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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/20 20140101AFI20240528BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20240528BHJP
【FI】
H02S40/20
H02S50/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020065115
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021164313
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】中村 淳一
(72)【発明者】
【氏名】口山 崇
(72)【発明者】
【氏名】小泉 玄介
(72)【発明者】
【氏名】中野 邦裕
【審査官】丸橋 凌
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-278755(JP,A)
【文献】特開2017-208964(JP,A)
【文献】特開2013-239628(JP,A)
【文献】特開2017-093288(JP,A)
【文献】国際公開第2014/179700(WO,A1)
【文献】特開2016-122688(JP,A)
【文献】特開平08-316513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0174961(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 10/00-99/00
H01L 31/04-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池セルと、
透光性を有し、前記太陽電池セルの受光面側を覆う板状の第1保護部材と、
透光性を有し、前記第1保護部材の受光面側を隙間を空けて覆う板状の第2保護部材と、
遮光性を有する遮光材料を保持し、前記遮光材料を前記第1保護部材と前記第2保護部材の隙間に放出する遮光材料放出機構と、
を備え
前記遮光材料放出機構は、前記遮光材料を収容する保持容器と、衝撃を受けたときに前記保持容器を破壊する破壊部材と、を有する、太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記遮光材料放出機構は、互いに異なる方向の衝撃によって前記保持容器を破壊する複数の前記破壊部材を有し、
前記保持容器は、平面視で前記第1保護部材及び前記第2保護部材を囲むよう配設され
る、請求項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記第1保護部材と前記第2保護部材の隙間は真空である、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記遮光材料は、遮光性を発現する微粒子を含む、請求項1からのいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記遮光材料は、前記微粒子が分散される液体をさらに含むインクである、請求項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記遮光材料は、液晶である、請求項1からのいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
再利用可能なエネルギー源として、太陽電池セルを封止した太陽電池モジュールの利用が広がっている。太陽電池モジュールは、電力を必要としているか否かにかかわらず、太陽電池セルに光が入射すると出力端に電圧が生じる。太陽電池モジュールを設置した設備に事故等があった場合には、安全のために太陽電池モジュールからの出力を停止することが望ましい。
【0003】
