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特許7495262放熱構造体およびそれを備えるバッテリー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】放熱構造体およびそれを備えるバッテリー
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6554 20140101AFI20240528BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240528BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240528BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20240528BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240528BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240528BHJP
【FI】
H01M10/6554
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/617
H01M10/6556
H01M10/647
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020068209
(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公開番号】P2021166127
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 均
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-125665(JP,A)
【文献】特開2013-134993(JP,A)
【文献】特開2020-047507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52-667
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源からの放熱を高める複数の放熱部材を備える放熱構造体であって、
前記放熱部材は、
前記熱源からの熱を伝えるためのスパイラル状に巻回しながら進行する形状の熱伝導シートと、
前記熱伝導シートの環状裏面に備えられ、前記熱伝導シートに比べて前記熱源の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材と、
前記熱伝導シートの巻回しながら進行する方向に貫通する貫通路と、
を備え、
開口部を有する枠体であって、前記複数の放熱部材をその長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で当該複数の放熱部材を囲む枠体を備え、
前記複数の放熱部材は、少なくともその一部が前記開口部内部或いは前記開口部を跨いで配置可能とし、
前記開口部は、前記枠体の天面から底面に貫通しており、
前記枠体は、前記底面における前記開口部の前記長手方向の両端部に、前記複数の放熱部材の前記長手方向の両端部を支持する支持部を備え、
前記複数の放熱部材は、前記長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で、前記長手方向の両端部を前記支持部に載置させるように前記開口部内部に配置されることを特徴とする放熱構造体。
【請求項2】
熱源からの放熱を高める複数の放熱部材を備える放熱構造体であって、
前記放熱部材は、
前記熱源からの熱を伝えるためのスパイラル状に巻回しながら進行する形状の熱伝導シートと、
前記熱伝導シートの環状裏面に備えられ、前記熱伝導シートに比べて前記熱源の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材と、
前記熱伝導シートの巻回しながら進行する方向に貫通する貫通路と、
を備え、
開口部を有する枠体であって、前記複数の放熱部材をその長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で当該複数の放熱部材を囲む枠体を備え、
前記複数の放熱部材は、少なくともその一部が前記開口部内部或いは前記開口部を跨いで配置可能とし、
さらに、前記長手方向と直交する方向において、前記開口部を複数の領域に仕切る1以上の仕切り部材を備え、
前記複数の放熱部材は、その長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で、前記複数の領域のいずれかに1または2以上配置されることを特徴とする放熱構造体。
【請求項3】
前記枠体は、その厚さが、前記熱源からの押圧により変形した前記放熱部材の厚さより薄くなるよう形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の放熱構造体。
【請求項4】
前記クッション部材は、前記長手方向に前記貫通路を有する筒状クッション部材であって、
前記熱伝導シートは、前記筒状クッション部材の外側面をスパイラル状に巻回していることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の放熱構造体。
【請求項5】
前記クッション部材は、前記熱伝導シートの前記環状裏面に沿ってスパイラル状に巻回しているスパイラル状クッション部材であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の放熱構造体。
【請求項6】
前記熱伝導シートの表面に、当該表面に接触する熱源から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の放熱構造体。
【請求項7】
前記熱伝導性オイルは、シリコーンオイルと、前記シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーと、を含むことを特徴とする請求項に記載の放熱構造体。
【請求項8】
冷却部材を流す構造を持つ筐体内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセルを備えたバッテリーであって、前記バッテリーセルと前記筐体との間に、請求項1からのいずれか1項に記載の放熱構造体を備えるバッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱構造体およびそれを備えるバッテリーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、航空機、船舶あるいは家庭用若しくは業務用電子機器の制御システムは、より高精度かつ複雑化してきており、それに伴って、回路基板上の小型電子部品の集積密度が増加の一途を辿っている。この結果、回路基板周辺の発熱による電子部品の故障や短寿命化を解決することが強く望まれている。
【0003】
回路基板からの速やかな放熱を実現するには、従来から、回路基板自体を放熱性に優れた材料で構成し、ヒートシンクを取り付け、あるいは冷却ファンを駆動するといった手段を単一で若しくは複数組み合わせて行われている。これらの内、回路基板自体を放熱性に優れた材料、例えばダイヤモンド、窒化アルミニウム(AlN)、立方晶窒化ホウ素(cBN)等から構成する方法は、回路基板のコストを極めて高くしてしまう。また、冷却ファンの配置は、ファンという回転機器の故障、故障防止のためのメンテナンスの必要性や設置スペースの確保が難しいという問題を生じる。これに対して、放熱フィンは、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)を用いた柱状あるいは平板状の突出部位を数多く形成することによって表面積を大きくして放熱性をより高めることのできる簡易な部材であるため、放熱部品として汎用的に用いられている(特許文献1を参照)。
