目すると、グラフ1は領域Dの範囲で山(上限値)と谷(下限値)を繰り返しているが、グラフ1の隣り合う山と山の間(つまり谷の位置)にはグラフ3の山が位置している。なお、グラフ3も同様に山と谷を繰り返しているが、グラフ3の隣り合う山と山の間にはグラフ1の山が位置している。また、同図中の中央部に位置するグラフ2に着目すると、グラフ2は領域Dの範囲で山と谷を繰り返しているが、グラフ2の隣り合う山と山の間にはグラフ3の山が位置している。なお、グラフ3の隣り合う山と山の間にはグラフ2の山が位置している。各グラフ中の山の位置は、各LED列のLED素子の位置に対応しており、谷の位置は各LED列において隣り合う各LED素子の間の位置(つまりLED素子が配置されていない位置)に対応している。
【0044】
図14(d)に示すように、照射面の状態については、LED照明装置によって照射された照射面全体が明るく照らされており、明暗の線は生じていない。すなわち、各LED列の各LED素子による輝線は生じておらず、輝度ムラの発生はない。よって、照射面において所望の照度が確保されている。
【0045】
これは、上述したように、LED列においてLED素子が配置されていない位置に対応して、当該LED列と短手方向に隣り合うLED列のLED素子が配置されている(すなわち、双方のLED列の対応する各LED素子がずれて配置されている)からであり、これにより、双方のLED列の各LED素子からの出射光が重畳し、その結果、装置全体として輝度差が小さくなって、照射面(工作機械の工作物の加工面)が一様に明るく照らされることになる。さらに、本実施例では、図13に示すように、レンズ6の隣り合う各凸状部61が重なり合っていることにより、同図中の一点鎖線に示すように、LED素子30からの出射光LとLED素子30’からの出射光L’とが各凸状部61の重なり部分を透過し、その結果、各出射光L、L’が、各LED素子30、30’の間の領域で重畳しており、そのことも相俟って、LED素子が配置されていない位置での輝度がアップしている。そのため、図15中の輝度の下限IminはI(=0)になっていない。
【0046】
図14(d)では、LED照明装置を照射面に対して横向きに配置した例(すなわち、工作機械の旋盤では、LED照明装置の短手方向をワーク中心線を通る縦断面内に配置した例)を示しているが、本実施例では、照射面に対してLED照明装置を縦向きに配置した場合(すなわち、工作機械の旋盤では、LED照明装置の長手方向をワーク中心線を通る縦断面内に配置した場合)においても、横向き配置の場合と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、LED照明装置によって照射された照射面全体は明るく照らされて、明暗の線や輝線は生じず、輝度ムラの発生はない。これにより、照射面において所望の照度が確保される。これは、図10を用いて説明したように、LED列の各LED素子が長手方向に一部オーバラップしており、そのため、各LED素子からの出射光が重畳するからである。
【0047】
このように、本実施例によるLED照明装置においては、照射面に対して横向きに取り付けても、また縦向きに取り付けても、各LEDによる輝度ムラが発生しないようにすることができるので、LED照明装置の取付けの向きの自由度を向上できる。
【0048】
ここで、本実施例の比較例として、従来のLED照明装置の輝度分布を図16に示す。同図(a)は従来のLED照明装置の平面図、(b)はLED照明装置の輝度分布図、(c)は(b)の輝度分布を縦軸に輝度値を用いて表したグラフ、(d)はLED照明装置からの出射光が照射された照射面の状態を示す図である。なお、図16(d)では、照射面に対してLED照明装置を横向きに配置している。
【0049】
従来のLED照明装置においては、図16(a)に示すように、複数のLED素子が間隔を隔てて一列に配置されている。同図(c)に示すように、単列のLED列の輝度値は、山(上限値)と谷(下限値)を繰り返しており、その上限Imaxおよび下限Iminは概ね同図中の領域D’に存在しているが、この場合、Imin=I=0になっている。グラフ中の山の位置は、LED列の各LED素子の位置に対応しており、谷の位置はLED列において隣り合う各LED素子の間の位置(つまりLED素子が配置されていない位置)に対応している。
【0050】
図16(d)に示すように、LED照明装置によって照射された照射面は、明暗の線が生じている。すなわち、LED列の各LED素子による輝線が生じており、輝度ムラ(照明ムラ)が発生している。このような照明ムラのある状態では、工作機械の照明として用いると、工作物の加工面に明暗の線が発生することになるので、実際の加工の妨げとなる恐れがある。
【0051】
〔第1の変形例〕
前記実施例では、LED照明装置1の装置本体2が長手方向に延びる平面視矩形状の部材である場合を例にとって説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。装置本体2は、長手方向および短手方向のない平面視正方形状や平面視正多角形状等の部材でもよい。これらの場合には、前記実施例中の長手方向の代わりに中心線を定め、当該中心線と斜めに交差するように各LED列を配置するようにすればよい。
【0052】
〔第2の変形例〕
前記実施例では、各LED配列体を構成する第1、第2のLED列においてそれぞれ対応する各LED素子30が、装置本体2の短手方向および長手方向の双方から見て、互いにずれて配置されるようにした例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0053】
照射面に対してLED照明装置の取付けの向きが固定される場合には、第1、第2のLED列においてそれぞれ対応する各LED素子30は、装置本体の短手方向または長手方向のいずれか一方から見て、互いにずれて配置されるようにしてもよい。たとえば、図14(d)に示したように、LED照明装置が照射面に対して横向きに配置される場合には、LED列の各LED素子は、図9に示すように短手方向から見た場合には互いにオーバラップしているのが好ましいが、長手方向Lから見た場合には図10に示すように必ずしもオーバラップしていなくてもよい。これに対して、LED照明装置が照射面に対して縦向きに配置される場合には、LED列の各LED素子は、図10に示すように長手方向から見た場合には互いにオーバラップしているのが好ましいが、短手方向Sから見た場合には、図9に示すように必ずしもオーバラップしていなくてもよい。