特許文献1には、太陽光パネル(太陽電池モジュール)の表面に遮光剤を散布して、太陽電池モジュールの出力を抑制する遮光装置が記載されている。特許文献1に記載の遮光装置は、遮光剤を収納する遮光剤収納部と、遮光剤収納部と放射管を介して接続された放射ノズルと、遮光剤収納部の遮光剤に対して圧力を加える加圧手段と、放射管に設けられる開閉弁の開閉を制御する制御部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-93288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の遮光装置は、遮光剤により太陽電池モジュールの表面を覆うために、チクソトロピー性を有する遮光剤を使用している。しかしながら、いかにチクソトロピー性を有するとしても収納時には高粘度である遮光剤を散布するために、かなりの圧力が必要となる。また、太陽電池モジュールの表面を確実に覆うためには、散布する遮光剤の量を多くする必要がある。このため、特許文献1に記載の遮光装置では、装置が大きくなり、太陽電池モジュールの有効面積を制限するおそれがある。例えば自動車等の移動体に太陽電池モジュールを搭載する場合、特許文献1に記載されるような遮光装置を設けることは難しい。そこで、本発明は、光電変換に資する有効面積が大きく、非常時に出力を抑制できる太陽電池モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る太陽電池モジュールは、太陽電池セルと、透光性を有し、前記太陽電池セルの受光面側を覆う板状の第1保護部材と、透光性を有し、前記第1保護部材の受光面側を隙間を空けて覆う板状の第2保護部材と、遮光性を有する遮光材料を保持し、前記遮光材料を前記第1保護部材と前記第2保護部材の隙間に放出する遮光材料放出機構と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る太陽電池モジュールにおいて、前記遮光材料放出機構は、前記遮光材料を収容する保持容器と、衝撃を受けたときに前記保持容器を破壊する破壊部材と、を有してもよい。
【0008】
本発明の一態様に係る太陽電池モジュールにおいて、前記遮光材料放出機構は、互いに異なる方向の衝撃によって前記保持容器を破壊する複数の前記破壊部材を有し、前記保持容器は、平面視で前記第1保護部材及び前記第2保護部材を囲むよう配設されてもよい。
【0009】
本発明の一態様に係る太陽電池モジュールにおいて、前記第1保護部材と前記第2保護部材の隙間は真空であってもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る太陽電池モジュールにおいて、前記遮光材料は、遮光性を発現する微粒子を含んでもよい。
【0011】
本発明の一態様に係る太陽電池モジュールにおいて、前記遮光材料は、前記微粒子が分散される液体をさらに含むインクであってもよい。
【0012】
本発明の一態様に係る太陽電池モジュールにおいて、前記遮光材料は、液晶であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様に係る太陽電池モジュールは、光電変換に資する有効面積が大きく、非常時に出力を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る太陽電池モジュールの端部の断面図である。
図2図1の太陽電池モジュールの平面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る太陽電池モジュールの端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、便宜上、見やすいように調整されている。さらに、以下の説明において、先に説明した実施形態と同様の構成要素には、同じ符号を付して重複する説明を省略することがある。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール1の端部の断面図である。図2は、図1の太陽電池モジュール1の平面図である。
【0017】
太陽電池モジュール1は、平面的に配列される複数の太陽電池セル10と、透光性を有し、複数の太陽電池セル10の受光面側(表面側)を覆う板状の第1保護部材20と、透光性を有し、第1保護部材20の受光面側を隙間Sを空けて覆う板状の第2保護部材30と、遮光性を有する遮光材料Mを保持し、遮光材料Mを第1保護部材20と第2保護部材30の隙間Sに放出する遮光材料放出機構40と、複数の太陽電池セル10の裏面側(受光面と反対側)を覆う第3保護部材50と、第1保護部材20と第3保護部材50との間の太陽電池セル10の周囲の空間に充填される封止材60と、を備える。なお、「透光性」とは、全光透過率(JIS K7361-1)が90%以上、好ましくは95%以上であることを意味する。また、「遮光性」とは、遮光材料放出機構40に保持されているときの条件で厚み1mmの層を形成した場合の全光透過率が10%以下、好ましく5%以下であることを意味する。また、「遮光性」は、光を吸収することによって発現されてもよく、光を反射(正反射であっても乱反射であってもよい)することによって発現されてもよい。
【0018】