【0004】
ところで、現在、世界中で、地球環境への負荷軽減を目的として、従来からのガソリン車あるいはディーゼル車を徐々に電気自動車に転換しようとする動きが活発化している。特に、フランス、オランダ、ドイツをはじめとする欧州諸国の他、中国でも、電気自動車の普及が進行してきている。電気自動車の普及には、高性能バッテリーの開発の他、多数の充電スタンドの設置などが必要となる。特に、リチウム系の自動車用バッテリーの充放電機能を高めるための技術開発が重要である。上記自動車バッテリーは、摂氏60度以上の高温下では充放電の機能を十分に発揮できないことが良く知られている。このため、先に説明した回路基板と同様、バッテリーにおいても、放熱性を高めることが重要視されている。
【0005】
バッテリーの速やかな放熱を実現するには、アルミニウム等の熱伝導性に優れた金属製の筐体に水冷パイプを配置し、当該筐体にバッテリーセルを多数配置し、バッテリーセルと筐体の底面との間に密着性のゴムシートを挟んだ構造が採用されている。このような構造のバッテリーでは、バッテリーセルは、ゴムシートを通じて筐体に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-243999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述のような従来のバッテリーにおいて、ゴムシートは、アルミニウムやグラファイトと比べて熱伝導性が低いため、バッテリーセルから筐体に効率よく熱を移動させることが難しい。また、ゴムシートに代えてグラファイト等のスペーサを挟む方法も考えられるが、複数のバッテリーセルの下面が平らではなく段差を有することから、バッテリーセルとスペーサとの間に隙間が生じ、伝熱効率が低下する。かかる一例にもみられるように、バッテリーセルは種々の形態(段差等の凹凸あるいは非平滑な表面状態を含む)をとり得ることから、バッテリーセルの種々の形態に順応可能であって高い伝熱効率を実現することの要望が高まっている。また、高い伝熱効率を実現するためには、多数のバッテリーセルの温度が均一となるように、多数のバッテリーセル各々から均一に放熱させることが望ましい。さらには、バッテリーセルの容器の材質をより軽量で弾性変形することが要望されており、バッテリーセルの軽量化やバッテリーセルを除去したときに元の形状に近い形状に戻る放熱構造体が望まれている。
【0008】
上記課題に鑑みて、本願に先立ち、本出願人は、以下の構成を有する放熱構造体を開発し、特許出願(特願2018-218082)およびそれをパリ条約優先権の基礎とする国際出願(PCT/JP2019/042192)を行った。
熱源からの放熱を高める複数の放熱部材が連結された放熱構造体であって、
前記放熱部材は、
前記熱源からの熱を伝えるためのスパイラル状に巻回しながら進行する形状の熱伝導シートと、
前記熱伝導シートの環状裏面に備えられ、前記熱伝導シートに比べて前記熱源の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材と、
前記熱伝導シートの巻回しながら進行する方向に貫通する貫通路と、
を備え、
前記複数の放熱部材は、前記熱伝導シートの巻回しながら進行する方向と直交する方向に並んだ状態で連結部材により連結されている放熱構造体。
上記放熱構造体は、放熱性と柔軟性に優れる部材であり、さらに、放熱構造体の生産性の向上を図ることも求められている。これは、バッテリーセルのみならず、回路基板、電子部品あるいは電子機器本体のような他の熱源にも通じる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱源の種々の形態に順応可能であって、軽量で、弾性変形性に富み、放熱効率に優れ、複数の熱源各々における放熱性の均一化を高め、かつ生産性の向上を図ることができる放熱構造体、およびそれを備えるバッテリーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る放熱構造体は、熱源からの放熱を高める複数の放熱部材を備える放熱構造体であって、前記放熱部材は、前記熱源からの熱を伝えるためのスパイラル状に巻回しながら進行する形状の熱伝導シートと、前記熱伝導シートの環状裏面に備えられ、前記熱伝導シートに比べて前記熱源の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材と、前記熱伝導シートの巻回しながら進行する方向に貫通する貫通路と、を備え、開口部を有する枠体であって、前記複数の放熱部材をその長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で当該複数の放熱部材を囲む枠体を備え、前記複数の放熱部材は、少なくともその一部が前記開口部内部或いは前記開口部を跨いで配置可能とする。
(2)別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、前記開口部は、前記枠体の天面から底面に貫通しており、前記枠体は、前記底面における前記開口部の前記長手方向の両端部に、前記複数の放熱部材の前記長手方向の両端部を支持する支持部を備え、前記複数の放熱部材は、前記長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で、前記長手方向の両端部を前記支持部に載置させるように前記開口部内部に配置されても良い。
(3)別の実施形態に係る放熱構造体は、好ましくは、前記長手方向と直交する方向において、前記開口部を複数の領域に仕切る1以上の仕切り部材を備え、前記複数の放熱部材は、その長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で、前記複数の領域のいずれかに1または2以上配置されても良い。
(4)別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、前記枠体は、その厚さが、前記熱源からの押圧により変形した前記放熱部材の厚さより薄くなるよう形成されても良い。
(5)別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、前記クッション部材は、前記長手方向に前記貫通路を有する筒状クッション部材であって、前記熱伝導シートは、前記筒状クッション部材の外側面をスパイラル状に巻回していても良い。
(6)別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、前記クッション部材は、前記熱伝導シートの前記環状裏面に沿ってスパイラル状に巻回しているスパイラル状クッション部材であっても良い。
(7)別の実施形態に係る放熱構造体は、好ましくは、前記熱伝導シートの表面に、当該表面に接触する熱源から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有しても良い。
(8)別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、前記熱伝導性オイルは、シリコーンオイルと、前記シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーと、を含んでも良い。