【0054】
〔第3の変形例〕
前記実施例におけるLED配列は、図9中の一点鎖線の矢印Nに示すように、第1のLED列30Aの各LED素子30をN方向(離隔方向)に所定距離移動させることにより、第2のLED列30Aが構成されているとみなすこともできる。この場合、N方向から見たとき、第1、第2のLED列30A、30Aのそれぞれ対応する各LED素子30は完全にオーバラップしているが、その場合でも、N方向から見てLED素子30が配置されていない領域は狭く、輝度ムラは生じにくい。よって、LED照明装置を取り付ける際には、N方向を工作機械の旋盤のワーク中心線を通る縦断面内に配置した場合でも、照射面に明暗の線や輝線は生じず、輝度ムラは発生しない。なお、N方向からわずかでも傾きが変われば、第1、第2のLED列30A、30Aのそれぞれ対応する各LED素子30は一部オーバラップすることになるので、照射面における輝度ムラの発生をより確実に防止できる。
【0055】
このように、LED照明装置の取付けの向きは、横向きや縦向きに限らず、横向きと縦向きの中間の斜めに配置することもできるので、取付けの向きの自由度をさらに向上できる。また、LED照明装置の取付けの向きが照射面に対して斜めに固定される場合には、第1、第2のLED列においてそれぞれ対応する各LED素子30は、装置本体の斜め方向から見て互いにずれて配置されていればよく、装置本体の短手方向や長手方向から見た場合には互いにずれて配置されていなくてもよい。
【0056】
〔第4の変形例〕
前記実施例では、第2のLED列30Aの傾斜角α’が第1のLED列30Aの傾斜角αと等しく(α=α’)、第1、第2のLED列30A、30Aが互いに平行に配置された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。α<α’でもα>α’でもよい。すなわち、第1、第2のLED列30A、30Aの各中心線CA 、CA は必ずしも厳密な平行線でなくてもよい。
【0057】
〔第5の変形例〕
前記実施例では、第1、第2のLED列30A、30Aが互いに平行に配置された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。第1のLED列30Aおよび第2のLED列30Aは横向きのV字状に交差するように配置されていてもよい。そして、このようなV字状配列のLED配列体を装置本体の長手方向に複数配置するとともに、隣り合う各LED配列体を一部オーバラップさせるようにしてもよい。
【0058】
〔第6の変形例〕
前記実施例では、第1、第2のLED列30A、30Aの各LED素子30がいずれも長手方向に等間隔(等ピッチ)で配置された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。各LED素子30の間隔は列によって変えてもよい。すなわち、一方のLED列の各LED素子30の間隔を他方のLED列の各LED素子30の間隔よりも広く(または狭く)してもよい。また、同じLED列において、各LED素子30の間隔を長手方向に沿って徐々に小さく(または大きく)してもよく、あるいは間隔をランダムにしてもよい。
【0059】
〔第7の変形例〕
前記実施例では、第2のLED列30Aの各LED素子30の大きさが第1のLED列30Aの各LED素子30の大きさと同じである場合を例にとって説明したが、各LED素子30の大きさは列によってまたLED素子30によって異ならせてもよい。
【0060】
〔第8の変形例〕
前記実施例では、LED配列体が第1、第2のLED列という2つのLED列から構成された例を示したが、本発明によるLED配列体は、3つ以上のLED列から構成されていてもよい。
てもよい。
【0061】
〔第9の変形例〕
前記実施例では、第1、第2のLED列30A、30Aがいずれも6個のLED素子30から構成された例を示したが、LED素子の個数は6個より多くても少なくてもよい。
【0062】
〔その他の変形例〕
上述した実施例および各変形例はあらゆる点で本発明の単なる例示としてのみみなされるべきものであって、限定的なものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書中に明示の記載はなくても、上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やその他の実施例を構築し得る。
【0063】
〔他の適用例〕
本発明の適用は、上述した工作機械の照明装置に限らず、本発明は、細かな作業が要求される精密機器等(たとえば機械式時計等)の組立・修理現場や、精緻なタッチが要求される美術工芸品等の制作工房の照明装置にも同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、輝度ムラの発生を防止して、照度を確保するためのLED照明装置に有用である。
【符号の説明】
【0065】
1: LED照明装置

30: LED素子
30A: (第1の)LED配列体
30A: 第1のLED列
30A: 第2のLED列
30B: (第2の)LED配列体
30B: 第1のLED列
30B: 第2のLED列

6: レンズ

7: リフレクタ(反射部)

L: 長手方向
S: 短手方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【文献】特開2011-233400号公報(段落[0025]~[0026]および図1図2参照)
【文献】特開2017-21934号公報公報(段落[0034]~[0035]、[0042]および図2参照)
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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