複数の太陽電池セル10は、一定数の太陽電池セル10を一列に並べて接続した複数の太陽電池ストリングを構成してもよい。これにより、太陽電池セル10を平面的に配列することが容易となる。太陽電池ストリングは、太陽電池セル10の接続方向の一方側の端部を隣接する太陽電池セル10の他方側の裏面に重ねて配置するいわゆるシングリング構造を有するものであってもよい。複数の太陽電池セル10は、図示しないが、隣接する太陽電池セル10間を接続するインターコネクタ、太陽電池ストリング間を接続する接続配線等で接続され、最終的に1つの太陽電池モジュール1に一対の電気的出力端を形成する。この一対の出力端は、出力配線として第3保護部材50の裏面側又は側方に延出してもよい。
【0019】
第1保護部材20は、複数の太陽電池セル10を相対位置を変えずに保持できる強度を有するために十分な厚みを有することが好ましい。第1保護部材20は、例えばガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂などの透明板から形成される。第1保護部材20は、平板に限られず、太陽電池モジュール1の所望の表面形状に合わせて湾曲していてもよい。
【0020】
第2保護部材30は、第2保護部材30との間に一定の厚みを有する隙間Sを形成するために、第2保護部材30と同様の形状を有し、十分な厚みを有する材料から形成される。また、第2保護部材30の表面は、凹凸状に加工されていてもよく、反射防止コーティング層で被覆されていてもよい。このような第2保護部材30を用いることによって、第2保護部材30が入射する光を反射させにくいので、より多くの光を太陽電池セル10に導き、太陽電池モジュール1の光電変換効率を向上することができる。
【0021】
第1保護部材20と第2保護部材30との間の隙間Sは、後述する遮光材料放出機構40が保持する遮光材料Mによって埋めることができるよう、十分に小さい厚みを有することが好ましい。特に、遮光材料Mが第1保護部材20及び第2保護部材30に対して濡れ性が大きい液体である場合、隙間Sの厚みは、毛細管現象によって遮光材料Mを隙間Sの内部に導入できるよう選択され得る。また、遮光材料Mの導入を促進するために、真空であってよい。この場合、隙間Sは、その外周が少なくとも部分的に遮光材料放出機構40によって封止された密閉空間とされる。なお、「真空」とは、高真空に限られず、大気圧より圧力が小さい状態を含む。
【0022】
遮光材料放出機構40は、遮光材料Mを収容する保持容器41と、衝撃を受けたときに保持容器41を破壊する複数の破壊部材42と、太陽電池モジュール1の他の構成要素の積層体の外周部、並びに保持容器41及び破壊部材42を取り囲むよう配設される枠体43と、を有する構成とすることができる。
【0023】
遮光材料放出機構40が放出する遮光材料Mとしては、第1保護部材20と第2保護部材30との隙間Sの外周の1箇所から隙間Sの全体に行き渡らせることができるよう、流動性に優れる流体状の材料が用いられる。具体例として、遮光材料Mは、例えば遮光性を発現する微粒子とこの微粒子が分散される液体とを含むインクとすることができる。この場合、分散媒となる液体は、第1保護部材20の表面及び第2保護部材30の裏面に対する濡れ性が大きいことが好ましい。また、遮光材料Mは、保持容器41内に圧縮状態に保持される気体と、この気体中で一定時間浮遊可能であり、遮光性を発現する微粒子とを含んでもよい。遮光性を発現する微粒子は、例えば光を吸収する有色顔料、光を反射又は散乱させる白色顔料等とすることができる。また、遮光材料Mは、流動性及び遮光性を併せ持つ液晶であってもよい。
【0024】
保持容器41は、十分な量の遮光材料Mを保持しつつ、太陽電池セル10を配置する有効面積を大きくするために、第1保護部材20及び第2保護部材30の外縁に沿って延びる管状に形成されることが好ましく、第1保護部材20及び第2保護部材30を取り囲む環状、通常は方形環状に形成されることがより好ましい。
【0025】
保持容器41は、破壊部材42の構成にもよるが、例えばガラス管、シリコンチューブ等から形成することができる。本実施形態では、破壊部材42は、後述するように保持容器41を内側から破壊するよう構成されているので、破壊部材42に衝撃を伝達するために、弾性変形可能なチューブから形成されている。また、本実施形態の保持容器41は、第1保護部材20と第2保護部材30との隙間Sの外周部を封止している。
【0026】
破壊部材42は、太陽電池モジュール1が衝撃を受けた場合に保持容器41に対して圧接されることにより、保持容器41を破壊する。このような作用を得るために、保持容器41の少なくとも破壊部材42により破壊される部分と破壊部材42との一方は外力が直接的に作用して移動するよう配設され、他方は直接的に外力が作用せず慣性力により運動状態を維持しようとするよう配設される。
【0027】