(9)一実施形態に係るバッテリーは、冷却部材を流す構造を持つ筐体内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセルを備えたバッテリーであって、前記バッテリーセルと前記筐体との間に、上述のいずれかの放熱構造体を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱源の種々の形態に順応可能であって、軽量で、弾性変形性に富み、放熱効率に優れ、かつ複数の熱源各々における放熱性の均一化を高め、かつ生産性の向上を図ることができる放熱構造体、およびそれを備えるバッテリーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態に係る放熱構造体の平面図を示す。
図2図2は、図1におけるA-A線断面図およびその一部Cの拡大図をそれぞれ示す。
図3図3は、図1におけるB-B線断面図およびその一部Dの拡大図をそれぞれ示す。
図4図4は、第2実施形態に係る放熱構造体の平面図を示す。
図5図5は、第3実施形態に係る放熱構造体の平面図を示す。
図6図6は、第4実施形態に係る放熱構造体の平面図を示す。
図7図7は、第5実施形態に係る放熱構造体の平面図を示す。
図8図8は、放熱構造体を構成している放熱部材の製造工程を説明するための図を示す。
図9図9は、放熱構造体を構成している放熱部材の変形例の好適な製造工程を説明するための図を示す。
図10図10は、放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図を示す。
図11図11は、放熱構造体の上に、バッテリーセルの側面を接触させるように横置きにしたときの断面図、その一部拡大図および充放電時にバッテリーセルが膨張した際の一部断面図をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
1.放熱構造体
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る放熱構造体の平面図を示す。図2は、図1におけるA-A線断面図およびその一部Cの拡大図をそれぞれ示す。図3は、図1におけるB-B線断面図およびその一部Dの拡大図をそれぞれ示す。なお、この実施形態において、放熱部材の長手方向をY方向、当該長手方向に直交する方向をX方向とする(図1参照)。また、この実施形態において、熱源は、図2および図3の紙面上方に配置され、冷却部材は、図2および図3の紙面下方に配置されるものとする。以後の実施形態においても同様である。また、図1は、放熱構造体1は、22本の放熱部材20を備えているが、放熱部材20の数は特に限定されない。以後の実施形態においても同様である。
【0015】
(1)概略構成
第1実施形態に係る放熱構造体1は、熱源からの放熱を高める複数の放熱部材20を備える部材である。放熱部材20は、熱源からの熱を伝えるためのスパイラル状に巻回しながら進行する形状の熱伝導シート21と、熱伝導シート21の環状裏面に備えられ、熱伝導シート21に比べて熱源の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材22と、熱伝導シート21の巻回しながら進行する方向に貫通する貫通路23と、を備える。また、放熱構造体1は、開口部14を有する枠体であって、複数の放熱部材20をその長手方向と直交する方向(図1に示すX方向)に沿って並べた状態で複数の放熱部材20を囲む枠体10を備える。放熱構造体1において、複数の放熱部材20は、枠体10の開口部14から落下することなく、少なくともその一部が開口部14内部或いは開口部14を跨いで配置可能とする。放熱部材20は、「熱伝導部材」または「伝熱部材」と称しても良い。
【0016】
(2)熱伝導シート
熱伝導シート21は、その構成材料を問わないが、好ましくは炭素を含むシートであり、さらに好ましくは90質量%以上を炭素から構成されるシートである。例えば、熱伝導シート21に、樹脂を焼成して成るグラファイト製のフィルムを用いることもできる。ただし、熱伝導シート21は、炭素と樹脂とを含むシートであっても良い。その場合、樹脂は、合成繊維でも良く、その場合には、樹脂として好適にはアラミド繊維を用いることができる。本願でいう「炭素」は、グラファイト、グラファイトより結晶性の低いカーボンブラック、ダイヤモンド、ダイヤモンドに近い構造を持つダイヤモンドライクカーボン等の炭素(元素記号:C)から成る如何なる構造のものも含むように広義に解釈される。熱伝導シート21は、この実施形態では、樹脂に、グラファイト繊維やカーボン粒子を配合分散した材料を硬化させた薄いシートとすることができる。熱伝導シート21は、メッシュ状に編んだカーボンファイバーであっても良く、さらには混紡してあっても混編みしてあっても良い。なお、グラファイト繊維、カーボン粒子あるいはカーボンファイバーといった各種フィラーも、すべて、炭素フィラーの概念に含まれる。
【0017】
熱伝導シート21を炭素と樹脂とを備えるシートとする場合には、当該樹脂が熱伝導シート21の全質量に対して50質量%を超えていても、あるいは50質量%以下であっても良い。すなわち、熱伝導シート21は、熱伝導に大きな支障が無い限り、樹脂を主材とするか否かを問わない。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂を好適に使用できる。熱可塑性樹脂としては、熱源からの熱を伝導する際に溶融しない程度の高融点を備える樹脂が好ましく、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)等を好適に挙げることができる。樹脂は、熱伝導シート21の成形前の状態において、炭素フィラーの隙間に、例えば粒子状あるいは繊維状に分散している。熱伝導シート21は、炭素フィラー、樹脂の他、熱伝導をより高めるためのフィラーとして、Al、AlNあるいはダイヤモンドを分散していても良い。また、樹脂に代えて、樹脂よりも柔軟なエラストマーを用いても良い。熱伝導シート21は、また、上述のような炭素に代えて若しくは炭素と共に、金属および/またはセラミックスを含むシートとすることができる。金属としては、アルミニウム、銅、それらの内の少なくとも1つを含む合金などの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。また、セラミックスとしては、Al、AlN、cBN、hBNなどの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。
【0018】
熱伝導シート21は、導電性に優れるか否かは問わない。熱伝導シート21の熱伝導率は、好ましくは10W/mK以上である。この実施形態では、熱伝導シート21は、好ましくは、グラファイト製のフィルムであり、熱伝導性と導電性に優れる材料から成る。熱伝導シート21は、湾曲性(若しくは屈曲性)に優れるシートであるのが好ましく、その厚さに制約はないが、0.02~3mmが好ましく、0.03~0.5mmがより好ましい。ただし、熱伝導シート21の熱伝導率は、その厚さが増加するほど厚さ方向で低下するが、熱伝送量は厚い方が多くなるため、シートの強度、可撓性および熱伝導性を総合的に考慮して、その厚さを決定するのが好ましい。
【0019】
(3)クッション部材
クッション部材22の重要な機能は変形容易性と、回復力である。回復力は、弾性変形性による。変形容易性は、熱源の形状に追従するために必要な特性であり、特にリチウムイオンバッテリーなどの半固形物、液体的性状も持つ内容物などを変形しやすいパッケージに収めてあるようなバッテリーセルの場合には、設計寸法的にも不定形または寸法精度があげられない場合が多い。このため、クッション部材22の変形容易性や追従力を保持するための回復力の保持は重要である。
【0020】
クッション部材22は、この実施形態では貫通路23を備える筒状クッション部材である。クッション部材22は、熱伝導シート21に接触する熱源が平坦でない場合でも、熱伝導シート21と熱源との接触を良好にする。さらに、貫通路23は、クッション部材22の変形を容易にし、加えて放熱構造体1の軽量化に寄与し、また、熱伝導シート21と熱源との接触を高める機能を有する。クッション部材22は、熱伝導シート21に加わる荷重によって熱伝導シート21が破損等しないようにする保護部材としての機能も有する。この実施形態では、クッション部材22は、熱伝導シート21に比べて低熱伝導性の部材である。なお、この実施形態では、貫通路23は、断面円形状に形成されているが、貫通路23の断面形状は円に限定されず、例えば、多角形、楕円形、半円形、頂点が丸みを帯びた略多角形等であっても良い。また、貫通路23は、例えば、断面円形状が上下または左右に2つに分割された2つの断面半円形状の貫通路等、複数の貫通路から構成されていても良い。
【0021】
クッション部材22は、好ましくは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を含むように構成される。クッション部材22は、熱伝導シート21を伝わる熱によって溶融あるいは分解等せずにその形態を維持できる程度の耐熱性の高い材料から構成されるのが好ましい。この実施形態では、クッション部材22は、より好ましくは、ウレタン系エラストマー中にシリコーンを含浸したもの、あるいはシリコーンゴムにより構成される。クッション部材22は、その熱伝導性を少しでも高めるために、ゴム中にAl、AlN、cBN、hBN、ダイヤモンドの粒子等に代表されるフィラーを分散して構成されていても良い。クッション部材22は、その内部に気泡を含むものの他、気泡を含まないものでも良い。また、「クッション部材」は、柔軟性に富み、熱源の表面に密着可能に弾性変形可能な部材を意味し、かかる意味では「ゴム状弾性体」と読み替えることもできる。さらに、クッション部材22の変形例としては、上記ゴム状弾性体ではなく、金属を用いて構成することもできる。例えば、クッション部材22は、バネ鋼で構成することも可能である。さらに、クッション部材22として、コイルバネを配置することも可能である。また、スパイラル状に巻いた金属をバネ鋼にしてクッション部材として熱伝導シート21の環状裏面に配置しても良い。また、クッション部材22は、樹脂やゴム等から形成されたスポンジあるいはソリッド(スポンジのような多孔質ではない構造のもの)で構成することも可能である。
【0022】
(4)枠体
枠体10は、複数の放熱部材20をその長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で、複数の放熱部材20を囲む部材である。枠体10は、好ましくは、天面から底面に貫通する開口部14を有する。枠体10は、好ましくは、底面における開口部14の当該長手方向(図1および図3のY方向)の両端部に、複数の放熱部材20の長手方向の両端部を支持する支持部12を備える。支持部12は、枠体10の底面において、開口部14を囲む枠本体11の開口側端部から、当該長手方向に沿って開口部14側に突出した部材である。すなわち、枠体10は、底面にのみ支持部12を備えるため、天面における開口部14の当該長手方向の長さL2が、底面における開口部14の当該長手方向の長さL3よりも長くなる(図3を参照)。複数の放熱部材20は、長手方向に直交する方向に沿って並べた状態で、当該長手方向の両端部を支持部12に載置させるように開口部14内部に配置される。このように複数の放熱部材20が配置されることにより、放熱構造体1は、当該複数の放熱部材20を開口部14から落下させることなく、開口部14内部に配置させることができる。
【0023】
枠体10は、開口部14が熱源を挿通可能なほどに十分な大きさを有していることが好ましい。しかし、枠体10の開口部14が熱源を挿通不可な大きさであっても良い。枠体10は、天面における開口部14の当該長手方向の長さL2が、放熱部材20の長手方向の長さより長くなるよう構成されることが好ましい。このように構成されることにより、枠体10は、熱源からの押圧による放熱部材20の長手方向の伸縮の障害となることを防止できる。しかし、枠体10は、天面における開口部14の当該長手方向の長さL2が、放熱部材20の長手方向の長さと同一であっても良い。枠体10は、好ましくは、樹脂あるいはゴムで形成され、より好ましくは、PETフィルムで形成される。なお、枠体10は、熱源からの放熱により変形しない材料であれば、樹脂あるいはゴムに限定されず、例えば、金属、プラスチック、木材、セラミックス等で形成されていても良い。また、枠体10は、枠本体11と支持部12とが一体成形されていても良いし、別体により成形されていても良い。枠本体11と支持部12とが別体により成形されている場合、枠本体11および支持部12は、同一材料により形成されていても良いし、異なる材料により形成されていても良い。
【0024】
放熱部材20間の距離L1は、放熱部材20が熱源からの押圧を受けて潰れる際に、狭くなる。放熱部材20がほとんど潰れない場合には、熱伝導シート21と熱源等との密着性が低くなる可能性がある。かかるリスクを低減するのに適切な放熱部材20の上下方向、すなわち熱源から冷却部材を備える冷却部位に向かう方向に圧縮されたときの厚みは、少なくとも、放熱部材20の管径(=円換算直径:D)の80%である。ここで、「円換算直径」とは、放熱部材20をその長手方向と垂直に切断したときの管断面の面積と同じ面積の真円の直径を意味する。放熱部材20が真円の断面をもった円筒の場合には、その直径は円換算直径と同一である。放熱部材20は、上記の圧縮を受けると、熱源および冷却部位と接する面を平面とし、放熱部材20間の距離L1の方向を略円弧断面とするように変形するとみなすことができる(図2Cの拡大図を参照)。距離L1を十分に大きくすれば、放熱部材20は隣接する放熱部材20と接触しない。逆に、隙間L1が小さすぎると、放熱部材20が上下方向に圧縮されても、隣接する放熱部材20に接触して、それ以上に潰れなくなる可能性がある。距離L1を放熱部材20の円換算直径Dの11.4%以上にすれば、放熱部材20が円換算直径Dの80%の厚さに圧縮されて変形する際に、放熱部材20同士が接触して、当該変形の障害となることを防止できる。よって、放熱構造体1は、放熱部材20間の距離L1が放熱部材20の円換算直径Dの11.4%以上となるように、複数の放熱部材20が配置されることが好ましい。放熱構造体1は、複数の放熱部材20がその長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で開口部14内部に配置される。このため、枠体10は、放熱部材20間の距離L1が放熱部材20の円換算直径Dの11.4%以上となるよう複数の放熱部材20を配置可能な大きさの開口部14を有することが好ましい。ただし、距離L1を大きくするほど、開口部14における放熱部材20の密度が低くなるため、距離L1のばらつきが大きくなる虞がある。これらの点を考慮して、距離L1が設定されることが好ましい。また、熱源の大きさおよび距離L1に基づき、開口部14の大きさおよび放熱部材20の数が設定されることが好ましい。
【0025】