破壊部材42は、互いに異なる方向の衝撃によって保持容器41を破壊できるよう、保持容器41の四辺にそれぞれ配設されることが好ましい。本実施形態の破壊部材42は、保持容器41の中に配設され、保持容器41の隙間Sの外周を封止する平面視内側部分の内面に対向する鋭利な突起421と、保持容器41の隙間Sを封止する部分に対向する逸見面し外側部分の内面に固定され、突起421を保持する固定部422と、を有する。
【0028】
本実施形態の枠体43は、保持容器41の平面視外側の外面に配置される外周部431と、第2保護部材30の外縁部の表面側に延びる表面フランジ部432と、第3保護部材50の外縁部の裏面側に延びる裏面フランジ部433と、を有する。外周部431は保持容器41に固定されてもよいが、表面フランジ部432及び裏面フランジ部433は、第2保護部材30及び第3保護部材50に対して摺動可能に設けられる。このため、枠体43は太陽電池モジュール1の遮光材料放出機構40以外の構成要素(太陽電池セル10、第1保護部材20、第2保護部材30、第3保護部材50及び封止材60の積層体)に対して面方向に移動可能である。
【0029】
本実施形態において、外力は枠体43に作用し、保持容器41の枠体43に当接する部分及びこの部分に固定される破壊部材42は、枠体43と一体に移動する。一方、保持容器41の第1保護部材20と第2保護部材30との隙間Sを封止する部分は、保持容器41を介して外力が作用する太陽電池モジュール1の遮光材料放出機構40以外の構成要素の積層体と一体に移動する。太陽電池モジュール1の遮光材料放出機構40以外の構成要素は、比較的大きい質量を有するため、慣性力によって運動状態を維持しようとする(静止状態ではその場に留まろうとする)。このため、保持容器41の隙間S側の部分と枠体13側の部分との相対位置が変化し、枠体43を保持容器41に向かって加速させるよう力が作用する部分では、保持容器41が圧縮され、破壊部材42が保持容器41の隙間S側の内壁に向かって相対移動する。枠体13に大きな加速度を与えるような衝撃が作用した場合、破壊部材42の先端部が保持容器41の隙間S側の内壁に突き刺さり、保持容器41のこの部分を破壊する。すると、保持容器41の内部空間と、第1保護部材20と第2保護部材30との隙間Sが連通し、保持容器41に収容された遮光材料Mが隙間Sに流入する。こうして遮光材料Mが隙間Sの中に拡散することによって、光が隙間Sを透過できなくなるため、太陽電池モジュール1の出力が停止される。なお、遮光材料Mが放出される衝撃の強さについては、保持容器41の強度(保持容器41の径方向の圧縮に対する弾性率および内壁の破壊部材42の圧接に対する破壊強度)と、平常時の保持容器41の隙間S側の内壁面と破壊部材42の先端との距離等によって調節することができる。
【0030】
第3保護部材50は、太陽電池セル10の裏面側を保護する層である。第3保護部材50の材質としては、特に限定されるものではないが、水等の浸入を防止する(遮水性の高い)材質が好ましい。具体的には、第3保護部材50は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル樹脂、ポリエチレン(PE)、オレフィン系樹脂、含フッ素樹脂、含シリコーン樹脂等の樹脂等から形成することができる。また、第3保護部材50は、樹脂の層と、例えばアルミニウム箔等の金属の層との積層体としてもよい。このような構成により、第3保護部材50のバリア性を向上することができる。
【0031】
第3保護部材50は、例えば金属層、光拡散材含有層(白色層)等を有し、表面側から入射する光を反射するよう、構成されてもよい。これにより、太陽電池セル10を透過又は太陽電池セル10の隙間を通過した光を反射して太陽電池セル10に戻すことによって光電変換効率を向上することができる。また、第3保護部材50の表側面から見た際の色(光の反射特性)は、個々の太陽電池セル10を識別しにくくして太陽電池モジュール1の美観の低下を防止するために、太陽電池セル10の表側面の色と近似していてもよい。
【0032】
封止材60は、太陽電池セル10の周囲の空間を埋めることによって、水分等が浸入して太陽電池セル10に接触することを防止する。これにより太陽電池セル10が劣化することが抑制される。封止材60は、透明性を有し、太陽電池セル10及び第1保護部材20に対する密着性を有する材料から形成される。封止材60は、太陽電池セル10と第1保護部材20との間、及び太陽電池セル10と第3保護部材50との間にそれぞれシート状の材料を挟み込み、熱プレスにより太陽電池セル10と第1保護部材20との隙間を封止することができるよう、熱可塑性を有する材料から形成されることが好ましい。具体的には、封止材60は、例えばエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/α-オレフィン共重合体、エチレン/酢酸ビニル/トリアリルイソシアヌレート(EVAT)、ポリビニルブチラート(PVB)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等から形成することができる。