枠体10は、好ましくは、その厚さTが、熱源からの押圧により変形した放熱部材20の厚さ(0.8D)より薄くなるよう形成される(図3Dの拡大図を参照)。このように放熱構造体1を構成することにより、熱源からの押圧により放熱部材20が上下方向に圧縮されても、熱源が枠体10に接触してそれ以上に潰れなくなる虞を抑制でき、放熱部材20が円換算直径Dの80%の厚さに圧縮されて変形する際に、当該変形の障害となることを防止できる。なお、放熱部材20は、熱源からの押圧により上下方向に圧縮されて冷却部位側(図3の下側)に撓んだ際に、冷却部位側の最下面が枠体10の底面と同じ高さか、若しくは冷却部位側に若干突出させているのが好ましい。放熱部材20を冷却部位に接触させやすいからである。
【0026】
(5)熱伝導性オイル
熱伝導性オイルは、好ましくは、シリコーンオイルと、シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。熱伝導シート21は、微視的に、隙間(孔あるいは凹部)を有する。通常、当該隙間には空気が存在し、熱伝導性に悪影響を及ぼす可能性が有る。熱伝導性オイルは、その隙間を埋めて、空気に代わって存在することになり、熱伝導シート21の熱伝導性を向上させる機能を有する。
【0027】
熱伝導性オイルは、熱伝導シート21の表面、少なくとも熱源と熱伝導シート21とが接触する面に備えられている。本願において、熱伝導性オイルの「オイル」は、非水溶性の常温(20~25℃の範囲の任意の温度)で液状若しくは半固形状の可燃物質をいう。「オイル」という文言に代え、「グリース」あるいは「ワックス」を用いることもできる。熱伝導性オイルは、熱源から熱伝導シート21に熱を伝える際に熱伝導の障害にならない性質のオイルである。熱伝導性オイルには、炭化水素系のオイル、シリコーンオイルを用いることができる。熱伝導性オイルは、好ましくは、シリコーンオイルと、シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。
【0028】
シリコーンオイルは、好ましくは、シロキサン結合が2000以下の直鎖構造の分子から成る。シリコーンオイルは、ストレートシリコーンオイルと、変性シリコーンオイルとに大別される。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルを例示できる。変性シリコーンオイルとしては、反応性シリコーンオイル、非反応性シリコーンオイルを例示できる。反応性シリコーンオイルは、例えば、アミノ変性タイプ、エポキシ変性タイプ、カルボキシ変性タイプ、カルビノール変性タイプ、メタクリル変性タイプ、メルカプト変性タイプ、フェノール変性タイプ等の各種シリコーンオイルを含む。非反応性シリコーンオイルは、ポリエーテル変性タイプ、メチルスチリル変性タイプ、アルキル変性タイプ、高級脂肪酸エステル変性タイプ、親水性特殊変性タイプ、高級脂肪酸含有タイプ、フッ素変性タイプ等の各種シリコーンオイルを含む。シリコーンオイルは、耐熱性、耐寒性、粘度安定性、熱伝導性に優れたオイルであるため、熱伝導シート21の表面に塗布して、熱源と熱伝導シート21との間に介在させる熱伝導性オイルとして特に好適である。
【0029】
熱伝導性オイルは、好ましくは、油分以外に、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーを含む。金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、ベリリウム、タングステンなどを例示できる。セラミックスとしては、アルミナ、窒化アルミニウム、キュービック窒化ホウ素、ヘキサゴナル窒化ホウ素などを例示できる。炭素としては、ダイヤモンド、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボン、アモルファスカーボン、カーボンナノチューブなどを例示できる。
【0030】
熱伝導性オイルは、熱源と熱伝導シート21との間に介在する他、熱伝導シート21と後述のバッテリーの筐体との間に介在する方が好ましい。熱伝導性オイルは、熱伝導シート21の全面に塗布されていても、熱伝導シート21の一部分に塗布されていても良い。熱伝導性オイルを熱伝導シート21に存在させる方法は、特に制約はなく、スプレーを用いた噴霧、刷毛等を用いた塗布、熱伝導性オイル中への熱伝導シート21の浸漬など、如何なる方法によるものでも良い。なお、熱伝導性オイルは、放熱構造体1あるいは後述のバッテリーにとって必須の構成ではなく、好適に備えることのできる追加的な構成である。これは、以後の実施形態においても同様である。
【0031】
放熱構造体1は、複数の放熱部材20がその長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で枠体10の開口部14内部に配置される。これにより、複数の熱源の下端部が平坦でない場合でも、熱伝導シート21と当該下端部との接触が良好になる。高い伝熱効率を実現するためには、多数の熱源各々の温度が均一となるように、多数の熱源各々から均一に放熱させることが望ましい。そのためには、各熱源に接触する放熱部材20の数が均一となるように、複数の放熱部材20を配置することが好ましい。放熱構造体1は、多数の熱源の大きさを考慮して開口部14の大きさを設定し、かつ開口部14の大きさおよび放熱部材20間の距離L1を考慮して、放熱部材20の数を設定することが好ましい。このように放熱構造体1を設計することにより、複数の放熱部材20が開口部14内部に位置決めされる。よって、放熱構造体1は、多数の熱源各々における放熱性の均一化を高めることができる。また、複数の放熱部材20は、枠体10の枠本体11および支持部12により、開口部14から落下することなく開口部14内部に配置される。よって、放熱構造体1は、複数の放熱部材20を糸等で連結することなく、枠体10の開口部14内部に配置させることができ、生産性の向上を図ることができる。また、放熱構造体1は、各放熱部材20がクッション部材22の外側面に熱伝導シート21をスパイラル状に巻いた構造を有しているため、クッション部材22の変形を過度に拘束しない。なお、複数の放熱部材20は、放熱部材20間の距離L1が等間隔となるよう配置されることに限定されない。
【0032】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る放熱構造体について説明する。先の実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0033】
図4は、第2実施形態に係る放熱構造体の平面図を示す。
【0034】
第2実施形態に係る放熱構造体1aは、第1実施形態に係る放熱構造体1と類似の構造を有するが、枠体10に代えて、枠体10aを備える点において、第1実施形態に係る放熱構造体1と異なる。なお、放熱構造体1aは、枠体10a以外の構成は、第1実施形態に係る放熱構造体1と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0035】
枠体10aは、放熱部材20の長手方向と直交する方向(図4のY方向)において、開口部14を複数の領域に仕切る1以上の仕切り部材16を備える。この実施形態では、枠体10aは、開口部14を3つの領域18a,18b,18cに仕切る2本の仕切り部材16を備える。複数の放熱部材20は、好ましくは、その長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で、複数の領域18a,18b,18cのいずれかに1または2以上配置される。仕切り部材16は、当該長手方向と直交する方向において開口部14を仕切る部材であればその形態に制約はなく、例えば、枠本体11および/または支持部12と一体成形されていても良いし、別体により成形されていても良い。後者の場合、仕切り部材16は、枠本体11および/または支持部12と同一材料により形成されていても良いし、枠本体11および支持部12と異なる材料により形成されていても良い。なお、枠体10aは、仕切り部材16以外の構成は、枠体10(図1を参照)と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0036】
この実施形態において、仕切り部材16により仕切られた3つの領域18a,18b,18cは、中央の領域18bが他の領域18a,18cに比べて大きく形成されている。また、中央の領域18bは、他の領域18a,18cに比べて、放熱部材20が高密度に配置されている。すなわち、放熱構造体1aは、中央の領域18bに配置される放熱部材20間の距離L1がその他の領域18a,18cに配置される放熱部材20間の距離L1に比べて小さくなるよう構成されている。一般に、多数の熱源が放熱部材20の長手方向と直交する方向(図4のY方向)に沿って並ぶ場合、当該長手方向と直交する方向において、中央部に配置される熱源の方が両端部に配置される熱源より伝熱効率が低い。放熱構造体1aは、中央の領域18bに配置される放熱部材20の密度が他の領域18a,18cに配置される放熱部材20の密度より高いため、中央部に配置される熱源に接触する放熱部材20の数が他の熱源に接触する放熱部材20の数より多くなるよう構成される。よって、放熱構造体1aは、複数の熱源各々における放熱性の均一化を高めることができ、高い伝熱効率を実現できる。なお、仕切り部材16の数および位置は、特に制約されない。すなわち、仕切り部材16により仕切られた各領域18a,18b,18cの大きさは、同一であっても良いし、異なる大きさであっても良い。また、各領域18a,18b,18cに配置される放熱部材20の数は、特に制約されない。放熱構造体1aは、熱源の形態等に応じて、複数の熱源各々における放熱性の均一化を高めるように、仕切り部材16の数および位置、および仕切り部材16により仕切られた領域18a,18b,18cに配置される放熱部材20の数が適宜設定されることが好ましい。
【0037】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る放熱構造体について説明する。先の実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0038】
図5は、第3実施形態に係る放熱構造体の平面図を示す。
【0039】
第3実施形態に係る放熱構造体1bは、第2実施形態に係る放熱構造体1aと類似の構造を有するが、枠体10aに代えて、枠体10bを備える点において、第2実施形態に係る放熱構造体1aと異なる。
【0040】
枠体10bは、放熱部材20の長手方向と直交する方向(図5のY方向)において、開口部14を複数の領域に仕切る1以上の仕切り部材16を備える。放熱構造体1bにおいて、仕切り部材16は、隣接する放熱部材20の間にそれぞれ配置される。すなわち、複数の放熱部材20は、その長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で、仕切り部材16により仕切られた各領域18dに、1つずつ配置される。この実施形態において、仕切り部材16により仕切られた各領域18dの大きさは、全て同一である。枠体10bは、放熱部材20間の距離L1が放熱部材20の円換算直径Dの11.4%以上となるように、仕切り部材16を開口部14に配置することが好ましい。なお、枠体10bは、仕切り部材16の数および位置以外の構成は、枠体10a(図4を参照)と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0041】
放熱構造体1bは、仕切り部材16により仕切られた各領域18dに放熱部材20が1つずつ配置されている。これにより、放熱構造体1bは、複数の放熱部材20が支持部12および仕切り部材16により位置決めされているので、熱源からの押圧を受けて潰れた際にも放熱部材20間の距離L1のばらつきが小さくなる。また、放熱構造体1bは、複数の熱源の下端部が平坦でない場合でも、熱伝導シート21と当該下端部との接触が良好になる。よって、放熱構造体1bは、多数の熱源各々における放熱性の均一化を高めることができる。なお、放熱構造体1bにおいて、複数の放熱部材20は、放熱部材20間の距離L1が等間隔となるよう配置されることに限定されない。すなわち、仕切り部材16により仕切られた各領域18dの大きさは、同一でなくても良い。放熱構造体1bは、好ましくは、放熱部材20の長手方向と直交する方向(図5のY方向)に沿って並ぶ複数の熱源のうち、伝熱効率が低い中央部に配置される熱源に接触する放熱部材20の数が、両端部に配置される熱源に接触する放熱部材20の数より多くなるように、当該中央部に配置される熱源に接触する放熱部材20間の距離L1を小さくすることが好ましい。すなわち、放熱構造体1bは、開口部14の中央部における領域18dの大きさが開口部14の両端部における領域18dの大きさより小さくなるように仕切り部材16を配置することが好ましい。このように、放熱構造体1bは、熱源の形態等に応じて、複数の熱源各々における放熱性が均一となるように、容易かつ確実に熱源との位置決めを行うことができる。
【0042】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る放熱構造体について説明する。先の実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0043】
図6は、第4実施形態に係る放熱構造体の平面図を示す。
【0044】
第4実施形態に係る放熱構造体1cは、第1実施形態に係る放熱構造体1と類似の構造を有するが、枠体10に代えて、枠体10cを備える点において、第1実施形態に係る放熱構造体1と異なる。
【0045】
枠体10cは、支持部12を備えていない点において、第1実施形態の枠10と異なる。なお、枠体10cにおいて、その他の構成は、枠体10(図1を参照)と同様のため、詳細な説明を省略する。第4実施形態に係る放熱構造体1cは、例えば、バッテリー等の熱源からの放熱を必要とする部材に設置されることにより、当該部材と枠体10cとにより複数の放熱部材20が支持される。
【0046】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る放熱構造体について説明する。先の実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0047】
図7は、第5実施形態に係る放熱構造体の平面図を示す。
【0048】
第5実施形態に係る放熱構造体1dは、第4実施形態に係る放熱構造体1cと類似の構造を有するが、放熱部材20の配置方法において、第4実施形態に係る放熱構造体1cと異なる。
【0049】
放熱構造体1dは、第4実施形態と同様の枠体10cを備え、複数の放熱部材20が開口部14を跨いで配置される。すなわち、放熱構造体1dにおいて、複数の放熱部材20は、その長手方向の両端部が枠体10cに載置された状態で、当該長手方向と直交する方向に沿って並んで配置される。なお、放熱構造体1dは、放熱部材20の配置方法以外の構成は、第4実施形態に係る放熱構造体1c(図6を参照)と同様であるため、詳細な説明を省略する。放熱構造体1dは、例えば、バッテリー等の熱源からの放熱を必要とする部材に設置されることにより、枠体10cの設置面が地面と略水平である場合に、複数の放熱部材20が開口部14から落下することなく配置できる。
【0050】
2.放熱構造体の製造方法
次に、第1実施形態に係る放熱構造体1の好適な製造方法の一例を説明する。まず、放熱構造体1を構成している放熱部材20の好適な製造方法の一例を説明する。
【0051】
図8は、放熱構造体を構成している放熱部材の製造工程を説明するための図を示す。