【0033】
以上のように、太陽電池モジュール1は、事故等によって衝撃(枠体43に作用する加速度)を受けたときに、遮光材料放出機構40が第1保護部材20と第2保護部材30との隙間Sの中に遮光材料を放出して、表面側から入射する光を遮断して太陽電池セル10に到達することを防止できる。このため、太陽電池モジュール1は、非常時に出力を抑制できるので、意図しない電気が流れて二次災害が生じることを防止できる。また、遮光材料放出機構40は、比較的小型であり、かつ太陽電池セル10を配置し難い太陽電池モジュール1の外縁部に配設されるため、光電変換に資する有効面積が大きい。
【0034】
<第2施形態>
図3は、本発明の第2実施形態に係る太陽電池モジュール1Aの端部の断面図である。太陽電池モジュール1Aは、複数の太陽電池セル10と、第1保護部材20と、第2保護部材30と、遮光材料Mを保持し、遮光材料Mを第1保護部材20と第2保護部材30の隙間Sに放出する遮光材料放出機構40Aと、第3保護部材50と、封止材60と、を備える。
【0035】
遮光材料放出機構40Aは、遮光材料Mを収容する保持容器41Aと、衝撃を受けたときに保持容器41Aを破壊する複数の破壊部材42Aと、第1保護部材20及び第2保護部材30の外側に、第1保護部材20と第2保護部材30の隙間Sに連通し、保持容器41A及び破壊部材42Aを収容する密閉空間を形成する収容部材44と、太陽電池モジュール1の他の構成要素の積層体の外周部並びに保持容器41A、破壊部材42A及び収容部材44を取り囲むよう配設される枠体43と、を有する。
【0036】
本実施形態の保持容器41Aは、例えばガラス管等の可撓性を有しない材料から形成されることが好ましい。
【0037】
本実施形態の破壊部材42Aは、第1保護部材20及び第2保護部材30と保持容器41Aとの間に、間隔を空けて配設される。破壊部材42Aは、第1保護部材20及び第2保護部材30との間隔を定めるスペーサを兼ねてもよい。
【0038】
収容部材44は、可撓性を有する材料から形成され、第1保護部材20及び第2保護部材30に気密に接続される。
【0039】
遮光材料放出機構40Aにおいて、枠体43Aに面方向の衝撃が加わった場合、枠体43Aは収容部材44を介して保持容器41Aを破壊部材42Aに押圧し得る。このため、一定以上の衝撃が加わると保持容器41Aの破壊部材42Aに押圧される部分が破壊されるので、遮光材料Mが収容部材44及び隙間Sに放出されることにより太陽電池モジュール1Aの出力が停止される。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、破壊部材は、保持容器の外側の壁を貫通して配設され、衝撃を受けたきに内側の壁を破壊するよう構成されてもよい。
【0041】
また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、遮光材料放出機構は、外部から信号が入力されたときに保持容器が破壊されるよう構成されてもよい。具体的には、発熱抵抗体に電流を流すことにより、保持容器の一部又は保持容器から第1保護部材と第2保護部材の隙間に突出する先端が閉じた管部を溶断する構成等が考えられる。
【0042】
また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、遮光材料放出機構は、第3保護部材の裏面に配設、又は太陽電池モジュールの他の構成要素と分離して配設される保持容器と、保持容器から第1保護部材と第2保護部材の隙間に遮光材料を導くよう設けられ、途中に遮断弁が設けられる配管と、例えば加速度センサ、温度センサ等によって異常を検知したときに遮断弁を開放する制御部と、を備える構成とすることもできる。
【0043】
また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、保持容器は、独立した密閉容器でなくてもよく、他の構成要素、例えば第1保護部材及び第2保護部材の端部並びに第1保護部材と第2保護部材との隙間を封止する部材等によって封止されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,1A 太陽電池モジュール
10 太陽電池セル
20 第1保護部材
30 第2保護部材
40,40A 遮光材料放出機構
41,41A 保持容器
42,42A 破壊部材
43 枠体
44 収容部材
50 第3保護部材
60 封止材
M 遮光材料
S 隙間
図1
図2
図3