【0052】
まず、貫通路23を有するクッション部材22を成形する。次に、クッション部材22の外側面に接着剤を塗布する。次に、帯状の熱伝導シート21を、クッション部材22の外側面上にスパイラル状に巻いた後、熱伝導シート21がクッション部材22の両端からはみ出した部分があれば、そのはみ出した部分をカット若しくはクッション部材22ごとカットする。最後に、熱伝導シート21の表面に、熱伝導性オイルを塗布する。クッション部材22と熱伝導シート21との間に接着剤を介在させないで固定することも可能である。その場合には、完全硬化する前の状態のクッション部材22を用意して、その外側面に帯状の熱伝導シート21を巻く。その後、クッション部材22を加温して完全硬化させて、クッション部材22の外側面に熱伝導シート21を固定する。
【0053】
熱伝導シート21のクッション部材22の両端からはみ出した部分をカットするカット工程および熱伝導性オイルを塗布する塗布工程は、上述のタイミングで行うことに限定されない。例えば、カット工程は、塗布工程後に行っても良い。
【0054】
放熱構造体1は、上述の製造方法により製造された複数の放熱部材20を枠体10の開口部14内部に配置することにより製造される。この場合、複数の放熱部材20は、その長手方向に直交する方向に沿って並べた状態で、当該長手方向の両端部を枠体10の支持部12に載置させるように配置されることが好ましい。また、枠体10は、金型等を用いて、枠本体11および支持部12が一体成形されても良いし、別々に成形された枠本体11と、支持部12とを接合して形成されていても良い。
【0055】
第2実施形態に係る放熱構造体1aは、放熱構造体1と同様に、上述の製造方法により製造された複数の放熱部材20を枠体10aの領域18a,18b,18cのいずれかに1または2以上配置することにより製造される。この場合、複数の放熱部材20は、その長手方向に直交する方向に沿って並べた状態で、当該長手方向の両端部を枠体10aの支持部12に載置させるように配置されることが好ましい。また、枠体10は、金型等を用いて、枠本体11と支持部12と仕切り部材16とが一体成形されても良いし、別々に成形された枠本体11と支持部12と仕切り部材16とを接合して形成されていても良い。また、枠体10aは、枠本体11、支持部12、および仕切り部材16のうち、いずれか2つの部材が一体成形された状態で、残りの部材を当該一体成形された部材に接合して形成されていても良い。
【0056】
第3実施形態に係る放熱構造体1bは、放熱構造体1と同様に、上述の製造方法により製造された複数の放熱部材20を枠体10bの各領域18dに1つずつ配置することにより製造される。この場合、複数の放熱部材20は、その長手方向に直交する方向に沿って並べた状態で、当該長手方向の両端部を枠体10bの支持部12に載置させるように配置されることが好ましい。また、枠体10bは、金型等を用いて、枠本体11と支持部12と仕切り部材16とが一体成形されても良いし、別々に成形された枠本体11と支持部12と仕切り部材16とを接合して形成されていても良い。また、枠体10bは、枠本体11、支持部12、および仕切り部材16のうち、いずれか2つの部材が一体成形された状態で、残りの部材を当該一体成形された部材に接合して形成されていても良い。
【0057】
第4実施形態に係る放熱構造体1cは、放熱構造体1と同様に、上述の製造方法により製造された複数の放熱部材20を枠体10cの開口部14内部に配置することにより製造される。この場合、複数の放熱部材20は、例えば、バッテリー等の熱源からの放熱を必要とする部材に枠体10cが載置された状態で、その長手方向に直交する方向に沿って開口部14内部並べて配置されることが好ましい。
【0058】
第5実施形態に係る放熱構造体1dは、放熱構造体1と同様に、上述の製造方法により製造された複数の放熱部材20を枠体10cの開口部14を跨いで配置することにより製造される。この場合、複数の放熱部材20は、例えば、バッテリー等の熱源からの放熱を必要とする部材に枠体10cが地面と略水平に載置された状態で、各放熱部材20の長手方向の両端部が枠体10cに載置されるように、当該長手方向に直交する方向に沿って並べて配置されることが好ましい。
【0059】
放熱構造体1の変形例の好適な製造方法の一例を説明する。この変形例において、上述の放熱構造体1を構成している放熱部材20を放熱部材20aに代える点以外は、上述の放熱構造体1と同様の製造方法により製造されているため、詳細な説明を省略する。以下、放熱部材20aの好適な製造方法について説明する。
【0060】
図9は、放熱構造体を構成している放熱部材の変形例の好適な製造工程を説明するための図を示す。
【0061】
まず、帯状の積層シート28を製造する。帯状の積層シート28の製造において、熱伝導シート21とクッション部材22とは、好ましくは接着剤にて固定されている。次に、帯状の積層シート28を、スパイラル状に巻回しながら一方向に進行させて、長尺状の放熱部材20aを製造する。熱伝導シート21とクッション部材22との間に接着剤を介在させない製造方法としては、以下のような方法を例示できる。例えば、クッション部材22が完全には硬化していない未硬化状態で、熱伝導シート21をクッション部材22の上に貼る。その後、加温により、クッション部材22を完全に硬化させる。
【0062】
帯状の積層シート28をスパイラル状に巻回した後、積層シート28の両端をカットして形状を整えても良い。最後に、熱伝導シート21の表面に、熱伝導性オイルを塗布する。放熱部材20aは、その長手方向に貫通する貫通路23aを備えている。貫通路23aは、上述の実施形態における放熱部材20と異なり、放熱部材20aの外側面方向にも貫通している。このように、クッション部材22は、熱伝導シート21の内側に配置され、熱伝導シート21とクッション部材22は、一体にてスパイラル状に一方向に進行する形態を有する。放熱部材20aは、その全体がスパイラル状であるため、上述の放熱部材20に比べて、放熱部材20aの長手方向に伸縮容易である。
【0063】
なお、放熱構造体1a,1b,1c,1dもまた、放熱部材20に代えて放熱部材20aを備えることができる。この場合、放熱構造体1a,1b,1c,1dは、放熱部材20を放熱部材20aに代える点以外は、上述の放熱構造体1a,1b,1c,1dと同様の製造方法により製造することができる。
【0064】
3.バッテリー
次に、本実施形態に係るバッテリーについて説明する。
【0065】
図10は、放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図を示す。ここで、「縦断面図」は、バッテリーの筐体内部の上方開口面から底部へと垂直に切断する図を意味する。
【0066】
この実施形態において、バッテリー40は、例えば、電気自動車用のバッテリーであって、多数のバッテリーセル50を備える。バッテリー40は、一方に開口する有底型の筐体41を備える。筐体41は、好ましくは、アルミニウム若しくはアルミニウム基合金から成る。バッテリーセル50は、筐体41の内部44に配置される。バッテリーセル50の上方には、電極(不図示)が突出して設けられている。複数のバッテリーセル50は、好ましくは、筐体41内において、その両側からネジ等を利用して圧縮する方向に力を与えられて、互いに密着するようになっている(不図示)。筐体41の底部42には、冷却部材45の一例である冷却水を流すために、1または複数の水冷パイプ43が備えられている。バッテリーセル50は、底部42との間に、放熱構造体1を挟むようにして筐体41内に配置される。
【0067】
バッテリー40は、冷却部材45を流す構造を持つ筐体41内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセル50を備える。放熱構造体1は、バッテリーセル50と冷却部材45との間に介在する。このような構造のバッテリー40では、バッテリーセル50は、放熱構造体1を通じて筐体41に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。なお、冷却部材45は、「冷却媒体」あるいは「冷却剤」と読み替えても良い。冷却部材45は、冷却水に限定されず、液体窒素、エタノール等の有機溶剤も含むように解釈される。冷却部材45は、冷却に用いられる状況下にて、液体であるとは限らず、気体あるいは固体でも良い。
【0068】
バッテリーセル50を筐体41内にセットした状態では(図10を参照)、放熱構造体1は、バッテリーセル50と、水冷パイプ43を備える底部42との間において、放熱構造体1の厚さ方向に圧縮される。この結果、バッテリーセル50からの熱は、熱伝導シート21、底部42、水冷パイプ43、冷却部材45へと伝わりやすくなる。また、放熱構造体1は枠体10を備えるため、作業者が枠体10を持ってバッテリー40に放熱構造体1を取り付けることができ、作業性が向上する。なお、バッテリー40は、放熱構造体1に代えて、先述の放熱構造体1a,1b,1c,1dを備えていても良い。
【0069】
4.その他の実施形態
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
【0070】
図11は、放熱構造体の上に、バッテリーセルの側面を接触させるように横置きにしたときの断面図、その一部拡大図および充放電時にバッテリーセルが膨張した際の一部断面図をそれぞれ示す。
【0071】
先述の第1実施形態では、バッテリーセル50を縦にしてその下端に放熱構造体1を接触せしめている状況について説明したが、バッテリーセル50の配置形態は、これに限定されない。図11に示すように、バッテリーセル50の側面を放熱構造体1の各放熱部材20,20aに接触させるように、バッテリーセル50を配置しても良い。バッテリーセル50は、充電および放電の際に温度上昇する。バッテリーセル50の容器自体が柔軟性に富む材料にて形成されていると、バッテリーセル50の特に側面が膨らむ可能性がある。そのような場合でも、図11に示すように、放熱構造体1の構成している各放熱部材20,20aがバッテリーセル50の外面の形状に合わせて変形できるので、充放電時にも放熱性を高く維持できる。また、先述の第2実施形態、第3実施形態および第4実施形態においても同様に、バッテリーセル50の側面を放熱構造体1a,1b,1cの各放熱部材20,20aに接触させるように、バッテリーセル50を配置しても良い。
【0072】
また、先述の各実施形態において、放熱構造体1,1a,1b,1cは、複数の放熱部材20,20aがすべて開口部14内部に配置されている。しかし、放熱構造体1,1a,1b,1cは、複数の放熱部材20,20aのうち少なくともその一部が開口部14内部に配置されていれば、例えば、開口部14を跨いで配置される放熱部材20,20aおよび/または枠体10,10a,10b,10cの枠本体11上に配置された放熱部材20,20aを有していても良い。また、第5実施形態において、放熱構造体1dは、複数の放熱部材20,20aがすべて開口部14を跨いで配置されている。しかし、放熱構造体1dは、複数の放熱部材20,20aのうち少なくともその一部が開口部14を跨いで配置されていれば、例えば、開口部14内部に配置される放熱部材20,20aおよび/または枠体10cの枠本体11上に配置された放熱部材20,20aを有していても良い。
【0073】
また、放熱構造体1,1a,1bは、接着あるいは嵌め込み等の手法で、複数の放熱部材20の長手方向の両端部を、枠体10,10a,10bの支持部12に固定していても良い。これにより、放熱構造体1,1a,1bは、複数の放熱部材20,20aが位置決めされるので、熱源からの押圧を受けて潰れた際にも放熱部材20間の距離L1のばらつきが小さくなる。また、放熱構造体1,1a,1bは、複数の放熱部材20,20aが支持部12に固定されることにより、複数の熱源の下端部が平坦でない場合でも、熱伝導シート21と当該下端部との接触が良好になる。よって、放熱構造体1,1a,1bは、多数の熱源各々における放熱性の均一化を高めることができる。放熱構造体1dもまた、接着あるいは嵌め込み等の手法で、複数の放熱部材20の長手方向の両端部を、枠体10cに固定していても良い。
【0074】
また、枠体10,10a,10b,10c(以後、総称する場合には、「枠体10等」と称する。)は、バッテリー40の筐体41(底部42等)に備えられた位置決めピンを挿通可能な1以上の位置決め穴が形成されていても良い。位置決め穴は、バッテリー40の底部42から突出した位置決めピンを挿通可能な穴である。位置決め穴に位置決めピンが挿通することにより、バッテリー40と放熱構造体1,1a,1b,1c,1d(以後、総称する場合には、「放熱構造体1等」と称する。)との位置決めが容易となる。なお、位置決め穴および位置決めピンの形状および位置は、特に制約はない。
【0075】
また、枠体10等は、その形状に特に制約はなく、少なくとも開口部14を有し、複数の放熱部材20,20aをその長手方向と直交する方向に沿って並べた状態で当該複数の放熱部材20,20aを囲む形状であれば、例えば、楕円、円、多角形状等であっても良い。
【0076】
また、先述の各実施形態では、枠体10等は、その厚さTが、熱源からの押圧により変形した放熱部材20,20aの厚さ(0.8D)より薄くなるよう形成されている(図3Dの拡大図を参照)。しかし、枠体10等は、その厚さTが、熱源からの押圧により変形した放熱部材20,20aの厚さと同一或いは当該厚さより厚くなるよう形成されていても良い。
【0077】
また、放熱部材20は、クッション部材22に貫通路23が形成されていなくても良い。その場合、放熱部材20は、スパイラル状の熱伝導シート21の貫通路内にクッション部材22を充填した構成を有する。貫通路は、熱伝導シート21およびクッション部材22のうち、少なくとも熱伝導シート21の巻回構造によって形成されていれば、クッション部材22に形成されていなくとも良い。
【0078】
また、放熱部材20aにおけるスパイラル状のクッション部材22は、熱伝導シート21の幅と同一に限定されず、熱伝導シート21の幅に対して大きくても、あるいは小さくても良い。
【0079】
また、熱源は、バッテリーセル50のみならず、回路基板や電子機器本体などの熱を発する対象物を全て含む。例えば、熱源は、キャパシタおよびICチップ等の電子部品であっても良い。同様に、冷却部材45は、冷却用の水のみならず、有機溶剤、液体窒素、冷却用の気体であっても良い。また、放熱構造体1等は、バッテリー40以外の構造物、例えば、電子機器、家電、発電装置等に配置されていても良い。
【0080】
また、上述の各実施形態の複数の構成要素は、互いに組み合わせ不可能な場合を除いて、自由に組み合わせ可能である。例えば、放熱構造体1aは、バッテリー40に備えられていても良い。
【符号の説明】
【0081】
1,1a,1b,1c,1d・・・放熱構造体、10,10a,10b,10c・・・枠体、12・・・支持部、14・・・開口部、16・・・仕切り部材、18a,18b,18c,18d・・・領域、20,20a・・・放熱部材、21・・・熱伝導シート、22・・・クッション部材、23,23a・・・貫通路、40・・・バッテリー、41・・・筐体、45・・・冷却部材、50・・・バッテリーセル(熱源の一例)。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11